黒鼠シラ

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黒鼠シラ

高校1年生の16歳です。 面白いかはさておき、話を書くのが好きですのでよろしくお願いします

第2回N-1GP最終決戦結果発表

どうも黒鼠シラです。 ついに第二回N1も終わりでございます。 第一回大会の王者は碧ヶ岳雅さんでした。 白熱したと同時に、グランプリブームの先駆けとして開催された第一回でしたが、第二回も個人的には非常に熱いものだったと思います。 それでは、第二回N1グランプリの最終結果です。 3位,1位,2位の順番で発表します。 それでは、第3位からです。 第3位は、、、 ぷないぷ好きの冷泉さん(0点)です。 未提出です。 それでは、第2回N-1グランプリを制し、N-1GP 2代目チャンピオンとなったのは!? 第1位、王者の発表です! 第1位は、、、 鴉君。さん(433点)です! 前大会第4位だった鴉君。さんが優勝です! 1.2回戦ともに真っ先に投稿していただく意欲とやる気がとても伝わる、素晴らしい作品でした! では、惜しくも準優勝の 第2位は、、、 イチゴサンドさん(404点)です! 惜しくも準優勝でした。しかし、初出場にして準優勝は凄いと思いますので、是非とも次回第3回がありましたら、頑張ってください! これにて第2回N-1グランプリは終了でございますが、ここでお知らせです。 なんとなく察しているかもしれませんが、、 第3回N-1グランプリを行います!!! これは、第1.2回共々多くの方々にご参加いただけているからです! 本当にありがとうございます! それでは、第3回N-1グランプリの詳細は2023/12/30に投稿させていただきますので、ぜひご参加お願いします! 第2回N-1の王者は鴉君。さんという事で、みなさん本当にお疲れ様でした! それでは、黒鼠シラでした!

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第2回N-1GP最終決戦結果発表

第2回N-1GP最終決戦の案内

投稿が遅れてしまい申し訳ありません。 それでは、端的に説明します。 まず期限は明日(7/28)〜8/4までです。この期間内に、 ・MAX文字数5000字(オーバーしたらしただけ集計された得点から点が引かれます) ・審査等は1回目と同じです。(審査委員は5日までに審査結果をください) ・お題は「可愛いフェレット」「大きな扇風機」「薄汚れた古雑誌」の3つから選んでください。 以上が説明です。他の点は1回戦と変わりませんので! それでは、一回戦トップ3の3名の面白い作品を期待しています

