ピコゴン
5 件の小説後悔は暗闇に 完結
俺が次に目を覚ましたのは病室だった。 俺が目を覚ました様子を見ていた看護師らしき女性は、慌てて部屋を出ていった。 話に聞くには、もう1週間も眠っていたらしい。 俺はあの日、酒によって工事中のマンホールへ転落した。そして、通りすがりの人によって助けられたようだ。 ・・・なんと間抜けなことだと頭を抱えた。 恥ずかしいのもそうだったが、なにより頭から転落したようで、頭部がズキズキと痛む。 しかし、命には別状もなく、後遺症の残るほどの傷ではないというのだから、よかった。 俺は夢の中でもマンホールに落ち、そして現実でも落ちていたと言うわけだ。 ・・・だが、おかげで自分の蓋をしていた記憶を思い出すことができた。あれは、走馬灯のようなものだったのだろうか。今となってはそれもわからない、なんとも不思議な体験だった。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ それから3日後、俺はA介のいる病院にいる。 「・・・・・・・。・・・ふぅーー」 俺は大きくため息をつく。退院をしてからはA介のいる病院を探るため、高校時代に仲の良かった人たちに聞き回った。それで、ようやく入院している病院が見つかったのだ。 そして、俺は今病室の前まで来ている。 俺は、どうしてもA介に謝りたかった。 高校時代に見捨ててしまったこと。いじめを黙認したことに、後色々・・・ 俺はガラっと病室のドアを開けた。 そこには、ベットに座る1人の男がいた。 「・・・・・・・・A介、か?」 A介は確か寝たきりだと聞いていた。しかし、今目の前にいる男は座って窓の外を見ている。 そしてこちらに振り向いた。 顔立ちからして、その顔はA介だった。 歳をとっていても、分かる。 「・・・えーっと、どちら様ですか?」 俺はしばらくの間固まってしまった。 そして、涙していた。 起きていることに驚いたからではない。 A介の顔を見て、なんだか安心してしまった。 そして、謝りたいと言う気持ちが更に肥大した。 俺は泣きながら、A介に謝った。 A介はきょとんとした顔をしている。そして、泣いている俺にハンカチを取り出し、手渡そうとベットから身を乗り出す。 俺はまた、謝った。その時間が、何分か続いた。 俺が落ち着いた時には、A介は俺のことを思い出したようだった。 「君かぁ、久しぶり。元気だった??」 「ん、あ、あぁ。それなりに」 「そう。よかった」 「お前こそ、いつ起きたんだよ」 「えっとー、3ヶ月前くらい?なんだか、長い夢を見てたみたいだったよ」 「・・・そうか。よかったよ。お前が寝たきりだったら俺は・・・」 「ははっ、大袈裟だよ」 「大袈裟なんかじゃないだろ。もう8年も経ったんだから」 「それもそうか」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 「・・・俺は、ずっと謝りたかったんだ。お前に。お前がいじめられている時、助けてやれなかったこと。本当に、すまなかった。」 「・・・・うん。いいよ。 でも、ありがとう。わざわざ言いに来てくれて」 「・・・それだけじゃないんだ。」 俺は持ってきた袋から、2つの弁当を取り出す。そして、片方をA介に手渡した。 「約束、果たしにきたから。一緒に食べるぞ」 暖かい風が、窓から室内に吹き抜ける。それは、俺とA介の再会を歓迎しているようだった。 〜終わり〜
後悔は暗闇に4 筆がのって長くなっちった
