藤咲 ふみ(6/29夜新作アップ)
64 件の小説藤咲 ふみ(6/29夜新作アップ)
はじめまして。クラゲとクジラが好きな成人済の女です。基本的に木曜日に小説を更新しています♪「窓辺のしぇりー」の名前でXにも存在しております🫢夜書いた文章は朝には読み返します。短いけど読み応えのあるギュッとした、自分が素敵だと思える世界を置いていきます😌よろしくお願いいたします☘いいね♡、優しいコメントくださるととても喜びます! ※表紙のイラストはAIアプリで作成したものを使用するか、フリーイラスト等をお借りしております。 ※ここに上げている作品の全ての著作権は、私のものとさせて頂きます。二次使用など何かご入用の際は一言お声掛け下さいますようにお願申し上げます。(お断りなく一部でもご使用された場合は通報などの措置をとらせて頂きます。) start:2024.5.24
七夕星屑装飾作業員
「七夕の夜空を作る人を募集します。 応募要項、十五歳以下の男女。 七月六日の夜に仕込みをするので、その夜に家を抜け出せる勇気がある方。 一晩の記憶が消えてしまっても、ときめきを忘れないでいられる自信がある方。」 僕は商店街の片隅に貼られたそのチラシに、なんだかとてもワクワクして、書かれた連絡先に電話をした。 「はいこちら『七夕ミルキーウェイ運営委員会』。」 案外普通の声のトーンの係りの人が、電話に出た。 僕は少し緊張しながら、でもハッキリと伝えた。 「商店街のチラシを見て電話しました!僕、七夕の空を作りたいです!」 それに係りの人は、はい!と答えて色々と説明をしてくれた。 待ち合わせ時間は七月六日の夜中の十二時。待ち合わせ場所は空の上。行き方は⋯それ専用の星を送るからそれを持てば自然に空に浮くと教えて貰った。 そんなこんなで、僕は当日までワクワクして過ごした。 あの広い星空の中に、自分も入れるなんて 「夢みたいだ!」 そうして迎えた七月六日、夜中の十二時。僕は言われた通り、家に送られてきた星屑製造キットを手に取って外に立った。 すると 「わー、体が空に、浮いてく!」 僕は笑顔で、どんどん小さくなる自分の暮らす街に手を振った。 やがて雲もなくなり、辺り一面星が綺麗な宇宙に入ると、僕の体はふわりと止まった。 そこには何人もの子供達が、僕と同じように、キラキラとした星屑製造キットを持ってふわふわと浮いていた。 皆一様に、初めて来る宇宙にワクワクしている様子だった。 すると係りの大人が僕らに言った。 「皆さん揃いましたか?いいですか、今から皆さんには七夕の空を綺麗に飾って貰います!星屑製造キットは持ってきましたね?それを色々な所に綺麗に撒いて、飾って、この星空をとびきり綺麗に彩って下さい!でも⋯この作業が終わったら皆さんの記憶は消えてしまいます。だから、ときめきを、たくさん持ち帰って忘れないで下さいね?」 みんなその言葉にはい!と笑顔で答えて、各々思い思いの場所に星屑を飾ってゆく。 「君の星屑、綺麗だね!」 ある女の子の星屑は、とても素敵な虹色をしていた。僕はそれに目がいった。 星屑はどうやらその子の心を反映して色が変わるらしく、みんな持っている色がそれぞれ違ってみんな綺麗だ。 「そうかな?ありがとう!君のも目が覚めるような青色が素敵!」 その子も僕の星屑を褒めてくれた。 僕らはお互いの星屑を一つずつ交換して、楽しく広い星空の中、星屑を飾った。 その子とは、色々なことを話した。普段どんなことしてるのかとか、どこに住んでるのかとか。 僕らは案外近くに住んでいた。 「へー、僕もその店、よく行くよ!もしかしたら僕らもう会ってたかもしれないね!」 そう微笑むと、君もキラキラの星屑を飾りながら、そうねって、微笑んだ。 やがて僕らの星屑が底を尽きた頃、七夕の空は美しく彩られた。 それを見た係りの人は笑顔で 「皆さん、よく頑張ってくれました!お陰で今年も素敵な七夕の空ができあがりそうです!あとはここに⋯ミルクをこぼして⋯はい、天の川の完成です!」 係りの人が零したミルクが美しいキラキラの川となって、本当に綺麗な天の川が完成した! それに僕らは笑顔で拍手をする。 「では皆さん、皆さんのお仕事はこれでおしまいです。お疲れ様でした。目が覚めたら皆さんは自分のベッドの上にいます。そして最初に説明した通り、今日の記憶はなくなってしまいます。悲しいけれど、決まりなので⋯ごめんなさいね。でも、明日夜空を見上げて、この日のときめきを思い出してくださいね!それではいつかまた会える日を祈って⋯さようなら⋯」 その時、僕は虹色の星屑を持っていたあの子を思い出した。でも 「僕もあの子も、忘れちゃうんだよね⋯出会ったことも⋯」 ちょっぴり切なかったけど、でもこの日のときめきを覚えていればいつかまた出会える気がした。 だから僕は笑顔であの子に手を振った。 目が覚めると、僕は自分のベッドの上にいた。 「うーん⋯あれ?僕なんかしてなかったっけ?あ、夢か⋯あ、学校、学校行かなきゃ!」 僕は急いで朝ごはんを食べに行った。 なんか凄く不思議な、夢を見ていた気がするんだけど⋯なんだったんだろうな? その夜、七夕の夜はよく晴れたいい夜だった。 キラキラ輝く満点の星空、天の川までくっきり見えて、そこで再会する織姫様と彦星様まで見えそうな程だった。 「わー、綺麗だね!」 折角だからと近所の公園まで家族と観測に来た僕はジャングルジムに登って大はしゃぎした!でもなんだろう⋯なんか胸がとてもワクワクして、幸せな気分になるんだ?どうしてかな? その時、一人の女の子の声がした。 「わー、天の川綺麗ね!」 僕はその声に胸の高鳴りが抑えられなくて振り返ると、急いでジャングルジムを降りる。そこには虹色の星の髪飾りで、髪をポニーテールに結った女の子がいた。なんでか、懐かしい気分になる。 「君も、星、好き?」 柔らかく優しいその子の言葉に、僕はドキドキしながら、頷いて答える。 「うん、凄く、好き!特に、なんか今日の星空は特別好きなんだ!なんでかな?」 それにその子も笑って答える。 「わー、なんか嬉しい!私もそうなの!なんでか今日の星空、特別好き!一緒だね!」 僕らはそう言って笑い合った。 まるで再会を喜ぶ織姫と彦星のように。街の片隅で、ひっそりと、僕は出会いたかった人に出会えたときめきを感じていた。 その本当を星空だけが知っていた。
声をなくした歌姫は
