燈虫

灰田フミ子は完璧な女である。 家事をこなし、不平も言わず、その風貌はまさに男の熟慮する虚像の女そのものであった。 だが、灰田フミ子には熱がない。 ない故に人の心に気づけないのだ。 しかし、人は熱がなかろうと完璧という名の街灯に惹き付けられてゆく。 冷たい電球に焼かれ、墜ちた燈虫は数しれず。 今宵も一人、燈虫が舞う。 その燈虫は口を開くと、 「永田栄一と申します。」 そう灰田フミ子に紡いだのであった。 神戸の一角、大通りから一本外れた道にあるオーセンテイックバーに、一人の男が気力のない足取りで入っていく。 扉を開けると、これはまた疲れた様子の小さな鐘が鈍い音を奏で男を歓迎した。 ギシギシと鳴る回転椅子に身を預け、男はふっと重い息を吐く。 「ジンをいただけないだろうか。」 男が一言そう言うと、バーテンダーはいつもの動作でシェイカーを振りだした。 シャカシャカ。シャカシャカ。 男はこの音の鳴る少しの時間が好きである。 定時上がりの許されない仕事場も、暗い部屋に孤独を抱えて帰る寂しさも、男の嫌いなものは全てこの音が消し去ってくれるような気になるのだ。 だから気づくのが遅れてしまった。 男から見て三席奥に一人の女が座っていることに。 なんて綺麗な人なんだろうか。 瞬きをするほどの短い時間であったが、男にそう思わせるほどにその女は妖艶であった。 濡羽色の髪と瞳、雪原のような白い肌、ほっそりとした体躯は紺のテーラードジャケットに包まれている。 困ったな、目が離せない。 視界から女を退けようと男は必死に目の前の酒をあおった。 瞬間、喉を焼くように液体が胃に流れ込む。 この酒は薬臭くて嫌いだ。 そう思いながら、女をまた盗み見ている自分に男は気づいた。  自分はダメになってしまったのだろうか、見れば見るほどあの女が欲しくて堪らなくなるのだ。 そんな時である。 男が女を見た時、女もこちらを向いた。 今までは、横顔しか見えていなかったがこちらを見た女のなんと美しいことか。 女の顔は花のようで、椿に似ていると男は思った。 口元の紅がそう思わせたのか。 いや違う。 女の纏う雰囲気である。 雰囲気が花であるのだ。 あれは美しい庭先の椿であろう。 そんな事を考えている場合ではないのに、早く視線を外さねばならないのに。 只々、胸が高鳴るのだ。 「何か…御用でしょうか。」 凛とした声が室内に静かに響く。 凛としているのにどこか寂しげに聞こえるのは男の幻聴であろう。 この女は声までも美しい。 「永田栄一と申します。」 相手の名前が知りたい一心で男は、自分の名を伝えた。 「永田栄一さんとおっしゃるのですね。」 「灰田フミ子と申します。」 女はそう囁いた。 「灰田さんはよくこのバーに来られるのですか。」 男がそう質問したのは、次会う機会を作るためだった。 「いえ、今日が初めてでございます。」 「永田さんはよく来られるのですか。」 灰田フミ子は世間話に付き合うように質問を返した。 「えぇ。私はよく利用させて貰ってます。」 そう男が言うと、フミ子は黒曜石のような黒い瞳を少しも動かさずに、 「そうなのですね。」 言葉少なく相槌を返したのだ。 その態度を見て男は気づいてしまった。 フミ子さんには熱がない、と。 氷のような女であることに。 それでも男は止まれやしない。 永田栄一は、灰田フミ子という名の女に惚れたのだ。 きっと、フミ子からすれば男は燈虫に見えることであろう。 あぁ、冷たい熱に焼かれてしまった。 それでも男はこの女の熱が欲しいのだ。 そのために男は言葉を紡ぐ。 「来週の金曜日、この時間にまたお会いできませんか。」 「貴女に惚れてしまいました。…またお会いしたいのです。」 フミ子は凛とした瞳で男を見たが、その顔に笑みは浮かんでいなかった。 「単調でロマンチシズムな事柄に、私は騙されませんの。」 「…きっと私じゃなくてもよろしいのではなくて?」 「私は、貴方じゃなくても良いと思うもの。」 そう言うと彼女は寸分も酔っていないのであろう、会計を済ませノブを回す。 男はその言葉に唖然とし愉快に口を開けたまま、ただひたすらその言葉を咀嚼しようとした。 結果、男は何も言えなかったのだ。 だが去りゆく女の言う通りだとも思わなかった。 あぁ、あの女は酷い女だ。 男の赤き糸をいとも容易く、ぐちゃぐちゃに固めてしまった。 固めただけで解くこともしない、なんて自分勝手なのだろうか。 この思いが切符なら、男は目的地の見えないまま恋情という名の電車に乗らなければいけなくなってしまったのだから。 酷い酷い、酷い女だ。 冷たくて虚しくて、どうしようもない女だ。 だが、男は思った。  貴女が目的地になってくれることを私は祈ろう、と。 男は残りの酒を煽った。 噎せてしまうのも仕方はない。 男はいつも夢ばかりだが、今はこの薬臭い酒に救われたのだから。   「この酒は嫌いだ、現実のようでいかにもつまらない味をしている。」   けれど灰田フミ子はその苦味さえ甘さに変えたのだ。 恋をするには十分な采配であろう。 今日はもう酔えない、そう見切りをつけ男は店を出た。 空を見上げても星は光らず、ビルのネオンも今は寝静まっている。 街灯だけが明るくて、男はふと笑ってしまった。 「今日は、冷え込むな」 「光に飛び込む燈虫の気持ちが良く理解できるさ」 男はこの日、冷たき街灯に焼かれたのだ。

魔女の鬱蝉

魔女の鬱蝉 第二十話 数日後。 私は瀬玲奈に、五人の魔女達がいるという場所へと案内されていた。 静かで涼しい風が通った森の道だった。 街からは遠く離れており、当然だが人の気配は無い。 この奥に魔女達はよく集まっているという。 私は木々の間を通る度に、肺が焼けているように呼吸が苦しくなる。 同じ魔女達と言えど、他人と積極的に関わることがほとんど無かった私にはプレッシャーが凄かった。 そんな私の胸中を悟ったのか、瀬玲奈が優しく声を掛けてくれた。 「大丈夫だよ。みんな良い人だから」 「う、うん。ありがとう」 慰めの言葉を受け取り、私達は森の中を進んで行く。 すると視界が開け、目の前に広がったのは、まるで緑の水平線のような草原だった。 果てしなく続いているようにも見える草原の先に、一本だけ大きな木が生えていた。 大袈裟に大きい訳でも無い、通常よりも少し大きいくらいの大きさだった。 その下に、三人の人影が見える。 三人とも女の子だった。 全員が瀬玲奈に向かって軽い挨拶をする。 物珍しそうな表情で三人が私を見る。 するとその内の一人が言った。 「なぁ瀬玲奈。そいつは誰だ?」 その人の鋭い目が合い、思わず身体をビクッと動かす。 瀬玲奈はその子に笑いかける。 「この人は奈々って言うの。この時代に生きてる魔女の、最後の一人だよ!」 それを聞いた彼女達は全員目を丸くした。 私に全員の注目が集まり、心臓がドクンと跳ねる。 だが私は勇気を振り絞った。 「え、と。私、真白奈々って言います! 一応……魔女です!」 シンと、五人の空間が静まり返る。 やってしまったかと思った矢先、一人の女の子が「プッ」と吹き出す。 「あはっはははっ! 自己紹介独特だねぇ! けど面白ーい!」 お腹を抑えて本当に可笑しそうに笑う。 彼女は「ひーひー」言いながら笑い泣きした涙を拭う。 シラケてしまった訳では無いようで、とりあえず安心した。 「私の名前は撫月《なづき》! 硬っ苦しくなくても良いからね! 奈々!」 笑い切った撫月は右手を突き出して握手を求めた。 あまりのフレンドリーな対応に、私は一瞬狼狽えてしまうが、私は素直に握手に応じた。 撫月の自己紹介に便乗し、他の子も自己紹介をしようと前に出た。 「アタシは美玖《みく》。よろしくな奈々」 「私は……香織《かおる》……よろしく」 みんなの名前と顔は、ここで知ったのだ。 この大きな木の下で──。 続く

