星月

7 件の小説
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星月

私の体験がほとんどです。元気にやってます。

サイダー

『プシュッ』 私は開けたばかりの間の苺サイダーを丁寧にグラスに注ぐ 苺の優しい甘い香りがただよう 透明の、少しぼこぼことした素材でできたグラスだ サイダーは缶からシュワシュワと音を立てて流れ出る 間の飲み口のくぼみに溜まった少しのサイダーを こっそりと吸い上げ、甘さを確かめる グラスに顔を近づけると、泡が弾けて顔に飛んでくる コップの側面に泡が溜まってきてとても綺麗だ 五感で楽しむ苺サイダー

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サイダー

衣替え

夏になるとみんながほぼ一斉にアイロンのかけられた白いブラウスに変わるということは、大学生にもなればなくなってしまう。 あの瞬間は結構好きだった。 あの光景を見れば、緑の葉の隙間から差す鋭い光や、蝉の鳴き声が浮かんでくる。 もうあの青春は感じられないのかな、と、少し寂しくなる、、

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終電

部活が終わった 「今日も1日長かったなー。」 「それなー。」 私は同じ電車に乗る同級生のつぶやきに適当に返事をする。 こんなものなのだ。人生なんて。 いくら高校生でも、部活終わりなんてこんなものなのだ。 とある田舎の田んぼ道を、私たちはトボトボと歩く。 もうなれたものだ。この道を歩いてもう3年目だ。 もう少しで終わってしまう。 嬉しいような、少し寂しいような。 夏の夜のムワッとした空気が私たちを覆う。 「そうだ、コンビニ行かない〜?」 友人からの最高の提案だった。 何ならその言葉を待ってました。 でもそんなことは表に出さず。 「いいね、ありー。」 と、また適当に返事をする。 こんなものなのだ。 途中コンビニで買ったアイスを食べながら、部活の話をして、 もうちょっとで終わるね、なんて話しながら 私たちは田舎のちょっと早い終電に向かって歩いた。

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終電

本心

この痛みはなんだ 心臓から指先にかけて、腕が痛む ストレスを感じると痛み出す これは私だけなのか その痛みとともに私の両目から涙が溢れて頬や鼻を伝って 顎からぽたっと落ちてくる 辛い、苦しい、助けて そんなどうしようもない感情がいくあてもなく 私の体の中をぐるぐると蝕んでいく どうしようもない だからこそ耐えるしかない 中学生になってからだろうか 泣くことが増えた 独りで 孤独に 誰にも気づかれないよう そして時が経つにつれて闇はどんどんと深まり 私は私を失った 夜、1人になると現れる本物の私であろう心 いきなり現実を突きつけられどん底に落とされる 誰も頼れない 辛い、苦しい、助けて そんなことが言えれば少しは楽になれただろうか 言おうとしたことはある 涙が溢れて言えなかった 言葉が詰まって 胸が苦しくて 何だか情けなくて その後なんて言われるんだろうと考えて 言えなかった 独りで抱えるしかないのか 痛い、痛い、痛い 胸が強く痛む 消えてしまいたい 全てを切り捨てて 今すぐにでもこんな世の中から 姿を消してやりたい

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むり

つかれた。 もう今日は誰にも会いたくないし、誰とも話したくない でも学校に行かなきゃ こんなに何も才能のない人間が 学校に行かずに家でぼーっとしてては、 本当に生きている意味がなくなる いや、生きている意味なんてないのかもしれない 私は誰かに必要とされているのだろうか 私なんかがこの世の酸素を使ってでも生きる必要があるのだろうか 唯一私を必要としているのは 私を都合よく使っている人たちだ 人間関係を保つために時間とお金を消費して 言いたいことも言えず 私は都合のいい人間なのだ 『全ての人間関係を断ち切って消えてしまいたい』 そんなことは誰にも言えず、今日も仮面をかぶって、 学校に行く

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閲覧注意

なんで言ってくれなかったのだろう。 私が人間というものの恐ろしさを知ろうとしているというのに。 なんで誰も私に教えてくれなかったのだろう。 教えてくれていれば、今頃こんなにも苦しまずに済んでいたのかもしれないのに。 私は知ろうとしてしまった。考えてしまった。 そして私は、人を信じるという純粋な気持ちを失った。 信じることができるということがどれほど幸せなことだったのか。失って気がついた。でも、失わないと気がつけなかった。人を信じることの恐ろしさに。 もう誰も信じられなくなってしまった。 周りにいる全ての人が、仮面をかぶってこちらに寄ってくるように見えるようになった。いくら親切にされても。 私は誰を信じれば良いのか。 唯一信じられるはずの自分自身でさえ疑ってしまう私は、これからどうやって生きていけばいいのか。 怖い、怖い、怖い、怖い あの笑顔が、あの優しさが、あの言葉が 私が救われたあの出来事たちが、全て嘘だったのかもしれないと考える。 そしてこれからも出会うであろうその出来事たちに、私はまた騙されるのか。そして真実を知り、絶望するのか。 それだったら最初から、信じないほうがマシなのではないだろうか。

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カウントダウン

スーパーに行って買い物をした。 賞味期限を見ながら選んでいく。 10個入りの卵パック。 賞味期限が切れる頃には、君に会える日が近づいている。 卵がなくなってしまった。賞味期限が切れる前に。 私はまたスーパーに行く。 新しく買った卵。 この賞味期限が切れる頃には、 また君と別々の時間を過ごしているのかな

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