第五話 それだけで価値がある

「…がっつくのはいいが最後まで話を聞いておくれよ?」四角いパンを両手に持っているのを見て言うが、本人は気にもとめておらず、食べながら喋ろうとする。どうしてこんなやつを選んでしまったのか…と過去の自分に問う。 「では話の続きをする。時は一千年前に遡る…」        ・        ・        ・ 私は一千年前のここ、北アレン川の辺りにある小さな村で生まれた。 私は単なる明るい普通の子供で、村の子供らとも仲良くしていた。…だが私が5歳の時、ある転機が訪れた。その年は数100年に一度の流星群が見られる年だった。私はその観測日に熱を出した。家族には寝ていなさいって言われたが、家で一人でいるのは退屈だった。だから、膝掛けを持って空が綺麗に見える丘に走った。 その時は妙に体調が良く、空がはっきりと見えた。 あの空は綺麗だった…あの空を見るために外に出だことにはなんの後悔もしていない。流星もやみはじめ家族にバレる前に帰ろうとした時だ。ゆっくりと…一つの流星が降ってきたのだよ。それは私の真上に。それは消えて無くなることはなかった。もう少しで当たる。幼かった私でもわかったさ逃げられない…と。その時だ。一瞬であたり一体の色が消え、鳥も草花の動きさえ止まった。静まり返った世界に一人佇み困惑していると一人の女が空から降りてきた。白いマントと葵いサファイアのような瞳の女だった。彼女は魔女だった。本能がそう理解した。そして私は彼女と契約をした。彼女が、流星となれなかった隕石を消し、私は彼女の弟子となる。そういう契約だった。 隕石を止めたことは誰にも信じてもらえなかった。村の人々はその日流星群があったことの記憶すらもなくなっていたさ。私は師匠の家に通い詰め、たくさんの研究をした。霧狩りトカゲを捕まえて干したり、星の見える夜には金糸をはく蜘蛛がでるから一晩中蜘蛛を捕まえたさ。朝まで続いた時は師匠に気付け薬を作ってもらったよ。ただ料理の腕だけは無かったな。前はルームメイトがいたらしいけど、料理の腕のせいで出ていかれたとか…
卸売生姜
卸売生姜
はじめまして。私は卸売生姜というものです。