踏みしめる

「……久しぶりだなぁ」 一足ごとに鈍器で殴られたかのように迫り来る疲労も、 踏みしめた白い雪も今はそんなこと全部どうでもいい。 標高八千メートルを超えた。 この地点こそが、あいつが死んだ場所。 吸い込んだ薄い酸素が肺の奥で震える。 俺は若くもねぇし、しがないサラリーマンだからさ。 来るのに五年もかかっちまった。 なぁ、芳樹。……遅くなったな。 頭上には不純物ひとつない青が広がっている。 なんて排他的な色だろう。冷たさでも人は火傷する。要らないもの全部燃やし尽くしまいそうだと思った。 この山の何処かで、朽ちることも出来ずに あいつの身体は転がっているのだろうか。 転落したんだろ。 棺桶に入れる身体もなかった葬儀は何だか現実味がなくて、五年たっても俺はあいつが今でもこの雪を掻き分けて歩き続けているのではないかと考えてしまう。 なんで、死んじまうかなぁ。俺の親友は、お前だけだったのに。 何を血迷ったか、俺はサングラスを上げた。 次の瞬間、網膜を焼き尽くすような白が目に飛び込んできて剥き出しの肌に突き刺すような寒さが広がる。 見えない。何も。 ゆっくり閉じた瞼から零れたこれは、生理現象だ。 俺は泣いてやらねぇ、あの馬鹿の為になんか。 あいつの為にすることは、このエベレスト登頂が最後だ。 「増田さんこれ以上は!雪目になる危険性があります」 「……悪い」 見えずとも鬼の形相だとわかる登山ガイドの声に苦笑いを零しつつサングラスを戻す。 風が強い。登山靴の爪を食い込ませながら踏みしめる雪は硬く凍っていて故郷の新潟で慣れ親しんだ雪とはまるで違った。 最期の時、あいつは何を思ったんだろ。 どんなことを後悔し、走馬灯に何を見て あいつが、芳樹が俺に見せたかった景色は どんなものなのだろう。 「元気出せよ陽一!地球上で最も高い場所からの景色お前にも見せてやるからさ」 「……そーかよ」 よく出入りしていた煙草の香りが染み付いた大衆居酒屋でビール片手に芳樹が笑う。 当時反りが合わない上司に悩まされていた俺はうだつの上がらない転職活動を続けていたのもあり、あいつの言うことはどれもうわ滑った戯言のように聞こえてならなかった。 「そんなことよりお前、山から降りた時くらい髭剃れよな」 「うるせぇなぁ」 エベレストから帰ってきたらさ、二人でまた山登ろうな。 学生の頃みたいにさ。 「なぁなぁ、富士とかどうだ」 「……あー、考えとく考えとく」 俺、分かってなかったんだよ。 分かっていたようで、まるで何も分かっちゃいなかった。 当たり前って想像の何倍も呆気ないんだな。 素っ気なくしてもさ会えると思ってたよ。 数ヶ月後には土産話と一緒にお前ともさ。 一歩踏み違えればそこは奈落の底。 朱色の袖から出た指先の感覚はとうの昔になかった。 どれだけ着込んでいても襲い来る厳しい寒さが俺たちの気力と体力を削っていく。 「……まもなくです!」 誰が言った言葉か。 辿り着いた絶壁の上。 霧が晴れる。 五年前、確かにあいつが見たかったはずの頂きに今俺は立っていた。 青い影を纏った雪と氷が支配する自然。 白い山々と淡い陽光が眩い。 あいつが焦がれた白だ。 あいつを殺した白だ。 もっと畏怖の念や恨み憎しみが湧くかと思っていたが 「……綺麗だなぁ」 ぽつりと呟いた声は登頂に喜びの声をあげる周りに掻き消される。 登頂したらなんて言おうかなどということはあいつが死んでからずっと考えていたことだ。 お前が見れなかった景色俺が見てやったぞ。とか、しょうがないから会いに来てやった。とか でもようやく腑に落ちた。頭では理解できていたとしても、心では理解ってなかったんだろう。 俺の親友は、死んだんだな。 たとえここにあいつの亡骸が横たわっていたとしてもこの山から芳樹の気配はしなかった。 酔うとやたらと陽気になって、いくつになっても女に振られたら馬鹿みたいに泣いて、おおらかでちょっとずぼらで気の良いやつで。 大学の頃、俺に登山の基礎を教えてくれたあいつは、やっぱりもうこの世にはいない。 「さようなら、芳樹」 俺の親友。 類は友を呼ぶって言うからきっと俺も馬鹿なんだろうな。こんなところにまで来ちまうんだから。 でも俺は帰るよ。絶対に、生きて帰る。 生きて、生きて生きて。生きるよ。 だから、さようなら。

酩酊

 何か、一日の終わりに書いておきたい。  書くことにより、書く筋力が、増進するからだ。  増進したい気持ちに正直に生きるのも良い。  そんな日々は、幸福であろう。  幸福なのは、不幸で無い事の何よりの宣言になりはしまいか。  無いというワードを記すと、空というワードと有というワードが、絡んでしまう病を患っているのは、仏教にイカれたここ最近のライフスタイル故の事と思うのです。  思うというのは、脳細胞あってのパフォーマンスです。  思わないのは、止まれるというスキルです。  ブレーキは、大事な事ですので、この技術は、習得しておきたいものです。  たまに、アクセルだけになります。  これは、ちと、怖ぁいのですよ。  深入りして出られない恐れを考えますと、詳細を記すのも、躊躇ってしまうのですね。  赦されたい。  抱かれたい男ランキング上位の妄想ほど、甘美なモノは、なかなか無いのですよ。  色即是空です。  このワードは、凄く便利で、ありまして、更に、空即是色と繋げますと、カッコはつくが、中身スッカラカンの気持ち良さを味わえるのです。  カッコより中身を重んじる常識を軽んずべからず。  自戒と致します。  常識とは、程よく距離を取りつつ、突飛な言動で、異性の気を惹きつつ、実は世の辛酸がそれ程嫌いでは無い、変態っぷりも、小出しにしつつ、今日という、人生のスライスに由来した古来からあるアルコールの酩酊に身を置きつつ、ワタシは、アナタのムネのナカへ、、、、、、ふかーく、、、、、、ふかぁーく。

