カシミヤ

5 件の小説

カシミヤ

気ままに投稿する大学生です。授業の合間と休みのタイミングを見計らって投稿します。皆様も好きなタイミングで読んでいただければと思います。リクエストあればいつでも大歓迎です。

黒猫は福を呼ぶ

 ある雨の日。鈍色の空から銀色の水がざぁざぁと降る午前十一時。僕は傘をささず家を出た。それはもう数分で前身はずぶ濡れ、靴の中に水が出たり入ったり非常に気持ちが悪い。脳天をつく雨は冷たくて体が芯まで冷える。心の中まで冷え切りそうになる。わかっていながら僕はこんなことをするのだ。変人と言われてもしょうがない。うんうんと独り言をつぶやきながら散歩をしていると、一匹の猫が僕にすり寄ってきた。毛艶のいい黒猫だった。猫は水を嫌うというのにこの猫は雨でずぶ濡れだった。ふわふわとした毛だろうに。雨でぺしゃっとした細い猫だ。しかし、この黒猫は僕に同情するような眼を見せる。びしょ濡れのなのはお互い様なのに。黒猫は僕の足元にきてちょこんと座った。そしてなぜか、僕の右足に左手をぷにっと置いた。僕はいったんしゃがんで、猫の頭に手を置いた。猫に人の言葉をしゃべっても、理解してくれるなんて思っていないけれど、ダメ元で話しかける。 「君は?どこから来たんだ?首輪があるから飼い猫なんだろう?」  黒猫は「なぁーん」と鳴いて、僕の手のひらに顔を擦る寄せる。猫の言葉はわからないが、かわいいのは確かだ。 「家に帰らなくていいのか?」返事はない。のどを軽くなでる。それでも返事はない。このまま放っておけば僕もこの猫も雨で冷え切り低体温症になりかねない。 「しょうがない。今日だけだぞ。」僕は猫を抱え、家に帰ることにした。抱えたとき、胸の中で黒猫は満足げに小さく「なぁん」と鳴いた。毛越しに感じる猫の肋骨や上下する筋肉。そして脈打つ心臓にその他の臓器。この猫は生きているんだと改めて感じる。    家に入るとうっかりつけっぱなしにしていた玄関が迎えてくれた。 「しまった…。電気つけっぱなしで出ちゃったか。」電気代もったいねぇ…とかつぶやきながら、風呂場からタオルを持ってくる。猫を優しくくるんで拭く。おとなしく拭かれる姿は愛らしい。タオル越しに肉球を触るとちゃんと爪が出てきた。ちなみに肉球は桜色だった。自分も濡れた服をかごに入れ、バスローブを着て猫を連れてリビングに向かう。ドライヤーで猫の毛を乾かす。数分後には乾き、毛艶のいい猫に戻っていた。どうやら長毛種のようだった。凛々しい顔つきをしている。自分も髪の毛を乾かそうとドライヤーをいじっていると猫が膝の上に乗り、丸くなる。本当に心のつかみ方がうまい猫だなぁ…と感心していたらすぐに降りられてしまった。つかの間の猫の温かさを感じた瞬間だったのに…。と心の自分は涙を流す。  何の変哲もない日常からは打って変わり、一人の人間と一匹の猫の生活に変化した。明日はどんな一日になるのかな。