A介のことを思い返していると、再び外から、 つまりマンホールの上の方から声が聞こえてくる。 前はバラバラに聞こえていた声は、今回はどうやら1人のようだ。 俺はもう一度声を出して助けを求めることにした。 「誰かいるのか!!助けてくれ!!!」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ しかし、返事は返ってこない。 またもや聞こえていないのか。俺は苛立ちもあり、壁を思いっきり蹴った。しかし、硬い壁に跳ね返され、足を痛めるだけであった。 「お前は助けなかったくせに、助けを求めるのか。なるほど現金なやつだ。A介は面倒事になれば見捨てた。でも自分が面倒なことになれば他人に助けを求める。ハハっ、とんだクソ野郎だな」 突然、マンホールの上から声が響いた。 その声は男のようだったが、聞き覚えはない。 というよりは、ボイスチェンジャーでも使っているかのように加工されているような声だ。 俺は反射的に声を出した。 「誰かいるんですね?お願いです。助けてください!」 俺の声が響く。続いて相手が喋り出す。 「まだ言うのか?なら言ってやろう。 俺にはお前を助けられない。俺じゃなく、他を頼ればいいだろう? ・・・聞き覚えはないか?お前がA介に放った言葉だ。これを聞いたA介はどう思っただろうな?お前が頼れる存在だったA介は絶望しただろうな。」 なぜ、こいつはA介と、俺のことを知っているんだ。それに、その話は俺とA介しか知らないはず。なぜならその話をしたのは屋上だったからだ。その場には2人しかいなかったはずだからだ。 「なぜお前がそれを知っている。もしかして、俺をここに閉じ込めたのはお前か?!」 俺は声を荒げる。 「・・・・だったらどうする?」 「お前は誰なんだ!なぜこんなことをする!」 「それを答える義理はないね。それに、お前は知っているはずだ。俺の存在を。ずっと蓋して隠していたはずだ。」 なにを言っているんだ。俺がこいつを知っている?しかし、思い当たる節はない。あるとすれば・・・ 「・・・A介、なのか??」 「・・・・・」 返事は返ってこない。 「・・・A介なんだろ?お前、俺を恨んでいたから。だから、俺をここに閉じ込めたんだろ?」 「・・・・・・」 それでも、返事が返ってこない。俺はだんだんと苛立ってきた。 「・・・A介は、お前に裏切られて、そして絶望し、屋上から飛び降りた。お前はその頃からずっっっっと後悔していた。あの頃に助けていれば、あの頃に話を聞いていれば・・・ってな。 そうだろ??」 またも相手は喋り出した。どうやらこっちの話は聞く気はないらしい。 「・・・だがその後悔も時が経てば忘れて、A介の存在も忘れて、のうのうと生きてきた。 A介を寝たきりにまで追い込んでおいて、忘れていた。 ・・・いや、A介の記憶を蓋して、ずっと忘れた気で生きてきた。違うか??」 「違うっ、俺はただ・・・」 「こうやって閉じ込められるまで忘れていただろうが。それも、閉じ込めた犯人だと勘違いして。がっかりだよ。まだ反省が足りないらしい。まだそこで後悔しておけ。 暗闇の中で・・・な。」 ・・・その後、声は聞こえてこなくなり、 またもや静寂が訪れた。 ・・・・・後悔、だと?? 確かに俺はA介が飛び降りた後、後悔をしていた。だが・・・忘れてしまっていた。 それは否定できない。 だが、先の声は誰だったのだろうか。 あいつが、俺を閉じ込めた犯人だろう。 一体、誰だ? 俺がそんなことを考えていると、また声が聞こえてきた。その声は・・・・聞き覚えのある声のように感じた。 「君、いつも僕と弁当を食べてくれるけど、なんでなの?君、友達も多いのに・・・」 その声は・・・A介だった。 俺はその声を聞いて再びA介を思い出す。 あれは、屋上で弁当を食べている時のことだった。 「君、いつも僕と弁当を食べてくれるけど、なんでなの?君、友達も多いのに・・・」 それは本当に疑問に思っている声だった。 「なんでって・・・、うーん、そうだなぁ。 ・・・友達だから?」 「え?なにそれ。じゃあ僕じゃなくてもいいんじゃない?」 「いや、そう言うわけじゃ・・・。ただ・・・俺が一緒に食べたいからだよ。てかそんなこと聞くなよな。友達なんだし、理由なんていらねぇよ。」 「えっ。・・・へへっ、ありがとう。」 「何照れてるだ気持ちわりぃ。さっさと食うぞ、A介。」 「・・・じゃあ、約束してよ。」 「・・・なんだよ。」 「また、一緒にここでご飯を食べよう。2人で」 「そりゃ当たり前だろ?