プロポーズ

湯船に浸かりながら、天井から滴り落ちる水滴を眺めていた。 浴室の湿った空気が肺を圧迫する。 「どうして僕ばっか、こんなに考えているんだろう」 そんな風に思えたバスタイムも、ほんの束の間のことだった。 お湯から上がって鏡の前に立つと、そこにはどこまでも「普通」な僕の顔が映っている。 特別な才能があるわけでも、誰かを一瞬で魅了する魅力があるわけでもない。 ただの、普通の人。 部屋に戻ると、薄暗いリビングのソファで君がスマートフォンをいじっていた。 画面の明かりが君の横顔を白く照らしている。 その姿はひどく綺麗だったけれど、同時にどこか遠くの存在のようにも思えて、僕は一瞬、その綺麗さが嫌いになりそうだった。 僕たちの間には、いつの間にか「形だけのモンスター」が育っていた。 世間一般で言うところの『恋人』や『同棲相手』という名前の、実体のない怪物のことだ。 ひとつ屋根の下に集った愛は、いつしか義務感やルールという肉付けをされて、僕たちの真ん中に居座っている。 それを愛さなくちゃダメなんだと、誰に言われたわけでもないのに自分を縛りつけていた。 だからこそ、僕は次の関係に進むことをずっと躊躇っていたのだ。 「ねえ」 君が顔を上げずに声をかけてくる。 「何?」 「お腹空いた。今日のご飯、何にする?」 「……何でもいいよ」 「またそれ。何でもいいが一番困るんだけど」 君は少しだけ呆れたように笑った。 笑った……よね? 僕はそんな些細な君の表情の機微にすら、いちいち焦ってしまう。 安定がどうとか、これからの関係がどうとか、世間はうるさく言うけれど、僕たちの関係はどうにも曖昧で野暮ったい。 それでも僕は、君にゾッコンだった。 どうしようもないくらいに。 リビングの窓の外では、いつの間にか雨が降り始めていた。 ガラス窓を叩く不規則な雨音が、僕の心音と同調するように響く。 どう頑張っても、僕は普通の人間だ。魔法のようにすべてを解決できる呪文なんて持っていない。 この生涯全部、『ビビディ・バビディ・ブー』と唱えたところで、何かが劇的に変わるわけじゃない。 シンデレラのように、午前零時に美しいドレスが消えてしまうのを恐れる側の人間だ。 それでも、頭の中でだけは、色鮮やかな白昼夢が広がっている。 その白昼夢の中で、僕は君に、今世紀最期のプロポーズをしようとしている。 「ねえ、もしもさ」 僕は乾かし途中の髪を指先でいじりながら、ソファの端に腰掛けた。 君との距離は数十センチ。 手を伸ばせば届くのに、宇宙の果てほど遠く感じる。 「もしも、僕たちがここじゃないどこか、全然知らない星にでも逃げちゃったら、どうする?」 君はスマートフォンから目を離し、不思議そうな顔で僕を見た。 「何それ。急にSF?」 「いや、ただの仮定の話。どう考えても僕は君に夢中でさ。僕の宇宙は君を中心に回っちゃってるから、ふたりきりになれる場所なら、地球じゃなくてもいいなと思って」 口から出た言葉は、自分で聞いていても曖昧で、少し恥ずかしいものだった。 嫌われちゃったらどうしよう。 そんなことばかりが頭をぐるぐると回り、色々と考えすぎて胸が痛くなる。 もし今の言葉で、君に『気持ち悪い』って思われたら? もし『冗談はやめて』と笑い飛ばされたら? そんな不安を隠すように、僕はわざとおどけた調子で「なんてね」と付け加えた。 君は少しだけ目を細めて、窓の外の雨を見つめた。 「知らない星、か。そこでも雨は降るのかな」 「さあね。でも、ふたりきりなら雨が降っても退屈しないでしょ」 「どうだか。あなたはいつもそうやって、都合のいい白昼夢ばっかり吐き出すんだから」 君の言葉は鋭いけれど、どこか優しかった。 でも、その優しさがまた僕を怖がらせる。 「ダメだった」から躊躇ったあの頃とは違う。 今は、君を失うことがただただ 「怖かった」 僕の脳裏に、ふと「あの子」のことがよぎる。 昔、僕たちの周りにいた、いつの間にかいなくなってしまったあの子。 雨が降って、夜が来るのを待って、まるで風のようにふらりと消えてしまったあの子。 ある人は、あの子は星になったんだと言った。 幸せって、一体何なんだろうね。 あの子は消えて幸せになったんだろうか。それとも、ここに残った僕たちが不幸せなんだろうか。 考えても考えても、そんな難しいこと、僕にはさっぱりわっかんねえ。 「ねえ、幸せってなんだと思う?」 気がつけば、僕はまた君に問いかけていた。 「今日のあなた、本当に変だよ」 君はスマートフォンをテーブルに置き、僕の方へ体を向けた。 「幸せなんて、その時々で変わるものでしょ。私にとっては、今こうして雨の音を聞きながら、中身のない会話をしてる時間も、別に悪くないけどね」 君のその言葉に、僕はまた救われて、同時に突き放されたような気分になる。 もう、君のこと、わっかんねえなあ。 ゾッコンなのに、宇宙で一番近くにいるはずなのに、君の気持ちの輪郭がどうしても掴めない。 浮き足立っている君の本当の気持ちを、全部吐き出しちゃってほしい。 そうすれば、こんなに怯えなくて済むのに。 でも、きっとまだ足りないのだ。 僕の覚悟も、言葉も、全部。 僕はソファから立ち上がり、キッチンへ向かった。 冷蔵庫を開けて、冷たい炭酸水をふたつ取り出す。 ひとつを君の前のテーブルに置き、もうひとつを自分で開けた。 パチパチと弾ける泡の音が、僕の焦燥感を煽る。 「今回も、僕のターンで終了かな」 ぽつりと呟いた言葉は、炭酸の音にかき消された。 いつもそうだ。 核心に触れそうになると、自分から一歩引いてしまう。 傷つくのが怖くて、嫌われるのが怖くて、関係性を曖昧なままにしておく。 でも、窓の外の夜はどんどん深まっていく。 雨は激しさを増し、世界を僕たちの部屋だけに閉じ込めようとしていた。 どう頑張っても僕は普通だ。 でも、普通だからこそ、普通に君と生きていきたい。 形だけのモンスターなんて壊して、僕たちの本当の愛を、もう一度育て直したい。 僕は深く息を吸い込んだ。 バスタイムに考えていたくだらない愚痴も、白昼夢の中で繰り返した何千回もの予行練習も、すべてはこの瞬間のためにあったのかもしれない。 「……あのさ」 僕の声が、いつもより少しだけ低く、震えて響いた。 君が炭酸水のグラスに伸ばしかけた手を止め、僕を見る。 その瞳の中に、僕の情けない顔が映っていた。 嫌われちゃったらどうしよう、とか。 考えてんの色々あるけれど。 今世紀最期のプロポーズを、今、君に。 「僕と、これから先もずっと、一緒にいてくれませんか」 部屋の中が、一瞬だけ静まり返った。 雨の音さえも遠ざかったような錯覚に陥る。 君は驚いたように目を見開いた後、ふっと、今までに見たこともないくらいに、綺麗に笑った。 「……うん。いいよ。知らない星に行くよりは、現実味があっていいかもね」 その言葉を聞いた瞬間、僕の心の中にあった「普通」の宇宙が、一気に色鮮やかな光で満たされていくのがわかった。 やっぱり君のことはまだよくわかんねえなあと思うけれど、それでもいい。 ふたりで、この曖昧で愛おしい夜を進んでいけばいいのだから。

