死花〜検事 棗藤次〜−書き本編-最終話-⑤
「…それでも、それでも私は、あなたを愛そうと思った。あなたに愛される事を喜びに変え、同じくらい尽くして行こうと考えてきた。けどやっぱり、私なんかにって気持ちは募るばかりで、辛くて、辛くて、結局…あなたから逃げる事を選んだ私を、どうか許してください。最期に、本当にありがとう。さよなら。絢音…以上です。」
そうして絢音の遺書を読み切ると、真嗣は小さく息を吐き、裁判官に向き直る。
「以上が被害者の遺した声です。被害者は、棗絢音氏は、被告人を誰よりも愛していました。けれどそれ以上に、被告人を畏れていました。自らを愛するが故に変わって行く被告人と、どう向き合っていけば良いか、どう共に歩んでいけば良いのか、1人で抱え込み、悩んでいました。誰かに求められる。それは側から見れば幸せな悩みかもしれません。けれど、人一倍誰かに大切にされる事に慣れていなかった棗絢音氏には、死を決意させてしまうほどの悩みと辛さだったのかもしれません。」
「絢音…」
ふと、再び藤次の脳裏に浮かんだ、あの夜の光景。
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カテゴリー: 恋愛・青春
投稿日時: 2025/6/3 9:53
注意: この小説には性的または暴力的な表現が含まれています
市丸あや@自給自足ヲタク
はじめまして。
初心者同人誌作家です。
主な出没イベントは文学フリマです。
夢は大阪進出(芸人かい)
代表作は「死花〜検事 棗藤次〜」
遅筆ですが、よろしくお願いします。
Xでは、創作情報の他に、くだらない日常、謎の萌え、ネコ画像など、無節操に垂れ流してます。
主な活動拠点はこちらですが、たまにエブリスタ等に浮気します。
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