月光に手を伸ばす

入院中、病室の窓から見える月は、鳥が、籠の中から見る空のように、近いのに遠い、手に届きそうな距離なのに、決して手に触れることはできない。 鳥のように羽ばたけるわけでもないが、いつか空を飛んでみたい。 「ゴホッゴホッ」 慌てて手で口を抑える。その手を見ると、血がついている。咳をした時に出たのだろう。 自分にかけてある布団を見ると、そこにも血がついている。真っ白なシーツに、赤黒い血液が染み込んでいる。 「鳥でもこんな事ならないのに。」 神様は非情にも、こんな体で産み落とした。 生まれつき歩くだけで体の調律が狂ってすぐに倒れる。 6歳の頃、突然血を吐いて倒れたと、お母さんは言った。 結核?肺炎?肺がん?白血病?……病名なんて忘れたけれど、18歳まで生きていたら奇跡だと言われた。
ひう
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