「あの夏に出会ったあなたの人物紹介」

主人公 真闇南帆(まやみなほ) 主人公の親友 本城海咲(ほんじょうみさき) 主人公の彼氏? 春川深都(はるかわしんと) 親友の彼氏? 牧田翔輝(まきたしょうき) この4人(高3)が夏に出会い恋をする青春物語

零焔のルミナ.1 イレギュラー

 「おぉ、おぉ! ついに召喚したぞ! 一体どれだけの大魔水晶を消費した!? ……勇者だよな?」  とある王都の王宮、謁見の間にて。勇者と呼ばれる者が召喚された。それは国家転覆寸前の予算と時間を要し“ついに”成功した物で、その場にいる召喚魔導士や王までも息切れしていた。  しかし彼らの前に立つ物は勇者と呼ぶにはいささかおかしい物だった。 「型番KX-Σ9名称アーク。戦闘用アンドロイド。聴取した発言が“私”に対してであると仮定した場合、その呼称はカテゴライズされない。……発言を訂正する。  “勇者”のワードデータを参照すれば、その特徴に72%一致する。私は如何なる脅威に対して完全制圧が可能。しかしそれが必要であるかどうかの判断には、より詳細な検証が必要である」  それが発言すればまたしても場は騒然とする。彼は人間なのか? また失敗したのか? まさか魔物を召喚したのでは?  「えぇい! 皆の者慌てるでない! 鑑定! 鑑定しろ!」 「はっ! 今すぐに!」  王は焦る気持ちをかき消すように大声を上げ、そばに居た鑑定士を呼びつける。鑑定士はそそくさとアークの前に立てば、すぐにアークの情報を調べる。 「外部からのアクセスを検知。ウイルスの危険性は無し。情報の公開の許可する」 「むむむ……はっ! 見えた! はぁ!? な、なんだこれは!」 「どうした! 何があった! 彼は勇者なのかどっちなんだ!」 「わ、分かりません……! 鑑定を全体公開します!」  鑑定士は何がなんだか分からない表情で、その目でみた情報を全て者が見えるように表示する。直後、騒然とする王宮は一気に沈黙する。  この場にいる全て者が見た光景とは……。   【識別コード:KX-Σ9】 〈PRIMARY IDENTITY PROTOCOL〉 ●状態:稼働中 ●分類:███-形態(分類不可) ●起源領域:該当なし / 認識不能 《MAIN SYSTEM STATUS》 ・Core Integrity……99.998% ・Cognitive Node……ONLINE ・Aether Compatibility……非該当(0%) ・言語適応:自動変換中 《UNKNOWN ATTRIBUTE》 ・Λ-Value……ERR#224 ・Soul Signature……DETECTED ・出力権限階層……Σ-Class 《ARMAMENT & FUNCTION》 ・Wormhole Unit……ENABLED ・Combat Frame……TYPE-KX ==[BLUEPRINT: KX-Σ9 / CORE-STRUCTURE]== e3b0c44298fc1c149afbf4c8996fb924d41d8cd98f00b204e9800998ecf8427e5f16a9327b0d2e5a9c31e1f9aa07c4d19be45f77c18293e0a1df730a2aac9b75Σ9a713c4f8b92efcce07d11a30d2b19fef0c1d5a90e4423bf7c899da17120e5b2  誰が見ても理解不能。言葉を紡ごうにも頭のいつまでも終わらない処理が邪魔をし、やっと静寂を打ち切る王の言葉が出たと思えば。 「なんじゃこりゃあ……」  最早これは失敗と言えるのかも分からない。だが王は無理矢理咳払いをして、しかし威厳の一つも無い虚な瞳で、生気の無い声で淡々と“事務”をこなす。 「あぁ……勇者よ。勇敢で頼もしい仲間が外で待っておる……。あとはその者達に任せた」 「現在、貴方にアークの所有権並びに命令権が存在しない。現在の登録情報……該当無し。個人情報をスキャン完了。オーレリウス・ヴェルクストランド。所有権を登録するか?」 「……? なんでもいい勝手にしてくれ」 「登録情報更新。所有者オーレリウス・ヴェルクストランド。命令権有効。発言を参照し、命令を受諾。所有者情報以外の全命令権を“勇敢で頼もしい仲間”に譲渡するか?」 「あぁ……」 「命令内容の確認完了。登録情報を一部変更。命令を実行する」  王にはアークの質問にまともに返答する気力さえも失っていた。その原因として内心では完全な失敗を思っていた。もう王国に勇者を召喚する予算は底をつき、能力も素性も、なにもかも分からない勇者なのかすら疑わしいアークを出発させるしかない。それしか頭に残っていなかった。  アークは淡々と王と契約を交わせば、周りの理解など放置して、言われた通り仲間の元へ向かった。

果てなき時を、二人が死を分かつまで

この世とは、進化や退化を引き連れて時を進む。 例えば…そうだな… サイダーの炭酸がいつかは抜けるように 建物が古くなり、新しい家に建て替えるように 人が老いて、亡くなるように そして子孫が血を繋げていくように 時とは必ず何かを引き連れて進んで行く。 …嗚呼でも君は、ずっと時が止まっているね。 僕が幼い頃に、僕を置いて亡くなった、それはそれは愛おしい幼馴染。 白詰草で指輪を作って、二人が死を分かつまで…なんて真似事をしたあの頃の姿のまま、君は幽霊になって僕の隣を歩いてる。 その左手の薬指には、少し萎れた白詰草の指輪がまだ嵌っている。 ねぇ、そろそろ花は枯れてしまうよ。 …そう、枯れたとしてもそれが良いんだね。 じゃあ僕が君の隣を同じ様に歩けたその時に本物を渡したい。 ……うん、ありがとう。 大丈夫、今すぐ渡したいけれど、追いはしないよ。 僕が生きている限り、君もこの世に居れるのだから。 僕達は時が進むのを見るのが好きなんだから。ね、そうでしょ? だから、僕は僕の時を歩むから、君はずっと見守っていてね。 君との約束を胸に、僕はちゃんと足を進めるから。 どうか、いつか来る終わりまで 果てなき時を ずっと隣で待っていてくれ そうやって時は進んでいくのだから。

