カタルシス

12 件の小説
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カタルシス

趣味程度に書くから質が悪い時思います。不定期投稿

眠れない夜に、ヘッドホンで

58、59、…0 日付が跨ぐ。 夜更かしをしていると言うのだろう。 眠れない。 何もないけれど、寝れない。 だから、ヘッドホンをして、電子ピアノを弾く。 受験が終わって、ピアノを弾くのが増えた。 自分の好きな曲を弾く。 習っていたのをやめたから、今は独学。 ピアノを弾いてると考えたくないことが一時忘れられるから、ピアノは好きだ。 58、59、…0 いつも通り日付けを跨ぐ。 10時半ぐらいに家に帰ってきて、服はそのままで、朝作って行った晩飯を食べ、その後少し仕事をする。 独身で、一人で住んでいる。 0時を伝える音が鳴る。 今日は眠れない。 仕事のせいで徹夜になるのではなくて、寝れない。 部屋着に着替えて、ワインボトルとグラスを持って、ベランダに出る。 二月。雪が降っている。 流石に寒かった。 中に入り、ここ二ヶ月忙しくて触れれていなかったギターに触れる。 深夜だからヘッドホンもして、曲を弾く。 嫌なことが薄れていく。 今日、いや昨日か。もあいつは来なかったな。 来ないのかな。きて欲しい。 そんなことは忘れて、曲を弾く。 「曲名『残花』    作詞 カタルシス            作曲 ××××  色のついた、葉が舞うときに 雨が降ると、気が沈むんだ 雨の匂いが嫌で 雨の日は外には出たくない けど、 貴方が、雨が好きだから、外に出ようと思うんだ。 雨の音が、雫が滴る音に聞こえる君が気になるから。 墓参りの時に雨が降ると嫌なんだ。 雨の重みが嫌で 雨の日は歩きたくない けど 貴方が、雨が好きだから、外に出ようと思うんだ。 雨を宝石という君の目が気になるから。 赤く咲き誇る彼岸花 それさえも散ってしまう寒さゆえ 私は外に出たくないんだ。 彼岸の花よ。 どうか、散らないでくれ 彼女が渡り切るまでは。」

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米原の雪景色。 一面白で、緑も茶色も色あるのもは黒に見える。 陽の光を反射して、輝く地面。 人は箱をかざす。 旅館の精進料理。 お膳に乗せられたものに肉の影なし。 素材の色で彩られ、美しい面。 人皆箱をかざす。 五山の送り火。 光あらずで色あらず。 見えるものは炎のみ。 人は箱をかざす。 魂、その箱入らずに。 魂、その目に宿けり。 写し絵、感動薄れゆき、 過去を忘れけり。 感動、心に留めており、 五感の全てが覚えけり。 秋の中頃、名月が 天に昇りしその時に。 箱かざすもの、 その裏に陽があることつゆ知らず。

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目

地に想いを残し、天に昇れ。

体を転々と移して、時を渡る陰陽師。 この世は体にある魂の器と、魂をリンクさせることで、地に足を下ろす。 何事もなければ、魂の器は魂の生成と同時に生成されるのだが、何かの手違いで、器だけが生成されることがある。 また、空に昇る時は、器と魂のリンクを剥がす。 昇り方に色々あるのは、その剥がすものが違うだけだ。 水、火、気、(今は空気とか電気とか呼ばれているみたいだけどほんとは全部同じ)、血、全ての基礎となるものは、神々の所業によって生み出される。 私には名がない。 正確に言えば、渡る先にある肉体につけられた名はあっても、生まれると同時につけられる名がない。 ほとんどの人間は、生まれる時に名が与えられ(人間がつけるような名前、文字ではなく)、それによって神のものとされる。 ものとされることはよく言えば守護であるが、悪く言えば監視である。 人間としての一線を越えようとした時に、裁きが下される。 私にはそれがないのだ。 神は、遺伝子というものを作った。 太古昔は神々が1から肉体の形成をしていた。 しかしながら、これではミスが多いことと、大量に作り出すことができないことがある。 魂の生成よりも器の生成の方が難しいからだ。 そこから、人間に生育の本能もつけた。 神はまた、魂を再利用し始めた。 魂が器から落ちた時、魂に残った記憶を消して、0に返す。 これは想像以上に簡単だ。 人間は神を目にすることはできない。 私たちが常日頃食べているものを作っている人が見えないのと同じように。 ただ、知ることはできる。 作り話によって。 人間は悪と正義を戦わせ、正義を勝たせる物語を作ることによって、心の不安を誤魔化していった。 そうするしかなかった。のだろう。 そう語る。 けれども、 体を転々と移して、時を渡る陰陽師。 この名において誓おう。 「神の傲慢を絶ち、かつての××を取り戻そう。  たとえ、悪になろうとも。  私を見つけてくれたただ一人の彼に嫌われたとしても。  私自身が消えてしまおうとも。  この世の祖である全てを忘れ、いや、消して、神の存在を絶対とする神を消そう。  ああ、人間よ思い出せ。  神は、人の想いの形成物であることを。」  

