市丸あや@自給自足ヲタク
656 件の小説市丸あや@自給自足ヲタク
はじめまして。 初心者同人誌作家です。 主な出没イベントは文学フリマです。 夢は大阪進出(芸人かい) 代表作は「死花〜検事 棗藤次〜」 遅筆ですが、よろしくお願いします。 Xでは、創作情報の他に、くだらない日常、謎の萌え、ネコ画像など、無節操に垂れ流してます。 主な活動拠点はこちらですが、たまにエブリスタ等に浮気します。 感想やリクエストは、随時承っております!! 作品の2次創作も大歓迎です! 私の作品で楽しいひと時を過ごせたなら幸いです♪ より詳しい情報はコチラ↓↓↓ https://lit.link/neko2556
霧の向こうの灯り②
姉はとにかく、母を崇拝していた。 母のようになりたいが口癖で、よく芸能事務所に履歴書を送って、自らを売り込んでいた。 だが、諄いようだが、私達は父のおかげで母のセール品。 とてもじゃないが、目の肥えた業界人が相手にするようなご面相ではない。 父も母もそれを理解した上で、姉のプライドを傷つけないようやんわりと諭していたが、姉の意思は固く、高校を卒業したら上京するとまで言い出した。 業を煮やした両親は、姉を業界入りさせる条件として、広島の看護大学への進学と正看護師になる事を提示した。 あくまで業界でやっていけなくなった時の滑り止めだと両親は言っていたが、恐らくは大学で学ぶことで考えを改めさせ、業界入りを諦めさせようと言う魂胆だったのだろう。 最初は渋っていた姉だが、広島と言う比較的開けた都会的な土地に行けるならと、その条件を飲んだ。 『絶対お母さんみたいになるから。』 大学の寮に入る前日、姉は私にそう言って、僅かな荷物と共に広島へと旅立って行った。 そして四年後の…まだ春雨の冷たい3月。 姉は正看護師の免状と『お世話になりました。』と言う短い手紙を残し、誰に行先を告げる事なく、私達家族の前から、姿を消した。 両親は方々を訪ね手がかりを探したが、姉の消息は一向に掴めず、警察に失踪人届も出したらしいのだが、応対に出た警察官に『自分の意思で居なくなったんならねぇ』と、刑事ドラマのお決まりの文句を言われたらしい。 そうして一年、また一年と時は経っていき、私が28歳で見合い結婚し披露宴を終えた一週間後の…雪深い冬のある日だった。 姉の消息を掴むために車で広島に向かっていた両親が、冬道でスリップ事故を起こし、亡くなったのは…
死花〜検事 棗藤次〜−書き本編-最終話-④
「そんな…奥様、絢音さんが、検事にそんな感情を抱いていたなんて…」 「……そうかしら。私、何となく奥様の気持ち、理解できるかな。」 「えっ?」 ーーー場所は戻り、京都地方裁判所321号法廷。 真嗣が代読する絢音が藤次に宛てた遺書は、2人が心中を計画したあの月の夜と同じ内容で、傍聴席にいた佐保子が戸惑いを露わにする中、夏子は冷静に言葉を発し、視線を憔悴した藤次から外さないまま、不思議がる佐保子に言葉を放つ。 「棗検事って、奥様の事になると箍って言うか、理性が無くなるとこあったじゃない?仕事中に隠れて会いに行ったり、気にいるだろうって湯水のようにお金使ってプレゼントして…なんて言うの、子供が母親に褒めてもらいたいから頑張るみたいな、そんな幼稚さ。」 「よ、幼稚って…ま、まあ…確かに奥様の事になると、検事手がつけられなかった時もあったかなぁ。出産の時とか、仕事投げ出して立ち会いしたし…」 「でしょう?そりゃあ、見方によっては情熱的だと思うかもしれない。けど、追いかけられてばかりだと、求められてばかりだと、いつしか応えることに疲れ果て、心がすり減っていくんじゃないかな。私も、検事と同じだったから…」 「夏子…」 夏子の言葉に、佐保子は彼女がかつて、夫とのセックスレスが原因で別居離婚を考えていた事を思い出す。 