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兎と狼

 カーテンを開けると、向かいの部屋の人と目が合う。  なにか会話があるわけじゃないけれど、  あの人はにこやかに笑う。  一度部屋に入って黄色のポットを持ってきて  観葉植物に水をかけ始める。  種類は複数あって、サボテンやハエトリソウ  ウツボカズラ、アロエなど。  どうやら多肉植物が好きなようだ。  水をかけ終えると、あの人は部屋に入ってしまう。  僕はただ、毎日その時間を見ることが好きだった。  好きになるきっかけは、そこら中に転がっている。  なにかの名言にあった気がする。  僕の場合は、あの人のあの時間を守りたい。  それがきっかけだった。  ある日の夜。  僕は友達と居酒屋で呑み、いい感じに酔いが回っていた。  そういう時は大体、家でももう一杯やりがちになる。  冷蔵庫を開け、冷やしてある缶のハイボールを手に取る  そして食器棚の下段にしまっておいたつまみを無造作に開け  部屋で一杯やることにした。適当にテレビをつけ  時々鼻で笑いながらちびちびと呑む。  僕はこの時間が好きだった。  そんな時、インターホンが鳴った。  一瞬酔いがさめそうになった。  モニターを見ると、向かいに住むあの人だった。  扉を開けると、あの人はおびえた様子で部屋に入ってきた。 「助けてください…。」とか細い声で言った。  その様子は、天敵に睨まれおびえるウサギのようだった。    話を聞くと、付き合っていた彼氏に暴力を振るわれるようになり  あの部屋から逃げてきたとのこと。  今は彼氏は部屋で寝ているらしい。  サンダルや靴も履かず、  服も着ずブランケットだけを纏った姿を見ると  緊迫した様子なのがよくわかった。    僕はかくまうことにした。  いや、いいチャンスだと思ったのかもしれない。  とりあえず、風呂に入れて僕の下着や服を貸した。  風呂から上がったあの人は、  頬が赤らみ濡れた髪の毛が本当にかわいらしい。  僕はココアをいれて飲むように促す。  少し落ち着くと話し始めた。 「僕は今の彼氏と付き合い始めて三か月が経ったんですが、  彼、お酒を飲むと口調が強くなるんです。  最近は手を挙げることも増えて…。  それに…。無理やり襲ってくることも…増えて…。」  彼は手をぎゅっと強く握りしめて言う。  僕は彼の肩に毛布をかけて、肩をさすりながら 「ここなら、きっと安心ですからね。  しばらくはここで暮らしませんか?」  我ながら大胆すぎるかもしれない。  不謹慎かもしれない。それでもすこしでも  この人と長く一緒に居たかった。  すると彼は大きな涙を瞼に浮かべ「いいんですか?」と言う。  相当な恐怖が彼を支配していたのかもしれない。  少しでも安心させたいという  母性のようなものが芽生えた瞬間だった。  それとも、安心させた後  自分の思い通りにしてしまおうという悪魔の心か。  今はまだわからない。きっと神様にも。  彼の寝顔が星明りに照らされ、すやすやと眠る姿は  今まで見たものの中で一番美しかった。

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サヨナラの形

 サヨナラの形は 様々だ  例えば 卒業式とか式典でお別れする形。  ほかには 「さよなら」「また明日」言葉でするお別れ。  涙ぐんで、いい思い出で、時に心に桜が咲く  そんなこともあるだろう。  でも僕らがしたお別れは、あまりにもあっけなかった。  君が「もう無理」  と書いた手紙で僕らの仲はなかったことになった。  それから三十年の時がたった今でも  その手紙を捨てることができない。  悲しいはずなのに  苦しいはずなのに    なぜか何度も何度も読み直してしまう。  君が僕にかけた言葉。 「大好き」とか「かけがえのない存在」とか  思い出す言葉はどれもこれも  ありふれた言葉。  それでも  君が言うから  君の口から出てくる言葉だから  僕は君が大切で守りたくて愛おしかった。  文通で始まった恋は  文通で終わるしかないのだ。  ああ。  君とみる世界の景色は  さぞ美しいのだろうな。

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物語の一部

 僕は小さい時から、昔話が大好きだった。  桃太郎とかかちかち山とか王道なものから  地方でしか知られていないような、マイナーなものまで。    元々父がそういうのが好きだったっていうのもあるかもしれない。  日本昔話のDVDとか、絵本とかそういうものが身近にあったんだ。  昔話って、教訓が含まれているものが多いよね。 「こうなってはいけませんよ」とか 「欲を出しすぎるといい結果になりませんよ」とか。    でもさ。  そうやって先人たちがなぞらえてきた教訓も  小さいときに学んだ大切なことも    大人になると多くの人が忘れてしまう。  それよりも大切なことが、考えなきゃいけないことが増えるから。  僕も忘れていた張本人。    自分も、物語の一部にならないように  気をつけなきゃね。  

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初めまして。

 みなさん、こんにちは。こんばんは。  初投稿なので、自己紹介からしたいと思います。  名前はカシミヤです。理由は、そこにカシミヤのティッシュボックスがあったからです。  たいそうな理由もなく、すみません。    年齢は、満十八歳です。つい最近高校を卒業しました。  好きなものは、いろいろあります。アニメも見るし、絵だって模写しかできないけど描くし。  まあ。そんなもんです。語ると長いのでここらへんでおしまいにしておきます。  あ、最後に。自分は自殺を試みて、結局この世に生き残ってしまった人間です。  そんな当時の昔話を書くこともあると思います。その時はびっくりしないでいただけるとありがたいです。  そんな感じの悩みを抱えている皆さん。自分でよければ話とか一緒に悩んだりできますので、  迷惑かなとか思わず話しかけてみてください。  特徴だけ書いておきますね。  片頭痛持ち、コロナの後遺症による片頭痛誘発の吐き気アリ、たまに寝れなくなる、涙もろい  胃が極端に弱く、腸も弱い。脂っこいものを食べると二時間後におなか下す。一人でしくしく泣いているときもある。  自傷行為という名の自傷行為はやってきた。痕も残ってるし、癖も残ってる。    まぁ…。こんな人間ですが何とか生きてます。 そんな人間が書く文章ですが楽しんでいただけたら嬉しいです。  よろしくお願いします。

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