名前はないです

8 件の小説

名前はないです

こんにちは。あても無くただ小説を書く人です。 好評でしたら連載を考えます。

変わらない駄菓子屋のおばちゃん

小学生の時の話だ。 学校の帰りに寄り道をして、路地裏にぽつんとある駄菓子屋に通っていた。 店に入ると、いつも笑顔のおばちゃんが目に入る。 お気に入りのヨーグルを2つ手に取り、おばちゃんのところへ向かう。 「おばちゃん、これお願い」 ポッケから50円玉を取り出し、トレーに乗せる。 「はい、ちょうどね」 おばちゃんは笑顔で言った。 思わずおばちゃんの顔を見た。 その度におばちゃんの笑顔が脳裏に焼き付く。 僕はこの駄菓子屋に足を運ぶようになった。 次の日も そして、その次の日も おばちゃんの聞き飽きた声とセリフは、もう僕には届かない。 今となっては、その道を通ることすらない。 まだ、そこにあるのか まだ、僕の知っているおばちゃんがいるのか 僕はあの頃のように、寄り道をした。 微かな希望を抱いて、路地裏に駆け込んだ。 少し色褪せているが、確かにそこにはあの頃の見慣れた看板が今もなお子ども達を寄せ付けていた。 ドアを開けると同時に馴染み深い摩擦音が響く。 そしてこの空間に、見飽きた後ろ姿。 「いらっしゃいませ」 白く染まった髪が目立つその店主は、 あの頃のように僕に笑顔を僕に見せた。 僕はあの頃と同じようにヨーグルを2つ手に取り、財布から50円玉をトレーに乗せる。 「はい、ちょうどね」 おばちゃんのそのセリフは、昔と寸分違わないものだった。 聞き飽きていたその声と変わらない一言は、小学生時代の思い出をふつふつと蘇らせた。 うん、ちゃんと届いてる。 「懐かしいねぇ」 再び、おばちゃんが口を開いた。 「昔、毎日そのよーぐるを2個買って行くかわいい男の子が居たんだよ」 不思議と、涙が溢れてくる。 とめどなく溢れる涙は止むことを知らなかった。 「今、どこでなにをしているんだろうねえ」 僕は涙を拭い、店を後にする。 「また来てね」 おばちゃんのその言葉が、胸の奥に広がる懐かしさと、心の片隅に宿る僅かな淋しさを覚えさせた。 路地裏の小さな石段に腰を下ろし、大切に握りしめていたヨーグルの白い蓋をゆっくりと剥がす。 小学生の頃と同じ、甘いヨーグルトの匂いが僕の鼻をくすぐった。 プラスチックのスプーンを慎重に差し込む。ふわっとした感触が手先に伝わった。 一口目を口に運ぶと、懐かしさと優しい甘味がじんわりと口の中に広がった。 「変わらないな...」 苦笑しつつ、僕はそれをゆっくりと味わった。

