卸売生姜
9 件の小説剣の役目と鍛冶師の役目
カン、カン、カン、…キーン…… ハンマーで何かを叩く音で目が覚めた。 夜中。父は竈に金属を焚べ、ハンマーで休まず打ち続ける。いつから打っているのだろう。父の額には汗が滲んでいた。装飾の凝った剣が出回る中、父は剣自身を鍛えることを辞めなかった。 それから数年経ち、今では私が父の後を継ぎ、店を経営している。 カラン…店のドアが開いた。 「ルイ、遊びにきたよ〜!!あいっかわらず汚いな〜…まあそこがいいんだけどね!」 店に入ってきたケモ耳の少女は子供の頃からの友達、リリカだ。 どうやら金属をもらいにきたらしい。 「悪いけどこっちもないの。ところで来月貸した金属はどこいったのかしら?」 「うっ…え〜と、ちょっと試し打ちに…この間のお客さんにも奮発しちゃったし…」 リリカは目を泳がせる。 「はぁ…ねぇ、今からダンジョンに行くのだけど当然ついてきてくれるわよね?友達でも貸しはきちんと返すのよ?」リリカの優しいところは嫌いじゃないが、商売に影響するとなると厄介だ。 西の森のダンジョンに着く。 敵の出にくい時間帯を選んだかいもあり、金属は早めに集めることができた。あと数種類の薬草や水晶などを集めて探索は終了した。 「結構早く集まってよかったね!ところでその水晶とかはどうするの?」 「…内緒。」 宝石のような綺麗な見た目でもない、高値で売れない水晶は市場にも出回らない。だからこうして取りに来る他ないのだ。 「ねぇ!たまにはルイの打つとこみたい!誕生日近いんだしいいじゃん。」 「打ったらあげる。」 「やった〜!ありがとうルイ!」 店に戻ってきた。作業着に着替え、竈に火をつける。金属を先に入れ、水晶を後から入れる。 採掘したての金属だからできる純度の高め方だ。 カン、カン、カン、カン…ピシッ… 時々水晶のつけた水に入れ、また熱し、打つ。 澄み切った音がなるまで。 カン、カン、カン…… 「キーン…」熱いうちに整形をし持ち手をつける。 ………完成だ。 一本の剣が完成した後の余韻に浸る時間がルイにとって、至福の時間だ。 「…どうしよう。あげたくなくなってきた…」 愛着が湧き、ずっと手元に置いておきたいと思うのは、職人ならばよくあることだ。だが… 「この剣が多くの人々を救い、主人を守ってくれますように。たとえ朽ちてもその思いが心に残りますように。」 彼女はそう願い、送り出した。
歪んだ愛
「ねぇ、私だけを見て?」 「あなたは私の全てだから。…お願い。」 「愛してるよね。そうだよね!私も大好き♡」 僕は彼女の言う通りうなづく。 「私たちは相思相愛だから、これは束縛じゃないよ?…しょうがない?忙しいから?違うよね。私思うんだ!」 「後輩の恵美ちゃんとか先輩の香織さん… 残業を任せてくる郡山さん…だっけ? 他にもいるよね。邪魔虫が…」 彼女は指を折って数えていく。背筋に寒気が走る。知らないはずの職場の人の名前が次々と挙げられる、 「お仕事になんて行ってほしくないんだよ…いつも知らない人の匂いをつけてくるあなたが嫌い。」 僕は一言ごめんと言う。 「許さないから…許さないよ…愛してるから…だから…償おうね♡」 「大好きだから。いいよねこのくらい。 私が守らないといけないの。汚い人たちから。」 彼女はぼくの首に首輪をつける。 「か〜わいいい!!♡♡嬉しいね!ず〜と一緒にいればいいもんね♡私天才!」 正気じゃない彼女を前に後ずさる。だが彼女は首輪に繋がったリードを引っ張る。 「逃げちゃダメだよ?これからもずっと一緒♡ 私のこと以外、な〜んにも考えられなくなるまでず〜と…ね?…」
第六話 師グランテ
