くれぴぃ

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くれぴぃ

小説を作るのは初めてです。週に1〜2回ぐらいのペースで投稿します。基本連載の物語を投稿しますが、たまに読み切りも書きます。 Twitterはやっていませんm(*_ _)m

第6話 記念日

十一月四日私は半年ぶりに学校へ行く。何をしに行くか?そんなの決まってる。ポイントを稼ぎに行くの♪私はゲームがスタートしてから一ヶ月、かなり他の参加者と差がついちゃってるから今日、一気に八十ポイント稼ぐつもり。どうやって稼ぐか?すっごく簡単な方法があるの!クラス全員殺しちゃえばいい。うちのクラスは私を含めて四十人、ちなみに先生も一緒に殺しちゃうよ。今すごくワクワクしてる。こんなに気分がいいのは何年ぶりだろう。頭の中で想像するたび顔に笑顔が浮かんでくる。ああ、そろそろ学校へ行かないと、遅刻は厳禁だからね。 そうしてカバンに包丁、紐(縄)、筆箱を入れると私は家を出た。 私は自分の教室の前に着くと、クラスの奴らが全員教室に入るまで廊下の壁に寄りかかり、近くにあるクラスの掲示板を眺める。 “いじめは犯罪です” “いじめは絶対にダメ!” いじめはダメ…か… やっぱりこのクラスは殺らなきゃダメだな、私の決意は更に固まった。 数分待っているとクラス全員が教室に入った。今日、欠席者は絶対に出ない。なぜか?今日はアイツの誕生日だから…来なかった奴はどうなるのか、本当にアイツは我儘でクズな奴だ。 そして数秒後、担任が教室に入る。一度、ドアを開ける前に私をチラッと見ると何も言わずに教室へ入っていった。 はぁ… 少しだけ、少しだけど 誰か私を思ってくれる人がいるかも そう思っていた自分が馬鹿みたいだ。 これで一切の躊躇なくやれるな! ガラガラガラッ 勢いよくドアを開けると、クラスの視線が一気に私へ集まる。 「おはよう!」 これでもかってぐらい大きな声で挨拶をする。教室はしんと静まり返り、誰も何も言わない。だが、一人だけ 「おはよぉ♡望愛ちゃん!」 そう、アイツだ。美咲音(みさと)。いじめっ子のリーダー。美咲音の親は金持ちだから、何をしたって許される。誰も逆らう奴はいない。 「久しぶりだねぇ♡ど~して来なかったのぉ?」 ニヤニヤと笑いながら私へ話しかける。今までの私だったら何も言わずこの場から逃げ出していただろう。でも、今は何も感じない。こんな奴一瞬で殺れるという自信に満ち溢れている。 「準備してたからだよ!あなたの誕生日プレゼントを、み・さ・と・ちゃん!」 前までと違う私の様子に美咲音は少し動揺するが、すぐにまたニヤリと笑い私に近づいてくる。 「へぇ〜わざわざ用意してくれたんだぁ♡私のプレゼント!」 「嬉しいなぁ!きっと私に殴られる準備してたのねっ♪」 ああ、予想通りだ。こう来ると思った。本当に単純で分かりやすくて助かる。 「じゃ、遠慮なく!」 そう言って私に殴りかかろうとする。 スッ 顔を傾け手を避ける。 「は?え、?」 美咲音は混乱する。 「おっそい攻撃ね、」 ゴッ 私はそう告げると美咲音の顔を殴る。 「い、いい痛いぃぃぃぃぃぃ!」 泣きながら美咲音はそう叫びながら前のめりになりフラつく。 この状況を見ているクラスメイトはザワザワと不安な声を漏らす。 「ねぇ、これやばくない?」 「あれ、本当に望愛だよね?」 「アイツ終わったな。美咲音殴るとか親呼ばれて終わりだよ笑」 さて、オープニングは終わったし、ポイントを稼いでいこっと。 「ごちゃごちゃうるっせえなぁぁぁ!」 私が再び叫ぶと、クラスメイト達は驚く。一度でいいから、私はこう叫んでみたかった。くず、しね、きえろ、そんな言葉に向かって言うような気分で体の芯から叫んだ。 「美咲音、あんたは最後にしてあげる。デザートは最後に取っておくものでしょ?」 「あんたなんかにやられないわよ!死ね!」 前にいる美咲音と話していると、後ろから一人男子が殴りかかる。 グサッ 私は咄嗟にカバンから包丁を取り出し、相手の右手を避けるためにしゃがみ、そのまま取り出した包丁で相手の足を上から垂直に刺す。 「う、うわああああ!いてぇ!あぁぁぁ」 泣き叫ぶ男子生徒を無視し、上履きを脱がせ、親指に包丁をストンと落とし両足の親指を切断する。 「があぁぁぁあ!はぁはぁはぁはぁ」 痛みのあまり、過呼吸になっている。 「ねぇ、知ってる?人ってね、親指がないと歩けないんだって。結構有名よね。」 そのまま私は男子生徒を押し倒し、包丁で喉を思いっきり刺し、血管を切った。 ブシャーーーー 「ガハッあ、あ……」 そのまま男子生徒は絶命した。 「すっごい血が飛び出てる!生で見るのは初めてだな〜、メントスコーラみたい笑」 きゃあああああああああああ! いやぁああああああああああ! それを見て、クラス中がパニックになり急いで教室から出ようとする。 ガタッガタガタッ 「あ、開かない?!」 「なんでよ!」 そう、教室に入る時に思いっきりドアを蹴り、形を歪ませ開かないようにしておいたのだ。 「逃げるなんて考えない方がいいよ」 「ほらっ早く席に戻りなよ」 数分後、クラスメイト達は諦め、男子生徒の死体を放置したままそれぞれの席に戻った。 「今日一日、教室から出るのは禁止しま〜す!明日になったら出てもいいよっ」 そう告げると、私は計画通りカバンからロープを取り出した。

