この世界を生きる13

この世界を生きる13
悪魔の言葉はこんなにも重いのなんだな。心の奥底の不安を煽ってくる。天使が目的を生かしておくことの理由はきっと何かに抗う為のすべなのだと頭のどこかでは想像がついていた。 「俺はなぁ、こいつを死なせりゃ自分の位が上がるんだよ。だから邪魔するんじゃねえ。」 追い打ちをかけるかのように悪魔は言う。 その声は話し方が全く違うのに天使の声とどことなく似ている。そんなことをその声で言わないでくれ。彼はそんな言葉なんて絶対に言わない。 「あの男だって、お前と仲良くするのはもっと別の真意がある。善行なんかじゃない。つまりお前は騙されてるんだよ。」 港のことだろうか。なぜ私の大切な人をそんなに傷つけるのか。心当たりはひとつしかない。 「あなたは天使の邪魔をしたいんですね。だから、私が死にたくなるような言葉を投げかけてくる。なら灯里の代わりに私をあなたの目的にしてよ。そういうのも有りでしょ?」 こうするのが一番いい。私は死にたがりなのだ。 悪魔が一瞬深く考え込んだのか灯里の体は少し軽くなっていた。その隙を見て腕を引っ張り安全なところに移す。ちょうど港が上がってきた。灯里を頼むとお願いをして悪魔に近づく。 「さぁどうするか決めた?早く私を目的にしてよ。」
海月
海月
物語が好きです。 サムネはノーコピーライトガール様のイラストです!