元魔女の彼女はルミルが泣き止むまでゆっくりと待った。 そして彼女は再び口を開いた。 「その瞳が必要とされている訳をまだ話ていなかったな…。おまえ、帝国の英雄は知ってるよな?」 「あっうん。先代の国王様ですよね?金髪と金色の瞳で有名な…」 「あのじじい…そいつの髪は若葉色で目も金なんかじゃないぞ?おまえと同じうっすら星が写ってる目を持っていたさ。これが星眼の由来でもあり、それは魔力の高いやつにしか見えない。」話疲れたのか彼女は椅子にぐったりと腰掛け目を瞑る。私は目を輝かせて彼女を見てはっきりと告げる。 「あの!…会ってみたいです!その人に…。 それが自分と同じ状況下でなくとも…今まで感じてきた虚しさ。悲しみが消えるかもしれないと、そう思えたから…」 こんなにはっきりと自分の意見が言えたのは初めてだったから、自分でも驚いた。笑われるだろうか…。そう不安に思ったが彼女は。 「いいじゃないか!自分の欲にまっすぐな奴は嫌いじゃない。だが今のおまえの実力じゃ村の外に出るのは無謀ってもんだ。ここと同じく、いつでも凶暴な魔物が襲ってくるだろうからな…。」 「でも…それでも‼︎私は行きたいです!」 私の返事を聞きニヤリと彼女は笑った。 そして彼女は羽ペンと紙を手元に出し、告げた。 「おまえ…私と契約をしないか?…」 これが魔女と旅をするニ年前の出来事。これがルミルの変わるきっかけとなった。 彼女と契約を交わし一度縄の外へと戻った。帰る時彼女に小さい時計のようなものを渡された。 「そいつがあればいつでもここに戻って来られる。 毎日来いよ!わかったな?わたしの弟子よ…」 「あっありがとう!魔女さん!」 「師匠だ!グランテ師匠と呼べ! …またな、ルミル!」 初めて師匠は私の名前を呼んだ。 戻った後私が気絶させたアミカが目を覚ましており私に飛びついてきた。 「ルミル!何処行ってたの⁉︎心配したんだからぁ〜!!」 顔が近いし苦しい…。そう言えば、アミカの男性恐怖症が治っている。おっさんとだいぶ打ち解けたのだろう。おっさんの方を見ると微笑んで親指を立てた。悪い人ではないと思い長いことアミカの子守りをさせていたのだ。お疲れ様という意味も込めて苦笑いをして親指を立てて返した。 おっさんはアミカに説明をしてくれていて助かった。どうやら蛇に噛まれて気絶したということにされているらしい。おっさんグッジョブ!。 それから授業が終わるとその魔女の家に行き修行をすることになった。魔法の基礎を理解してからでないと星眼と向き合うことはできないそうだ。 師匠は過去の研究の成果や自分の固有魔法の担い手を探していたらしい。 修行はまず魔導書の内容を頭に叩き込んで魔法の性質を理解する。理解できればあとは実践あるのみ。自分の魔力が尽きる一歩手前くらいまで魔法の練習をする。これは自分の魔力量の底上げにもなるらしい。地道に一歩ずつ続けてきた。 「ほら早く飲んで次行くぞ?」 そう言って師匠特製ポーションを渡させる。材料は怖くて聞けなかった。ただ時々薬草や虫を取りに行く。その中に材料も入っているのだろう。 師匠との契約期間は二年だ。時間は有効に使わなければならない。 「…やめるか?」師匠が挑発的に問う。 「…いやっ、続けてください!」 師匠は笑い、授業を続けた。 そし二年目の冬がきた。師匠は書き置きを残して留守にしたり声は聞こえても姿が見えないことが多くなった。今日も書き置きがあった。 「えーと……………は?」 紙には「1ヶ月後、最後の授業として私と戦え。」 と…そう書かれていた。
第五話 それだけで価値がある
「…がっつくのはいいが最後まで話を聞いておくれよ?」四角いパンを両手に持っているのを見て言うが、本人は気にもとめておらず、食べながら喋ろうとする。どうしてこんなやつを選んでしまったのか…と過去の自分に問う。 「では話の続きをする。時は一千年前に遡る…」 ・ ・ ・ 私は一千年前のここ、北アレン川の辺りにある小さな村で生まれた。 私は単なる明るい普通の子供で、村の子供らとも仲良くしていた。…だが私が5歳の時、ある転機が訪れた。その年は数100年に一度の流星群が見られる年だった。私はその観測日に熱を出した。家族には寝ていなさいって言われたが、家で一人でいるのは退屈だった。だから、膝掛けを持って空が綺麗に見える丘に走った。 その時は妙に体調が良く、空がはっきりと見えた。 あの空は綺麗だった…あの空を見るために外に出だことにはなんの後悔もしていない。流星もやみはじめ家族にバレる前に帰ろうとした時だ。ゆっくりと…一つの流星が降ってきたのだよ。それは私の真上に。それは消えて無くなることはなかった。もう少しで当たる。幼かった私でもわかったさ逃げられない…と。その時だ。