エヴァンゲリオン
141 件の小説第2話 ミナの住む場所
夕暮れ時、広場でカズキとミナは話していた。 「そういえば君、名前は?」 「櫻井ミナ。」 「ミナちゃんっていうんだ。可愛い名前だね。ミナちゃんは、住む場所見つかったの?」 「いや、見つかってない。だから見つかるまでここで寝ようと思う。」 「それはやめた方がいいんじゃないかな。体調崩す可能性あるから。」 「でも、見つかってないんだから仕方ない……」 「うん。だからさ、ミナちゃん俺ん家来ないか?空いてる部屋もあるし。」 「え?いいの?」 「おう。ちょいと今から母さんに電話するな。」 カズキは電話を始めた。 数分後、カズキは電話を終わった。 「大丈夫だって。だから、一緒に家に帰ろう。」 「……うん……ありがとう!」 2人は家に向かって歩き始めた。 広場から街中を歩いて10分。ようやく竹崎家に辿り着いた。 「ただいま。」 カズキの母、サギリがエプロン姿で出迎えてくれた。 「お帰り。あら、あなたがミナちゃん?」 ミナはサギリにお辞儀をし、丁寧に挨拶をした。 「はじめまして。櫻井ミナです。お世話になります。よろしくお願いします。」 「こちらこそ、よろしくね。ミナちゃん、まずは荷物を部屋に置いてらっしゃい。それからご飯を食べましょう。カズキ、ミナちゃんを部屋に案内してあげて。その後カズキも服を着替えてきなさい。」 「うん、分かった。行こう、ミナちゃん。」 「うん。ありがとう。」 ミナは部屋に向かう途中考えていた。空を飛べるようになる為に、練習を始めることを。
第1話 新たな町へ
列車で1時間ほど。新たな町は大きかった。人も沢山いた。まずは住める場所を探す為、住民に色々聴き始めた。 少し歩いた先に、かつて助けられなかった男の子に少し似た男の子を見つけた。その子に住む場所を聞こうとしたが、結局聞けずにその子から逃げてしまった。 住む場所も決まらず、ずっと歩き続けて疲れ果ててしまった。 近くの広場のベンチに座っていると、さっきの男の子がやって来た。 「やあ。俺は竹崎カズキ。君、さっき会ったよね。」 ミナはビクッと肩を揺らした。 「……え?」 さっき逃げたはずなのに、どうして追ってきたのか分からない。思わず視線をそらす。 カズキは息を切らす様子もなく、少しだけ距離を取って隣に立った。「さっき、僕になにか言おうとしてたよね?」 「……ごめんなさい……」 ミナは、ついカズキに救えなかった男の子を重ねてしまう。会う度につい謝ってしまうのもそれが理由だ。 「なんで謝るんだ?俺何もされてないぞ?」 「……ごめんなさい……答えられない……」 カズキは微笑みを浮かべ、答えた。 「そっか。なら無理には聞かない。誰にだって辛い記憶や経験はある。」 「……うん……。」 「その包みは、大事なものなんだよな?」 「……まぁ……本当は持ってきたくも無かったけど、お母さんがどうしても持っていけって……」 カズキはその包みを見つめながらも、無理に中身を聞こうとはしなかった。 「ふーん。でも、お母さんが“絶対に持っていけ”って言うくらいなら、大切な物なんだろ?」 「……大切、なのかな……私にとっては、もう要らないものに思える……」 「それでも、お母さんが持っていけと言ったなら、やはり捨てずに持ってるべきだと、俺は思うぞ。」 ミナは少しだけ眉をひそめる。 「……どうして?」 「だって、本当に必要ない物なら、親だって置いていけって言うはずだろ?俺はキミの親を知らない。だが持っていけ、と言ったならきっとまた役に立つと考えてるんだろう。」 「そっか……わかった。とりあえず捨てずに持っておくよ。」 「うん。その方がいいと思う。」 カズキは安心したように笑った。
