ハギシリ
平日月曜朝8時。
俺は電車に揺られながら会社へと向かう。通勤時間はおよそ1時間で、田舎駅からの乗車なため座れることは確実だ。正直座れてさえしまえば、音楽やポッドキャストを聴きながら、心地よい揺れに眠気を煽ってもらうという中々良い体験ができる。なので俺は正直通勤時間が好きだ。
しかし今日は違った。俺が乗車し角を取ると、前にあの男がいた。気味が悪いほどに私を見つめてくる中年の男だ。この男は半年に一度ほどの頻度で俺と同じ車両の角席に出没する。外観は普通だし特におかしな行動をするわけではない。ただ私を凝視する、イヤホンもつけずにずっとだ。あまり心地は良くないし、せっかくの優雅な時間を邪魔されるのは癪に触るが、奴は毎回乗って程なくして降りていくため、10分そこらの我慢が必要なだけだ。だから俺は毎回我慢する。第一、あのような頭のおかしな男に話しかけるのは危険がすぎるからな。
平日月曜朝8時。
今日は半年に一度の出張の日だ。普段とは違う場所、普段とは違う路線、普段とは違う時間に電車に乗る。私は電車移動が極めて嫌いなため、乗車中は基本的に気が立っている。5回以上の乗り換え、短い乗車時間の連続、周りの喧騒と鼻をさす嫌な匂いの数々。電車ほどに私が向かない場所はないだろう。
0
閲覧数: 164
文字数: 791
カテゴリー: その他
投稿日時: 2025/10/24 10:34
ノラ戌
黒鼠シラのサブです。
アイディア掴むための、行き当たりばったりな小説投稿する予定です。
ちゃんとしたのは黒鼠シラのアカウントで