木のうろ野すゞめ

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木のうろ野すゞめ

雰囲気小説を書く人です。 毎週金〜日曜日の間になにかしら書きあげていきたいです。 現在は主に「書く」「書く習慣」にて生息しております。 2025/8/16〜 ※作品は全てフィクション ※無断転載、AI学習禁止

あけております。おめでとうございます。

 あけております。おめでとうございます。  師走の怠惰を新年に引きずったまま、現在に至っております。  現在、執筆を主としている場が『書く習慣』というアプリなのですが、こちらのお題消化に勤しんでいました(※まだ終わっていません)  昨年からNoveleeで遊ばせてもらって、たくさんの方の物語に触れて、たくさんの刺激をいただいております。  ほとんど読むだけになっているのが悔しいから、今年はもりもり書くぞー。なんて思いながら新年が半月過ぎようとしていて、時の流れの残酷さを感じました(※ただの怠惰です)  なにかしらメモみたいなものはあるのですが、いまいち流れや落とし所が迷子になってヒッチャカメッチャカ。  魔女狩り、インフェルノ、生まれた意味、私は誰なんだろう……など、なかなか芳ばしいワードだけが散らばっています。  大惨事です。恥。  あまり『書く習慣』アプリで書いたものをこちらに横流しはしたくないのですが、しばらく余裕がないため、供養としてあげさせていただくかもしれません。  そのときは生温かい目で見てくださるとうれしいです。  どうか今年もよろしくお願いします。  

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遠い鐘の音

 婚姻届を出したものの、俺たちはまだ挙式を挙げていない。  チャペル式にするか神前式にするか迷っているところでもあるが、いろいろと強引にことを急いたため、彼女側の都合がつけられないでいた。  俺の隣で、たぷたぷと携帯電話をいじっている彼女の左手の薬指にきらめく小さな指輪を、ぼんやりと眺める。  愛情、忠実、永遠。  抽象的で不確かな言葉たちが鐘の音となって響かせる日は、そう遠くないはずだ。 《完》

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辛苦貴悦?