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ペットボトルコーヒー

black coffeeを傍に置いて、仕事をする先生。 何を考えて、パソコンを触っているのかはわからない。 先生じゃないから。 black coffeeを飲みながら、携帯で今日の野球の勝敗を見る先生。 好きなチームが勝てば、小さく跳ねる。 子供らしくて可愛く思える。 black coffeeを手にして、電話を取る先生。 口には coffeeの雫が付いていて、指で取っている。 その顔は少し男前で、かっこいい気もする。 小銭を渡された。 使いを頼まれた。 coffeeを買ってきてほしいと。 普通に言われたならばお望み通りblack coffeeを買ってきただろう。 私に使いを頼んだのは、いつもの笑っている先生ではなくて、熱を出しながらソファーに横たわって、目を潤ませている先生だった。 よく見ると、げっそりと痩せていて、目の下にはくまが出来ていて、体は小刻みに震えている。 いつもの威厳満ちた先生ではなくて、自分のことを憎んでいる先生だった。 歩くのもままならず、座るのでやっとの体調。 仕事がとぼやいているが、行かせるわけにはいかない。 blanketを羽織らせ半強制的に眠らせた後、コンビニに向かった。 私は coffeeではなくあたたかい煎茶と鍋の材料を買った。

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数式の手品1

何度消えたいと思ったことか。 ××先生の息子さんという肩書きで生きてきたこの人生。 自分の持病を話の終わりにつけられるこの人生。 薬の副作用のせいで消えそうになっても消えきれないこの人生。 仕事をすることで自分を騙していたことが、薬を飲むというただ単純な行動で全て明るみになってしまうこの人生。 自分が、嫌いだった。 そんな悩みを理解してくれる人はいない。 確かに、賢くて話が合わないという類なら理解してもらえる。 この持病を除けば。 あれが夢であったならどれだけよかったか。 横腹が痛い。 いっそのこと、あれが全て本当で、最後さえ違ければよかったのに。 「どうして、僕は生きているのに泣いているんだろう。」 そうぼやいた。 誰もいないと思っていた。 「生きることを嫌う人間にとって生きることは、この世から消えてしまうことを恐れる人間にとっての消滅と等しいからですよ。」 あの声だ。 僕を生かしたやつの声だ。 やつは続ける。 「等しいながら、前者の方が大変苦しいのです。生きようとする本能に抗い、消えようとすること、または全てを無にして消えゆくことはどちらも相当なる苦労を強います。そして、抗い疲れることで、また一歩近づきますが、近づけば近づくほど、その一歩が重くなるのです。」 生きることが嫌いだから。 消えゆこうとする。 そうだ。そうなんだ。 だけど、だけど、、、 「そんなにも僕は弱いのか…?」 疲れた。寝よう。 目を閉じて…。 「それがあなたの想いなんですね。今から探せばいいではないですか。あなたが生を望んでいることを自覚していないならば、私が自覚できるように手伝うまで。さあ、始めましょう。」 旅を。

