オオタカ
7 件の小説連載中の作品について
ブルアカの時系列 大体エデン条約編が終わったぐらい ゴカムの時系列 ゴールデンカムイを全部見ろ! 最後に ブルアカをやろうよ…えっウマ娘?知らない子ですね…
奇襲
シャーレオフィス 夜 すでに生徒達はそれぞれの学園に帰っており、コーヒーを啜る音と白石のいびき、あと杉元が両手で小銃の点検をする音だけが響いていた。 「なぁ先生」 “ん?” コーヒーを啜る先生に杉元が神妙な顔で問いかけてくる 「オートマタ?だっけ、ソイツらだけでできた勢力って見たことないのか?」 “うーん…私の知る限りでは見たことも聞いたこともないなぁ…それにアイツら見た感じカイザー製のようには見えなかったからどこから出てきたのかも…” 「そうか…ありがとう」 杉元は期待していたのかショックを受けた様に見える。 “きっとアシリパさんって子は無事だと思うよ…多分” 先生は心配する杉元を何とかフォローしようとするが、杉元の表情は相変わらず曇ったままであった。 シャーレ付近 「よし…やれ」 「ハッ」 オフィス ブツン 突然部屋の電気が消え、辺りを闇が包む。 ピクッ「…」 “停電かなぁ…ちょっと見てく「まて」 「何か入ってきた」 “…本当かい?” 杉元は何かの気配を感じ取ったようで、確認に行こうとする先生を引き止める。 「…とりあえず今呼べる戦力をこの部屋に集めてくれ」 “う、うん…でも今この時間帯で動ける人なんてそうそ「お呼びでしょうか?あなた様♡」 「え?」 杉元が先生の方を向くと狐面の女性が立っていた。 “ワ、ワカモ!?なんでここに…” 「はい♡あなた様をもっと視界に入れておきたいと思いずっと天井から見ていました♡そしたらあなた様が助けを必要としていらしたので、こうして馳せ参じた次第です♡」 (や、ヤベェ奴だ…) 杉元はワカモを見ながら思った。すると バサッ「イズナもここにいます!主人殿!」 突然壁の一部が布のように剥がれると、中からイズナが現れる “イズナまで…” 「やだこわぁい…」 杉元は思わず思ったことを口に出してしまう。 シャーレ入り口 「ヨシ、ハナレテクダサイ。キバクシマス」 オフィス パン… 下の方から何かが破裂した音が聞こえ、部屋にいるほとんどが下を向く。 「…とりあえず、ワカモさんとイズナさん、だっけ?二人はここで敵を迎え撃つ準備をしてて欲しい。」 「「はい」」 「あ、あとズキンチャンは敵が入ってきたら頭をバーンしてほしい。いいか?頭、バーン。だぞ?」 ウンウン 「よし、先生はモモトーク?だっけ。それで人を呼んでくれ…ここの人たちと呼んだ人たちで挟み撃ちにして一網打尽にする。俺は敵がここにすぐ来られないよう遊撃するから、頼んだ」 “分かったけど…大丈夫かい?” 先生は杉元が単騎で行こうとすることに心配をするが、杉元は 「俺は不死身だぜ」 ニッと笑いそう言い放つと、走ってオフィスを出る。 「あ、白石は叩き起こしといてくれ」 そう報告をすると杉元はまた走ってオフィスを出る シャーレ 廊下 「テキエイナシ、イケ」 オートマタ達は何部隊かに分かれてシャーレ内部に侵入していた。 「テキエイハ…!?イタゾ!キズノオトkバキッ オートマタは仲間に知らせようとしたが、杉元はその隙を与えずに頭を一撃で粉砕する。 「クッ…ウテ!」 敵は杉元を制圧しようと射撃するが、杉元は肩に一発喰らっても怯まずに特攻し、銃を振り回す。 『グワァァァァ!』 『コイツ!イイカゲンニ バキャア』 部隊長の通信機越しからオートマタ達の悲鳴が聞こえてくる。 「ヤハリ最大ノ障壁トナルカ…傷ノ男メガ」 「当たり前だ、奴をそこらの敵と一緒にするな。奴は不死身と呼ばれているほどの男だぞ、一筋縄では行かないのは分かっていた」 部隊長の側近らしきオートマタがボソリと呟くと、部隊長が反応する。 「だからお前をぶつける」 オフィス ズドドドドドン!ドドン!ドン! ズドォン! ズドォン! ズドォン! ドォン!…ドォン!… 「ガァ!」 「グッ」 「アッ」 オフィスでは侵入してきたオートマタ達をイズナ、ワカモ、ヴァシリがそれぞれ銃撃して食い止めていた。 「チッ…サガレサガレ!」 その甲斐もあってかオートマタ達は一時撤退を余儀なくされ、すぐに銃撃が止む。 「どうでしたか♡あなた様♡」 「どうでしたか!主人殿!」 “二人共すごかったよ。お疲れ様”ナデナデ 「うふふ♡」 「えへへ///」 二人は敬愛する先生からのナデナデにより、気分が絶好調になる。 “ヴァシリさんも、ありがとね” フン… 先生からのお礼の言葉を無視し、ヴァシリ前方の警戒に専念する。やはりそこら辺はキヴォトスの生徒と冷徹な狙撃手の違いなのだろうか。 「…あの人、嫌な方ですわね。先生からのありがたい御礼の言葉を無視するとは…!」 「全くです!」 “まぁまぁ二人共…あの人は外国人だから言葉が通じてないだけだよ” 先生はすかさずフォローに入るが、二人から見たヴァシリの評価はだいぶ低くなってしまっていた。だがそんな事はどこ吹く風が如く、ヴァシリはフンフン言いながら入り口を警戒していた。尚白石はソファの裏に隠れていた。 「終わったぁ…?」 白石はソファの裏から情けない声を上げながら顔だけを覗き込ませる。 “とりあえずは追い返す事はできたけど…また奴らは来るだろうね…” 「じゃあ…バリケードを直さないとな…」 白石がソファを入り口の前まで持っていった瞬間だった。 ドゴォォォォン! 突然入り口が吹き飛び、白石も後ろの方へ吹き飛ぶ。そして煙から杉元が後退りしながら現れる 「杉元!?どうしたんだ!?」 「白石下がってろ!コイツはヤベェ!」 土煙からは片腕に盾、右手にサブマシンガンを持った大きい影が一つ現れた。 「なんだコイツゥ!?」 “オートマタ…それもデカイタイプだ…ワカモ!” 「はい!あなた様!」 ワカモは先生の一言で銃口をオートマタに向け、銃弾を放つ。だが ガギィン! ワカモの放った銃弾は頭にこそ当たりはしたが、貫通せずにその場で止まってしまった。 “ワカモの銃弾が…重装甲か!これはマズイな…” そう、マズイ状況なのである。ワカモとイズナはどちらも神秘タイプの攻撃なため、どちらも重装甲に対して優位は取れておらず、さらに後ろからは重装甲の敵がゾロゾロと現れ、万事休すであった。 少なくともこの二人だけでは ズドォン! 突然入り口に陣取っていた盾持ちのオートマタの頭に穴が開き、そのまま後ろに倒れ込む。撃った人物はヴァシリであった フンフン 「オラァ!」 そして先生達が後ろのオートマタ達の方を見ると、すでに前線は杉元によって崩壊していた。 杉元が銃を振り上げて相手にあたるたびに装甲は砕け、中の配線のようなものが現れる。 “杉元さん…こんなに強かったのか…” 先生は入り口付近で勇猛果敢に戦う杉元を見て、感心してしまう。 「どうしたぁ!?こんな傷じゃあ俺は殺せねぇぞ!」 杉元は入り口付近に屯しているオートマタ達をドンドンと倒しながら進んでいく、が ドンッ 「!?」 突然杉元が土煙から現れた機械的な足に後ろへと蹴り飛ばされる。そこにはガスマスクをつけた杉元と似た体躯のオートマタが一人と小さい司令官らしき者が一人いた。 