紅き瞳と白き森

登場人物 ・ソフィリアム=レーヴィエント(通称ソフィー)  王国レーヴィエントの第1王女(6歳)  双子の兄がいる。 ・ウウィリアム=レーヴィエント(通称ウィル)  王国レーヴィエントの第1王子(6歳)  ソフィリアムの兄。 <プロローグ> 数百年前、初代国王リュシアン=レーヴィエントは、北方から流れてきた白銀のエルフ族と契約を結び、共にこの地を治めることを決めた。 リュシアンとエルフの巫女との間に生まれた子が、王族の血筋の始まりとされる。王家はエルフの力を受け継ぎ、「自然と魔との調和」を司る力を持っていた。 時は流れ、エルフたちはこの地を去った。 王族の血は次第に人間の血に薄められ、力を持つ者はいなくなった。 やがて王族が力を持っていた記憶は神話となり、 いつしか「力を持つ者=異端・災いを呼ぶ者」という迷信が広がっていった。 王宮の古文書や記録は封印され、エルフの力について語る者はほとんどいなくなった。 ただ一つ、「エルフの力が再び目覚める時、王国に災いが訪れる」という曖昧な言い伝えだけが残った。 そんなレーヴィエント王国に、100年ぶりの双子が生まれた。 王国の歴史上、王家に双子が生まれるのは異例だった。占い師たちは不吉の兆しと解釈した。 兄ウウィリアムは黒髪に紅の瞳を持ち、王の器として期待された。 妹ソフィリアムは白髪に紅い瞳。 そしてある日、白き鳥を宙に舞わせた。 「あれは…エルフの呪いか?」 「いや、古の精霊術だ…あれは災いを呼ぶ」 誰も真実を知らぬまま、少女は静かに王宮の奥へと追いやられた。

現状報告&新作ちら見せ(?)

こんにちは〜、朱夏です。 めっちゃくちゃ久しぶりにノベリーに帰ってこれました…! 前回の投稿から7ヶ月程経っていますがちゃんと生きてます! 最近は高校生にもなり課題やら課題やら課題やらに 追われる日々で大変ですが、その日々にもだんだんと慣れてきて やっとゆっくりできた現状です〜 それと、タイトルに書いた「新作ちら見せ」のことですが 課題に追われながらも夜な夜な書いていたお話がもしかしたら 久しぶりの連載が出来そうなほどの完成度だったので、 そのお話をちら見せしようって感じです…! 感想お待ちしております〜 ◁◀◁ タイトル 「しき」 テーマ “秋” 9月下旬。 窓から差し込む暖かな光が君の顔にかかる。 透き通る黄金色の光が、君の顔を、髪を、瞳を、優しく包み込む。その美しくも儚い光景に見惚れてじっと見つめすぎたのだろうか。僕の視線に気づいた君は、「なぁに?」とはにかんだ笑顔をみせる。 ……あぁ、胸が暖かい。穏やかで幸せな思いが胸いっぱいに広がる。あと何年、君と一緒にこの穏やかな日々を過ごせるだろうか。もしかしたら、あと数日かもしれない。もしかしたら、あと数時間なのかもしれない。そんな淡い期待と不安げな思いを乗せて君との幸せな日々を大切に過ごす。 ◁◀◁ という感じです…! ちら見せする、とは言ったものの今みせれる部分が“秋”しか なかったので中途半端な始まり方と終わり方になってしまいました…泣 「卒業までのこの一年間だけ、私と恋人になってくれませんか?」 という意味深な言葉から生まれたこのお話は私なりの速度で ゆっくり進めていくつもりです。 応援してくれると嬉しくて大気圏まで飛び跳ねます(?) では、今日はこの辺で失礼します〜 またいつか〜

仏さま

「わたしね、お空って、水面だと思うの。」  ある日の学校帰り、突然、みゆちゃんが言った。 「水面?」  私が聞き返すと、みゆちゃんは頷く。 「そう。大きな大きな水面。その上から、仏さまたちが世界を見下ろしているんじゃないかって。」  みゆちゃんは、不思議な子だ。ふんわりしていて、たまに、こんな風に不思議なことを言う。 「ほら、極楽浄土には、ハスのお池があるっていうでしょう?」  でも、それが面白い。 「なんでそう思うの?」  聞いてみると、みゆちゃんは、 「こんなに空は澄んでいるんだもの。」 と、青くて今日は雲一つ浮かんでいない空を指差した。  ……確かに、縦横に走る黒い電線を除けば、空は気持ちのいいぐらい澄み渡っていた。 「でも、曇ってたり、雨の降る時もあるよ。」 「雨は、この世を浄化して、わたしたちに生きる力をあたえてくれる、仏さまと観音さまたちの、やさしい愛しみの涙なんだよ。」 「じゃぁ、梅雨とかは仏さま達、その愛し泣き?いっぱいしてるんだね。」  そう言うと、みゆちゃんは、 「ほんとだね、大泣きだ!」 と、あは、と笑った。 「じゃぁ、雲は?」  ちょっとして、聞いてみた。 「雲は、その愛しい気持ち。」 「灰色なのに?」 「雲は、灰色じゃないよ。いろんな色が、まざっているよ。」 「そうなの?」 「うん、そう。」  今度、じっくり見よう。私は心に決めた。曇りって、案外憂鬱な天気じゃないのかもしれない。 「だから、雨上がりの世界は、きらきら輝いているでしょう?」  ああ、確かに。  でも、 「でも、惑星は?太陽とか月とかは?」  疑問に思う。それなら太陽が後ろにあって、仏さま達は、熱くないんだろうか?火傷しないんだろうか? 「太陽も月も、お星さまたちも、仏さまたちの後光なんじゃないかなぁ。」  雨がしとしと降ってきた。空を見上げると、晴れていた。 「あ、狐の嫁入り…。」  呟くと、 「おめでとさん、だね。」 と、みゆちゃんが笑った。 「ほんとだ、末永くお幸せに………お狐さん。」  二人して手を合わせて、顔を見合わせて笑いあった。  その時、 「あっ虹だ!」  近いように見えて遠い、深い緑の山の方に、大きな虹が、かかっていた。  薄い、やさしい、赤、オレンジ、黄色、黄緑、青、紫の虹色。  きれい……優しい色だ……  ぽつり と、優しく、みゆちゃんが言った。 「きっと仏さまも、お祝いしてるんだね、お狐さんたちのこと。」        ☀︎ ☀︎ ☀︎

