除草機1号

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除草機1号

基本超短編を書きます。ストーリーは何となく決めます。新参者ですがどうかよろしくお願いします。

[週刊]百足の唄 8

注意:この作品には、暴力的な表現、蟲が登場する可能性があります。耐えられる人のみ読んでください。  誰かが、叫んだ。無慈悲な警笛が鳴り響き、敵襲を知らせる。俺たちは降ろしかけた武器を持ち、銃を構える。 「半径2km以内に我々とは異なる生物の生体反応を確認、警戒してください!」  ベルの一言が、周囲の緊張を加速させる。天を見ると、風が空を斬って頬の前を通り過ぎ、1本の足の先で地面に亀裂を開けた。緑の腹にギョロリとした目、両腕に付けた鎌には鋭利な兵器が装備させられている。 ー蟷螂部隊。ノレスが武器に弾を込めるが、間に合わず腹に深刻な傷を負ってしまう。倒れ込むノレスの首に蟷螂が鎌をかけようとした時、ヘルバンが銃を鎌にかけて敵の手を止めた。 「コイツらの鎌は、この銃と同じ金属でできている。んなら、俺様がこの銃で止めれば、コイツは身動き出来ねぇってことよ」  ヘルバンが肉弾戦で動きを止め、俺とノグマがとどめを刺し、ベルが戦場を指揮する。この作戦により数十いた蟷螂軍団もいくつかの血飛沫と断末魔の末に残り数体だけになった。楽にしてやろうと毒牙を剥き近づくと、相手は鎌を降ろし、静かに震える。 「アア、イヤダ......戦争デ徴兵サレ、アゲクノハテニハ仲ノ良カッタ友人ヲ殺シ、殺サレル。サァ、ソコノ貴様、サッサトトドメヲ刺シテクレ......」  血を流しながら話す蟷螂に、銃を持つ手を降ろしかける。コイツらも、夢があったんだ......ノグマは殺さなければと伝えようとする。俺が手を動かしかけた、その時。 蟷螂が背後から銃弾で撃ち抜かれ、絶命する。後ろには、無気力な顔を返り血で染めたー、ベレナクス。 「待たせたね」

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猫は見た

 猫は見た。ニンゲン達が、私を撫で回そうとしてくる。......気色悪い。第一、猫と違い動きも遅く、狩すらもろくにできやしない。なんでこんな奴が生態系の頂点を名乗っているんだ。  馬は見た。ニンゲン達が、我を従えようとし、鞭を振るう。......軽薄だ。我らと違い足も遅く、弱々しいお主らが素速さを得る為、我らと共に走ることを望んだのに。なんでこんな奴が生態系の頂点を名乗っているんだ。  魚は見た。ニンゲン達が、母なる海にゴミを投げ捨てている。......醜い。母を汚し、知らぬ顔で棲み家に逃げ帰るもの。自然を守ることの大切さを訴えつつも、実際は自身のイメージのアップしか考えていないもの。なんでこんな奴が生態系の頂点を名乗っているんだ。  ニンゲンは見た。愚かなニンゲン、愚かな自分自身の姿を。......なんで俺たちが、生態系の頂点を名乗っているんだろう?

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[週刊]百足の唄 7

注意:この作品には、暴力的な表現、蟲が登場する可能性があります。耐えられる人のみ読んでください。  寒々しい倉庫を歩き続けて2時間、ついに、倉庫の戸に手をかけることができた。 「遠かった...」  誰かが息を漏らす。安堵する俺たちに飛び蹴りをかますかのように、デグマが一言。 「貴様ら、何を勘違いしとるのだ?ここから、じゃよ。」  見るとそこには、沢山の果物や野菜、肉などが山積みになった、見上げるほど高い山があった。 「今から、登るんですか...?」  山を登り続けて4時間、登るにつれ厳しくなる寒さの中、俺たちはなんとか頂を掴んだ。さぁ、ここだ。そう案内されるがままについていくと、目の前には静まった寺院が。 「これは......」  寺院の中には何かを持った巨大なニンゲンの像と、跪く蟲の群れがいた。それらが何を意味するのか。まだ、わからない。