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中秋の終わりに、名月の下で

残暑のあるこの頃はとても夜が恋しい。 暑く、熱い夏が終わったはずなのに余韻が残っている。 子供の頃から、夏は嫌いだった。 アウトドア派ではない私は外で走り回る彼らを理解できなかった。 母や祖父母は「男の子なんだから」と虫取り網などを買ってきていたが、触れたことは一度もない。 小学六年生のころに、一度香水を買ったことがある。 塾に行くには家からは電車で、両親は夜まで働いていたからお金を渡されて塾に通っていた。 母に昔、母が使っていた香水を指さしてこれは何かと聞いたことがある。 甘いジャスミンの香りで、母といえばこの香りだった。 幼児の私に丁重に説明してくれたあと、「女の人ようだからね」と付け加えていた。 4000にも満たなかったから、お金は疑われずに貯められた。 1000円札でもらっていたから、もし5000円を超えていたらお店の人にも疑われていただろう。 まあそういうのはすぐバレるもので。 一回つけただけで母に「なんかつけた?」と言われた。 こういう時の対処法は慣れている。 「友達から、誕生日プレゼントで香水もらって、大人びてるからまだ早いと思ったんだけど、友達お母さんと一緒に悩んで買ってくれたって言ってたから、友達にもらったあと、友達につけて貰ったんだ。ダメだったかな。」 嘘ではない。 塾に私のことを認めてくれる友達が一人いる。 この香水も友達が見つけて、教えてくれたものだ。 帰り際に頼んで少しつけて貰った。 母は鈍感だ。素直に信じる。 ただ、父さんは敏感だ。 母がいないところで、「半分は嘘、半分は本当だな。」と言われた。 でも父さんも同じ趣味を持っている。 男性感をバリバリ出すよりも、美しさを求めている。 塾講師になった。 理由はアウトドア派の人間とあまり関わらないからだ。 それでも人と接するだけで疲れる。 これが仕事ができる代償だ。 裏では「男子だけのトップコースを統括する女じみた中年」と呼ばれている。 子供にさえ嫌われている。 しかし…謎の三人の子供。 付き纏ってくる…のか? 最初はうんざりしていたが、今は打ち解けあっている。 いや、いた… ああ、懐かしい。 もしあの頃に戻れるというのなら、もし時を巻き戻せるというのなら、 この名において誓おう。 「中秋の終わりに満月の下で。」

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数式の手品

私の家系は代々数学者だった。 名の知れた数学家だ。 珍しく当主を置く方法をとっていて、引き継がれている。 先代は私の父であった。 父は私に当主の座を渡したかったのだろうが、私はさらさらなる気がなかったため、弟に譲った。 弟も私になって欲しいという顔をしていたが、渋々受け入れてくれた。 塾講師になった。 教える方が性に合っていたからだ。 私は元々心肺が弱い。 普段は薬を使って押さえ込んでいるが、1日でも飲まなければ救急車沙汰になる。 しかし、家事などは全て自分一人でやっている。 見合いの話が父や母、親戚から何度も持ってこられたが、全て断った。 一人が落ち着くのだ。 自分のこの持病のせいで、誰かには心配される。 仕事場でそれなのだから、家ではゆっくりしたい。 母にこのことを伝えると諦めてくれた。 だというのに… 今日は晴れですと言っていたが雨だ。 僕の横腹には今、ナイフが刺さっている。 立つことすらできない。 精一杯の力で声を上げるが、周りは完全に怯えている。 依頼…とか言っていたな。 弟、父、母、親戚どれでもないだろう。 私が毎日薬を飲んでいることを知っている人間ならばこんなたくさんの人がいる中で殺せとは言わないはずだ。 薬を何処かに隠すだけで十分なのだから。 塾の中で反感を買った…のが…ただしそうだ…。 視界がぼやけている。 まあこの持病を持ちながら53まで生きれたのが幸いだろう。 止めを刺されるんだな… その時だ。 「先生だったんだぁ。あの子が言ってた子って。まだ死なれちゃ困るんだよねぇ。助けてあげる。」 大人びた声…しかし聞き慣れた声でもあった… その後の記憶は覚えていない。 病室の天井を見るまでの記憶は…