カラコロ、カラ。 夏の音を聞いている。 彼がグラスを傾ける。喉仏が上下して、中の麦茶が減っていく。その様を見ている。 氷とグラスが鳴り合う音。夏だなぁ、と思った。 私は言葉を待っている。 さっき「ところでお姉ちゃんの左手、返してもらえますか?」と質問したから、その答えが聞けるまで。 彼は黙っている。グラスを握りしめる指が震えていた。それにはもう氷しか残っていない。 彼は、目覚めてからずっと喉が渇いている。 私が麦茶を注いですぐに一回飲み、そして、質問を始めてからも忙しなく手を動かした。 「ずいぶんと痩せましたね。お元気でしたか?」 「あ、あ、うん、どうも」 カラン。コト。 二回。 「でも生活大変そうですね。ごみ袋たくさん溜まっててびっくりしちゃいました。蝿すごいし。生ごみってすぐ匂うから、私はいつも袋にまとめて冷凍庫に入れて、ごみの日に捨ててますよ」 「……」 「あなたは?」 「え?」 「あなたは夏場のごみ処理ってどうしてますか?」 「ぼ、僕、は……、えっと……」 カラン。コト。 三回。 「やっぱり冷凍派ですか? 冷凍しますよね?」 「そ、そう、うん」 「そのほうがいいですよねー。大量にあるときは、なおさら」 「あ、うん。はは、は」 カララ。コト。 四回。 「お肉とかすぐに腐っちゃいますよね」 「……」 「お姉ちゃん、節約上手だったんですよ。お肉は安売りしてる日に大量に買ってきて、小分けにして冷凍してました。だから食材腐らせなかったんです」 「……」 「昔から、頭いいなーって思ってました。あなたと住んでたときもやってました? その方法」 「……やってた、よ。やってた」 「そう。ちゃんと覚えてますね。お姉ちゃんいなくなってから、七年も経ったのに」 カラコロ。コト。 五回。 「結婚してから、どうでした? 幸せでした?」 カラコロ。コト。 六回。 そして、今さっき質問をしたあと。 七回。 私は一回も手をつけていないのに。見ると、私のグラスは結露で曇り始めたくらいだった。 沈黙が続く。 私は言葉を待っている。 彼は目を伏せたまま動かない。けれどたくさん瞬きをしていた。 唯一動きのある部位に自然と目がいく。眺めていると、案外長いまつ毛をしていることに気づいた。 ちょっと羨ましい。本数を数えてみる。 一、二。三。四、五、六……。 目尻から一本一本追って数え、それが蒙古襞の辺りまで差しかかったとき、カラン、と澄んだ音が静寂を破った。 私のグラスが鳴った。氷が溶け始めたようだった。 その音でなんとなく気が変わり、口を開いた。 「せめてこれだけは答えてほしいなーって思ってるんですけど」と前置きをして、 「お姉ちゃんとの結婚生活は、幸せでしたか?」 と聞いた。 それでも。彼は答えようとしなかった。 「冷凍庫ですよね」 「え」 「冷凍庫にありますよね。お姉ちゃんの左手」 「あ、いや」 「だいじょうぶですよ、ちゃんと預かりますから。ちゃんと弔ってあげるんです。指輪は外しておきますね、いらないので」 そう言って立ち上がる。 すると彼は焦ったのか、ガタガタと椅子を揺らした。 きつく締めておいてよかった。結束バンド。 無理に動くと傷口が開くけれども構わないらしい。必死な感じが癪に触る。 ふと、氷だけが残っているグラスが目に入った。 硬そうなそれを手に取り、椅子の後ろに回る。 彼はこれから身に起こることを予感したようだった。慌てたように後頭部の傷を両手で隠した。 蝿が数匹、飛んでいく。 少しだけ愉快な気分になった。 無防備な脇腹に爪を立て、強くつねる。彼が身をよじった瞬間に頭部を殴打した。手は痛いから、グラスで。 殴った拍子に中の氷が勢いよく飛び出る。それは彼に降り注いだあと床に落ちた。 カラコロ、カラ。 氷の音と、嗚咽。 彼に「涼しいですか?」と問う。 けれど返事はなかった。 またしばらく言葉を待ってみた。けれど彼は呻くばかりで、人らしい会話をしてくれそうになかった。 血のついたグラスを床に落とす。仕方がないから、また明日。 机の上には、私の麦茶が残っている。 喉が渇いていたから、飲んだ。グラスを傾けると音がした。 カラン、カラ。 涼しい音。 氷の音。 あぁ夏だなぁ、って思った。

第一回ノベリ川賞 太陽を待っている

言葉は心の足音である 松原泰道 1 太陽は明日を待っている。明日にならないと、僕らの街を拝む事ができないからだ。宇宙に溢れているおかしな燃料によって突き動かされ、各地を転々としている。一度離れてしまえば、次に姿を見せるのは一日後。(僕の個人的な)研究によると、地球は、約六百兆(人間)世紀分の時間を、他の低俗で退屈な街探検に費やしているらしい。何ならもっと詳しい時間を示してやってもいい。太陽が停止し、定住する術を身につけるその時まで、この浪費は終わらないだろう。そして、僕らの街の危機も終わらない。 僕らの街は、常に太陽から遠い所に位置していた。『常に』というからにはそれなりの理由があり、僕らを悩ましている。 つまるところ、動いているという訳だ。筏よろしく。 太陽に照らされる大陸というよりは、照らされなければいけないのに逃げ続ける、乙女的な体裁を成している。けれども正直、大陸が感情を持っているとは思えない。この惑星はソラリスではないのだし、例えそうだとしても、意志を持つのは海の方であるのだ。太陽と、太陽を求める大陸、それを拒む海。大自然の三角関係が観測された瞬間だとする学説には未だに出会えない。そこに諦めのような怠慢が含まれている可能性を僕は否めない。 多種多様な海産物が有名な大陸である。それにしては知られる事がない。アフリカだとかアメリカだとか、島国の日本ですら私の存在に気づけない。他所様の排他的経済水域へ侵入を繰り返しながら漂っている訳だが、何かと相手にされない。そこには奇跡的なタイミングの良さが横行しており、僕らが日本海旅行を楽しんでいる間に災害規模の豪雨が流れたりと、偶然の要因だけが僕らを歓迎していた。言い換えるなら、大陸に理解されない大陸。一人の人間が観測する事はあるにせよ、それが国家規模の動乱に発展する事はまずないと言っていい。 この前も、一人の学者が上陸してきた事がある。この前の前も、この前の前の前もである。彼らは地学者であり、科学者であり、生物学者であったり、文学者であったりする。多様性に富んだ人材が派遣されるらしい。成熟具合も乱れており、もたらされる見解をまとめて出版する事だって出来るかもしれない。 皆目一致している見解の一つとして、『この大陸は、神秘が生んだ一種の方舟である』という物がある。大規模な岩石の衝突から惑星が生まれるように、この大陸も、惑星自身が捏ねて叩いて作った玩具で、海にぷかぷか浮かべて遊んでいる。そいつはちょっとロマンティックにすぎませんかな。 そんな物は絵本というやつである。物語特有の脚色を論文に用いるのはかなりいただけない。そもそも、勝手に上陸しておいて、身勝手な文書を残していくのはどうなのか。太陽から逃げるという現象は、ポジティブな特色になりはしない。方舟だと言われたところで、街に一つしかない雑貨屋にて『方舟キャンディ』だとか『方舟ペンシル』だとかが売られる事はない。 寓話的な耽美加減は、素直にどうぞと認められる事なく消えるだろう。 太陽とはそんな話をして過ごした。 「まあ、摩訶不思議な宇宙の謎が、子供の証拠隠滅に似てる可能性もあるだろう」 かなり詩人めいた事を言う。声は思いのほか雛鳥のようだ。彼いわく、生命の様相と内に秘める熱は比例関係にあるという。 「雛鳥の内部温度は千六百万度もないよ」 「雛鳥は太陽じゃない」 当然の事を冷静に指摘してくる。 「笑止千万な嘘八百は、天文学的な値を成す人間の営みだろう。赤色巨星となるその時まで終わらないだろうね。明日をひたすら待っている。ビー玉は排水溝に落ちるけど、惑星は惑星だ」 彼の手の上では、青色に輝く壮麗なビー玉が転がっていた。 2 さてこそ以上、不世出の天文学者による作品、『宇宙一般はかく語りき』のほぼ全訳である。翻訳には、自費出版のハードカバータイプを用いさせていただいた。 明確な一人称を持たないこの作品は、天の川銀河随一の奇書として名を馳せている。太陽が突然意志を持つ生命のように書かれていたりと、突拍子のない展開が一定数の理解者を獲得し、安定的な人気を博しているのだ。この掌編は、彼が順風満帆な研究生活を送る事を可能とした。 作者兼天文学者の彼は、ジャンルを軽々と超越する知者として有名であった。 母は新興宗教の教祖で、父はウェットに富んだ哲学者であったという。何でも、母は信徒と駆け落ちして家を飛び出し、父は真理を求めて家を飛び出していった訳だから、幼い頃から彼を育てたのは父方の叔母であったらしい。 叔母も中々の曲者で、まだ若かった彼に教育を施す事もせず、ひたすらに書物を読ませていた。「基本的な言語能力さえあれば神にもなれる」とするのが叔母の信念であり、それに基づいた躾によって彼はあの地位を確立したのだから面白い。 彼は現地の言葉で読書を進めていった。フランツ・カフカ、アーネスト・ヘミングウェイ、太宰治、夏目漱石、魯迅。無差別読書によって、彼は世界中を旅し、独自の言語形態を理解していくのだった。その点において彼は努力家で、博識となる才能をも持ち合わせていた。日本語、英語、中国語を学び、挙句の果てには人工言語にも手を出す。無活用ラテン語。ジュゼッペ・ベアノの超越的な遊戯を易々と理解した。 彼の学習法は独特で有名だ。分からない単語、もしくはセンテンスが出てくる度に、彼はそれを用いる為に一つの物語を作成する。“虎”という語を用いる為だけに、虎の話を書くのである。 彼は、人名等の固有名詞についても同様の事を行った。李徴子と名前がない猫の出会いを描いた中編小説は、彼の没後に累計売上百万部を記録した人気作品の一つだ。普通に読む分には面白くない。しかし、ある中学校の男子生徒による、下校中に二宮尊徳よろしく読むのがすこぶる面白いという噂が広まり、その方法が芋づる式に伝染する事によって売れていったのだという。 こうして得た圧倒的な語彙を元に、彼は一つの賞編集を手がける事になる。その冒頭を飾ったのが前述の『宇宙一般はかく語りき』のプロト的立ち位置の作品である。荒削りな様はあるにせよ、将来がある作家として名声を獲得したのだった。 順風満帆な生活であったのだろう。彼は莫大な印税を天体望遠鏡の開発費や、宇宙開拓への投資金に充てた。レイ・ブラッドベリの『火星年代記』を読み、宇宙に憧れを抱いた彼は、それからの人生を宇宙と共にするようになる。前例を持たない圧倒的に広範囲の未来を欲した。 たが、そんな最中であった。彼の叔母が亡くなったのは。 倉庫の中にて、仕込杖を抜いて倒れているのが発見された。急性の心不全だったらしい。もしくは敗北。海産物の逆襲を受けたともされる。記録としては残されていないので、真相は闇の中だ。 何にせよ、突然の今生の別れに、彼は酷く悲しんだ。しかし、彼はそれよりも高揚感に苛まれた。その倉庫というのが、叔母によって接近禁止令が出されていて未開拓そのものであったからだ。そこには、姿を知らない哲学者である父の書籍が積まれていた。 彼は、食い入るようにそれを読み耽った。頁をめくる度に訪れる普遍に半ば呆れつつも、活字を目で追い続けていった。それが父を知る唯一の手段であったからだ。過去を見つめても記憶は無いのだから、知る事で明日を迎えるのは適切であると言えよう。 日が暮れていき、さらには明けて、また暮れた。 終盤に差し掛かった頃、彼は遭遇した。知らない単語であった。それは人名であり、文脈から察するに、まず間違いなく父の名であった。そこで、彼は初めて、自分の姓が“ビーグルホール”であると知った。 そんな訳で、彼は“ビーグルホール”という名詞を用いて掌編を作成した。残念ながら、この作品は現存していない。彼の晩年におけるエッセイで明言されているだけであった。日本語とロシア語のミックスで書かれた、何とも不思議な随筆である。 彼は直ぐに作品を書き終えたという。そして、次に父の名前に焦点を当てた。読み始めてから、既に三日が経過していた。 父の名は特殊であった。特殊というのは、名前としての特殊性であって、ただひたすらに安直なのだ。唐突な出現方法も相まって、世間一般の人間では、それが名前であると理解するのも難しい。 だが彼は違う。億や兆を超える活字を見てきた人間にはわかるのだ。僅かな違和感から、それが明るい恒星の意ではなく、個人を表す名であると見破った。 だからこそ彼、即ちロマネ・ビーグルホールは書いた。その愛すべき名前を使った掌編を。 彼の父の名は、太陽。 翻訳元ではサンとされていた、明日を待つ恒星である。 (了)

