きと

379 件の小説
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きと

就労移行支援を経て、4度目の労働に従事するおじさんです。 あまり投稿は多くないかも知れませんが、よろしくお願いします。 カクヨム、エブリスタでも小説を投稿しています。

140文字小説+α その176 「子供の悪口」

 ママ友とその子供が、家へ遊びに来た。  しかし、私の子供とママ友の子が、喧嘩を始めてしまった。 「あー、ひどいこと言った!」 「お前が言ってきたんだろ!」 「んー! お前の母ちゃんコンソメ味ー!」 「なんだとー!?」  どういう悪口? 「ほらほら、啓太。落ち着いて」 「竜二もよ。1回深呼吸。」  ヒートアップしてきたので、喧嘩の仲裁に入る。  「啓太……。私をコンソメ味って言われて、怒ってたけど、どういう意味なの?」  頭に疑問が残り続けているので、先ほどの悪口の意味を聞いてみる。  コンソメ味だから何なんだ? 「だってコンソメ味だよ!? 完全に馬鹿にしてるじゃん!」  それが分からない。美味いだろ、コンソメ味。  「コンソメ味なんて、ハズレじゃん! 絶対サワークリームアンドオニオンの方が、美味しいのに!」  あんまり子供ではいかない味付け選んでる! 「啓太。大丈夫よ。お母さんは、コンソメ味好きだから」 「え……? もしかして、味覚が……」 「おばさん、大丈夫?」  子供2人から、困惑した目で見られた。  決めた。こいつら、コンソメ漬けにして、コンソメ大好きキッズにしてやる!

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夕暮れと飲み物と推しと私 その11 『魚が存在しない理由 世界一空恐ろしい生物分類の話』

『魚が存在しない理由 世界一空恐ろしい生物分類の話/ルル・ミラー 上原裕美子 訳』  水族館で魚を見ていると、水族館で働いてみたいなーとぼんやりと思う。  水族館は、子供の頃から好きだった。水をすいすいと泳ぐ魚を見てると、どこかキレイな気ままさを感じた。気ままながらも、どこか芯を持った意志を感じた。  そんな魚は、どれだけの種類がいるのか。水族館で見るだけでも、かなりの数がいるし、色々な事情があり日本にはいない魚もいるだろう。加えて、未発見の魚たちもいると考えると、もっともっと増えていくことだろう。深海は、まだまだ未開の地だから。  自分の住んでいる近くの川にも、何種類の魚がいるのかも分からない。生物の分類とは、とても果てしない荒野を歩いて行くことに、どこか似ているのかもしれない。  そして、その荒野の探索は、まだまだこれからなのかもしれない。あくまで素人が勝手に思っていることであるが。  『魚が存在しない理由 世界一空恐ろしい生物分類の話』は、科学者デイヴィッド・スター・ジョーダンの生涯を追いかけていく衝撃の実話の物語だ。ジョーダンは、生物の分類に人生を捧げていく。だが、その道のりは波乱に満ちている。そして、ジョーダンの人生は、決して潔白ではない。暗い影が、色濃く現れる。  分類することで、世界の真相へと近づいていくジョーダン。だが、最後に明かされる衝撃の事実。  あなたは、この物語を読んだ時、何を思うだろうか。ゆっくりとお気に入りの飲み物とお菓子を楽しみながら、ジョーダンという人物へ思いをはせて欲しい。彼は、果たして……?

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140文字小説+α その175 「七夕で思うこと」

「織姫と彦星って、1年に1度しか会えないんだよね?」  空を見上げて、彼女が呟く。 「そうだな。恋人同士なのに、な」 「だから、私思うんだ……」  彼女は、どこか憂いのある顔で、言う。 「とっとと子供作っちゃえば、子育てって名目で何度も会えるんじゃない?」 「……えぇ?」 「だってさ。神様も忙しいところサボって恋愛してたから、2人を会えなくしたんでしょ?」 「そうだね」 「だからこそ、子供をこさえてしまえば、必然的にサボる余裕もないほど忙しくなる。つまり、神様も見かねて、2人を会えるようにしてくれると思うんだよね。今の時代、子育ては夫婦2人でするものでしょ」 「……神様なら、そうなったのはお前らの自業自得なんだから、子育ても分かれた状態でしろとかも言いそうだけど?」 「えー、神様の倫理観、昭和じゃん!」 「神様の生まれは、もっと古いぞ」  そう言って、僕は空を見上げる。少し雲がかかっているが、星は美しい。  ……どうか、こんな言葉が織姫と彦星に聞こえてませんように。