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勉強

どうしてだろう。 スポーツができれば讃えられ、ピアノが弾ければ皆の前で演奏し拍手をもらえる。 勉強ができたって大々的にほめ褒められることなどない。 それなのに「勉強ができるなんて羨ましい」と言われる。 担任手作りのオリジナルの問題集。 何枚やったかの発表が毎日ある。 僕はやっていない。一個たりとて。 塾に行っている子がトップ3にいる。 それを担任は褒め称える。 時間の使い方が上手いとかなんだとか。 塾に行っていて忙しいのは理由にならないと担任は言う。 誰に言ってるかは知らない。 別に構わないさ。 僕たちには僕たちを理解してくれる他人がいる。 人間なんざいくらでもいるんだ。 僕は勉強ができることを羨ましがるあいつらが嫌いだ。 だってあいつらは僕の努力を褒めているわけではないのだから。 だから僕はとある大人に依存してしまったのだ。

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フルート〜最高の蝶には最高の花畑を〜

フルートという金管楽器をご存知だろう。 あの金管楽器が奏でる音色を私は信じていた。 どの楽器よりも伸びやかで、どの楽器よりもしなやかであると。 だから一生吹き続けたかったが、もし、フルート奏者での人生が失敗したらあと戻しがつかなくなるから、中学受験をすることにした。 うちは三年の九月、一月に一回あるテストで満点をとり、華やかなスタートを切った。 うちはちやほやされるだろうと思って、授業に赴いた。 けれどもうちに話しかけてくる人一人もおらず。 うちは顔には出さなかったけど内心ものすごくイラついてた。 おかしいだろう。(今考えれば納得するのだが) 一位がちやほやされないのに、なぜ二位のあの女がちやほやされるのか。 全ては学力で決まるのではないのか。 うちは塾に行かずあの点だぞ? なぜ、塾に行っている奴が二位でちやほやされるんだ。 ありえないありえないアリエナイ。 そう考えていた日があったのも懐かしい。 まあ、俗に言うカリスマ性っていう奴が彼女にはあったんだ。 授業の先生だって、公平に見る。 塾というものは学校の延長線上だ。 そう考えていたうちがどれほどアホで、馬鹿で、ゴミで、クズだったのかがやっと理解したのが三年の十二月。 学校で「フルートやってるの」って笑顔で言ってれば周りの女子は寄ってくるし、そしたら男子も寄ってくる。 塾では「フルートやってるの」と言っても「どんな曲吹けるの?」が一発目。 ギターやってます。ピアノやってます。 そこら辺にいる奴らとは違う! そう言いたかった。 玉磨かざれば器を成さず。 まじでそうだわ。 別にさ、中堅校入ればそれでいいって思ってたわ。 親が結構金持ちやから、大人になってもどうにかなると思ってたわ。 でもさ、なんかさ、うちが楽しくないのに周りでなんか楽しんでる奴おるとさ、気になるやん? でも、なんかさ、入塾した時、雰囲気悪いです〜オーラをばら撒いてしもうたから。 その輪に入れないわけよ。 まじで、今までハブってきたことが我が身に起こってるみたいな感じで。 すごい、情けなくなった。 オタクとか今までキモいとか言ってきたけどさ、その輪の中にオタクもいてさ、自分はキモイ奴以下なんだなって思ってさ。 誰かがうちに手を差し伸べてくれないかな〜とか思ってたの。自分は差し伸べなかったくせに。 「ねえ。×。理解した?自分が今までどういうことをやってきたのか。」 ?! エスパーかなんかなの? イラついた。なんか心を読まれてるみたいで。 でも、なんか、人間ってわけわからん。イラつてるはずなのに、涙が溢れてきたの。 そしたらさ、口が滑って 「うん。ごめんなさい。」って 言っちゃった。 いうつもりはなかった。 