あの後、夏子は藤次と絢音2人の結婚の顛末を機に別居と離婚の解消を決意し、もう一度再構築を試み、一時は安定した生活を送っていた。 しかし、一度絡まり亀裂の入った糸の修復は難しく、結局…再構築から2年も待たずして、夏子は離婚届に判をついた。 一人息子の親権で少々揉めたが、最終的には夏子が元夫に子を託す形となった。 怖かったのだ。 妻として女として失格の烙印を押された自分が、最後の砦である母として、果たして責務を果たせるのか。 だんだん成長と共に似てくる元夫の子を、愛せるのか。 その重圧が、当時の夏子にはあまりにも重すぎて、結局…仕事に逃げるしかなかったのだ。 それからと言うもの、夏子は誰かに触れられるのを極端に恐れた。 上司である柏木の指がほんの少し指先に触れただけで、冷や汗が止まらなかった。 愛する人に触れられたい。女として抱かれ、愛されたい。 その一心で、レスになった夫との営みを何度も再構築しようとしたが、夫が応えてくれる事はなく、ただただ、父と母として、子供のために穏やかに生きていこうと諭され、女としての欲求…自分を否定されて行き、母親を演じることを強いられて行く中で、夏子の心は確実に死んでいったのだ。 そうして結局、求めてばかりいることに疲れ、再び別れを切り出した時の夫の言葉が、夏子の脳裏に浮かぶ。 『良かった。やっと楽になれるよ。もう求められ続けるのに、疲れたんだ…』 「結局、似た物同士だったから、放っておけなかったのかしらね…」 そう呟き、夏子は視線の先の藤次に寂しく笑いかけた。
霧の向こうの灯り①
ーーー20年間行方知れずだった姉が、東京のラブホテルで死体となって見つかった。 しかも、妻子ある男性との、心中。 更に… 「…えっ、ほ、本当に姉なんですか?この人…」 人気の無い地下の霊安室で対面した遺体の顔は、一重で雀斑塗れの地味な顔の姉ではなく、人形のような綺麗な二重に高い鼻。シミ一つない美しい顔立ちの女性で、私が動揺を隠せない表情でいると、草臥れたコートを着た50代位の刑事が口を開く。 「お姉さん、どうやら顔をいじってましてね?実はご連絡するまで大分時間がかかったんです。しかも身元が判明したのがー…」 「………えっ?!」 その刑事…小野田さんから聞いた姉…沢口みどりこと『中堂梓』の身元が判明した理由を耳にした瞬間、私の旅は…始まっていた… * 私…中堂道子と、姉…中堂梓は、島根の玉造の温泉街で小さな定食屋を営む夫婦の間に産まれた、2歳違いの姉妹である。 母はと言うと、美肌の湯として有名な玉造温泉を生まれに持つ女らしく、白い肌が自慢のスタイル抜群の美丈夫で、若い頃はモデルとして色んなファッション誌の表紙を飾っていた。 そんな母だから、当然都会の洗練された裕福で地位のある男達が取り巻きのようにいたが、母が伴侶に選んだのは、どう言う訳か、地元の幼馴染で家業の定食屋を継いで細々と暮らしていた、見た目も稼ぎも冴えない…真面目だけが取り柄のような父だった。 お陰で、私も姉も父の遺伝子で母の魅力の3割…いや、5割減のセール品のような見た目に生まれ、周りからは『お母さんはあんなに綺麗なのにねぇ』と、嘲笑と哀れみを貰う始末。 しかし、母はそんな言葉などものともせず、私と姉を可愛がり、父に尽くしたし、父もまた、私達と母を精一杯愛してくれた。 だからこそ、私は捻ることもなく、自らの風貌と平凡な人生を受け入れ、ただこの田舎で静かに暮らし、ゆくゆくは釣り合いの取れた相手と見合いをして結婚。子供を産んで当たり障りのない家庭を築き、この地に骨を埋めようと決めた。 だがしかし、姉は違った。 姉が夢見たのは、かつて母が通った、華やかなスポットライト輝く世界だった…
死花〜検事 棗藤次〜−書き本編-最終話-③