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第6話 記念日

「嫌いな奴」

私には嫌いな奴がいる。 そいつと会わなければ良かったのになぁ。 もしも 人を殺すことが普通の世界だったら、 そいつはとっくに死んで、私と会うことはないだろう。 あ、でもそんな世界だったら私とそいつが会う前に、私が誰かに殺されているかも。 じゃあ… もしも タイムスリップができる世界だったら、 過去に戻って私とそいつが会わないようにするだろう。 あ、でもそんな世界だったら皆過去と未来に行っちゃって、どこの時代に行っても誰もいなくなっちゃうかも。 じゃあ… もしも そいつが生きている世界だったら、きっと今もそいつのことを大好きでいられただろう。 思い出だけ作っていなくなる奴なんて 大っ嫌いだ。 でも、本当は大好き…

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「嫌いな奴」

第5話 それぞれのスタート

一週間が経ち、私は殺し方や脅迫についてかなり詳しく調べた。凶器の入手は親がいるこの家にいる限り難しいと判断し、身近なものを凶器として使うことにした。そして、殺すときに一番重要なのが“技術”だ。もちろんそんな技術を持っているはずもなく、私は更に一週間ほど悩んだ。悩んだ末出した決断が、特訓をすることだ。ネットで調べてできる限り、格闘術や刃物の回し方など近くの裏山に行って練習した。格闘術なんて簡単にできるわけない、そう思うかもしれないが私はそもそも完璧な完全体を目指していない。技術や、立ち回り方について少しできればいい。強敵を相手にする訳でもないんだから。クラスの連中なんて完璧でなくたって、少しでも出来れば殺れる。散々アイツらの殴りを、蹴りを受けてきた、確信と言える。そいつらをやったあとは何も考えていない。四十人もやれば少しは慣れるだろう、それでクズどもを殺ろうか。ああ、復讐が楽しみだ。そう考えながら練習と同時進行で計画を考えること一ヶ月、ようやく待ちに待ったショーの始まりだ。 時は遡り、一ヶ月前−−鹿湖 勇馬 気がついたら俺は自分の部屋で寝てた。そうだ、あの会場にいて突然意識がなくなって…そんな事より、アレって本当に人殺すのか?ごっこ遊びだよな?ままごとだよな?アイツらのやり取り聞いてっとまじで怖くなってきたんだ。進行役とか言ってた女が説明してる間、あの長ぇドレス着たやつと白衣羽織ったやつが小声で楽しそうに話してたんだ。 「よろしい?白衣着たお嬢さん、理華さん…でよろしくて?」 「うん、いーよォ?」 「お嬢さんだったらどの道具で殺します?」 「んーとねぇ、あたしだったらぁ、毒!」 「毒ですか!毒も素敵ですよね!なんと言っても処理が楽ですし、簡単に仕込めちゃいますよね!」 「ぅーん?」 −−−そんな会話をずっと隣で聞いちまってたんだ。本当に殺すとか言わないよな?大丈夫だよな?