ノラ戌

2 件の小説

ノラ戌

読むべきノベリー作家は誰ですか

題の通り ノベリーのすごい人は誰ですか?

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人は叫ぶ。

隠れた軒先きに潜む影。 私の鼻が臭いを嗅ぎ取る。 刺激臭、とは言い切れないような絶妙な悪臭。 酒臭さを纏っている父を彷彿とさせるような、色褪せた臭い。 2階のマドンナはいびきをかいて寝ている。 彼女を起こすのは至難の業だ。 最も犯すのは楽なのだがな。 ここは笑うところだぞ。 父の匂いと乳の臭い。 赤子にやる餌があるのであれば、父にやる糾弾があってもよい。 乳飲子が社会を経験する頃には、私の中の良心は確実に朽ち果てて原型を保てないような状態になっているだろう。 透明性は確実性。 広島に落とされた原爆が正義だったのか。 長崎に落とされた原爆が正義だったのか。 オッペンハイマーは悪。 そう決めつけるのは阿呆の所業。 死ぬ人は死に、生きるべき人は生き延びる。 運が悪いのは自分が悪い。 死人に手を合わせる暇はない。 お盆に身内が帰ってくるのであれば、俺は奴らを追い払う。 なんせ、女のまんこに指を突っ込みながらやたらとくだらない話をするなんてできやしないから。 性行為で人は生まれる。 では人はどのような行為で死ぬ? 被爆した人々は運が悪かった。ではそれは行為か? 大きく捉えるならば日本国にとどまる行為、か? 親父の酒を浴びた匂いは死に値するか? マドンナの乳を揉むのは死に値するか? 乳の臭い、乳飲子の気持ち、被爆者の叫び、では行為はどこにあった? 死ぬ淵に人は叫ぶ。 生まれる瞬間人は叫ぶ。 生を与える瞬間人は叫ぶ。 セックスする時人は叫ぶ。 叫ぶ行為が人の意思を表す。 鬱憤を晴らす時人は叫ぶ。 怒りをぶつける時人は叫ぶ。 絶望の淵にも人は叫ぶ。 仲間が死んだ大きな絶望。 ゴムが破れてた小さな絶望。 ちんこが勃たない大きな絶望。 まんこが濡れてない小さな絶望。 人が焼けてゆく大きな絶望。 国が破れた小さな絶望。 マドンナの喘ぎ声が父に聞こえていたのなら、俺もまた絶望を経験するのかもしれない。

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人は叫ぶ。