恐らく、度し難い苦痛でせん妄に近い状態になってしまったのかと思い、藤次は暴れる彼女を抱きしめて声を上げる。 「もうええ!もう辞めよ!!?またやり直そ?!!もう検事は辞める!!一緒に広島行こ?!!なあ、絢音!!!」 「うるさい!!!!!!」 「ッ!!!!!」 腹を殴られ、突き飛ばされ、よろめきながら投げ捨てられたスマホを取り119番を押そうとすると、その腕に噛みつかれ、藤次は顔を歪め、思わず彼女を突き飛ばす。 「ご、ごめん!!!!痛かったよな!!?ごめん!!!ごめん!!!」 「………の。」 「えっ?!!!」 「そう言うところが嫌だったの!!!何で怒ってくれないの!?!?なんで何でも絢音が一番!絢音が好きならそうし!!何でもかんでも、自分の事は後回しにして、自分を犠牲にして!!!!!私が、どんなに…」 「そ、そやしそれは、お前が大事やから、愛しとるから、好きやから」 「ほらっ!!いつもそう!!!!好きって言えば何でも許されるって!!!何でもうまく行くって考え!!!最初は嬉しかった…けど、だんだん自分の心を削って行くための免罪符にしていくあなたが、堪らなく嫌になってきた…だから…」 「あやね…」 果たしてこれは本心なのか、錯乱してただ単にヒステリーになっているだけなのか。 後者であって欲しいと願う藤次だったが、彼女の口から出た次の言葉が、その淡い思いを打ち砕く。 「だからもう、殺して。私を、自由にして…自らの心を殺してまで愛される価値や資格なんて、私には無い。ううん。何より…」 瞳に涙を目一杯貯めて、苦しみながらも精一杯微笑みながら、絢音は最初で最期の…藤次《あいするひと》へのワガママを口にする。 「藤次さんが、私が狂おしいまでに愛した人が、私と一緒にいる事で、私を愛する事で、変わって行ってしまうのが、嫌なの。だから…」 「い、いやや…嫌や!!!!それならいっそ、俺を殺してくれ!!!!お前に捨てられるくらいなら、その方が何百倍…いや、何千倍もマシや!!」 言って、側にあった浴衣の帯を突きつけると、絢音は寂しそうに笑う。 「ほら、やっぱり。私のせいにする。佐保ちゃんの方が若くて可愛いのに、何でこんな年増の可愛くもない女を選ぶの?セックスだって、気持ちよかったんでしょ?ならさっさと殺して、幸せになりなさいよ。あなたの幸せが、私の願いなの、分かって?」 「うるさい!!!!お、お前は誰や!!!お前は絢音やない!!!」 叫び、藤次は絢音を睨め付ける。 「……そうや!!!!これは夢や!!!!性悪夢魔め!!!早よ俺から出ていけ!!!絢音の姿で、適当な事抜かすな!!!俺はずっとずっと、絢音だけを愛していくんや!!!一生かけて幸せにするって、決めとんや!!!!!邪魔すんな!!!!」 言って泣き崩れる藤次を見つめながら、絢音はポツリと溢す。 「その為なら、命すらいらないって言うの?そんなのただの自己満足で、自己犠牲。愛じゃないわ。もっと言えば、ただのエゴよ。もう沢山、早く殺して?私を自由にして?」 「……さい。」 「あなたに好きやって言われるたびに、私が嬉しい反面、どれだけ辛かったか、分かる?藤太を死なせたのだって私のせいなのに、あなたは全然責めなかった。いっそ母親失格って詰ってくれた方が…どんなに楽だったか…」 「…うるさい。」 「佐保ちゃんとの不倫だって、漸く私以外の女に欲情できたんだって、心の何処で安心してる自分がいた。結局、何もかも重かったのよ。それを好きやの一言で何もかも」 「うるさい!!!!!もう、聞きとうない!!!!黙れ!!!!黙れ!!!!!!!!!!」 「!!!」 最早、互いに限界を超えていた。 愛は、人と人を思いやる、尊い感情。 しかし、その正体は… 互いしか見えなくなる、盲目のレンズであり、 互いに強く依存し縛り合う、緩やかな鎖であり、 愛するが故に、嫉妬し、憎み合い、 甘き死へと誘う…毒薬。
溺れて堕ちて愛されて-4th-