「なんだてめ…え…」 杉元は小銃を手から落とし、絶句した。 何故なら そこにいたのは 「コイツガ傷ノ男デスカ」 「あぁ、そうだ」 アシリパであったのだから 「ア…アシリパさん!大丈夫?元気だったかい?」 杉元はアシリパの肩を掴み、親が子を心配するような声で軍服姿のアシリパに問いかける。 パァンパァン 「え?」 「は?」 次の瞬間、彼は杉元の両足を即座に撃ち抜き、杉元と白石は互いに一言しか声が出せれなかった 「…誰の話をしているかは知らんが私はアシリパなどと言う名前ではない、我が名はニュー。この特殊部隊MSEの部隊長だ」 アシリパもとい、ニューはそう杉元に冷ややかな青い目を向けながら伝える。 「ここに来たのはシャーレの破壊及び不死身の杉元、貴様の身柄を確保するためだ。こちらへ着いてきてもら“悪いけど” “あなた方の思い通りにはさせない” ニューの言葉を先生が途中で割り込む。 「シャーレの“先生”か…丁度いい、貴様も始末させてもらうぞ」 ニューが左手を挙げると、後ろにいたオートマタ達が一斉に銃口をこちらに向ける。 「「始末?」」 突然部屋の中で二人の声が響く。 「私の愛する人を始末しようとした挙句、銃口を向けるとは…その罪、万死に値しますわ…!」 「主人殿を始末なんかさせません!」 声の主は勿論、ワカモとイズナであった。二人の思いは同じだが声色も抱く感情の重さも二人は違っていた。するとそこへ 『立てこもり犯に告ぐ!無駄な抵抗はせず、武器を捨てて投降しろ!』 シャーレの外から声が聞こえてくる。オートマタの一人が外を確認すると、ヴァルキューレの警察やパトカーがぐるりとシャーレを囲んでおり、その中には尾刃カンナの姿だけでなく、ホシノとシロコの姿もあった。 「チッ…撤退するぞ、すぐにステルスヘリを呼べ」 「ハッ」 ニューは舌打ちをすると部下に撤退命令を下し、再度先生の方を向く。 「今回は貴様を始末し損ねたし不死身を運ぶことも出来なさそうだが、これしきで終わると思わんことだな」 ニューは夜景を背景にしながら先生と生徒に伝える。 「逃すと思いで?」 ワカモは殺意を漏らしながらニューに近づき、先の短刀で刺し殺そうと 「フンッ」ブォンッ 「!?」 したが、側近のオートマタに銃ごと後ろへ吹き飛ばされ、壁に思い切り激突してしまう。 「なっ!逃しま ドォォン! うわぁ!?」 イズナがニュー達に近づいた瞬間、ニュー達の後ろの壁が爆煙に包まれ、中から黒塗りのステルスヘリが現れた。 「ではさらばだ。不死身の杉元に先生よ…」 ニューとオートマタ達はヘリに乗り込むと、そのまま下の方へ射撃しながらどこかへと飛び去っていった。その様子を白石達はただ呆然と眺めることしかできなかった シャーレ周辺 ドドドドドドドドドドドドドドドドドドン 外では突然現れたステルスヘリによる制圧射撃に、混乱状態に陥っていた。そんな状況の中、シロコとホシノは 「行くよシロコちゃん。先生を助けるよ」 「ん、了解」 迷わずにシャーレの入り口の方へと走る。 「なっ!?おい!一般人の勝手な侵入は…クソッ!」 尾刃カンナも二人の後を追う。 シャーレ オフィス “ゲホッ…ゴホッ…” 中は爆煙で充満しており、杉元は入り口付近で膝をついたまま放心していた。 「おい…杉元!大丈夫か?」 白石はソファの後ろから杉元を心配するが、杉元からの返答は来なかった。そこへ 「先生!大丈夫!?」 シロコとホシノ、カンナが姿を現す。 “三人共!こっちは大丈夫だよ。それよりも杉元さんが…” 三人が先生を心配する中、先生は両足を撃たれた杉元の心配をしていた。 「両脚が…すぐに病院へ運びましょう」 カンナが杉元の肩を持ち上げた瞬間だった ボタっ 杉元のこめかみ付近から何か白い液が漏れ出る。 「今すぐそいつから離れろ!」 白石が声を上げた頃にはもう遅かった。 「ゥゥゥゥゥゥウウウウウウゥウウウ!」 「!?」 杉元が突然うめき出したかと思うと、カンナの服の裾を掴み後ろへと片腕で投げ飛ばし、それを先生が受け止める形になった。 “大丈夫かい?カンナ” 「先生…ありがとうございます」 「ウガァァァァァァァ!!!」 杉元は次にシロコへ襲いかかろうとしたが、シロコは何とかこれをかわす。 (杉元さんを相手に撃ったら間違いなく死ぬ…撃てれない) ホシノは咄嗟に銃口をシロコに襲い掛かろうとする杉元に向けるが、引き金を引くことはできなかった。 ドスドスッ すると杉元の首筋に何本か注射器が刺さる。 「主人殿!これで良いですか!」 刺した犯人はイズナであったようで、すぐに先生の方を向く。 “う、うん…ところでその注射器は…” 「医療忍者団からくすねました!」 (明日ハナエ達に一番で謝りに行こう) 先生は心の中で思いながら杉元に近づき、肩を持つ。 “とりあえず病院に連れて行かないと…” 「…まだだ」 先生が連れて行こうとすると白石が呟くように言葉を発する 「先生!今すぐそこから離れるんだ!そいつは!」 白石が声を荒げて先生に注意をする。そう、杉元佐一然り、先生が担いでいる相手は 「俺は不死身の杉元だぁぁぁぁぁぁぁ!」 パキン 突然杉元がそう叫んだかと思うと、先生の腕から軽い音が聞こえ、いつのまにか先生はデスクの上に投げ飛ばされていた 「ッ先生!」 「くっ!」ジャキッ ホシノが投げ飛ばされた先生に近づき、シロコは銃口を杉元に向けるが杉元は銃口を自分の体を左手で逸らすと、銃剣を手に持ちシロコの顔に突き刺そうとする ダァン! するとワカモが杉元の肩を撃ち抜き、シロコはすんでのところで回避してそのまま杉元の腹を銃のストック部分で押すように殴るが、杉元はシロコのマフラーを持ってワカモに投げつけ、そのまま力無く前のめりに倒れる。 「シロコちゃん大丈夫!?」 「ん、大丈夫。それよりも先生が…」 ホシノが先生からシロコの側に駆け寄りシロコが返事をすると、ワカモがすぐに立ち上がり杉元の側へと近づく。 「私の大切な人の骨をへし折り投げ飛ばすとは…その罪、死を持って償いなさい」 そう杉元に言い放つと銃口を向け、引き金をてく前に白石が杉元の盾になりながワカモの前で土下座をする 「こいつを殺すのは勘弁してくれ…頼む…もう二度とあんたらの前に現れない。だからどうか…」 「…それで私が殺すのをやめるとでも?」 ワカモは白石の頭に照準を向け直し、撃ち抜こうとするが、 “ワカ…モ…” 「あなた様!」 先生からの呼び掛けに反応し、すぐに先生の側に近づく。 “私は大丈夫…だから杉元さんと白石さんは…撃たないでくれないかい?” 「…あなた様がそうおっしゃるのなら このワカモ、我慢いたしましょう。それよりもあなた様、腕が…」 先生は杉元達を庇い、殺さないように言う。そんな中、杉元は薄れていく意識の中で 「ア…シ…リパ…さん…」 大切な相棒の名前を言葉にし、意識を手放した。 翌日 「次のニュースです!昨夜、シャーレが何者かに襲撃され、大損害を受けました!ヴァルキューレ警察は組織的犯行として、現場の捜査をしております!」 テレビからはニュースキャスターの快活な声が聞こえてくる。だがそれよりも廊下を慌ただしく走ってくる複数の足音に、先生は意識を向けていた。 「「先生!」」 