 デートの終わり。  どうしても離れがたくて、僕は悠香ちゃんとファミレスに足を運んだ。  案内された席に向かい合って座って、タプタプとタブレットを操作していく。  ひと通りメニューに目を通したあと、彼女に目をやった。  即断即決が悠香(ゆうか)ちゃんの取り柄なのに、今日は珍しく腕を組んで唸っている。 「どうしたの?」 「寒いからもつ鍋が食べたいんだけど」 「うん」  言いながら、悠香ちゃんはタブレット画面に映るメニューを僕に見せた。  あー、なるほど。  メニューには辛さを示す、赤い唐辛子のイラストがついている。  悠香ちゃんは辛いものが苦手だった。  ちょっとピリッとする程度でも痛そうにするから、多分、悠香ちゃんには無理かもしれない。 「アゴ出汁とかめっちゃ惹かれるのに、この唐辛子マークのせいで決めかねてるっ!」  ぺしょぺしょしながらテーブルに突っ伏した悠香ちゃんに、僕は笑いながら提案する。 「ほかに食べたいメニューってないの?」 「ええー⁉︎」  勢いよく顔を上げた彼女は、なぜか眉毛を吊り上げてお怒りの様子だ。 「ひどいっ! 私はもうもつ鍋のお腹になってるっていうのに」 「あ! そういう意味じゃなくてっ。いや、結果としては同じかもなんだけどさ⁉︎」 「んもーっ⁉︎ どっち⁉︎」 「え、ええっと……」 「相変わらず煮えきらないなっ⁉︎」 「ご、ごめんっ!」  悠香ちゃんの勢いに押されすぎて、よくわからないまま謝ってしまう。  唇を尖らせて顔をしかめている彼女をこれ以上怒らせないように、僕はしどろもどろになりながらも真意を伝えた。 「その、もつ鍋が辛すぎて食べられなかったら、僕が代わりに食べるよ? って……思っただけで」 「え? どうして?」 「僕、辛いの平気だし。悠香ちゃんがもつ鍋の次に食べたいものを注文するから、食べられなかったらそれと交換しようよ」 「なにそれ。ファミレス行きたいって言ったの稔(みのる)くんじゃん。稔くんが好きなの食べないでどうするの?」 「あー……、その。僕は、うん、大丈夫だから。気にしないで」 「ごめん。なに言ってるか全然、聞こえてこなーい」  ごまかそうとしたことをあっさりと見破られてしまった。  僕は観念して言葉を探しながら本音を吐露する。 「も、もう少し悠香ちゃんと一緒にいたかった。だけ、だから。本当に、気にしないで」 「んなっ⁉︎ いつもは遅疑逡巡してるクセに」  うっ。  言わせたのは悠香ちゃんなのに。  僕だって、こんなあけすけに伝えるつもりはなかった。  悪態をつく悠香ちゃんだって、満更でもなさそうに照れている。 「そういうところがムッツリだって言われるんじゃない?」 「誰、がっ、そんな、ことっ⁉︎」 「…………私」 「はああっ⁉︎」  売り言葉に買い言葉とはいえ、悠香ちゃんにそんなふうに思われていたとか。  恥ずかしすぎて、帰りたくなった。 「どうせなら、今日は帰さないぞ、くらい言ってほしいのに」 「ちょっ⁉︎ 声、大きいって」 「稔くんのほうが大きいっ」  僕たちはつき合って三ヶ月だ。  お互い、親元を離れて過ごしているとはいえ社会人になってまだ間もない。  キ、キスだってしていないのに、軽率に伝えていい言葉ではないはずだ。  甲斐性なしと言われてしまうと、返す言葉もないのだけど。 「これ、私の第二候補だけど。食べられる?」 「うな重……」  給料日前なのに、無慈悲なことをする。  しかも、ウナギが倍量入っているお高いヤツだ。  精をつけろと暗に言われ……?  いやいやいやいや⁉︎  ないないないない! さすがにないっ!  チラッと彼女を盗み見れば、ニヤニヤと意味深に口元を緩めている。  悠香ちゃんっ⁉︎  こういうところが、ムッツリだと言われるゆえんなのだろうか。  でも、僕だって男なわけで。  当然、そういう欲だってあるわけで。  今度は僕のほうが頭を抱えた。  今日こそはキス、を、するべきなのだろうか?  グルグルと暴走し始める思考を止められないでいると、悠香ちゃんが助け舟を出してくれた。 「もつ鍋がダメだったら、ちゃんといけにえになってよね?」 「それは、うん。大丈夫」  今日も優しい悠香ちゃんは、ヘタれている僕のペースに合わせてくれるらしい。  それはそれで、ホッとしたような残念なような複雑な気持ちだ。  この面倒な性格に自己嫌悪する。 「あ。ご飯も食べたい」 「うん、わかった。大盛り、だよね?」 「さっすが。私のことをよくわかってるじゃん」  ニカッと、悠香ちゃんは屈託のない笑顔を浮かべた。  彼女のそのキラキラとした笑顔が大好きなのに、輝きが強すぎて目眩がする。  ごまかせないくらい熱くなった顔を少しでも冷ましたくて、悠香ちゃんから顔を逸らす。  僕はバクバクとやかましい心臓を押さえながら、もつ鍋とうな重を注文した。 《完》 人身御供(ひとみごくう) いけにえとして人身を神に供えること。 そのいけにえとなる人。 比喩的に、他人の欲望を満たすために犠牲となる人。 【蛇足】  四字熟語の募集に参加したかったけど、普通に間に合いませんでした。私自身はこの四字熟語を使いがちなので条件からも逸れている気がします。  闇に葬り去ってもよかったのですが、会話の中で妻が「ひとみごくう⁇」ってポカンとしていたのが面白かったので供養しました。  普段の語彙力は妻のほうが高いため、新鮮な気持ちになったので、思い出として残させてください。  ※実際の妻との会話はこの物語とは全く異なります。  会話の内容や流れは忘れましたが、多分もっとアホでした。  ※タイトルは「辛味が苦手なあなたの喜ぶとこは?」と読みます。