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[週刊]百足の唄 6

注意:この作品には、暴力的な表現、蟲が登場する可能性があります。耐えられる人のみ読んでください。  戦地では、既に銃撃音や誰かの怒号が空に轟いていた。そんな中で、老兵百足が俺たちに向け、こう話す。 「貴様らは決して裏切り者ではない、蟲を救う救世主だ。さぁ、裏切り者に制裁を加えようぞ!」  デグマと名乗った老兵によると、俺たちC班はフリッジ冷蔵地を防衛するらしい。17式対蟲銃を片手に、僕達は歩き出した。   その地は、天まで続く巨大な城壁で囲まれていた。 「少し下がっておれ。ここのシステムは我々がジャックしている。今、扉を開けてやろう。」  デグマがレバーを下げると、白い城壁の一部が音を立てて開いた。階段を上がって中に入ると、直ぐに凍えるような冷気が襲ってきた。どうやら、ここは一年を通して寒冷な気候のようだ。通路の左右には大量の食糧が貯蔵されている。 「ここには数百年分の食糧や武器、必需品が貯蔵されており、何時敵に襲われるのかわからん。くれぐれも油断せんように。」  デグマがそう話そうとした最中、近くから音が反響した。慌てて銃口を向けたが、そこには何もいなかった。 「気のせいか?俺様には音が聞こえたんだがな...」  何かが、いるのかもしれない。俺たちは、緊張の中、この地を探索することにした。

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[週刊]百足の唄 5

注意:この作品には、暴力的な表現、蟲が登場する可能性があります。耐えられる人のみ読んでください。  ベルに説明を求めると、彼は少し咳払いをして問いに答えた。 「つまり、もし本当に機械がガスを吸収するとすると、ガスがなくなって試験どころではなくなる。そう考えると、フロア内に機械を設置するわけにはいかない。だから監視カメラはなく、中で何が起きたかを確かめることはできない、ってことだよ」  そう言うと、カバンから取り出した本のページを破り、煙を被せて紙を真っ白に染めた。 「これを試験官に見せて、こう言うんだ。''フロアの中で取り合いになってしまい、この破片以外は全部粉々になってしまいました''ってね。こうすると、試験官は僕達が嘘をついてるなんて証明できないだろ?この訓練は早い者勝ちだから、僕ら以外は問答無用で脱落してしまう。これで、クリアだ」  全員が賛成する中、ヘルバンは異議を申し立てた。 「おい、ベレナクスの野郎はどうすんだ、見殺しにするってんのか?」 「大丈夫、断言するよ。彼は死なない。確実にね。じゃあ、改めて、フロアを出よう」  ついに、俺達は、戦場に立つ。

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向日葵に嘘を

 今日は4月1日、エイプリルフールだ。本来なら嘘をつく日に、僕は君に真実を伝えると決めた。淡いワンピース姿の君に、僕は勇気を持って声を掛けた。 「実は、僕ーーーーー」  どうしたの、と君はまるで向日葵のようにゆっくりと顔を僕へと向ける。ごめんね、僕は、君とはもう一緒にいられないんだよ。僕は、君のような純粋な人間ではないんだよ。僕は、君に乗っての太陽にはなれないんだよ。 「ううん、大丈夫。また明日、会おうね。」  ああ、僕ってやっぱり嘘つきだ。

