海月
31 件の小説未来
それからも何度も何度も角野翔は声をかけてきた。読んでいる本をまじまじと見てからは声をかけてくることが少なくなった。 やっと諦めたのかと思いきや、そんなことは無かった。 「福村!俺福村の読んでる本、読んでみたんだけどあんまり面白くなかったよ。福村は面白いと思って読んでるの?」 とか何とか話しかけてきた。あの時読んでた本のことだろうが、私の本好きはすることが無いというのから来た暇つぶしなので対して腹も立たないし、共感もできない。 今回もとりあえず無視を決め込んでみたが、一向に帰る気配がしない。こういう時は話題を切れば他に話すことがなくなる。 「どの本のことか分からないから、答えられない。」 どの本かなんて分かりきっているここ二週間前前の本のことだ。内容に興味がなくたってさすがに覚えている。 こんな冷たい返事にも関わらず、話を続けることが出来ると思ったのか、元気に題名を教えられた。よく覚えてないの一点張りで休み時間を乗り切り、次の授業へ移った。 この時間はホームルームだった。紙が一枚配られる。進路調査表だ。さすがは自称進学校だなと思いつつ少し真面目に考えてみた。実は結構悩んでいるのだ。大学へ進むのか、就職するのか。きっと大学に行くと言えば、麗子さんは喜ぶ。そしてお金を全部担当してくれるだろう。 問題はここなのだ。本当のお母さんでは無いのにこんなに面倒を見てもらって良いのか、つくづく思う。 就職ならば少しでも本に携わりたい。何故本かと言うと麗子さんが重度の活字好きで家に沢山あるからだ。私がこんなに長い間読んでるにもかかわらず、家にある本の半分にも満たないほどだ。だからきっと少しでも麗子さんに喜んでもらえる。こんなこと言ってもいいか分からないが、 麗子さんは憧れで、誇りなのだ。
未来
気になるから関わってみようと試みたが、福村はすごくガードがかたい。よく本を読んでいるから同じ本を読んだりしたけれど内容が難しく、面白いとは思えなかった。そうだ!これを本人に伝えてみたらどうだろう。少しは変なやつだと思って話してくれるんじゃないか?そうと決めたら行動だ。またまた一直線に福村の席へ行く。 「福村!俺、福村の読んでる本、呼んでみたんだけどあんまり面白くなかったよ。福村は面白いと思って読んでるの?」 福村は表情ひとつ変えず、本を読んでいる。なかなか席に戻らない俺に嫌気がさしたのか目をこちらに向けた。 「どの本のことか分からないから、答えられない。」 その言葉は前と変わらず冷たかった。でも、もっと分かりやすく話しかけたら最低限答えてくれる可能性が出てきた。本の題名を答えてみたが、ほんの二週間程度前に読んでいたものなのに、まるで内容を忘れたような返事しか返って来なかった。 その後も福村は本を読むのを止めず、休み時間が終わってしまった。 次の授業はホームルームで、ある紙が配られた。進路調査表だ。まだ入りたてだと言うのに、さすが自称進学校だ。 「翔ー。どこの大学がいいかとか決まってんの?お前ならもう将来なりたいもの持ってそうだよなー。」 そう話しかけてきたのはコージーだ。 「大学は決まってない!けど警察官になりたいんだ。大きい事件だけじゃなくて、事故とか落し物とかそういうのにも真剣に取り組める警察官になりたい。」 コージーは本当に決まっているのかよというような顔をした。 「まぁ、お前ん家の父さん警察官だもんな。」 そう、憧れの存在である父の影響だ。 父は俺にとって憧れであり、誇りなのだ。
出会い
