消えないシャボン玉
シャボン玉の中に上下逆さまの世界が映る。透明な膜を一枚隔てた先に笑う君がいた。
「シャボン玉なんて子供の時以来だわ。」
君は緑色のパイプに液をつけて、胸いっぱいの息を優しく吹き込む。
咲き誇った桜を反射するきれいな丸。時々連結して複雑な形を作る。
満足そうに笑う君。僕はその笑顔に惚れていた。知らない間に。
60年の月日が流れて、君は今病室のベッドに横たわっている。
しわしわの手に、掠れた声、白銀の髪の毛。
僕らは多くの時間をともにした。
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カテゴリー: 恋愛・青春
投稿日時: 2025/4/25 12:55
カシミヤ
気ままに投稿する大学生です。授業の合間と休みのタイミングを見計らって投稿します。皆様も好きなタイミングで読んでいただければと思います。リクエストあればいつでも大歓迎です。