サイダーポンチ

「ただいまー」 仕事が終わって誰もいない家にただ一人 夜になっても蒸し暑さは変わらない ちょっと喉が渇いたからビールを… ん……? 冷蔵庫の中にサイダーが入ってる いつ、買ってきたんだっけ? あっ、そうだ!アレが食べたくて買ったんだ 私は咄嗟に思い出した“アレ”を作ることにした 果物の缶詰めを開けて ガラスボールに果物を入れる そこにしゅわしゅわした炭酸サイダーを入れれば完成! 懐かしいなぁー… 学生時代、食べたよね〜 この味… 果物の甘さと 炭酸サイダーのしゅわしゅわが一緒になって踊る まるでダンスしているみたいに あっー…でも… やっぱりビールが飲みたい …なんてね

凡庸と地獄

 人並みに、「死のう」と思っていた。    ハッキリした理由なんて無い。あるハズも無い。  俺の「死のう」は、「死にたい」とは違う。きっと、他人にその違いは判らないのだろうけど。    ケチが付いたのは、高校受験だ。負け犬の遠吠えだろうが、あんなモノは冬にやるべきじゃ無いと思う。入試当日にはインフルエンザは完治していたけれど、療養中、頭を少しやられてしまっていた所為で、結局実力の半分も出せなかった。  奇跡なんて起きない。  だから、当然のように、落ちた。  あんなモノに、罹らなければ。  ──それか、寧ろ試験当日に罹っていれば。そう、それならリカバリする手段だってあったのに。当日完治していたばかりに、不用意な状態で試験を受ける羽目になった。  ──とにかく、それが、ひどく悔しかった。  仲の良かった連中とは、そこから離ればなれだ。仕方なしに受けた滑り止めの高校に入り、楽しくもない高校生活を続けながら、俺はこの人生をすっかり見限ってしまっていた。  ──つまりは、そういう事だ。  進んで死にたいワケじゃ無い。フッとした拍子に、苦しまずに死ぬ様な──そんな目に遭いたい。  それなのに、社会は非情だ。何かに強く絶望していなければ、「死のう」と思う事さえ悪にしてしまう。  だから、仕方無く生きていた。「死のう」だなんて思ってませんよ、という貌を作って。    これ以上、幾らも生きたくない──そう思いながら、それでも実際には死ぬ程の苦しみを味わって死ぬのがイヤだと駄々をこね、無名な大学に入り、これっぽっちも興味がないトビウオの生態を研究したりもした。  が、結局はそんな経験を活かす就職先にはカスりもせず、保険会社に就職することになった。 「全ての努力が報われる訳じゃあないが、努力をしなければ、その可能性さえ失う」  人生はやり直しの効かないハードモードしかない。  父親も大学の教授も、何十年も生きているクセに、同じ様な教訓しか吐かない。  だが、反感を持ちつつも、俺は彼等が言っている事は正しいと感じていたらしい。  入社式の壇上で、丸々太った醜い社長が「皆さんの頑張りは、必ず実を結びます。必ずです」──なんて、お花畑にも程がある訓示をほざき、会場全体から万雷の拍手が鳴り響いた時、俺はいよいよドン詰まり人生の入口に立ってしまったのだと理解して、愕然とした。  明け透けな嘘を吐いて、それが認められ、まかり通るのを目の当たりにした時の気持ちの悪さは、学生時代の「清く正しくあれ」という教育との齟齬の所為だろう。正論なんて、社会じゃ役に立たない方が多い。多過ぎる。  どうして、人生には電源ボタンもプラグも無いんだろう。  命を終わらせるのに、死ぬ程苦しまなきゃいけないなんて、そんなの、あんまりじゃないか。  穏やかな心持ちのまま、すっぱりと人生を終えたいのに、この袋小路は、じくじくと俺の命を蝕みながら、それでも生き存えさせようとしてくる。まるで、緩やかな拷問だ。  強烈な絶望も、熱烈になれる希望も無いまま、帰宅途中のコンビニに並ぶエナジードリンクと缶チューハイだけが、俺の命を無理矢理廻していた。    * * * * *    先日、実家の親父から「ハガキが届いた」と電話があった。  この時代にハガキが来るなんて、と訝しく思っていたのだが、なんてことはない、それは中学の同窓会の知らせだった。  何の感傷か、思わず口から「ああ……」と息が漏れた。  俺の人生のピーク。  坂道に落ちる前に歩いていた場所。  一瞬でもいいからと、現状の俺から離れてしまいたくて、浮かされた様に実家に向かい、何も考えずにハガキの『参加』に丸を付け、ポストに放った。    ひと月後の夜、俺は港区を歩いていた。  都内に出るのは久しぶりだ。同窓会の会場は、イタリアンレストランを貸切にしたらしい。……豪勢な事だ。今更だが、俺には贅沢をしようなんて発想すら枯れていたのだと気付かされた。  アーチ型石畳の坂道の中腹、シチリア風の黄色い建物の前に、シルバーのシャレたスーツと、ベージュのジャガードワンピースの若い男女が立っていた。まるでそこだけ観光地みたいだ。 「こ、んばんは」  口から間抜けな声が出た。 「お、お? ……アレ⁉︎ 三島か⁉︎」  銀スーツの男は俺の顔をまじまじと眺めて、そう言った。 「ああ、うん」 「やっぱりそうか‼︎ おい、久しぶりだなぁ、元気にしてたかよ‼︎」 「まあ、な──」  会っただけでこんなに嬉しそうな顔をされたのは、一体何年振りだろう。胸にジーンと込み上げてくる物があった。  だと言うのに、俺の方はというと、この銀スーツの同級生の名前も面影もまったく思い出せなくて、ただ苦笑いをしていた。薄情だなと、自分でも思う。 「……みんな、揃ってんの?」 「今まだ半分くらいかな。まぁ、入れよ」  挨拶もそこそこに会釈して、〝PRIVATE RESERVATION〟と書かれた札が下がった扉の把手に手を掛けた。 「──ねぇ、今の、誰だっけ?」 「三島だよ。覚えてないか? ほら、図書係のさ──」  背中で、そんな会話を聞く。俺なんかが、女子の記憶に残るワケが無い。判っていたから、そんなに寂しくは無かった。  大きな波打ガラスが嵌った扉を開く。エビとレモンの香りがした。  過度な装飾が無い、品のある店内は、懐かしい顔で溢れていた。喧騒が、少し耳に痛い。  本当は、落ち着いて食事を楽しむ店なんだろう。……こんな風に、大人ぶった若者達が、似合わない服を着て集まって、大騒ぎしていいような場所じゃない。  あちこちで花を咲かせている話の中身だって、どれも大して変わらなかった。  久しぶり、元気だったか、今何してる──  それを聞いていると、胸が苦しい。……嘘つけよ。お互いの人生に大して興味なんて持って無いクセに。  楽しかった中学時代の仲間たちですらコレだ。わざわざ同窓会用のシャツまで買った俺も馬鹿丸出しだ。こんなクサクサした気分になるんだったら、家でネトフリでも観てた方がマシだったかも知れない。  そうして、一方的に渡されたグラスを煽りながら、笑って話す女子達と、それを店の端からニヤつきながら眺めてる男子達を見渡した。  記憶の中にいる彼女達は芋臭い制服やジャージ姿だ。そこから急に女の匂いがするワンピやドレス、スーツ姿にアップデートされたら、男共なんて、みんな戸惑いながらニヤけるに決まっている。  自分だって、うっかりすれば彼女達の左手に指輪があるかを気にしてしまうんだから、他人の事は言えないけれど。  どうやら、思った通り、まともな大人の男になり損ねたみたいだ。  まともな大人なんて本当にいるのか、疑問だけど。  グラスの中で弾けるレモンソーダは、とてつもなく美味くて、エナドリとチューハイ漬けの俺なんかには、とても似合わない気がした。 「なあ、聞いたか」 「何を」 「吉岡の話」 「いいや。何かあったの?」 「死んだんだってよ」    ────。    不意に聞こえてきた話は、俺の心を一撃で凍り付かせた。  いま、なんて──?  ……死んだ──?  誰が? 吉岡が? 「死んだ? いつ? どうして?」 「病気だってさ。詳しくは、知らんけど」 「嘘だろ……」 「同窓会のハガキ返ってきて、それで判ったって」 「え、じゃあ誰も知らなかったのかよ」 「そう、なるな」 「マジかよ……。ええ、なんだよそれ、マジかよ……」  …………。  言葉が浮かんでこない。  吉岡。吉岡って、どんな奴だっけ。  確か、あいつだ。あの、サバサバしてた女。