横開きの扉が乱雑に開かれ、ユウカとヒナがオフィスに入ってくる。 “二人共…わざわざ来てくれたんだね。ありがとう” 「そんなことよりも!先生昨日襲撃されたと聞きました!」 “あぁ…大丈夫だ「じゃあ何ですかその腕は!」 ユウカは先生の左腕を指差しながら問いただす。 「全然大丈夫じゃないじゃないですか!どこの組織に襲撃されたんですか? 今からそいつらのとこへ行って報復を…」 “とりあえず落ち着いて!” ユウカはサブマシンガンを両手に持ちながら勝手にどこかへ行こうとするが、先生が止めに入る。 「…生きてて…良かった…」 ヒナは本当に心配したのか、先生に抱きつきながら涙を流す “ヒナ…私は大丈夫だよ。だから心配しないで” 先生がヒナの頭を撫でていると、また慌ただしく走ってくる足音がしてくる。 「「先生!」」 すると今度は便利屋68のアルとハルカが現れ、その後ろからムツキとカヨコが顔を覗かせる。 「先生怪我は…ふ、風紀委員!?」 アルが先生の心配をしようとすると、ヒナの姿が目に入ってきてビビってしまう。 「…便利屋か、まぁ今はいいわ。それよりも先生の方が重要よ。先生本当に大丈夫?」 “うん、大丈夫だよ” 「そう…でもその腕は侵入してきた連中じゃないと聞いたのだけど?」 「…」 ヒナは先生に問いかけながら隣に座っている杉元を見る。だが杉元は反論できず下を向いたままだった。 「先生、この人は本当に信頼できるのかしら?」 “あの時は…杉元さんも正気じゃなかったし、事故のようなものだよ。ね?” ヒナは更に先生に問いかけるが先生は杉元達を庇うように答える。だが杉元は目を合わせないようにする 「…そう、でも私はこの人を信頼できないわ。」 「私も、ヒナ委員長と同意見です」 だがヒナとユウカは先生が庇っても意思を変えることはなかった “でも…「でもじゃない」 「理由はどうであれ先生を傷つけたと言う事実は覆らないでしょう?」 “…” ヒナに図星を突かれ、先生は黙ってしまう。そしてオフィス内には重苦しい空気が流れる。するとそこへ 「先生〜パン買ってきたよ〜」 白石がレジ袋片手に入ってくる “…あぁ、ありがとう白石さん” 「いやいいよ。おっ、なんか人増えたねーよろしく☆」 完全に場違いな空気感の白石、その後ろからシロコとホシノも出てくる。 「さて…あの場にいた人の殆どが集まったからちょっとした作戦会議をしようか〜」 ホシノが先生の対面席へ座り、その場にいた人々をまとめる。 「ん、今回襲ってきた連中は全員がオートマタだった。その中に…アシリパさん?って人も現れたけど…見間違いじゃないんだよね?」 「…あぁ、間違いない」 杉元は目を伏せながらシロコの問いかけに答える 「さてと…今回の相手は完全に大規模な組織っぽいし、動きも手慣れてるから厄介そうだね〜…」 「えぇ…カイザーの部隊ではなさそうだし、何処から漏れ出てきた軍隊か分からいわね…とりあえずゲヘナ自治区でも探してみるわ」 「私も、ヴェリタスに頼んで何とか本部の位置を特定してみます」 ヒナとユウカは捜索を行おうとしていた。 「アビドスでも捜索をしてみるね〜…で、杉元さんをどうするかだけど…先生、どうする?」 “…正直、一般人である杉元さんをこれ以上巻き込みたくない。と言うわけで杉元さん、アシリパさんは私達がどうにかする。だから杉元さんはアビドス付近で待機してほしい。二人ともいいかい?” 「いいよ〜」 「ん、いいよ」 先生は杉元をこの戦闘から離そうとしているが、これに白石が反応する。 「おいおい…流石にそれは飲み込めれないぜ。なによりアシリパちゃんの問題に杉元を関わらせないのは杉元が黙ってないぜ、な?杉元」 「…分かった、あんたらの提案を飲み込むよ」「ほらこう言って…え?」 杉元は先生の提案を受け入れるが、白石はこれに反応する 「そもそも俺みたいな撃たれて死ぬような人間が関わったところでどうしようも出来ないからな…あんたらに任せ「ふっざけんじゃねぇ!」 白石が突然大声を出し、その場にいた全員がビクッと驚いて白石の方を向く 「お前!北海道から樺太にまで行ってアシリパちゃんを助け出したってのに!なのにコイツらに全部任せるってか!?ふざけんじゃねぇぞこの野郎!」 “し、白石さん落ち着いて…” 白石は杉元の襟を掴みながら大声をあげ、それを先生が間に入って落ち着かせていた。 「白石…相手は第7師団のはぐれものでもなければ囚人の集まりでもねぇ、大規模な軍隊だぜ?俺もお前も、軍隊を相手にできるわけがねぇ。ましてや相手は第7師団より先の技術や武器を持っている…勝てるわけがねぇよ。命あっての物種って言うだろ?この人達がアシリパさんを救い出すってんなら、この人達を信じるだけだ」 「…ふざけやがって、見損なったぜ不死身の杉元。アシリパちゃんが今までどんな想いでお前と一緒にいたか…そんなことで諦めやがって…クソ野郎が」 そこまで言うと白石は踵を返し、扉を乱雑に開けると 「お前なんかアビドスにでも地獄にでも何処にでも行っちまえ!しょぼしょぼくたびれ男が!」 吐き捨てるように叫んで出ていった。するとその扉からヴァシリが顔を出すが、すぐに白石に頭巾を掴まれて去っていった。 「…うるせぇよ、役立たず」 杉元は誰にも聞こえないような小さな声でそう呟くと、すぐに下を向いた。 夜 シャーレ前 “杉元さん…一人でアビドスにまで行けますか?” 「…あぁ、大丈夫だよ。問題ない」 杉元はそういうと先生に背中を向け、歩こうとするがすぐに止まり、後ろを向く 「先生…腕、折ってごめんな」 “!…大丈夫、気にしなくていいよ” 先生は少し驚いた表情を見せると、すぐに笑顔になり、杉元の肩を軽くする 「そうか…アシリパさんをよろしく頼む」 杉元は一礼すると、すぐにまた背中を向け、アビドスの方面へと歩き出す。その様子を先生は黙って見ていた。 杉元は誰もいない市街地をしばらく一人で歩いていたがふと、足を止める 「…出てこいよ、白石」 「へっ…さすがだぜ、杉元佐一」 すると路地裏から盛大に怒鳴り散らかした白石と掴まれて消えたヴァシリが壁に寄りかかって杉元の方を見ていた 「今夜動くって信じてたぜぇ?杉元、行くんだよな?アシリパちゃんを探しに」 白石が両手で指差してくるのに頷きながら、杉元は路地裏を通っていく。白石も嬉しそうに笑って、ヴァシリもそんな白石についてくる 「アイツらに任せるつもりは毛頭ねぇよ。アイツらがアシリパさんを見つける前に俺たちで見つける。こんな世界だ、アイツらは殺す判断を下すかもしれん、その前に、俺達でアシリパさんを捕まえる」 「それでこそ杉元だ!怒ったふりして正解だったぜ!」 「あぁ、頼んだぞ脱獄王。アシリパさんの居場所にあてはあるんだろうな?」 白石がピュウと鳴き声を上げると、杉元もヘッと笑った。 「道行く人に聞いたんだがな?昨日の夜、あの飛行艇がアビドスの方へ飛んでったらしい。そんでアビドスを観光してた人に聞いてみたら、雪山のところに着陸したとかなんとか…」 「充分だ、脱獄王」 杉元は満足そうにすると、今はいない相棒の綺麗な青い目と声を思い出す。そして何かを決意したような目になると、行くぞ!と声を張り上げ踵を返した時。 “だと思ったよ、杉元さん” 突然後ろから声が聞こえ、すぐに振り向く。