「絢音…」 「藤次さん…」 ーーー夜。 仄暗い、ベッド横の照明の中で、藤次さんに抱かれて愛される夜。 背後《うしろ》からされる時は、なんだか少し、いつもと違う男の人《オス》の藤次さんて感じで、ドキドキする。 逆に、私が上になる時は、普段何をしても敵わない藤次さんを支配してるみたいで、気分が高揚して、クラクラする。 座って抱き合い見つめ合いながらするのは、安心するけど、ちょっと恥ずかしい。 他にも色んな姿勢はあるしするけど、私が一番好きなのは、仰向けで抱き合う正常位。 藤次さんの身体の重みを一身に受けて、深く奥まで挿入《はい》って来る藤次さんを、一番安心して受け止められて、肌を重ねて互いの体温や息遣いを近くで感じられるから、好き。 藤次さんが動く度に、奥まで突き上げられる度に、身体が浮かんで揺れて、思わず背中に回した手…指先に力が入って、藤次さんの背中に引っ掻き痕がつく。 痛くしてごめんねって謝るけど、藤次さんは構へんよと優しく笑って頭を撫でてくれる。 そんな藤次さんが、私は好き。大好き。 だから、もっと気持ちよくしてあげたい。もっと感じて欲しいから、おぼつかない動きで腰を揺らして、膣内《なか》にいる藤次さんを抱きしめるように、キュッと、ソコに力を込める。 そうすると、藤次さんが仄かに声を出して喘いでくれるから、嬉しくて思わず聞いてしまう。 「気持ち…いい?」 すると、藤次さんは僅かに口角を上げて微笑ってくれて、そっと耳元で甘い言葉を囁いてくれる。 ーーーめっちゃ気持ちいい。幸せやで。 って。 そうして、互いにどんどん余裕がなくなり、上り詰め、共に絶頂を迎える瞬間にいつも決まって藤次さんは言ってくれる。 私が一番好きで、一番欲しい言葉。 ーーー好きや。 って。 そうして果てて、私に覆い被さって来た瞬間が、何よりも愛おしくて、満たされて。 繋がったまま抱き合い、呼吸を整えていると、藤次さんが顔を上げて私を見つめてくるから、瞼を閉じると、優しくキスをされる。 角度を変えて、何度も、何度も… 暫く余韻を楽しんだ後も、藤次さんは自分の身体より先に私の身体を拭いてくれて、おしまいの時は寝巻きまで着せてくれる。 そう言う何気ない優しさも、愛されてるって、大事にされてるって実感できて、ホントに、幸せ。 だけど反面、こんな私をどうしてそんなに大切にしてくれるか不思議で、一度聞いてみたことがある。 どうしてこんなに、大切にしてくれるの?って。 そしたら、藤次さんは笑ってこう言ってくれた。 お前がこの小さい身体で、一生懸命ワシを悦ばせようとしてるんが、たまらなく可愛ゆうて、たまらなく愛おしゅうて。せやからついつい、頑張ってしまうんや。いつも気持ちよう抱いてくれて、おおきに。 って… そんなの、私だって同じ。 大して上手くない私の行為に感じてくれて、いつも優しく抱いてくれて、嫌がる事は絶対しない。そんな藤次さんが、私は好きで好きで… だから今夜も、私は貴方に抱かれる。 何よりも、誰よりも好きな貴方に… 愛してるわ。 私の…藤次さん。
昭和エルフが語る人生のアレコレ
…まあ、アレですよ。 一応腐っても40半ば…昭和、平成、令和を生きて来たエルフですから、それなりに人生経験豊富なわけで… 今回は、そんなエルフが、社会に出るまでにこれはやっとけ的な事をこっそり教えます。 あ。 あくまでも私の経験からのアドバイスなので、信じるか信じないかはお任せします♡ 1.学校の掃除時間はトイレを真面目にやれ。 掃除なんてめんどくさい。況してや他人が使ったトイレなんて無理。 気持ちは分かります。 けど、社会に出たらかなりの高確率で掃除…特にトイレ清掃はあります。 況してや精神を病んで障がい者雇用に頼らざるを得ない状況になると、羽振りが良いのは清掃関係です。(事務とかオフィス系は大体『身体』障がい者に持ってかれます。(※あやさん調べ)) だから学生時代から『他人の使ったトイレ』に慣れておくのは、決して損な経験では無いと思います。 