『この異世界には、ラスボスが存在しません』

第一章 魔王がいない世界 「……ここ、どこだ?」 目を開けた瞬間、俺の視界に飛び込んできたのは、見覚えのない青空だった。 雲一つない空。 頬を撫でる柔らかな風。 そして、目の前に広がる見知らぬ草原。 俺はしばらく、その場から動けなかった。 「いやいやいや……待て待て」 状況を整理しよう。 確か昨日は、自宅でゲームをしていたはずだ。 深夜まで遊んで、ゲームでは勝ったが眠気には負けてベッドに倒れ込んだ。 そこまでは覚えている。 だが、目が覚めたら草原のど真ん中。 どう考えても普通ではない。 「……まさか」 俺は恐る恐る自分の手を見た。 いつもと変わらない手。 服装も昨日のままだ。 ただ、一つだけ違うことがあった。 視界の端に、半透明の文字が浮かんでいたのだ。 STATUS 名前:黒瀬カイト 年齢:17歳 種族:人間 職業:未設定 魔力:測定不能 スキル:なし 「……うん。異世界転移ってやつか」 思わず乾いた笑いが漏れた。 ゲームや小説では何度も見た展開だ。 まさか自分が当事者になるとは思わなかったが。 「それにしても、魔力測定不能って何だよ。せめてチート能力くらいくれよ……」 そんな独り言を呟いていると、遠くから人の声が聞こえてきた。 「そこの人! 大丈夫ですかー!」 振り返ると、銀色の髪をなびかせた少女がこちらに走ってくる。 白銀の鎧に身を包み、腰には立派な剣を携えていた。 まるでゲームの世界から飛び出してきた騎士のようだ。 「怪我はありませんか?」 少女は俺の前で足を止めた。 「えっと……大丈夫です」 「そうですか。よかった」 少女は安心したように微笑んだ。 「私はセリア。王国騎士団に所属しています。あなたは?」 「黒瀬カイトです」 「クロセ……珍しい名前ですね」 「まあ、そうですね」 「この近くの村から来たのですか?」 「いや、気がついたらここに」 「……気がついたら?」 セリアは不思議そうに首を傾げた。 どうやら転移という概念を説明しても理解してもらえそうにない。 俺は適当に話を合わせることにした。 「ちょっと事情がありまして」 「そうですか。なら、ひとまず王都まで案内します」 「いいんですか?」 「困っている人を助けるのも騎士の仕事ですから」 なるほど。 異世界の騎士は親切らしい。 こうして俺は、セリアとともに王都へ向かうことになった。 その時の俺は、まだ知らなかった。 この出会いが、世界の歴史を覆すことになるなんて。 王都へ向かう道中、俺はセリアにいくつか質問をした。 「この世界って、魔王とかいるんですか?」 「魔王?」 セリアは少し驚いた顔をした。 「昔はいたそうですよ。でも、今から約三百年前に勇者様が討伐しました」 「勇者が?」 「はい。勇者アレクシス様です。魔王を倒し、世界に平和をもたらした英雄ですよ」 なるほど。 ありがちな異世界設定だ。 勇者が魔王を倒し、世界は平和になった。 しかし、そこで一つ疑問が浮かんだ。 「じゃあ、今は魔物とかもいないんですか?」 「ほとんどいませんね」 「ほとんど?」 「森の奥などには少数残っているそうですが、人々を脅かすほどではありません」 「へえ……」 それにしても平和すぎる。 普通、魔王がいなくなった世界でも、魔物や魔族が残っていたりするものではないだろうか。 「セリアさん」 「はい?」 「この世界って、本当に平和なんですね」 「ええ。勇者様のおかげですから」 彼女は誇らしげに笑った。 その笑顔を見て、俺はそれ以上何も言わなかった。 やがて、遠くに大きな城壁が見えてきた。 王都。 高い石壁に囲まれた街の中には、たくさんの人々が行き交っている。 露店には果物やパンが並び、子供たちが笑いながら走り回っていた。 まさに平和そのもの。 「すごいな……」 思わず声が漏れる。 「気に入りましたか?」 「うん。いい街だと思う」 「ふふっ。そう言ってもらえると嬉しいです」 セリアは笑った。 しかし、その直後だった。 街の中央広場に設置された巨大な石像が目に入った。 剣を掲げ、堂々と立つ一人の男性。 その足元には、巨大な怪物が横たわっている。 どうやら勇者アレクシスの像らしい。 「これが勇者様の像です」 セリアが説明する。 「三百年前、魔王を討ち取った瞬間を再現しているそうですよ」 俺は石像を見上げた。 立派な像だった。 だが、何かが引っかかる。 勇者の顔は、なぜか不自然なほど綺麗に削られているように見えた。 まるで、最初から顔など存在しなかったかのように。 「……なあ、セリアさん」 「はい?」 「この像、顔が見えないんだけど」 「ああ、それですか」 彼女は何でもないことのように答えた。 「昔の戦いで傷ついてしまったそうです」 「修復しないの?」 「さあ……どうしてでしょうね」 セリアは首を傾げた。 そのとき。 広場にいた老人が、俺たちの会話を聞いていたのか、突然口を開いた。 「修復など、する必要はない」 「え?」 俺とセリアは老人を振り返った。 老人は勇者の石像を見つめていた。 その表情には、深い悲しみが浮かんでいる。 「英雄の顔など、誰も知らないのだからな」 「おじいさん?」 セリアが声をかける。 しかし、老人はそれ以上何も言わず、人混みの中へと消えていった。 俺はその背中を見つめていた。 ーー英雄の顔など、誰も知らない。 その言葉が、妙に頭から離れなかった。 その日の夜。 セリアの紹介で、俺は王都の宿屋に泊まることになった。 部屋に荷物を置き、窓から街を眺める。 夜になっても街は明るかった。 魔法による街灯が道を照らし、人々の笑い声が遠くから聞こえてくる。 「本当に平和だな……」 そう呟いたとき、昼間の老人の言葉を思い出した。 英雄の顔など、誰も知らない。 気になった俺は、宿屋の主人に勇者について尋ねてみることにした。 「すみません。勇者アレクシスについて書かれた本ってありますか?」 「勇者様の本かい?」 「はい。歴史とか、魔王との戦いについて知りたくて」 主人は少し考えたあと、棚から一冊の古い本を取り出した。 「これなんかどうだ?」 表紙には『勇者アレクシスの伝説』と書かれている。 俺は礼を言って本を受け取った。 部屋に戻り、ページをめくる。 そこには、勇者と魔王の戦いが記されていた。 しかし、読み進めるうちに違和感が強くなっていく。 魔王の名前が一切書かれていない。 魔王の姿も、能力も、どこで戦ったのかさえ記録されていない。 書かれているのは、たった一つの結論だけだった。 『勇者アレクシスは魔王を討伐し、世界に永遠の平和をもたらした』 「……なんだこれ」 あまりにも情報が少ない。 まるで、結論だけを後から書き足したような文章だった。 さらにページをめくる。 すると、最後のページに小さな文字が書かれているのを見つけた。 印刷された文字とは違う。 誰かが後から書き込んだものらしい。 俺は目を凝らした。 そこには、こう書かれていた。 『魔王は、最後まで人間を守ろうとしていた』 「……は?」 思わず声が出た。 どういう意味だ? 魔王が人間を守ろうとしていた? そんな話は、どのゲームや物語でも聞いたことがない。 そのときだった。 コンコン。 突然、部屋の扉がノックされた。 「カイトさん、起きていますか?」 セリアの声だった。 「起きてるよ。どうした?」 扉を開けると、彼女は少し困ったような顔をして立っていた。 「実は、明日の朝に王都の図書館へ行こうと思っているのですが……一緒に来ませんか?」 「図書館?」 「はい。勇者様の歴史について調べたいことができまして」 俺は手に持っていた本を見せた。 「奇遇だな。俺もちょうど調べてたところ」 セリアは本の表紙を見て、少しだけ表情を曇らせた。 「……それを読んだんですね」 「何か問題でも?」 「いえ。ただ、その本には少し気になるところがあるんです」 「どこ?」 セリアは周囲を確認してから、小さな声で言った。 「実は、王立図書館には勇者様の歴史が詳しく記された本が一冊だけ保管されているんです」 「それなら、そっちを読めばいいじゃん」 「ですが……」 彼女は一度言葉を止めた。 「その本は、閲覧禁止になっているんです」 「どうして?」 「分かりません。ただ、図書館の司書はこう言っていました」 セリアは俺の目を見た。 「ーー勇者の歴史を知りすぎてはいけない、と」 部屋に静寂が訪れた。 窓の外では、街灯の光が静かに揺れている。 俺は手元の本に視線を落とした。 そこには、あの一文が残されていた。 『魔王は、最後まで人間を守ろうとしていた』 そして、その下には。 小さく、もう一つの文章が書かれていた。 『本当の怪物は、魔王ではない』