そこには二つの黒い影があり、一つは先生、もう一つはホシノだった。 「お昼の時からなんとなく怪しいと思ってたんだけど…やっぱりだったね〜」 ホシノが愛用のショットガンを肩に乗せながら一歩前へと近づく。 「…邪魔すんじゃねえよ、先生」 杉元は立ちはだかる先生に対し、敵意剥き出しになる。 “杉元さん…あなたも昨日感じたでしょう?今のあの子は誰であれ敵と判断したら容赦なく殺そうとしてくる。あなたにあわせるのは危険すぎる。大人しくアビドスに…「アシリパさんに人は殺させねぇ」 “あの子のところに行っても、撃ち殺されるだけですよ!?” 「俺は殺されねぇ」 杉元はそこまで言うと銃剣を抜き取り、切先を先生に向ける。 「もしあの子の洗脳が解けないのなら…俺がこの手で終わらせる。それがあの子の相棒としての…あの子を巻き込んでしまった大人としての責任の取り方だ」 “杉元さん…尚更、あなたを生かせるわけには行かない。” そういうとホシノはショットガンを構える。杉元が後ろを向くと便利屋が、上を見ると風紀委員長がいた。 “杉元さん…もしあなたがあの子を殺すつもりなら、殺させる訳には行かない” 「あんたら、まだ手は汚れてねぇだろ?そんな気がする。俺は既に何人も、何十人も自分が生き残る為に人を殺している。あんたらの代わりに手を汚すだけさ」 “でも杉元さん、自分にとって大切な人を殺してしまったら…本当に地獄に落ちてしまう!そんな事はさせない…させたくない!” 先生が必死に杉元を説得するのを見て、杉元は、ハハッ、と思わず笑ってしまう 「地獄に落ちる…ね、それなら俺はとっくに特等席さ」 でも、と続けて二人に合図する。 「アシリパさんには…地獄に落ちてほしくない。人を殺してしまった後悔で苦しんでほしくないんだ…白石!頭巾ちゃん!走るぞ!」 いくら相手の方が町を知っているとはいえ、二人はホシノたちより早い。更にこの宵闇なら追って側が不利、こちらの方が有利と判断し、全力で先生の方へ駆け出した時だった 「オrrrrrrrrrrrrrrrrr」 杉元は後ろから声がして、振り向くと絶句した。 「ヴエッ、オエェェェ…ウプッ、ずぎ、ずぎもどぉ…だずげで…」 白石が四肢をついて思いっきり胃の中身を口からぶちまけていた。 それに思わず先生と生徒も 「「「「「「“え?”」」」」」」 と、驚いてしまう 「エッ、ちょっ、おま…何してんだ白石!」 「いや…酒が…気持ち悪くて…」 「なっ…なんでこんな時に酒飲んだんだ!この役立たず!!」 「だって、ずぎもど…アシリパちゃん本当に探しに行くのかわかんなくて、いや、そうかなとも思ったんだけど、違うかもだし、じゃあ酒でも飲んで待つかってなっ、ヴッ、ヴェェェェェェ…」 「テメッ…信じてねぇじゃん!全然信じてねぇじゃん!!」 ホシノ達は呆気に取られながらも戦闘体制に入り、三方を完全に囲む。だがそんな時でも白石はヒイヒイ言いながらなんとか立ち、産まれたての子鹿みたいになっていた 「おいどうすんだよこれぇ!完全に囲まれちまったじゃねぇか!おい白石!てめぇちょっと突っ込んで撃たれてこい!その間に俺たちは逃げるから!」「うるせぇお前がやれ!不死身だろ!!撃たれろ!!!」 散々言い合っていると、杉元が正気に戻ったような顔になり、先生の方を向く。 「せ、先生…俺はアンタには感謝してもしきれねぇよ…だからこそ、俺たちの問題に関わらせたくない。俺たちの問題は自分たちで解決したいんだ…頼む」 先生は杉元の言葉を黙って聞くが、先生は首を横に振る “杉元さん…あなたが自分の大切な人と決着をつけたいのなら、私はそれを全力で応援する” 「じゃあなんで邪魔をするんだ」 “あなたが大切だからです” 先生はまっすぐに、濁った目をした杉元の目を見て話す。それを見て杉元は驚いた表情を見せるが、すぐに真顔に戻る 「大切…ね、俺の何を知ってるんだ?アシリパさんの事も、俺の事も何も知らねぇくせによ…」 “うっ…それは…そうだけ「もういい」…ホ、ホシノ?” 「先生、多分だけどこれ以上説得しても無駄だよ?特に杉元さん相手ならね」 ホシノはショットガンを杉元に構え、先生と話す ハァ「…結局、力づくか」 杉元はため息をつくと、ホシノの方を見る 「…いいぜ、かかってこい 殺せるもんならな」 そう言うと杉元は小銃を肩から下ろし、それを見たホシノが引き金に指をかける。だがホシノが想像してた使い方ではなく、杉元は銃口付近を持つとそのまま先生目掛けてぶん投げる 「っ!」 ホシノはショットガンではたき落とし、再度杉元の方に向けるが既に杉元は銃剣を持って自身の間合いに入っていた ギャリッ「うわぁお!?」 杉元はホシノの銃口を持って自分から逸らすと、持ち手を銃剣の刃で攻撃して離さすと、そのまま自分の後ろへ投げ捨てて右手に持ってる銃剣で顔を突き刺そうとする。これをホシノはなんとか右にかわすが、 ドッ「ッ!」 杉元は右に避けたホシノの脇腹を思いっきり蹴ると、そのまま襟を持って背負い投げをし、首に銃剣を当てがう 「…こりゃまいったね〜」 杉元はホシノの首根っこを掴み、銃剣を喉に当てがいながら先生の方へ向くと、杉元は 「交渉だ、先生」 先生の目をまっすぐ見ながら話す “…なんだい?” 「コイツを解放する代わりに三つ条件を呑め。一つ、俺たちと手を組め。二つ、情報は全て共有しろ。三つ、もしアシリパさんがいた場合まず真っ先に俺に知らせろ。これが条件だ」 “…分かった、条件を飲むよ” 杉元は先生の言葉を聞くと、ホシノから手を離す。 「…俺の完敗だ、先生」 杉元は両手を上げながら自身の敗北を宣言する。 「俺はアンタを裏切った…にも関わらず、アンタはまず俺の心配をしてくれた。アンタの情に絆されちまった」 「改めて…先生、力を貸してくれ」 “うん、私なんかの力で良ければ、いくらでも貸すよ” 先生は左を、杉元は右手を出し、固い握手を結んだ… 「ねぇ…私たち空気になってない?」 「なんか二人だけの空間になっ…ウプッ」 フンフン… 「ここに来た意味あったか分からないけど…万事解決ね!」 「なーんだ、つまんないの」 「な、何を爆発させればよかったんでしょうか!アル様!」 「何も爆発させなくていいわよ」
田園風景