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第2回N-1GP最終決戦の案内

奪死幻影物語

奪死幻影物語(だっしげんえいものがたり) もくじ 第一話 炎(3p〜14p) 第二話 よの道(14p〜23p) 第三話 胸騒ぎ(23p〜28p) 第四話 そこにいるのはだれ(28p〜36p) 第五話 地獄の中(36p〜43p) 第六話 命(43p〜51p) 第七話 運命(52p〜57p) 第一話 炎 日本の関東の小さな田舎町に僕は住んでいる。 毎日毎日畑作業や肉体労働を繰り返す日々、買い物に行くのだって何十キロも離れている街に行かないと行けないからすごく大変。やっと仕事も終わり休めると思った時も、すぐに母の死んだ父への思いを聞かされる。ただでさえ愛してるだのの話はつまらないのに、僕のことまで話されては気持ち悪くて仕方がない。 いつもそう思って母のことは適当に流しているのだが、時々おかしな時もある。母が僕のことを話し始めたかと思うと急に泣き出すんだ。 普段は気持ち悪いと思ってしまう母のことも、そんな時だけは慰めてあげなくてはと思ってしまう。 そう、僕もなんやかんやで母が好きなのだ。 とはいえ僕も今年で18歳。泣いてばかりの母の元を離れて一人暮らしをする時期が迫っている。 やっとこのど田舎を抜け出せるかと思うと心躍る。でも実は、ここでの生活はまだあまり長くは無いのだ。こんなに悪いことを言ってはいるがまだまだことの町では新参者だ。では田舎嫌いの僕がなぜこんなところに引っ越してきたか?その答えは僕の大好きな登山中に起こった事故にあった。。。 当時僕はまだ16歳の高校一年生。本来なら一人で大きく険しい山道を行くのは止められるはずである。しかしその日が僕の誕生日だったこともあり、母は嫌々ながらも僕のことを信頼して登山へと送り出してくれた。 亡き父は登山が大好きだった。肺がんで死んでしまう半年ほど前まで当時小学生だった僕を連れて登山をしていた。そんな父の影響もあってか僕はかなりの登山マニアで、未開の山を探索する夢を胸に込めて日々山について調べ、友達や叔父さんなどと登山をしている。 そんな僕にとって高さ500メートル程度の山は楽なものだった。 「楽しい登山になるよ!」 家を出るときに母に向けて放った言葉だ。 本当に楽しい登山になると思っていた。 あの音が聞こえるまでは、、、 ボボボ、、、 バサン、、、 メラメラ、 山の中ほどまで登ったときだった。目の前に大きな赤,緋,黄色などの色々を纏った物質が木々を破壊していた。 山火事だ。。。 僕は即座にその場を離れ110番通報し下山をしようとした。しかし急ぐ僕の足はとある声に止められた。 「助け、けて、、くれ、、、」 僕は即座に誰かが火の中にいることを察知した。 「大丈夫ですか!?」 大きな声を上げながら、僕は迷いなく大きくメラメラ燃える火の中に飛び込んだ。汗で濡れた服に灰が纏わり付きどんどん黒く染めていく。 無心で叫び、火の中を進み続けることわずか10秒、僕は燃えたぎる草の上を弱りきった状態で横たわる血で染まった男を見つけた。 すぐさまその男に駆け寄った。 「大丈夫ですか!?立ち上がれそうですか!?」 男はしゃべらない。 それでも、死んでても生きててもなんとしてでもこの火から出してやりたいという思いを込めて、僕は焼け爛れた男の熱い皮膚に触れようとした。その時だった。 突然男が服の下に隠していた青白い手を伸ばし僕の左足首を掴んだ。 生きていた。。。よかった。 僕は一時の安心にかられた。 「大丈夫ですか?立てますか?」 今度は冷静に男に問いかけ、胴を持って持ち上げようとした。 しかし、男は動こうとしない。それなのにも関わらず僕の足首を掴み続けていた。男の手を振り払おうと指を足首から動かそうとするも、びくとも動かない。 それどころかどんどん握る力が強くなっていく。 「放してください!」 俺は全身の焼けるような痛みに耐えながら叫んだ。 足を握る手はどんどん強くなる。 「放せ!!!」 僕は残った力で指を動かそうとした。それでも動かない。 まずい、全身が熱い。。。 力がだんだんと抜けていく、 このままでは意識が持たない。 ぼく、まで、死んで、しま、う、、、 今にも意識が無くなりそうな中、わずかな希望の音が聞こえた。 消防車のサイレン音、、、 わずかな希望を見出したその時、僕の記憶はプツリと途切れた。 次に僕が目を覚ましたのは病院だった。 どうやら何ヶ月もの間目が覚めていないらしい。 医師や警察は、この大きな山火事の影響でおよそ3平方キロメートルもの範囲の木々が焼失し、地面も焼け野原となったとのこと。そして、その場に居合わせた登山客二名の内、一人が全身火傷の重傷。そして、一人が死亡したとのこと。 僕は足に残った後を見て、怒りよりも男を救えなかった情けなさが勝っていた。 きっと気が動転して僕の足を掴んでいたのだろう。 僕は溢れ出てくる罪悪感に耐えきれずに泣き込んでしまった。 その山火事の事故の後からだった。 僕の周りはどんどん変になっていった。突然親友が自殺したり、母が精神病で入院したり、、、 こんなに多くの異変が起こった結果。母と僕は遠い田舎に引っ越してみることにした。母の精神病の治療も兼ねてだった。 このような事故があって、僕はこのクソ田舎に来る羽目にあってしまったのである。 今は何よりも一人立ちして、ここから離れたいと思っているが、またあのような出来事が起こるのはとても怖い。 あれからまだ一度も登山をしていない。まぁ、あんなトラウマな出来事があったら仕方ないが、僕はまだ登山したいという思いは残っていた。幸いここはど田舎で山なんか腐るほどある。 もう少し精神的に回復したらまた登山しよう。 あの事故から1年以上経った今も精神的なダメージが治っていない僕は、いつか登山することを夢に見て、今も毎日を頑張っている。。。 第二話 よの道 今日で僕は18歳になる。 僕はずっと18歳の誕生日に登山に行くと決めていた。もちろんまだトラウマはあるし、心のどこかでまたあのような悲劇が訪れるのではないかと思ってしまっていた。 しかし、そんな心配を捻り潰してしまうほどのワクワクが僕の胸の中にはあった。 久しぶりに山に行けることに心が躍る18歳の誕生日の朝、僕は目指す山からまだ暗い空に上がる緋色の星を見ながら、楽しみな気持ちを胸に家を飛び出た。 「行ってきます!」 今回登る山はとても小さな山だ。しばらくの間登っていなかったこともあって、小さめな初心者向けの山にした。ここはど田舎だし、この山の何倍も大きな山が多く存在している。今回何事もなかったらその山々にも登ろうと思って、この小さな山にした。 空が山に乗っかっているような太陽と、同じ緋色に染まっていく、、、 すごい綺麗な朝焼けだ。 でも、それと同時に2年前の今日の悲劇を思い出す。確かあの時の火もこの空と同じような色だったな、、、 昔のことや最近のこと、悪いことやいいこと。色々なことを考えながら山の麓まで歩いた。 「久しぶりの山は少し怖いな。」 僕は大きな思いを胸に込めて、この小さな山への一歩を踏み出した。 片道たったの1時間弱で登れてしまったこの山から見る景色は、これまでで1番出なくとも、確実に記憶に刻まれるような美しいものだった。 山頂でまだ食べていなかった朝ごはんを食べ、少し綺麗な空気を楽しんだのち、僕は下山を始めた。 もうすぐ山の麓に着く頃だった。それはいきなり起こった。バチバチという音と共に意識が朦朧とし、周りがいきなり真っ暗になった。薄れゆく意識の中で僕は目の前を謎の人影が歩いていくのが見えた。僕は必死に目をこらした。こいつは誰か把握しないと行けない。何故だかそんな気がした。 必死に目を凝らしてる僕を、その人影は振り返って見てきた。それの顔を見た瞬間、僕は自分の目を疑った。 そこに立っていたのは、、、僕だった。。。 意識がはっきりした時、すでにその人影は消えていた。 僕はなんだか混乱しつつも、疲れから寝てしまっていたと自分を説得した。 そうだ。もう1人の僕はただの夢の中の存在だったんだ。そのはずだ。 僕は少し落ち着いた後、夜道を歩いた。 疲れと混乱から無心に歩いた。 歩き始めて数分経った頃だった、目の前に謎の女が現れた。彼女は両腕に大量の切り傷があり、大量出血のせいかふらふらいた。 僕は彼女に走り寄り、安否を確認しようとした。 「大丈夫ですか?」 女は何も言わない。