少し変わってて、男子の輪の中に居る方が多かった。  ……ああ、思い出した。カエデだ。吉岡楓。  丸顔でガタイが良くて、その分、胸もデカくて。声が低くて、お笑いが好きで、推しを茶化すとすぐキレた。  特別誰かと親しかったって印象は無い。ただ、満遍なく、クラスのみんなからは好かれてた奴だった。  良い奴だったんだ。……それしか、出てこないけど。  頭の中が、ぼうっとしてくる。 「死のう」なんて考えてたら俺が生きてココに立っていて、みんなに親しまれていた吉岡が死んで天国にいるなんて、どうしても実感が湧かない。  実感。……実感ってなんだ?  死ぬってのは、……『死ぬ』って事だろ。  そこで、そいつの人生は終わり、そこから先は何も無いって事だ。  吉岡は死んだから、ここには居ない。来たくても来れない。……いや、そもそも、死んでしまっているんだから、「来たい」って思う事だって、もうできない。  それが、──死ぬって事だ。  今更だけど、その事実に背筋が震えた。  吉岡は、何歳だったんだろう?  誰かと付き合ったり……寝た事はあったのかな。いや、それは流石にあるか。良い身体してたもんな。  まさか、結婚してたなんて事、無いよな。……有り得ないとも、言い切れないか。  恋も知らずに死ぬなんて……とか、たまに聞くけど、恋した後こそ、死ぬのはイヤに決まってる。  吉岡はどうだったんだろうか。  家族や恋人を置いて死んだのか。それとも、独りで寂しく死んだのか。  ぐるぐる、ぐるぐる。変な考えばかりが頭の中を駆け抜ける。  おかしな話だ。  俺は、今日ここに来るまで、吉岡の事なんて、すっかり忘れていたじゃないか。  つまり、あいつが死んだ時から今日のこの瞬間まで、俺はそんな事も知らずに、のうのうと生きてたって事になる。 「死のう」とか考えてた奴が、間抜けヅラしてまだ生きてるのに、みんなと楽しく出来る吉岡の方が死んでしまうなんて──。  まるで、地下深く進行するドリルみたいだ。堂々巡りな思考に、渇いた笑いが出そうになって、グッと堪えた。  ふざけるな。不謹慎だろ。  なんだか、ずっと変な気分だ。このグラスの中身、本当にレモンソーダか? それとも、過労で頭が変になってるのか? ……急にこんな事考えるなんて、どうかしてる。 「……おい、あそこ。今入って来たのって、アラキじゃね?」 「え。……あ、ホントだ」  今まで吉岡楓の話で落ちてた二人は、ケロっとした様子で話題を変えた。 「──は?」  俺は、二人の変わり身を見て、呆気に取られた。  嘘だろ。同級生が死んだっていうのに、もうその話に飽きたのか。人一人の死って、そんなに、軽いもんなのか──?  淋しさや、怒りや、やるせ無さが、俺の胸の中で渦を巻く。  これは、知ってる。無情ってやつだ。  自分の人生の畳み方よりも、ずっと本気で、生きることと死ぬことの意味を考えていた。  ……何故だろうな。  ただ、俺は自分から「死のう」と思ってた事が、恥ずかしいと感じるようになった。   『人生は、何が起こるか判らない──』  そんな言葉は、運のいい奴だけが特権的に使う、合言葉みたいなものじゃないだろうか。  店の隅で、延々とレモンソーダを飲みながら、グダグダ進行の同窓会の様子を眺める。酒を呑む気にはなれなかった。  話を戻すけど、『山あり、谷あり』だってそうだ。良い事も悪い事も半分ずつ起こるなんて、誰が確かめた訳でもないだろうに、無責任な言い回しだと、ずっとモヤモヤしていた。  俺の人生には、起伏すら無い。  一日の内で、ほんの少しの時間しか陽の当たらない路地に生えたタンポポみたいだ。大きく咲く事も出来ないし、枯れもしない。  そんな自分の命が不憫だから、さっさと無くなってしまえばいいんだと思いたかったのかも知れない。  何なんだ、一体。  一切、絡む必要も無くなった、昔の仲間達と寄り添い合って。俺はどうして、こんな気分にならなきゃいけないんだ──?  不意に、 「ねぇ、三島くんだよね」  声を、掛けられた。  * * * * *    ──吉岡は、死の間際……一体どんな気持ちだったんだろう。  マグカップの中で、音も無く渦を巻いて混ざり合うコーヒーとミルクを見下ろしながら、ふとそう思った。 「私の分、ある?」  不意に話しかけられて顔を上げると、沙由菜(さゆな)が洗面所から顔だけ覗かせていた。 「ん? うん。半分くらい」 「ゴメン、あれに入れといてくれない?」 「いいよ」  ヘアアイロンで髪を巻いてる間、沙由菜は洗面台から動けない。俺は流しの横に置いてあった花柄の小さいタンブラーにコーヒーを注いだ。    ……同窓会の半年後、俺と新城 沙由菜は同居を始めた。  あの夜、吉岡が死んだ事を妙に引き摺り続けていた俺は、相当酷い顔をしていたんだろう。  駆け付けで挨拶回りをしてた沙由菜は、ビックリするほど綺麗になっていて、声を掛けられた俺は、それだけで顔を熱くした。  ブラウンのレースワンピースの上に白いシルクのショールを掛けた彼女は、同級生の筈なのに、何故か自分よりずっと歳上に見えた。  きっと、その所為だろう。二言目に「どうかしたの?」と訊かれた俺は、落ちてる理由を馬鹿正直に答えてしまった。  すると、沙由菜は酷くショックを受けたようだった。やっぱり、彼女も吉岡の件は知らなかったらしい。  その反応を見て、「しまった」と思ったけど、もう手遅れだった。  力無く崩れるように隣のテーブルに着くと、沙由菜は静かに泣き始めた。鼻と目を赤くして、何度もハンカチに涙を吸わせるその横顔は、──それでも、ひどく綺麗だった。  こんなに悲しむなんて、彼女達はそこまで仲が良かったのだろうか。……俺は良く知らない。 「私たちの歳でも、そんな風に、いなくなっちゃうことって、あるんだね……」  沙由菜のその言葉は、妙に印象に残っている。  お互い、中学時代は殆ど言葉を交わした事も無かった相手なのに。この一瞬だけ、同じ気持ちの誰かがいると判って、少しだけ救われたような気分だった。  吉岡は怒るかも知れない。  結果的に、彼女の死を偲ぶ時間が、俺たちが一緒に住む事に繋がる切っ掛けになったのだから。  それでも──、 「同窓会で再会して、そのまま付き合うなんて、なんか古いマンガとかドラマみたいだよね」  そう言って笑う沙由菜は、俺の心を見透かした上で許してくれているようで、何度も気持ちを楽にしてくれた。  起伏が無いと思っていた自分の人生に、暖かい光が差したような気がした。  薔薇色──は行き過ぎかも知れないが、視界が明るく、鮮やかになったのは、大袈裟でもなく、本当に沙由菜のお陰だった。  そもそも、二十数年しか生きていない。道を歩いても、歳上の大人の方が圧倒的に多い。それなのに、さも人生の始めから終わりまで知ったような気分に浸って、無情を気取って……一体何を考えていたんだろう……とすら、今は思う。  まるで、遅れてきた思春期だ。恥ずかしくて、当時の気持ちと向き合うのは無理だった。 「じゃあ、行ってくるね」 「わかった。終わったら、連絡して」 「うん」  玄関で手を振り合って、パリッとしたスーツ姿の沙由菜を見送る。  一年前は想像もしていなかった生活をしている自分を、時折、『俺』が遠くから見ている。  こう言っては何だが、──普通の生活を演じている、みたいな感じがする。  朝から晩まで、ずっと心地が良いし、活き活きした暮らしをしてるのは、エナドリとチューハイの助けが要らなくなったからかも知れないが、それまでの薄暗い視界に慣れ過ぎた所為で、どこか生きてる実感が湧かない。まるで、喉の奥に刺さった魚の骨のようで、心の底から気分が晴れるという事は無かった。  俺も、『俺』という役者も、この生活を気に入っているし、そこに不満があるワケじゃないけれど、どこか、自分らしく無いと思うのだ。  でも──、  鬱屈して、絶えず足先だけを見下ろす人生と、恋人と同居してる、らしくない人生を比べて、どちらを取るべきかなんて──そんな事は、判りきってる。  そうだ。少なくとも、その判断が出来る内は、俺は壊れていない、──そう思える。    それは、沙由菜との生活を続けていくと、少しずつ実感に変わっていった。  