ぽんこ
7 件の小説言葉にできない愛
1人歩いた帰り道を、今日は2人で歩いてる。 君の笑顔は、どんな花よりも華やかで、君の声はどんな歌よりも心地よかった。 1人だった頃はどうやって息をしていたのかさえ分からないほど、君は僕の一部になっていた。 「愛してる」そんな言葉もぼくらの前じゃちっぽけで。 2人ならどこまでも行ける。本当だったんだ。 そんな君のことも思い出さなくなってきた。 2人の最後なんてあっけないものだった。 目を合わすことなく好きだと告白した君は、真っ直ぐに僕を見つめ、別れを告げて去ってしまった。 懐かしい恋を思い出しながら、思い出の道を1人で歩いてみる。 「愛してる」そんな言葉でも伝えておけばどれだけ良かっただろうと後悔しながら。
自己紹介します!
こんばんは、ぽんこです! そういえば自己紹介をしていないと気付いたので書きます! ぽんことゆう名前は、ポンコツ〇〇ちゃんってよく言われるので、ポンコツの最初をとりました… 趣味は小説を読むこと。絵を描くこと。ゲームをすること。小説を書くこと。 年齢は20代です… 好きな小説は、流浪の月。また、同じ夢を見ていた。などです! ぜひ、みなさんと仲良くなりたいです!! どうかよろしくお願いします
消したくない思い出
春先に芽吹いた思い出は、 雪を見ることなく枯れてしまった。 カレンダーに書いてある君の誕生日や記念日、ゲートをした日を消していく。 幸せだった頃の記憶は、いろんなところに散らばっていて。 2人で並んで座った椅子。手を繋いで一緒に夢を見たベッド。君が来るのが待ち遠しくて何度も見た置き時計。 君がいない世界は、僕1人じゃ広すぎて。 カレンダーにできた空白に、また君を思い出した。
わかってないよ。(後編)
その子がいじめられていたなんて、思ってもいなかった。 見た目はすごく可愛い方だと思うし、細身で身長も高かった。 僕は正義のヒーローじゃない。平凡な高校生だ。いじめの主犯格になったりはないけど、見てみぬふりをしてきた。 日常が平凡であればいいと思って、友人の話に合わせたりして波風たてぬよう生きてきた。 でも、屋上からでてきた君は泣いていた。僕に「死にたかった」そう言った。 僕には「死ぬな」そんな言葉、軽々しく言えなかった。だから僕は「一緒に生きよう」と言ったんだ。 それからは、僕と女の子はいじめられるようになった。 それでも僕は二人だからといじめから耐えた。毎日苦しかったけど、この子を一人にさせまいと、頑張った。 毎日屋上で一緒にお弁当を食べて、君は大学に進学したいこと。好きな花は桜だという事。色々教えてくれた。 卒業式にいなかった彼女は屋上から飛び降りたららしい。 わかってない。いじめたあいつらも。死んだあの子も。何も分かってないよ。 教室の窓から見た、何も知らない桜は、風もないのに花びらがひらひらと舞っていた。
わかってないよ。(前編)
君と出会ったのは、僕がまだ恋を信じていなかった頃。まだ高校生だった僕は、友人の恋話にうんざりしていた。 あの子の目が可愛い。あの子の髪の長さが好き。僕は正直そんなのどうでも良かった。 友人に初恋はいつなのかと聞かれ、とっさに「中1だよ。」と答えたが、実際にはまだ初恋なんてしたことがなかった。矢継ぎ早に質問してくる友人から逃げたくて、教室を抜け出した。 辿り着いたのは、屋上に続く階段の踊り場。ここは学校で唯一と言っていいほど静かで、僕はここでいつも読書をする。 階段に座り、本を開けようとした所だった。 屋上からガタン!と大きな音を立てて、人が出てきた。そのまま転がり落ちるように階段を降りて行った。 どうしたんだろうと思ったが、知らない女の子の事なんてどうでも良かったし、面倒と思った。 本当に自分でもどうかしてると思う。その女の子を追いかけたなんて。そして、「落としたよ。」なんて嘘までついて自分のハンカチを渡したなんて。 仕方なかったんだ、女の子の涙なんて見た事なかったんだ。
宇宙移住
鉛のように重い瞼をゆっくりと開けた。 ピッ…ピッ… 真っ暗な部屋には機械音がただ一つ響いている。 ピッ…ピッ…ピッ…ピッ… ………。思い出した。ここは宇宙。地球に住めなくなったのだ。だから僕らはー。 窓1つないこの部屋。 長時間、何も食べていない。そう気づくと、急速にお腹が空いた。 「おーい。誰かいないのか。」 自分は本当に声を出したのかと思うくらい、声が通らない。 そうだ、咲(さき)はどこにいる。俺の奥さんで、一緒に移住したのだが…。 見当たらない。どこを探しても、いないのだ。 宇宙に住む計画は失敗したのか。 そもそもなぜ地球に住めなくなったのだろうか。 どれだけの時間が過ぎたのだろう。空腹が限界に達していた。 死ぬのか。咲もいない。苦しい…。 今までの思い出が走馬灯のように脳内に流れてきた。 こんなところで死にたくない…残った体力で僕は全力で走った。 走った。。。 走った。。。。。。 警察の調べによると、アパートで発見された遺体は死後数年経っており、性別さえもわからなかったそうだ。 わかったことは、小説家であったこと。早い段階で電気や水道は止まっていた。 そして体内には薬物反応があり、そのせいか家中をかじったりした痕跡があったようだ。 家にあった小説のタイトルには「宇宙移住」と鉛筆で書いてあった。
嘘と夏祭りと恋
初夏の夏の昼下がり。滴り落ちる汗を襟で拭いながら、僕は走っていた。いつもと違うこの町の空気に、心臓が落ち着いてくれない。 どれくらい走っただろうか。疲れた僕は、呼吸を整えながら自販機の前に立っていると 「おーい、涼介!もちろん行くよね。夏祭り。」 目の前にある広い庭のある家の2階から顔だけ出して僕を呼んだ。 「当たり前だろ!かなえこそ遅れんなよ!」 そう、今日は夏祭りの日だ。見渡す限りの山にセミの声。お店は曲がった婆ちゃんがやっているタナカ商店くらい。 そんなド田舎の僕らの町が唯一盛り上がり、活気づく今日。僕は決心してきた。 タナカ商店でキンキンに冷えたジュースを飲みながら、祭りが始まるのを待っていた。 かなえとの待ち合わせの時間まであと1時間もある。何もしなくても滲む汗に、いつもなら嫌気がさすのだが、今日くらいは良いだろう。 ぬるくなったジュースをそのまま捨て、待ち合わせ場所に向かった。 「だから遅くれんなって言ったでしょ。」 「まだ約束の時間の15分前だぞ」 「細かいことはいいの!さ、いこ!」 かなえは僕の手を取って引っ張った。 かなえにはいつも負けてばかりだ。数学の点数。走る速さ。字の綺麗さ。何一つとして勝てない。 僕の前を歩いていたかなえは、何か思いついたように 「行くんでしょ。涼介、特攻隊に。」 「ううん、行かないよ。」 「…嘘つき」 その時のかなえの切なそうで怒りを訴えるような表情は忘れられないだろう。 僕の人生最後の嘘と夏祭りと恋。それは思った以上に綺麗でした。