ガタンガタン…ガタンガタン… 電車が線路の上を通る音、その電車の窓から僕の顔を狙うかのように刺す太陽光、田舎の電車にしては新しいような気がする扇風機の風を感じながら、僕は故郷へと帰ってきていた。 都会に憧れ、高校を卒業したら都会の大学へと飛んだものの、そこで待ってたのは毎日残業続きの会社員生活のみ。だが毎日毎日仕事を頑張ったのが功を制したのか、有給を取ることができ、日帰りながらもなんとか故郷へと帰って来れた。 『○○駅〜○○駅〜お降りの際は足元にお気をつけください』 ぼーっとしていると車内アナウンスが流れ、思わず驚いてしまう。 ミーンミンミンミンミン… 電車の扉が開くと今まで聞こえてこなかった蝉の喧しい鳴き声が耳に入ってくる。それと同時に夏の気温が肌で感じ取れ、僕は自販機に駆け寄っていろはすを買い、すぐに蓋を開けて中を飲み干す。熱った体に冷たい水が染み渡り、とても気持ちが良い。そして荷物を手に持ち直し、駅の構内を出てすぐに左の方へと歩く。 歩いている道中、昔馴染みのおじいちゃんやおばあちゃんと挨拶を交わしながら、実家へと暑さに耐えながら歩く。ここまで暑いのなら隣の大きい水の方を買っておけばよかったと後悔しながら坂道を歩いていると、視界の端に木造の建築物が入ってくる。そちらの方へ意識を向けると “○○小学校” 懐かしい母校の名前が見えてくる。だが隣の掲示板には十年前のボロボロになったチラシが貼られっぱなしで、どこか寂しさを覚えてしまう。だがあまりの暑さでそんな感情はすぐに消え去り、再び実家の方へと歩く。この坂道も、友と一緒に駆け回りながら遊んでいたと思い出すと懐かしく感じる。 それから数分歩き実家のようやく前へと辿り着く。 ジリリリ! 玄関の隣にあるインターホンを鳴らすと、黒電話のような音を鳴らしながら来客の合図を家内へと送り出す。 ザァァァァ… 横から風が吹きそちらの方へ顔を向けると、そこは立派な田園が広がっていた。それを見た瞬間思い出す。 母と共に肥料を撒き、二人で昼食をあの真ん中の木の下で食べていた暑い夏の日を。 父と共に黄金の稲を収穫し、二人で刈り取った稲を家の近くの倉庫まで運んだ日を。あの日々がたまらなく愛おしいと感じてしまい、後悔が心の中で湧き立つ。だがこれが自分で選んだ道であり、これが自分の人生なのだと割り切る。 ガララ すると玄関が横に開き、腰の曲がった母が驚いた顔でこちらを見てくる。僕はそんな母に一言、こう伝えた。 「ただいま」
動く歯車
「なんでお前がここにいるんだ白石!」 「こっちのセリフだぞ杉元!」 2人は再開して早々、口論になる。その様子を呆気に取られた様子で見るアビドスの生徒と先生。 “えっ…と…君たちは、知り合いなのかい?” 先生に質問をされ、2人は先生達の方へ顔だけ向く。 「あー…俺たちは、一緒に旅をしていたんだ」 「そう!その途中で逸れちゃって、今再開できたんだよ、な!」 白石は杉元との関係を言う。すると杉本の頭の中に一つの仮説が生まれる。 「…白石、アシリパさんは?」 「え?ここに来てから見てないけd「なんでそれを先に言わねぇんだ白石!」うおぉ!?」 杉元がいきなり白石の胸ぐらを掴む。 「もしかしたらアシリパさんもこっちに来てるかも知れねぇ…ただでさえここは治安が悪いってのに…早くアシリパさんを見つけねぇと!」 “ちょ、ちょっといいかい?話に全く追いつけn「先生!少しの間だったけど、ありがとう!俺アシリパさんを探さねぇといけなくなったから!じゃ!」 先生の質問どころか全員の息をつかせないまま、杉元は先生の部屋から飛び出し、そのままシャーレを後にする。 「せ、先生!早く追いかけないと!このままだと逆に杉元さんが危ないです!」 “た、確かに…よし、急いで杉元さんを探そう!” 「「「「「「おー!」」」」」 “白石さんも、ついてきてくれませんか?” 「あぁ、いいぜ」 そうして杉元を探すために、アビドスと先生、後白石はキヴォトスへと赴く。 キヴォトス 「なぁそこのあんたら」 「「?」」 「ここら辺で、青い目と髪をした女の子を見なかったかい?」 「いや…お前は?」 「見てねぇ」 「そうか…ありがとう」 杉元はキヴォトスの住民達に1人づつ聞き込みをして回っていた。 (早く見つけねぇと…アシリパさんのことだから多分どうにかしてると思うけど、万が一チンピラに絡まれてたら大変なことだ…) (俺が役立たずなばっかりに…不甲斐ない。) 先生side “みんな!見つかったかい?” 「いえ…まだです」 「ん、右に同じ」 「なかなか見つからないね〜…杉元さん」 アビドスのみんなはなかなか見つからない杉元に少し疲れが見える。だが白石は 「…急いで見つけねぇと」 一人で焦っていた。 「まぁまぁ…落ち着いてよ白石さん。あの人は強いから、スケバンとかに絡まれても大丈夫だと「そう言う心配じゃねぇんだ」?」 「俺は…もう杉元に自分だけ傷付けばいいなんて思ってほしくねぇんだ」 「また一人で戦ってほしくないんだ」 白石は自分の心情を、先生とアビドスのみんなに伝える。 「杉元さんって…本当は何者なの?」 シロコが白石に質問をする。 「あぁ…アイツから聞いてなかったか。アイツは兵士さ、でもただの兵士じゃねぇ。アイツは−ドォォォォォン… 白石のセリフに被せるように、近くで何かが爆発する。 「!?な、なんだぁ!?」 「せ、先生!指揮をお願いします!」 “あ、あぁ…みんな、出動だよ!” 「「「「「了解!」」」」」 先生の呼びかけに、生徒達は全員答えると、現場へと走って向かう。無論、白石もその後を追う 杉元side ドガァァァァァン! 「キャーーー!」 現地では人々が悲鳴を上げながら、オートマタ達の群れに逃げ惑っている。 そんな中、杉元だけは冷静でいた。 「なんだアイツら…いきなり攻撃してきぞ…とにかく、なんとかしないと」 杉元は遮蔽物に隠れながら小銃を構えると、立ち上がってオートマタ達に銃口を向ける。が、 ギギッ 全オートマタが杉元の方を向いた あ、これはヤバい そう直感で理解した杉元は急いで隣の車だった物へと隠れる。 「イタゾ、キズノオトコダ」 ドドドドドドドドドン オートマタは車の方へ銃口を向けると、一斉に射撃する。 そんなオートマタ達の前に、杉元はただ隠れるしかなかった。 (アイツらの狙いは初端からおれかよ!) 隠れながら杉元は悪態をつく。すると 「あーもう!ここ最近いいこと全くないじゃないのよ!」 右の方から聞こえた声の方を見ると、桃色の髪をした女性が隠れているのが見えた。 「おい!あんた!「へ?」アイツらの狙いは俺だ!あんたも今のうちに逃げろ!」 「あのねぇ!こっちにも便利屋の社長としての威厳があるのよ!逃げるわけドォォォォォン!のよ!」 「なんてぇ!?」 「カンネンシロ」 そんなくだらない即興コントを女性としていると、上の方からオートマタが一体身を乗り出すように銃を向けてくる。 だが杉元は銃床を上に勢いよく振り上げ、相手のカメラを破壊すると、亀裂から銃剣を突き刺し横に裂く 「クッ…ヤレ!」 オートマタ達は一斉に射撃をするが、杉元はその一体を盾にしながら前進し、接近戦を仕掛ける。 「オイ!アイツゼンゼンツヨイジャナイカ!」 「コノママデハゼンメツシテシマウ…ナントカシ シュパァァァン! 話していた二人のうち一体の頭が撃ち抜かれ、隣のオートマタにもたれるように倒れ、その隣もすぐに撃ち抜かれた。これを撃った人物は勿論 「全く…覚悟なさい!あなた達!」 我らが社長、陸八魔アルであった。 一方、杉元はというと 「オラァ!!」 すでに数体は倒しており、何体かは必死に抵抗をしている。 「コイツ…イイカゲンニ ズドォン! 直後、相手の体に数個の穴が空き、後ろに倒れる。 「!?」 「やっほ〜杉元さん。おじさん達が助けに来たよ〜」 後ろを見るとそこにはアビドスの生徒達に先生、ついでに白石が立っていた。 「え…みんな!?なんでここに…」 「お前を探しにわざわざ出たんだよ」 「白石まで…」 「ん、とりあえず下がって。あとは私たちがやる」 「き、危険だよ!」 「大丈夫ですよ〜?私たち強いので〜」 「で、でも…」 「まぁまぁ、見てなって」 アビドスのみんなが戦うことに反対をする杉元を、白石は宥める。 