未来

未来
それからも何度も何度も角野翔は声をかけてきた。読んでいる本をまじまじと見てからは声をかけてくることが少なくなった。 やっと諦めたのかと思いきや、そんなことは無かった。 「福村!俺福村の読んでる本、読んでみたんだけどあんまり面白くなかったよ。福村は面白いと思って読んでるの?」 とか何とか話しかけてきた。あの時読んでた本のことだろうが、私の本好きはすることが無いというのから来た暇つぶしなので対して腹も立たないし、共感もできない。 今回もとりあえず無視を決め込んでみたが、一向に帰る気配がしない。こういう時は話題を切れば他に話すことがなくなる。 「どの本のことか分からないから、答えられない。」 どの本かなんて分かりきっているここ二週間前前の本のことだ。内容に興味がなくたってさすがに覚えている。 こんな冷たい返事にも関わらず、話を続けることが出来ると思ったのか、元気に題名を教えられた。よく覚えてないの一点張りで休み時間を乗り切り、次の授業へ移った。 この時間はホームルームだった。紙が一枚配られる。進路調査表だ。さすがは自称進学校だなと思いつつ少し真面目に考えてみた。実は結構悩んでいるのだ。大学へ進むのか、就職するのか。きっと大学に行くと言えば、麗子さんは喜ぶ。そしてお金を全部担当してくれるだろう。
海月
海月
物語が好きです。 サムネはノーコピーライトガール様のイラストです!