一瞬であたり一体の色が消え、鳥も草花の動きさえ止まった。静まり返った世界に一人佇み困惑していると一人の女が空から降りてきた。白いマントと葵いサファイアのような瞳の女だった。彼女は魔女だった。本能がそう理解した。そして私は彼女と契約をした。彼女が、流星となれなかった隕石を消し、私は彼女の弟子となる。そういう契約だった。 隕石を止めたことは誰にも信じてもらえなかった。村の人々はその日流星群があったことの記憶すらもなくなっていたさ。私は師匠の家に通い詰め、たくさんの研究をした。霧狩りトカゲを捕まえて干したり、星の見える夜には金糸をはく蜘蛛がでるから一晩中蜘蛛を捕まえたさ。朝まで続いた時は師匠に気付け薬を作ってもらったよ。ただ料理の腕だけは無かったな。前はルームメイトがいたらしいけど、料理の腕のせいで出ていかれたとか… ・ ・ ・ 「…まあそんな話はぶっちゃけどうでもいいんだよ。あたしが話したいのは最後の話だ。」 するともう一つの椅子に声の主が現れる。先ほどから居たかのように自然に椅子に座っている。 左目には眼帯がしてあり、彼女は後ろに結んだリボンを解きそれを取る。 「おまえさんと同じ…いや、本物と比べちゃぁだめだな。どうだい?よくできた目だろう?…。」 彼女にはルミルと同じ無色の瞳がついていた。 目の周りには切り傷があり、元々あったものではないようだ。 「私が生前、師匠と最後にしていた研究の成果だ。本当なら魔女にとって喉から手が出るほど欲しい代物だ。持って生まれたというだけで価値がある。元々そうで無かったとしても、だ。 おまえの持っている目はなにも恥ずべきものではない。だからもう…諦めなくたっていいんだ。」 みんな色があった。髪だってこんなに黒い人なんていなかったし、今まで自分に価値があるなんて…必要とされる存在だなんて言われたこともなかった。こんなにも、こんなにも…… 少女の瞳から十数年ぶりに涙が溢れた。
第四話 森の嫌われ者 後編
…ポシェットからポーションを取り出し、一気に飲み干す。子供の頃魔素中毒を何度か経験したことにより、耐性はあるがもって3分だっただろう。 微かに低い唸り声が聞こえた。振り返らずともわかる。 「…まずい、近頃見かけないと思ったら…。なんでこんなところで魔素に当てられてるのよ…」 そこにはよだれを垂らし、鋭い目でこちらをみる狼がいた。それも魔素に当てられ、凶暴化したやつだ。 ゆっくりと歩きながらカウントダウンを始める。8… 7… 6… 5… (…一か八かやるしかない!!)2… 1 ! 『バインド‼︎』 カウントが終わった瞬間に振り返り、呪文を唱える。そして周りの蔦が伸び、狼に襲いかかる。完全に拘束できる訳ではないが、彼女が逃げるには十分な時間が稼げた。 (走れ走れ走れ走れ‼︎…)ポーションも走りながら飲んでいるため、まともに体力は回復しない。 そのまま走り続け、ようやく目的の場所に着いた。それは小屋だった。石造の壁に木の屋根のついた、小さくとも立派な小屋だった。森は草木が生え放題で荒れ果てた有様だが、その小屋の周りだけは、森が避けているようだ。 (コン、コン…)正面の扉にノックをしてみる。 返事はない。だが、ガチャリと音が鳴り、扉が開いた。中には、机と椅子,本棚に、草とトカゲが入った瓶,見たことのない植物の標本など。不思議なもので溢れていた。 「ーこんにちわ…お嬢さん…」頭の中に直接音が聞こえてくる。「ー驚いたかい?」 「驚いたわ、ただ表に出すのが昔から苦手なの…」 「ーそうかい。まあそれも一つの長所だよ。相手を騙す上では常法するさ。」 「ーさてまあそこに腰掛けてくれ。ここは魔素の影響を受けないからゆっくりしていくといい。」 椅子が引かれ、ティーカップとポットが動き出す。 「私はどうして呼ばれたの?早く本題に移りたいのだけれど.」声の主は苦笑する。 「(…本当にそっくりだね昔を思い出すよ。)…その前に昔話をしようじゃないか…さて聞いてくれるかい?………森の嫌われ者の話を.」 暖かい飲み物とオレンジ色のジャムのかかった固めなパンは粗末なものだが、森に入ってから一度も休憩をしていない尚且つ、昼飯を抜かした少女を誘惑するには十分だった。 ※その頃のおっさんとアミカ 「…はらぁへったなぁ〜…」おっさんは独り言を漏らす。一方、 (すーっ…すーっ…)アミカは微動だにせず、いまだに眠っていた。