「じゃあ…先生、よろしくお願いします」 “うん。みんな、戦闘用意!” −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 杉元はまるで信じられないものを見たような顔になっていた。いや信じられないのも無理はないが。 まず、ホシノが前線で盾を構えながら散弾銃を乱射し、その後ろからシロコ、セリカが銃で敵を射抜き、後方からノノミが機関銃のようなものを乱射し、仲間が傷つくとアヤネが支援をする、何よりすごいのはこの先生の的確で迅速な指示。まさに完成された陣形だった。そのおかげか 「クソ!コイツラツヨイゾ!」 「テッタイダテッタイ!」 街を襲ってきたオートマタ達は全員撤退し、脚が壊れたオートマタしか残らなかった。 “どうだった?これが私たちの戦い方だよ” 「…あんたら凄いな」 杉元はあまりの凄さに、少し語彙力が死んでしまっていた。 「さて…お前、まだ動くよな?」 杉元は脚が壊れたオートマタに近づき、問いかける 「こんな女の子をしらねぇか?正直に答えろよ」 杉元はアシリパが映っている写真を見せると、まるで尋問をするかのような雰囲気で話しかける。すると 「ン?…ソイツナラシッテイル」 「!」 思わぬ返答が返ってきた。 「そうか…じゃあこの子はどこにいる?」 だが杉元は喜ぶ素振りをあまり見せず、淡々と質問をしていく。 「タシカ…ソイツハホンブニツレテイカレタ…トキイタ」 「本部ぅ?」 「アァ…ソイツナンテイマゴロ、アルジノオモチャニデモナッ!? 「本部はどこだ?答えろ」 杉元は微かに怒気を含んだ声で、オートマタの頭を掴みながら質問をする。 「杉元さんって思ったより怖いね」ボソッ 「ん、同感」ボソッ 「シ…シラン!オレラハタダノ支部戦闘員ダ!ホンブノイチナンテワカラン!」 「…そうかい」 杉元は手を離し立ち上がり、小銃を持つと 「じゃあな」 「ヘ?チョ、チョットマ ズドォン 杉元は小銃をオートマタに向けると、命乞いを聞く途中で頭を撃ち抜く。 「…相変わらず容赦ねぇなぁ」 「?当たり前だろ」 杉元の容赦の無さに白石は“相変わらず”と言ったが、他の人たちは (こ…怖い…) そう思っていた。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 「せ、先生?この人たちは誰なの?」 少し、いやかなりビビった様子でアル社長が先生に質問をしてくる。 “ん?あぁ…この人たちは…別の世界?から来た人たちだそうだ。” 「そ、そうなの…」 社長は先生の説明に納得したようなそうでもないような返事をする。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 数時間後 シャーレ 「全く先生ったら…また仕事を溜め込んで…」 「でもすごい嬉しそうだけど〜?」 「な!?こ、これはちが…」 「アリス知ってます!こういうのを“ツンデレ”というのですよね!」 「ちーがーうーわーよー!」 舞台は変わってシャーレのオフィス近くの廊下を、早瀬ユウカと才羽ミドリ、天童アリスは歩いていた。 三人が仲良く歩いていると先生の仕事場に着く。 ユウカは礼儀良くドアをノックして開けると、 「ぐぉぉぉぉぉぉ!ほどけぇぇぇぇ!」 何故か部屋の隅で縄で縛られている杉元がいた。 “あっ!ユウカにアリス、ミドリまで来てくれたんだね!” 「あ、あの先生…あの人達は…?」 “あの人は杉元さん。ソファに座ってるのが白石さん。そしてその杉元さんをスケッチしてるのが途中で出会った頭巾さんだよ” と、丁寧に説明をするが2人共イマイチ追いつけていない様子。だがアリスだけは 「アリス分かりました!そういうぷれいですね!」 「ちがぁう!」 何故か間違った方向に理解していた。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 「白石…これを解いて「やだ」…即答かよ」 「だってお前、それほどいたらまた“アシリパさぁん!”つってまた街に出るんだろ?何にもわかってないくせに」 「うぐっ…あ、アシリパさんが危険な目にあってるかも知れねぇのに、呑気にお茶なんてしてられるかよ!」 杉元は図星を突かれた声をあげ、すぐに反論する。 「別に心配すんなって言ってねぇけど、考えなしに探しにいくなっつってんの」 「だったら!「じゃあお前どうやって本部にいるアシリパちゃん見つけるつもりなんだ?」 …」 「お前のことだから、支部を潰して聞き回ればいずれみつかるとかおもってんだろうけどよぉ。何日、いや何ヶ月かかると思ってんだ?ただでさえ俺たちはあっちでもピンチなのによぉ…それに、杉元のこと知ってるんだろ?アイツら。だったら大人しくした方がいいぜ?アシリパちゃんがさらに酷い目に遭うかもだからな」 白石はそこまでいうと、喉が渇いたのか紅茶を一杯啜り、“うまい!”と言った。 だが杉元は険しい顔つきをしたまま、じっとどこかを見つめていた。ズキンチャンのスケッチをする音を聞きながら…不安な気持ちと戦っていた 「第7支部戦闘部隊ガヤラレタヨウデス」 「そうか…敵の所在は?」 「映像ヲ見返シタトコロ、“先生”ト呼バレル男ガ映ッテイマシタ」 「成程…シャーレに我々本部部隊で襲撃を行う。準備をしろ」 「了解シマシタ、ニュー隊長」
番外編 各々の動向
ヤァみんな!俺、白石由竹☆北海道でアシリパちゃん達と旅をしていたら霧に揉まれてみんなと逸れちゃった!どうしよう。 「アシリパちゃぁん…杉元ぉ…ズキンチャァン…」 俺は不安で弱々しくなった声で杉元達を探しながら歩く。すると ゴンッ 何か壁のようなものにぶつかって後ろに倒れてしまう。 「いったぁ!」 痛みに悶えてると辺りの霧が晴れ、景色が見えてくる。 だがそこはなぜかどこかの建物の中だった…は? (ここどこだ!?俺さっきまで外にいたよな?ていうかみんなは!?) 俺は辺りを見渡すと変な頭をした男がこちらをじっと見ていた。 (ここは建物内、人がいる。つまり俺がまずすべきことは…) 「違うんd「侵入者だぁぁ!」 この後俺は狐のお面をつけた女の子に銃を突きつけられ、連行された。 やぁみんな、私はヴァシリというものだ。尾形、と呼ばれているあいつと決着をつけるため、遥々この日本という国へこの三人と来ていた。だが霧で三人と逸れてしまい、周囲を警戒しながら歩く。すると霧が少しずつ晴れていき、やがて周囲の状況が確認できる。だがそこは外というより室内だった。 (なぜ外から室内へ移動したのだ?そもそもここは一体どこなのだ?少なくとも私の知っている場所ではないが…) 私は小銃を構えながら周囲を警戒する。すると ガチャ 後ろの扉が開き、頭の上に天使の輪のようなものが浮かんだピンク髪の女が入ってくる。 「…」 (ここは一つ対話を試みよう) そう思った私は絵を取り出して対w「あ、あなた誰よ!」 「どどどど、どうしましたかアル様!」 「え…誰?」 「わー!なんか面白い事になりそう!」 何を言ってるか分からなかったが、対話はもう出来なさそうだ。 そうヴァシリは判断すると、腰にある拳銃を威嚇で撃ちまくり入ってきた4人がしゃがむ。その隙にヴァシリは後ろの窓を突き破り、全力で走りながら拳銃を再装填する。 「な、なんなのあの男!いきなり発砲だけして逃げたわよ!」 「だだだだ、大丈夫ですか!?アル様!」 「とにかく追いかけるわよ」 「くふふ♪楽しい鬼ごっこだー」 便利屋68の4人は、各々戦闘準備を整えヴァシリの後を追う。 To be continue…
