きと
336 件の小説きと
就労移行支援を経て、4度目の労働に従事するおじさんです。 あまり投稿は多くないかも知れませんが、よろしくお願いします。 カクヨム、エブリスタでも小説を投稿しています。
140文字小説+α その152 「卵納豆ご飯」
俺は、卵納豆ご飯が大好きだ。 卵かけご飯だけでも美味いのに、さらに納豆まで加わっている。最強の布陣だ。 でも、最近飽きが出てきた。週5で食べてるからなぁ。 ……そうだ! 思い立って卵納豆ご飯を焼いてみた。 結論。ただの納豆チャーハン。 そうだよな。火が通っているかいないかの違いだけで、材料としては全く同じだもんな。 これはこれで美味いんだけど。 納豆チャーハンを食べながら考える。何か、卵納豆ご飯への新しい刺激を。 一番手っ取り早いのは、薬味を入れることだよな。やっぱり、定番は刻みネギだろうか? でも、俺ネギ嫌いなんだよな。あの風味が、なんとも好きになれない。 しかしながらそれ以外の薬味となると、海苔とか、いっそ辛いものとか? 辛いものと言っても、辛子は定番すぎるし。 ……そうだ! キムチを卵納豆ご飯に投入してみた。 結論。ほぼビビンバ丼。
140文字小説+α その151 「変化を受け入れる」
「俺は、思うんだよ。昔を懐かしむだけじゃダメなんだ。変化を受け入れる。それが、前に進むってことじゃないかって」 目の前の青年は、静かに口を開く。 「だからって、電動自転車乗りながら電子タバコはダメだよ?」 ごまかせなかったか。 「いやいや、おまわりさん。ちょっと落ち着きませんか?」 「いやいや、どうやっても言い訳できないから。もろにしてたもん、路上喫煙」 どうしよう。これって罰金とかになるんだろうか。今、所持金320円しかないんだけど。 どうにかして、このおまわりさんに通じる詭弁はないだろうか。 「おまわりさん。テクノロジー進化は、すごいと思いませんか?」 「ええ、まぁ」 「その進化に人は、順応し、生活を豊かにしてきたんです。だからこそ――」 「ええ、あなたのような違反者が産まれたんですよね」 ダメだった。 「あと、路上喫煙もだけど、自転車でもろに歩道走ってたよね? その件でも話あるから」 余罪が増えた。
犬か猫か
「犬と猫、どちらが好き?」 この質問は、定番の質問かもしれないが、危険性もある質問だ。思想が強い人というのは、どこにでもいるから。 私個人としては、どちらかといえば犬が好きだ。でも、飼ってみたいのは猫である。 別に、ツンデレしているわけではない。おじさんのツンデレとか、見てられない。 犬を飼うとなると、散歩、というハードルがある。歩くのが嫌いなわけではないが、毎日仕事があろうとなかろうと、散歩へ行かないといけないというのが、私としてはかなりのハードルなのだ。 私は、仕事がある日は、最低限の事しかしたくない。ただでさえ、体力がないというのに、散歩をして睡眠時間が削られると、なかなか厳しい。朝なんてギリギリまで寝ていたいのに。 そうなると、散歩がいらない猫を飼ってみたいという願望が現実的に叶えやすい。 もちろん、猫を飼うのにも高いハードルは、いくつもあると思う。でも、家に帰ると、気まぐれな感情を振りまくモフモフがいるのは、とても惹かれる。猫と触れ合った経験こそ少ないが、動物好きとしては、非常に興味をそそられる存在だ。 問題は、私が猫アレルギーの可能性がある点だ。大昔に受けた血液検査の結果、私はほとんどの動物にアレルギーがあるらしい。動物を飼いたいという願望を叶えるため、もう一度アレルギーを調べなおす必要がある。 もし、結果が昔と変わらず、動物ダメ、という結果になったら魚を飼いたい。 水族館で魚がゆらゆら泳いでいる姿も好きなので、家にいると、和やかになると思う。 こういった妄想は、尽きることはない。目指せペットのいる生活。目指せ理想の自分だけの癒し空間。
140文字小説+α その150 「怖い夢」