さっさと食うぞ」 ・・・・そんな会話を思い出した。あの時のA介は、多分いじめられていたのだろう。俺の言葉が、A介の救いになっていたのかもしれない。 ・・・だが、いざいじめの話をされたら、俺は突き放してしまった。怖気付いてしまった。 どんな気持ちだっただろうか。俺に失望したかもしれない。 ・・・・もう、一緒にご飯食べなかったな。 約束やぶっちまったな。 俺は、心臓が破けそうな気持ちになった。A介の笑う顔が脳裏によぎる。 それと同時に、あのいじめられていた時の涙目の顔もよぎる。 自殺をしようとした時、飛び降りた時どんな顔をしていたのだろうか。そんなことを考える。 その度にしめつけられる。 この感情は、後悔、または同情。 俺はA介に酷いことをしたと、心底後悔している。 ここから出たら、ちゃんと謝ろう。 まだ寝たきりかもしれない。だったら、土産でも持っていってやろう。 そして、目が覚めたら・・・また一緒にご飯でも食べたいな。 その時、マンホールの蓋が開く音がした。 上を向くと、眩しい程の光が俺の目へと差し込む。 そこには、1人の人影が映っていた。 「・・・お前はA介を見捨てた。 ・・・だが悪人ってわけじゃない。悪いのはいじめていた奴らだ。だが、忘れないで欲しい。 A介がいたことを、見捨てたことを、 後悔して欲しい。今の俺は、そう思っている。」 人影が喋る。 あたりを見渡すと、苔などが生えていた壁、 風化していた壁、ドス黒い床は綺麗になっていた。 梯子もかけられている。登ることができそうだ。 俺は梯子に足をかけ、登り始めた。 登り切ったあっと、あたりを見渡すと、そこには無数のマンホールがある謎の空間が続いていた。そこには綺麗なマンホールだったり、汚いマンホールであったりとさまざまだ。 人影が喋り始める 「・・・ここはお前の頭の中だ。俺は、 ずっとここに閉じ込められていた。」 そう言って先ほどまでいたマンホールに指をさす。 「お前が忘れた記憶は、どんどん風化していく。 ついには蓋まで閉じてしまう。 ・・・お前はA介を忘れた。この穴はA介の 記憶だ。お前は忘れて蓋をした。いや、あえて忘れたくて蓋を閉めたんだ。」 「俺が・・・・・」 「そうだ。だが、忘れてやらないで欲しい。あいつにとって俺は、・・・・いや、おれにとってもA介は、かけがえのない友達なんだ」 人影だった人物の影が、取り払われていく。 その姿は・・・高校生だった俺自身だった。 そうか、こいつは俺の、高校生だったころの記憶なんだ。 ・・・だんだんとくらくらしてきた。 俺は地面へ倒れ込んだ。 そして、意識を手放した。
後悔は暗闇に3
高校1年生のころ、俺は仲がいい、よくつるんでいた連れが1人いた。名前はA介という。 A介はどちらかというとインキャと呼ばれるタイプで、表向きに見れば話しかけづらいやつだったと思う。学校でも、俺以外のやつと話しているところは全くみていなかった。 そもそも、存在感もなく周りから無視をされているようにも感じていた。 だが、俺と一緒にいる時には明るい笑顔をみせたり、よく話しかけてくる気のいいやつだった。俺にとっては数多い友達の内の1人という認識だったが、彼にとって俺はかけがえのない唯一の友達だったのかもしれない。そう思うと、やはり俺のやってしまったことに、胸を裂かれる気分がする。 それはA介と共に昼ごはんを食べている時だった。俺たちはよく学校の屋上で昼飯を食べていた。屋上はあまり人の寄り付かないところだったため、いつも昼時には俺とA介だけがいた。 しかし、人が寄り付かないのにも納得がいく。 俺たちの学校の屋上は、全く整備されておらず地面も汚かった。それに、柵も木製でボロボロで、いつ壊れてもおかしくないように見えた。 そういうこともあり、いつも2人ぼっちだった。 その時も俺とA介だけで、一緒に持ち寄った弁当を片手に、話し込んでいた。 そして、A介が突然悩みがあると言った。 A介「あの、さ。ちょっと、ぼ、僕の悩みを聞いてくれないか?」 俺は突然のことに少し戸惑ったが、話を聞いてやることにした。 