「それが君が押さえ込んでいた本心。自分が相手から傷つけられることを嫌がった。自分の精神に防壁を築いた。君さ、二重人格なんだよね。きっと。」 え?二重人格なんて存在してるのか? 「そんなわけ(どうして?)」 頭痛が走る。 この痛みは、あの日経験した。 フルートが捨てられそうになったあの日に経験した。 「知ってるの?(ないでしょう!)」 どうして。 私の思ってないことが口から出てくる。 ダメ! 私の口なの。誰なの貴方は! 「あの日あの時、貴方は今まで味わったことのないすごい辛い経験が生まれた。貴方は無意識のうちに防壁を築き上げた代償に、裏の人格ができてしまった。」 え?なぜこの子は私が知らないことをあたかも聞いたように、いや、見たように話すの?同学年なの? 「君の苗字を見ればわかるよ。ちょいちょいっと苗字をググれば出てくる。君の親、精神科医だろう?」 「やめて!言わないで!」 どうして、どうして。 嫌なの。 親が医者だから将来の夢は医者かなと散々言われ、 フルート奏者になりたいと言えば、親に怒られる。 あの日もそうだった。 「親が、どうせ、『二重人格なんて存在しない』とか言っているんだろう。だから君は、裏の人格を押さえ込んだんだろう?」 どうして知っているの?! 「君、そのまま行けば、受験の時に爆発するぞ。その精神。」 「勝手を言わないで!(助けてよぅ)」 何も知らないくせに。知ったフリして。 「どうしろというの!」 そういうと、あいつは笑みを浮かべた。 「私  僕  我  俺 のように使えばいいんだ。」 ?! 多重人格? 親が言っていた。 子供にとって猛烈な苦しみに襲われた時、全ての防御反応が働き、精神が分裂すると。 並の人間では扱えない。分身ではなく、分裂であるから、その精神は意識を持ちながら、別々のことを考えると。 「精神ごとに別々に使えばいい。初めは。慣れれば同時使用も可能になるさ。だからそのために今は…全部吐き出してごらん。今までの思いを。」 どれだけ泣いただろう。気づいたら暗くなっていた。 寝ていたのかもしれない。先生たちはもうとっくに帰っていた。 あの時、彼女がアドバイスしてくれたから今でもここにいるだろう。 私は学校で謝罪した。親には内緒にしてくれと、校長に頼み、担任に頼み、クラス全員に謝罪を伝えた。 最初は受け入れてもらえなかった。行動で示そうと思った。 どれほど償うことが大変なのかを知った。 6年になって、彼女から衝撃の事実を伝えられた。 彼女は多重人格なんてものじゃなかった。 あの時の声は四人ほどがタイミングをそろえてやったことらしい。 理由は 「お前が生意気だったから。二重人格だから特別扱いされるとか思うなって話。」 だそうだ。 三年のまま、今走っていれば間違いなく爆発していただろうな。 彼女は最難関中を目指す。 そしてそのために学力を上げているのを見たら、あの頃の私のプライドが許さなかったと思う。 ありがとう。 そして… 何をへこたれているんだ。彼女よ。 貴方は私の恩人だろう? どうして貴方は悲しそうな顔を見せる? 貴方は男子の中でもトップを張るじゃないか。 私ではないのだから、もっと強気でいろよ。 彼女が元気になった。 特訓講座の先生がめっちゃいい人なんだとよ。 彼女はいつも先頭を走る。 誰かが一度トップの座を奪ったって、本当のリーダーにはなれなかった。 だけど、私たちも卒業しなきゃ行けない。 彼女から独り立ちしなければいけない。 彼女を安心させるために。 彼女が運命を邪魔しないために。 彼女は蝶のように美しい。 全ての人々の視線を奪っていく。 けれども見る目がないやつにはわからんだろうよ。 だから、貴方は見る目がある場所で羽ばたいてくださいな。 本当の勝負で貴方の才は発揮される。 だから、行ってきてください。 翅をとりに行ってください。 私たちはもう、十分受け取りましたから。 貴方の気持ち。