7
2

寂れた青春 3

「...は?」 空耳には聞こえなかったため、目を見張る。 「あ、耳赤くなってる」 「うるせぇ!少し黙れよ」 瞬時に手で耳を覆う。 しかし、そいつはクスクスと笑い出した。 信じられない。今この瞬間、俺は告白されたのか? 意味がわからない なぜ人気者である斎藤がクラスで落ちこぼれの俺に告白してきたのか なぜ冷たい態度を取った上で告白しようと思ったのか わからない。わかろうとしても答えどころか答えに近づくための過程すら見えてこない。 いや、冷静になってみろ。罰ゲームの可能性がある。 そうだ。そうに違いない。 だって考えられないだろ?そんな青春物語みたいなハプニングが現実で起こり得るはずがないんだ。 (これは青春物語です) 「罰ゲームだろ!いい加減にしろ」 思ったことをそのまま口にする。 そいつは顔を顰めた 「罰ゲームは失礼だと思わない?だからモテないんだよ?」 事実である故に言い返せない。 しかし、残念なことに俺の考えは違ったらしい。 じゃあ何だ?こんなやつがただ純粋に俺に告白してくるなんて想像つかないぞ でも、告白されたことは事実だ。 正直断りたい、だがここで断ったらどうなる。 俺の決断次第では妙な噂が流れ、この学校に居づらくなることだってある。 たとえば今この瞬間、斎藤をこっぴどく振ってみろ。 明日には今日の事が知れ渡り、俺は間違いなく社会的死を経験することになるだろう。 それとは裏腹にもしここで承諾すれば、俺はおそらく男子から嫉妬の視線を向けられ、いじめなの何だのを受けること間違いなしだ。もう100%と言ってもいい。 さてどうするか、どちらにしろ選択先は茨の道だ。だったら、マシな方にしたほうがいいか。 いやまて、返事を先延ばしにするというのはどうだ?その期間中に嫌われればいいのだ。 そうじゃんか!何故気づかなかったんだ! 俺の思考は極限まで加速し、止まることを知らなかった。 そして、俺は言う。彼女に 「あの、考えさせてもらえますでしょうか?」 あ、緊張した 「どうしたの急に、敬語だしなんか日本語へんだし」 お前のせいだろ! 「気にするな」 とりあえず、冷静だ。冷静であれば何でもできるんだ。そうだ。うん (全く冷静ではない) 「はぁ、つまり先延ばしってことね」 「そうだ。知ってるだろ?俺は今決断できるほどできてる男じゃない。てかなんで俺みたいなやつに告白したんだよ」 「告白の理由とか一つしかなくない?」 「好きだからか?じゃあ具体的にどこを好きになったんだ?」 質問攻めではどうにもならないことは知っている。 しかしこの自分でもよくわからない感情を少しでも軽減することができるのならばやむを得えない。 「君の好きな所?えっとね、他よりマシなところかな」 「...」 は?おいおい何を言っているんだこのクソビ◯チは そんなくだらない理由で俺の平凡な学校生活を潰そうとしていたのか? なんだよ、俺に恨みでもあるのか?あれか? 俺がいつも孤立しているからそれが気に食わなかったのだろうそうだろう? でもここまでする? 流石におかしくない?自分を犠牲に告白までしてどうでもいい相手の日常を潰すとか なんというバカとアホの極みだよ? 「断ってもいいか?」 もういい。 先ほどまで恐れていたクラスの視線とか男子の嫉妬の目とかは眼中にない。 いまはただ断りたい。断って、俺は学校生活を続けたい。 男子共の視線は時間の経過とともに良くなっていくだろうし、 元々俺は孤立しているんだ。 そんなやつなんかに時間を割くほどアイツらはバカではない。 だから、実質大丈夫だ。今ここで、断るんだ。こいつを振るんだ。 そう、俺の断りたいゲージは限界突破していた。 「断ったら?そうだね、明日のあなたがこの教室に入れない未来が見えるかな。ちょっとひどいかもしれないけど、それくらいの代償だよね。で、断るの?」 「付き合いましょうどうぞこれからよろしくお願いします」 「即答なんだ...」 「男には引けない時があるんだ」 同志たちよ、これは欲望じゃない。 俺はお前らの嫉妬の眼なんか知ったこっちゃない。 俺は平凡な学校生活を守るためならばどんなことだって成し遂げる覚悟がある。 悪いな、先に羽ばたくぜ。同志たちよ

4
0
寂れた青春 3

クリスマス

「うぉ、冷てぇ」 ベランダのドアを開けると同時に外からの冷たい風が私の体を震わせ、 空を舞う雪の結晶は頬を撫でた ジャージのポケットの中からタバコの箱を取り出し 一本を手に取り、口に咥え 格好よく点火して先端に火を付ける 寒い空気と熱いタバコの先端が生み出した煙がはっきりと見えた 「ふぅ」 不思議な雰囲気だ 長い時間を得て積もり積もった雪による白い世界と 向かい側の公園にそびえ立つクリスマスツリーが輝いて街中に目立つこの景色 「そうか、世間はクリスマスか」 思わずそう呟いた

3
0
クリスマス

人間関係は疲労の塊だ 1:孤独の侵入者 (連載小説)