第一話 嫌われ者の少女について
私はルミル・オルスト、属性は無。属性判定は5歳の時にするのだけれど、私の目の色素はなくなってしまったから、できなかったの。 真っ黒な髪。色素のない白い目。 私はみんなに嫌われている。それでも家族は私のことを愛してくれていたと思う。でも村のみんな全員がそうとは限らない。私に近づきたがる人は滅多にいなかった。影ではみんなこう言ってる。 「こっちに来るな」,「邪魔」,「迷惑」など…最初は聞いてて嫌だった。でも、いつのまにか慣れた。傷つかないわけじゃないけど、遮ってくれる親友がいるから耐えられる。まあ寝てたら聞こえないし、別にいいかなって思ったりもする。 でも寝過ぎてたまに怒られる。 「ちょっとたまにじゃないでしょ?あなた1日の半分以上は寝てるじゃない。」 アミカが来た。彼女はアミカ・シュルト、属性は火。明るく活発的ではあるが、知らない人と話す時はコミュ症が炸裂し、しどろもどろになる。あと、たまに手がでる。 私が寝坊したり、昼間に熟睡していると起こしに来てくれる。 「いつもありがと……」 「ルミル…まだ寝ぼけてない?…って寝るな〜!話の途中で!!」ルミルは怒ると怖い。そう言う時はちゃんと起きるようにしている。 「あんたね…ゴホンッそれで、本題だけど、今日の放課後も絶対精霊探しにいくんだからね‼︎約束ちゃんと覚えてるのよね?…」怪しむような目で私を見る。 「もっもちろん覚えてるよ‼︎放課後に精霊探すんでしょ?いいな〜アミカの精霊は決まってて…」 「まあその精霊がたまたま火属性で実習の時に来てくれたってだけだから…ルミルのもきっと見つかるわ!!じゃあ私、席戻るから、またね!!」 精霊と人間は生まれた時からなんらかの縁で繋がっている。私はその縁がないのかな… …席についてください!授業を始めますよ〜… 「あっ先生が来た。最初は歴史か…もう何度も国の話は聞いたのに…先生もよく飽きないな〜…」先生が教本を取りだし、授業が始まる。 私はそれを窓際の席から見つめ、徐々に瞼を下ろしていく。そして私は船を漕ぎを始めた… どうも…卸売生姜です。読んでくださったみなさま大変申し訳ありません!昨日か、一昨日投稿した一話を誤操作で消してしまいました😭🙏。 本当に申し訳ありません🙇。 改めて、一話を書いたのですが、 内容が多分だいぶ変わってます!😱 本当にすみません!まじで気をつけます… …それでもまだ読んでくださる方はまた次回の終わりにお会いしましょう…はあ…本当にごめんなさい🙏
第三話 森の嫌われ者 中編(一人で…)
「嬢ちゃんが、本当にこの先に行くのかい? やめておいた方がいいよ?まあいくなら自己責任やし、止めないよ?止めないけどさ…」 「じゃあなんで今止めてるんです?」 「危険だって言ってるちゅうのにどうして嬢ちゃんは…」おっさんが呆れている。 「アミカをお願いします…それじゃあ‼︎」 私は森の奥へ進んでいく。 とその前に、話は少し前に遡る… 二人は走って十分のところにある、アレン川森林にいた。だが… 「ここか!?それともここか!?って…全っ然見つからないじゃない‼︎こんな森焼き払ってやろうかしら…」 30分経っても1時間経っても見つからない。 「アミカ落ち着いて!そんな簡単に見つかるわけじゃないしさ!ね?」 そもそも私が精霊に好かれないのもあるのだけれど…アミカの方が精霊から避けられてる気がする…まあ理由はわかるよ、うん…そんなバカみたいに叫んでるからだよアミカ…気づいて〜… とそんなことをしていると後ろから声がした。 「おまえさんたち…ここで何やってんだ?」 振り向くと、見知らぬおじさんが立っていた。 「あっあっ…だっだれよ!あんた‼︎」 アミカがコミュ症を発揮しています。おっさんを燃やしますか? はい いいえ …はいを選択。 「ちょっと待ってアミカ!何詠唱始めてるの!!止めて止めて‼︎」 「おいちょっと待ってくれお嬢ちゃん!