卸売生姜
16 件の小説さんだぁ〜ぼるとぉ〜!!
※これは残念ながらノンフィクションです 小学生の頃、自分は魔法が使えるとクラスメイトに行ってまわっていた。 きっかけはその時期にやっていた女児アニメで魔法が出てきたからだ。 美しい景色が広がる中、かっこいい呪文を唱えて雷や炎、水、氷といったたくさんの魔法を画面の中で実現する。 夢のような世界観。みんな大好きなやつだ。 影響されるのに時間はかからなかった。 学校の校舎に私が入った瞬間、その時降っていた雨が止み、ちょうど日が照って虹が現れた。 全くの偶然起こったことだ。なんならその時同時に数人校舎に入ったような気もする。 小学生だからそんなことは気にしない。 小学生だからね! クラスメイト(友達)に言った。 「私魔法が使えるんだよ!虹出したの私っ‼︎」 それはもちろん驚かれた。すぐには信じてもらえなかったが、もう一つ運がいいことに偶然が起こってしまった。 それから数日後のことだった。大雨で迎えが来るまで校舎で待機することになり、迎えを待っていたクラスメイトと、前に自分が言っていた魔法の話になり、使ってみてと言われたのでどうしようとあたふたしていた。 「本当に使えるならやってみてよ!」 もちろん虹の日以降、いろいろ試して使えないと母に抱きついて自覚までした。だが、言いふらした手前、引くに引けなくなっていた。 「今は無理だよっ!なんていうかその…」 てんぱって何を話したかあまり覚えてはいないが、ただ「えいっ‼︎」と言ってた右手を上に挙げたのは覚えている。 その瞬間、空が一瞬光って、雷が校庭に落ちたのだ。外には誰もいなかったため、怪我人はいなかったが、なんともまあ衝撃を与えてしまった。 帰ってすぐ母に「雷落としてごめんなさい」 と謝まった。 「雷は雲の上の神様が落としたものだから大丈夫よ」と笑ってそう言って頭を撫でられた。 以降数日。その話が男子にも知られたのか、雷女とあだ名をつけられた。 自分は割とかわいものより、かっこいいものというか小学生男子っぽいもののほうが好きだったので割とすんなりそのあだ名が忘れられるまでは何も気にせず過ごした。 この話を思い出したのは、小中高の卒業アルバムをあさっていた時、M・Kなどという名前のものから「元気でな、雷女」と書かれていたからである。 …記憶力よすぎやしないか?
妻の遺書と酒
享年28歳 上富雫(かみどめしずく) 「 上富真一様でございますか? …ご本人から遺書が届いております。」 どうぞと言ってその男から一通の封筒を渡された。 自分の家族にさえ手紙一枚も残さなかったくせになぜ俺にだけ? と疑問は浮かんだ。 お礼を言って帰路に着く。彼女の親族から声を掛けられたが、今は何も話す気にはなれなかった。 それを察したのか彼らは深追いもしてこなかった。 自宅にて酒を煽った。 癖でニ本開けていたことに気づく。飲む時はいつも二人だった。一人でこっそり飲んでいても大体釣られて一緒に飲む仲だった。 ワインだとかウイスキーだとかそんな洒落たものじゃなくたっていい。こうやって二人で飲めるものならなんだってね 恥ずかしげもなくそんなことを呟く彼女だったから僕は好きになったのかもしれない。 二年交際して、結婚して、たった四年半しか経っていなかった。 魔法のように現れて、 くださらないだろって笑って語れる思い出だけ残して… 泡のように消えてしまった。 指揮を挙げた日のことなんて懐かしくもなんともない。まだ誓いの言葉も、ドレス姿の君も、ベールを上げた時の君の顔も、何もかも 全部覚えている。 まったくひどい話だ。三年といっても48ヶ月もある。日に直せばもっとだ。 そのくらい一緒にいておいてたった手紙一枚残して消えるのはあまりに薄情じゃないか? テープを剥がして封筒の中身を見る。 中には一枚の写真と小さい紙切れが入っていた。 紙には一言 また一緒に酒が飲みたい。死ぬのが怖い、などと大半が酒の話だったが、ずっと思っても言ってこなかったことがたっぷりと書かれていた。 最後に 「私のこと忘れんなよ‼︎このアル厨が‼︎健康診断の日には必ず私の墓に酒を持ってくることっ‼︎休肝日明けの酒を私にも分なさい。」 