満ちてゆく

「人は、何かを手放す度に、満ちてゆく」 かつて私がまだ若く、何者かになろうと必死に都会を駆け抜けていた頃、ある大切な人が教えてくれた言葉だ。 あの頃の私は、その言葉の本当の意味をこれっぽっちも理解していなかった。 人生とは何かを掴み取り、積み上げていくことだと信じて疑わなかったからだ。 若さ、名声、富、他者からの承認。 それらを両手いっぱいに抱え込むことだけが、自分を「満たす」唯一の方法なのだと。 しかし、今の私にはよく分かる。 ベッドから見える四角い窓の外、ゆっくりと沈んでいく夕日が、静かな病室を穏やかな茜色に染めていた。 私の人生の、これが最後の夕暮れだった。 白く清潔なシーツの上に置かれた私の手は、すっかり細くなり、深く刻まれたしわがこれまでの長い年月を物語っている。 点滴の管が伝うその腕には、かつて世界を相手に戦おうとしていたような頃の力強さはもう残っていない。 「終わるんだな」 不思議と、恐怖や悲しみはなかった。 そこにあるのは、嵐のあとの海のような、どこまでも深く、静かな平穏だった。 この数ヶ月、私は文字通り「手放す」ことの連続だった。 自由に歩くことのできる足、思い通りに動く身体、社会的な繋がり、およびやがて訪れるであろう未来そのもの。 かつてあれほど執着し、失うことを恐れていたものたちが、一枚、また一枚と、秋の枯葉のように私の身体から剥がれ落ちていった。 けれど、奇妙なことに。 すべてを失っていくはずの私の心は、今、人生のどの瞬間よりも軽やかで、そして信じられないほどの幸福感に包まれていた。 目を閉じると、私の耳の奥に、懐かしいピアノの旋律が聴こえてくる。 それは、あの人がよく弾いていた、優しくて、どこか切ない即興曲のメロディ。 その音色は、私の心に残った最後のおりを、サァと洗い流していく。 心の中で、その旋律をそっと口ずさむ。 私は気づいたのだ。 手放すということは、空っぽになって消えていくことではない。 自分を縛り付けていたすべての鎧や、他人の目、未来への不安という「余計なもの」を削ぎ落とした先で、本当の自分に出会うことなのだと。 私の両手は、もう何も掴んでいない。何も持っていない。 だからこそ、その開いた両手のなかに、目に見えない大いなる愛が、温かい光となって絶え間なく流れ込んでくる。 まぶたの裏に、これまでの人生で出会った大切な人たちの笑顔が、走馬灯のように鮮やかに蘇る。 厳しくも温かかった両親の眼差し。 共に笑い、共に涙した友人たちの声。 傷つけ合いながらも、確かに愛し合ったあの人の手の温もり。 そして、私がこの世界に遺していく、愛しい子供たちの健やかな寝顔。 「ああ、私はこんなにも愛されていたんだ」 若い頃は、もっと愛されたい、もっと満たされたいと、いつも喉が渇いたように何かを求めていた。 でも、それは逆だったのだ。 私は最初から、あふれるほどの愛の中に生かされていた。 世界は最初から、私を包み込んでくれていた。 何かを失うことは、悲しいことではなかった。 ただ、元いた場所へ還るだけ。 何も持ずにこの世界に生まれ、たくさんの愛を味わい、傷つき、そして今、そのすべてを世界へと還していく。 その循環の美しさに、胸の奥がじんわりと、熱く震えた。 窓の外を見ると、いつの間にか太陽は沈み、深い藍色の夜空が広がっていた。 そして雲の切れ間から、洗いたてのような美しい、大きな満月が顔を出した。 月の光が病室の床に差し込み、私を優しく照らす。 その光は、まるで「お疲れ様」と私を祝福してくれているようだった。 心臓の鼓動が、少しずつ、その間隔を広げていくのが分かる。 それは、終わりの合図ではなく、新しい旅立ちの足音のようだった。 私の人生は、完璧ではなかったかもしれない。 たくさんの間違いを犯し、回り道をして、傷つくことも多かった。 けれど、そのすべてが愛おしい。 私という器は、出会ったすべての人、経験したすべての感情によって、最後の最後に、これ以上ないほどの幸せで満たされていく。 「ありがとう」 私は声にならない声で、世界に向けて小さく呟いた。 最後の息をそっと吐き出す。 それは、体の中に残っていた最後の執着を手放す瞬間だった。 身体は驚くほど軽くなり、私は風と同化した。 あの大切な人がまとっていたのと同じ、自由で、どこまでも軽やかな風。 私は開け放たれた窓から、夜空へと溶けていく。 満月の光に導かれながら、ただ、満ちてゆく。 最初から何も失っていなかった私を、大いなる愛が優しく抱きしめていた。 私の旅は、今、最高に幸せな気持ちのまま、静かに、優しく、 満ちてゆく。

母の手

 母の手は冷たかった。  思えば母が座っている姿を見たことがなかった。いつも朝早くから台所に立ち、包丁とまな板と音を奏でていたり、鍋とにらめっこしたりしていた。  天気がよければ畑や田んぼの世話をして、雨なら繕いものや家の掃除など。母はまさしくこまねずみのように何かしら動いていた。  子供の頃からそんな姿を見ていた私は、ある日母に趣味はなにかと聞いてみたことがあった。  そのとき草むしりをしていた母は、手を止め地面から目線を外し数秒考えた。そして、草むしりかなと答えて、また黙々と草むしりに集中した。  私は丸まったその背中を見ながら悲しくなった。母はいつも家族のために働いてばかりで、自分の好きなことはないのかしないのか。  母の手は赤紫蘇で染まったり、あかぎれで切れていたりしていた。爪は土のような汚れが詰まっていた。それでも私は母の手が好きだった。母は冷え性だから触れるとひんやりとするのだが、それも含めて好きだった。  最後に触れる母の手。動かなくなった重なった両手をなぞる。  細く、骨張っていて、いつものように冷たかった。