代官山で買い物をしたり、モネだかマネだかの絵を二人で見に行ったり、高尾山に登ったり、池袋に油そばを食べに行ったりして……一緒に過ごして、お互いが視界に入っていても、いなくても、俺の頭の中には、いつも沙由菜がいた。  酷く気持ち悪い言い方になってしまったけど、それ程幸せという事なのだと思う。  何もかもがひっくり返ってしまったようだ。らしくない、なんて考えは、もう微塵も残っていない。  きっと、自分が幸せだなんて感じた事が無かったから、戸惑っていただけなんだろう。その事を不幸だとは思っていない。今幸せに感じられるなら、それに越したことはないんだから。  冷え切った身体に温泉が沁みていたようなモノだったのかも知れない。温まったら、隅々まで「幸せ」が染み込んでくるのが判る。  幸せという温かさに慣れてきたのだろう。  ──だから、    * * * * *   「別れましょう」  その一言は、まさに晴天の霹靂というヤツで、聞いた瞬間、俺の頭の中にはマンガのコマみたいに、ビシャリと稲妻が走った。 「──え、……なん……?」 「三島くん、ずっと自分の事ばかりじゃない」  沙由菜は、酷く思い詰めた様な顔をして、テーブルの上のマグカップを見つめていた。  初デートで行った水族館のお土産で買った、ペアのマグカップだ。  取っ手の上には、元々イルカが付いていた。俺が洗った時に、ポロッと取れてしまったのだ。  その時は猛烈に謝った。沙由菜は、怒りもせず、苦笑いして許してくれた。  ……なんだ?  俺は、こんな時まで、一体何を思い出してるんだろう。 「私、三島くんを支えてあげられる自信がないの」  ──なんだよ、それ。  沙由菜の言葉は、判るような、判らないようなもので……具体的に何の事を言ってるのか判らないけれど、同じような言葉を、他の誰かからも聞いた事が有ったと思う。 「俺、なんかした?」 「……そういう、ところだよ」  そういう、って……どんなだよ。 「ごめん。とにかく、俺が悪かったんだよな。ちゃんとする。悪いところは、全部直すからさ……」  震える声。言いながら、情けなくなってきた。  でも、そんな事、この際どうでも良い。  ハッキリした理由も教えてもらえないまま、沙由菜に切り捨てられてしまったら、俺はこれからどうやって生きていけば良いっていうんだ──。 「どこが良くないか判って無いのに、直せるの?」  恨めしそうな目で、彼女はこちらを見る。  耳に痛い正論だった。 「…………」  何も言い返せないまま、いつか二人で選んだ壁掛け時計の秒針の音を聞いていた。  二人とも黙ってから、一体何千回鳴ったんだろう。  沙由菜は、静かに椅子を引いて立ち上がり、冷え切ったコーヒーが半分残ったカップをそのままにして、代官山デートで買ったサーモンピンクのトレンチコートを腕に掛けて、玄関から出て行った。  もう戻って来ないだろう。  それでも……もしかしたら、俺の事を許して、帰って来るかも知れない。  だから俺は、彼女が出て行った時の姿のまま、ずっとテーブルに着いていた。  そんな態度が、何の反省の証明にもならないと判っていても、他にできる事なんて何も無かったからだ。    * * * * *    あれから、一ヵ月が過ぎた。  イケアのテーブルセットの椅子は固くて、丸一日以上座っていただけで腰が痛くなってしまったし、そもそも、外に出なければ、働かなければ、腹だって減る。  だから、仕方なく日常生活に戻った。  つまらない意地で、人は生きてはいけない。 『食事も喉を通らない』なんて良く聞くけれど、失恋程度の不幸は、空腹にだって勝てないと思い知った。  そうして、俺はまた、何の為に生きていれば良いのか、まるで判らなくなってしまった。  暫くは、沙由菜と一緒に歩いた場所を一人で歩くだけでもツラかったし、彼女に戻ってきて欲しい気持ちが、何度もイヤな夢を見させてきたが、それを過ぎると、あの「死のう」と思っていた日々を思い出す事が増えた。  生きる事に前向きになった俺は、やっぱり本当の俺じゃなかったのかもしれない。  あの頃とは少し、感情の中身が違ったけれど、ふとした拍子でこの世から消えてしまいたいという願望の気配だけは、腹が立つくらい同じだった。    センパイって、歳の割に白髪が多いですねと、お世辞も機嫌取りも判らない新入社員に笑われて、その憤りと悲しみを、コンビニの外でエナドリとチューハイに混ぜて飲み下した。  胃がキリキリと悲鳴をあげる。このまま倒れて死んだら、かなり現代人っぽいな、と思ったけど、ネットニュースにも上らないだろう。  つまらな過ぎる自惚れに、思わず苦笑する。    ──そう言えば、三島なんて奴がいたよな──。    頭の中で、同級生の声らしい幻聴が響く。    ──ああ、あの陰キャだろ。同窓会でも辛気臭い顔してたよな。あの後、新城と付き合ったらしいよ。嘘だろ。いや、本当なんだけど、でもすぐ振られたって聞いた。ああ、まぁ、そうだろうな──    ……まったく、なんて有り様だろう。  吉岡の時はそんなんじゃなかったのに。  もっとも、俺とあいつじゃそのくらいの差が有っても、当然だと思うけど。  俺が死んだって、結局こんな風に罵られて終いだ。それなら、チリツモな不幸を苦にして死ぬなんて、本当に馬鹿馬鹿しい。  確かに、ロクな人生じゃないけれど、火花も散らさないまま火の玉を落とすような、シケた線香花火になるつもりは無い。  こんな俺だって、欲を出して死にたい。少なくとも、沙由菜との時間は俺にそう思わせてくれるだけの出来事だったんだから。  自嘲気味に唇を歪めていると、ホテル街の方から腕を組んで歩いている連中が視界に入ってきた。  沈んだ気分を寂しく紛らわせてるすぐ近くで、薄暗い密室でベタつきながらよろしくやってる連中がいたとしても、昔みたいに腹が立ったりはしないが、誰かと付き合った事がある、という経験を積んだ所為で、感情の振れ幅が大きくなった気がする。自分があまりにも憐れに思えてきて、惨めだ。  今の俺の様な気分のヤツも、もっとドン底に近いヤツも、同じ様な連中は、山程いる。  それでも、たった一度の人生っていうやつを、一生懸命だか仕方無くだかで、生きてる。  俺は独りだけれど、『俺たち』は独りじゃない。その、薄ぼんやりとした連帯感だけが、今の俺の慰めだった。  パキリ、と音を立てて潰した缶を、コンビニの外の溢れかえったゴミ箱の隙間に押し込む。こんな事でも善行と見栄を張ろうとする自分がいるのを無視しながら。  平気だ。生きていける。  今こうして、生きているんだから。それを続けていけば良いだけなんだから──    だけど、『サーモンピンクのトレンチコートを着た女』が、俺の目を釘付けにした。    身体にフィットした、仕立ての良いスーツの男と腕を組み、笑いながら歩いているその女には、見覚えがあり過ぎた。  ──沙由菜……。  俺の部屋から出て行った、あの時のままの沙由菜だった。  ああ、くそ……あんまりだ。  あの目も醒めるようなピンクが、俺じゃない奴の腕を抱いている。  見間違える筈がない。俺が選んだ色だ。ネオングリーンとの二択で、俺が「こっちが良い」って言ったんだ。  今更仕方がない事かも知れないけど、何故それを着て、他の男と歩けるのか、俺には判らなかった。  エナドリとチューハイで臭くなった息が震え、荒くなる。  心臓が暴れて痛い。  いっそ、このまま胸の中で爆発してしまえばいいのに。 「…………」  反対側の道に消えていく面影を見送って、「死のう」と思った。  今度こそ。今度こそ死のう。  そして──、    ……ふふ──と、嗤った。  何か、肝心な部品が壊れたみたいに、ストンと気分がフラットに変わる。    無駄だよ。無駄無駄。  無駄に決まってる。  どうせ俺は死ねない。  その時が来るまで、生き汚いままだ。これまでも、ずっとそうだったんだから。  どれだけ決意を固めても、きっと、明日の朝には命が惜しくなってる。    ……嗤いながら、泣いた。    一度きりの人生だ。  みんな、一生懸命だか仕方無くだかで、生きてるんだ。  ──だから、俺もそうする。    でも、それまでは──  せめて、この心だけでも死んだままにしておこう、と思った。 了