「パパ……、一緒に寝ていい?」 深夜に息子が寝室を訪れて、そう言った。 目に涙が溜まっている。怖い夢でも見たのだろう。 「いいぞ、こっちにおいで」 息子は、おずおずとベッドに入る。 「そんなに怖い夢見たのか?」 「……鼻毛が物凄く伸びる夢」 「そ、そんなに怖かったのか?」 「うん、ずっとずっと伸びていって、学校まで伸びていった……」 子供の感性は、やっぱり不思議なものがある。 学校まで歩いて12分くらいかかるから、物凄く伸びているのは確かだ。しかし、眠れなくなるほど怖くなるのか。 でも、俺も節分の豆が無限に食べても減らない夢で、親に泣きついたことがあるので、血は争えないのかもしれない。 「ま、しょせん夢は夢だよ。実際にはそうはならないさ。ほら、明日も学校だろ? しっかり寝ような」 息子はこくりと頷いて、目を閉じた。数分後、寝息が聞こえてきたので、俺も安心して眠りについた。 翌朝である。息子は、すっかり元気になっていた。 「もう怖くないか?」 「うん、夢の中で長い鼻毛が抜けて、5千万円で売れたんだ!」 「そ、そっか。よかったな」 鼻毛の夢続いてたのにも驚いたが、想像以上の超展開だった。
犬の気持ち その33
「みどりちゃんは、なりたい職業とかあるん?」 もうすっかりと年明けから季節は進んでいた。とは言っても、寒いものは寒い。犬の俺でも、足を守る何かが欲しいところだ。 「私? 簿記とか秘書検定とかの資格取ったから、それを活かした仕事にしようかなって、ぼんやりとは考えてるけど……。具体的にはまだ検討中かな?」 青とみどりが、何やら大事そうな話をしている。今日は、いつもより散歩の時間が早いと思ったら、みどりと会うためだったのか。 俺としては、散歩できれば満足だから誰がいようが、問題はない。 「そうか……。でも、考えてはいるんやな」 「そりゃねぇ……。もうすぐ大学3年生だし。就活だよ」 就活か。なんか仕事探すやつだろ? 青が、リビングでうわ言のように、仕事……就活……って繰り返し言ってたからなんとなくわかるぞ。 「というか、その言い方。青は、何も考えてないの?」 「……まぁ」 青は、気まずそうにする。 俺としては、青はどの仕事もなんとなく適当にこなして、なんとなくテキトーにぼやいてそうだな、と思う。 「成りたい職業とかも全く考えてないの?」 「みどりちゃん、私はな――働きたくないねん」 ダメ人間の考えだ。俺は、青を過少評価していたのかもしれない。 「それは、私には解決できないなぁ……。政治家、いや総理大臣にならないと」 みどりが苦笑いを浮かべる。そりゃあそうだ。 「なるか? 政治家?」 絶対やめろ。お前に政治の何が分かる。テレビで政治のことやってたら、とりあえず自分の部屋に戻るだろうが。 「青が、政治家になったら地域が崩壊するからやめてほしいけど……。あとは、大学院行ってもう少し学生でいるしか方法無いよ?」 「みどりちゃん、私はな――勉強もしたくないねん」 「ダメだこいつ」 うん、俺も同意見。
140文字小説+α その149 「ネーミングセンス」
友達が、犬を飼い始めたということで、会いへ行くことに。 部屋へ入ると、可愛いポメラニアンがしっぽを振って出迎えてくれた。 「うわぁー! めっちゃ可愛い! 名前、なんて言うの?」 「バビロニア2世だよ」 「どういうネーミングセンスしてんの?」 バビロニア2世て。ポメラニアンには、確実に合わないと思うんだけど。あと、1世はどこの誰なんだよ。 「え? ダメかなぁ? 我ながらいい名前だと思ったんだけど」 「いや、あんたがいいならいいんだけどさ……」 「ならいいよねー、バビロー♪」 略称、バビロなのか。なら、最初からバビロって名前にすればいいんじゃないだろうか。 そんな疑問は置いておいて、バビロニア2世と思う存分遊んだ。 「やっぱり犬は可愛いねー。私も飼おうかなぁ?」 「お、飼っちゃう? なんなら私が、命名してあげようか?」 「いや、それは――」 「メソポタミア4世とかどう?」 「気が早いし、自分の飼い犬なら自分で付けるから」 だよねー、と友達が笑う。良かった……。実際に犬を飼うことになっても、絶対に名前の相談は、彼女にはしないでおこう。 ……あと、せめて3世では?