小雨の降る昼間の誰もいないオフィス街の公園。ここでならいいだろうと、思った。 思い切り息を吸う。そして私は 「~♪」 思い切り歌を歌った。 けれどその歌声は 「全然ダメね!やっぱり私、もうダメみたいね⋯」 涙を通り越して、笑いが込み上げて来た。 こんなことになる位なら、お酒なんて一滴も飲まなければ良かった。あのライブで叫ばなければ良かった。友達とはしゃいで高校時代歌い続けなければ良かった⋯後悔しても仕方がない後悔の嵐が、また襲ってくる。 だって仕方がないでしょ?私これでも日本、いや今では世界的に人気のある 「歌姫って言われてたんだから⋯」 それが今やこのザマだ。枯れて聴いても美しくもない声。 医者は言った。 「喉の酷使が原因でしょう」 と。 仕方ないじゃん?歌うことが私の、歌姫の私の仕事だったんだから。 スマートフォンで自分の名前を検索すると、決まってこう書かれていた。 「歌が下手になった」 と。 辛かった。悲しかった。そう言われるのも、そう言わせてしまうのも。前みたいに楽しく歌えないのも、美しく歌えないのも。ねぇ 「私はどうしたら、いい?」 それに答えをくれる人は誰もいなかった。 「エリカ⋯erika!私、今日からerikaになる!」 始まりは幼い発想。本名を並べ替えたアナグラムと、好きな花が由来。 友達とはしゃぎ合った帰り道。その日から私は 「erikaになった。」 最初は緊張しながらパソコンで流行りの歌を歌って投稿した。反応なんて期待してなかった。でも 「わー、凄い!」 驚いた。ものの一時間もかからないでその動画には大量のコメントがついた。 それはどれも肯定的なものばかりで、次を期待するものだった。 嬉しくてたまらなかった。田舎の一人の子娘に、こんなにもコメントが集まる現実に、夢を見てしまった。 そしてその夢は、すぐに現実になる。 そう、メジャーレーベルから声がかかった。 「うちからデビュー、しませんか?」 それに友達と手を取り合って喜んだ。 そしてはしゃいで朝までカラオケで歌った。 今思えばあの頃が 「人生で最高に幸せだったな⋯」 全部元に戻りたかった。あの子と一緒に夢を目指して、叶えかけたあの頃に 「戻りたいな⋯」 私はもう、erikaを背負って歩くのに疲れてしまった。 erikaは顔出しをしていないアーティストだった。最近よくいるタイプだ。 ライブも番組出演も、全てシルエットだけにした。 だからerikaを終わらせるのは簡単だった。 事務所でその旨を話すと最初は止められたけれど、今の私の状態を見たら察したんだろうそれ以上止められることはなかった。 「でも理由は何にするの?」 マネージャーに聞かれた時に私はハッキリとこう答えた。 「erikaは死んだと、言ってください。」 事務所が騒然とした。 けれどそれで良かった。 だって死んだんだから。歌えない歌姫は、死んだも同然なんだから。だから私の中の 「erikaはもう死んだの!」 自然と頬に涙が伝った。幼い頃のあの子が、友達が笑っていた。 「夢を叶えるんだね、凄いね!erika、頑張れ!」 ありがとう。ありがとう。私ね 「もう夢叶えて、夢、終わっちゃった。」 そうして歌を歌えなくなった歌姫は、あっさりとこの世を去った。 事務所が正式にerikaの死亡を発表したのは、それから一週間程経ってから。 突然の知らせに、各方面からお悔やみの言葉が届き、世界中が悲しみに包まれた。 私はその頃、故郷の街に帰っていた。 懐かしい田舎の街。 そこで懐かしい友に会う。 「お帰りなさい、もうerikaじゃないんだよね?」 その言葉に、涙が溢れた。 この声が、この心が、届いていたのなら 、まだ届くのなら私はこの子のためにならまだ歌いたい! 息を大きく吸う。 緊張して震えながら声を出した 「~♪」 それはやはり、とても聴けたもんじゃない歌声だった。 通りすがる人が何かをヒソヒソと言っている。 あぁあの頃はあの滑り台が私の舞台だったのにな⋯それがあんなにも遠い。もう二度と戻らない。 涙が止まらなかった。声をなくした歌姫に、何が残るのだろうか? 「ありがとう、江里口 香織(えりぐち かおり)ちゃん!」 友が呼んだその名前は、私が捨てかけた本当の自分の名前だった。 そうだ、私はerikaじゃない。erikaは私の、一部だっただけ。 私はまだ 「死んでない!」 声をなくした歌姫は、歌姫ではなくなるだろう。でもいつかまた、新しい何かになるんだろう。 夕暮れの街で友に笑いかけて、私は今日からまた、何かに生まれ変わろうとしている。
エッセー『ポロンポロンと溢れ落ちる』
常に何かが怖かった。 ある時は死だったり、ある時は嘘をつくことだったり、ある時は忘れることだったり⋯。 私は酷く怖がりなのです。 とりわけ酷かったのが、忘れることの恐怖。 私は常にノートを持ち歩いて、自分から溢れ落ちる何かを、掬いとっては書き留めて、必死になっていました。 例えそれがどんなにくだらないことだとしても、忘れることが許せなかったのです。怖かったのです。 ポロンポロンと私から、音もなく何か大切なものが溢れ落ちて、永遠の渦の中に消え去ってゆくのが、悲しくて寂しくて、虚しくて、怖かったのです。 私は出来損ないですから、ものを忘れるのなんて一瞬でした。だから書いて書いて書いて⋯あの日の笑った景色の名前、凪いだ海の名前、知らぬ土地の名前⋯意味など最早持たぬその単語の羅列は、時を経て私の胸を酷く締め付けました。 悲しかったね?でもあの日のあなたに私は何もしてあげられないね? 遠い夏の日、ワンピースを風に揺らした麦わら帽子のあの子は、いつかの怖がりの私。こちらを向いてふっと笑う。小さな陰りと共に。 ねぇあなたはこんなに書き残して、残してくれたけど、ごめんね私 「もう殆ど覚えていないの⋯」 いつかの古びたホテルの名前、はしゃいで回った時に流れていた曲の一節、美しかった人の名前の一欠片⋯ ごめんなさい。やっぱり私は全然想い出せない。あんなに忘れるのが怖かったのに、いつから忘れん坊になってしまったのでしょうか? ポロンポロンと溢れ落ちてゆく。今だっていつかは過去になる。忘れてゆくのを知っている。でもあの時の胸を焦がすような恐怖はなく、心は静かに凪いでいる。 今だって私は新しい怖いことと一緒に生きている。けれどそれもいつかは過ぎてゆくのだろうか? ポロンポロンと溢れる過去の中で、私は何を見つめているのだろうか?
