犬の気持ち その23

「私、思うんよ。大学の教授の人達って、実はバカなんじゃないかって」  そんなことはないだろうし、それでも青の方がバカだと思うが。  夏の太陽がじりじりと体温を上げる。地面も熱い。もう夕暮れなんだがな。 「うちの大学、一応テスト期間みたいなのが決まってんねん。でも、たまに教授が『テスト期間だと、他の講義のテストと被って大変ですよね?』みたいに言って、テストが早めにある時があんねん」  気遣いしてくれているなら、いいんじゃないか。  優しさは、素直に受け取るほうがいいって、青の父親が悲しそうな目で言ってたぞ。  「そのテストを早めるイベントが重なって、結果的にテスト期間1週間前に、テスト期間ばりにテストがあんねん」  優しさが裏目に出たんだな。  時に優しさは、人を傷つけることもあるって、青の父親が真夜中に酒を飲みながら言ってたぞ。 「まったく……、ちょっと考えれば分かるやろ。というか、教授同士で打ち合わせしとけや。報連相という社会人の常識を知らんのかい!」
きと
きと
就労移行支援を経て、4度目の労働に従事するおじさんです。 あまり投稿は多くないかも知れませんが、よろしくお願いします。 カクヨム、エブリスタでも小説を投稿しています。