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君が紡ぐ歌

 いつもは静かな彼女が、今日は妙に調子のはずれた鼻歌を刻んでいる。  歌に合わせて、上半身もゆったりと前後していた。  ずいぶん、ご機嫌だな。  リビングのソファでのんびりとスポーツ雑誌を読んでいる。  ハミングのせいか、ページを捲る速度はいつもよりゆったりしていた。  そろそろ休憩を促すためのお茶でも用意しようかと立ち上がったとき、彼女と目が合う。  見すぎたかな。  多少の申しわけなさを感じていると、彼女ははにかみながら雑誌を閉じる。 「元気が出るお歌なんだよ」  お歌……。  幼い言い回しに胸がキュンと締めつけられる。  またひとつ、彼女のかわいさを発見したところで、俺は気がついてしまった。 「元気がないんですか?」 「それは言葉のあや」  俺の余計な心配を迷惑そうに一蹴したあと、彼女はどこか懐かしそうな穏やかな表情で天井を仰ぐ。 「昔、本当に元気がなかったときに教えてくれたの」  耳に残る旋律もあって、以降、彼女はなにかにつけて口ずさむようになったらしい。  俺との暮らしに慣れてきてくれたのだと実感した。  うれしさの反面、俺がまだ知らない彼女の弱さを知る人がいるというという事実にドス黒い感情が噴き上がってくる。 「誰にです?」  それ、仮に男だったら記憶から削除してやりたいんだけど。  不用意な発言に自覚はないのか、彼女は特に俺の様子を気にすることはない。 「ん? 叔父さんの奥さん」  奥さん、ならまぁ。  彼女の身内みたいなもんだから、そうか。  複雑ではあるが同性だし彼女の身内のようなものだしと、なんとか溜飲を下げた。  しかし、隠すのがうまい彼女が本当に弱っていないかどうか、俺は知る術を持たない。  彼女の隣に座り、吸い込まれそうなほどに澄んだ瑠璃色の爽やかな瞳に影がないか覗き込んだ。 「本当に? ハムカフェとかネコカフェとかに行って癒されなくて大丈夫ですか?」 「だ、大丈夫だってばっ」  相変わらず至近距離に照れる彼女だったが、ちょっとソワァッとし始めている。  だが、あいにく今日は日曜日で、時間も午後を過ぎていた。  店に問い合わせてみたが、既に閉店まで予約で埋まっているらしい。  アニマルカフェは後日に持ち越すことになった。    * 「なにかいいことあった?」 「え?」  リビングで洗濯物を畳んでいたら、風呂から出てきた彼女がノシッと俺の背中に乗っかかってくる。  振り返ると思いのほか近い位置に彼女の頬があったから、チュウッと吸いついてやった。 「楽しそうに口ずさんでたから」 「あー……?」  指摘されて初めてメロディを口ずさんでいたことに気がつき、顔面を覆った。 「……っス」  はっず。  いつの間にか、彼女の鼻歌のクセがうつったらしい。  歌っていたのが彼女のお気に入りのゲームのBGMでよかった。  音楽まで同じとか影響されすぎて、さすがに気持ち悪がられるかもしれない。 「で? どしたの?」 「あぁ」  俺の心配をよそに、彼女は特に気にする様子もなく話を促した。  しかし、「いいこと」になるかどうかは彼女の返答次第だ。  洗濯物を放り出し、背中に乗っかっている彼女を俺の前に座らせる。  今度は俺が彼女の腹に腕を回し、背中に体重を乗せた。 「来週の水曜日の午後になってしまうんですが、ハムカフェの予約が取れたんです」 「ハムカフェ?」 「午後は空いてましたよね?」  平日の中途半端な時間帯ではあるが、少しハムスターと戯れる分には問題ない。  俺のほうはさっさと有給を取ってしまったが、彼女は午前中は仕事があった。  こういう日はついでに予定を入れがちだから、一応、確認を取る。 「まだ予定が埋まってなかったらどうかなと思いまして」 「予定はないから大丈夫、だけど……」 「私、本当に元気だよ?」 「ちょっと期待はしてたじゃないですか」 「うっ」  図星を突かれたからか、恥ずかしそうに体を縮こませた。 「なんでわかるの……」  なんでって。  先日の鼻歌しかり、オフの日の彼女は意外と態度に出るからだ。 「まあ、そういうことなのですけど、どうです?」 「ん。いいよ、うれしい」 「よかった。楽しみにしてますね」  クスクスと笑い合ったあと、彼女は俺の上から立ち上がる。  横隣に座りって、ふたりで洗濯物を畳んでいった。 《完》