世界が終わる前に⋯
人生の最後に、オーロラを見に行きたくなった。 私は生まれてこの方、風邪すらまともにひかない健康優良児だった。 それがある時、会社で受けた健康診断で突然引っかかった。 今まで一度も受けたことがない検査だった。 すぐに精密検査を受けたら⋯私の体はもう手の施しようがない程病気に蝕まれていた。 「変なの、こんなに元気なのに?」 余命宣告までされたのに、なんか全然実感のない私は、久しぶりに昼間の自由な街を不思議な気分で歩いた。 ま、無理もないか!こんなに元気なのに 「余命半年とか言われたんだもんなー」 見上げた空は、どこまでも澄んだ綺麗な青色をしていた。 その時ふとなんかやり残したことあるかな?なんて思った。 別にお別れしないといけない恋人もいないし、遺していく子供とか夫もいない。不幸中の幸いだ。 でも親は 「かわいそうだな⋯子供に先に死なれるんだもんな⋯親不孝者でごめんね⋯」 これはちゃんと謝らないといけないと、思った。 でも今はそれは置いておいて⋯何かやり残したこと、やりたいこと⋯ その時、ふと思いついた! 「そうだ!オーロラが見たい!」 私は空を見上げて、ニッと笑った。 その日家に帰ってから、早速心当たりに連絡をした。オーロラを見せてくれそうな人。 それは僻地なんかにも強いツアーガイドの友人。大学時代からの友人の彼は、私の唯一の男友達だ。 「おー、久しぶり!元気か?」 君は相変わらずフランクに元気そうに電話口笑っているのが分かった。 「元気?と言えば元気なんだけど⋯私さ、訳あって余命半年なんだよね⋯でさ、君に頼みがあって⋯死ぬまでにオーロラが見てみたいんだよね?行けそう?」 私の言葉に君は、黙り込んだ。 アレ、やっぱり引いてる? 「お前、病気なの?治療は?オーロラより治療しろよ?頑張れよ!?」 君は一生懸命言ってくれた。 でも 「ありがと!でも、もう手遅れなんだって!だから最後にさ、綺麗なもの見たいなーって思って⋯ダメかな?」 スマートフォンの向こうで、君が泣いているのが分かった。 凄く申し訳ない気持ちになった。 でも私は、これが 「一番いい終わり方なんだよ?」 私の決意に、君は涙を拭ったんだろう声で答えた。 「分かった!俺でできることならなんでもする!オーロラ見せてやる!」 その言葉に私は子供のように笑った。 それから私は少しずつ身辺整理をしだした。 「わー、懐かしい!これ昔ハマってたバンドのグッズじゃん!」 出てくる想い出の品一つ一つに、ニコニコしていたら、大量のゴミの山ができた。 想い出って、ゴミなんだな、全部。死んだら全部全部 「ゴミになるんだ⋯誰かの大切も、誰かにとったらゴミか!」 私はそれでもその想い出のゴミの中で、愉快に一晩埋まって眠った。 そんなこんなしている内に一ヶ月が経った。 想い出の品はもう殆ど処分した。 部屋がガランとして寂しい。 でもそれでいいんだと思った。残しておいたら 「お母さん達困っちゃうもん⋯」 その頃には、少しずつ仕事の引き継ぎも始めた。 体は相変わらず大した変化はなかった。それが救いだった。 オーロラを見に行く約束した君とは、ちょくちょく連絡をとっているし、なんなら今日も飲みに行く約束をした。 君の話してくれる世界の話はとても豊かで楽しかった。 「アフリカゾウの大群に追われた時はどうしようかと思ったよ!アイツら結構足が速いんだ!」 ビール片手に語る君は、今日もキラキラとしていた。 私はその姿を、話を聞くのが大好きだった。 「あっ、ごめん!また僻地トークしちゃった⋯つまんないよな!お前の話を聞かせてよ?」 恥ずかしそうに頭を搔く君に、私は笑う。 「ううん!すっごい楽しいよ、君の話!もっと聞かせて?」 「そ、そう?じゃあ⋯次は遠巻きにライオンの群れを見つけて逃げた話、聞く?」 私はそれに瞳を輝かせて、頷いた。 オーロラが綺麗に見える条件が揃うまで、少し時間があった。 まだまだ元気に頑張れると思った。 でも私の体は突然ダメになった。少し歩いただけで息が苦しくなるようになった。 全身が激しく痛んだりするようになった。 「私、本当に、死ぬんだ⋯」 やっと実感して、涙が溢れた。 早くオーロラを見に行きたかった。 君に無理言って、チケットをとって貰って、私達は大急ぎで旅路についた。 もう不自由になった体を懸命に動かして、私は君とゆっくりと空港を歩いた。 「こんなことになるなら、もっと早くに、オーロラ、見とけば良かった⋯」 無理に笑った私に、君は私を支えながら微笑む。 「大丈夫だよ!まだまだ歩けるだろ?お前はできる子だろ?それに⋯サバンナの方が危険がいっぱいだ!ここは全然安全だよ!何かあったらみんな助けてくれるよ!な?」 いつも通りの君に、涙が溢れた。たくさんありがとうって思った。 でも、私は飛行機に乗る前に力尽きて倒れた。 もう限界だった。 あー、昔流行った映画のワンシーンみたい!って思った。確かあの映画では主人公が大声で叫ぶんだよな?君はどうするの? 私を抱き抱えた君は、私の背中をさすると落ち着いた様子で静かに涙を流しながら微笑む。 「大丈夫だ、大丈夫!今助けてくれる人が現れるから!絶対に大丈夫だから⋯すみません、病人です!誰か対応して下さる方いませんか?」 その声に人が続々と集まる。そして私にはあっという間に処置が施された。 安心からだろうか?眠たくなる。でも⋯私は懸命に手を伸ばして君の頬に触れた。 「オーロラが、見たいよ⋯」 それからね、君を、愛してるよ⋯。 言葉に出さなかった想いと共に、私は眠りについた。 魂だけになった私は、君が冷たくなった私を抱き締めて大泣きするのを、そっと見つめていた。 「巻き込んで、ごめんね!」 謝ったけれど、それはもう君には届かなかった。 私の通夜も、告別式も全て終わった。 君もちゃんと手を合わせに来てくれた。 その時帰ろうとした君を、私の母が呼び止めて言った。 「あの、あの子の最後のワガママに付き合ってくれてありがとうございました!これ、あの子のスマートフォン⋯あの子亡くなる前に言ってました、"世界"って打つと、あなたに伝えたいことが出てくるって⋯私はなんのことかよく分からないけど⋯あなたに、見て欲しいんだと思います!はい、これ!ありがとう!」 母の突然の言葉と、私のスマートフォンに驚いていた君だったけれど、すぐにお礼を言って、頭を下げた。 日当たりのいい公園のベンチで君は、早速私の遺したスマートフォンにそっと"世界"と打つ。 するとその先が予測変換で出てくる。 「"世界が終わる前に⋯」 子供たちがじゃれ合う声が響き渡る。その中を、私は魂だけの存在で君を微笑みながら見つめている。ゆっくりと予測変換を読む君を。 「"世界が終わる前に君に伝えたいことがあったんだ⋯」 君の涙がスマートフォンのディスプレイに、大粒の雫を何滴も落とす。