邂逅
何度目を擦っても何度深呼吸して前を見ても、俺の目は砂原の大地を写していた。 「…ぁあ?」 俺の頭はまだこの状況を処理しきれておらず、思わず素っ頓狂な声をあげてしまう。 (俺、雪原を歩いてたよな?なのになんでこんなところに…そういえばアシリパさん達は?大丈夫なのか?) 頭をフルで回転させながら三人を心配する、が 「…とりあえずあのデカい建物のとこに行ってみるか」 そう誰も聞いてない独り言を呟くと、俺は立ち上がって線路沿いに歩き始める。目指すはあのバカでかい建物…建物だよな? −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− あれから何時間歩いたり走ったりし続けたのだろうか、ある時はチンピラに絡まれ見たことのない銃を撃たれながら追いかけられたり、ある時は変な格好した五人組が襲いかかってきたりと散々だった。正直どこか安全なところで一息つきたい、そもそも今どのくらいの時刻なのだろうかと太陽の方を見ると、すでに日は沈みかけていた。 「急いで木を集めねぇと」 夜の砂漠は寒いと兵営で聞いたことがある、俺はなんとかそこらに落ちてる枝を拾ったり倒壊した建物から木の板を集め、一箇所に集めるとマッチを使い火をつける。 すでに周囲は暗くなっており、空を見上げると綺麗な星と月がよく見える。 「さて…どうしたものか」 俺は焚き火に当たりながら今日起きた1日を振り返り、いくつか仮説を立て、一つの結論に至る おそらくここは別世界?とかいうものなのだろう。見たことない銃を持った連中に変な格好の連中、おまけに壊れた線路の上に鎮座している壊れた長方形の汽車、どう見ても俺の知ってる“日本”ではない。 そもそも元の世界に戻れるかどうかすら怪しい、というかなんでこの世界に来たのかすら分からない。カムイのイタズラなのだろうか 「考えったって仕方ねぇか…寝よう」 色々考えてるうちに面倒くさくなり、そのまま横になる。 「アシリパさん…大丈夫かなぁ…」 明朝 「おいここに焚き火の跡があるぞ、しかもまだ暖かい」 「誰かが近くにいるかもしれん…周囲を探せ」 「「了解」」 4人のPMC兵が焚き火の跡を見つけ、周囲を捜索する。 その様子を杉元は近くの廃墟に隠れながら伺っていた (あの格好にあの銃…間違いねぇ、昨日俺を襲ってきた連中だ) 杉元は銃剣を抜き、自分の小銃に手慣れた手つきで取り付ける (こちらにきた瞬間、声を出す前に喉に銃剣を突き刺して殺す) 杉元が臨戦体制を整え、PMC兵が廃墟を捜索しようと入り口に近づき、扉を開け ドォォォォォン… ようとした瞬間、かなり近くで爆発音がし、PMC兵は爆発音のなった方向を見る。すると爆炎が立ち上ってるのが見え、慌てふためく 「隊長!あの位置は…」 「あぁ…我々の本拠地だ!急いで戻るぞ!」 「「了解!」」 PMC兵達は走って爆発音のなった方向へ 向かう、そしてその様子を廃墟から出た杉元は眺めていた。 「…結局なんだったんだあいつら」 杉元は呆気に取られたような、呆れたような声で独り言を呟く PMC軍 本拠地 「グワァァァァ!」 ズドドドドドン ドガァン バガーーン PMC兵達はグレネードやアサルトライフルを乱射し必死に抵抗をするが、オートマタ達は次々と拠点を破壊し、とうとうこの本拠地の総司令官を捕え、部隊を指揮しているであろう人物の前に座らせる 「お前らの目的はなんなんだ…!」 総司令官は部隊長に質問をするが、返答は返ってこない 「コノオトコドウシマスカ、部隊長殿」 「本部の地下牢にでも入れておけ」 部隊長が命令をすると、男を連れ去り、部隊は引き上げた。その場にあったのは最早廃墟のみであった 昼頃 道中変な覆面を被った連中に襲われたりしたが、なんとかデカい建物付近に近づけれた。上を見ると気球のようなものが浮かんでおり、“キヴォトス”と書いてあった 「ここはキヴォトスっていうのか…にしてもでっけぇなぁ。東京でも見たことがないぞ」 初めて人が多いところに来た時のようなワクワク感が溢れ、軽い足取りで建物の方へ向かう。 安全な場所だといいなぁ 前言撤回、ぜんぜん安全じゃない ただ普通に歩いてただけなのにいきなり銃撃戦に巻き込まれたり金を出せと恫喝されたり(全部返り討ちにしたが)と、心身ともにかなり限界を迎えている。というか2、3発銃弾が体にめり込んでいるため、早く銃弾を取り除いて体を休めたい。そんな一心で足を無理矢理動かしていると、人気のない大きな建物が見えてくる。 (なんだあそこ…見た感じ人はいなさそうだし、あそこで休もう。包帯もあれば万々歳だな) そう決意した俺は壁にもたれながら頑張って歩く。だが俺はここで一つミスをしてしまっていた 「…誰?」 背後に青いマフラーをした銀髪の少女に、気づけなかったことだ 校内 中に入って分かったことは、ここは廃校になった学校であることだ。各部屋ごとに机がいくつか規則的に並んでおり、大きな黒い板が壁に張り付いていた。だが廊下は砂が所々積もっており、窓に至っては外の様子を見ることができないほど汚れていた。 ここも昔は人で溢れていたのだと思うと、少し寂しさを覚えてしまう。すると物置小屋のような場所を見つけ、中に入る。 「中は思ったより綺麗だな…よし、ここで休むか」 そうと決めた俺は物置小屋に包帯がないか漁ろうとした、その瞬間だった ガチャッ 「動かないで」 背後から自分以外の声が響き、振り返ると PMC兵 変な奴らが持ってた銃によく似たのを動物の耳が生えた銀髪の少女がこちらに突きつけていた。 (…しまった!) 俺はすぐに銃剣を抜き取り、撃たれる前に突き刺そうとした、が ガクッ 突然足に力が入らなくなり、その場に倒れてしまった。 くそ、動けよ、俺のから、だ− −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 「………で、この人はどうすれば良いのでしょうか…」 「うへ〜、もしかしたら新入生かもしれないよ〜?」 「明らかにそんな見た目じゃないでしょ!?も〜…ホシノ先輩は…」 意識が戻るのと同時に隣から複数人の話し声が聞こえてきた。どうやら俺の処遇について話し合っているようだ。しかし悠長に聞いているわけにもいかない。恐らく俺は武器を取り上げられ、尚且つ武器を装備している集団の本拠地に無防備で放置されているのだ。あの時とは違って、いつ撃たれてもおかしくない状況下に晒されているのだから。 −銃剣を急いで取って1人を人質にして逃げるか?それとも隣の窓を突き破って無理矢理逃げるか? そんなことを考えていると、こちらに近づいてくる足音が聞こえてきた。 「…この人、少し動きませんでしたか?」 「ん、起きたかも…ねぇ、私たちの声が聞こえるなら返事をして」 …マズイ、意識が戻ったことがバレた。