僕はどうするか分からず、少し黙り込んだ。なざなら、現在地からでは最も近い病院でも10キロほどの距離があるからである。 僕は、少し渋りながらも、 「家に来てください。この辺病院ないので、母が医療詳しいので見てもらえると思います」 と、声をかけた。喉を怪我しているのかわからないが、彼女は何1つ言葉を喋らなかった。しかし、僕が家へとリードしようと歩き出すとそのまま着いてきてくれた。 彼女のペースに合わせ、何も喋れない気まずさを我慢しながら、家へと向かった。 しかし、事態は家に着いた瞬間に急変した。先ほどまで虚ろな目をして、死にかけのような体の動かし方をしていた彼女が、家に入るなり狂気じみた目をし、ものすごい勢いで家を走り回り始めた。 僕は呆気に取られていたが、母の悲鳴が聞こえた瞬間、我に帰って悲鳴のした部屋に向かって走った。 すると、そこには滅多刺しにされ横たわる母と、その母の横に座り、母の首をナイフでギコギコと切断する女がいた。 僕は、悲しみよりも怒りよりも、絶望で膝から崩れ落ちてしまった。 僕が部屋に入ってきたことに気づいた彼女は、切掛けの首を乱暴に床に置いて、泣きながら僕に向かって一言発した。 「あんたの仇をとったわよ。。。」 僕は、この言葉の意味なんか考えなかった。なぜなら、それ以上に驚き、絶望感に駆られることがあったからである。先ほどまで虚で死にかけだった彼女だが、顔を合わせたときに、それが誰だかわかった。 そう、それは、小学,中学時代に可愛がってくれた叔母さんだった。 あんなに可愛がってくれた。いい人なおばさんが、意味わからないことを言いながら僕の母を殺した。 僕の治りかけていた精神は再び絶望に突き落とされた。 第三話 胸騒ぎ 今考えると、僕はこの日が訪れることを知っていたのかもしれない。 たしかに、随分前から胸騒ぎはしていたからな。。。 散々な目に遭い続けていた僕だが、母の死などの要因によって引き起こされた精神病にこれまた悩まされた。 日に日に良くはなっているのだと医師からは聞くが、僕はそうは思えなかった。 しかし、そんな僕の意見は聞き入れられることもなく、早くも退院の日は訪れた。 僕は退院した後、もう使われることのない古い屋敷に父親代わりのジムと共に引っ越した。ジムはとても器用で、持て余した巨大な屋敷の部屋達を全て綺麗に整理した。 それにジムは人柄もとても良く、僕の話し合い手となった。 そして、今日19歳を迎える僕は懲りずに再び山へと出かける。今日の山はこの周辺の住民なら知っている非常に大きな山である。 ちょうど1年ぶりの登山は1年前のものと同様、楽しみでもあったがどこか不安もあった。しかしいざ山を登り始めると、久しぶりに自然の世界ににたった1人で入り込めた楽しさや嬉しさが湧き上がってきた。 三度目の正直と言うべきなのか、今回の登山では特に悪いことは何も起きなかった。 しかし、この日の朝から感じていた胸騒ぎは、単なる思い込みや考えすぎだと言うわけではなかった。 そう、それは1日の疲れを食事と湯船で癒した後に起こった。ジムと部屋で並んだ二つのベットで話しながら寝落ちしそうになっている時だった。 楽しさと眠さでなんとも言えない感じになっていた僕の横から、 「バシャ」 と廊下を挟んだ反対側にあるトイレから、流れる音が聞こえた。 ジムも僕もこの部屋にいる状態でトイレの流れる音。。。 初めはこのボロボロな家を怖がって霊が出るなどと言う噂を立てていた子供達が入ってきたのではないかと思ったのだが、そうではないらしい。直感でわかる。これは僕にとってとても悪いことなのだと、、、 トイレのドアが「キイィ」と音を立てて空く音がした。 ジムと僕は顔を合わせながらガタガタと震えている。 ギシギシと廊下の床が軋む音が聞こえる。 "来る" 何かはわからないが、きっと僕にとっては悪いものが。 「カチャ」ドアノブに手を置く音がした。 僕は息を呑む。 少しずつ捻られていくドアノブは、僕の心臓をぐっと縮ませた。 捻り切られたドアノブはそっと部屋の中へと押されていった。 そうして、 ドアが開いた。。。 第四話 そこにいるのはだれ ドアは開いた。。。 ジムと僕は大声を上げた。なぜらならそこには実際に人がいたから、猫などの野生動物ではない、人がいたからだ。 ドアから薄暗いこの部屋に入り込んだ謎の影は、僕に視線を送りニヤリと笑うような素振りを見せた。 別に口元や目元が見えたわけではない。ドアの横から薄暗い部屋の中でも圧倒的な負の存在感を誇るその陰は、確かに笑うような気配を帯びた。 その影は決して明るくなることも近づいてくることもなかった。 しかし、僕はだんだんそれの正体に気づき始めてあることに気がついた。ジムは僕とその陰を恐れ、なるべく離れようとベッドから落ち床を伝った。 もちろん僕もその陰の状態に気がついた。 それは見覚えがあるものであった。 さっきまで薄気味悪いと思って見ていたその色のない黒い負のオーラが、次第に鮮やかな色合いでメラメラと燃える炎のように見えてきた。 燃え上がる炎の中で黒く輝きながらたった1人だっていたその陰は、、、 僕だった。 不思議と冷静だった。 その陰には見覚えがあった。それはもちろんそれが僕の形をしていたからでもあるのだが、違う見覚えがあった。僕としての見覚えではない、陰としての見覚えだった。 この陰はあの夜。あのよ道で見たものだった。 突然暗くなり何か不吉なものが産まれ瞬間に居合わせたような、自分にとっての最悪が誕生したようなそんな最悪な気分に見舞われたあの時、きっとこの陰、いや俺は誕生したのだろう。 部屋は燃え盛る炎とは対照的にどんどん寒くなっていった。 「そこにいるのはだれ」 そこには陰の俺がいる。そんなのは分かりきっている、でももっと違う気がしたこの炎はもっと違うものなのだと思った。 俺はそれを知っていて、それも俺を知っている。 それはきっと俺にとっての恐怖の象徴。 あの日の山火事だ。。 燃え盛る炎はどんどん強くなる。次第に俺やジムをも包み込むほどになった。 俺は自分が燃えることや家が燃えていくことなどどうでもよかった。 それほどまでに炎の中に見入ってしまっていた。 炎の中の陰に、、、 いや、陰だけではない。 炎の中には2つの影があった。 立っている影と、その足元で燃えている影。 そう考え、炎をじっと見続けている間も、家は朽ち果てジムは炎の中を苦しみ続けた。 炎という名の恐怖に包まれた俺は、先ほどまで自分だと思って見つめていたその陰が自分では無くなっていることに気づいた。 そして、そこにあったのは、これまで俺が否定し気付くことのなかった真実の光景だった。 燃え盛る炎の中に立つ1人の男と、その下で燃えて苦しみ続ける俺。 「俺は死んでいた。。。」 その事実に気づいた時には、嘆き苦しむジムの姿も綺麗に飾られた家の家具達も全て消えていた。 がらんとした家にあったのは炎と俺の死んだという事実だけだった。ようやく真実を知った俺は気がついた。 今日地獄が迎えに来る。 気づけば俺は地獄にいた。 辺りを見回しても一面炎でしかなかった。 しかし司会のはるか先に2人の人影が見えた、男と女だ。 2人とも見覚えがある。 女は俺が助けた。 男は俺を殺した。 2人を見つめ続け、そして2人の顔がはっきりしその時。 俺の中では一つのはっきりした感情が浮かび上がった。 これまで感じたことのなかったもの。 これまで愛に満ち溢れていた心の中 今は何もない心の中。 そこには 気づけば恨みがあった。。。 第五話 地獄の中 今考えると、俺はこの日が訪れることを知っていたのかもしれない。 恨み、屈辱、地獄で焼かれ続ける苦しみ、これらの感情は日に日に大きくなって行った。 何せ俺はこの地獄で何日も何週間も何ヶ月も過ごしているからな。 色々な負の感情が湧き上がり、拡大し続ける中で俺はとある一つの感情が台頭した。 「復讐」 俺は俺の肉体を殺した山火事の男、そして俺の心を殺したよ道の女、この2人の命を奪いたくて仕方がなかった。 俺はこの地獄の炎に焼かれ続け、苦痛を耐えているうちに、炎の先に何かが見える気がするようになった。 あの男だ。 奴は怪我も完治して呑気に廃病院で友達と肝試しをしていた。 さらに炎の中をまじまじと見つめると、あの女が檻の中で笑っているのが見えた。 にくい。。。 俺は心の底から彼らの死を望み、それが訪れればきっと地獄から消えても構わないとさえ思った。 そうして常に、朝も昼も夜もあの2人の死を願い続けた。 その結果ある日、俺は2人が死んだことを炎の中から知った。 