七夕の願い事

「この短冊に願い事を書くんだよ」 お母さんは僕に紙をくれる 「何を書いてもいいの?」 「いいよ。うまく書けるかな?」 僕は一生懸命書いた 『サッカーがもっとじょうずになれますように』 紙いっぱいに書いた ちょっと最後の方は小さくなっちゃったけど、お母さんは 「すごいじゃん。大っきく書けたね。きっと叶うよ」 って頭を撫でてくれた へへへと嬉しくなる 「お母さんはどんなお願いしたの?」 僕はお母さんの紙を見た 漢字が多くてなんて書いてあるかわからない 「これ、なんて書いてあるの?」 僕はお母さんに聞いた 「これはね、『ずっと家族が元気で過ごせますように』って書いたんだよ」 って笑顔で言った 「自分のお願い事じゃないの?」 僕には不思議だった。 だってせっかくのお願いなのに家族のことなの?って思ったから 「これがお母さんの心からのお願いだからいいんだよ?」 お母さんはそう言った 僕はなんだか納得できない 「もう一枚書いてもいい?」 お母さんに聞いた 「いいよ?お願い事沢山あるんだね」 紙をもらってさっきよりも丁寧に書いたんだ 『おかあさんがずっとえがおでいられますように』 その紙を見てお母さんは少し照れたような顔をして「ありがとう」ってギュッてしてくれたんだ きっとこのお願いは叶うよね? だってお母さんが『ギュッ』てしてくれたんたから

手探り

夏の夜はいつも光っている。 夏の初め6月の夜、無数の光が宙を支配する 夏の終わり8月の夜、無数の光が宙に散る。 花のよう散るその光を人は花火と呼び 6月には蛍と呼ぶ。 そもそもの話、夏は19時でも明るい。 それでも日は暮れ暗い夜が訪れる。 月すらも頼りなくなる真夜中に1人 ドアを開ける。手探りの時間が訪れる その時間は妙にシリアスでエモくて 何も見えない。 だからなのだろう、色々なモノを見ようとする 望遠鏡はないが確かに見えていた それがなんなのかはわからないが確実に。 色々なモノに目が眩みながら、 見落としながら確かに見つけたモノ だんだんそのモノに近づきそして気づく それが道の端っこに落ちてる50円玉でも 誰も文句は言えまい。