「死にたいって言ってみろよ。」 −世界に彼はどう映るのだろうか− 私は福村哀(ふくむらあい)。普通の高校生だと思う。でも私は施設育ちだ。その施設は良い里親が見つかりやすいというところだった。それなのに私には里親ができなかった。新しい子が入ってきてもすぐに里親の所に行くという日々が続いた。何度私の名前が「哀」ではなく「愛」だったならと思ったことか。 そういう噂はすぐに出回るようで、今まで同情して話しかけてくる子や自分の評価を上げるために話しかけてくる子しかいなかった。 私は綺麗事が嫌いだ。だからそういう子には冷たく、酷く接しているうちに話しかけてくる子はいなくなった。 この高校に入ったのは、施設のオーナーである麗子さんが何故かこの高校に入るために勉強を沢山教えてくれたからだ。特別行きたい高校もなかったので、教えられた通りこの学校に入学した。 入学してからは今までと変わらない生活をしていた。相も変わらず話してくれる子もいないので、ずっとひとりで過ごしていた。 今のクラスにはいわゆる陽キャたちがいる。その子たちにはきっと私は可哀想に見えているのだろう。関わることはきっとないが絶対に関わりたくない。 そう思っていたのに、急に角野翔という陽キャたちのひとりが声をかけてきた。 この場合無視をすればどこかへ行くことが多い。だからまるで聞こえていないかのように振舞った。それでも逃げず、顔を覗き込んできたので、いつも通り冷たくあしらった。その後は何事もなく席へ帰って行った。 周りの目がこっちに向いているのを感じたが、恋だのなんだのという観点での心配は無いと思いきっているためすぐにその目も消えていく。きっと私のことを見てくれる人などいないのだ。麗子さんだって必要以上には大切な話をしてくれない。 今は、施設から高校までは距離があったので一人暮らしをしている。お金は麗子さん持ちだ。全く過保護なものだ。 ※この作品はハッピーエンドになるとは言い難いです。苦手な方は自己責任でお願い致します。
出会い
「愛してるって言えよ。」 −世界に彼女はどう映るのだろうか− 俺の名前は角野翔(すみのしょう)。ただの高校生だ。学校には友達もいて、家には愛する家族もいる。何不自由なく暮らしている。 しかし、こんな俺には彼女がいない。告白をされたことはあるが、みんな顔すら知らない子で断るしかないのだ。 好きな人がいるなら仲良くなって、告白すればいいのだがそんな人ができたことがない。理想が高いのか、なにか他の理由があるのか、それすらも分からないのである。友達との会話でも、ひとつも共感できる「こういう子が可愛い」があったことも無い。 でも最近、少し気になる人がいる。いつも一人でしゃべっているところを見た事がない福村哀という人だ。彼女は施設育ちで両親が居ないと噂されている。 だからこの気持ちが恋なのか同情なのかも分からない。そこで僕はこの気持ちを解き明かすために動くことにした。 まずは、話しかけることからだ。一人なので特に迷うことも無く一直線に福村の席に行く。 「なあなあ、福村っていつも何考えてるんだ?」 聞くこともないのでいつも思っていたことを率直に聞いてみた。福村は冷めた目をして黙っている。顔をのぞき込むようにして見てみても、変わらない目で、 「別に。あんまり話しかけないで。君みたいな人苦手だから。」 と返ってきた。意外とキッパリ話すタイプなんだなと初めて福村に対して情報を得た。 やっぱりなにか気になるんだよなぁ。まぁ俺はこのくらいで辞めるような男では無いのだ。もっと知るために行動していこう。 自分の席に戻ると、いつも一緒にいるコージーに、 「あいつはやめとけよ。絶対ろくなことにならない。」 と小さめの声で忠告してきた。 「いーや、辞めないよ。気になる人ができたのは初めてなんだ。やらせてくれよ。」 コージーは複雑な顔をしていたが、こうなると聞かないからなと目をつぶってくれた。全く良き友達だ。 ※この作品はハッピーエンドになるとは言い難いです。苦手な方は自己責任でお願い致します。
この世界で生きる(あとがき)
こんにちは。海月です! 初の連載この世界で生きるを読んでくださった方ありがとうございました! 曖昧な書き方やよく分からない部分があったかもしれませんがこれからも色々書いていきたいと思います。 違う視点からも書いてみたいのでこの人がいいとかがあれば教えてもらえると嬉しいです! ありがとうございました!