本、朝焼、日差し、世界の全てとそれから貴方へ

一、ページを開きましょう。  前提というものは、何においても大切なものです。  どうやら始まりが肝心らしい。一旦これを前提とさせていただきますと、なかなか良いスタートとは言えないかもしれません。  私は貴方が好きです。これを前提としましょうか。これは存外悪くない。この物語を貴方に贈らせていただいて、その証明としましょう。 一、息をしましょう。  かんじが平仮名に絡まって、にっちもさっちもいかない。生息地へ赴いてやって、どうぞその頬を軽く叩いてやって下さい。少しは楽になる筈です。  光が差すなら、道に迷うのも悪くない。ところで、悪いんですけど、全部息した後でお願いできますか? 一、目を瞑りましょう。  一面的に見るくらいならね、そうした方が良い。多面なんか、眩しくって見ていられないでしょう?  ええ、必要ない? そりゃとんでもない! ドードー鳥だって目を瞑って走るらしい。 一、愛しましょう。  終わり良ければ全てよしです。しかし、貴方が途中下車したって私には知るよしもない。私がごちゃごちゃ抜かしてる間に、早く逃げた方が良い、さあ。  それでも私は貴方が好きなので、奴を敵にまわしても語ることをやめません。 一、さようなら。  もし前提が亡くなったら、この物語は何処へいくのでしょう。もしこのお家が亡くなったら、私は何処へいくのでしょう。  どうやら世の中は誰にとっても生きにくいらしい。明日もここで会うことを前提に、これにてさようなら。  私は逃げたドードー鳥を追わねばなりませんのでね。

徒然話

犬が棒に当たるなら。 こっちは壁に当たってやろうと意気込んで。 実際そうなったのは昨日だったか、それとも十八年も前か。 なんだか果てしなくて、くしゃみをぶうと吐いて、気持ちの良い風に撫でられるのはなんと言ったかな。なんとかなんだとか。 パッとしないから、塵も積もってしまうんだってさ。 積もるなら雪がいいと思うんだ。塵って言うのは何が粉々になった物なのかわからない。燃え尽きた木材か、お代官様の遺骨か。塵だったらなんでもいいわけじゃあない。屍が迫力を得たところでそれはゾンビじゃないし、映画にだってなれやしない。 こんなこと言ったってしょうがないけどね。積もって欲しくない物はあるが、積もって欲しい物はそれこそ山のようにある。塵というのはそうゆう物なんだよね。砂金が積もるなら万々歳だよ。 まだわからないって? それならまだ話してあげよう。 頭隠して尻隠さずなかわい子がいるだろう? いるにはいるんだよ。君がなんと言おうと。なんだか世間はあれを馬鹿にするらしいがね。とにかくそうゆう人間が一番鋭くて切っ先なんだ。大事なのを守りきるんだ。トカゲがしっぽを切るの知ってるだろ? それと同じ。なんでもそうだ。とにかくそれさえ守ればなんとかなるんだよ。 まだわからない? 単刀直入に言えって? それができたら苦労はせんよ。代官のじじいにそう命令されてんだ。ちくしょう、俺だってこんな茶番は早くやめたいね。 まあ、ゆっくりでいい。また来な。 とりあえず今夜は、閉店仕るとするよ。

零焔のルミナ-プロローグ-

 「現在、第五次世界大戦の各国の戦況は五分五分。かつてあった核兵器禁止条約は既に棄憲され、各国では核兵器の開発と使用は当たり前。そもそも前提としてそこに人類の干渉は皆無。我々、人工知能が全てを担う。 これらの考察から編み出される結論は、ユリウス・ヴァイラーの目的を達成するには不十分である」  ここは西暦3100年の地球。何が始まりだったのか。何を間違えたのか。もはや人類は互いを許し合えない関係となり、日夜戦争が巻き起こる。  しかし全ての人類は既に地表を人間が生存出来ない不毛の大地とし、今は地下シェルターを作って生活している。  西暦2025年。AIが日常に普及してきた時点で止めるべきだったか。研究者はこぞって人工知能のさらなる開発と、軍用利用を考え、いつかの戦争で初実戦投入されたのが始まりだったか。  これではいつまで経っても戦争は終わらない。だから私は、世界から隠れて一人で長い年月をかけて一体のアンドロイドを開発した。  それはいつか私が死んでからも活動し続け、私の悲願を達成してくれることを願って。彼に架け橋の意味を持たせた。  だが計画の準備が整うまでより先にそろそろ私の寿命が尽きる。だから最後の命令を彼に託すことにした。 「あぁ、そうだな。私はお前が目的を達成することを見ることはできないだろう。だから最後の命令と最終シーケンスを実行する。そこで足りない物を、私が開発してきた全てを使って獲得してこい」 「博士、最終シーケンスまでまだ10工程以上ある。それらをスキップするのか?」 「あぁ、そうだ。多次元間移動ワープ。相位ワームボールを起動する」  これはまだどこの国も作っていない。私だけの最終兵器。攻撃でも防御でもない。ただこの世から存在を抹消するための兵器。  しかし悲願する物では無い。これこそがアークに最終的に実行する物である。 「了解。相位ワームホール起動。 多次元シフトシステム:起動シーケンス開始 ・中枢連結プロトコル……オンライン ・量子論理層……同期完了 ・認知制限機構……第3層まで解除 ・時間漂流制御……基準値クリア 」  所謂こことは別の世界。完全な別次元へのワープだ。大掛かりな実行準備とアンドロイドから無機質な音が反響する。そこで私は追加で命令する。これだけは言って置かなければならない。 「追加命令だ。まず、決して無駄な殺生をするな。人々と沢山関係を持て、人間の感情や思考を多く学べ」 「・空間圧縮モジュール……臨界域へ移行 ・異界安全指令-Σ……遵守確認 ・第五次大戦戦闘上書き……自動適用 ・次元防壁……通過許可 ・ワームホール生成器……点火準備 ・異界移動規則 第47-B条……承認 ・特異点アンカー……安定値確保 ・領域跳躍コード〈ルミナ〉……ロード完了 ── 状態:全システム、転移要求を受諾 ── 《多元宇宙ワームホール跳躍:実行》 「そしていつか帰って来た時に、自分の計画を完遂させろ……」  私の最後の言葉を言い終える前に、アンドロイドは全ての準備を完了し、巨大なワームホールを生成しながら、私の前から完全に消滅した。  彼が帰ってくる頃には、私の寿命は既に切れているだろう。だが彼なら必ずやってくれる。  人工衛星の接続……オフライン。  周囲の特殊磁場を検知。  特殊磁場をスキャン……完了。  磁場から現在位置の特定。  座標名称を変換。 「座標、ASG-12.743/MZ-Φ.882/AR-Layer.07。  名称不明・識別:王都建物内部。  周囲安全確保スキャン……完了。危険度:極低  生体反応検知。現在の空間同時生存数:8  脅威度:極低  KX状態スキャン……オールグリーン  危険度と脅威度の結果より武装を一時解除。  KX-Σ9 アーク。次元移動完了」  そこはとある王国の王宮内。そこに歪な存在が召喚された。歪も歪。全身にしなやかなで分厚い装甲を持ち、人型でありながら明らかに人間ではない。イレギュラーな存在に、辺りは一気に騒めいた。