もうこうなったらこいつら全員なんとかして殺すか?幸い武器はこいつらが持っている。すぐ近くの奴の首をへし折って武器を奪い取れば…いけるな 俺が早速行動をしようとした時だった。 「…もしかして私たちを危ない集団だと思っているのかもしれないけど、むしろおじさん達は君のことを助けたいと思ってるんだよね〜」 「うん。あなたが学校に入っていくのを見て最初は侵入者だと思ったけど、すごいボロボロだったし違うのかなって」 ……あまりに予想外な言葉が飛んできて、内心驚いた。俺を騙す嘘の可能性もある。だがここで気を失ったふりをしていても状況は変わらない。一か八か対話を試みることにした。仮に騙されてたのなら、全員この場で殺せば良いだけのことだ。 「…そうかい」 「わぁ、本当に起きてたんですね〜♪おはようございます〜♧」 「こ、こっち見た…大丈夫なのかしら…」 目を開け起き上がった俺の視界に入ったのは5人の少女。長い桃色の髪をした女、俺に銃を突きつけた犬の耳のようなのが生えた銀髪の女、薄い黄色の服を羽織り笑顔でこちらを見つめる女、奥で警戒心むき出しの獣の耳を生やした一本結びの女、眼鏡をかけ長い耳が生えてる女だった。警戒こそしているが敵意は感じられない。杞憂だったかと、少し安心する。 「私の言葉に答えてくれてありがとね。じゃあ〜…どうしてここに来たのか、おじさん達に教えてほしいな」 桃色の髪をした少女が問いかけてくる。 「雪原を歩いてたら霧が出てきて、そのまま歩き続けたらいつのまにかこの世界に…そして変な奴らに襲われて逃げて逃げて…休める場所を探してたらここに辿り着いた」 「それって…もしかしてアレ?最近流行ってる異世界転移ってやつ!?おじさん、そういうのちょっと疎いんだよな〜」 「…ますます怪しくなってきたわね」 まぁそりゃそうかと内心思う。自分でもいまだに信じきれていないのだから。だが銀髪の少女だけは小さな声で「…私と同じ」と呟いてたのが気になっていたが、赤の他人の俺が深く聞くのも野暮だと思い胸に留めておくことにした。 「…ここに無断で侵入してきた俺を追い出すどころか休ませてくれたアンタらには感謝してる。それでも俺は邪魔者だってことには変わりない」 「短い間だったけどありがとう。俺はここを出てなんとか元の世界に戻るよ。じゃあね」 と、申し訳なさとアシリパさんのことからここを去ろうとしたが、黄色の服を着た少女が声を上げる 「ダメですよ〜?そんな別の世界…?からやってきた上に、片腕が折れてる方を放ってはおけませんから。ねっ、ホシノ先輩?」 「うんうん、それに今日は先生も来る予定だしね〜。そうだアヤネちゃん、先生は何時頃に来るんだっけ?」 「はっ、はい!確か昼頃には来ると言ってました」 「そっか〜じゃあもうすぐだね。それまでここでゆっくりしてってよ。いいでしょ?みんな」 「まぁ…ホシノ先輩がそういう…なら」 「私はいいと思う」 「もちろん大丈夫ですよ〜♧」 「私もだ、大丈夫です!」 …なんて優しい子達なんだ。 「…ありがとう、じゃあお言葉に甘えてそうさせてもらおうかな」 彼女達が先生とよぶ人物が来るまでの間、俺たちは軽く自己紹介をした。 桃色の髪をした少女はホシノ、黄色の服を着た少女はノノミ、銀髪の子はシロコ、一本結びの子はセリカ、眼鏡の子はアヤネというらしい。そして俺の番が回ってきた。 「俺は杉元、杉元佐一ってんだ。向こうの世界じゃ、一応兵士だった」 「へ〜兵士…もしかしてその顔の傷は戦闘の時についたのですか?」 「まぁ…そうだな」 「お〜カッコいいね〜」 「ん、同感」 「…ありがとう」 そんな他愛もない会話が続いていると ブーッブーッ どこからか振動音のようなものが聞こえてくる。 「あっ、先生からです!どうしましょうか?杉元さんのことも事前にお伝えした方が…」 「うん、その方がいいね〜。きっとあの人なら何か案を出してくれると思うしさ。それに大人だしね?」 この子達からそこまで信頼されてるあたり、とても人望がある人なのだろうと、鶴見中尉と土方歳三を思い出してしまう。いやあいつらと一緒にするのは先生とやらに失礼か 数分後 コンコン “入っていいかい?” 扉が叩かれ声が聞こえてくる 「あ、先生だ!どうぞ」 アヤネさんが許可を出すと、扉が横にずれて開く。 扉が開くとそこには人当たりの良さそうな好青年が立っていた。なるほどこいつが先生か… “みんな久しぶり、でそこにいる人が…杉元佐一さん、で良いのかな?” 「あぁそうだ、よろしく」 “初めまして、事情は聞いてるよ。なんでも別の世界から来たらしいね” “実はシャーレにも1人そういう人が最近来てね…うん、嘘はついていなさそうだ。とりあえず…シャーレに行こう。そこなら街中より安全だから” 男はそう言うと俺の手を引く形で教室を出て、そのシャーレ?とやらに向かう事になった。しかしこの男、とんでもない観察眼を持っているらしい。嘘はつけなさそうだな。 シャーレ前 “ここがシャーレだよ。” 「こりゃまたでっけぇな…」 男に連れられてきたシャーレは、なんともデカい建物だった。多分俺の人生で見てきた中で一番デカいのではないかと思いながら、男の後ろについていく。 中はとても広く綺麗で、見たことのないものばかりだった。 “君がいた世界にこんなとこは無かったのかな?” 「あぁ、殆どの建物が木で出来てたからな。正直見惚れちまった」 “ふふ、そっか…とりあえずエレベーターで上にあがろう” 「えれべーたー?」 この後入った部屋が突然1人でに上へと上がっていくのを体感し、「スゲェ!」と言い男に笑われ、少し恥ずかしくなった そして部屋の前へと着き、扉を開けてもらうとそこには 「「…え?」」 白石が座っていた
プロローグ
某月某日、アシリパさんにズキンチャン、それと白石と俺の四人で空知川に来ていた 「霧が出てきやがったな…」 「杉元!やっぱり近くのコタンに戻って霧が晴れるまで待とう、その腕で山道は危険だ」 「転んじまったら治りかけの骨がまた折れちまうぞ」 アシリパさんと白石は平太師匠のせいで折れた俺の左腕を心配してくれるが、 「大丈夫、平気だよ」 俺は心配をかけさせまいと大丈夫と2人に言った。 この時提案を受け入れていたら、あの夢のような出会いはなかっただろう 「おっとと」 俺はうっかり躓きかけてしまい、三人を視界内から視界外に外し、また前を向くが霧が先ほどより濃くなっており、見失ってしまう。 「アシリパさぁん!白石ぃ!」 俺は2人の名前を呼びながら周囲を見渡し歩き始める、だがそのせいで足元がお留守になってしまってたようで、雪で出来た急な坂をずり落ちてってしまう。 「ひえ〜…ずいぶん滑り落ちてしまった…これを片手で登るのはちょっと厳しいぞ…回り込んで登れば落ちたところに戻れるかな?」 そう思いついた俺は足早に上の方へ回り込もうと足を動かす。 ザク、ザク、ザク、ザク、ザク、ザク、ザク、サッ、サッ、サッ、サッ、サッ、サッ 足音なんて気にせず前に歩き続け、霧が晴れてきたと思い更に早く歩き始め、霧が完全に晴れるとそこは あたり一面の砂…砂漠であった 「…どこぉ?」 俺の無力な一言が、砂漠に吹く少しの風と共に消え去ってゆく