悪かったよ俺なんもしてないけどさ‼︎とにかく悪かったから‼︎」 コミュ症でテンパっているアミカには謝罪も聞こえていない。 「アミカ!いい加減に…しなさい!!」 私は親友の首に手を当てた。そして軽くトンと叩く。親友は地面に崩れ落ちる。 ふぅと息を吐く。 「お嬢ちゃん…これ大丈夫?」おっさんは死んだように倒れているアミカを指差す。 「まあ多分大丈夫です。ところでおっさ、じゃなかったおじさんはなんでこんなところに…」 静かになったので疑問を口にする。 「今おっさんっていった⁉︎まだそんなに年取ってないよ‼︎」 「気のせいです…そんなこと言うわけないじゃないですかー」 最後の方が棒読みになってしまったが、おっさんは「そうか気のせいか…」という感じなので、よしとしよう。 「まあ、嬢ちゃんたちが精霊探してるみたいやったから、ちょっと注意しに来たんよ… この縄わかるやろ?これの外側には入ったらあかんよって言いたかったんよ」 「この札がついてる縄のことですか?」 薄い黄色の札が貼ってあるように見える。 「…まあそっそうや。そんなかは魔素の濃度が濃いから少しの間しか息ができんし…それに…(あやつもおるしなあ)」 魔素の濃度が高い…精霊のいる確率も高い! よし、行こう。縄の向こう側へ行こうとする。 「ちょっちょいまち!話聞いておったか?危険だって今わかったよな?物分かり悪いんか?」 このおっさんは何を言っているのだろう。要は10分以内に帰ればいい話だ。 「聞いてましたけれども?じゃあ行ってきますね!」こうして冒頭に戻り… 「危険だって言ってるっちゅうのにどうして嬢ちゃんは…」おっさんが呆れている。 「アミカをお願いします…それじゃあ‼︎」 私は森の奥へ進んでいく。
第二話 森の嫌われ者(前編)
庭の木の下で母は語る。そよ風が靡く。 「ルミル…あのね、あなたの瞳は……だから…心配しないで…」 (お母さん…なんて言ってるんだろう…。聞こえないや…)急に強い風が吹き、帽子が飛ばされる。、帽子をとるために手を伸ばす。 「ルミル…友達は大切にするのよ…」帽子を手に取り振り返る。母が風と共に消えていく。 「待ってよ、母さんお願い、置いてかないで!!」視界が白くなっていく。 「…森に行きなさい…」最後母は微笑んだように見えた… ・ ・ ・ 「ちょっと、ルミル‼︎もう放課後よ!まさかあなたずっと寝てたの!?どれだけお寝坊さんなのよ!!」 あぁ…アミカがいるということは夢だったんだ… 久しぶりに母さんに会えたのに… 母は4年前、流行病で亡くなった。王都からの特効薬は間に合わなかったのだ。 あと4日の辛抱だったのに… 「聞いてるの⁉︎…ってなんで泣いてるのよ!もう…鼻水も垂らして…拭きなさい‼︎」 「…優しい。あリがどう…」 鼻水を拭きながら言う。 「…ふん!別に大したことじゃないわ。それと、あなたずっと寝ててどうせ何も食べてないんでしょ!だから…これ食べなさい‼︎」 口に勢いよく何かが入る。「んぐっ…もぐもぐ…」 チョコチップの入ったクッキーだ。本来高価な物だが、アミカは商家の生まれだから買えるのだろう。こういうところお母さんみたいだ。 「お母さん!もう一つちょうだい!」 「はいはい…ってお母さんじゃない‼︎…全く…」 すかさずツッコミを入れるアミカに苦笑する。 「あっお礼しないと…こんだけだけど納めて‼︎」 ポケットからわずかばかりのお金を取り出す。 「ダメよそんな簡単にお金を渡しちゃ…ほらしまいなさい。気持ちだけ受け取っとくから…」 仕方なくお金をしまい、考える。 「ほら口もちゃんと拭く!…これでよし! さあ!小腹も膨れたし、森で妖精探しするわよ‼︎」 「…うん!あっ置いてかないでよ〜!!」 アミカへのお礼を考えながら、追いかけていった。
自己紹介
はじめまして! 私は小説ド初心者のただの生姜です。 ただ本が好きで自分でも書いてみたいと思って はじめました! 気まぐれに書くので投稿は不定期です! 先に言っておきますが、これは私の自己満でやっているので私が飽きたと思ったらこのアカウントは消えます‼︎ まあなんとなく自己紹介は書いときたいな〜と思ったので今日この頃投稿した感じっすね! ではまた気が向いたらお会いしましょう! さいなら!