A介「ぼ、僕、今ね、いじめられてるんだ。」 それは考えもしない返答だった。 なぜなら、そんな素振りも今まで見せていなかったからだ。確かに、クラスでは孤立しているなと思っていたが、まさかいじめられているとは思ってもみなかった。 誰に?と聞いてみたら、クラスの男3人組に、だと言う。 いじめの内容は、よくドラマとかであるようなものだった。 パシリにされたり、殴られたり蹴られたり、 教科書を隠されたり汚されたり。 他にも色々だった。それを、俺に打ち明けたのだった。 そして、俺に助けて欲しいと言ってきた。 頼れるのは、お前しかいないと、そう言ってきた。 そんなA介に、俺は心無いことを言ってしまったんだ。 「俺にはお前を助けられない」 「俺じゃなく、他のやつに頼ればいいだろ」 「正直そんなことを頼られるのは、迷惑だ」 あの時の俺は、心に余裕がなかったのだと思う。 人に頼られることは何度もあったが、そんなに重いものを助けられるほど、俺はできた人間じゃなかった。だから、突き放した。 それからは、屋上で一緒に昼飯を食うこともなくなった。そして、話すこともなくなっていった。A介はその後も教室ではずっと1人だった。 そんなある日、俺は特に用事もなく、学校をぶらついていた時があった。その時に、A介がいじめにあっている現場を目撃してしまった。 校舎裏で、3人グループの男子がA介を囲んでいた。そして、ケタケタと笑いながらA介のことを蹴っていた。蹴られる度にA介は苦しそうな声を出していた。目には涙も溜まっていた。 俺はそんなA介と目が合ってしまった。 その目は、心の底から助けて欲しいという目だった。 ・・・しかし、それでも俺は助けなかった。俺はA介から目を逸らし、静かにその場から去った。 もしも3人グループに見つかってしまったら、 俺もいじめられるかもしれない。 そう思ったからだ。恐れていたんだ。 それからは、A介は学校を休むことが増えるようになっていった。もちろんいじめられていたことが大きい原因だっただろうが、俺に裏切られたこともあっただろう。 俺は罪悪感に苛まれた。あの時に助けていたら、こんなことにはなっていなかったと思うと、より罪悪感を感じた。 その気持ちは、さらに加速することになる。 A介が屋上から飛び降りた。 放課後の学校、夕方に、柵を壊して飛び降りたらしい。 俺は罪悪感だけでなく、苛立ちさえも覚えた。 俺でなく、いじめを相談できる相談所などを頼ればよかったじゃないか。警察を頼ればよかったじゃないか。なんで俺なんかに相談したんだ!! そして、A介は一命は取り留めたが、寝たきりになってしまったらしい。 もしあいつが、目覚めていて、見捨てた俺を恨んでいるならば・・・ 俺を閉じ込めたのはA介ではないか。
後悔は暗闇に2
あれから数分が経ち、目が慣れてきた。 ここはマンホールの中だと気づいた。目が慣れて、周りが少しだけ見えるようになった今ならなお、ここがマンホールの中だとわかる。 だがなぜこんなところに?? 酔っ払った勢いで穴に落ちてしまったのだろうか。 ・・・いやそれならばおかしい。 なぜなら今、マンホールの蓋がしまっているからだ。俺が落ちた後に、誰かが閉めたのか? 落ちてしまったと仮定するならば、それしかあり得ない。 しかし、疑問はまだある。 このマンホールは、見た感じもう使われていないようだ。地面はどす黒く濁った色をしており、落ち葉が溜まって詰まってしまっている。 それに、壁も赤サビているところがあったり、 苔が生えているところもある。 少なくとも、街中にあるマンホールだとは 考えにくいほどまでに、整備されていないと 感じる。 しかし、そうなるとまたもやおかしい。 居酒屋で飲んでいたのだから、落ちるとしたら 街中のマンホールではないか。 それに、家も田舎というほどの場所じゃないし、帰り道でここまで廃れたマンホールは見たこともない。 となると、やはりおかしい。 考えてみて、1つの仮説を立てた。 誰かが俺のことを気絶させ、使われていない 廃れたマンホールへと落とし、蓋を閉めた。 