ひう
17 件の小説眠れない夜の眠り方
眠れない。 目が冴えてるわけでも、眠くないわけでもない。 体調が悪いとか、疲れすぎとか、浮腫んでるとか。 心が疲れたとか、悲しくてたまらない夜とかじゃない。 ただ、夜が私を拒否してくる。 眠れないというのは、苦しいものだ。 足の先はすごく冷たいのに、そこから上は夏の昼のように蒸し暑い。 だからといって布団から出ると、寒さと底から湧き出るような恐怖ですぐに足を引っ込めてしまう。 夜とは、なんと難しいものなのだ。 眠れないからといって、お菓子やご飯を食べるのも、罪悪感と背徳感でとてもじゃないが満足はできない。 そんな夜の眠り方は、ただ目を瞑って眠れることを祈るのみだ。
死後の世界はあると思いますか?
「死んだら天国か地獄に行く」 そう信じる人はたくさんいるし、 「死んだら転生して人に生まれたり、動物になったりする」 と、思う人もいるし、 「地獄で罰を受けたあと転生する」 と思う人もいる。 『死んだら何も無い。完全な無だ。』 どちらかというと、私は 「死んだら転生する」だと思っている。 私は地獄に落ちたくもないし、無なのもつまらない。 そんなこと言ったら、いろんな宗教の方々に何を言われるかわからない。 でも、極楽浄土も、神のいる世界にも行かなくていいから、 また人間として生をまっとうしていきたい。 あなたはどう思いますか?
衝動
「か、買ってしまった…」 私は、最大級の罪を犯してしまった。 給料のほとんどをグッズに費やしてしまった。 この背徳感に勝るものは無い。 いや、絶望だ。 生活費、家賃、その他諸々が払えない。 してはいけないとわかっていても、人間は欲には逆らえないものだ。 ストレスなども加われば、相互作用でやってしまう。 「この大量のグッズ…何に使おう」 その時、隣の部屋で大きな音がした。 「あ、逃げる気だな…!!」 急いで扉を開けて廊下に出ると、そこには地面を這う人の姿があった。 「もう、逃げないでよ…あ、こいつらに使えばいっか」 そして、私は持っていた梨を逃げ出そうとした人の口に入れる。 「さ、始めようか」
憂苦
淀んだ空気の中、友が発した言葉は、私を強かに否定する。 「大丈夫?」 お前に心配されるほど、私の心は荒んでいない。 けれど、心配してくれる友なんてこいつしかいないから 「ううん。大丈夫」 と、上っ面だけの笑顔で、喜怒哀楽なんてひとつも無い言葉を並べる。 心配して欲しい。話を聞いて欲しい。 でも、話しかけてこないで、なんていう、我儘な思考ばかりが常日頃交差して、結局は 「大丈夫」なんて言葉を発している。 いっそこのまま死んでしまえば、みんな幸せなのに。 と、考える日もあるが、この高貴な日常を嗜んでいる間に機嫌を取り戻しまた一日が終わる。 朝に目覚め、ご飯を食べ、制服に着替え、またつまらない一日を始める。 そうして、物語が始まるのだ。 私がこうやって下を向き、半開きの目で教室に入ると、私に話しかけるバカが、頭の悪い言葉を私に振りかける。 「大丈夫?」
映画
映画やアニメには「BGM」が付けられる。 悲しい場面には、ピアノの悲しそうなメロディーが背景で流れている。 感情的な場面には、ギターやドラムが大きい音で鳴っている。 そして、映画には起承転結がある。 主人公がいて、問題が起こり、それを解決するためにいろいろなことをし、最後に解決させて終わる。 決められたレールをそのまま進むだけ。 物語なのだからしょうがない。 だが、この「物語」は、決められたレールも、起承転結がいつ起こるかもピアノやギターのBGMも流れない。 この「物語」の主人公かもわからない。誰かの人生のモブAなのかもしれないし、声優もアニーションも付けられないような存在を認知されないような、背景なのかもしれない。 貴方の人生の一欠片なのかもしれないし、「物語」の主人公なのかもしれない。 劇的な場面も、感動するようなシーンもないけれど、この「物語」を必死に生きている。 春も、夏も、秋も、冬も。 貴方はこの「物語」をどう生きる?