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夕暮れと飲み物と推しと私 その10 「ざつ旅-That's Journey-」

『ざつ旅-That's Journey-/石坂ケンタ』  予定もなく外出する人は、どのくらいいるのだろう?  私は、ほぼ必ず予定をガッチリ決めてから、外出する。何をどこで何時までに見て、何時に食事を取り、何時に帰るという一連の流れを組んで、昼を少し過ぎたころには家へいるようにしている。  早めに家へ帰りたい、という願望が強いし自分の部屋にいることが好きなので、こういった外出をしている。だが、ときどき「もったいないな」と思うこともある。  例えば、何気なく入った雑貨店で素敵な小物を見つけたり。何気なく寄ったカフェのケーキがとても自分の好みだったり。そういった偶然の出会い、というものを無くしてしまっている気がしてならない。実際、無くしているんだろうけど。  私自身、本屋でふらふらとしている時に、素敵な物語との出会いが何度かあった。だからこそ、たまには予定を決めずに、ざつに出かけることも悪くないのだ。ざつだからこそ、見えてくるものもある。 『ざつ旅-That's Journey-』は、漫画家志望の女子大生がSNSのアンケート機能を使って、ざつに目的地を決めて、ざつに旅をするマンガだ。そのざつな旅の中で、主人公は自分自身の成長につながるものを見つけていく。  このマンガの面白い点はもうひとつある。それは、主人公のSNSのアカウントが本当にあり、読者も旅先を決めるアンケートに参加できるのだ。あなたの1票が、物語を変えるかもしれない。気になる人は、ぜひ調べて見てほしい。  私は、彼女の旅の記録を読みながら、のんびりと空想の旅へと出かけていきますので、このへんで。

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140文字小説+α その174 「岐路に立っている」

「探偵の貴方に、探してほしい」  探偵を始めて、数年。黒服で部下を2人連れた渋い男性が、そう切り出した。  俺は、今。岐路に立っている。 「写真はありますか?」  黒服の男は、静かに写真を見せてきた。 「この子だ」  ……猫やないかい。 「名前は、みーちゃん。メスだ。見てわかるようにピンクの首輪をしている」  黒服の男は、神妙な声で話を続ける。  真剣に聞きながら思う。  ペットは、確かに大切な家族だ。でも、部下を2人連れてくるか? まぁ、それだけ大切なペットってことなんだろうけど。 「——これくらいだな。写真で分かるのは」 「ありがとうございます。それでは、このみーちゃんの好物などはありますか?」 「好物……。そうだな、カツオが好きだな」 「カツオ、ですか」 「ああ、高知県産の一本釣りのカツオだ。それをみーちゃんと一緒に食べながら晩酌するのが楽しかったんだ。ああ、みーちゃん。今どこに……。ううっ!」  黒服の男が涙を浮かべる。 「組長! 大丈夫です。見つかりますって!」  組長なんだ。  ……ん? これ、見つけられないとヤバいやつでは?  俺は、今。岐路に立っている。

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140文字小説+α その173 「うどん屋」

 うどん屋にやって来た。  最近、暑いのでざるうどんでも食べようか。  いや待てよ。季節限定メニューとかもあるかも知れない。  そうして、メニューを開いてみると。 『五目ちゃんぽんうどん(麺抜きもできます)』  麺抜きはただの野菜スープでは?  五目ちゃんぽんうどん……。そそられるけど、暑いこの時期には少々辛いな。  あと、なんでこれが夏の限定メニューなんだ。  『暑い夏には、あえて熱く!』とは書かれているけども。  いや違う。そうじゃない。麺抜きは何なんだ。  麺がなくて、具とスープだけなら、確実に野菜スープだ。  まぁ、暑くて食欲不振に陥った人が麵はいらないってなる可能性もあるか?  ……いや、食欲不振ならざるうどん食えよ。  いろいろと右往左往させられた気がする……。なんか勝手に疲れちゃったよ。