俺が呪い殺したのだろうか。 そんなのはわからない、しかしあの2人が死んだという事実は俺をとても励ました。 しかし、あの2人を殺した後も地獄で送る日々は変わらなかった。 まだまだ俺は炎にいる。 俺は燃えながら過去を思い出した、 廃墟の屋敷を友達と肝試しに行った時だ、謎の男の霊が出ると噂の屋敷だ。 そこはそこそこの都会の果てに位置しており、多くのオカルト好きが訪れる場所だった。 そこで俺は多くの霊を見た。燃える男の霊、首のない女の霊、うめき苦しむ男の霊など、数えればキリがなかった。 そういえば、今あの屋敷はどうなっているだろうか、、、 いや、違う。 そうじゃない。 これは俺の記憶なんかじゃない。 むしろ反対だったんだ。 俺は使われない廃墟に住み着いた幽霊で、自分が死んだことも知らずに呑気に暮らしていたのだ。 ジムや家具など妄想のものに囲まれながら、かりそめの幸せの下で暮らしていたのだ。 家に入ってくる邪魔者を排除しながら。 きっとそれが地獄の閻魔様の目に留まったのだろう、彼は死神を俺の元へ派遣し、地獄へと送ったのだ。 あの夜の胸騒ぎはおこるべきして起こったものだった。 全てのあの山火事から決まっていたのだ。 俺は絶望しながらも、ようやく字母の記憶を思い出した。 それは至って平凡などこにもいそうな子供の記憶だ。 おもちゃをもらった時、友達ができた時、その友達と遊んだ時、親と遊んだ時、さらには、親が死んだ時、友達が死んだ時、そして自分が死んだ時、色々な瞬間に合わせて色々な感情が生まれる。 嬉しさ、楽しさ、悲しさ、切なさ、そして怒り、欲望、貪欲、、、 俺は今久し振りに猛烈に欲しいものが産まれた。 俺は16で死んでから何年も死んだと気付かずに生活し、そして何ヶ月も地獄で生活している。 最後に物が欲しいと感じていたのはおそらくまだ10つも歳をとっていない時だ。 しかし俺は、確かに今欲しい物があった。 俺は命が欲しかった。 第六話 命 俺は炎の中で自らに呟き続けた。 「命がほしい」 再び生きる人間として友達や家族と会い、共に楽しい時間を過ごしたい。 分かち合い、時にぶつかり合う。そんなことを待たしたい。 この地獄で炎に炙られ始めてから、おそらく10年は経っている。いつまで続くかわからない地獄の中で一つのことを思い続ける。 半狂人になりながらも命を求め耐え続けていると、幻か現実か、炎の先に細い一本道が見えた。 それが実在していることを信じて、俺は足を踏み出した。 10年振りの一歩だ。 確かにその道は実在した、しっかりと上を歩くことができて、果てない道の先にも微かな希望が見える気がした。 俺は歩いた、微かな希望を求めて歩き続けた。 それが何日も、何年もかかったとしても、行く価値が必ずあるから、俺は長い年月歩くとこを覚悟して歩いた、終わりがないとさえ思えた。 そのうちこれは全部幻で妄想しているだけなのではないかとさえ思えてきた。 それでも俺は進み続けた。 まだまだ道は続く、そう思いながら歩いていたある日、俺はいきなり道から落ちた。横に落ちた訳ではない、確かに進行方向に穴があったのだ。 その長い落下は炎の崖を伝っていくものだった。しかし、横には炎の壁があるにもかかわらずなんだか肌寒く心細い気がした。 気がつくと俺は、真よ中の学校にいた。 目の前には長い長い廊下が見えた。何が起こっているのか把握できずに混乱しながらも、何十年ぶりともなる沈黙を味わいながら、何かモヤモヤした怒りのような感情が湧き上がってきた。 "復讐"この二文字が頭の中をよぎる。 俺は命を求めて、いや、復讐を求めて廊下を進み出した。 一歩一歩、あの地獄の細い道を歩いている時のように着実と歩き出した。 しかし、次第に俺の中には焦りと早くしたという急ぐ気持ちが生まれた。 俺は、壁を伝い天井の火事の時の消化用の穴へと爪を引っ掛けた。 そして、サソリやゴキブリのごとく天井を四つ足で駆けた。 我ながら恐ろしい幽霊のようでいい気はしなかった、しかし急ぐ気持ちを抑えるためにも、この方法で廊下の奥まで走った。 そして、廊下の一番奥にある階段に到達した時、俺は求めていたものを見つけた。 そこには、肝試しか何かに来ている中学生が6人いた。 心の底から出る欲をおさえきれず、俺はケタケタと笑いながらその子供たちに降りかかった。 命を奪うのは簡単だった。 自分が簡単に奪われたからなのだか、それは予想よりもずっと簡単だった。 泣き喚く子供たちを見て俺は笑うしかなかった。 6人を殺し終わると、俺は階段の手すりを伝って物凄い勢いで階段を降り、校庭へと出た。 復讐を、そして命を、、、 俺は何も考えずに体が動くがままに子供に女、とにかく通行人を殺しまわっていった。 「もっともっともっと」 俺はがむしゃらに殺して回った。 もう何のために殺しているのかすらもわからなくなりながら、、 9...10...11... あぁ、もう何人殺したのかもわからなくなってしまったよ、、、 気づくと俺は再び地獄にいた。 あれが現実だったのか妄想だったのかはわからない、しかし、快感は体と心に確かに刻まれていた。 しかし、手を見ると手は血で真っ赤に染まっていた。 あいつらの血だろう、、、 あれは現実だったのだ、きっと強く願った俺の思いは地獄の閻魔様に届いたのだ。そうして俺に復讐をさせてくれた。 ふっ、ふはは もう、全てが笑えてきた。でも、今何も無くなった。 先ほどまでの高揚感や愉快感は全て一時的なもので、なくなってしまった。。。 冷静になって自分の手を見て、ようやく気づいた。 復讐は確かに叶ったかもしれない、、 でも、俺はもう死んでいるんだ、いくら人を殺したってその事実が変わることはなかった。 命なんて取り戻せるはずなかったんだ。。。 俺はもう何もできないのだ。 どんなに願っても命は手に入れられないから、、、 俺は絶望し、炎の中に座り込んだ。 第七話 運命 俺は泣いた。何度も何度も泣き続けたさ、 何もできずに永遠と火に炙り続けられる、そうして死をまつ。 この空間に閉じ込められた俺にはこんなにも少ない選択肢しか与えられない。 今思えば、歯車はあの山火事で狂い出してからもう止まること絶対になかったのだと思う。 あの夜、よ道で感じた謎のバチバチ音と見えてしまった謎の影、、、きっとあの瞬間、死を理解してなかった俺を地獄へと送くるための死神が生まれたのだろう。 あの女が、いや叔母さんが俺の母さんを殺したのも後からなぜかわかった。。。 俺を溺愛してくれていたおばさんは、俺の母さんが俺が登山に行くことを許したのが死んだ原因だと、母を責めていたのだ。精神的に参ってしまった叔母さんはついに母を手にかけたのだ。 俺の復讐の心と怨念は、生き霊となって夜の学校に現れ、多くの人々を殺した。 この罪は重い、きっと俺は地獄にさえもいられなくなるのだろう。。。そうしたらどこに行くのだろうか、、 さらなる地獄か、それともそれこそが本当の死なのだろうか。 俺はまだ命が欲しいと思っている。でも、これが叶わぬ願いだということはわかっている、俺は大罪を犯した。おそらく、俺はこの先何度死んで何度地獄にこようとも、罪何人の命を奪って自らに命を灯そうとするのだろう。 俺はそんな幻想を見ていたのだ。自らの死を奪い永遠に復讐のために生きながらえる幻想を、、、 そんなくだらないことで人の命を奪うなんて、、、今では考えられない。。。 でも過去の俺はこの罪を犯した。自分のことだから何となくわかる。俺はもうすぐ消えるのだ、この地獄からも。。。 運命は迫り来る。そして来る来る、、何をどうしても避けられない。俺の場合はあの山火事からもう止めることはできなくなっていた。 そんな運命の赤い炎の先にも確かなのは、夕日と海。 俺は思い出す。 まだ俺が幼い頃だ。 母さんに海に連れて行ってもらった、一日中泳いだり遊んだりして遊んでもらう。もちろん疲れて眠くなるが、楽しさが終わるのが嫌だから、帰りたくない帰りたくないと喚く。 それでも、夕日がさした時は泣きながらも帰らなければいけない。 これが運命だ。 俺はここで死ぬ。 ずっとわかっていた。炎に焼かれ始めてから、あの細い道を歩いていた時も、、、 いや、あの日の山火事で死んだ時から、わかっていたのかもしれない。。。 俺はだんだん意識が消えていく、まるであの山火事の中の時のように。 そうして俺は意識を失った。今度こそ終わりなのだと悟りながら。 そんな市の瀬戸際でも、 かすかに夕日と海で遊ぶ自分が見えた。

