山田・まんでぃ〜・エロガキ
5 件の小説第三話 謎ノ少女
風が止み、目を開けると祠の上に狐の面を被った私と同じくらいの女の子が座っていた。 「だ、誰?なに?巫女のコスプレ?」 「こすぷれ(?)とは失敬な。お主が妾を呼んだのじゃろう?」 私は一瞬戸惑った。 (呼んだ?なんのこと?もしかして神様?) 「あの、つかぬことをお聞きしますが…もしかして、神様?」 「そうじゃ。お主は妾に願い事があるのじゃろ?まず名前を言え。」 「あゆり…澤田あゆり。」 私がそういうと神様は狐の面を外した。 「妾の名は霧乃。この神社に司る死の神じゃ。」 面を外した顔を見ると赤い、不思議な目をしていた。 「霧乃…さん?実は私、願い事とかじゃなくて…。」 「霧乃で良いぞ。それより…、遊び半分でやったのか?」 その時向けられた、強い視線が怖かった。 「まぁ良いだろう。覚悟はあるんだろ?」 噂のとおり、命を代償にしなくちゃいけないのかな。 そんなことをするぐらいなら願い事を叶えて欲しいと思い、 「叶えて欲しい願い事があります。」 思い切っていうと、聞く気になってくれたのか、霧乃は祠から降りた。 「どれ、言ってみろ。」 私は思い切り深呼吸をし、 「私は、」 「死んだ人に会いたいです。」
第二話 禁忌ヲ犯シタ者
「あ、負けちゃった。」 「それでは!ビリのあゆりは罰ゲーム!」 はぁー、とため息をつく。 「あの噂の『犯してはならない禁忌』をやって来れば良いんでしょ?」 最近、学校で流行っている噂があり、それを確かめる為に、ババ抜きで負けた人が罰ゲームとして行くことになった。 「澤田さん、大丈夫? 噂の通りだったら命の危険も…。」 「ま、噂なんて嘘だろうし、行ってくるよ。」 ザッザッザッ (随分と森の方まで来たな。) 「ここを曲がって、あ。神社」 そこには古い神社がポツンとたっていた。入ってみると、 ジャボンッ! 「わっ!なにこれ!水⁈」 よくみると、あたり一面、透き通った水で覆われていた。 (興味深い。あいつらの為にも土産に写真くらい撮っておこう。) 神社の中は意外に広かった。しかし、どこを見ても水、水、水。 そんな時、夕陽の光が木々の間から流れ込んできた。 『黄昏レ時、祠ノ隣ニ電話ハ居ル』 噂う言葉を思い出し、ハッとして祠の隣をみると、古い黒電話が居た。 「黒電話⁈さっきは無かったのに…。やっぱ噂ってホントだったんだ。」 恐る恐る受話器を手に取り、噂で言っていた番号を入れる。 「もしもし…、神様ですか?」 そう言った途端、強い風が私を襲った。 「な、なに⁈」
第一話 黄昏レ時、電話ハ現ル
ねぇ、知ってる? 学校の近くの温泉街を抜けて、少し歩いたら、神社があるでしょ? その神社の祠の隣には、黄昏れ時に古い電話が現れるんだって。 その電話はね、死者の国と繋がってて、もう会えなくなっちゃった人と喋れちゃうんだよ。すごいでしょ? そこには噂を聞きつけてきた人がたくさんくるんだよ。 今週もたくさんの人が来たよ。 例えば、月曜日は小さな男の子が来たよ。 「もしもし、お兄ちゃん?いつ帰ってきてくれるの?お母さんは『遠くへ遊びに行った』って言ってたけど…。ぼく、寂しいの。また一緒にヒーローごっこして遊ぼーよ。待ってるね。」 火曜日には、少し疲れた顔をした女の人が来たよ。 「もしもし、たっくん?お母さんねぇ、たっくんがいなくなってから、毎晩毎晩泣いちゃうの。たっくんはお母さんがいなくても大丈夫?ちゃんと眠れてる?今日はお母さんが子守唄を聴かせてあげるね。 ねんねん ころりよ おこりよ ぼうやは 良い子だねんねしな…。おやすみ、たっくん。安らかに。」 木曜日は目の下にくまができた男の人が来たよ。おっきな声を出して、ちょっとうるさかったな。 「さや、どうして俺と子供たちをおいて逝ってしまったんだ!ひどい!ひどいよ…。毎夜毎夜、眠れないんだよ。…。いや、ごめん。感情的になりすぎた。本当に言いたかったことがあるんだ。好きだったよ、ありがとう。どうか、さやに。安らぎを。」 今日は金曜日だね。誰がくるかな? あ、そう言えば言い忘れてた。 電話はね、神様を通して死者の国と繋いでるんだけど、『犯してはならない禁忌』があるの。 それはね…。 神様に話しかけることだよ。神様はこの世界のことをなんでも知ってる。だから、なんでも答えてくれるよ。 ただし、命と引き換えに、ね。 だから、気をつけてね。
あの窓の向こう