一章 昼休みだ そうチャイムが教えてくれた。 教室にいる生徒の数人が片付けをし始めたタイミングを見計らって、僕も開いていた教科書を閉じカバンの中に入れ、ランチボックスを持って屋上へ足を運ぶ。 僕という孤独な存在は馴れ合いを好まず、いつも独りでご飯を食べる。 周りからは名前までも忘れられているらしい。だからあだ名が陰キャ、あるいはボッチくんになっている。好んで孤独を演じている僕からすればありがたい話だ。 階段を上り、屋上の扉を開け、端のフェンスに寄りかかる。 ボックスを開け、今朝作ってきた一番美味しそうな卵焼きに箸を伸ばし、口に運ぶ。 涼しい夏風と孤独、そして絶品であるこの卵焼きが絶妙にマッチしたこの瞬間は、まさに奇跡とも呼べた。 「これが孤独にしかわからない感覚だ」 毎日味わっている感覚だが、改めて素晴らしいと思う。 そして、改めて昼休みに屋上へ行けるこの学校に対しても好感が持てる。 他の高校は進学校、あるいは自称進学校である故に屋上の出入りには厳しい規則がある。 しかしこの高校はどちらでもないため、こうして自由に屋上に足を踏み入れることができるのだ。僕がこの高校を受験したのは、そのためと言っても過言ではないかもしれない。 これが、僕の平凡な日常だ。人間関係を避けながら生きる。 会話は必要最低限にし、無駄な会話は一切聞く耳を持たないようにしている。 理由は簡単だ、ただ面倒くさいことに巻き込まれたくないだけ。 そして、自分自身が自分で面倒くさいと思えてしまう存在にならないようにするため。 クラスで陽キャを気取る奴らが調子乗っているのを見ると不愉快極まりない。 僕はあんな奴らみたいには到底なりたくないんだ。 今まで会話を試みる奴らが居たが、全員門前払いのごとく冷たい対応をした。 その結果、案の定僕は孤独という称号を得た。実にめでたいことである。塩対応を装うつもりだ。僕の日常を守るために、と思ったが日常を変えるのは日常を保つことよりも簡単だ。 今、とても興味深い瞬間を目撃してしまったから。今僕がいるこの隅は、体育館裏と背中合わせしているようなポジションにある。そう、体育館裏だ。大体想像がつくだろう。 今、誰かが誰かに告白されたのか。 はっきりと「私と付き合ってください」って聞こえてしまった。フェンスが邪魔で下は見れないのはとても残念だ。 しょうがない、後で僕の唯一の友達(情報屋)であるパシリ的存在に聞くとしよう。 多少は退屈を減らせるトピックを得ることができることに対して少しワクワクしている自分がいる。 「今日はそれをおかずにしよう。はは」 晴天を見ながら独りで笑う。 平凡、それは僕にとって一番似合う言葉だ これからも、平凡な日々が続くんだ そう思っていた。 屋上へ続くドアが開いたのだ。 おい、まじかよ 僕としてはこの場を邪魔するのはさすがに勘弁だ。 ただこの屋上に僕以外の人間がいるだけで居心地が最悪になる。 屋上の扉を凝視していると、暗闇の先からジャージ姿の女子が現れた。

4
0
人間関係は疲労の塊だ 1:孤独の侵入者 (連載小説)

人間関係は疲労の塊だ 0(連載小説)

書き出し 友情は疲れる 会話は疲れる 馴れ合いは疲れる 他人からの信頼は疲れる そして、人生を共にするのは疲れる あくまで私の意見であるが、どれもこれもすべて事実である。 私は人間関係そのものに疲労を感じている。 相手の気持ちを考慮しながら会話するのは面倒極まりないものだ。 相手の話を聞く耳を持つのも面倒だ。 優しい人間に対してはいつも疑心暗鬼だ。 それとは裏腹に、孤独というのは素晴らしいものだ。 自分に対して気を使わなくてもいい 自分の体は文句を言わない 自分自身には正直になれる そして、自分に対して吐く嘘はない ただそこにあるのは真実 そして...矛盾

4
0
人間関係は疲労の塊だ 0(連載小説)