この世界で生きる
「蒼真!律を死なせることは絶対にさせない。いつもいつも邪魔ばっかりして。これは僕にとって大切なことなんだ。僕の目標とか関係なく。だからやめろ。」 「悠真。それも建前だろ?あと口調崩れてんぞ。せっかくいい子ちゃんしてたのになぁ。これじゃお前の目標遠のくぞぉ。」 私が色々考えている間に喧嘩はヒートアップしていた。やっぱり正反対だから仲良くはできないのだろう。 「寺井律、早く飛び降りろ。」 「律、その場から離れなさい。」 一気に責め立てられる気持ちになる。今更どっちの言うことに従うのも癪すぎる。 「そこまで。このような状態にして情けないですよ。玲、二人を止めるために派遣したのです。しっかり仕事をなさい。」 どこからともなく鈴のようなやさしい声が聞こえた。しかし、そこには誰もいない。 「すみません。僕には少し荷が重くて。」 死神さんは深々と頭を下げる。 もしかしてこれが死神さんたちの上司なのだろうか。悪魔と天使もおとなしくなっていた。 「悠真、蒼真。私達の仕事は人の判断に任せるものでは無いと分かっていますか。天界にあるまじき行為です。 よって、階位降格、昇格を命じます。」 その声はハキハキとそう言いきった。あるまじき行為をして昇格とはやはり悪魔の位は悪いほど上がるようだ。 悪魔は嬉しそうにキシシッと笑っている。 天使は顔色を変えず、受け止めているようだった。 「寺井律さん。貴方は自分の意思でこれからを決めることが出来ます。貴方がこれから何をしたいか考えて答えを出すのですよ。」 威圧感はなく、むしろ安心する。 何をしたいか、か。 もっと人と関わってみたい。どうすればいいのか分からないけど、また前のように一人になるかもしれない。それでも、怖いけど、生きたい。人生をこんなものではなくするのも私の役目なのだ。 「悠真。私生きるよ。どうすればいいかも分からないけど、悠真が言ってることが本当ならもうちょっと頑張れる気がするから。私はこんな難しい世界で、この世界で生きてやる。」 天使はとても驚いた顔をしてにこっと笑った。 「律。この世界はそんなに嫌なものじゃないよ。でも律がそう思うなら、この世界で生き抜いてみろ。迎えに来てあげるよ。」 ふわっと空中に浮かんだ彼の背中にはまるでこれが最後の輝きであると言わんばかりの真っ白な翼が広がっていた。
この世界を生きる14
「久しぶりじゃん、悠真!今からお前の目的俺のためにもらうなぁー。」 悪魔は天使のことを悠真と呼びサラッとそう言う。 「蒼真、そんなこと許すわけないでしょう。この子は絶対に死なせない。」 天使もすぐにそう返す。しかし悪魔は不服そうに顔をしかめていた。 「まぁだそんなかったい言葉使ってんの?相変わらずの優しいような言葉使って、腹立つんだよ。あと兄ちゃんって呼べよ。」 悪魔はキヒヒッと笑う。兄ちゃんってこの二人兄弟なのか?天使と悪魔という正反対な間柄であるのに。 「律。僕は君のために何も天使の力を使っていません。港くんのことも、灯里さんのことも、お母さんのことも皆さんの考えを変えたり、仲良くさせるためのことも何もしていません。全部律の頑張りの結果なんです。」 初めての呼び捨てに戸惑うが、そんなこと気にしている場合では無い。全部天使のおかげでは無いのなら、何故今までの人生をこんなものでは無いと命共々無くそうとしたのか意味がわからない。 悪魔の言ってることはきっと大切な部分を省いて聞こえを悪くしている本当の話だと思う。でも私の周りに人が増えたのは、天使が話を聞きに行って欲しいと言ったからだ。