い、いつも通りに過ごしときゃ問題ねぇよな?…… −−ダズ・マリア・トート 会場で目がくらんで、目が覚めるとアジトにいた。一体どういうトリックなのかしら!それにこのゲームとぉっても楽しそうじゃない!主催者に会ってみたいものだわっ♡さぁて、ポイントが高い参加者を潰したいわね…でも参加者を殺すのはリスクが高すぎるし〜やっぱりスパイとかをいつも通りに殺して仕事しとけばいいかな〜♡ま、仕事なんてすぐ終わっちゃうし、参加者について調べるとしますか!どの武器を使って殺そうかしら…♡武器倉庫には何百種類もの武器があり、代々トート家で受け継がれてきたものだ。仕事ばっかりだったけど、ようやく楽しめそうね…♡ −−残間 鈴 目が覚めるとさっきまでいたネットカフェにいた。ん?やばぁ!もうこんな時間!急いで出ないと警察に見つかっちゃう♡あ、でも警察には捕まらないようにするって殺季ちゃんも言ってたし大丈夫か! あーあ、せっかく四百四十四人で僕の大好きな数字のゾロ目だったのになぁー…でも、面白そうだし久しぶりに暴れちゃお!それにしても可愛い子達いっぱい居たなぁ…♡今度は四百四十四ポイント目指して殺っちゃお!まずはネットカフェの人達から…ニヤリ −−弥野 理華 目が覚めると研究室にいた。意識が無くなるのには慣れてる。どうやってここまで戻ったのかなんて考えもしなかったしどうでもよかった。そんな事より息が苦しい、頭も痛いし視界がグラグラしてフラついてしまう。 「ハァハァ…ぐ…ずり…」 早く、早く薬を飲まなきゃ…あれ?薬ってどこだっけ?何個飲めばいいんだっけ?あレ?アレ? ガシッ 机の上に転がっているカプセルに入った薬を適当に握る。そのまま握った数個を ゴクン とそのまま飲み込む。 「ハァ、ハァ、」 少し呼吸が落ち着く。頭痛とめまいも次第に落ち着き、安定してきた。そして、さっきのゲームについて思い出す。 「ポイントマッチかぁ~ちょーどあたしの薬の実験体を探してたとこだし…んふふっ」 薬を飲んだせいもあり気分が高ぶる。 「どの薬から使おうかなぁ♡」 −−神和住 若 目を覚ますと路地裏にいた。なんだか不思議な夢を見た気分だ。でもでも本当なんだよね。それにしても困った。ポイントマッチとは言うものの、人を殺さなきゃならない。僕には人を殺すための方法がない。なぜか?僕は貧乏だから。住む家もないしパパもママもいなくなっちゃった。今はこの町外れの路地裏に住んでる。ここはレストランの裏だからゴミ箱にたっくさん食べ物があって生活には困らない。でも、なんで僕ばっかりこんな思いしなきゃ行けないのかなぁ?ときどき見る子達はみんな綺麗な服を着ているし、レストランでご飯を食べてるよ?きっと僕は不幸なんだ!じゃあ僕が貰えなかったぶんの幸せで生きてるみんなは僕のために死んでもいいよねぇ?でも僕には力もないしどうしよう…まずは作戦から考えないとなぁ… −−??? ようやく参加者達もみんな、動き始めましたね♪どうなるのか楽しみですねっ! そうして何者かが微笑んだ。