………。 あの子

バレーボール部 三年生が卒部した。 新しいキャプテン、副キャプテンが決まり 新チームが始動した。 次々と顧問の先生が離れて行き コーチ一人に… 時々、練習や大会のマネージャーとして学校の先生が来てくれていた。 三年生が中学校を卒業した。 新一年生が入部し バレーボールクラブに変わった。 地域クラブとしてクラブが始まった。 コーチが監督に変わり 新しくコーチが加わった。 唯一の学校の先生も離れてしまった。 そして チームメンバーが一人退部してしまった。 退部したのは『アノコ』 そんな中 Yちゃんは特定多数のチームメンバーに練習中や大会で心無い言葉を投げつけてくるようになった。 『そんなボールも取れないの!』 『真面目にやってよ!』 『サーブくらい入れてよね!』 『下手を自覚しろ』等 言ってくる。 大会の際は応援席、保護者からのヤジがあったと聞いた。 「サーブも入れられないの!」 「下手すぎでしょ!」 「アンダーで打つの!下手なのにコートに入るな!」 「下手なのに交代で入るの!ウソだ!」 と… Yちゃんがミスをすると 「Yちゃんドンマイ次は大丈夫!」 「次は入る入るよ!」 「絶対に決めれる!」 「Yちゃんカッコイイ!」   など… 特定多数の人がミスすると 「はぁ〜あ!サーブくらい決めてよね!」 「場外に飛ばしてどうするん!」 「ミスするならコートに入るな!」 「相手チームに返してチャンス与えて、どうするの!」      など… 多分、先輩もYちゃんの心無い言葉に気付いているはず! そんな中、先輩方は学校行事に……。 Yちゃんが 『監督に仮キャプテンを任命された!』と言った。 『物事をハッキリ言える人は私と(Yちゃん)〇〇ちゃん(メンバーの一人)だけなんだって!』と皆んなに言った。 メンバー全員、驚いたと思う。 私は不安で押し潰されそうになっていた。 親に相談した。 親は監督に 『Yちゃんが仮キャプテンを務めている間〇〇(私)を行かせて大丈夫でしょうか?』と聞いた。 監督は 『何かあったら私に直ぐに言ってね。と〇〇(私)に伝えます。Yちゃんの、そこの部分も見つつキャプテンにしています』と言ったそうです。 監督はYちゃんの一連の言動を全て『知っています』と言った。 知っていて仮キャプテンに任命した。 『もうYちゃんも大人だから虐めも含め今までのような事はしないでしょう!』と言われた。 仮キャプテンとしてYちゃんは………。 学校内でもYちゃんは陰口、悪口を言って歩いている事を知った。退部して行ったアノコの事までも… そして 特定多数の人の陰口、悪口を言っている事も知った。 担任の先生と話をする事になった。 私も入れてメンバーと… クラブの時間に遅刻して監督に『何かあったの?』と聞かれて… 後日、監督とも話をする事になってしまった。 私は話したく無かった! Yちゃんに関わりたくなかった。 小学校の時の事もメンバーに知られたくなかったから… 凄く不安だった。 親に相談した。 私は虐めの件を伏せて話をした。 監督も虐めの件には触れなかった。 監督は話を聞いただけでYちゃんに止めるようにと話してはくれなかった。 Yちゃんは監督の『ハッキリ言えるのは…』の意味を掛け違えているのか Yちゃんの言動がヒートアップし、とてもキツイ言い方で練習に打ち込める環境ではなかった。 後にYちゃんの言動が怖いと意見が上がったと知った。 先輩方に相談をした。 キャプテンは……。 副キャプテンは『私がYちゃんに注意する!』と言ってくれた。 私は先輩を信じた。 でも、先輩はYちゃんに注意する事は無かった。 Yちゃんの暴走が怖かった。 キャプテンが戻って来ているのに… キャプテンも、この状況を変えようとはしなかった。 私は監督に助けを求めた。 監督は助けてくれなかった。 私は体調を崩してしまった。 親が監督に助けを求めた 監督から 『〇〇(私)場違いな練習をしている。良くないです。二、三日バレーボールから離れて見ては、どうですか?離れている間、身の振りを考えさせて頂き〇〇が、それでもバレーボールがやりたい!と思って戻って来た時、大きく成長できる。私も選手時そうでしたから…』と言われたそうです。 私は監督に言われた通りバレーボールから離れた。 二、三日のつもりだった… 監督に言われた事を考えた。 場違いな練習って? 皆んなと同じ練習を毎回こなしていた。 練習メニューを… 監督の言う 場違いな練習って何? そんなに皆んなと違う練習をしていましたか? 遊ばず真剣に練習に打ち込んでいたけど、監督から見たら遊んでいるように見えたのかなぁ? 監督から言われた事を、ずっと考えている。 気持ちの再確認はできた。 でも 場違いな練習… 答えが見つからない… 私がバレーボールから離れている間 大切なメンバーが退部した。と知った。 Yちゃんが心無い言葉を言った…と聞いた。 ショックだった……。 私は監督に助けを求めていた。 こうなる前にYちゃんの言動を止めさせて欲しかったから… 次は私の番だと感じた。 Yちゃんは小学校の時と同じ事をしている。 メンバーを心無い言葉で傷付け苦しめている事に早く気付いて欲しい…      つづく…

ひまわり

今年も君の好きな花が咲いたよ ひまわりの種を何故だか買っていた。 ひまわりは小さな芽を出してどんどん大きくなって 最初はあんなにも小さかったのに今では僕と同じくらいの大きさになったよ。 そしてついに太陽みたいに眩しくて大きな花を咲かせた。 そうしたらふと君が言ってた言葉を思い出したんだ。 「ひまわりってあったかいね」 って君がいつの日か言ってたことを。 夏が終わろうとした時 ひまわりは夏のおわりにおじぎした。 そして、沢山の涙をながした。 『ありがとう』 夏と僕と、それから君に。

みえないもの

“早く勉強しなさい” “ちゃんと働きなさい” そんなのは目に見えた努力で でも、目に見えない 努力や 我慢 苦しみが 積み重なって心のコップが満杯になってしまったんだ。 人に弱みを見せられない 人前では泣かない 泣けない 自分で決めた 上手く生きる 普通に生きるための ルールが いつの間にか自分の首を絞めて 努力も 結果が全てで 結果を出さないと 誰にも認めてもらえなくて だけど、 見えないからどうしようもないんだ 出来損ないの僕には 解決策も 今の現状を変えるための勇気すらないんだ。

本当に同じですか?

“いじめっ子に仕返しをするのはいけないこと” “やり返しちゃったら一緒だよ” 本当に同じなの? どうして、一緒にされなきゃいけないの。 いじめられたことへの 悲しみと苛立ちで 他の人に危害を及ばしてしまうのは 違う。 だけど、いじめっ子に。 自分を傷つけてきた相手に 仕返しをするのは悪いことなのですか? その子にとっては その人達にとっては “遊び”でしかなかった そんな“暇つぶし”に使われて 一緒消えない傷ができてる。 死ぬまで消えない 癒えない この傷を どうやって償ってくれるの? わからない。 どうしていけないのか。 分からない 今だって 何年経った今だって 僕は思い出してしまってるのに 僕の心を抉り続けてるのに。 きっとあなた達はどこかで 僕のことなんて忘れて 笑顔で過ごしてるんだろうー

