犬の気持ち その22
「ぽち、今日は本屋に行くで」
青は、俺にリードを付けると、開口一番に言った。
本屋か。そうなると、結構歩くな。何よりもいつもと違う景色になるのがいい。いつも同じというのも味があるが、少しくらい変わったっていいだろう。
「最近は、ネットとかでも買えるけど、やっぱり私は実際に店舗に行って買いたいんや。ぽちには、分からんやろうけど」
まぁ、犬だからな。本なんて読まないし。圧倒的に、公園でボールを追いかけているほうが楽しいしな。
「1回、電子書籍も試してみたけど、あれはなんか肌に合わなかったんよな。便利なことは間違いないんやけど、何というか、なんか違うねんな。あれや、ほら、分かるやろ?」
分からん。言葉出てこないにもほどがあるだろ。
「でも、紙の本の一番の問題は、場所取ることやねん。そろそろ何冊か売りに行かなあかんな……」
青は、しばし無言になる。
何かを考えているようだ。要らない本の選別でもしているのだろうか。
0
閲覧数: 32
文字数: 831
カテゴリー: その他
投稿日時: 2025/8/2 4:29
きと
就労移行支援を経て、4度目の労働に従事するおじさんです。
あまり投稿は多くないかも知れませんが、よろしくお願いします。
カクヨム、エブリスタでも小説を投稿しています。