だから天使がいなくなったら元の生活に戻るしかないと怖いのだ。 「そんなことあるわけないじゃん。ちゃんと言ってよ。信じられない。」 私はまた前を向き覚悟を決める。元に戻るくらいなら、また人を傷つけてしまうのならやめてしまいたい。 「あぁ、やっぱりこっちを選んだか。ならお望み通り絶望させてやるからもうちょい我慢しろよぉ。」 悪魔は嬉しそうにキシシッと笑う。 みんなの声が聞こえるけど頭に入ってこない。 私は本当に周りのことを考えて生きていたんだろうか。自分ばっかりではなかっただろうか。もっと早く動いていれば? そんなこと考えても遅いはずなのに前の時とは違う、引っ掛かりがあった。 「律ちゃん!小学校の時助けてくれて嬉しかった!弱くて話しかけられなくてごめん。恨んでなんかないよ。またそばにいれるようになれて嬉しかった。もうどこにも行かないで。」 灯里の泣きそうな声がした。今までならきっと泣いていたセリフだ。それなのに頑張って耐えている。 いや、耐えれるようになったのだ。 「律!お前俺がなんで話しかけるようになったか、分かってないだろ!まだ絶対教えれないけど、もっと話したいと思ってるよ。」 港は強い口調で言った。いつも肝心なことはすぐには言わない港に何度イライラしたことか。 でも、きっと何か理由があるんだろう。 もっと知りたい。教えて欲しい。
ヴィラン
漫画やアニメ、小説などのヴィラン、つまり敵サイドが小さい時から好きだった。 いつも信念を持っていて、真っ直ぐに主人公を倒しに来るヴィランは僕にとって憧れるに値する存在であった。 しかし、ヴィランを主人公にしているものは少なくて、していても納得できない優しさや親切が付いてくる。僕はそれがとても不思議に思っていた。 何故悪の心だけではいけないのだろう、何故素直な心を持っていないといけないのだろう、そういった感情を持つ僕はひねくれ者だとはねのけられていた。 きっと努力を惜しまず、負けても立ち上がる主人公が輝いて見えるのだろう。 でもそれは自分たちが小さい時の話。 大きくなると主人公よりもヴィランが人気になってくる。それは努力が報われないことを知り、頑張ったところでどうしようもないことを知り、ヴィランの方がかっこいいと言うことで気を紛らわすのだ。 元からヴィランが好きな僕がそう考えて生きてきたのだと思われるのならそれは心外であって、共感されるのならはねのけたくなってしまう。 だから僕は努力をしてヴィランを目指していく。
この世界を生きる13
悪魔の言葉はこんなにも重いのなんだな。心の奥底の不安を煽ってくる。天使が目的を生かしておくことの理由はきっと何かに抗う為のすべなのだと頭のどこかでは想像がついていた。 「俺はなぁ、こいつを死なせりゃ自分の位が上がるんだよ。だから邪魔するんじゃねえ。」 追い打ちをかけるかのように悪魔は言う。 その声は話し方が全く違うのに天使の声とどことなく似ている。そんなことをその声で言わないでくれ。彼はそんな言葉なんて絶対に言わない。 「あの男だって、お前と仲良くするのはもっと別の真意がある。善行なんかじゃない。つまりお前は騙されてるんだよ。」 港のことだろうか。なぜ私の大切な人をそんなに傷つけるのか。心当たりはひとつしかない。 「あなたは天使の邪魔をしたいんですね。だから、私が死にたくなるような言葉を投げかけてくる。なら灯里の代わりに私をあなたの目的にしてよ。そういうのも有りでしょ?」 こうするのが一番いい。私は死にたがりなのだ。 悪魔が一瞬深く考え込んだのか灯里の体は少し軽くなっていた。