それでも君は読み進める。 「"世界が終わる前に君に伝えたいことがあったんだあ⋯」 "あ"まで読むと君はしゃくり上げるように泣き出す。 「どうしたの?早く続き、読んで?」 私が微笑む。 君は大泣きしながら、それでもゆっくり先を読んだ。 「"世界が終わる前に君に伝えたいことがあったんだありがとうさようなら"」 そこまで読むと、君は天を仰いだ。その時私と目が合った。でも君に私は、見えなかった。 大泣きをする君は、大声で叫んでいた。 「お礼言うなよ!俺お前に何もできなかった!オーロラ見せられなかった!ごめんなーーーー!」 少しの間泣いていた君に、私は困っちゃった。だってそんなに泣かれちゃ 「私、天国行けないよ?」 だから近くにいた子供に頼んで⋯ 「お兄ちゃん、大丈夫?これ、あげる?」 突然小さな男の子から渡された四つ葉のクローバーに困惑する君に、私はちょっと笑っちゃった。 「あ、ありがとう!これ、なんで俺に?」 涙を拭って聞く君に、男の子は私の方を指さして笑って言った。 「知らないお姉さんが渡して来てって言ってたから!」 それに呆気にとられた君は、少しの間ボンヤリとしていたけれど、すぐにニッコリといつも通り笑って、私の方に手を振った。 「ありがとう!もう見えないけど、まだいるんだろ?俺は大丈夫だからもう好きな所に行けよ!じゃあな!いつか一緒に綺麗なもん見ようぜ!お前の世界はもう終わったから⋯後は俺の世界が終わるのをもう少し待っててな!」 私はそれに元気に手を振り返して 「うん、約束!"世界が終わったら"また会おうね!」 そうして私は青い空の中にキラリと消えた。 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ 最後までお読み下さり、ありがとうございます! さて、今回はどうしたのか?と申しますと⋯単刀直入に言います!週一投稿、今回で終了させて頂きます! とは言いつつ、最後少しお休み頂いていたのですが⋯汗 実は今月の二十四日でノベリー投稿開始一年を迎えます。それを目処に、色々な負担も考えて週一投稿はそろそろ終わろうかな?と考えてこの決断に至りました! 約一年間、週一投稿させて頂き、楽しかったことも、少し辛かったこともありました。どれも素敵な想い出です! そして何より、毎週たくさんの皆様からのいいね♡や温かなコメントを頂戴して、幸せだなーと噛み締める日々でした! いいねは小さな奇跡の積み重ね⋯私はそう思っております。いつもたくさんの奇跡を、ありがとうございます! 週一投稿は終わりますが、これからも投稿は続けてゆきます!多分引き続き木曜日に小説を投稿すると思いますので⋯その時はまた遊びに来て下さると嬉しいです♪ あ、すごく長くなってしまった⋯まとめます!皆様約一年間私の週一投稿というわがままにお付き合い頂き、本当にありがとうございました!これからもどこかの木曜日にお会いしましょう! 本当にありがとうございました!! ꕤ︎︎藤咲 ふみꕤ︎︎
夏の一歩目、幽霊の君
「あたし、にいさまが大好きなのに⋯」 夏の一歩目、淡い色彩の美少女は悲しそうに俯いた。 なんてことない一日になる予定だった。 けれど春なのに妙に暑いもので、普段は立ち寄らない近所でも謎に大きいって言われてるお屋敷の跡地に足を踏みいれた。私の目的は⋯ 「これこれー!わー、涼し気でいい気分!」 錦鯉の泳ぐ綺麗な池と、その近くにある東屋。 私は東屋のベンチにスクールバッグを置くと、錦鯉に手を伸べる。 「おいで、おいで!」 バシャバシャと音を立てて泳ぎ回る優雅な錦鯉達に、制服の中、全身の熱が引いてゆくのを感じた。 その時、視線を感じて顔を上げた。そこには 「わ、凄く綺麗な子⋯」 思わず声に出す程、綺麗な黒髪の美少女が立っていた。しかも今の時代に珍しい全身キッチリとした淡い桃色の着物姿。 「か、勝手に入ってごめんなさい!」 私はてっきりその身なりから、このお屋敷の持ち主の子なのかもしれないと思って頭を下げた。 するとその子は黙ったまま私の方に近付いてきて、衝撃的なことを言った。 「あなた、あたしが見えるの?」 その言葉に、私は固まる。 さっきまであんなに暑かったのに、なんだか背中がヒンヤリしてきた。もしかしてその言い方⋯ 「えっと⋯見えたら、いけないのかな?」 心臓が、ドキドキする。 それに満面の笑みの少女は 「うん!だってあたし、もう死んでるもの!」 その時私は齢十七にして、初めて 「ゆ、ゆ、幽霊見ちゃったーーー!」 と大騒ぎをした。 人が色々なように、幽霊も色々なんだなと、話してみたら分かった。 って、話すなよって、感じだけどね? 私はその着物の美少女の幽霊と、しばらく話していた。 その美少女は、昔にこの辺りの名家のお嬢様だったこと、このお屋敷はその当時のその少女の親の持ち物だったこと、そして美少女の名前は 「みお。私はみお。それでね、にいさまがいてね、にいさまはヤクザというものになったのだけど⋯丁度あなたと同じ位の歳だと思うわ!とても強いの!にいさまに会いたいな⋯」 なんと、幽霊みおのにいさまなる人は、ヤクザになったのだと言う!名家の生まれなのに驚きだ! 幽霊みおは、そのにいさまとやらに会いたいのだと、しきりに繰り返した。 「そうだ!写真!にいさまの写真ないの?って⋯昔に写真なんて、ないか⋯」 私が自分で自分の頭をコツンと叩くと、幽霊みおは、着物の胸元から一枚の紙を出した。 「これは写真というものよね?家族で一度撮ったの!にいさまはこれよ!素敵でしょ?」 驚きだ!幽霊みおの生きていた時代にも 「写真ってあったんだ⋯かなり荒いけど⋯えっと、みおのにいさまは⋯ってえ?リンダじゃん!?」 そこに写っていたのは、同じクラスのリンダこと林田(はやしだ)そっくりな男の子だった。そう、みおのにいさまは 「リンダだよ!リンダリンダ!」 テンションが上がって、なんか変な感じになってしまった。 だって、もしあのおバカなリンダがこんなお金持ちの名家と何か関係があったらと思うと、うん、テンション上がる! 「リンダ?ってなに?」 不思議そうにするみおに、私は説明しようとしたけど、すぐにやめた。 いいこと思いついたから。 「ねぇみお、にいさまに会わせてあげる!」 それにみおは嬉しそうに満面の笑みを見せ、頷いた。 次の日学校で、リンダに幽霊みおの話をした。 当然すぐには信じてくれなかった。 「お前、暑さでやられたんじゃねぇの?」 それでも引かない私にリンダは仕方なく、次の日の放課後、かき氷一杯ご馳走したら例のお屋敷跡地に来てくれると言った。 「ありがとう、リンダ!」 私のお礼に、リンダは凄く変な顔をしていた。 次の日の放課後、リンダと訪れたお屋敷跡地。 やっぱりみおはその日も 「いた!みおー、にいさま連れてきたよ!」 