「Oath ONE」に行ってきた
2026年1月23日のこと。私は、人生で初めてできた推しと呼べる存在のアイドルのライブへ行くために、空港へとやってきた。 前日まで最強寒波襲来などの情報が飛び回っており、北海道から旅立てるのか、戦々恐々としていた。実際には、特に問題なくあっさりと飛行機は東京へと飛び立った。 飛行機で毎回、私の頭を悩ませている問題がある。それは、着陸前の気圧の変動による耳の痛みだ。飛行機に乗るたび、私は耳の激痛に悩まされ続けてきた。しかし、今回は違う。気圧変動に対応したい耳栓を買っておいたのだ。これで、耳の激痛とおさらば――できなかった。普通に痛い。多少マシにはなったけど。 痛みとの戦いで疲弊したが、無事に東京へ到着。ホテルに荷物を置き、観光へ。 明治神宮へ初詣をし、御守りを購入。そのままの足で、色々な書店を回った。Vtuber関連のグッズを置いてある書店にも出向いてみたが、期待しているものはなく、別の書店で好きな作品の限定カードが封入されたマンガが売られていたので、迷わず購入。 ホテルの近くで夕食を取り、コンビニでお酒とおつまみを購入して、ホテルで晩酌。結果として、この初日とお酒とおつまみが、東京で一番高い食事代となった。 2日目。1月24日。「Oath ONE」当日である。 午前中は、神保町でモーニングを食べて、お台場へ。そこで、現在は関東に住んでいる小学生のころからの友人と合流して、ダイバーシティ東京をブラブラ。ガンダムの変形も見た。 15時過ぎ。友人と分かれて、ライブ会場の武道館へ。駅に着くと、同じライブに行くであろう人々がライブの広告を写真に収めており、来たんだなぁと実感した。駅を後にして、日本武道館へと向かうと既にたくさんの人。実際に日本武道館に着くと、人が多すぎて若干引いた。 ライブグッズは、ほとんど売れ切れていたが、欲しいと思っていたグッズが1つまだ残っていたので、それを購入。そして、いよいよ開場。席は2階だった。想像以上に席が狭いし、目線が高いしで、ちょっと怖かった。 17時過ぎ。ライブが、始まる。 いた。そこに確かに推しがいた。歌っている。あの日、ずっとずっと聞いていたあの歌声で。でも、新しい進化した歌声で。もちろん、彼女は2次元のキャラクター。そんなことは分かっている。でも、いたんだ。曲が次々と変わっていく。心に響く。ああ、このライブに来られてよかった。 ずいぶんと彼女の歌から、離れてしまっていたけれど。それでも、彼女を好きな心は失っていなかった。彼女が、人生で初めてできた推しでよかった。心の底へと染み入る歌を聞きながら、強く思った。 以上のように大満足のライブだったのだが、問題はライブ翌日の北海道へ帰る日に起きた。大雪で北海道の交通機関が大ダメージを食らった影響で、予約した飛行機の欠航。そして、振替の飛行機の遅延。北海道に着いたと思ったら、生活道路もどえらいことになっており、家族に迎えがあった中でも帰宅時間は深夜0時を超えていた。翌日、仕事だったのに。 みんなも真冬の雪国へ行くときは、しっかり天気情報を見ようね!