すぐ泣く癖も治すこと! 嫌いなものも残さず食べる!あと 大根頭に乗せると風邪が治るのあれ嘘だから、ごめんね? 四年間、ありがとう。まだこっちに来ちゃダメよ!」 あれ嘘だったのか…そこだけ少しショックだった。嫌いなものくらい流石に食べるのになぜこんな話を、……ん?縦読み… 「あっ‼︎」 写真は付き合いたての頃、居酒屋で撮ったものだった。よくある先に酔った方が負けのゲームをして自分が先に潰れた時のものだ。 彼女は天国で誰かと酒を酌み交わしているのだろうか。溶け込むのが上手い彼女のことだから、良い友人を見つけていることだろう。 ・ ・ ・ 後日、昼休みに後輩に大根で風邪が治るの話をすると、後輩は冗談だと思っていたらしく、本気にしていたのは自分だけだったようだ。 その時は自分もそういう冗談を言うことに驚いたらしい。 妻からの請負だと言うと妙に納得された。
エピソードⅠ 赤ずきん(3話)その放浪は。
「おっおい、なんだか今日は森が忙しくないか…」 一人の男はいつもと違う周りの様子に疑念を浮かべる。 「ああ…!?ちょっちょっと待て…今日ってまさか満月か!」 「まずいぞ…早く戻らないと‼︎…」 ビュオオオオ!!!……ザワ、…ザワ…… 満月の夜。 森がいっそうに騒めく夜。 風に揺れる銀色の毛並み。 その場が凍りつくような鋭い金色の瞳。 手足に強靭な爪を持つ山神。 ただの獣ならよかった、だがそれとは比べ物にならない。 全くの別物なのだ。 人々は彼らをこう呼んだ。 マグナス・ルー・ヴォアルフ またの名を賢狼と。 「……。」 家を出て四郎は小さい墓地に来ていた。 二つの墓石に花を添える。 彼女が初めて教えてくれた月明かりが降り注ぐ夜にだけしか咲かない花。 夜郷蘭。 雲で空が覆われ、三人で星を見ることができなかった日。娘が笑ってとってきた、銀珠蒼。 雲が晴れていく。 月が半分ほど顔を出す。 「ぐっ…ぐはっ‼︎…ゔぅ…ぅぐっ…」 身体が変化し始める。 爪が黒く変色し、頬、身体中の毛が逆立っていくのを感じる。 …もっと遠くへ。…行かなければ…… 彼はまた歩き出す。 せめて、娘に似たあの子だけは傷つけたくなかった。 肉を…獲物を狩りたいという本能に逆らうために身体の大半の神経を使っていた。 だからだろうか。 背後の気配に気づかなかった。 狩人失格だ。 「バァン‼︎…」 直後右足に痛みが走る。傷口が再生されない。 対大狼特注狙撃弾だ。 森に侵入者が忍び込んでいたというのか? だが一体誰が…。 カシャンッ、…‼︎ 二度目の射撃が飛んできた。今度は腹部を貫いた。 ぐはっ!!…くっ‼︎ 逃げなければ…… …逃げる? だって殺されてしまう…… …今さら? 問う。なぜ逃げる必要があるのか? ずっと望んでいたことだろう…あの少女と出会って何か変わったのか? いや違う。 お前の本質は何も変わっていない。 立って逃げようにも力が入らない。這うしかない。 『これまで自由に生きておいて。』 ふと声が聞こえた。 『育ててやっただろう!』 『まだ望むというのか?なんて傲慢な狼だ‼︎』 『近づくな!早くここから去れ‼︎』 口々に飛んでくる罵声。 この世界には半端者の味方なんていない。 ああああぁ…違う。 違うちがうちがうちがう違う!! 俺は…僕は…狼じゃ…ぁ… 「カシャン。」 月あかりと共に表れたのはそれは見事な銀髪の少女だった。 「ああ…ルリ…。 ………………………ごめんな。」 男は倒れた。 「お父さん、見て!…この花。綺麗でしょ?」 「あなた。ほら早くこっちへ来て。」 「…あ。…あぁ、」 これは…夢、…か…? ああそっか…僕は…やっと…… 一歩踏み出す。何かが… 悪いものが取れた気がした。 妻と娘が…わ…わらって…… 「ごめん…うっ…ごめんな…ぐ… あああああああああああああっ!!!」 今まで何をしても流れなかった涙はこの時を見計ったように感情と共に表れた。 「お父さんっ泣かないで!」 「大丈夫。大丈夫よ….」 涙を流し肩を抱き合う彼らを、引き剥がすものはもう いないのだった。
こんなことなら!!っ…