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奪死幻影物語

奪死幻影物語⑦

第七話 運命 俺は泣いた。何度も何度も泣き続けたさ、 何もできずに永遠と火に炙り続けられる、そうして死をまつ。 この空間に閉じ込められた俺にはこんなにも少ない選択肢しか与えられない。 今思えば、歯車はあの山火事で狂い出してからもう止まること絶対になかったのだと思う。 あの夜、よ道で感じた謎のバチバチ音と見えてしまった謎の影、、、きっとあの瞬間、死を理解してなかった俺を地獄へと送くるための死神が生まれたのだろう。 あの女が、いや叔母さんが俺の母さんを殺したのも後からなぜかわかった。。。 俺を溺愛してくれていたおばさんは、俺の母さんが俺が登山に行くことを許したのが死んだ原因だと、母を責めていたのだ。精神的に参ってしまった叔母さんはついに母を手にかけたのだ。 俺の復讐の心と怨念は、生き霊となって夜の学校に現れ、多くの人々を殺した。 この罪は重い、きっと俺は地獄にさえもいられなくなるのだろう。。。そうしたらどこに行くのだろうか、、 さらなる地獄か、それともそれこそが本当の死なのだろうか。 俺はまだ命が欲しいと思っている。でも、これが叶わぬ願いだということはわかっている、俺は大罪を犯した。おそらく、俺はこの先何度死んで何度地獄にこようとも、罪何人の命を奪って自らに命を灯そうとするのだろう。 俺はそんな幻想を見ていたのだ。自らの死を奪い永遠に復讐のために生きながらえる幻想を、、、 そんなくだらないことで人の命を奪うなんて、、、今では考えられない。。。 でも過去の俺はこの罪を犯した。自分のことだから何となくわかる。俺はもうすぐ消えるのだ、この地獄からも。。。 運命は迫り来る。そして来る来る、、何をどうしても避けられない。俺の場合はあの山火事からもう止めることはできなくなっていた。 そんな運命の赤い炎の先にも確かなのは、夕日と海。 俺は思い出す。 まだ俺が幼い頃だ。 母さんに海に連れて行ってもらった、一日中泳いだり遊んだりして遊んでもらう。もちろん疲れて眠くなるが、楽しさが終わるのが嫌だから、帰りたくない帰りたくないと喚く。 それでも、夕日がさした時は泣きながらも帰らなければいけない。 これが運命だ。 俺はここで死ぬ。 ずっとわかっていた。炎に焼かれ始めてから、あの細い道を歩いていた時も、、、 いや、あの日の山火事で死んだ時から、わかっていたのかもしれない。。。 俺はだんだん意識が消えていく、まるであの山火事の中の時のように。 そうして俺は意識を失った。今度こそ終わりなのだと悟りながら。 そんな市の瀬戸際でも、 かすかに夕日と海で遊ぶ自分が見えた。