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第5話 それぞれのスタート

第4話 GAME START

「簡単に説明したルールは先程言った通り、殺した分だけポイントを稼ぎ最終的にポイントが一番多かった人の勝利となります。」 「それではここからは細かなルールを説明します。聞かなくても大丈夫なので気になる方だけどうぞ♡」 細かいルールか、知っておいて損はないだろうし私は聞いておこう。 周りを見渡すと他の参加者も聞いているようだ。しかし、若と名乗る少年だけ先程自己紹介の時に集まっていた場所でずっとうずくまっている。説明、聞かないのかな… そうこうしていると説明が始まった。 「まずは、この場所についてです。ここはゲーム会場ですがここでゲームを行う訳ではなく、最初に説明しましたがA県からB県までを範囲としてポイント稼ぎを行っていただきます。そして、期間は一年間としましたが一年間の間、皆さんにはこの場所に六回集まっていただきます。二ヶ月に一度、お互いの生存確認とポイントの確認のためこちらで強制的に集合させます。今ここに来たように目を覚ませばここに居るように致します。タイミングは皆さんの状況を見計らって集めます。」 「えーここまでで何か質問がある方、居られますか?」 「………」 「居られないようですので、次に進みます。」 「次に、凶器の準備、用意についてです。これについては皆様自身に用意していただきます。こちらで準備することは致しません!」 「えっ…な、何でですか?」 説明を遮り、少年が質問をする。 「はい、何故かと言いますと、こちらで準備したものではプレイヤーの皆様のご期待に応えられるものではない可能性が高くなります。ですので、凶器の準備は個々でお願いします。」 「…分かりました……(ボソッ)」 「では最後に殺し方について説明致します!」 「このポイントマッチにおいて、ポイントを稼ぐための殺し方、我々は一切問いません!」 「殺し方は皆様の自由です!好きな凶器で好きな道具で好きな殺し方をして好きなようにこのゲームを思う存分にお楽しみください!」 銃殺 絞殺 禁殺 刺殺 扼殺 圧殺 射殺 斬殺 毒殺 抉殺 殴殺 格殺 撲殺 焼殺 撃殺 溺殺 爆殺 殺し方は沢山あります!どうぞお好きな殺し方でゲームを楽しんでくださいね… なんだ、どんどん目の前が暗くなっていく…また、ここに来た時と同じように、真っ暗に…なって……… −−−−−−−−−−−−− −−−−−−−−−−−−− 「ん、…」 目を覚ますと、自分の部屋に戻っていた。目の前には見慣れた机に置かれたパソコン、そこに写るログイン画面、散らかった部屋、いつも通りの部屋だ。今のは夢だったのだろうか…そうに違いない、現実で意識を飛ばして会場に転送なんてできるはずないし…だが、やけに鮮明に覚えている。参加者の顔、説明の内容…その時の状況を思い出す。すると、 “ビー” “ゲイムスタアト−ポイントマッチ” 頭の中に突然、ブザーの音と共にゲームスタートという機械の声が流れる。 夢じゃない!夢じゃなかった!本当にゲームは始まるんだ!そうと決まるとどんどん私は興奮して、アイツらの泣き叫ぶ顔を想像する。さあて、どうやって殺そうか…誰から殺そうか… “お好きな殺し方でゲームを楽しんでくださいね” そうして殺季の言葉を思い出すと、胸の高まりとともに私はパソコンで殺り方を調べ始めるのだった。