月光に手を伸ばす
入院中、病室の窓から見える月は、鳥が、籠の中から見る空のように、近いのに遠い、手に届きそうな距離なのに、決して手に触れることはできない。 鳥のように羽ばたけるわけでもないが、いつか空を飛んでみたい。 「ゴホッゴホッ」 慌てて手で口を抑える。その手を見ると、血がついている。咳をした時に出たのだろう。 自分にかけてある布団を見ると、そこにも血がついている。真っ白なシーツに、赤黒い血液が染み込んでいる。 「鳥でもこんな事ならないのに。」 神様は非情にも、こんな体で産み落とした。 生まれつき歩くだけで体の調律が狂ってすぐに倒れる。 6歳の頃、突然血を吐いて倒れたと、お母さんは言った。 結核?肺炎?肺がん?白血病?……病名なんて忘れたけれど、18歳まで生きていたら奇跡だと言われた。 そんな僕は今、16歳。あと2年で死ぬらしい。 神様は非情にも、僕を不幸な体にした。 ひよこだって笑顔で歩くのに、僕は苦いものを食べた直後のような顔で毎日を生きている。 大半を病院のベッドで寝てるだけの人生が、生きていると言えるかはわからないが。 窓から入る月の光が、静かに病室を照らす。 神様はこんな綺麗なものを生み出したのに、僕には綺麗な人生を与えてはくれなかった。 僕がなにをしたっていうのか? 窓をガラガラと開け、上半身を窓の外に出し、手を伸ばす。 あと少しで届きそうな月が、力強く僕らを照らしている。 「届いた!」 そう思った時には、僕の体は窓の外だった。 僕は、空を飛んだ。
黒い壁
近頃、後ろに気配がする。 普段、後ろに人がいても気付かないのに、こういう時だけなにがが変だ。 一般的なマンションは、霊がいるとか、そういうことはあるのかもしれない。一軒家にあるというのはあまり聞いていない。 私が住んでるアパートは、外壁も剥がれているようなおんぼろアパートだから、しょうがないのだろうか。 お風呂に入る時、トイレの時、部屋にいる時。 そんな1人の空間の時、なぜか心臓が苦しくなる。 息がしずらく、頭の中の圧迫感が酷い。 怖い時ほど、映画のように冷や汗をかくものだろうか。 周りの音が耳に入る度、瞬きをする度、目の前に「何か」が現れないかが怖い。 静かな空間ほど、広い空間ほど、その恐怖は増していく。 緊迫感と恐怖で崩れ落ちそうだ。 毎日、この感情と戦っている。 みんなと話している時、外にいる時、別のことをしている時。 その時は、背中の気配を無視できる。 肩が重い。 重圧感がある。 心臓が苦しい。 いつもの事でも、友達と話せば忘れられる。 二階建てのこの家には、私と、お母さんとお父さんの部屋の3つしかない。 一人でいる時、とても怖い。 誰もいない一人の空間が寂しい。 腹の底から湧き出るような不安。 羽虫が大量に体を這っているような不快感。 全てが脳に襲いかかり、恐怖を生み出す。 小さじ1杯もないような勇気を振り絞り、後ろを振り向く。 なにもない。 誰もいない。 目の前にあるのは部屋の壁だ。 天井を見ても、床を見ても、それはいつもの景色。 「なんだ、なにもないじゃないか」 だが、ここからだ。油断させておいて、目の前に現れるというものかもしれない。 ゆっくりと、慎重に前を向く。 何も無い。やっぱり、思い違いなんだ。 そう思うと、安心感が湧いてくる。 今日はよく眠れそうだ。 そう思うと、この心臓の苦しさは、修学旅行の前日のワクワク感に似ている。 私はそのまま、布団に入り、瞼を閉じた。 あれ?私って、こんな二階建ての家に住んでたんだっけ
海の幸
潮の香りがする。 ザバン、と波が起き、防波堤にぶつかる度、うるさい音と水しぶきが襲ってくる。 毎夜毎夜この音に悩まされ、寝る時間はどんどん遅い時間になる。 ここは、海岸の近くで、よく漁師が船で通る。 灯台の光が眩しく、真夜中の暗い海も照らす。 ここはよくカップルが心中しに来る自殺の名所で、私もよくカップルを目にする。 止めても意味が無いので、いつも横目に眺めている。 砂浜に男女の足跡ができても、波がすぐそれをかき消す。 可哀想なものだ。まだ若いのに、人生に絶望し、海に帰るとは。 ニュースにもならないようなただの一般人でも、それを目撃した一般人には特大ニュースになるだろう。 これも、愛なのだろうか。 永遠の愛と呼べるのだろうか。その価値観はそれぞれだろう。 心中しに来るカップルは、毎回キスをしながら海に落ちる。 それは、とても美しく、儚い。そして、醜い。 私は生涯彼氏も彼女も作らないので、そんなことにはならいないと思うが、できていたら、こうなっていたのだろうか。 この地域には森も山もない。 だから、ここ周辺にはよくカップルが来るのだ。 それは、海で遊ぶという目的と、心中するという真反対の目的がある。 まるで、光と闇だ。 今夜は月がよく光っている。 雲もなく、月がよく見える。 灯台の光が、2人を照らす。 男女はキスをしながら海へ沈んでいった。
夜明け
寂しい夜も終わりを告げる。 寒く、暗く、不安が渦巻く一夜も、たった一つの存在で全てが除かれる。 暖かいあなたが居てくれるだけで、私は救われる。 その光に包まれるだけで、私は生きていける。 辛い日々も、沈んだ心も、涙の池も乗り切れる。 また明日を行けていこうと思える。 明日もまた、あなたの眩い光で私を包んで欲しい。
昔の話
「昔昔ある所に……」 そんな語りから始まる昔話は、在り来りで、つまらない。 だけど、簡潔で、わかりやすい。 こんな惹かれる語りを昔の人は思いつくなんて、昔の人は発想力が豊かだ。 「最近の若者は戦争を知らぬから……」 そんな語りから始まる昔話は、在り来りで、つまらない。 だけど、内容には惹かれるものがある。 昔のことなんて誰も分からない。 だから語り継がないといけない。 「あの頃の国を知らないから」 「昔は良かった。今の国はダメだ。」 「これだから最近の若者は」 そんな話ばかりする老人は、数百年前の昔の人を見習って欲しい。 最初の語りが惹かれる言い方なら、いくらでもその昔の話を聞こう。 ほんと、昔の人を見習って欲しい。 これだから最近の老人は。