つきみ、何でも答えちゃう⁉︎

皆さまこんにちは、こんばんは♪つきみです 今日は、つきみの100の質問をしたいと思います! 1 おなまえ つきみです♪ あだ名は…何でも良いよ!(考えれなかった) 2 一人称 つきみとかかな 3 性別 つきみの性別はーLGBTQ+のQのクエスチョニングです… 意味:性別が決まってないこと でも仲良くしてくれると嬉しいな! 4 年齢 えー秘密。マル秘ですみません 5 性格 自分では、マイペースだと思ってたら、つい最近友達もマイペースだと思っていた事が発覚した 6 誕生日 5月17日! 友達の推しと一緒の誕生日だから妬まれてるw 7 住んでるとこ えー日本!場所は下の方 8 家族構成 父、母、つきみ、あと妹ちゃん 9 ノベリー始めた日 多分、2024年の10月16日? 10 自分の好きなとこ んーとくに自分のこと好きではないし、良いとこが… あったら教えて欲しいー 11 好きな物 甘い物、うさぎ、STPR、小説など! 12 嫌いな物 辛い物、雷、おばけ、暗いとこ ちっさいころから今でも苦手 13 ノベリー始めたきっかけ 本が好きで友達に小説書いてって言われたのが始まりだったはず 14 好きな教科・嫌いな教科 好きなのは、文系と技術 嫌いなのは、数学 計算は好きなのに… 15 最近ハマっている物 曲作り意外と楽しい 16 推し ・STPRファミリー ・ポケモン 17 好きなアニメ ・薬屋のひとりごと ・ハイキュー ・夜桜さん家の大作戦 ・葬送のフリーレン        など 18 好きなタイプ 特にないけど優しい人と好きな事に一緒懸命な人 19 恋愛経験 あ、えーっとな、いんだよーぉ 20 好きな季節 えー夏は暑いし冬は寒いし、秋かな!読書と食べ物の季節! 21 特技 ピアノが弾ける!あと、すぐ仲良くなれる!(自分的には) 22 器用?不器用? 完全なる不器用w 23 何歳まで生きたい? 目指せ100!! 24 黒歴史 小さい頃、友達とおもちゃの奪い合いで勝って、親が呼び出された話。ウンウン、アッタネー 25 病気 心臓が悪い。まーでもめちゃくちゃ悪くはないから元気! 26 暗い話から抜け出すために好きな色 好きな色は、赤とか水色とか、ほぼ全部好き 27 今の身長(2025/06/04情報) 145…。ちっさって言われます。よく、はい 28 体重 秘密ー! 29 部活 何だったけ…帰宅部だった 30 今の姿(2025/06/04) 髪型は、ぎりボブかな? 31 小説の良いとこ 話すの下手だけど書くのは好きで、伝えやすい! 32 好きな漫画 お父さんの漫画を最近見つけて、今は特にワンピース。 33 最近、すっごくイライラすること ノベリーが更新してからあんまり機能が良くないこと。戻ってほしー 34 最近のいい事 今の所、早く帰れていること! 35 好きなゲーム あんまりゲームは、しないけど ・あつ森 ・スプラトゥーン3 ・ポケモン 36 今年の願望 海外旅行に行くこと!! 推しのライブに行くこと 37 家の中はどうなってる? うん。荒れてはないよ、少なくとも、、 38 最近、買って良かったと思った物 音楽プレイヤー。暇な時聴けるから 39 ショックだったこと 料理で塩と砂糖を間違えて入れたこと にんじんグッラッセがしょっぱくなっちゃった 40 頑張ってること 筋トレ!足の筋肉、鍛え中ー 41 好きな曲 ・ライラック(ピアノので弾けるように頑張ります!) ・ひまわりの約束 ・怪獣の花唄 42 血液型 AB型ー 43 星座 おうし座! 44 名前の由来 うーん、お月見する時食べるお餅が好きだから。 あと、月が好きだから 45 将来の夢 のんびり暮らしたいなぁ 46 憧れる人 自分の意見を真っ直ぐ伝えられる人。 47 長所 ゆったり行こーやってどんなことにもマイペースなところ 48 短所 自分の意見がはっきり言えないこと 49 自分を動物に例えると ナマケモノ!(即答) のんびりしてるからってば!! 50 好きなラーメンの味 醤油!あと味噌かな 51 寝る前に必ずすること 音楽を聴く。何でかよく眠れる 52 今年中にしたい事 ・運動する ・フォロワー30人 頑張りますのでよろしく!!!! 53 小さい頃の夢 プリキュアだった 何で覚えてるんだろw 54 今までに言われて嬉しかった事 「つきみの小説、好きー!」て言ってくれた事。 今でも覚えてる 55 自分の好きな部位 手首。どこかと言われれば… 56 顔に出る? 分からないけど友達は 「顔だけ百面相」だってさ。そうなの? 57 大雑把?几帳面? これは時と場合によりますね… 大切なことなら几帳面になるかも 58 デートするなら デートは、楽しければそれで良いかな 楽しく行こー! 59 後悔してる事 今は、特にないかな。 今はとっても幸せです! 60 辛かった事 つきみがクィア(クエスチョニング)だと周りがしって冷たい目で見てきた事 61 負けないこと 小説愛❤️ 負けないぞー! 62 夜型?朝型? これは完全に夜型。眠たくないよー! 63 几帳面?大雑把? んーこれは…時と場合によるかな。 大切なことは几帳面になるかも。 64 大切にしてる物 友達の手紙。まだ大切にしてる。 65 モットー モットーは、いーっぱい言ってるけどゆるーく生きましょう。 のんびりサイコー 66 ついついしてしまうこと 昔の話なんだけどネクタイをハンガーにかけずにポイってしちゃうこと。 なかなか治らなかったなぁ 67 束縛は? あんまり束縛はしたくないかなぁ? 68 自分のチャームポイント 髪の毛がストレートなところ。 逆に寝ぐせは目立つけどねw 69 好きな天気 曇りです! 暑くもなく寒くもなくちょうどいい 70 よく出没する場所 家の近くのスーパーかコンビニ! トコトコ出没します。つきみ出没注意⚠️ 71 小説家タイプ あるサイトによるとバディーというタイプらしい。 72 小説を書く時気を付けてること 書く時、その時良いなと思った言葉などを題材に周りを書いて行く感じ。 見つからなかった時は、名言を使ってみる。 73 好きな本 『この恋だけは解らない』ていう本。 最後の展開が好き 74 好きな花 紫陽花、今年も見たよ♪きれいだった 75 好きなキャラクター サンリオのシナモロールともりうさ 76 好きな給食 きな粉揚げパンだったかな。 年に一回しかでなかったからレアだったなぁ 77 好きな飲み物 今ハマってるのは、ジャスミン茶 疲労回復効果があるんだって 78 ラインと電話どっちが好き 電話!声が聞こえるから 79 方向音痴? いやーそれがねー音痴じゃないんだよ。 絶対音痴になるだろうなぁって思ってたら 80 飼ってみたい動物 馬。馬に乗って移動してみたい 管理大変そうだけど 81 克服したい事 ちゃんと置く場所を管理するようになること! 82 好きな匂い 柑橘系の匂い 83 今欲しい物 休日ー 84 犬派?猫派? 猫だったけど、最近は犬派 85 過去に戻れるなら 過去じゃなくて未来に行きたい! 86 魔法が一つ使えるなら 入れ替わりの魔法。なんかお金持ちの人になってみたいから 87 ストレス発散法 外でひたすら好きな事する。 88 自分から告白するタイプ? そんな勇気はないので待ちます。ひたすら 89 結婚願望 んーまぁ…いつかは(フラグ?) 90 一番お金かけてる物 服と推しグッズ 91 好きなおにぎりの具 ツナマヨ!! 92 クリスマスなにしたい ボッチクリスマスは絶対したくない! 93 必ず持って行く物 折りたたみ傘とスマホ 94 もらって嬉しい物 食材。色々と高いから 95 アウトドア?インドア? インドアです。 外いま暑いもーん。 96 無人島に一つ持って行くなら? 船。すぐ出たい 97 好きな言葉 ・ありがとう ・大丈夫。きっとできる ・ご飯まだぁー? 98 人生で一回は行ってみたいところ やっぱ、ハワイかなぁ 99 口癖 「ではでは」って言う事が多い。小説内でも 100 最後に一言 えー…この場をお借りしていいます。 すぅー ノベリー最高ー! 読んでくれるみんなありがとぉー。これからもよろしくお願いします♪ ではでは、つきみでした、またねー

終電の星

終電間近の電車 今日に限って仕事が遅く終わり 私はバタバタと走りながら改札口を抜けて 駅のホームへと向かい最終の電車に乗り込んだ まっ…間に合った… 息を切らし呼吸を整えながら空いてる席に座った 扉が閉まりゆっくりと動き出す ガタンゴトンと揺れる電車 誰もいない静かな車両の中に 私ひとりだけが窓の外を見ていた 疲れているのだろうか… まるで景色が彩り踊っているようだ 電車は止まる事なく 果てしない星空へと向かっている 銀河鉄道のように そっか…私は… そっと目を閉じる 安らかに眠れよと告げているようだった