それにみおは嬉しそうに走ってくる。 季節は春の終わり、夏の一歩目辺り。素敵な兄妹の再会が見られると思った。 でも、物事はそんなに上手くはいかないね? だってリンダには 「おい、女の子なんて、どこにいんだよ?」 みおが見えなかった。 みおがリンダを見上げて、悲しそうに呟く。 「あたし、にいさまが大好きなのに⋯」 錦鯉の泳ぐ水音だけが涼やかに響き渡る。 夏の一歩目、私はなんて残酷なことをしたのだろうと、酷く後悔をした。 「バカリンダ!」 私はリンダに無駄に怒鳴って、リンダもなんで怒鳴られてるのかは分からず、目の前に、にいさまみたいな人がいるのに無視されるみおは泣きそうになって⋯そんな滅茶苦茶な私達は何も言わずに、静かにそこを後にした。 心の中で、みおにごめんねを言って。 約束は約束だったから、リンダにかき氷を奢った。 その時にリンダが教えてくれた。 「あのお屋敷よ、幕末の頃のらしいぜ!で、当時の所有者、もう首が回らない程の借金、抱え込んでたらしいぜ!それでさ⋯一人娘を遊郭に売ろうとしたらしい!でもそれを長男が許さなくて、自分が代わりに堅気の道諦めてヤクザもんになったんだとか⋯知ってたか?」 私はその話に驚く。それって 「みおは遊郭に売られそうになったってこと?それをにいさまが助けたってことよね?」 おバカなリンダにしては、よくものを知っている。 「まぁ、名前とかは知らねぇけど、あそこの歴史に詳しい人に聞いたらそういう話が出てきた!まぁあくまで噂な!そんでここからが大切だ!あそこもう随分古いだろ?そろそろ取り壊すらしいんだ⋯その⋯お前のいう幽霊?どうなるんだろうな?」 目の前でパイナップルのかき氷を頬張るリンダは、冷たさからなのかなんなのか、ちょっと顔をしかめていた。 取り壊されたら⋯みおはどうなるのだろうか⋯にいさまに会えないのかな? 私はそればかり考えて、折角のいちごミルクのかき氷を溶かしてしまった。 リンダの言う通り、お屋敷跡地は取り壊しのお知らせの看板が出た。 それに私は悲しくなる。 あれ以来私はみおに会えていない。 「取り壊される前に、会いに行こう!」 私は勇気を出して、久しぶりにお屋敷跡地に足を踏み入れた。 制服の衣替えがあと一ヶ月と迫った今日この頃、夏服のリボンは爽やかなスカイブルーで大好きだ。 夏の何歩目かを踏み出したお屋敷の中には、自然に咲いたのだろうか?青い綺麗な花が海のように凪いでいた。 その中をゆっくり進む。 と、そこにみおはいた。今日も一人、錦鯉を呼んでいた。 みお!と声を掛けようとしたその時だった。 みおがどこかへ走ってゆくのを見た。その先を目で追うと。そこには 「あ、リンダ!じゃなかった⋯あれは、にいさまだ!」 やっと会えたんだね! 私は遠くから、二人が抱き合って、にいさまがみおを抱き上げて豪快に笑うのを見つめていた。 もう消えゆくこのお屋敷で、二人は確かに笑い合っていた。 なんて美しいことか。 妹を思い自らの人生を犠牲にした兄と、その人生を知らず無邪気に兄を求める幼い妹。自然と涙が溢れた。 「もう二度と、離れないでよね!」 夏の何歩目かの蜃気楼のような、美しい二人の姿に、私は笑顔で手を振ると、声はかけずにそっと古ぼけたそのお屋敷を後にした。 それからその二人がどうなったのかを、知るのはそのお屋敷ただそれだけ。
僕の魔法使い
僕は小さい頃から 「魔法使いだった」 友達と集まってテレビの前、ゲームの電源を入れる。オープニングムービーが始まるこの瞬間のワクワクを、いつまでも僕は忘れないだろう。 初めは勇者が良かった。 男の子だもん、当然だ! でも勇者は人気者でさ、取り合いだった。だから仕方なく魔法使いを選んだ。なんか魔法が使えるのもロマンがあって素敵でしょ? そんな僕らはゲームの中、旅に出て、たくさんの冒険をした。 強い敵に出くわして、その度に大騒ぎして、笑って、時にストーリーに涙して⋯僕の魔法使いのリリアンと名付けたその子は、たくさんの呪文を覚えどんどん成長していった。 そして成長してゆく度に、仲間はどんどん減っていった。 みんなそれぞれの生活に忙しくなって、やがてそのゲームはプレイしなくなっていった。 でも僕だけはリリアンと共にゲームの世界で戦い続けた。 そして高校生になった僕は、世界的なeスポーツ大会に出場するまで、ゲームの腕前が上がっていた。 その頃にも、僕はソロプレイモードでまだ幼い頃にプレイしていたゲームで、リリアンとして魔法使いをやっていた。 時々フレンド申請が来て、誰かと行動を共にすることもあった。 その時は、魔法使いとして、きちんと勇者やその他の役割の人のバックアップをして敵を倒した。 リリアンはとても強くて優しい、素敵な魔法使いだった。 リリアンは綺麗なブロンドの髪に、緑色の瞳をしていた。初期版のリリアンは絵が荒くてよく分からなかったけど、アップデートを重ねていくうちに、どんどん美しくなるゲームのグラフィックに伴って、リリアンの美しさにハッとさせられたのをよく覚えている。 リリアンは敵を攻撃しても決して相手を傷付けない。何故敵意を持っているのか忘れさせる呪文をかけるのが、彼女だけの得意技だ!そんなリリアンを、僕は愛している。 リリアンには故郷にのこしてきた幼馴染がいる。冒険を終えたらその幼馴染と結婚して幸せになる。それがこのゲームのエンディングだ。 でも僕はゲームのエンディングを見たくなくて、ずっと冒険を続けている。 僕はリリアンをずっと縛り続けている。 でも 「冒険が楽しいから、仕方がないよね?」 そんなある日、異変は突然訪れた。 僕のゲーム機が突然起動しなくなったのだ! 僕は焦った。 この中には、リリアンとの冒険の歴史が詰まっている!しかもリリアンはまだ幸せになれていない! 「直れ直れ、直ってくれ!」 必死にゲーム機を叩く僕をよそに、一向に動かないゲーム機。 専門業者に修理を頼んでみても 「寿命でしょうね⋯正直こんな古い機種、もう見かけませんよ?これを機に買い換えては?内蔵のゲームのメモリーは諦める他ありませんね⋯大切なものだったと思いますが、お力になれず、申し訳ありません⋯」 と、もう事実上手の施しようはないと言われた。 「もうお別れか、リリアン⋯」 僕はやっと諦めて、リリアンに永遠の別れを告げた。 それから程なくして行われたeスポーツの公式試合。 それは何の因果か、僕が壊したゲームの最新版のソロプレイだった。 僕はみんなが攻略キャラに勇者を選ぶ中、一人魔法使いを選んだ。それは懐かしい、リリアンそのものだけど、僕のリリアンの記憶はない、魔法使いだった。 寂しさから、涙が出そうになった。 でも僕は魔法使いが好きだった。だって魔法使いは、誰も傷付けないから。 プレイしてゆくと、魔法使いはどんどんリリアンと重なった。 指に馴染むこの感覚。