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そして、

 味噌汁が五臓六腑に染み入る季節になってきた。  キッチンにアサリと味噌の香りが立ち込めていたときである。 「あ。お味噌なくなっちゃった」  そんな彼女の言葉から、俺たちはスーパーで買い物をするために身支度を整え始めた。  リビングで軽くメイクを施していく彼女は、最後の仕上げといわんばかりにリップブラシを唇に乗せる。  薄い唇が鮮やかな桃色に彩られた。  上唇と下唇を合わせながら口紅を馴染ませる動作は、何度見ても魅入ってしまう。 「モモみたいですね」 「え?」  余程唐突に感じたのか、彼女はポカンとしながら小さな鏡を通して俺を見つめた。 「食べたくなってきました」 「あぁ、モモ? でもさすがにもう売ってないんじゃない」  鏡に映る自身の唇を見つめながら、楽しげに声を弾ませる。  その視線が欲しくて細い顎をさらった。 「かな……?」  視線を手に入れたら、今度は瑞々しい唇も欲しくなる。  ちゅむ。  彼女の言葉を唇で遮った。  化粧品特有の甘やかな香りと、艶を唇から奪う。  彼女の下唇に濃く乗った鮮やかに潤っていた桃色を執拗に食んだ。 「……もー」 「リップ、取れちゃいましたね」  口紅に代わって俺の唾液で濡れた唇を親指で撫でる。  身を捩って恥ずかしさをごまかそうと、彼女はツンケンと顔を逸らして俺の指を払いのけた。 「れーじくんの唇がぷるぷるになっちゃったじゃん」 「コレで、拭ってくださいよ」  照れを隠すために無法地帯となりかけるお口にかまうことなく、舌先でノックをする。 「ダメ」  鼻の抜けた息をこぼしながら、彼女は蠱惑的に瞳を揺らした。 「まずは買い物から、ね?」  買い物デートは譲れない。  俺が絆されることをわかっていて、余裕たっぷりに煽る彼女を簡単には手放したくもなかった。 「……『から』ですか?」  眼鏡というレンズ1枚。  この板を挟まないと彼女の輝きをきちんと捉えることはできないのに、隔たりとなる眼鏡が煩わしかった。  だが、さすがに彼女の反応が速い。  フレームにかけた指は、彼女の細い指に絡め取られてしまった。 「買い物してー、手を洗ってー、部屋の片づけしてー、ちょっと休憩してー」  捕らわれた俺の手先は彼女に操られたまま、きれいにメイクされた顔の輪郭をなぞる。 「キスはそれから、でしょ?」  爪の先に薄い桜色の唇が乗った。  ちろ、と彼女の舌先が爪に触れる。 「それ」  誰に覚えさせられたんだよ。  油断すると迫り上がってくる嫉妬と独占欲を、無理やり押さえ込んで平静を装った。 「……焦ったくてチュウだけじゃすみそうにありませんけど?」 「キャアッ。えっちー」  パッと手を離して、彼女は楽しそうに表情を綻ばせる。  無邪気でかわいいが、それで絆されるほどチョロくはなかった。  自由になった両腕で彼女の腰を抱き寄せる。 「俺、まだなにも言ってませんよ?」  夏の頃に比べて厚手になったシャツの下から、骨盤の薄い皮膚の上を撫で回した。 「そっちこそ、なにを期待したんです?」 「私がしてあげるのは、キスだけだよ?」  妖艶に揺れる瑠璃色の瞳に目を奪われていると、ひんやりとしたコットンが唇に押し当てられた。 「なにか、してほしいことでもあるの?」  いくらなんでも、それは思わせぶりがすぎるだろう。  反撃されることを全く考慮していないあたり、脇が甘すぎて心配になるくらいだ。 「俺のしてほしいこと、してくれるんです?」 「買い物が先」  挑発的な微笑みに、俺はあっさりと白旗を上げた。 「……さすがに絆されました」 「ふふんっ」  得意げにふんぞり返っているが、本当に……。  本っっっ当に、負けず嫌いの彼女は目先の勝負しか見えていなかった。  そして、買い物のあと。  俺は彼女をグズグズになるまで蕩かしていく。  据え膳としてぶら下げてくれたご褒美を、心ゆくまで堪能した。 《完》