2.声出しは積極的に! 部活で1年は声出ししろと言われ、めんどくせーって感じてるでしょう。 しかし、これをやり、人前で大きくハキハキとした声を出せるスキルを身につけておけば、接客業で大いに武器になります。 なぜなら、我々昭和エルフは元気ハツラツが大好物だからです。 笑顔はともかく、毎日大きな声でハキハキと業務に励んでいれば、昭和エルフは単純だから褒めてくれます。 だから、無条件で大声を出せる環境は大いに利用し、しっかり腹から声を出す練習をしましょう! 3.悪口大会には参加するな。 これは女子に言える事ですが、いじめは勿論論外ですが、誰かの悪口を言い合う場にも加わらない主義を、学生時代から培って下さい。 悲しい話、大人になってもいじめや悪口はあります。 確かに、集団で特定の誰かをいじめるのは楽しいでしょう。 実際私も、20代の頃はパートの気の弱そうなおばさんを虐めてました。(20代のエネルギー舐めんなよ。何でもできるって勘違いスゲーからな!!(※あやさん調べ)) けど、どんなに上手く立ち回っても、悪口は結局は周り回って自分に返ってきます。 悪口大会に参加したばっかりに、職場でややこしい力関係や派閥闘争に巻き込まれたり、逆に孤立して、やりたかった仕事なのに居づらくなって辞めてしまうとか、損でしかないです。 だから、学生時代のうちから、そう言う場所から一歩引いて冷静になれる目と心を磨きましょう。 くどいようだけど、イジメは絶対ダメだよ!! 4.どこかに通う力を磨く。 最後は、当たり前だけど意外に難しい通うと言うクセを身につける大切さ。 学校、塾、習い事。 ダルい、めんどくさい、気分じゃない。 そんな気分で休んでませんか? 勿論、高熱など明らかな身体異常がある場合はやむおえないですが、気分で休むクセをつけてしまうと、やはり社会では不利になります。 これくらい良いだろう。 私が居なくても仕事は回るし。 こう言う考えを全面的に悪いとは言いませんが、続くと確実に職場の心象は下がります。 また、パートで有給などの福利厚生がある場合は、契約日数をこなさないと受けられなかったりとそれなりのペナルティがあるので、まだ然程ペナルティが課せられない時期から、決まった曜日に決まったとこに行く力を身につけましょう! …こんな感じですかねー 最後に関しては、障がい者である私ならでは経験則です。 障害を持って一度社会から離れると、療養後に真っ先にやってくる訓練は、作業所やデイケアに『通う』訓練です。 これが結構辛いんです。 特に私のようにルーティンを重要視する障害(特性)を持ってると、そのルーティンの変化(環境の変化)を極端に嫌い、状況によってはまた症状が悪くなってしまう場合もあるんです。 根気よく変化を受け入れる訓練をして社会生活に慣れると言う事は、それだけ大変なんです。 精神疾患が社会病となってる現代において、これはホントに他人事ではないと思うので、こんな思いをしないよう、ストレスケアは勿論、今からしっかり『通い続ける』力を身に付けて欲しいです。 あ。 ストレスケアの話はしてなかったですね。 まあ、アレですよ。 ストレス発散で一番効果的なのは… 嫌なことを忘れられるくらい夢中になれるものを見つける。 ですかね。 それが推し活だったり、ゲームだったり買い物だったり食事だったりお風呂だったり運動だったり、何でも良いです。 できるだけ沢山の逃げ場所を作りましょう。 ただし、食べ過ぎ飲み過ぎや過度な浪費など、生活のバランスを崩しかねない程夢中になるのはダメですよー 結局、何事も広く浅くほどほどにが、生きやすいスタイルかもしれませんね☝️
愛の値段