その隙を見て腕を引っ張り安全なところに移す。ちょうど港が上がってきた。灯里を頼むとお願いをして悪魔に近づく。 「さぁどうするか決めた?早く私を目的にしてよ。」 悪魔は少しの間黙ったままで、しばらくするとニヤッと笑った。 「良いだろう。お前が俺の目的になれ。こっちに来い。」 そう言って私を灯里が元いた場所に招く。 これでいいのだ。利用されるくらいなら自分で進んで行った方がよっぽどいい。 「律!」「律ちゃん!」「律さん!」「律!」 屋上の縁にたった時後ろから声がして腕を引っ張られた。 そこには港と灯里と死神さん、天使がいた。死神さんがいるってことは… 「おばあちゃんは、?」 死神さんはいやぁと微笑んで、 「あの人は僕に狩れるような人じゃないんですよ。詳しくは言えないですが。」 久しぶりに見たが相変わらず物腰の柔らかい人だと少し冷静になれた。 「律!何勝手なことしてるんだよ。絶対に死なせてなんかやらねぇからな。」 港は怒っているのか心配しているのか分からない声と表情で言う。 「律ちゃん!今なら私だって抵抗できるよ。律ちゃんに守られなくても少し強くなったの。」 灯里は必死に伝えてくれた。 天使はと言うと悪魔をすごく睨みつけていて冷静になった私はどうしよう、と他人事のように思ってしまっていた。
この世界を生きる12
夢見心地なまま生活を送っていたが、ある日を境に灯里が現れなくなった。悪魔のせいだろうか、会いにいかないと、と思うのに、何故か用事が沢山あっていくことが出来なかった。 やっと暇な日ができたため、急いで灯里の高校まで行く。まだ、大事にはなってないと心に言い聞かせて足を速める。 「律!そんなに焦るな。急がば回れだ。」 港は私が焦っていることに気づき、落ち着かせようとする。 「焦らないなんて無理だよ。せっかくまた仲良くできたのに。もうなくしたくない。」 何を呑気に。と少し八つ当たりのような返事をしてしまった。こういうところだ。元からこういう性格だったのだ。天使がどうとか悪魔がどうとか、神様なんてだとか、そんなことを考えることで目を向けずに済んでいただけだ。 早く灯里のところに行かなくては。間に合わなかったなんてこと絶対にしない。今度こそ灯里を守ってみせるんだ。 灯里の高校に着くと、灯里は屋上の上にいた。 「灯里!そこで待ってて!絶対に!」 聞こえるかも分からないが叫びながら校舎の中に入る。周りの目なんてもう気にならない。港をほってきてしまったことは少し申し訳なくは思っていた。 しかし今はそんなところでは無い。悪魔に立ち向かってやる。 屋上に出ると灯里の後ろには死神さんと比にならないほど黒い悪魔らしきものがいた。見た目はダーク版天使みたいな感じだ。ともかく灯里を安全な位置まで戻さないといけないと思い、腕を引っ張る。いつもの灯里ならきっとすぐに戻せただろうが、灯里はピクリとも動かなかった。 「灯里!こっちに戻ってきて。お願いだから。灯里!」 必死に叫びながら腕を引っ張る。 「ダメだよ。律ちゃん。私が居なくなればみんな幸せなの。だからやめてよ。」 言葉とは裏腹に灯里の顔は涙で濡れていた。きっとこれは本人の言葉では無い。 怒りが溢れてくる。どうしてこんなことに。私のせいなのか?私の幸せに灯里が要らないと?灯里がいなくなった後に私はきっと幸せな気持ちにはなれない。つまり死ねないのだ。 「なぁなぁ寺井律。お前まだ死にたいとか言ってんの?あいつはお前を死なせるつもりは無いぞ。自分のために生かして利用するつもりなんだよ。気づいてただろ?」 体が鉛がついたかのように動かなくなった。