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第4話 GAME START

第3話 参加者

自己紹介と言われ、その場に居た全員は静まった。 「…」 「あの~…自己紹介、始めません?」 一人、男が話し始める。 「えっと、順番どーします?」 すると、黙っていた参加者が話し合いを始める。 「俺、別に順番はなんでもいいぜぇ」 「あたしも特にこだわりはないわ」 「…僕も別に(ボソッ)」 「この際、ジャンケンでどーでしょうか?先にやりたい人も居ないみたいですし…」 「賛成〜」 そうしてジャンケンで自己紹介する順番を決め、それぞれが自己紹介をする。 「んじゃ、俺からぁ」 「鹿湖 勇馬(かご ゆうま)でぇーす。ジューハチ~んまぁ、優勝は俺だから覚えとけよー雑魚どもww」 髪は金髪で首の辺りまで伸びている。耳に銀色のピアスを大量に着け、鼻にもピアスを留めている。ジャラジャラとアクセサリーを着け、見るからにこちらを見下してくる。そう、最初おに女性と言い争っていた男だ。 「んーと、次はあたしね!名前はダズ・マリア・トートよ。トート家は殺し屋一族として過ごしている名家なのよ?歳は永遠の十六歳♡よろしくね!」 白髪に赤い目をしていて、外人のような顔立ちをしている。ワイン色のロングドレスを身にまとっている。後ろにまとめた髪には赤色のルビーの飾りが着けられている。 「次は僕かなぁ?名前は残間 鈴(ざんま れい)だよ♡よろしくね!」 黒髪でかなり身長が高く、顔にはマスクを着けている。手には手袋を着けていて、露出している部分がかなり少ない。私は特徴を見て、思い出した。彼は現在、全国に指名手配されている殺人犯だ。確か四百四十四人を殺し、過去最悪の殺人鬼と言われている。四年前からその殺人は止まっている。自己紹介を聞いているうち、本当に自分はやれるのだろうかと不安が高まってくる。すると一人、少年が立ち上がり、 「…」 「神和住 若(かみわずみ わか)…人を殺したことはない…それだけ…(ボソッ)」 かなり小さい声で一言そう告げると再びスっと座り込んでしまった。服はボロボロで髪も伸びきっていてバサバサに乱れている。腕や脚、体もとても細く、小枝のように折れてしまいそうだ。よく見ると目の下にはクマがあり、下からこちらを睨みつけてくる。あまりに気味が悪く、ゾッとしてしまった。しかし、そんな思いは次の瞬間吹き飛ぶ。突然女が 「あはははははははははははははは!」 と叫び出したのだ。若に向けられていた視線は瞬きする間に女の方へ移る。 「ぁれぇ?ぁたしぃ?」 イントネーションの崩れた言葉で話し出す。目の焦点すらあっていない。 「ぅーんとぉ、ぇつとぉ…」 「弥野 理華(やの りか)っていぅなまぇだよぉ?たぶんね?」 「みぃんなかわぃい!だあぃすき!」 緑色に染った髪は肩の辺りまで伸び、片方の目は前髪で隠れている。もう片方の目には眼帯が付けてあり、体を見ると、腕や脚に包帯が巻かれている。白衣を身にまとった彼女はまるで科学者のようだ。しかし、その言動はとても人とは思えなかった。そんなことを考えていたが、気づけば自分の自己紹介する番だ。何を話せばいいのだろう、名前?年齢?いや、自分の思うことをそのまま言葉に載せて… 「え、ええ、えっと…」 一気に視線がこちらへ集まる。 「さ、佐々木 望愛と申しますっ、えと、その、よろしくお願いします…」 人と話しをすることすら久々でなかなか上手く喋れない。カタコトになってしまう自分の声に少し恥ずかしさと嫌悪感を感じつつ、何とか話せてよかったという達成感に満ちていた。たかが自己紹介だが、私にとっては少し前に一歩踏み出したぐらいの大きな達成感だ。私が少し微笑んでいると、ゲームの進行が入った。 「それでは皆さん、自己紹介はお済みでしょうか~?」 「次はゲームについて、補足をさせていただきます♡」