「えっ?」 「せやから、週末家に真嗣と保険屋くるから、一緒に話聞いてもらえるか?」 …それは、前々から密かに考えとったけど、なかなか踏ん切りがつかず後回しにしていたことやった。 けど、藤太が産まれて、父親になった今、きちんとけじめつけなあかんと思い、専門のプランナーと真嗣に相談して決めた、老いて行く自分の終活の一環、生命保険への加入やった。 目の前に出されたパンフレットや書類に目を白黒させる絢音に静かに笑いかけ、ワシは話を続ける。 「まあ、腐っても国家公務員やから、老後もそれなりの手当はあるかもしれんけど、このご時世や。何があってもお前と藤太が困らんように、準備しときたいねん。…悲しいけど、このまま行ったら確実にワシが先に逝くやろからな。」 「嫌よ。折角藤太が産まれて家族になって幸せなのに、何でそんな悲しい話を今するの?それに約束したじゃない。死ぬなら一緒って。忘れたの?」 「忘れてなんてない。せやけど、もし予期せぬ事でワシが死んでしもた時。もしその時まだ藤太が手のかかる歳やったら、生活どないするねん。いつまでも男として見てくれて、愛してくれるのはめっちゃ嬉しいねんけど、ワシもお前も、この子の親なんや。この子にはワシ等しかおらんねん。守らなあかんやろ?」 「けど…藤次さんの命をお金に変えるなんて、藤次さんのいない世界なんて、私…」 そう言って泣いてくれる涙は綺麗で、ホンマに嬉しゅうて、嬉しゅうて、出来るならホンマに一緒に三途の川渡りたかったけど、せやけど… 「愛してるからこそ、ワシの全部をお前にやりたいんや。こないどうしょうもない中年男を夫に選んで、況してや父親にしてくれたんや。せやから、やれる事はやりたい。分かってくれんか?絢音…」 「けど…」 そう絢音が言い淀んだ時やった。 ベビーベッドで寝てた藤太が、目をさましたんわ。 「ほら、お母はんの泣き虫につられて泣き出したわ。ホラホラ藤太〜、エエ子やエエ子ぉ〜」 抱き上げて、両腕にすっぽり収まる我が子をあやしていると、絢音が背後から抱きついてきたから、振り返りそっと寄り添う。 「好きや。愛してる。せやから、俺のワガママ、聞いてくれんか?それに…」 「それに?」 問う絢音…君に、ワシは薄っすら笑って囁く。 「お前独りになっても、他の男がほっとかんやろ。寂しいけど、直ぐに俺を忘れて幸せになれるわ。せやから、大丈夫や。」 「バカ…何よその試し行為。こんな幸せな気持ちや、どんどん膨らむあなたへの愛、簡単に忘れられるわけ無いじゃ無い。憎い人…」 言ってまた涙を流す愛しい君の額にそっとキスをして、藤太を抱かせて共に…俺にとってかけがえのない家族を抱き締める。 「泣かせてばあでごめん。そやし、ホンマに心の底から、お前とこの子を愛してんねや。せやから、その気持ちをカケラでも形にしたいねん。分かってくれるな?絢音。」 「いや。分かんない。分かりたく無い。でも、こんなに辛くなるくらい愛されるなら私…あなたを父親にすべきじゃなかった。そう後悔するくらい今、幸せ…」 「絢音…」 「藤次さん…」 見つめ合い、キスをして、君の腕の中でうとうとし始めた我が子をベッドに寝かせて、また君を抱き締め囁く。 永遠《とわ》に愛してる… と。
髪結の戀〜笠原絢音〜
「こんにちは。今日もよろしくお願いします。松木さん。」 「はい。お待ちしておりました。笠原様。」 ーー京都の中心地から少し離れた通りに店を構えて10年。 お師匠のお得意さんを何人か譲ってもろての独立やったから、口コミで少しずつ根っこを拡げて新規開拓して、ようやっと自分で指名取って軌道に乗って来た時やった。 長い長い、綺麗な黒髪を結えた…四十前後の美しいお姉はん…笠原絢音さんに、出会うたのは。 「今日も、いつも通りですか?」 「ええ。いつも通りで。」 「はい。ほんなら、シャンプー台にどうぞ。」 「はい。」 大体水曜日にやって来て、シャンプーと毛先のカットとトリートメントをして帰って行く、絢音さん。 