寂れた青春 2

放課後は図書館に行くのが俺の定番だったが、今日は少し邪魔が入った。 職員室に呼び出され、俺と担任の二人だけの空間がそこにあった。 他の教員はもう帰ったらしい。 「で、なぜ呼び出されたかわかるか?」 教師は腕を組み、顎を少し前に出してこちらを見下ろしている。 と言っても心当たりは一つしかないため、それを選択し、言葉に出す。 「俺の授業態度ですか?それなら、悪かったと自覚しています」 素直に謝れば話が長くなることはないだろう。従順にしていれば相手も納得し、俺をこんな場所から早めに開放してくれる。 「はぁ、そうだな」 ため息をつきながら組んでいた腕を開放した。 少し口が臭い。 それに案の定、俺の態度だったらしい。 「お前なぁ、学校はそういう事しに来る場所じゃないんだ。教えているこっちの身にもなってくれ。せっかく授業してやってるのに、興味ないやつがいればこっちもやる気が失せる」 自分勝手にそいつは俺に対して愚痴をぶっかけてきた。 「...以後気をつけます」 従順だ。従順にしていればすぐ終わる。 俺だってこいつの愚痴に付き合ってられるほど暇ではない。 「まぁ、それだけだ。悪いな、わざわざ放課後呼び出してしまって」 意外と素直な部分もあるのかと感心する。 いやちがう。人間は、心理的に厳しい人間の柔らかい部分を見つければ心を許してしまう部分がある。 おそらく、俺の今の感情もそれなのだろう。 「よしっ、話は終わりだ。帰っていいぞ」 「はい。失礼します」 足に力を入れ、パイプ椅子を後ろに押す。 立ち上がった瞬間に全身の疲れが少し抜けた気がした。 静かな職員室で教師がパソコンで文字を打つ音と、俺の足音だけが響く。 ドアを開け、職員室を後にする。 廊下で女子高生が誰かを待っている姿が目に入った。 斎藤だ。 今日はついてない。帰り際まで嫌な雰囲気が流れるとは、今週は悪運が溜まっているのかもしれない。だが、用があるのは教師の方だろう。俺には関係ないことだ。 俺は何も言わず斎藤の目の前を横切る。 「ねぇ」 音一つ無い完全な沈黙の廊下で斎藤の声が反響する。 空間が歪む感覚がした。 放課後の窓から入る夕日の光 終わりの見えないような長い廊下。 窓のつなぎ目の影が教室を夕日から遮るこの微妙にマッチしたこの雰囲気。 そして、俺と斎藤の二人だけの空間。少なくとも、俺には青春に見えた。 しかし、俺にはそんなもの興味なかった。無論、斎藤に話しかけられたことに対しても。 興味のないことにわざわざ時間を使うほど、俺は暇じゃない。 斎藤の発言を無視し、そのまま階段へと歩く。 俺にとって、そいつと話すこと自体が時間の無駄に思えた。 そうして、階段の手摺を触ろうとした瞬間 「無視するとかありえないね。君」 背後から声がした。 「お前こそ、俺になんか用があるのか?無いのなら話しかけるな。俺は忙しんだ」 いつも通り、冷たい返答をする。 俺には凡人に対して割く時間が無いのだ。今すぐ図書館に行って、今日の授業中に邪魔された小説の続きを書きたい。 斎藤は少し頬を赤らめていた。調子狂ったのだろう。 今更だが、斎藤はクラスのアイドル的存在らしい。顔が整っていて、その上スタイルも良く、人付き合いもいい。 そんなやつの話を聞かず何もったいないことしているんだ、と言ってくる奴らがいる。 逆に言いたい。 放課後こいつと会話やら下校やらしているところをお前らが見てみろ。 あの落ちこぼれがアイドルの斎藤さんと歩いているとか、斎藤さんと一対一で話しているとか、そんなくだらなく意味わかんねぇお前らの嫉妬に溺れた目で俺を睨んだ挙げ句、次の日には罵詈雑言を浴びせてくるだろ? だから嫌なんだ。クラスのアイドル的存在に関わることは俺の本能が拒否反応を示している。 俺はクラスで注目される存在にはなりたくないんだ。ただ平凡な毎日を過ごしたいだけだ。 「なにそれ、ひどくない...?」 「は...?」 斎藤の声は震えていて、目には多少の涙が浮かんでいた。 俺には理解できなかった。 なぜ斎藤は俺に声をかけたのか、そしてなぜ斎藤は今この瞬間泣いているのか。 「なんだよ。もういいだろ?俺は帰る。先生に用事があるならとっとと済ませてお前も帰れ」 後ろを振り向かず手を振りながら階段を降りる。 しかし、これまた面倒くさいことになった。 俺の自己中心的な対応により、明日教室に入りづらくなってしまった。教室までが居心地の悪い空間になってしまえば耐えられないだろう。最悪の場合、無断欠席の日々が続き、不登校にまでなるかもしれない。 なぜなら相手はアイドル的存在である斎藤だからだ。 明日、どんな罵詈雑言を浴びせられるのか俺は知る由もない。 正直そんなことはどうでもいいんだ。問題は俺の日常にヒビが入ることだ。 それだけは勘弁だ。 踊り場まで残り三段のところで、また聞きたくない声が響いた。 「先生じゃないよ。君に用があったんだよ」 残り二段目を踏もうとしていた足を止め、ゆっくりと振り返る。 夕日がちょうど斎藤の後ろにある故か、彼女の顔は影のように黒く見える。 俺よりも高い位置にいるからだろうがそいつは俺を見下ろしている。少し腹立たしい。 「俺に何の用だ」 斎藤を睨みながら俺は問う。 そして、次に彼女が放つ言葉に対し、俺の思考は停止した。 「私、君のことが好きなんだ」 そんな、最低最悪な冗談を。