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夜をみはる 箒星をさがす

 いーちゃんは夜がきらい。  おきたとき、パパとににがいなくなったから。  いーちゃんは夜がきらい。  こんどはママがいなくなった。  ママはてんごくにいったと、しらないひとがおしえてくれた。  いーちゃんのだいすきなひとをたべちゃう夜は、とてもこわいじかんなの。  だから、いーちゃんは夜をみはった。  きらきらのお星さまも。  しずかなお月さまも。  ぜんぶぜんぶ、夜のゆうわく。  くろくておおきな夜のおそらにすいこまれないように、おふとんにしがみついてまくらをかかえた。  眠るのがこわい。  夜がこわい。  夜がわるさをしたらどうしよう。  いーちゃんもたべられちゃったらどうしよう。  だから、いーちゃんはかんがえた。  なやんだいーちゃんは、だいすきなひとをとおざけた。  あるひ。  めのまえに、とつぜんあらわれたおーじさま。  おねがい、やめて。  きらきらしため。  しずかなこえ。  おおきなて。  夜みたいなすがたで、いーちゃんをゆうわくしないで。  もう、だいすきはやめたの。  もう、はなればなれはいやなの。  もう、ひとりでいることにしたの。  夜みたいなおーじさま。  おねがい、やめて。  いーちゃんのなみだにさわらないで。  いまさら、夜のぬくもりなんてしりたくなかった。  ひとつ。  箒星がながれた。 《完》

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ネカマの戯言

 はじめまして。すゞめです。作品を読ませていただきました。  物語自体はしっかりしていて読み応えもあります。とても面白い作品でした。  あくまで小説として、私個人が表記で気になった点をいくつかあげさせていただきます。 ●字下げ  している箇所としていない箇所の意図が読み取れませんでした。 ●句読点  句点のない箇所が混在しているのが気になります。 ●三点リーダー  基本的に記号はニコイチです。英文のところは許容できますが、ほかの箇所は統一したほうが無難です。 ●""と“”と「」の混在  文量に対して強調するべき箇所が多く、効果が薄いです。  特に""と“”の区別は読み取りにくく感じました。  偉人の言葉の抜粋のみ""とすれば、わかりやすくなるのかもしれません。 ●誤字? 『 中野は真っ直ぐな目で言った』 中野→健? 『だが隆は、黙って頷いた。』 隆→健?  物語の佳境ということもあり、個人的にかなり気になりました。  私はキャラクターをメインに感覚的に読んでいくタイプのため、キャラ名の表記揺れと誤字は熱量が下がります。 ●視点のブレ  視点が三人称から一人称に切り替わったため、戸惑いました。  賛否はありそうですがこの物語の場合、一人称で主人公の感情をぶつけていくよりも、三人称ならではの淡々した事象で熱量をぶつけたほうが、効果的に印象を残せると思います。 ●基本的に小説は文字のみの世界  経験則で申しわけないのですが、表記で個性やこだわりを出そうとすると、誤字として弾かれがちなのでおすすめしません。  例えばですが、 『 私たちは三人で下校していた。ひとりで帰るのも嫌だが、奇数での集団下校も苦痛である。  ◯  ◯ ◯←私  三人で帰ると、いつもこうやって私ひとりが後ろに追いやられるからだ。』  こだわるのであれば、最低でもこのくらいわかりやすいことをやらない限り、表記の意図を読み手は汲みません。 ●まとめ  冒頭でも書きましたが、ストーリーに入り込みやすくて面白い作品です。  ですが「小説としての書き方」を求めた場合、前述した箇所は気になる部分でもありました。  テンプレートとして、参考になれば幸いです。  最後に、前述の指摘を全て受け入れる必要はありません。  Noveleeには書き手さんもたくさんいますし、書き手、読み手として作者のこだわりを温かく受け入れてくださる方が多い印象です。  いろいろな作家さんの表現や表記に刺激を受けながら、ご自身でもどんどん挑戦してほしいと思いました。  以上です。ここまでネカマの戯言におつき合いくださり、ありがとうございました。  よき執筆ライフをお過ごしくださいませ☺️ 《完》