~プロローグ~
ミナは魔法少女。しかしかつて住んでた街で転落事故があり、大切な人を失った。街の住民たちは「よく頑張った」と言ってくれたが、ミナは今も自分を責め続けている。(あの時、もっと早く飛べてたら……)その為、今はもうトラウマとなり、空を飛べなくなってしまった。彼女はもう思い出したくない為、両親に箒を持っていくことを条件に許可を貰い、列車で一人で街を出ることに決めた。
江戸川コナン誘拐事件 〜実は無能のジン〜
江戸川コナンはある日、灰原哀、円谷光彦、小嶋元太、吉田歩美と帰宅中、ポルシェ356Aを見つけた。 「わりぃ、先に帰ってくれ!」 コナンは4人にそう伝え、調べ始めた。 灰原哀はコナンとポルシェ356Aを怪しく睨んでいたが、3人と帰り始めた。 ポルシェ356Aを調査中、組織達が戻ってきてる事に気が付かず、ジン達に連れていかれた。 ウォッカ「アニキ、このガキバラしやしょうか?」 ジン「いや、殺るにはまだ早い。コイツには色々聞いておきてぇ事があるしな。」 ベルモット「そうね、今殺すのは得策ではないわね。」 ジン(これはなんだ……?) ジンはコナンの持つ探偵バッジを見つけた。 ジン「おい。これはなんだ?」 コナン「答えるわけないだろ!」 ジン「ほう?ならば今すぐ殺されたいというわけか。」 そんな時、探偵バッジが鳴った。 歩美『コナン君?今どこにいるの?』 光彦『全然帰ってこないから、蘭お姉さんたちと探してるんですよ。』 元太『うなじゅう1人満喫は許さねーぞ!』 ジンが応答する。 「お前らはこのガキの仲間か?江戸川コナンとやらは預かった。返して欲しければ明後日の朝10時までに見つけろ。さもなければこのガキの命はない。」 蘭達がコナンを探している間、ジンはコナンに色々と質問をしていた。 ジン「お前、どこかで見た事がある気がするな。お前、何者だ?」 コナン「他人の空似じゃねえのか?俺はただの小学生だ。」 ウォッカ「ただのガキが泣かないわけねえだろ!正体を明かせ!」 コナンはメガネを外し、答えた。 コナン「これでも分からねえなら、俺が誰か、永遠に分からねぇだろうな。」 ウォッカ「お前……確かトロピカルランドの高校生探偵……」 ウォッカの顔色が変わった。 「く、工藤新一……!」 ジンはタバコを咥え直し、細い目でコナン――いや、新一を睨む。 「なるほどな……。薬を飲ませたはずのお前が、どうして生きてやがる。」 コナンは不敵に笑った。 「さあな。運が良かったんじゃねーのか?」 ウォッカは拳銃を向ける。 「アニキ!やっぱり今すぐ――」 「待て。」 ジンは制した。 ベルモットだけは黙ったまま、どこか複雑そうな表情をしていた。 ジンは椅子に腰掛ける。 「聞きてぇことが増えた。あの薬……APTX4869だったか。お前に何が起きた?」 コナンは心の中で舌打ちした。 (まずい……。こいつらに薬の効果を確信させるわけにはいかねぇ。) 「知らねぇよ。目が覚めたらこうなってたんだ。」 ウォッカが怒鳴る。 「ふざけるな!」 しかしジンは逆に笑った。 「ククク……面白ぇ。まさかガキになって生き延びてたとはな。」 その頃――。 毛利探偵事務所。 蘭は必死に電話を掛け続けていた。 「コナン君……どこなの……!」 小五郎も珍しく真剣な顔だった。 「クソ……悪質な誘拐犯め。」 