5
0
寂れた青春 2

寂れた青春 1

「はぁ、またなんか書いてる」 俺の前に座っている斎藤が身体をひねり、こちらを向いている。 「他にすることないの?見てるとこっちまで気分が悪くなる」 知るか、そんな事。どうして他人の気分まで気にして生きなきゃならない。 「別になにしてもいいだろ?お前に文句を言われる筋合いなんてない」 「くらっ。だからモテないんだよ?」 斎藤が身体をひねり戻し、前を向く。 心底どうでもいいと思う。 馴れ馴れしく接することができるやつと思われているような気がして少し不快に思う。 世間一般では青春と呼ばれるであろうこの時期、俺はただ目的もなく小説を書いていた。 なぜ目的もなく書いているのかって、そりゃ俺の自己満だ。 周りからはいつも暗くてなにか書いている変なやつ、会話を交わさずいつも静かなやつ。 世間ではいわゆるぼっちという類として認識されているのだろう。 俺は別に気にしちゃいない。好きなことをやって何が悪いと言うんだ。 高校三年生の春の終わり頃であり、クラス替え直後で騒がしかった教室は最近になり、ようやく冷静を目立たせてきた。だがそれと同時にクラス内でグループのような物も形成されていった。人気者が集う所や、秀才たちが飽きず勉強する空間、俺のようなクラスから孤立している存在が散乱している光景などがはっきりと目に入る。 しかし、30人くらいのなんでもない人が集められたこの空間になにか特別な存在がいるかと聞かれれば、俺は否定するだろう。俺も含めて特別な存在はこの教室に居やしない。ただつまらない奴らが適当に馴れ合い、適当に発展して今のようなグループが出来上がるのだろう。 「高橋、授業に関係ないことをするな」 「はい、すみません」 教師に注意されたので、素直に謝る。 反論なんてしない。自分よりも上の人に反発すればより面倒なことになるのは重々承知している。 それだけは避けたかった。 「そうだ高橋、放課後職員室に来てくれ」 先生のその言葉により、クラスはよどめいた。 少しうるさいと思えるよどめきの中には「高橋なんかしたの?」やら「あいつ終わったな」やらと、どうやら俺がなにかやらかしたかのような空気が広がっている。俺自身何もしていないので、ただの進路相談なのだろうとあまり心配はしなかった。

5
0
寂れた青春 1

自己紹介

はじめまして。名無しです。 学校の授業で小説に関することを学んでいた所、私も書いてみようという気持ちになりました。 でも書いたのはいいものの気軽に誰かに見てほしい、アドバイスを頂きたい。そんなことを思っているときこのNoveleeというアプリに出会いました。なんともこのアプリには驚かされました(笑)こんな神アプリがあるなんて!と自分もNoveleeと通じて小説などを書いてみようと思います。 多少日本語や文法に難がありますが、もし違和感を感じたら知らせてくれると嬉しいです。

11
3