黒髪ロングヘアなんて、今時流行らんのにと、何度か流行りのヘアスタイル提案してみたけど、いつも似合わないわの一点張り。 その度に、頭の中でアホ言いなと悪態を吐く。 俺は、きっと誰よりもこの人の髪に触れてる。 誰よりもこの人を分かってる。 そう。 目の前の、無防備に晒された白い首の持ち主であるこの人を、誰よりも理解して愛しているのは、俺だけや。 そう、信じて疑わんかった。 せやのに… 「えっ?」 「あ、もしかして、やってなかったりします?」 「あ、いや、そやなくて…」 「なら、是非お願いします。結婚式の、髪とメイク。」 ショックやった。 俺の預かり知らぬとこで、俺以外の男が、この髪に触れて、美しく乱れる様を見ているのかと思うと、段々憎らしなって、思わず手にしていた一房を思い切り切り裂いてやろうかとした時やった。 彼女の可憐な唇が、ゆっくり動いたんわ。 「だって、松木さん程、私の髪を知ってくれてる人はいないから。だから絶対、私の初めての晴れ舞台は松木さんに結ってもらおうって、決めてたんです。だから、お願いします。」 「笠原さん…」 ああ… 阿呆や。 ホンマに俺は、ドのつく阿呆や。 何よりも純粋に、俺を信頼してくれて、女の命とも言える髪を任せてくれていたこの人に、こないな邪な感情抱いてた自分が恥ずかしなって、辛うて… 結局俺は、最後までその髪を切り裂く事…己の欲求で彼女の命に鋏を立てる事は、できひんかった。 「じゃあ、結婚式…よろしくお願いしますね。松木さん。」 「ハイ。謹んでお受けします。またご贔屓に。笠原様…」 そうして、綺麗になった髪を揺らしながら帰って行く背中を見送って、ふとクローゼットを見やると、小さな手袋が目に入ったんで、忘れ物やと通りに出て呼び止めようとしたら… 「あ…」 和かに笑う彼女の隣にいたんわ、手入れの行き届いた上等なスーツを着た、栗色の髪の毛の男。 優しい手つきで撫でられた髪の毛は、夕日の光と相まって、見た事ないくらい艶やかに輝いてて俺にはすぐに分かった。 あの男が、笠原さんのエエ人なんやて。 あの綺麗な髪が、唯一淫らに乱れる様を見れるお相手やて。 そう思うたら、声掛けるのも歯痒うて、悔しくて、結局俺は、店に戻ってきた。 「阿呆らし。たかだか髪結風情が、分かった気ぃになって浮かれよって…」 それでも、だけれど、 この邪な気持ちを知られない限り、俺はあの美しい髪に、無防備に晒された彼女の命に、これからも鋏を立てられる。 せやから、この想いはずっとずっと、内緒にしとこう。 愛してます。 笠原…絢音さん…
恋は麻薬、愛は毒
ーー貴女を生かすも殺すも、私の匙加減… 「ほら、ご覧になって。」 「まあ素敵。」 「いつ見てもお似合いね。羨ましい…」 『その御方』は、いつも皆んなの中心にいる。 長い漆黒のお髪に、キリッと結ばれた口元。 桜貝のような爪先に、コルセットなど不要なくらい細い腰回り。 その立ち振る舞いも何もかもが、上品でお美しい…正に生ける美術品。 『兵藤真璃子』様。 そして、見つめる誰も彼もがその姿に憧れと羨望の眼差しとため息をこぼす彼女の傍に立つのが、末は海軍士官と噂される『神原榮三郎』様。 眉目秀麗、才色兼備の名を欲しいままにする、生ける美術品(兵藤真璃子)に相応しい、完璧な殿方。 だから本来この私…斉木葉子のような、地方のしがない地主出身で、見た目も地味でつまらない女には、縁遠い存在でしかなかった。 けど… 「真璃子…いい加減、接吻くらいは許してはくれまいか?僕はこんなに貴方をお慕いし大切にしていると言うのに…」 「なりませんわ榮三郎様。全ては成婚してからになさいましょ?私、まだ気持ちの準備が出来ておりませんの。」 「しかし…」 「真璃子様、神原様、ごきげんよう。」 「!」 学園の裏庭で密やかに愛を囁いていたお二人に声をかけると、榮三郎様はサッと顔を真っ赤にして去っていく。 「あら斉木さん。ごきげんよう。」 