この世界を生きる14

この世界を生きる14
「久しぶりじゃん、悠真!今からお前の目的俺のためにもらうなぁー。」 悪魔は天使のことを悠真と呼びサラッとそう言う。 「蒼真、そんなこと許すわけないでしょう。この子は絶対に死なせない。」 天使もすぐにそう返す。しかし悪魔は不服そうに顔をしかめていた。 「まぁだそんなかったい言葉使ってんの?相変わらずの優しいような言葉使って、腹立つんだよ。あと兄ちゃんって呼べよ。」 悪魔はキヒヒッと笑う。兄ちゃんってこの二人兄弟なのか?天使と悪魔という正反対な間柄であるのに。 「律。僕は君のために何も天使の力を使っていません。港くんのことも、灯里さんのことも、お母さんのことも皆さんの考えを変えたり、仲良くさせるためのことも何もしていません。全部律の頑張りの結果なんです。」 初めての呼び捨てに戸惑うが、そんなこと気にしている場合では無い。全部天使のおかげでは無いのなら、何故今までの人生をこんなものでは無いと命共々無くそうとしたのか意味がわからない。 悪魔の言ってることはきっと大切な部分を省いて聞こえを悪くしている本当の話だと思う。でも私の周りに人が増えたのは、天使が話を聞きに行って欲しいと言ったからだ。だから天使がいなくなったら元の生活に戻るしかないと怖いのだ。 「そんなことあるわけないじゃん。ちゃんと言ってよ。信じられない。」
海月
海月
物語が好きです。 サムネはノーコピーライトガール様のイラストです!