まるでリリアンを操作しているような感覚。 その時、大きな敵の前で、僕は絶体絶命のピンチを迎える。 「どうしよう⋯リリアンなら、使えた魔法があったんだけど⋯」 その時、画面内の魔法使いが突然コマンドにない動きを始める。それは紛れもない、リリアンだけが使えた 「敵意を忘れさせる呪文だ!」 リリアンは笑顔でそれを相手にかけると、僕に囁く 「最後の、魔法だよ!」 僕はその言葉に、涙が溢れた。 リリアン、リリアン 「ありがとう、さようなら!」 リリアンはそのまま故郷の幼馴染と手を繋いで、消えていった。 その試合に勝った僕は、それからもう二度とリリアンの姿を見ることはなかった。 リリアンの最後の優しい魔法は、僕を救ってくれた。 そうして僕は、魔法使いをやめた。 それからまた新しいゲーム機を買った。 壊れてしまったあのゲーム機の最新版だ! そして意気揚々とダウンロードしたそのゲームで僕は勇者と悩んで、また 「僕は魔法使いだ!」 そう、懲りもせずまた魔法使いになった。 画面の中で佇むブロンドの髪をなびかせる美しいその少女を、僕は見つめて、優しく微笑むと、また一から呪文を覚える冒険を始めた。
白い悪魔
「君は⋯天使?」 真っ白な羽を持つ不思議な生き物に、病室のベッドに座る少年はにこやかに話しかけた。 その生き物はため息混じりに言った。 「こう見えても私、悪魔なんだけど?」 悪魔には似合わない真っ白な羽、真っ白でフワフワな体⋯コンプレックスの塊だった。 白い悪魔は、いつもみんなに笑われていた。悪魔のくせに真っ白でおかしいって。 確かに仲間の悪魔はみんな、真っ黒な立派な羽に艶やかな黒い体を持っていた。 白い悪魔のパパだって、ママだってそう。立派なな黒い羽や体を持ってる。 「私だけ、なんでこんな真っ白なのよ⋯天使なんかに間違われるなんて、たまったもんじゃないわ!」 白い悪魔は吐き捨てるように言った。 でも目の前の、何故入院しているのか不思議な位元気な少年は、キラキラした瞳で白い悪魔を見つめていた。 「白い悪魔なんて、素敵じゃない!とても綺麗だよ?僕が呼び出したのが君でよかった!」 その言葉に、白い悪魔は生まれて初めて誰かに褒められて変な気分になった。 それと同時に思い出した。 目の前の少年が、自分を召喚したのだということを⋯。 「そうだ!あんたが私を召喚したのよね?召喚したってことは⋯意味わかるわよね?魂は貰うわよ?いい?」 それに少年は大きく頷く。 「勿論!僕の魂ならあげるよ!その代わり⋯僕の死んだ後に僕が生きてた証をこの世に遺してよ!それが僕の望!叶えてくれる?」 白い悪魔は、そんなちっぽけな望、死神に頼んでも叶えてくれたのにと思った。でもこの少年はまだ死ぬ運命になかったのだろう。 でも自分の魂を悪魔に渡してまで 「どうして自分の生きた証を遺したいの?」 それに少年は小さく笑って 「もう誰もいないから⋯事故で家族全員死んだから⋯だからせめて、僕が遺したいんだ、僕が、僕らが生きていた証を⋯」 少年はとても、寂しそうな目をしていた。 白い悪魔は、それをただ眺めていた。 「ケースNの三○五四!彼の家族は四人でした。父、母、妹、そして彼。休日に行ったドライブで、全員事故に巻き込まれ、彼以外が死亡。即死のため、魂の回収のみを行いました!以上です!で、悪魔であるあなたがなんでそんなこと死神の私に聞いてくるのですか?」 いつ来ても死神ってのは嫌味なヤツだ。 でもなんとなく気になって、あの少年の家族の話を白い悪魔は聞きに来た。案の定、全員事故で死んでた。あの少年の 「言う通りだ。」 白い悪魔はそれだけ聞くと、死神とはろくに会話もせずに、その場を離れようとした。 「ちょっとお待ちなさい!その少年は魂回収者名簿には入っていません!あなたは⋯魂を食らうつもりですか?」 死神に聞かれた白い悪魔は、舌を出して 「ええ、そうするつもりよ!それが悪魔だもの!」 と答えた。 死神の深い溜息が聞こえる。 白い悪魔はそれを無視して飛び去った。 美しい白い羽がバサバサと何枚か落ちた。 「天使、なら良かったのですけどね⋯」 死神がそっとそれを拾って独り言を言った。 「本当にあいつの家族、事故で死んでるんだ⋯しかも一人だけ生き残っちゃったんだ」 悪魔は人に同情しない。でも白い悪魔は何故かあの少年を哀れに思った。 だからだろうか?魂が欲しかったからだろうか? 白い悪魔はあの少年と契約をした。 少年が死んだら魂を貰う代わりに、少年の生きた証をこの世に遺すこと。 少年はそれからすぐに退院した。 そして施設で生活をしだした。 白い悪魔はそれをいつも見守った。 少年は人生に何度も絶望して、白い悪魔に魂を差し出そうとした。 けれどその度に白い悪魔は、悪態をついたりして、なんだかんだ魂を受け取らなかった。 白い悪魔は段々と、少年の幸せを祈るようになっていった。 だから白い悪魔はいつも、少年の傍で少年の魂の成長を見守った。 やがて少年だったその子は、青年になり、大人になり、結婚をし、子供も生まれた。 かつての少年はどんどん幸せになっていった。 その傍らにはいつも、白い悪魔がいた。 白い悪魔はかつての少年の幸せをいつも傍らで見守り、祝福した。 そしてやがて少年はおじいさんになり、天寿を全うする頃、白い悪魔に言った。 「僕の人生を、ずっと見つめ続けてくれて、ありがとう!君に約束通り、僕の魂をあげるよ!」 その頃になると、白い悪魔はもう魂なんてどうでもよくなっていた。 ただただ 「あんたに、幸せななって欲しかっただけだよ!魂はさ、要らないから、天国で大切な人に会うのに使いな!」 と言った。 なんて悪魔らしくないのだろう。 白い悪魔は見た目だけでなく、心まで悪魔らしくなかった。 けれどかつての少年は首を振る。 「もうね、僕の望は叶えて貰ったから⋯だからちゃんと君は魂を持って行ってよ?お願い⋯」 穏やかに微笑むかつての少年に、白い悪魔は涙ぐむ。 気が付くと、かつての少年には娘や孫ができていた。そう、自分が、自分達が生きた証をきちんと遺せていたのだ! そのことに気付いた白い悪魔は、そっと微笑んで 「分かったよ!あんたの魂、貰うよ!」 そう言って、契約通り、かつての少年から美しい魂をそっと受け取った。 かつての少年はそれに幸せそうに息を引き取った。 白い悪魔はその魂を食べることはせず、大切に大切に抱えて、自分の家の命のランプの中にそっとしまった。 それから何週間か経ったある日、白い悪魔が街を飛んでいると、かつての少年の孫が、一枚の絵を持って走っているのを見た。 その絵に描いてあったのは⋯ 「なによあれ?」 白い悪魔は笑った。 それは真っ白な羽の美しい天使のような、悪魔だった。
光の奇跡