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フルート〜最高の蝶には最高の花畑を〜

オルガン〜後ろを追いかけて〜

オルガンに興味を持っていた。 ピアノのが持つ88鍵。 あれを僕は器用に操ることはできないだろう。 そして、何より、僕はあの澄んだ音のような人間ではない。 地元塾に通っていた。 その地元塾では同学年を超え、一個上の学年でも名を馳せた。 けれども、僕はここで一番になっても意味がないと思った。 だから、全国に広がるこの塾に入塾した。 四年の最後からの入塾だった。 やはり、一応は名を馳せる程度の学力を持っていたから、通常授業は本部と言っていい校舎の一番上のクラスになった。 そして、入塾テストを受けるとき、校舎の人々が世間話のように噂していた、一番上のクラスの一番に鎮座する彼女にも会った。 学校のような奴らと同じで、傲慢なんだろうと思っていた。 全然違った。 傲慢なんかじゃない。 周りにいる奴らも、互いにお互いのことを見ていて、彼女に追いつこうとし、彼女と関わっている。 僕はほぼ5年と言っていい頃に入塾したから、周りの子達に最初はついていけなかった。 ほとんどが3年からいて、ほとんど、クラスの子達に変動はないらしい。 そう校舎の人が言っていたから、仲間として受け入れられるかが心配だった。 僕はまだ知らなかったから。 トップ中のトップだと聞いていたから、テストでのベストでも常に一位を守っているものだと思ったいた。 けれども彼女は、「結局はバランスが一番なんじゃ」とか「ベスト入ってるくせに一ヶ月ごとの成績表はトップじゃないよなぁ」とか、周りに喧嘩を売るような発言をしている。 トップにはプライドがあって、誰にも負けない気持ちがあるものだと思っていた。 言い訳なんてせず、自分がトップじゃないと認めないものだと思っていた。 そして一番に驚いたのは、拍手の習慣だ。 たとえどのような奴がベストになっても、必ず拍手は怠らない。 僕が初めてベストに入った時もそうだった。 彼女が声を掛けてくれた初めての日だった。 「××。貴方って確か12月の四年の頃に初めてきた子だよね。挨拶が遅れてごめんなさい。私××というの。そんなこと知ってるか。よろしくな!」 それが初めての挨拶。 まるで空気のようにいた頃の自分を知っていた。 あの花のような笑顔… それが周りを惹きつける要因だと思ったが。 次第に違うことに気づいていく。 時々話すと出てくるふざけた関西弁。 まるで本家のように関西弁を扱う。 関西から来る先生方も多いけど、授業の時は大体標準語。 けれども彼女が質問している時は関西弁を使いまくる。 尊敬している先生には京都弁のなる。 「いてはる」とか。 そして一番驚いたのは煙草を吸っている先生たちを全員制御していることだった。 子供が煙草の匂いを受け入れていることは稀だと思う。 正直に言って、僕でも無理だった。 でも彼女は、煙草を吸う先生たちの溜まり場になっている場所に向かって、外にある階段の踊り場から、「ほどほどにしてくださいね〜」と冗談紛れに言っている。 彼女ももちろん「体に悪いですよ」というが、他の人々のように、「辞めた方がいい」とは言わない。 僕は一番上のクラスだから、宿題を全部こなさなければならなかったから、特訓授業をwedにした。 僕は不器用だから、彼女のように、宿題を全部回し、テストで高得点を取るという芸当はできなかった。 先生は平均点でいいと言ってくれた。 僕は知らぬ間に、彼女に追いつこうとしていた。 だから僕は、「あの」学校を第一志望校として決めたのだと思う。 6年生になって、僕は彼女と一段と近づいたと思っていた。 けれども、彼女は本気をまだ出していなかった。 彼女はなんと、上層部の先生たちに女子が男子コースに入ることを認めさせた。 去年までは5年までしか男子の特訓講座にいていいとなっていて、6年男子コースに女子はいなかった。 そして彼女は男子コースに来ると思った。 がしかし、彼女は欠席のまま。 席を置いているだけだった。 僕はそこで出会った本部の本部(総本部って言えばいいのかな?)の先生、違う言い方をすれば、男子コースの総責任者の先生と出会った。 