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たくさんの「秋」をありがとうございます。

 気がつけば「秋をください」とおねだりをした募集の締切が間近に迫ってきていました。  少し早いですが募集に参加してくださった作家のみな様、寄せられた作品に目を通してくださった方、企画を一読してくださった方にお礼を申しあげます。  新参者が勢いで募集したため作品が集まるか不安でしたが、思いのほかたくさん作品を寄せてくださいました。  本当に感謝いたします。  どの作品も「秋」のアプローチや描写が魅力的なので、少しだけ紹介させてください。 【参加者】 ✴︎「紅葉と高揚と」 じゃらねっこ様  お散歩のなかに含まれた物憂げで情緒あふれる描写、ラストのリフレインが素敵でした。 ✴︎「【秋がきた】」 ゆうか様  広大な大地が夏から秋に移り変わっていく描写が絵画みたいで心が晴れやかになりました。 ✴︎「お月見大会」 TsuNa 銀様  月見シリーズの羅列からどんどん壮大になっていく謎の展開がクセになって面白いです。 ✴︎「銀杏」 蒼様  朝寒のなか会話を弾ませる夫婦がかわいくて穏やかなふたりの距離感にほっこりしました。 ✴︎「旬の味、可愛い貴女」 山代裕春様  秋の旬のなかにさり気ない人物描写が絶妙で、リズミカルな調子がとても気持ちいいです。 ✴︎「金木犀」 はのん様  一度覚えたら忘れられない金木犀の香りと失恋という取り合わせがロマンチックでした。 ✴︎「秋の匂い」 あいびぃ様  私個人の年齢もありノスタルジックな心地で読みました。とにかくオノマトペがかわいい。 ✴︎「秋のある日」 あねもね様  秋の味覚がオシャレに描かれているのに、所々クスリとする場面もある贅沢な作品です。 ✴︎「秋のおくりもの」 しんきユーザー様  突然秋雨にみまわれ、神社でコオロギの音色を聞きながら雨宿りする描写が神秘的でした。  ※投稿順  以上、9名の方に参加していただきました。  感想文が不要の場合は、お手数ですがこちらのコメント欄に一筆ください。削除いたします。  本来であれば私自身の「作品」を投稿するかたちでお礼と代えさせていただくべきなのでしょうが、すみません。  先週からソシャゲで推しのイベントが来ておりまして、執筆どころか秋の解像度を上げる努力すら怠りました。  蕾だった金木犀の写真を撮って、開花する様子をタイムラプスにでもしてみようと計画はしていたのですが。  今朝、金木犀の木を見たら見事に花を咲かせていました。  つい最近、彼岸花がきれいに群生していた気がしたのですけど、あの子たちはいつ散ったのでしょうか。  花びらの落ちた地面を見るのが好きなのですが、見過ごしてしまいました。  今年になって帰宅ルートも変えてしまったため、イチョウの木も見ていません。  代わりにカエデの木を見ています。上空から緩やかにグラデーションを描きながら、葉が赤く染まっていく様子がきれいでした。  「秋」という季節感を真正面から捉えることは、私にとって難しいことであると痛感しております。  ですが、雰囲気小説らしく少しずつ「秋」を取り入れて季節感を出していけたらいいなと思っております。  締切までは少し時間はありますし、滑り込みしていただけるようでしたら歓迎いたします。  今回は「秋をください」という募集にご協力いただき、本当にありがとうございました。 《完》