いつからだろう。 最初は面白い人だなとしか思ってなかった。 みんな友達って、そんな風に思う年頃だったからか、私は人からの視線を見分けるのがあまり得意ではなかった。 友愛、親愛の視線。 妬み、嫉妬の視線。 なんの感情も含まれない視線。 恋愛的な意味での好きという感情が漏れ出した視線。 ぐあぁぁぁぁぁ……どうして………どうして……… なんでもっと早く気づかなかったの!!?? 傷つけたくなかったのに…大好きだったのに… 一度でいいから伝えたかった…… 一度離れて気づいたんだ…君が世界中の誰よりも どんな人よりも……なのに、なのになのになのになのに!?!? 言いたかった。あの頃に戻れたら。 午後の休み時間。渡り廊下ですれ違った。 間抜けそうなパッとしない顔つきと、襟足が伸びて昔とは少し違った髪型になった彼の瞳には… すれ違っただけの私は映ってなかった。 いざ戻ってみれば言えると思っていたけれど。 あと一歩出ない。声が、喉が震えて。 気持ちは声にならなかった。 :いいの?、彼行っちゃうよ… もう…脈ないだろうし… :でも後悔して戻ってきたんでしょ? そうだけど‼︎…結局私は変わってなかったんだよ… 立ち尽くし、俯く。 “トンっ” 「えっ?」 何が起きたのかわからないが、誰かに背中を押された。 足が前に出た。だが、彼の足の方が早い。 立ち止まっていたら追いつけなくなる。 私は振り返って走り出した。 :言っておいで。 「はぁはぁはぁはぁ…」 :ふふっそうだよ。そうでなくちゃ! 過去においてきちゃってた恋心は、また揺れる。 出会ってしまった運命には逆らえず。 激しく。高ぶる心を押さえ込んでいた錆びたドアは壊してしまえばいいじゃない。 「はぁはぁはぁ!」 行き詰まったら手を伸ばしてみて。 ドンッ!!! 「わああああっ!!!」 二人はぶつかった。少年の方はぶつかられたと言った方がいいだろう。 「いってぇ…何すんだよ!!って…え、めい? なんで突進してきて…」 「ごめん!!あっあのね!!ずっと、ずっとずぅぅっと!!!言えなかったことがあるの…」 「遅くなったね……ゆうま。」 「ずっと、好きでした。」 私は願いを叶えた。 (ずっと心残りだったことをやっと言えた!…… 宿題をやっと終わらせられた…) 私は彼から離れる。 もうそろそろ未来へ帰らないと…。 私が去ろうとすると、彼が袖を掴んだ。 「…てよ。」 「待てって!!…返事!聞かなくていいのかよ…」 「いらない…」 (…無駄だ。返事を聞いたところで意味がない。未来は、変わらないんだ…。) 「もう要は済んだから。あと、ぶつかってごめん…」 「めい!!」 「昔っから突っかかってきて、よく喧嘩もしたよな。それによくせんせぇに怒られた。」 階段を降りながら彼は話し続ける。 (ついてこないでよ。) 「俺は…遊ぶのも、怒られるのも…お前となら楽しかったし、嬉しかった…。 聞いてくれっ!!!」 パッ!…ドンッ!! 手をとって壁に追い詰めた。 「大事だから一回しか今ないからな!!!」 「俺も!!お前が!!!」 ドクン…ドクンッ…ドッ… 直後足元が光り、私は未来へ帰還した。 「ぐすっ…うっうっっ!!!」 「ゔあああああああああああああああああ あああああaaaaaaaaa!!!!!」
エピソードI 赤ずきん (2話)
所々穴が空き、いくつか修繕した後が残っているが、囲炉裏や戸棚に飾られた社築は時代の懐かしさを感じられる温かみを帯ている。 湯を沸かしていると少女が目を覚ました。 切り傷や、あざも見られるが過去に負った傷なのだろうか?近いうちにできた傷は見られなかった。 「う、…!??」 驚いた様子であたりを見渡している。 無理もない。突然室内に移動しているのだ。 湯を水で冷ました白湯だが、ないよりマシだと思い手渡す。 「名前…わかる?」 こちらの顔を見てひどく怯える少女。 「怖がらせてしまったね…申し訳ない。 僕は月下四郎(つきのしたしろう)だ。 四人兄弟の末っ子だから四郎。君の名前は?」 少女は考える素振りを見えたが、俯いてしまう。 「ご飯食べるかい?