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第3話 参加者

第2話 ゲーム会場

あれ、私…さっきまで部屋にいたはずなのに…気がつくと一面真っ白な広い部屋に座っていた。周りを見渡してみると何人かの人影が見えた。(私、なにしてたんだっけ…ああ、そうだ確かゲームに参加するために会場を探してて、)思い出した。あのURLをクリックした瞬間意識が遠くなっていって…つまり、ここはゲームの会場?周りの人の数を数えてみると、ちょうど五人(自分を含めて六人)いる。いったいどういう仕組みでここに来たのだろう。突然パソコンにメッセージを送ることができたり、謎が多い主催者だな…そんなことをボーッと考えていた次の瞬間 「おい!ここどこだよ!」 と、パーカーにジーパンをはいた男が叫ぶ。あまりにシンとしたところに、突然叫ぶものだから驚きフリーズしていると、 「はぁ?あんた状況考えてないわけ?」 と今度はロングドレスを着た女性が、その男に向かって答える。 「あぁ?」 「ゲームサイトのURLをクリックして、気づいたらここ。普通に考えて会場に来た以外考えられないでしょ?」 「うるせーよ!んな事よりさっさとここから出せよ!」 「まったく…これだから馬鹿は話が通じない。考える能力がないなら人間やめちゃえば?」 「は、はぁ?!喧嘩売ってんのか?」 二人は言い争う。周りの参加者もポカンと二人を見ている。すると、 “ダン” と大きな音がなった。その音に言い争っていた二人も驚き、音のなる方へ視線を移す。するとそこには、一人の女が立っていた。髪は白くフワッとしたツインテール。毛先だけ濃いめの赤で染まり、顔には鼻から上に包帯が巻いてある。ふんわりと広がったドレスのようなワンピースを身にまとい、猫のような口でニヤッと笑っていた。 「はぁ〜い!プレイヤーの皆さんご注目♡」 その場にいた人がその女の方を向き、再びシンと静まり返る。 「いやぁ、遅れてしまい申し訳ありません!私はこのゲームの主催者側の殺季と申します!以後お見知り置きを♡」 主催者側、やっぱりここはゲームの会場なのか? 「え〜本日はお集まり頂き誠にありがとうございます!ここはゲームの主催会場となります。」 「今回は私がこのゲームを担当致します♡」 「皆さんに行っていただくのはポイントマッチと呼ばれるゲームです!ルールは〜~となっています!」 サイトに書いてあった通りだ。やっぱり人を殺してポイントを稼ぐポイントマッチ… 「大体のルールをご説明致しましたが質問等ございましたら遠慮なくお聞きください!」 ああ、そうだ。私は質問をしようと思っていたんだ。私が質問をしようとすると、私より先に手を挙げて 「はい、質問です。殺した後の死体処理や証拠の処理は個人で行うのですか?」 と、言い争っていたロングドレスの女性が質問をする。 「はい!処理に関しましてはこちらで手配させていただくつもりです!そのため、殺したらそのまま放置してもらって問題ありません♡」 わ、私も質問しなきゃ。 「あ、あの…私も質問です。警察に捕まったり、自殺したりしてゲームが続行できなくなった場合どうなるんですか?」 「はい!まず、警察に捕まることは絶対にありません。こちらが完璧に処理し、プレイヤーの皆様が疑われた場合も確実に操作し捕まることは起こらないようにします!また、プレイヤーが自殺を測った場合、そのプレイヤーは失格とし、その人の持っていたポイントを皆様で山分けという形にするつもりです!」 「他に質問等ございますでしょうか?無いようでしたら次に進ませていただきます。」 殺季は周りを見渡すと、ニタッと微笑み会議を進行させる。 「次はプレイヤーの皆さんにお互いに自己紹介をしてもらいます。お互いのことは知っている必要がありますので。」 自己紹介か、何を話せばいいんだろう。ろくに人と話すのが久しぶりで、少し困惑する。 「それでは気が済むまでご自由にお話ください♡」

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第2話 ゲーム会場

第1話 憎い相手はいませんか?