沙月「んー、届かない。あともう少しなのに。」 そろそろ肩車をしている、なっちゃんも限界そうだから、とりあえず降りることにした。 菜月「あの窓の向こうには、何が映ってるんだろうね。さっちゃん。」 私たちは双子である。姉の菜月に妹である私、沙月。物心ついた時からずっと2人で同じ部屋から出れず、親の顔もわからない。部屋に窓はたった二つしかない。 一つは、時間になると、気がついたら食事が置いてある、人は通れなさそうな小窓。 もう一つは、陽の光が入ってくる、高い位置にある少し大きい窓。 私たちは、外の世界が気になり、いつも肩車をし合って見ようとするが、身長が足りず見ることができない。今日も見ることができず、勉強の時間になった。勉強は、部屋の隅に置いてあるモニターを見て覚える。 菜月「欲しいものはいつだって手に入るし、別に不自由な生活ではないんだけど…。」 沙月「外の世界が見れないんだもの。つまんないよ。」 菜月「いつになったら出られるんだろうね。」 それから時が経ち、2人とも12歳になったある日、この日もまた窓の外を見ようとする。 菜月「あと、ちょっとで、あ!届いた!よいしょっと、のぼれたのぼれた!」 沙月「本当?!私も見たい!」 菜月「今外見たら変わるから待ってて。」 窓の外を見ると、菜月の希望に満ちた顔は一瞬にして絶望に変わったのである。 菜月「キャーーー!!!!!!!!!」 そう言うと菜月の声は聞こえなくなった。 沙月「なっちゃん?」 (なっちゃんどうしたんだろう、心配だな。) しばらく、ひとりぼっちの生活が続いた。 それから私は身長が届くようになり、窓がある場所の床を見ると、赤茶色になっていました。窓の方を見ると、よく見えないけれど、遠くに黒い影が見えました。 16歳になると、部屋から出してもらえ、両親にも会え、幸せに過ごしました。 その後、なっちゃんがどうなったかは、聞いても誰も教えてくれませんでした。
月の影の下で
この世界ではないどこかの世界。たくさんの国がある中、とても大きな三つの国、洋ノ国、魔ノ国、そして和ノ国。その世界は争いもなく平和な国だった。しかし、ある時突然と現れた怪物たちと国と国の間にできたとても高い絶壁らによって世界の平穏は崩れた。それは和ノ国も同じだった。そんな怪物たちから人々を守るために和ノ国がつくったのは、シノビ。怪物と戦うため何年も修行を積み重ね、戦う。これはある1人のシノビの少女の物語。 第一話 新たな伝統継承者の誕生 月影家は、代々和ノ国の王家でありながら、国を守るためにシノビの家業を続けてきた由緒ある一族だった。代々男児が生まれ、13歳になると神の使いの元へ修行へと送り出され、立派なシノビへと成長していくのが慣例であった。 ある時、月影家に、数々の兄たちに囲まれて一人の女の子が生まれた。その子が凪沙である。月影家において、女の子の誕生は前代未聞のことだった。王である父は深く悩み、凪沙をどう育て上げるべきか、長い夜を徹して考え込んだ。 月影家の伝統は、男児がシノビとなること。しかし、凪沙は聡明で心優しく、誰からも愛される女の子に育っていた。王は苦渋の決断を迫られ、13歳になるまで、凪沙自身の意思に委せることにした。 年月が流れ、凪沙は明るく元気な少女へと成長した。兄たちと日々を共にしたおかげで、運動神経は抜群で、どんな厳しい訓練にも耐え抜く体力を身につけていた。一方で、王后から教わった裁縫や生花も得意とし、その美しさは周囲を驚かせるほどであった。 凪沙は、兄たちがシノビとして活躍する姿を見て、自分もいつか彼らのように国のために力を尽くしたいと願うようになった。しかし、同時に、女の子としての人生も諦めることはできなかった。 13歳の誕生日が近づき、凪沙の心は複雑な感情で揺れ動いていた。果たして、彼女はどのような道を選ぶのだろうか。 以下、第一章の続きの案 ある日、凪沙は父を一人に呼び出した。 「父上、私はシノビになりたいのです。」 凪沙の言葉に、王は驚きを隠せない。 「凪沙…、お前は本当にそう思うのか?」 王は、凪沙の青い瞳を見つめながら、静かに尋ねた。凪沙は、力強く頷いた。 「はい、父上。私は、この国のために、そして兄様たちのように、立派なシノビになりたいのです。」 王は、凪沙の決意の固さを悟り、静かに頷いた。 「わかった。それでは、明日からお前も神の使いの元へ行き、修行を受けることとする。」 王の言葉に、凪沙の瞳には光が宿った。 翌日、凪沙はいろんな感情を胸に、屋敷を後にした。