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奪死幻影物語⑦

奪死幻影物語⑥

第六話 命 俺は炎の中で自らに呟き続けた。 「命がほしい」 再び生きる人間として友達や家族と会い、共に楽しい時間を過ごしたい。 分かち合い、時にぶつかり合う。そんなことを待たしたい。 この地獄で炎に炙られ始めてから、おそらく10年は経っている。いつまで続くかわからない地獄の中で一つのことを思い続ける。 半狂人になりながらも命を求め耐え続けていると、幻か現実か、炎の先に細い一本道が見えた。 それが実在していることを信じて、俺は足を踏み出した。 10年振りの一歩だ。 確かにその道は実在した、しっかりと上を歩くことができて、果てない道の先にも微かな希望が見える気がした。 俺は歩いた、微かな希望を求めて歩き続けた。 それが何日も、何年もかかったとしても、行く価値が必ずあるから、俺は長い年月歩くとこを覚悟して歩いた、終わりがないとさえ思えた。 そのうちこれは全部幻で妄想しているだけなのではないかとさえ思えてきた。 それでも俺は進み続けた。 まだまだ道は続く、そう思いながら歩いていたある日、俺はいきなり道から落ちた。横に落ちた訳ではない、確かに進行方向に穴があったのだ。 その長い落下は炎の崖を伝っていくものだった。しかし、横には炎の壁があるにもかかわらずなんだか肌寒く心細い気がした。 気がつくと俺は、真よ中の学校にいた。 目の前には長い長い廊下が見えた。何が起こっているのか把握できずに混乱しながらも、何十年ぶりともなる沈黙を味わいながら、何かモヤモヤした怒りのような感情が湧き上がってきた。 "復讐"この二文字が頭の中をよぎる。 俺は命を求めて、いや、復讐を求めて廊下を進み出した。 一歩一歩、あの地獄の細い道を歩いている時のように着実と歩き出した。 しかし、次第に俺の中には焦りと早くしたという急ぐ気持ちが生まれた。 俺は、壁を伝い天井の火事の時の消化用の穴へと爪を引っ掛けた。 そして、サソリやゴキブリのごとく天井を四つ足で駆けた。 我ながら恐ろしい幽霊のようでいい気はしなかった、しかし急ぐ気持ちを抑えるためにも、この方法で廊下の奥まで走った。 そして、廊下の一番奥にある階段に到達した時、俺は求めていたものを見つけた。 そこには、肝試しか何かに来ている中学生が6人いた。 心の底から出る欲をおさえきれず、俺はケタケタと笑いながらその子供たちに降りかかった。 命を奪うのは簡単だった。 自分が簡単に奪われたからなのだか、それは予想よりもずっと簡単だった。 泣き喚く子供たちを見て俺は笑うしかなかった。 6人を殺し終わると、俺は階段の手すりを伝って物凄い勢いで階段を降り、校庭へと出た。 復讐を、そして命を、、、 俺は何も考えずに体が動くがままに子供に女、とにかく通行人を殺しまわっていった。 「もっともっともっと」 俺はがむしゃらに殺して回った。 もう何のために殺しているのかすらもわからなくなりながら、、 9...10...11... あぁ、もう何人殺したのかもわからなくなってしまったよ、、、 気づくと俺は再び地獄にいた。 あれが現実だったのか妄想だったのかはわからない、しかし、快感は体と心に確かに刻まれていた。 しかし、手を見ると手は血で真っ赤に染まっていた。 あいつらの血だろう、、、 あれは現実だったのだ、きっと強く願った俺の思いは地獄の閻魔様に届いたのだ。そうして俺に復讐をさせてくれた。 ふっ、ふはは もう、全てが笑えてきた。でも、今何も無くなった。 先ほどまでの高揚感や愉快感は全て一時的なもので、なくなってしまった。。。 冷静になって自分の手を見て、ようやく気づいた。 復讐は確かに叶ったかもしれない、、 でも、俺はもう死んでいるんだ、いくら人を殺したってその事実が変わることはなかった。 命なんて取り戻せるはずなかったんだ。。。 俺はもう何もできないのだ。 どんなに願っても命は手に入れられないから、、、 俺は絶望し、炎の中に座り込んだ。

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奪死幻影物語⑥

第2回N-1GP第1回戦結果発表

どうも黒鼠シラです。 それでは、第一回戦結果発表です。 上位3人は最終決戦に進めます(詳細はこの後投稿) では、3位から発表していきます。 最終決戦3枠の1枠目、 第3位は、、、 ぷないぷ好きの冷泉/徳川悠作様(395点)です! 最終決戦進出おめでとうございます! 第2位は、、、 イチゴサンド様(399点)です! 最終決戦進出&一回戦2位通過おめでとうございます! それでは、第一回戦1位は、、、 鴉君。様(432点)です! 最終決戦進出&第一回戦1位通過おめでとうございます。 N-1初の、一回戦決戦どちらも一位を目指してください! 第4位 欅Keyaki様,紫陽花様(394点)(同率) 第6位 しらたき様(382点) 第7位 碧ヶ岳雅様(346点) という結果となりました。 2名の未提出者と1名の辞退者がいましたが、皆様作品を投稿していただきありがとうございました。 それでは、TOP 3人の方々はこの後投稿する最終決戦の案内を読んでから投稿お願いします。 今度の投稿期間は1週間ですので、ご注意ください。 それでは、、、