熱いから気をつけて」 兎肉と野草が入った汁物を渡す。 僕が食べるのを見ると恐る恐る口をつける。 熱かったのか少女は口をハフハフさせて冷まそうとしている。 「ふははははっ。だから言ったろうに、」 恨めしそうにこちらをみる少女はまるで小動物のようで可愛らしく思えた。 こんなふうに誰かと夕餉を共にするのは久しぶりな気がする。 妻と娘がいた頃以来だ。 少女はしばらくの間、家で預かることになった。 体力がついたら、山の麓の手前まで送り届けようと思う。僕は山から出ることができない。 してあげられることは少ないが、元猟師として、狩りの仕方くらいは教えた。 最初こそ警戒されたが、少女も徐々に心を開くようになった。 少女と出会って十日経った。 僕は少女が眠りについたのを確認し、家を出た。 月明かりが僕を照らした。 …今夜は、満月だった。
エピソードI 赤ずきん
「ザッ…ザ…。」 風や木々、動物たちの足音、鳴き声。 自然の音が聞こえる。森の中、どんなに音を殺しても自分というここでいう場違いな存在はどうも目立ってしまう。 身体中に枯葉、草土をつけて… 殺気を消して。 そっと… 近づく。 (ヒュー……さわさわさわ……) 木々の隙間を風が通る。自然が通る。 状態を確認し、銃口を向け、弾を装填する。 構え、狙いを定める。 呼吸を整える。 (スー……はぁ……) ゆっくりと息を吐き、獲物を見る。 引き金を絞った。 「バァン!…」 (外したか…) わずかに弾道が逸れ、命中とはならなかった。 鳥は勢いよく飛び去っていく。 (あそこまで遠いと…もう届かないな。) これ以上は弾の無駄だ。 深追いはよくない。 …手負いを抱えていれば尚更だ。 少女を背負い、拠点へと戻っていった。 人気のない山奥。どうしてこんなところにまだ幼い少女が倒れていたのか…彼はまだ知る由もない。毛が当たるだろうが、少しの間我慢してくれと思い、極力揺れないように駆けて行った。 これからどうしようかと悩む彼をよそに、背負われた少女は微かに微笑むのだった。 あとがき ここまで読んでくださり、ありがとうございます‼︎ とりあえず、想像力が尽きるまでは続けようかなと思います!🙇♀️ 次回も読んでいただけると幸いです!
第7話 変わらぬ日常と不穏な影。
「一カ月後。最後の授業として、私と戦え。」 「ねぇっ!どうしようアミカ…」 二人は昼休み、中庭で軽食をとっている。手入れはされているが、人通りが少ない静かな場所で二人のお気に入りだ。 ルミルは少し硬い黒パンと森の野苺を、アミカはベーコンと卵のサンドと、米粉と麦粉のクッキーを。 「う〜ん…読み違えとかでもないの?」 「いや…もう三回は読んだから間違ってはないはず……。 それに…」 目を擦りもう一度見返すが同じだった。 強いていうなら手紙の最後に、 「嘘ではないし、異論は認めない。」 と、書き足されたくらいだった。 「もぐもぐ…それは おっかないわね…でもなんでそんな急に?」 話しつつクッキーに手を伸ばす。 「う〜ん…わかんない。 でも師匠にも最近ずっと会ってないし… 二年修行してきたけどさ…あの師匠に勝てると思う?」 アミカも少しの間、魔力の使い方や精霊について教わったことが あるが、とにかく実践的な分野において、師匠は容赦ないのだ。 「あたしがシュラと本契約する時も大変だったもの…うっ…思い出すだけでも…」 仮契約状態でできることも限られていたようだ。 精霊が気に入った人間に追従することが仮契約。従い、 力を貸してもらえるようになることが本契約だ。 「勝てる気がしない…」 「まあなんとかなるよ!二年も修行してきたんだし、ルミルにしかできないことだってきっと、 (ガラガラガラ…) 「あっ先生来ちゃった…授業が、」 一旦席に着いた。そして午後の授業が始まった。 貧しい村のため、書物は貴重品だ。だから他の生徒と交代で流し見をしながら授業を聞く。 だいたい、授業終わりにアミカが隣で見せてくれる。 「私たちが暮らすこの大地には7つの属性が存在しています。火、水、木、土、雷、闇、光が基本です。その7つから派生して生まれたのが、氷、風、炎、無等。 