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140文字小説+α その172 「駐車場」

 家族で動物園にやって来た。  車を駐車場止めたが、この駐車場かなり広いな。目印みたいなのはないか?  辺りを見渡すと、看板が立っていた。 『当園の駐車場は、エリアで分かれています』  なるほど、ありがたいな。 『ここはチュパカブラエリアです』  ……ええ?  なんでチュパカブラ……?  大きなくくりでは、動物かもしれないけど、もっといただろ。  ともかく、忘れないように覚えておこう。愛車を止めたのは、チュパカブラエリアのゑの3だ。  なんで旧字……?  チュパカブラの衝撃が大きすぎて、一瞬スルーしそうになった。  大丈夫なんだよな? この動物園。ある意味では楽しませてもらっているけれど、そういうことではない。 「パパ! 見て、色々いる!」  息子のはしゃいだ声がする。まだ駐車場なんだけど、もう何かいたのか?  息子は、駐車場の地図を指さしていた。 「ドラゴン、かっこいい!」  改めて駐車場の地図を見てみると。 『チュパカブラエリアの他に、ドラゴンエリア、ユニコーンエリア、フェニックスエリアがございますので、お間違えの無いようにお願いします』  そんな文言と共に、ドラゴンなどのかっこいい絵が描かれていた。  なんで全部幻獣……? あと、なんでこのラインナップにチュパカブラ入れた?

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夕暮れと飲み物と推しと私 その9 「新米姉妹のふたりごはん」

『新米姉妹にふたりごはん/柊ゆたか』  大学生になった時、ひとり暮らしを始めた。  それからしばらくの間、私の夕食はほぼ毎日、自分で作っていた。  理由は、その方が安上がりだと思ったというのもあるが、単純に料理が好きになったからだ。  自炊を始めた当初は、味噌汁も自分で作っていたが、だんだんと面倒になり味噌汁はインスタントになっていった。それでも、メインのおかずだけは、自分で作っていた。  今日は、何を作ろうか。明日は休みだし、ちょっと手の込んだものにしようか。肉が続いていたから、そろそろ魚が食べたいな。  いろいろなことを考えるのも楽しかった。栄養バランス的には、あまり良いものではなかったのだろうけれど。  実家に戻った今は、すっかり料理をすることは少なくなった。だが、鉄道好きの母が列車を見に行って帰りが遅くなる時は、私が台所に立つ。簡単なものしか作らないが、それでもワクワクする。 『新米姉妹のふたりごはん』は、両親の再婚で突如として姉妹となった少女たちが、料理で絆を深める物語だ。美味しい料理で、姉妹の仲が深まり、友達が増えて、世界が変わっていく。そんな微笑ましい物語は、見ているとこちらまで笑顔になる。まるで美味しい料理が目の間に現れた時のように。  あなたも、美味しい飲み物を用意して、この世界に触れてみよう。お腹が空くので、お菓子の用意も忘れずに。

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140文字小説+α その171 「取り調べ」

 警察からの取り調べ。俺は、組のために何をされても口を割るつもりはない。 「いい加減吐いたらどうだ?」 「何も知らねぇって言ってんだろ」 「……今のお前を田舎のお地蔵さんが見たら、どう思うかな?」 「おふくろさんだろーが」 「……」 「……」  沈黙が流れる。思わずツッコんでしまったが、だからといって俺のやることは、変わらない。  組のために、何も喋らない。それだけだ。 「お前がやったという、証拠も出てきている。どう説明するつもりだ?」 「あぁ? お前らがまちがってんじゃねぇーのか」 「防火カメラの映像は?」 「よく似た人物でも映したんだろ。あと、防犯カメラな」 「現場に残った足音は?」 「俺と同じ靴はいた奴なんていっぱいいるだろ。あと、足跡な」 「指紋が付いたピコピコハンマーは?」 「さぁな。それこそお前らの鑑識のミスだろ。あと、凶器はハンマーじゃなくてナイフ――」 「なんで凶器がナイフって知っているんだ? 俺は、一言もそんなこと言ってないぞ?」 「……あ」  再び沈黙が訪れる。 「……俺がやりました」  小ボケ落とし……!?

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140文字小説+α その170 「500円貯金箱」

 押入れの中を整理していると、500円貯金箱を見つけた。  手に取ると、ずっしりと重みを感じる。軽く振ると、ジャラジャラと音もする。  これは、予期せぬ臨時収入だ。  俺は、その貯金箱を開けることにした。  中身は、全部50円玉だった。なんでやねん。  少ししょんぼりとしてしまった。臨時収入ではあるんだけど、なんか上がっていたハードルに思いっ切り突っ込んでしまった気分だ。  というか、50円玉こんだけよく集めたな、俺……。  まぁ、いい。それよりも押入れの整理を続けよう。  それから、20分後。今度は、段ボールから金一封と書かれた封筒を見つけた。  これは、またしても臨時収入の予感がする。1万円なら激アツだが、ハードルを上げてはいけない。1000円でもいい。それぐらいの気概で行こう。  そうして、封筒を開けてみる。  中身は、金色の折り紙だった。  ……美味い話って、やっぱりないんだなぁ。

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