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第2回N-1GP第1回戦結果発表

奪死幻影物語⑤

第五話 地獄の中 今考えると、俺はこの日が訪れることを知っていたのかもしれない。 恨み、屈辱、地獄で焼かれ続ける苦しみ、これらの感情は日に日に大きくなって行った。 何せ俺はこの地獄で何日も何週間も何ヶ月も過ごしているからな。 色々な負の感情が湧き上がり、拡大し続ける中で俺はとある一つの感情が台頭した。 「復讐」 俺は俺の肉体を殺した山火事の男、そして俺の心を殺したよ道の女、この2人の命を奪いたくて仕方がなかった。 俺はこの地獄の炎に焼かれ続け、苦痛を耐えているうちに、炎の先に何かが見える気がするようになった。 あの男だ。 奴は怪我も完治して呑気に廃病院で友達と肝試しをしていた。 さらに炎の中をまじまじと見つめると、あの女が檻の中で笑っているのが見えた。 にくい。。。 俺は心の底から彼らの死を望み、それが訪れればきっと地獄から消えても構わないとさえ思った。 そうして常に、朝も昼も夜もあの2人の死を願い続けた。 その結果ある日、俺は2人が死んだことを炎の中から知った。 俺が呪い殺したのだろうか。 そんなのはわからない、しかしあの2人が死んだという事実は俺をとても励ました。 しかし、あの2人を殺した後も地獄で送る日々は変わらなかった。 まだまだ俺は炎にいる。 俺は燃えながら過去を思い出した、 廃墟の屋敷を友達と肝試しに行った時だ、謎の男の霊が出ると噂の屋敷だ。 そこはそこそこの都会の果てに位置しており、多くのオカルト好きが訪れる場所だった。 そこで俺は多くの霊を見た。燃える男の霊、首のない女の霊、うめき苦しむ男の霊など、数えればキリがなかった。 そういえば、今あの屋敷はどうなっているだろうか、、、 いや、違う。 そうじゃない。 これは俺の記憶なんかじゃない。 むしろ反対だったんだ。 俺は使われない廃墟に住み着いた幽霊で、自分が死んだことも知らずに呑気に暮らしていたのだ。 ジムや家具など妄想のものに囲まれながら、かりそめの幸せの下で暮らしていたのだ。 家に入ってくる邪魔者を排除しながら。 きっとそれが地獄の閻魔様の目に留まったのだろう、彼は死神を俺の元へ派遣し、地獄へと送ったのだ。 あの夜の胸騒ぎはおこるべきして起こったものだった。 全てのあの山火事から決まっていたのだ。 俺は絶望しながらも、ようやく字母の記憶を思い出した。 それは至って平凡などこにもいそうな子供の記憶だ。 おもちゃをもらった時、友達ができた時、その友達と遊んだ時、親と遊んだ時、さらには、親が死んだ時、友達が死んだ時、そして自分が死んだ時、色々な瞬間に合わせて色々な感情が生まれる。 嬉しさ、楽しさ、悲しさ、切なさ、そして怒り、欲望、貪欲、、、 俺は今久し振りに猛烈に欲しいものが産まれた。 俺は16で死んでから何年も死んだと気付かずに生活し、そして何ヶ月も地獄で生活している。 最後に物が欲しいと感じていたのはおそらくまだ10つも歳をとっていない時だ。 しかし俺は、確かに今欲しい物があった。 俺は命が欲しかった。

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奪死幻影物語⑤

奪死幻影物語④

第四話 そこにいるのはだれ ドアは開いた。。。 ジムと僕は大声を上げた。なぜらならそこには実際に人がいたから、猫などの野生動物ではない、人がいたからだ。 ドアから薄暗いこの部屋に入り込んだ謎の影は、僕に視線を送りニヤリと笑うような素振りを見せた。 別に口元や目元が見えたわけではない。ドアの横から薄暗い部屋の中でも圧倒的な負の存在感を誇るその陰は、確かに笑うような気配を帯びた。 その影は決して明るくなることも近づいてくることもなかった。 しかし、僕はだんだんそれの正体に気づき始めてあることに気がついた。ジムは僕とその陰を恐れ、なるべく離れようとベッドから落ち床を伝った。 もちろん僕もその陰の状態に気がついた。 それは見覚えがあるものであった。 さっきまで薄気味悪いと思って見ていたその色のない黒い負のオーラが、次第に鮮やかな色合いでメラメラと燃える炎のように見えてきた。 燃え上がる炎の中で黒く輝きながらたった1人だっていたその陰は、、、 僕だった。 不思議と冷静だった。 その陰には見覚えがあった。それはもちろんそれが僕の形をしていたからでもあるのだが、違う見覚えがあった。僕としての見覚えではない、陰としての見覚えだった。 この陰はあの夜。あのよ道で見たものだった。 突然暗くなり何か不吉なものが産まれ瞬間に居合わせたような、自分にとっての最悪が誕生したようなそんな最悪な気分に見舞われたあの時、きっとこの陰、いや俺は誕生したのだろう。 部屋は燃え盛る炎とは対照的にどんどん寒くなっていった。 「そこにいるのはだれ」 そこには陰の俺がいる。そんなのは分かりきっている、でももっと違う気がしたこの炎はもっと違うものなのだと思った。 俺はそれを知っていて、それも俺を知っている。 それはきっと俺にとっての恐怖の象徴。 あの日の山火事だ。。 燃え盛る炎はどんどん強くなる。次第に俺やジムをも包み込むほどになった。 俺は自分が燃えることや家が燃えていくことなどどうでもよかった。 それほどまでに炎の中に見入ってしまっていた。 炎の中の陰に、、、 いや、陰だけではない。 炎の中には2つの影があった。 立っている影と、その足元で燃えている影。 そう考え、炎をじっと見続けている間も、家は朽ち果てジムは炎の中を苦しみ続けた。 炎という名の恐怖に包まれた俺は、先ほどまで自分だと思って見つめていたその陰が自分では無くなっていることに気づいた。 そして、そこにあったのは、これまで俺が否定し気付くことのなかった真実の光景だった。 燃え盛る炎の中に立つ1人の男と、その下で燃えて苦しみ続ける俺。 「俺は死んでいた。。。」 その事実に気づいた時には、嘆き苦しむジムの姿も綺麗に飾られた家の家具達も全て消えていた。 がらんとした家にあったのは炎と俺の死んだという事実だけだった。ようやく真実を知った俺は気がついた。 今日地獄が迎えに来る。 気づけば俺は地獄にいた。 辺りを見回しても一面炎でしかなかった。 しかし司会のはるか先に2人の人影が見えた、男と女だ。 2人とも見覚えがある。 女は俺が助けた。 男は俺を殺した。 2人を見つめ続け、そして2人の顔がはっきりしその時。 俺の中では一つのはっきりした感情が浮かび上がった。 これまで感じたことのなかったもの。 これまで愛に満ち溢れていた心の中 今は何もない心の中。 そこには 気づけば恨みがあった。。。