これらを駆使すれば、バフやデバフ、ヒーリングなども使えるようになるだろう。国王陛下は基本属性全てにおける知識、技術をお持ちになられているそうだ。」 都会から来た先生は授業より王都の歴史や、身分の高い偉人の功績の話をしたがる。正直苦手だ。 復習しとこう…7つの属性…火、水、木、… 師匠は火と水と闇だったかな…火には水を、水には土を…闇には…光?だったかな… …あれ?基本属性が7つ…?じゃあ私の属性って… 「…ミる…」 「ルミル!!」 「ふぅわぁぁぁ…っあれ…寝てた?」 「もう!前半終わったあたりからずっとよ!」 「あぁ…ごめん。」 「まったく…時間大丈夫なの?」 時間…あっそうだ!もう日があんなに落ちてる!! 「ごめん!また明日!」 日が落ちすぎると師匠の家と森の結界が歪み、出入りに支障が出るのだ。急いでカバンに荷物を入れる。 「ルミル!近頃魔物が活発的だから気をつけてね!!」 「あ〜うん!行ってきます!!」 ルミルが教室を飛び出していくのを見送る。 「…大丈夫かな…」 放課後に一人、不穏な空気を感じるアミカだった。
剣の役目と鍛冶師の役目
カン、カン、カン、…キーン…… ハンマーで何かを叩く音で目が覚めた。 夜中。父は竈に金属を焚べ、ハンマーで休まず打ち続ける。いつから打っているのだろう。父の額には汗が滲んでいた。装飾の凝った剣が出回る中、父は剣自身を鍛えることを辞めなかった。 それから数年経ち、今では私が父の後を継ぎ、店を経営している。 カラン…店のドアが開いた。 「ルイ、遊びにきたよ〜!!あいっかわらず汚いな〜…まあそこがいいんだけどね!」 店に入ってきたケモ耳の少女は子供の頃からの友達、リリカだ。 どうやら金属をもらいにきたらしい。 「悪いけどこっちもないの。ところで来月貸した金属はどこいったのかしら?」 「うっ…え〜と、ちょっと試し打ちに…この間のお客さんにも奮発しちゃったし…」 リリカは目を泳がせる。 「はぁ…ねぇ、今からダンジョンに行くのだけど当然ついてきてくれるわよね?友達でも貸しはきちんと返すのよ?」リリカの優しいところは嫌いじゃないが、商売に影響するとなると厄介だ。 西の森のダンジョンに着く。 敵の出にくい時間帯を選んだかいもあり、金属は早めに集めることができた。あと数種類の薬草や水晶などを集めて探索は終了した。 「結構早く集まってよかったね!ところでその水晶とかはどうするの?」 「…内緒。」 宝石のような綺麗な見た目でもない、高値で売れない水晶は市場にも出回らない。だからこうして取りに来る他ないのだ。 「ねぇ!たまにはルイの打つとこみたい!誕生日近いんだしいいじゃん。」 「打ったらあげる。」 「やった〜!ありがとうルイ!」 店に戻ってきた。作業着に着替え、竈に火をつける。金属を先に入れ、水晶を後から入れる。 採掘したての金属だからできる純度の高め方だ。 カン、カン、カン、カン…ピシッ… 時々水晶のつけた水に入れ、また熱し、打つ。 澄み切った音がなるまで。 カン、カン、カン…… 「キーン…」熱いうちに整形をし持ち手をつける。 ………完成だ。 一本の剣が完成した後の余韻に浸る時間がルイにとって、至福の時間だ。 「…どうしよう。あげたくなくなってきた…」 愛着が湧き、ずっと手元に置いておきたいと思うのは、職人ならばよくあることだ。だが… 「この剣が多くの人々を救い、主人を守ってくれますように。たとえ朽ちてもその思いが心に残りますように。」 彼女はそう願い、送り出した。
歪んだ愛
「ねぇ、私だけを見て?」 「あなたは私の全てだから。…お願い。」 「愛してるよね。そうだよね!私も大好き♡」 僕は彼女の言う通りうなづく。 「私たちは相思相愛だから、これは束縛じゃないよ?…しょうがない?忙しいから?違うよね。私思うんだ!」 「後輩の恵美ちゃんとか先輩の香織さん… 残業を任せてくる郡山さん…だっけ? 他にもいるよね。邪魔虫が…」 彼女は指を折って数えていく。背筋に寒気が走る。知らないはずの職場の人の名前が次々と挙げられる、 「お仕事になんて行ってほしくないんだよ…いつも知らない人の匂いをつけてくるあなたが嫌い。」 僕は一言ごめんと言う。 「許さないから…許さないよ…愛してるから…だから…償おうね♡」 「大好きだから。いいよねこのくらい。 私が守らないといけないの。汚い人たちから。」 彼女はぼくの首に首輪をつける。 「か〜わいいい!!♡♡嬉しいね!ず〜と一緒にいればいいもんね♡私天才!」 正気じゃない彼女を前に後ずさる。だが彼女は首輪に繋がったリードを引っ張る。 「逃げちゃダメだよ?これからもずっと一緒♡ 私のこと以外、な〜んにも考えられなくなるまでず〜と…ね?…」