俺は死神だ。 真っ黒なローブに銀色のカマ、かり取った魂の数なんてもう覚えていない。 そんな俺は普通の人間には見えないはずだった。そう、はずだったんだ。 「ねぇ、あなたなんでそんな暗い顔してるの?」 小さな女のガキが突然話しかけてきた。 俺は慌てて、魂回収者名簿を見た。けれどそこにそのガキの名前はなかった。 じゃあなんで 「お前に俺が、見えんだよ?」 ガキは不思議そうな顔をして、摘んだばかりなんだろう花を一つ取ると、俺の目の前に差し出した。 「なんか分かんないけど⋯暗い顔してる人にはお花、あげるね!」 そのガキはそう言うと、どこかへ走って行った。 「なんだあのガキ?花なんていらねぇよ⋯」 俺はその花を、手の中であっという間に枯らした。 午後、俺の姿は病院にあった。 もうすぐ魂を回収する対象が入院する病室に、俺はやって来た。 死神は魂を回収する前に幾つかやることがある。 一つ目は死の事前告知。 二つ目は対象者の最後の願いを叶えること。 三つ目は対象者の輪廻転生の手伝いをすること。 正直言って、どれも面倒くさい。でも死神の世界でそれらは全て大切なことと決められている。きちんとこなさなければ。 「邪魔するぜ⋯!」 一人きりで窓の外を眺めていた対象者に、そっと声をかけた。 すると対象者は柔らかい長い髪をフワリとなびかせて、振り返ると、俺に笑いかけた。 「あら、あなたはもしかして⋯死神さん?」 正直面食らった。こんなにもあっさり俺を、死神を認める人間がいるなんて今まで体験したことがなかったから。 「怖くないのか?」 俺の質問に対象者は 「怖いわよ⋯でも、ちょっと安心しちゃった!死ぬ時一人じゃないんだって思ったから⋯死神さんは死ぬ時一緒にいてくれるんでしょ?」 優しく笑う対象者に、何故か変な感情が沸いた。 テーブルを見ると、花が飾ってあった。それは 「さっきのガキの、持ってた花だ!」 愛おしそうにその花を愛でる対象者を見て俺はハッキリ理解した。その対象者が、さっきのガキの母親なんだと。 だからって、なんなんだ?何か変わることがあるのか? 「お花、綺麗でしょ?死神さんにも一つあげる!」 対象者はガキと同じだった。同じ顔で笑って、俺に花を渡してきた。 それに何かを思い出す気がした。お花どうぞって⋯昔にも誰かに、こんな風に 「俺はいつから⋯死神なんだ?」 それから対象者の最後の願いが、あのガキの幸せに生きてゆくことだということを知った。そしてそれを叶えることが俺の勤めだとも知った。 ガキは相変わらず俺を見ると、摘んだ花を一輪渡してきた。 「やめろ!俺はお前から母さんを奪うやつだぞ!」 それでもガキは無邪気に俺に花を渡してきた。 その度に俺はないはずのいつかの記憶を思い出した。笑顔で花をくれる女の子。笑顔で受け取る自分。 「どうして俺は、死神になった?」 そんなある日、対象者の死亡予定日、病院が火事になった。 俺は慌てて病院に飛び込んだ。魂を回収しないと!その前に、ガキを助けないと! その時、燃え盛る炎の中、思い出した。 俺は生まれ変わる前、貧しい子供だった。でも好きな女の子がいた。そんなある日村が、火事になった。それで好きな子を助けて、その代わりに俺は死んで⋯その子を助けるためなら 「なんだってします!悪魔にだって、死神にだってなります!」 花を配る子だった。笑顔で花を、配る素敵な子だった。あぁ、涙が止まらない。 前世を思い出した死神は、死神ではいられなくなる。早く魂を回収しないと⋯最後の魂を回収しないと!せめて俺が消える前に⋯あの美しい人の魂をこの炎の中から⋯! 段々足が、消えてきた。それでもカマを杖に必死に炎の中を歩いた。 そして対象者をやっと見つけた。ガキも一緒だった。 「死神さん!私はいいからこの子を、お願い!」 俺はその言葉に頷いて、美しい対象者の魂にそっと最後の死神のカマをかけた。 「ありがとう、死神さん!」 魂だけになった対象者は、優しく微笑んでいた。 俺はそれを見送ると、残りの力で、ガキを抱き上げると 「お前は幸せになれ!いいな、母さんの最後の願いだ!」 ガキは泣きながら大きく頷く。 「よし、いい子だ!走れ!まだ間に合う!大人が待ってるからこの大きな廊下を全力で走るんだ!」 ガキは大きな瞳で俺を見つめて 「あなたは?あなたは行かないの?一緒に行こうよ?」 と手を引いた。 でも、俺はもう足がなかった。 だから 「ごめんな、俺は、ここまでだ⋯必ず、幸せになれよ!」 笑ったのなんて、生きていた頃ぶりだったから上手くできたか分からなかったけど、きっと大丈夫だろう。 ガキは泣きながら、俺の手を離して走っていった。 そうだ、それでいいんだ。 段々体の感覚がなくなってゆく。もう俺は消えるのかと思った。 それなら最後に、美しい奇跡を、見せてやりたいと思った。こんなちんけな死神でも見せられる美しい奇跡⋯。 やがて火が消えた病院。そこから、ふわりふわりと、美しい幻のような、蛍のような光が溢れ出す。 火事の野次馬をしていた人々はそれに見入る。 「わー、綺麗!それに⋯なんか懐かしい光!」 それは俺が今までに集めた魂の欠片たち。 「自由に還って、いったらいいさ、愛おしい人の元へ⋯」 その言葉を最後に、俺はキラリと消えた。 「わー、綺麗綺麗!」 消える刹那、俺はガキの声を聞いた。 「ねぇ、今お母さんがいた気がする!」 あぁ、その光にも、地面に咲く花にも、お前の母さんはいる。お前の母さんは花になるって言ってたからな。 だからこれからも花を愛して生きてくれ。 その日の晩の花畑は、光の奇跡に歌うように一等美しく咲いていた。 俺はそれを愛おしいあの子と一緒に、空から眺めていた。
桜のような君の幸せを
「忘れないから、君も忘れないで?」 いつかの君は、そう言って春の中を柔らかく走って行った。 舞う桜の花、優しい陽だまり、ねぇもう一度だけ 「振り返って?」 もうすぐ孫が生まれる。娘が楽しそうに笑っていた。 「桜が咲く頃に、生まれるから⋯名前は桜にしようかな?」 その名に心が、ふわりと揺れた。 忘れたことなんてなかった。 あの頃の君を、忘れたことなんて一度もなかった。春によく映えるその名前の君を。 娘が僕の隣りを離れ妻の元に歩いて行った。 僕は一人、想い出の世界に残された。 幻の桜が舞う美しい街、君は綺麗にショパンを弾く女の子だった。 僕らはひょんなことから出会った。放課後の高校、ひとりでに鳴る寂しげなピアノの音色に誘われて扉を開けた音楽室。そこに君はいた。 「ショパンはお好き?悲しいけれどとても綺麗よ?」 そう微笑んだ君に、僕は見とれた。 多分一目惚れ。 音楽の知識なんて何も無かった僕だけど、君のピアノが美しいことだけはハッキリと分かった。 君の名前は、春に咲く美しい薄桃色の花の名前だった。 君はその花のように可憐で美しかった。 ピアノを撫でる美しいしなやかな指も、長いまつ毛も、ほんのり染まる桃色の頬も、全てが柔らかく美しかった。 