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遠い足音

お題「気遣い」  彼女の自宅の下駄箱に、見慣れないブランドロゴの入ったシューズボックスがあることは知っていた。  それがスニーカーではないことも。  だからといって、その靴の中身が黒のハイヒールだったなんて予想はしていなかった。  う、わっ……⁉︎  カツ、カツ、と上品に音を立てて彼女は颯爽とこちらに向かってくる。遠くから俺を捉えた彼女は、ヒールのせいか駆け寄ってくることはなかった。早足になるわけでもなくひらりと控えめに手を振る彼女に、俺のほうが待っていられない焦ったいわずか数メートルに、たまらず俺が急くように詰めてしまった。 「ごめん。早めに来たつもりだったのに、また待たせちゃった」  彼女が時間よりも少し早めにくることを知っていたから、俺はさらに早めに待ち合わせ場所に来たのだ。  彼女を待たせてナンパでもされたらたまったものではない。  そもそも、俺含め、そこらへんに転がっている男なんて待たせておけばいいのだ。 「いえ。それよりもその靴……」 「ん? 変かな?」  ヒールの高さは4、5cmほどだろうか。  黒い靴に滑らかな白い足の甲のコントラストは目に毒だ。  速度を増す胸の鼓動に気づかなり振りをしながら、表情をわずかに曇らせる彼女の言葉を否定する。 「いえ、とてもよくお似合いですよ。でも疲れたらちゃんと教えてくださいね?」 「わかった。ありがと」  商業施設のカフェに行く予定だ。  人通りも多くて賑やかな場所だから、多少ヒールの音を響かせても問題はない。  だが、いつもスニーカーばかり履いているから、靴擦れができないか心配だ。  彼女の足裏に傷を作るわけにはいかない。  決意を新たに、俺は彼女の手を引いて歩き始めた。    *  彼女は俺のすぐ隣にいるはずなのに、足音が遠く感じる。  ショッピングモールという雑踏のなかに紛れているにしても、彼女の足音が妙に静かだった。  いつもより少し歩幅は狭いが、彼女が歩きにくそうにしている様子も、足を引きずっているわけでもない。  緩やかなリズムを刻むヒールの音は、心地よさすら感じた。  とはいえ、普段は階段を使うところをエスカレーターに頼ったりして、少しでも彼女の足の負担が少なくすむように注意を払う。  彼女の頭頂部がいつもより高くなった。  小さく揺れるポニーテールから白い頸が覗いて、俺の心臓まで揺さぶられる。  俺の視線がうるさすぎたのか、そのポニーテールが翻った。 「……どうしたの?」  あなたのおみ足にドキドキしています♡  なんてこの場で言ってしまおうものなら、逃げられてしまいそうだ。彼女の言葉には、首を横に振っておくことにする。 「いえ。なんでもありませんよ」    控えめにいって、彼女のヒールは心臓に悪かった。  すらりと伸ばされた足の甲は色っぽい。  ジーンズに隠れたふくらはぎが張っていないか、靴擦れを起こしていないか心配になり、ことあるごとにベンチやソファに座らせようとすれば、彼女は淑やかに足を斜めに揃えて腰を下ろした。 「ごめん」 「え?」  自販機で買った小さなペットボトルを、彼女は両手でペコペコと遊ばせる。 「こんなに気を遣われるとは思ってなかった」 「あぁ」  大型商業施設ということを利用して、昼食、水分補給、ガチャガチャを回して開封式、カフェ、トレーディングカードのパックをいくつか買って開封式。  適当に理由をでっちあげては彼女を座らせる機会を多く作った。 「すみません。露骨すぎましたか?」 「いや、れーじくんの過保護は今に始まったことじゃないから、それは、今さらいいんだけど……」  いいんだ。  本当に。  彼女はなんでも受け入れてくれるから、俺は確信に迫ってみることにした。 「では、過保護ついでにひとつ、教えてください」 「……なに?」  小刻みに挟んだ休憩は、俺の心臓を落ち着かせる目的もある。 「今日はどうしてヒールを?」  彼女がヒールを履くときは大抵フォーマルな場面だ。  そんな彼女が俺とのデートでわざわざヒールをチョイスしたのには、なにかしらの理由があるに違いない。  俺に聞かれることくらいわかりきっているだろうに、彼女は露骨に視線を泳がせた。 「それ、言わなきゃダメ?」 「言いたくないなら言わなくていいです」  前もって適当な理由を用意するわけでもなく、彼女は俺につけ入る隙を無防備に晒す。 「でも、俺にとって都合のいい口実ができるんですけど。そこは大丈夫ですか?」 「は? 口実? なんの?」  あまつさえ、大きな瑠璃色の瞳を無垢に瞬かせるのだから始末に負えなかった。  どこまでも俺を弄ぶ魔性の恋人である。  ひとり勝手に振りまわされるのも癪に障り、ひとつ咳払いをして形勢の立て直しを図った。 「ここからだと俺の家のほうが近いじゃないですか」 「んー? まぁ、確かに。そうかもね?」 「ヒールで長距離を歩かせることは本意ではないですから。簡単に俺の家に誘い込むことができます」  幸か不幸か、俺の家には彼女のスニーカーも置いていた。  朝帰りなんてあまりさせたくはないが、2日連続でヒールを履かせずにすむ。 「俺とドロドロになるまであまーい夜を過ごしましょうね♡」  ここまで露骨に言い回せば鈍い彼女でも察したらしく、顔を真っ赤にしてキャンキャン吠える。 「あのさあっ⁉︎ 言い方! もうちょっと気を回してもらえるっ⁉︎」 「遠回しに言ったところで照れるじゃないですか」 「そうだとしても! そ、それに……」  頬を染めたまま、彼女はわなわなと唇を震わせる。  手にしていたペットボトルが頼りなく音を立てた。 「言わなきゃ誘ってくれないなら、言いたくない」  消え入るような声音で吐露したあと、彼女は唇を噛み締めて俯いた。  ドギャアン‼︎  我慢していた心臓があり得ない音を立てて、胸をキツく締めつけてきた。 「……っ‼︎」  両手で左胸を押さえながら乱れた心音と呼吸を整えていく。 「では、ピロトークで教えてください」 「だからっ、言い方っ! いい加減にしてっ!」  息も絶え絶えに伝えれば、きれいに揃えられていた彼女の足が崩れた。  黒いヒールの靴先で俺の靴を小突く。 「俺の気遣いはもう売り切れです」 「ウソつき」 「本当ですって」  建前を全て剥がされて、残っているのは下心のみである。  きれいにめかし込んだメイクを早く崩したいと、心が急いた。  背中を軽く押して彼女を促す。  再び、遠く感じる静かな足音をすく側で耳にしながら、俺たちはショッピングモールをあとにするのだった。 《完》

