モノクローム 第1話 白いドレスを着た女

 手当の出ない残業を終え、出迎えてくれる家族もいない孤独な家へと帰宅途中の男、秤夜幸太は人生に絶望していた。生きることすらに嫌気を感じ、時折"生"に対して絶望と恐怖を覚えるほどであった。  帰っておかえりと言ってくれる人がいたらもっと頑張れるのかもしれないのにな。  そう頭の中でつぶやくと、幸太は1人でに泣きそうになってしまった。  本当に辛い。仕事でも友人と呼べる存在ができずに、ただただ孤独に長時間勤務を耐え凌ぐような日々を送っている。このような調子では、死ぬことよりも生きていることを嫌になってしまうのは仕方がないのかもしれない。  仕事の疲れと夜の虚しさから、心が哀しく荒れている幸太とは裏腹に、道は静まり返り、ひんやりとした風が吹き抜ける。 「人を作ったのが神なのだとするなら、人を壊すのは誰なんだろ」  自分でも何を考えているのかよくわからないが、疲れている時は誰でもそういうものだろう。
ノラ戌
ノラ戌
黒鼠シラのサブです。 アイディア掴むための、行き当たりばったりな小説投稿する予定です。 ちゃんとしたのは黒鼠シラのアカウントで