灰原は壁にもたれ、静かに考えていた。 (間違いない……ジン。けど、どうしてすぐ殺さないの?) そこへ光彦が言う。 「でも変じゃありませんか?普通、誘拐犯って身代金を要求しますよね?」 元太も頷く。 「確かに!見つけろってどういう意味だ?」 灰原の目が鋭くなる。 (まさか……遊んでる?) 蘭は立ち上がった。 「待ってるだけなんて嫌!私、探しに行く!」 小五郎も帽子を掴む。 「よし、手分けだ!」 一方その頃。 廃倉庫。 ジンはコナンの前に座ったまま、延々と質問を続けていた。 「組織をどこまで知ってる。」 「仲間はいるのか。」 「警察には話したのか。」 だがコナンは、のらりくらりとかわし続ける。 ベルモットは内心呆れていた。 (ジン……あなた、本当に詰めが甘いわね。) 本来なら、正体が割れた時点で即始末。 それが組織のやり方だった。 なのにジンは、“真実を知りたい”という好奇心を優先している。 しかも―― コナンを拘束しているロープが甘い。 拳銃も机の上。 さらには見張りがウォッカ1人。 ベルモットは思った。 (これじゃ逃げてくださいって言ってるようなものよ。) その時だった。 コナンは机を蹴り上げた! 「なっ!?」 拳銃が床に滑る。 同時にコナンは椅子ごと倒れ込み、ロープを金属片に擦りつける! ウォッカが慌てて飛びかかる。 「このガキ!」 しかしその瞬間、倉庫の窓ガラスが割れた。 「コナン君!!」 蘭だった。 飛び蹴りがウォッカの顔面に炸裂する。 「ぐはぁっ!?」 小五郎も突入する。 「待たせたなクソガキ!」 ジンは舌打ちした。 「チッ……。」 ベルモットは肩をすくめる。 「だから言ったじゃない。」 コナンはロープを解きながら叫ぶ。 「蘭!そいつらから離れろ!」 だが蘭は怒っていた。 「コナン君を誘拐するなんて許さない!!」 ウォッカは完全に混乱。 「ア、アニキ!一般人まで来ちまいやした!」 ジンは額を押さえた。 「……お前が余計な電話するからだろうが。」 ベルモットは思わず吹き出す。 「ふふっ……。」 コナンも心の中で思った。 (こいつ……やっぱ無能だろ。)
第6話「エミ監禁編」
薄暗い部屋。 石造りの壁。 冷たい空気。 小さく揺れる灯り。 ⸻ 真田エミは、椅子に拘束されていた。 両腕には、魔術封印用の鎖。 人形の身体だからこそ効く、特殊な術式。 ⸻ (……厄介ね) 身体がうまく動かない。 魂そのものを押さえ込まれている感覚。 ⸻ コツ、コツ、と足音が響く。 闇の奥から、一人の男が現れた。 黒い手袋。 冷たい目。 ⸻ 組織のボスだった。 ⸻ 「さて」 男は静かに笑う。 ⸻ 「死んだはずの女と、こうして話せるとはな」 ⸻ エミは睨み返す。 「……あなた達」 怒りを押し殺した声。 ⸻ 「やっぱり、私を殺した犯人だったのね」 ⸻ 男は肩をすくめる。 「正確には“処分”だ」 ⸻ 「お前は余計な研究に近づきすぎた」 ⸻ その言葉で、エミの表情が変わる。 ⸻ (研究……?) ⸻ 「……魂の研究」 男は続ける。 ⸻ 「人間の意識を保存し、器へ移す技術」 ⸻ 「本来なら、我々のものになるはずだった」 ⸻ エミは目を見開く。 ⸻ (だから……) 事故ではなく、殺された。 ⸻ 「お前は優秀すぎた」 「だから、消した」 ⸻ あまりにも淡々とした告白。 ⸻ エミは拳を握る。 「……最低ね」 ⸻ 「褒め言葉として受け取っておこう」 男は笑う。 ⸻ そして、ゆっくりとエミの顎を持ち上げた。 ⸻ 「さあ、その身体を渡してもらおうか」 ⸻ 「断るわ」 即答だった。 ⸻ 「これは、私の命そのものよ」 ⸻ 「人形を失えば、私は器を失う」 「そんな状況だけは避けなきゃならない」 ⸻ 男は少しだけ目を細める。 ⸻ 「ほう?」 ⸻ 「前は、死を受け入れていた顔だった」 「変わったな」 ⸻ エミは、静かに答える。 ⸻ 「……守るべきものができたから」 ⸻ その瞬間。 脳裏に浮かぶ。 ⸻ 笑うマリア。 勉強を嫌がる顔。 無邪気な声。 ⸻ 『エミー!』 ⸻ エミは目を閉じる。 ⸻ 「私は……もう一人じゃない」 ⸻ 男はしばらく黙っていた。 やがて、小さく笑う。 ⸻ 「実に興味深い」 ⸻ 「ならば、その“守るべきもの”を壊されたらどうなる?」 ⸻ 空気が、一瞬で凍る。 ⸻ 「……マリアに触れたら」 エミの声が低くなる。 ⸻ 「絶対に許さない」 ⸻ 拘束されているにもかかわらず。 その瞬間だけ、圧が変わった。 ⸻ 男の後ろにいた部下が、一歩下がる。 ⸻ 「……なるほど」 男は逆に楽しそうだった。 ⸻ 「やはりお前は価値がある」 ⸻ 「魂だけではない」 「感情も、執着も」 ⸻ 「実験材料として、な」 ⸻ エミは睨み返す。 ⸻ (絶対に逃げる) ⸻ その時。 ふと、視界の端に何かが映る。 ⸻ 机の上。 ⸻ そこには―― ⸻ “壊れた人形”が並んでいた。 ⸻ (……あれは) ⸻ どれも、人型。 しかも―― ⸻ どこか、人間らしい。 ⸻ エミの背筋に寒気が走る。 ⸻ (まさか……) ⸻ 男が、ゆっくり笑った。 ⸻ 「気づいたか?」 ⸻ 「お前だけではない」 ⸻ 「我々は、何度も“魂の器”を作ってきた」 ⸻ その言葉に。 エミは初めて、本能的な恐怖を覚えた。 ⸻ この組織は―― 想像以上に危険だ。 ⸻ そして。 自分は今、その中心にいる。
第5話「マリア独断計画」
夜。 王城の廊下は静まり返っていた。 だが―― 真田マリアの部屋だけは、まだ灯りが消えていない。 ⸻ 机の上には、王国の地図。 城の構造図。 そして、小さな紙切れ。 ⸻ 「……ここからなら……」 マリアは真剣な顔で考えていた。 エミが連れて行かれた方向。 侵入してきた男たちの装備。 逃走経路。 10年前の、泣くだけだった少女はもういない。 ⸻ (待ってるだけじゃダメ) ⸻ 「エミは……わたしを守ってくれた」 「だから今度は……」 ⸻ その時。 コンコン。 扉が叩かれる。 ⸻ 「……っ!?」 マリアは慌てて紙を隠す。 ⸻ 「入るぞ」 国王の声だった。 ⸻ 扉が開く。 そこには国王と王妃。 そして、護衛騎士までいた。 ⸻ 「まだ起きていたのか」 国王の目が、机へ向く。 ⸻ 「……なにをしていた?」 ⸻ 「べ、べつに……」 マリアは視線を逸らす。 その反応だけで、すべて伝わってしまった。 ⸻ 国王は静かに机へ近づく。 そして―― 地図を見つけた。 ⸻ 沈黙。 ⸻ 「……マリア」 声が、重い。 ⸻ 「まさかとは思うが」 「一人で行くつもりだったのか?」 ⸻ マリアは答えない。 だが、それが答えだった。 ⸻ 「危険です!」 王妃が思わず声を上げる。 ⸻ 「相手は銃を持っていたのですよ!?」 「また傷ついたら……!」 ⸻ 「でも!!」 マリアも叫ぶ。 ⸻ 「このままじゃエミが……!」 「エミはわたしを守って――」 声が詰まる。 ⸻ 「……つれていかれたんだよ……?」 ⸻ 部屋に沈黙が落ちる。 ⸻ 国王は静かに目を閉じる。 そして―― 「気持ちは分かる」 そう言った。 ⸻ 「だが、お前は王女だ」 「感情だけで動いてよい立場ではない」 ⸻ 「でも……!」 ⸻ 「もしお前まで奪われたらどうなる」 その一言で、マリアは止まる。 ⸻ 「お前一人の問題ではない」 「王国全体が揺らぐ」 ⸻ マリアは唇を噛む。 理解はしている。 でも―― ⸻ (それでも……!) ⸻ 王妃が、そっと抱きしめる。 ⸻ 「エミさんを助けたいのでしょう?」 ⸻ 「……うん……」 ⸻ 「なら、生き急いでは駄目です」 ⸻ 「……っ」 涙が滲む。 ⸻ その時。 国王が護衛へ視線を向ける。 ⸻ 「しばらく、マリアの監視を強化しろ」 ⸻ 「え……?」 ⸻ 「単独行動は禁止だ」 「部屋の外にも必ず護衛を付ける」 ⸻ 「そんな……!」 ⸻ 「これは命令だ」 国王の声に迷いはない。 ⸻ マリアは悔しそうに拳を握る。 ⸻ (信用されてない……) ⸻ だが同時に。 分かってもいた。 自分が無茶をしようとしたことを。 ⸻ 国王は、最後に静かに言う。 ⸻ 「焦るな」 ⸻ 「エミを救う方法は、必ず見つける」 ⸻ だが。 ⸻ マリアは気づいてしまった。 ⸻ “待っているだけでは、エミは戻らないかもしれない” ⸻ その夜。 ベッドに入っても眠れない。 ⸻ 窓の外を見る。 月明かり。 静かな城。 ⸻ (……どうすればいいの) ⸻ その時。 ふと、脳裏に浮かぶ。 ⸻ エミの言葉。 ⸻ 『今度は、私が守ります』 ⸻ マリアは、ゆっくり目を閉じた。 ⸻ 「……今度は」 ⸻ 小さく呟く。 ⸻ 「わたしの番だよ」 ⸻ その瞳には、静かな決意が宿っていた。
第4話「嘘の受け入れ」
「では、来てもらおうか」 男がそう言った瞬間―― パンッ!! 乾いた音が響いた。 ⸻ 「っ……!」 マリアの身体が揺れる。 腕から、血がにじむ。 ⸻ 「マリア様!!」 エミの声が、張り裂ける。 ⸻ 「なにを……!!」 怒りが一気に噴き出す。 「助けるって言ったじゃないですか!!」 ⸻ 男は、銃を軽く下げながら言う。 「言ったな」 淡々と。 ⸻ 「“命は助ける”と」 ⸻ その言葉に、空気が凍る。 ⸻ 「……外道が……!」 エミの声が震える。 怒りと、悔しさで。 ⸻ 「さあ、来い」 男が顎で示す。 ⸻ エミは一瞬だけ、マリアを見る。 ⸻ 涙をこらえている。 痛みに耐えながら、必死に立っている。 ⸻ (……大丈夫) ⸻ エミは、ゆっくりと視線を戻した。 ⸻ 「……行きます」 ⸻ 「エミ……!」 マリアが叫ぶ。 ⸻ だが、エミは振り返らなかった。 ⸻ 「約束は守ってください」 それだけを残し―― 連れて行かれる。 ⸻ 残されたのは、静寂と血の匂い。 ⸻ 「……っ……!」 マリアはその場に崩れそうになる。 ⸻ 「エミ……」 手を伸ばす。 届かない。 ⸻ (また……) ⸻ 10年前と同じ。 大切な人が、目の前でいなくなる。 ⸻ 「……やだ……」 小さく、震える声。 ⸻ だが―― ⸻ その時。 廊下の奥から、足音が響く。 ⸻ 「マリア!!」 国王と王妃が駆け込んできた。 兵たちを連れて。 ⸻ 「……これは……!」 血を見て、王妃の顔が青ざめる。 ⸻ 「誰がやった!!」 国王の怒声が響く。 ⸻ マリアは、口を開きかけて―― 止まる。 ⸻ (言わなきゃ) (エミが連れて行かれたって) ⸻ でも。 ⸻ 「……エミが……」 言葉が震える。 ⸻ (言ったら……) 敵が戻ってくるかもしれない。 今度は―― ⸻ (お父様も、お母様も……) ⸻ ぎゅっと拳を握る。 ⸻ 「マリア、何があった!」 ⸻ 国王の問い。 王妃の不安な目。 ⸻ すべてが、自分に向けられている。 ⸻ (……守らなきゃ) ⸻ マリアは、顔を上げた。 ⸻ 「……わからない」 ⸻ 静かな声。 ⸻ 「とつぜん、あらわれて……」 「エミが……つれていかれた……」 ⸻ それは、真実。 でも―― ⸻ 「どこに行ったかは……わからない……」 ⸻ 嘘だった。 ⸻ 本当は、“取引”があった。 ⸻ でも、それを言えば。 誰かが危険になる。 ⸻ 「……そうか」 国王の目が鋭くなる。 ⸻ 「すぐに捜索隊を出す」 ⸻ 王妃はマリアを抱きしめる。 「もう大丈夫……もう大丈夫よ……」 ⸻ その温もりの中で。 ⸻ マリアは、目を閉じた。 ⸻ (ごめんなさい) ⸻ エミに。 そして―― 両親に。 ⸻ (でも……) ⸻ その瞳に、光が宿る。 ⸻ (今度は、わたしが) ⸻ 守られるだけじゃない。 ⸻ 「……エミ」 ⸻ 小さく呟く。 ⸻ 「ぜったい、たすける」 ⸻ それは、決意だった。 ⸻ 嘘を受け入れた少女は―― 次に、戦うことを選んだ。
第3話「守るべきもの」
王城の一室。 ⸻ 「ここはこうして……」 「うーん……むずかしい……」 ⸻ 10年の時を経て。 マリアは成長し、エミもまた“自然に動く存在”としてそこにいた。 ⸻ 「大丈夫ですよ、マリア様」 「ゆっくりやれば――」 ⸻ その瞬間。 ⸻ ガシャン!! 窓が砕ける。 ⸻ 「っ!?」 黒い影が侵入する。 ⸻ 「標的確認――真田エミ」 ⸻ 「……来ましたか」 エミはすぐに理解した。 (私を狙ってる) ⸻ 「マリア様、下がってください」 ⸻ だが、敵は動かない。 ただ一人が前に出る。 ⸻ 「取引をしよう」 ⸻ 「……取引?」 ⸻ 「お前が来い」 「そうすれば、この場の者には手を出さない」 ⸻ 一瞬の静寂。 ⸻ 「エミ……?」 マリアの声が震える。 ⸻ エミは、ゆっくりと振り返る。 ⸻ (……まただ) ⸻ 10年前。 奪ってしまった命。 ⸻ (今度は――守る側) ⸻ 「……分かりました」 ⸻ 「私が行きます」 ⸻ 「エミ!!」 ⸻ マリアが叫ぶ。 ⸻ エミは、優しく微笑む。 ⸻ 「大丈夫です」 ⸻ 「必ず、戻りますから」 ⸻ その言葉は―― 本心か、それとも覚悟か。 ⸻ 敵は、満足そうに頷いた。 ⸻ 「いい判断だ」 ⸻ そして―― エミは連れ去られる。 ⸻ 残されたマリアの手は、空を掴んだままだった。
第2話「真田エミの天敵」
「標的は一つ」 「王女の専属使用人――真田エミ」 ⸻ ボスの前に並ぶ、部下たち。 ただの人間ではない。 魔術を扱う者。 暗殺に特化した者。 異質な気配を持つ者。 ⸻ 「その身体は“ただの人形”ではない」 「魂を定着させる技術……利用価値がある」 ⸻ 「……もし抵抗した場合は?」 部下の一人が問う。 ⸻ 「構わん」 ボスは冷たく言い放つ。 ⸻ 「壊すな。だが――」 「中身はどうなってもいい」 ⸻ 3日後。 王国へ向けて、動き出す。
第1話「真田エミの死の真相」
――10年前。 それは“事故”として処理された。 だが―― 「……これは事故じゃない」 王宮の調査官が、低く呟く。 広田正美の死は、仕組まれたものだった。 ⸻ 一方、その頃。 暗い部屋。 「ほう……面白い話だ」 男が笑う。 広田正美を殺した“組織のボス”。 ⸻ 「死んだはずの女が……生きている?」 部下が震えながら報告する。 「はい……現在は“真田エミ”と名乗り……王女の側に……」 ⸻ 沈黙。 そして―― 「……奪え」 静かに命じる。 ⸻ 「その“魂の器”を、こちらに持ってこい」