月光に手を伸ばす
入院中、病室の窓から見える月は、鳥が、籠の中から見る空のように、近いのに遠い、手に届きそうな距離なのに、決して手に触れることはできない。
鳥のように羽ばたけるわけでもないが、いつか空を飛んでみたい。
「ゴホッゴホッ」
慌てて手で口を抑える。その手を見ると、血がついている。咳をした時に出たのだろう。
自分にかけてある布団を見ると、そこにも血がついている。真っ白なシーツに、赤黒い血液が染み込んでいる。
「鳥でもこんな事ならないのに。」
神様は非情にも、こんな体で産み落とした。
生まれつき歩くだけで体の調律が狂ってすぐに倒れる。
6歳の頃、突然血を吐いて倒れたと、お母さんは言った。
結核?肺炎?肺がん?白血病?……病名なんて忘れたけれど、18歳まで生きていたら奇跡だと言われた。
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カテゴリー: お題
投稿日時: 2025/10/22 13:24
最終編集日時: 2025/10/24 12:15
ひう
こんにちは!!!
書きたい時に書きたいことを書きます!!
連載したやつはできるだけ書きます