そうなのではないか? 俺は考えを巡らせた。だとすれば誰が? 恨まれるようなことはしていない、と思う。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ いや、考えていてもしょうがない。 まずは、ここから抜け出すことを考えよう。 状況整理はそのあとだ。 俺は再び辺りを見回す。壁はコンクリートで、 なにもない。普通ならば、梯子でも取り付けられていそうなものだが、そんなものも見当たらない。 ・・・・・・いや、壊れてしまっているのだ。 よくみたら、丸い窪みのようなあとが平行に2点ついている。 おそらく使われていた頃には、 ここにハシゴでも取り付けられていたのだろう。 しかし、風化とともに朽ちて取れてしまった。 どちらにせよ、現状抜け出せそうな梯子も、 のぼれそうな土台もないということがわかった ふと上を見上げてみると、少しだけ月明かりがみえた。マンホールの溝から円状に光が漏れ出ている。 ・・・・・それに気づくのと同時に、かなりの高さがあることもわかった。 おそらく8、9メートルはあるだろう。 俺は再び絶望した。 それから数分が経った。その間も俺は脱出を試みていた。しかし、どうやっても上へ上がることはできそうになかった。俺はへたれ座った。 一体だれがこんなところに俺を閉じ込めたのだろうか。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・いや、1人心当たりがある。 俺のことを恨んでいるだろう人物を・・・ 彼ならば、俺にこのようなことをする理由がある。 なぜなら俺は、彼にしてはいけないことをしてしまった。 それは、俺が高校生の時のことだ・・・
後悔は暗闇に1
俺は気づくと真っ暗な空間にいた。 真っ暗っていうのは何も比喩的なものじゃなく、本当に見えないくらいの暗さだ。 なぜこんなところにいるのか、それは思い出せない。ただ、居酒屋で酔っ払っていたことは覚えている。それからはまったくだ、昔から酒癖の悪かった俺はよく記憶をなくすことだってあった。だが、今回のようなことは初めてだ。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 混乱していると、微かに人の声がすることに気づいた。 その声の主はバラバラのように思え、上の方から聞こえてくる。 俺は助けを求めるため、声をあげた。 「あの、誰かいますか??助けてください!」 俺の声が響き渡る。まるで風呂で声をだしたような、そんな感じに響いている。 しかし、返答は帰って来なかった。 俺は助けを呼べる手段として、スマホで助けを 呼ぶことを思いついた。俺はズボンの右ポケットに手を入れ、スマホがないか探った。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ しかし、探っても探っても出てこない。 普段なら右ポケットに入れているのに・・・ 酔った勢いで落としてしまったのだろうか。 となると、助けを呼ぶことも難しい。 そもそもここはどこなんだ? 俺は起き上がり座っていた体を持ち上げる。 地面は、じめじめとしていて少し濡れている。 起き上がる時に壁に手を置いた感触からは、 どうやら壁はコンクリートのようだ。ザラザラとしていて、風化しているように思える。俺は壁に手をつき、歩き出した。空間の様子を少しでも知るためだ。 ザラザラとした壁に手を置き、そしてスライドさせていく。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 少し歩いて、ようやくわかった。俺は円状に回っていた。つまり、この空間は円状になっている。扉や手すりなどもないように思えた。 完全な円。その中に、俺は囚われているようだ。 ・・・・・・・・・・・・・・・ いや、俺はこの形状を知っている。 これは・・・・・・・・・・・・・・・ マンホールの中?