私は信藤 望愛(しんどう みらい)16歳の高校一年生だ。高校に入学してから半年近く経っていた。桜の木は赤や橙を彩る紅葉となり、すっかり景色は秋になっていた。そんな美しい道を友達みんなで通って学校へ向かう…と言いたいところだが、それはただの理想。今私は部屋に引きこもり、パソコンとスマホを眺めているだけのクズで不登校の生徒。どうしてこうなってしまったのだろう。私は何か傷つくような酷いことを“あの子達”にしてしまったのだろうか。 私は高校に入学してからなかなか馴染めず、同中の友達もいなかった。そんな日々を一ヶ月程過ごしていると、目つきが悪いだとか、何も喋らない、無口だとか私に対する悪口が始まった。だんだん言葉だけではおさまらず、水をかけられたり、上履きには画鋲が置いてあったり、嫌がらせはどんどん大きくなって気づいたら学校が怖くなっていた。どれもこれも漫画のような古いいじめだが、それでも私の心は切り裂かれていた。最初は私を庇ってくれる子もいたが、主犯格の子の親はこの学校へ多額の寄付をしているだとかで、最後はみんなアイツに跪く。先生すらも見て見ぬフリをし、みんなアイツのご機嫌取り。 まあ今となってはあんな世界どーだっていい。私はゲームの世界で輝く。今じゃ〇〇サバイバルでは世界ランキング4位までたどり着いた。私とマッチングすればみんな驚き私に慕う。優越感に浸り、溺れ、硬い液晶画面の中へと吸い込まれて、吸収されていく。そんな毎日を繰り返していた。 ある日、私は学校のことを思い出してしまった。アレを思い出すと心の奥底からイガイガして、お腹の中が焼かれているように熱く、酷い耳鳴りと強烈な頭痛に襲われる。これは月に一度の頻度で起こるようになった。いつもは別なことに集中すれば収まるのだが、今日に限ってそうはいかなかった。対処法を調べうと思いパソコンの画面を開いた。するとパスワードのロック画面よりも先にある文字が表示された。真っ黒の画面に真っ白い文字で一言 「殺したいほど憎い相手はいませんか?」 と。私は驚き、ウィルスにでも感染したのだろうかと焦る。すると今度は 「もしもいるのであればこちらのサイトをクリックしてみてください」 と急に切り替わった。文字の下には “賞金は7億円” と文字の載せられたURLが表示されていた。いかにも詐欺のような文章だが、アレを思い出していた私は正気とは言い難い状況だった。学校でのことが頭の中に流れてくる。息はゼェハァと荒く上がっていた。アイツとアイツを囲むクラスの奴ら、助けてくれない担任、全てが頭をよぎり、次に目を開いた時にはURLをクリックしていて、パソコンは何やらルールのような画面に写り変わっていた。 “ポイントマッチについて” このゲームは人を1人殺すごとに、殺した相手相応のポイントをGETできます。そのポイントを集め、最終的に1番ポイントの多かったプレイヤーが優勝となります。期間は1年間です。また、ゲームのプレイできる範囲を制限し、A県からB県までとします。ポイントの配分は以下の通りです。 障害者や、子供(十八歳未満が対象)の場合は1ポイント,一般人の場合は2ポイント,自分の恨んでいる人物の場合は3ポイント,警官など、多少戦闘力がある者を殺した場合は4ポイント,このゲームの参加者の場合は5ポイントという配分になっております。 指定された範囲外で人を殺した場合ポイントに含まれません。以上がこのゲームのルールとなります。質問等ございましたら、会場でも受け付けておりますので是非お越しください。 最後に、これは選ばれた人にしか送られません。この世界の中で、六名様限定です。 選ばれた人にしか送られない、参加者は六人って事かな…賞金は嬉しいけど…これは人を殺すのが前提って話だ。 ………… すごくいい!私はこれを求めていたんだ!ゲームでいくら殺しても私の心はほんの少ししか満たされなかった。そうだ、アイツを、アイツを囲むクズ共を一人残らず殺してやる。何も問題は無い。だってアイツらがしてきたことを一度に返すだけなんだから。自殺したっておかしくなかった。絶対に殺してやる…私はすっかりゲームに乗り気になっていた。と、同時に様々な疑問が湧いてきた。殺したら処理はどうするの?警察に見つかったら?捕まったら??自殺してしまったら??不安なことも出てきたが、もう一度文章を読み直し、直接会場に行って聞いてみることにした。もう私は自分を抑えられなくなっていた。正気なんて保てなかった。そのままサイトを下にスクロールすると、 “会場に起こしになる方はこちらをクリック” と表示された赤色のURLがあった。私はすぐにクリックした。すると、次の瞬間目の前が真っ暗になり、そのまま私は意識を失った。 ………目を覚ますと、一面真っ白の部屋の中にいた。

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第1話 憎い相手はいませんか?