第六話 師グランテ
元魔女の彼女はルミルが泣き止むまでゆっくりと待った。 そして彼女は再び口を開いた。 「その瞳が必要とされている訳をまだ話ていなかったな…。おまえ、帝国の英雄は知ってるよな?」 「あっうん。先代の国王様ですよね?金髪と金色の瞳で有名な…」 「あのじじい…そいつの髪は若葉色で目も金なんかじゃないぞ?おまえと同じうっすら星が写ってる目を持っていたさ。これが星眼の由来でもあり、それは魔力の高いやつにしか見えない。」話疲れたのか彼女は椅子にぐったりと腰掛け目を瞑る。私は目を輝かせて彼女を見てはっきりと告げる。 「あの!…会ってみたいです!その人に…。 それが自分と同じ状況下でなくとも…今まで感じてきた虚しさ。悲しみが消えるかもしれないと、そう思えたから…」 こんなにはっきりと自分の意見が言えたのは初めてだったから、自分でも驚いた。笑われるだろうか…。そう不安に思ったが彼女は。 「いいじゃないか!自分の欲にまっすぐな奴は嫌いじゃない。だが今のおまえの実力じゃ村の外に出るのは無謀ってもんだ。ここと同じく、いつでも凶暴な魔物が襲ってくるだろうからな…。」 「でも…それでも‼︎私は行きたいです!」 私の返事を聞きニヤリと彼女は笑った。 そして彼女は羽ペンと紙を手元に出し、告げた。 「おまえ…私と契約をしないか?…」 これが魔女と旅をするニ年前の出来事。これがルミルの変わるきっかけとなった。 彼女と契約を交わし一度縄の外へと戻った。帰る時彼女に小さい時計のようなものを渡された。 「そいつがあればいつでもここに戻って来られる。 毎日来いよ!わかったな?わたしの弟子よ…」 「あっありがとう!魔女さん!」 「師匠だ!グランテ師匠と呼べ! …またな、ルミル!」 初めて師匠は私の名前を呼んだ。 戻った後私が気絶させたアミカが目を覚ましており私に飛びついてきた。 「ルミル!何処行ってたの⁉︎心配したんだからぁ〜!!」 顔が近いし苦しい…。そう言えば、アミカの男性恐怖症が治っている。おっさんとだいぶ打ち解けたのだろう。おっさんの方を見ると微笑んで親指を立てた。悪い人ではないと思い長いことアミカの子守りをさせていたのだ。お疲れ様という意味も込めて苦笑いをして親指を立てて返した。 おっさんはアミカに説明をしてくれていて助かった。どうやら蛇に噛まれて気絶したということにされているらしい。おっさんグッジョブ!。 それから授業が終わるとその魔女の家に行き修行をすることになった。魔法の基礎を理解してからでないと星眼と向き合うことはできないそうだ。 師匠は過去の研究の成果や自分の固有魔法の担い手を探していたらしい。 修行はまず魔導書の内容を頭に叩き込んで魔法の性質を理解する。理解できればあとは実践あるのみ。自分の魔力が尽きる一歩手前くらいまで魔法の練習をする。これは自分の魔力量の底上げにもなるらしい。地道に一歩ずつ続けてきた。 「ほら早く飲んで次行くぞ?」 そう言って師匠特製ポーションを渡させる。材料は怖くて聞けなかった。ただ時々薬草や虫を取りに行く。その中に材料も入っているのだろう。 師匠との契約期間は二年だ。時間は有効に使わなければならない。 「…やめるか?」師匠が挑発的に問う。 「…いやっ、続けてください!」 師匠は笑い、授業を続けた。 そし二年目の冬がきた。師匠は書き置きを残して留守にしたり声は聞こえても姿が見えないことが多くなった。今日も書き置きがあった。 「えーと……………は?」 紙には「1ヶ月後、最後の授業として私と戦え。」 と…そう書かれていた。