僕らはいつか幸せになれると思っていた。思っていれば、幸せになれると、思い続けていた。 けれど美しい桜の花の咲いた頃、君は僕に言った。 高校を出たら、親が決めた相手とお見合いをして結婚をすると。 それは 「君の幸せなの?」 僕の問に君は寂しそうに微笑んで 「人はいつか死ぬわ。私もあなたも、いつかは死ぬわ。だから、忘れないでね?私と生きていたこと。」 桜の花びらの雨の中、君がくるりと踊るように回る。 「忘れないから、君も忘れないで?」 君はそう言うと、春の中を柔らかく走って行った。 舞う桜の花、優しい陽だまり、ねぇもう一度だけ 「振り返って?」 でも君はもう振り返らない。 僕が走って追いかければ良かったのだけど、何故か金縛りにあったように足が動かなくて⋯僕はその場に座り込んだ。 涙が止まらなかった。 桜の花びらと、僕の涙が、次から次にこぼれ落ちた。 春、僕は大切な人を永遠の中に見失った。 それでも人生は続いた。 君がいなくなった後の人生で、僕はどこか君に似た妻と結婚をした。勿論、忘れられない君のことは永遠の秘密だ。 そして子供も生まれ、僕は今中々に幸せなやってるよ。 でも桜が咲く度に、僕は君を想い出した。 君もどこかで 「幸せに生きているのかな?」 あの頃の幻の桜に手を伸ばす。ショパンの悲しげな、でも美しい音色が聴こえてくる。 あー、忘れないよ、君と生きたこと、君と生きた季節。 どうか幸せになっていておくれよ⋯。そう思いながら、僕はあの頃の幻の桜をひとひら手に取って、そっと空に返した。
白馬に乗った君
「多田(ただ)とだけは結婚したくない!」 そう言い放ったのは、もう何年前のことだろう? けれど多田は何故か毎年律儀にバレンタインチョコをくれる。しかも手作り。 「男のくせに、何よ!女の私より可愛いことしやがって!」 その言葉に多田は 「結構自信作なんだ!食べてくれよ!」 と微笑む。 なんかその笑顔がやけに爽やかで余計に⋯ 「ムカつく!」 多田の足を思い切り踏んずけてやった。 「いたっ⋯こら、乱暴は良くない!暴力反対!」 多田の呑気な声が響く。 私はそれを無視して、でもちゃっかりチョコは持って、走って家に帰った。 因みに多田の手作りチョコは本当に 「なにこれウマっ!あいつパティシエ目指した方がいいな!」 って独り言言うくらい美味しかった。 でも多田にはそれは秘密にした。だって⋯多田だもん。 多田との出会いは保育園の頃に遡る。 あの頃白馬に乗った王子様が迎えに来てくれることを夢見ていた可愛い女のだった私は、何がきっかけか多田と出会って、友達になって、で 「高校生の今に至るっと⋯」 周りの女子は結構多田推しが多い。冷静に考えたらそうかって思う。だって多田、意外と背、高いし、顔も爽やかでイケメン?な方だし⋯あと 「優しいよね⋯」 でも私は多田とは 「絶対結婚したくない!」 なんでかって?それは⋯分かんないけど⋯なんか多田とはいい友達のままでいたい気がするんだ。ふざけて遊べる、楽しい友達。 だから多田、お願いだから 「私を好きにならないで?」 その時目が合った多田が私に手を振って笑う。 私はそれに中指を立てた。 「バーカ!」 それでも多田は笑っていた。 何よ、多田って本当に 「なんなのよあんた!?」 それに多田は笑って 「立てる指、足りてないぞー」 とピースして見せた。 私はそれになんかすごい腹が立った。 多田のやつ⋯いつかあの天然優男、滅茶苦茶怒らせてやる! 何故か変な決心をした。 そんなある日、休日に仲間内みんなで遊園地に来た。なんかそこに多田もいた。 「なんで多田いるの?」 その質問に親友の子が 「ほら、多田くんに片想いしてる子がいるって知らない?あの子?さり気なくくっ付けてあげようと思って⋯協力してあげよ!」 あー、そういうことかって思った。ならお安い御用だ!多田よ、サッサっとその子とくっ付くがいい! みんなで遊園地を回りながら、私達はそれとなくその子と多田を隣同士にしてみたり色々した。 でもイマイチ手応えはなかった。 そのうち辺りは暗くなりだし、私がお手洗い行っている間に、多田はなんかちゃっかりメリーゴーランドに乗っていた。 「うわ、ウケる!」 笑った拍子に、足元の小石に躓いて転んだ。 別に痛くはなかったのだけど、その時思い出した。私が多田と結婚したくない理由。それは保育園の頃の遠足。メリーゴーランド、何故か一人で取り残された私は、ボンヤリみんなが回って来るのを見つめていた。でも一人メリーゴーランドに乗れなかったのが段々悲しくなった私は、遂に泣き出して⋯それを見た保育園児の多田が止まったメリーゴーランドから飛び降りて走って私の手を掴んで言ったんだ。 「僕がもう一回、一緒に乗ってあげる!だって、僕、君の王子様になりたいから!」 その時多田は紛れもなく、白馬に乗った王子様だった。メリーゴーランドっていう物理的にも、私の心的にも。 多田に手を引かれて乗ったメリーゴーランドは、本当に 「楽しかったな⋯」 でもあんまりにも素敵だったから、多田とは結婚したくないって思ったんだ。だって、夢を見ていたいじゃない?どんな童話もそう。ハッピーエンドの先は美しくないって、知っていたから。だから、あの瞬間だけが 「欲しかったんだよねきっと⋯」 ねぇ白馬に乗った多田?多田はいつまでも変わらないでいてくれる? その時、音楽の止まったメリーゴーランドから多田が私の方に駆け寄って来る。 「どうした?転んだの?怪我は?」 心配そうな多田の顔に、私は笑っちゃった。 「何笑ってんの?真剣に聞いてるのに?」 多田が少し怒ってる。 「ごめんごめん⋯なんかさ、白馬に乗った多田が迎えに来たなって思って⋯そしたら笑えた!怪我してないよ、大丈夫!」 立ち上がろうとしたら、足を少し捻っていたみたいで、よろけた。 それを多田がすかさず抱き上げてくれた。 でもさ、でもさ、この格好⋯ 「恥ずかしいからやめてよ、多田!」 でも多田はニコニコ笑って、私を離さない。 「いいよ、足痛いでしょ?このまま、このまま!」 呑気に喋る多田は、ゆっくり歩き出す。 ねぇ、多田?多田は私のこと、好き? それは聞かないで、そっと多田のほっぺたにキスをした。 「バ、バレンタインのお返し!何日か前、ホワイトディだったでしょ?」 多田も私も、顔を真っ赤にして、少し黙った後、多田が嬉しそうに呟いた。 「来年は、口に貰えるようにもっと頑張ろうかな?」 それに私は多田のことを叩きながら 「勝手にしたら、バーカ!」 と微笑んだ。 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ 最後までお読み下さりありがとうございました! 来週の投稿はお休みとさせて頂きます。 次回は3/27日(木)にお会いしましょう! 皆さんも適度にお休み、して下さいね!