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繊細さは嗅覚から死んでいく

 主にZ世代の間で流行っているMBTI性格診断テスト。「MBTI」と検索すれば、サーチエンジンの一番上に無料で診断できるサイトが出てくる。  なにかしらのきっかけで何度か試みたことがあるが、私は診断結果まで辿り着けたことがない。  理由はいたってシンプルである。  飽きるのだ。  MBTIに限ったことではないが、この手の診断テストは設問が多すぎる。毎回毎回、見事に挫折していた。  かといって、設問が少なすぎても「この程度の質問数で性格を分類されてたまるか」とも思う。  我ながら面倒な性格であることは自覚済みだ。そっとしておいてほしい。  これを機に、少し真面目に自己分析をしてみることにした。  ポチポチと診断テストを進めていくことは諦め、診断結果に使われているアルファベットからタイプを推測してみる。  横着していることはわかっていた。  しかし知人を巻き込んでも診断結果までゴールできないのだから、もはやどうしようもないだろう。  その知人にはお詫びとして、コーンポタージュ味のうまい棒を1本あげた。私は3本食べた。おいしい。  おそらく、私はINFP−T(仲介者)もしくはINTP−T(論理学者)であることが推測される。  そしてI(内行型)とP(知覚型)、T(慎重型)は確定的で、気分に左右されることはなさそうだ。  間のS(感覚型)N(直感型)、T(論理型)F(感情型)は正直、その日の精神状態によってはフラフラしそうである。  7段階評価の「概ね」「どちらかといえば」「どちらでもない」なんて曖昧な指標が5枠もあるせいだ。これだけ幅を作られたらそのときの気分によってブレが生じる。  回答をどこに置くかで、絶対に割合が変わるはずだ。  そもそもSとNに関しては言葉が近くてわかりにくい。経験則に基づいて手堅い判断をくだすか、賭けに出て状況を打破しようとするか、という解釈をした。  こいつに関しては本当にケースバイケースだから、判断に迷う。咄嗟の判断力を試されるのであれば後者だろうか。後者ということにした。  早くも自己分析とは……と首を捻り始める。  TとFはおそらく私自身の理解力による。  私自身の理解の及ぶ範疇であれば順序立てて効率重視で理詰めで思考を整理できる。多分……。  逆に理解ができない未知の事象に対しては好きが嫌いか、いい感じか否かなどといった主観に頼りがちだ。  小説の批評をすることもされることも苦手なのは、ひとえにこの部分が影響している。悲しい。  これらを総合的に踏まえて、私はINFP−Tの仲介者であると結論づける。  仲介者として目にした特徴は「共感力」「想像力」「理想主義」だった。  繊細で芸術を嗜み、利他的でことなかれ主義。  適職はクリエイター系、福祉関係、あたりがピックアップされていた。  内向型にしてはきちんと人と関わる職が選ばれていたことに驚く。クリエイター職なんて繊細な人には精神的な負荷が大きそうだ。福祉関係も内向型にはしんどくないのだろうか。  私個人としては製造ラインでひたすら生クリームだけ乗せるとか、同じ品物のシール貼ることが好きだ。夢はないが楽しい。  このあたり、仲介者の方がいたらぜひ教えてほしいと思った。  恋愛面ではチー牛。ネガティブに極振りした私の一方的な解釈だ。関係がなんにも進展しないヤツである。距離が近くなると怖くなって離れた。お近づきになりたいと思った相手にはだいたい嫌われる。つらい。  正直、私を選んだ妻は頭がイカれていると思った。入籍して確信する。とち狂っていた。結婚してくれてありがとう。  内面に触れるデリケートな内容のせいか、16タイプ全て目を通してみたが、どの性格も耳障りがよく、当たりさわりのないことが書かれていた。  ほかにも、仲介者(仮)としての私が言いたいことは山のようにあるが、ここはあえてひとつだけにしておこう。  若いっていいなー。  このひと言に尽きる。 《完》

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