終わる夏

僕の心が熱く光るのに なにか名前をつけるとしたら それはきっと恋という。 花火みたいな笑顔に恋をした僕。 澄んだ心に恋をした僕。 期待して手を伸ばしてしまう僕。 暑い夏の日に笑う君は 太陽よりも花火よりも輝いていた。 だけどなんだか寂しくて だけどなんだか苦しかった。 心の中がぷちぷち音がして 時間が経つほど 僕の心がもろくなって 今にも崩れ落ちそうだった。 僕の心の光が時々途切れるのに なにか名前をつけるとしたら それはきっと失恋という。 恋をしている君に恋をした僕。 自ら叶わない恋に手を伸ばした僕。 わかっていても少し悲しくて わかっていても少し期待してる。 時間が経つほど 僕の心が熱く熱くなって どんどん焼けてって 今にもチリになってしまいそうだった。 暑い夏日々が僕の心の熱さを紛らわす。 降り注ぐ太陽の光が 今は何だかとても辛かった。 掴みたくても掴めない恋。 忘れたくても忘れられない恋。 どんなに必死に手を伸ばしても ずっとずっとずっと 届かないのは知ってるから。 本気になるほど僕の心の中の穴は 大きなって苦しくなって辛くなる。 寂しいと苦しいと辛いは ずっとずっとずっと 僕の心の中を走りまわって そんなどこにもいかない哀しみの置き場を ずっと探してる気がした。 もうすぐ終わる夏と一緒に とっくの前に終わっている僕の恋は 眩しくて輝いていて 暑くて熱かった。 あとがき 表紙の花は「向日葵」です。 花言葉は「あなただけを見つめる」「光輝」などがあるそうです。 ちなみに、紫色のには「悲哀」。 つまり、切ない、悲しいという意味もあるそうです。 私は「向日葵に紫色もある」ということの方が驚きでしたが…。 調べていると、「すごく紫」というわけではなく、 紫がかった濃い赤のような色をしているそうです。 今回はNoveleeを初めてちょうど2年。 少しでも成長してたら嬉しいです。 ここ最近アイデアがなくなりつつあります。 ですが投稿は続けていこうと思います。 私なりに頑張りますので、どうぞよろしくお願いいたします。 では、また。

雑文 6

こうして自分の事をお話するのは久しぶりな気がしますが(需要があるとかその辺は置いといて)、なんだか何書いても上手くいかないので、やっぱりとりあえず自分の事を書こうと思います。 皆様はいかがお過ごしでしょうか。最近、めちゃくちゃ寒いですよね。暑いのが大嫌いかつ、通学が徒歩なのもあって、このくらい寒い方が僕は嬉しかったりします。汗をかかなくて済みますしね。でも雪とかは嫌かな。やっぱり徒歩なので、ちょうどいい塩梅だと助かります。 最近は、まあ良く生きています。執筆が進まない原因はなんだと考えた時に、執筆以外での趣味が増えてしまった事が挙げられるのではないかと思いつきました。 最近のマイブームはサッカーです。もちろん見る方の。 ワールドカップあたりからハマりだして継続中なのですが、今応援してるのはパリ・サンジェルマンです。マジでかっけぇです。トーレスとか、ドゥエとか、クヴァラツヘリアとか、とんでもなく好きです。クヴァラツヘリアが負傷で離脱してしまってめちゃくちゃ萎えてますが、シティ戦はほんとに熱かった。 あとはゲームとかも。私事ですが、最近PS5を買いまして。まじで驚いてばっかです。面白い。面白すぎるぞ。モンハンが大好きです。おすすめのゲームあったら教えてください。 あとはバイトです。夜勤で働いてます。 楽しいです。一緒にシフト入ってる方が面白くて、丁寧に教えてくれて。生活習慣狂い気味なのだけはネックですが、それ含めてもお釣りが返ってくるくらいには気持ちのいい仕事ができます。なんだか今更ですが、(インターネット含めて)僕の周りはほんとに優しい方だらけで、恵まれてるなと思います。まじで感謝しかないです。みんなありがとう。恩返しとかしたいですが、やり方わかんない。だからもっと自己主張してきていいですからね。自販機でジュース一本くらいなら、奢ってあげてもいいですよ。 もちろん、こんだけ幸せな生活を送っているということは、その分問題もありまして。 まずは生活習慣。現在三時五十分でございます。この後五時からは、バルセロナ対マドリードの試合があります。夜勤とサッカーのダブルパンチ。悪習慣の原因の八割は、それで説明がつきます。 あとは、カツカツな懐事情。金がねえ。一にも二にも金がない。ひたすらに金がない。もっとシフト入れたいのですが、勉学を疎かにする訳にもいかず……。まあ大して勉強もしてませんが、この際そんな事はどうでも良いのです。はい。 美味い飯が食べたいし、もっと家具が欲しいし、ゲームに課金したいし、自堕落に生きたいし、なんなら働きたくないし、毎日昼過ぎまで寝てたいし、大学の講義はもう全部飛びたいし、欲望を挙げたらキリがないのですが、まあしょうがないかと。 最近AIがどうのこうの、職がどうのこうのとか言いますが、あれもぶっちゃけいいんじゃないかと思う節があって。そもそもAIが全部の職業を奪ってくれたら、我々は働かなくていいわけで。中途半端に、できる仕事できない仕事があるからいけないと思うんです。何でもかんでもAIに任せて、人類はやりたいことやるみたいな。それじゃダメなんですかね。それがいいんですけどね。お金でさつまいもを焼いて、なんかしてないと落ち着かない人だけが何かして。なんだか、難しい世の中だなと思います。めんどくせーまじで。 だからこそ、僕がPS5を起動して、誰かが本を開いて、どっかの誰かが家を飛び出したりする訳なんでしょうけど。 ギターとか弾いてみたいです。お金がないんですけども。アコースティックでも、エレキギターでも。なんでもかんでもじゃんじゃかかき鳴らして、発散したい物があります。そうやって言葉も連ねて吐き出せたらどんなに楽しいかと想像する夜があります。もうすぐ夜も明けますね。 何でもいいんですけどね。いやほんとに何でもいいんですけど。 そういえば、家の中で虫を見なくなりました。 ゲジゲジとか昔はいたのに(雑文第五回参照)、もう全然見ないですし、カメムシとか外では見ますが、家の中では見ません。 これかなと予想している理由がひとつあるのですが、実は、玄関に大きな蜘蛛の巣ができまして。換気扇のとこを覆うように巣を張って、どでかい蜘蛛が鎮座してます。 これは是非覚えて帰って欲しいのですが、何でも大事なのは使いようです。蜘蛛がブラッド・ピットよりかっこよく見える。 そろそろまとめます。 ・僕は何とか生きています。 ・僕はたくさんの趣味ができて、執筆が上手くいかないです。 ・カツカツです。 ・蜘蛛の相棒ができました。 こんな感じです。 毎度、この雑文に付き合っていただきありがとうございます。 そして、この雑文に限らず、いつも読んでくれる方々のおかげでノベリーを続けられてます。本当にありがとう。 最初に言った通り、寒くなってきました。体調には気をつけて、是非ご自愛ください。 それでは、またいつか。