140文字小説+α その148 「運動後のドリンク」
今日は、土曜日だが部活の練習がある。 練習開始から1時間半ほどたっただろうか。休憩時間になった。 「みんな、お疲れ」 マネージャーが飲み物を用意してくれる。 「今日は、塩分とミネラルを同時に摂取できる味噌汁を用意しました!」 ……ん? 「み、味噌汁?」 「そう! 運動後にいいって、テレビでやってたの!」 戸惑いながら紙コップを受け取ると、ほんのりと温かい。 ……めっちゃ運動して、体暖まっているんですけど。 仕方なく味噌汁を飲むと、優しい味わいで非常に落ち着く。 最初は、マジかよと思ったが、案外いいのかもしれない。 ……でも、あっついな。味噌汁冷やして飲むっていうのもなぁ。冷汁ってあるけど、どちらにせよ運動後に飲むものじゃないだろうし。 休憩時間が終わる。次の練習メニューは、かなり激しい運動なので、へとへとになりそうだ。 なんとかきついメニューをこなして、再び休憩時間に。 「みんな、お疲れー」 つ、疲れた。相変わらず、このメニュー辛いな。冷たい飲み物欲しいけど、味噌汁なんだよなぁ。 「先ほど、温かいのはちょっと、という苦情がはいったので――」 お、普通にスポーツドリンクくるか? 「冷製コンソメスープを用意しました」 この短時間にどうやって用意した?
140文字小説+α その147 「スーツ姿の男たち」
スーツ姿でサングラスをかけた強面の男たちが、道を歩いている。 どう考えても反社会的勢力だろう。 警官としては、見逃せない。 「……君たちは、どこの組の人達?」 「……○○町ウォーキングサークルや」 健康サークルかい。なんでスーツなんだよ。 「健康サークル……ということかい?」 「それ以外に何があんねん」 いや、何があるって言われると弱いんだけど。 ま、まぁ、危ない集団でないならいいか。 「運動の邪魔して悪かったね」 「気にしないでください」 リーダーと思われる人が頭を下げてきた。礼儀正しい……。 「兄貴、早くヤクを買いに行きましょう!」 「ちょっと待って、ヤクってなに?」 騙されるところだった。健康サークルの皮をかぶった反社会勢力か!? 「ヤクってのは、ココア味のプロテインのことです」 「いちいち紛らわしいな」
犬の気持ち その32
「ぽち、どうする。今年が終わる」 どうすると言われましても。 完全に季節は冬に移り変わった頃。もこもこのダウンコートを着ている青が、空を見上げて言った。 「くっそー、今年終わるやん。今年、私何してたん? 何のやりきった感もないねんけど」 青が何してたか教えてやろうか。食って、寝る。それをひたすら繰り返していただけだ。非常にシンプルだし、何なら俺とほぼほぼ変わらない。 「いや、確実に何かを成し遂げていたはずや。思い出してみよう……」 徒労に終わると思うけど、頑張れ。 「まずは、1月……、は一旦保留にしておこうか」 挫折が早すぎるだろ。 「2月、3月……。あかん、季節単位で考えよう」 1か月単位だろうが、季節単位だろうが、同じ1年なんだから変える意味ないだろ。 「まずは、春。大学2年生に無事に進級。んで、夏。なつ……」 だから、早いんだって。 「夏は、ぽちのゲージ買いに行ったな」 お前、それでいいのか。ゲージは確かに買いに行ったけど、成し遂げるというか、日常的に行っていることの一部じゃないのか。 「秋は、そうやな……。焼き芋が美味しかったな」 もはや成し遂げたことでも何でもないぞ。というか、青の今年の秋は、それでいいのか? もっとこう……、ダメだ。食って寝てただけだこいつ。 「んで、冬やけど……。クリスマスと大晦日に美味しいごはんが食べられた、という予定を立てておこう」 予定になっちゃったよ。目的を見失うスピードが速すぎる……。俺じゃなかったら気付かなかったぞ。 「ぽちは、今年はどうやった? って、犬は基本的に食って寝てるだけか。悪いこと聞いたな」 青にだけは、言われたくないセリフだな。