また、古参と言っていいと思う理科の先生とも出会い、僕はとてもいい環境に立った。 春季講習。それは突如として発覚した。 理科の先生と、彼女は、幼い頃に出会っていた。 理科の先生は極度のヘビースモーカーで(正直言って小学生と接する中学受験の先生とは合わないと思う)いつも煙草の匂いがする。 僕はそこが苦手だった。 そして僕は、質問中、その先生の質問攻撃を交わしきれず、へこんでいた。 そこに彼女が現れた。彼女はあたかもその質問を聞いていたかのように何事もなさげに答えていく。 そして、彼女の先生に向けての一言目の挨拶は衝撃的だった。 「あら、××先生、一段ヘビースモーカー化しましたねぇw」 その先生は短気だから、すぐ機嫌を悪くし、こう言い放った。 「どういう態度なんだ。それは。」 彼女は不気味な笑みをちらっとこちらに見せつけるように見せた。 そして彼女は態度を直して先生と向き合った。 「お久しぶりです。×× ××先生。先生の元教え子だった×× ××の妹、×× ××と言います。覚えておりませんか?喫茶店で毎回アップルジュースを啜っていた幼女を。」 自分が知らない領域の話だった。 彼女の幼い頃の話のようだったから彼女の幼い姿を想像した。 もちろん、今の彼女だからすごくいい子だったんだろう。 でも先生の方は思い出せていないようだ。 人違いなのではないのか。 「貴方に煙草は体に良くないよ〜って生意気に言っていた幼女ですよ。」 ?! 彼女が生意気だったということには想像もつかなかった。 幼い頃からいい子だと思っていた。 「!ああ、あの眼鏡の妹か。確かによくよく見れば、輪郭とその高身長が似ているなぁ。だから、あんな生意気な態度をとったのかい?w」 あの状態になったら彼女でも相手できないだろう。 僕でさえ太刀打ちできなかった。 いくらあのクラスのトップだからと言って、虎の子が虎に叶うはずがない。 そう思っていた。 「あらあら。気分を害されましたか。申し訳ない。思い出して欲しかったんです。これから特訓講座でお世話になるのだから、思い出話ぐらいさせていただいてもいいでしょう?」 甘く見ていた。 女子だから?子供だから?相手が格上に見えるから? そんな理由で決めつけていた。 彼女が負けるということを。 「はは!流石だな。相変わらずだよ。そりゃあ一年の頃に入塾して、その同級生たちが外部から傷つけられそうになったら、守りに行く女だもんな!とぼけたふりをしたのがバレてたようだな。お前の気迫は歩いてきた瞬間に感じ取ったわ。老いぼれだから手加減して欲しかったんだけどな!w」 その日、あの彼女を見て、いいや、あの人を見て、本当の意味で尊敬した。 あの人に弟子入りを乞うた。 そして、受け入れてもらえた。 今考えると、僕が一方的に得をした。 彼女は自分の自習時間を割いて、僕がわからない、教えてくれと言ったところを教えてくれた。 その教えは、そこら辺にいる講師よりはわかりやすく、質問したい先生がいない時とても助かった。 どの教科ができない、できるなどの差はなく(社会は3教科で受けるから関係ない)、正直言って、便利だった。 彼女は女子だから、僕が受ける学校は受けれない。 そして彼女は僕たちと一緒に最後を迎えれない。 また、彼女は一人で最後を迎え入れなければならない。 だから、僕たちは決めたんだ。 いつも、僕たちを引っ張ってくれた彼女にせめてもの恩返しをしようと。 もう彼女がいなくっても、一つになれるということを。 今まで、彼女が全て抱えていた思いが、今ならみんなわかるから。 彼女がいたから、僕たちがここまで来れたことを。 今まで、彼女が周りを照らしてくれたおかげで、走るべき道を迷わず来れたから。 彼女こそが、僕たちのリーダーであることを。 今まで、誰にも苦しみを伝えず、明るく振る舞ってきたことを知っているから。 彼女は、一人だけの師匠ではないことを。 今まで、彼女が神のように飛び抜けて賢いのではなく、人間のように賢かったから追いかけようと思えたから。 僕たちは、僕たちの思いと、貴方の思いを、「あの」学校にぶつけて、貴方の存在を、証明してくるよ。

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オルガン〜後ろを追いかけて〜