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奪死幻影物語④

奪死幻影物語③

第三話 胸騒ぎ 今考えると、僕はこの日が訪れることを知っていたのかもしれない。 たしかに、随分前から胸騒ぎはしていたからな。。。 散々な目に遭い続けていた僕だが、母の死などの要因によって引き起こされた精神病にこれまた悩まされた。 日に日に良くはなっているのだと医師からは聞くが、僕はそうは思えなかった。 しかし、そんな僕の意見は聞き入れられることもなく、早くも退院の日は訪れた。 僕は退院した後、もう使われることのない古い屋敷に父親代わりのジムと共に引っ越した。ジムはとても器用で、持て余した巨大な屋敷の部屋達を全て綺麗に整理した。 それにジムは人柄もとても良く、僕の話し合い手となった。 そして、今日19歳を迎える僕は懲りずに再び山へと出かける。今日の山はこの周辺の住民なら知っている非常に大きな山である。 ちょうど1年ぶりの登山は1年前のものと同様、楽しみでもあったがどこか不安もあった。しかしいざ山を登り始めると、久しぶりに自然の世界ににたった1人で入り込めた楽しさや嬉しさが湧き上がってきた。 三度目の正直と言うべきなのか、今回の登山では特に悪いことは何も起きなかった。 しかし、この日の朝から感じていた胸騒ぎは、単なる思い込みや考えすぎだと言うわけではなかった。 そう、それは1日の疲れを食事と湯船で癒した後に起こった。ジムと部屋で並んだ二つのベットで話しながら寝落ちしそうになっている時だった。 楽しさと眠さでなんとも言えない感じになっていた僕の横から、 「バシャ」 と廊下を挟んだ反対側にあるトイレから、流れる音が聞こえた。 ジムも僕もこの部屋にいる状態でトイレの流れる音。。。 初めはこのボロボロな家を怖がって霊が出るなどと言う噂を立てていた子供達が入ってきたのではないかと思ったのだが、そうではないらしい。直感でわかる。これは僕にとってとても悪いことなのだと、、、 トイレのドアが「キイィ」と音を立てて空く音がした。 ジムと僕は顔を合わせながらガタガタと震えている。 ギシギシと廊下の床が軋む音が聞こえる。 "来る" 何かはわからないが、きっと僕にとっては悪いものが。 「カチャ」ドアノブに手を置く音がした。 僕は息を呑む。 少しずつ捻られていくドアノブは、僕の心臓をぐっと縮ませた。 捻り切られたドアノブはそっと部屋の中へと押されていった。 そうして、 ドアが開いた。。。

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奪死幻影物語③

奪死幻影物語②

第二話 よの道 今日で僕は18歳になる。 僕はずっと18歳の誕生日に登山に行くと決めていた。もちろんまだトラウマはあるし、心のどこかでまたあのような悲劇が訪れるのではないかと思ってしまっていた。 しかし、そんな心配を捻り潰してしまうほどのワクワクが僕の胸の中にはあった。 久しぶりに山に行けることに心が躍る18歳の誕生日の朝、僕は目指す山からまだ暗い空に上がる緋色の星を見ながら、楽しみな気持ちを胸に家を飛び出た。 「行ってきます!」 今回登る山はとても小さな山だ。しばらくの間登っていなかったこともあって、小さめな初心者向けの山にした。ここはど田舎だし、この山の何倍も大きな山が多く存在している。今回何事もなかったらその山々にも登ろうと思って、この小さな山にした。 空が山に乗っかっているような太陽と、同じ緋色に染まっていく、、、 すごい綺麗な朝焼けだ。 でも、それと同時に2年前の今日の悲劇を思い出す。確かあの時の火もこの空と同じような色だったな、、、 昔のことや最近のこと、悪いことやいいこと。色々なことを考えながら山の麓まで歩いた。 「久しぶりの山は少し怖いな。」 僕は大きな思いを胸に込めて、この小さな山への一歩を踏み出した。 片道たったの1時間弱で登れてしまったこの山から見る景色は、これまでで1番出なくとも、確実に記憶に刻まれるような美しいものだった。 山頂でまだ食べていなかった朝ごはんを食べ、少し綺麗な空気を楽しんだのち、僕は下山を始めた。 もうすぐ山の麓に着く頃だった。それはいきなり起こった。バニバチという音と共に意識が朦朧とし、周りがいきなり真っ暗になった。薄れゆく意識の中で僕は目の前を謎の人影が歩いていくのが見えた。僕は必死に目をこらした。こいつは誰か把握しないと行けない。何故だかそんな気がした。 必死に目を凝らしてる僕を、その人影は振り返って見てきた。それの顔を見た瞬間、僕は自分の目を疑った。 そこに立っていたのは、、、僕だった。。。 意識がはっきりした時、すでにその人影は消えていた。 僕はなんだか混乱しつつも、疲れから寝てしまっていたと自分を説得した。 そうだ。もう1人の僕はただの夢の中の存在だったんだ。そのはずだ。 僕は少し落ち着いた後、夜道を歩いた。 疲れと混乱から無心に歩いた。 歩き始めて数分経った頃だった、目の前に謎の女が現れた。彼女は両腕に大量の切り傷があり、大量出血のせいかふらふらいた。 僕は彼女に走り寄り、安否を確認しようとした。 「大丈夫ですか?」 女は何も言わない。僕はどうするか分からず、少し黙り込んだ。なざなら、現在地からでは最も近い病院でも10キロほどの距離があるからである。 僕は、少し渋りながらも、 「家に来てください。この辺病院ないので、母が医療詳しいので見てもらえると思います」 と、声をかけた。喉を怪我しているのかわからないが、彼女は何1つ言葉を喋らなかった。しかし、僕が家へとリードしようと歩き出すとそのまま着いてきてくれた。 彼女のペースに合わせ、何も喋れない気まずさを我慢しながら、家へと向かった。 しかし、事態は家に着いた瞬間に急変した。先ほどまで虚ろな目をして、死にかけのような体の動かし方をしていた彼女が、家に入るなり狂気じみた目をし、ものすごい勢いで家を走り回り始めた。 僕は呆気に取られていたが、母の悲鳴が聞こえた瞬間、我に帰って悲鳴のした部屋に向かって走った。 すると、そこには滅多刺しにされ横たわる母と、その母の横に座り、母の首をナイフでギコギコと切断する女がいた。 僕は、悲しみよりも怒りよりも、絶望で膝から崩れ落ちてしまった。 僕が部屋に入ってきたことに気づいた彼女は、切掛けの首を乱暴に床に置いて、泣きながら僕に向かって一言発した。 「あんたの仇をとったわよ。。。」 僕は、この言葉の意味なんか考えなかった。なぜなら、それ以上に驚き、絶望感に駆られることがあったからである。先ほどまで虚で死にかけだった彼女だが、顔を合わせたときに、それが誰だかわかった。 そう、それは、小学,中学時代に可愛がってくれた叔母さんだった。 あんなに可愛がってくれた。いい人なおばさんが、意味わからないことを言いながら僕の母を殺した。 僕の治りかけていた精神は再び絶望に突き落とされた。

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奪死幻影物語②