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病室の煙

 いつからだろう。あの窓から煙が昇り始めたのは。ただ白い病院の窓に、いつからか、煙草の煙が昇るようになったんだ。  僕は嘘つきだ。他者から責められれば他人に責任を押し付け、いつだって自分にとって良い結果になることだけ考えている。そのくせ好奇心は人一倍強くて、あの窓の内側では老人が煙草を吸っている。その老人は煙草嫌いと言うくせに1日に何本も吸う頭のいかれた野郎だと聞くと、直ぐに会ってみたくなった。  病室には、1人の老人が眠っていた。彼の隣では、夥しい量の吸い殻が水に沈んでいる。話しかけると、老人はゆっくりと声を返してくれた。深く、感情に満ちた声で、老人は話し始めたのだ。 「私は昔、詐欺師をやっていた。煙草を使って、カモ達から大金を巻き上げていたんだ。しかし途中で、大きなミスをしてしまってね。組織から命を狙われ、通りかかった男に助けられるのだが、そいつの声を聞くうちに相手が私が詐欺をした相手だと気づいてしまったんだよ。そいつの顔を見て、私が今までにどれだけのことをしていたのか悟ったよ。」  それからその男に償いとして今まで自分が他人に勧めた量の煙草を吸えと言われ、今に至ったそうだ。後246本煙草を吸えば、私も悔いなく地獄へ行ける。あの日の老人はそう話した3日後に、亡くなった。担当だった看護師は、老人が僕と話したせいで煙草で腐っていた肺や気管がやられて病気が悪化してしまったと話した。僕のせいで、老人が死んだ。僕は、捉えようのないほどの後悔に襲われた。  僕は今、煙草を吸っている。あの日の、責任を取って。あと13本、後13本で、老人は救われる。どうか、あの世に昇れますように。

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[週刊]百足の唄 4

注意:この作品には、暴力的な表現、蟲が登場する可能性があります。耐えられる人のみ読んでください。  二重ドアの奥には、まるで雪山で吹雪に飲まれたかのような白の世界が広がっていた。あたりは真っ白で、はっきりと見えるものは何もない。ひとまずは仲間同士で居場所を示すサインである『百足の唄』を唄ってチームメイトの居場所を確認した。俺たちCチームのメンバーはヘルバン、ベル、ノレス、俺の4人。A〜Eの5チームのうち、訓練に合格するのは通常、1チームだけだ。もし訓練に落ちたら、教官に何をされるか分かったものじゃない。しかし、視界が確保できない中、使えるのは厚い本が入ったカバンと3ヶ月の訓練で得た知識だけ。全員が頭を抱えていたとき、ベルが何かを閃いたように手を叩いた。ノレスがどうしたのか問いかけると、ベルは勝ち誇ったように笑った。 「君たちも百足なら知ってるでしょ?''機械はガスを吸収する''という古い噂を。今回はそれを、逆手に取ろうと思ってね」 [お知らせ]  2月28日、3月7日 休刊いたします。

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ハッピー

「世界のみんなが良い人生を送るためには、どうなればいいでしょう」  ふと、先生がこんな質問を投げかけてきた。良い人生か......私は少し悩んでから、こう答えた。 「世界のみんながみーんなハッピーになればいいんじゃないですか?」  待ち侘びた答えを言われたことに喜び、先生は私に大きな拍手を送ってくれた。そのときの回答が本当に正しい答えだと思っていたあの頃。本当に懐かしく思う。  それから10年後、私は薬浸りになり、沢山のハッピーを抱えていた。そんなことをしても、私の人生は少しも良くはならないのに。頭ではわかっていても、行動には移すことができない。ハッピーは一時的な感情だ。一度強いハッピーを感じると、次はもっと強いハッピーを手に入れたくなる。ハッピーは自分勝手な感情だ。下手にハッピーに浸ると、周りの人にまで迷惑がかかる。  『良い人生』と『ハッピー』は違う。ああ、わかっているんだ。もちろん、わかっているんだよ。

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[週刊]百足の唄 3

注意:この作品には、暴力的な表現、蟲が登場する可能性があります。耐えられる人のみ読んでください。  この訓練所に来てもう3ヶ月、父母からの手紙以外に何の楽しみもないまま、俺たちは最後の訓練へ挑む事になった。ああ、この3ヶ月がどれだけ長かっただろうか。どれだけ辛かっただろうか。だが、これで、長ったらしい訓練も区切りを迎える。  簡単に説明しよう、最後の訓練は『宝探し』だ。単なる宝探しではない。白い煙が立ち昇るフロアの中で機密文書に見立てたノートを手に入れるというものだ。フロアのあちこちから立ち昇る煙は毒ではないが、微量の睡眠を促す成分が含まれている。俺たちは、訓練所の教官が変わり新しく行われるこの訓練の実験台といったところだろうか。覚悟を決めて、俺たち訓練生はフロアのドアを開けた。

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