「ごきげんよう。真璃子様、そろそろ部活動のお時間ですわ。私、ご一緒してもよろしいかしら?」 「勿論よ。同じ部活動仲間ですもの。それより斉木さん。その様はおよしになって?私達、親友でしょう?」 「親友…ですか?」 囁き、誰もいない空き教室に入った瞬間、真璃子様が…生ける美術品が、私に恭しく傅く。 「うそ!うそよ葉子!!貴女は私のかけがえのないエス…ううん、全てを捧げた愛しい人。でも嫌な人、何故貴女は私に親友だなんて言わせるの?榮三郎のせい?」 「当たり前ではないですか。私のような卑しい出自の者とエスの交わりを交わしたなどと知れたら、折角のご婚約が塵芥のようになってしまいますわよ?」 「そんなのどうでもいい!!どうせ父が勝手に決めてきた家の為の婚姻よ!!私は自由に人を、貴女だけを愛し…ッ!!!」 綺麗な綺麗な唇を塞いで、天鵞絨のような舌に舌を絡ませて突いて、息も絶え絶えに唇を離すと、生ける美術品が、まるで淫らな娼婦のように物欲しげな醜い顔をするから、私は興奮でゾクゾクと昂る気持ちを抑えながら、形の良い彼女の耳元で囁く。 −−『お姉様』、それ以上は、およしになって。
薬用ハンドクリームとハンドクリームの違い(お題)
ハンドクリーム… 秋から冬になるとドラッグストアに並び出す定番商品。 その中に『薬用ハンドクリーム』と言うのを見かけて、不思議に思った事はなかろうか。 えっ?ハンドクリームって、全部手荒れを防ぐ薬じゃないの?…と。 実は、薬としての効能効果が期待できるのは、前述した『薬用ハンドクリーム』と皮膚科医などが処方する医薬品や一般用医薬品のハンドクリームなのだ。 これには薬機法と言う法律が絡んできており、ざっくりと化粧品の定義を言えば、化粧品は人体の容貌を極端に変える効能効果を謳ってはならないのである。 例えるなら、髪のウェーブを改善したり、育毛を促進したりなどと言うのは、全て化粧品の範疇外で…医薬品又は医薬部外品に当たるのだ。 市販の育毛剤で有名な『リアップ』が、第一類医薬品として調剤薬局でしか買えないのは、この理由からである。 しかし、そうなってくると薬用と明記されていないのに、ビタミンEやヒアルロン酸配合と記されているリップクリームはどうなんねんて話ですが、化粧品には、添加物程度…つまりギリギリ効果が出るか出ないかくらいなら表記を謳っても良いよと言う決まりなので、薬用に比べると効果は期待できないに近い。 だから、医薬品的効果を期待したいなら『医薬部外品』の『薬用◯◯』をオススメする。 医薬部外品とは、厚生労働省が許可した効果・効能に有効な成分が一定の濃度で配合されている製品で、医薬品と化粧品の中間に位置づけられており、予防や衛生を目的として作られています。 医薬部外品の主な効果・効能には、次のようなものがあります。 肌荒れやにきびの予防 日焼けによるシミやソバカスを防ぐ 皮膚の殺菌 吐きけや口臭、体臭の防止 あせもやただれの防止 脱毛の防止 育毛や除毛 ねずみ・はえ・蚊・のみ等の駆除又は防止 医薬部外品には、薬用歯磨き剤、制汗スプレー、薬用クリーム、ベビーパウダー、育毛剤、染毛剤、入浴剤、薬用化粧品、薬用石けんなどがあります。 医薬部外品は、薬剤師がいない場所でも販売が可能で、スーパーやコンビニなどで購入することができます。 と言うわけです。 しかしながら医薬部外品も、医薬品に比べたら効能効果も弱いので、本格的に治療したいなら、皮膚科などで処方される医薬品、またはドラッグストアで買える一般用医薬品をオススメします。 あ。 因みに、ガサガサゴチゴチな踵の乾燥に尿素を配合したクリームをよく選ぶ方いますが、気をつけて下さい。 傷があったりすると、結構沁みるので。 どれを選んで良いか分からないYOと言う方は、薬剤師さんか登録販売者にご相談下さい。 以上、市丸さんの簡単医薬部外品解説でした!