秋沼 文香

36 件の小説
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秋沼 文香

本はミステリーものが好き よろしくお願いします。

10話

結璃達4人は行きつけの喫茶店で大学時代の時の思い出や結婚や子育てのことを語り合っていた 「大学以来じゃない?私達4人がこうして集まるの、ねえ望音さんのお子さんなんか習い事とかしてるの?」 「ピアノをやってます。すみれがやりたいって言うので」 「ピアノだけ?すみれちゃん8歳でしょ、いろんなことやらせないと、子どものうちは覚えも早いし、後で後悔するのはすみれちゃんの方なのよ、そういうのちゃんと考えてるの?」 「いや、でも…すみれがやりたいのだけやらせればいいし、無理にいろんなことやらせなくてもいいんじゃないですか?」 「そんなこと言ってたらダメよ、あなた親でしょ、子どものこと考えなさいよ」 「はい、そうですよね…」 そろそろ出ましょうと椿姫が言うと、4人は店を出て行った。 結璃と真璃子の姿が見えなくなると望音はこの後椿姫の家に行ってもいいかと尋ねた 「子育てのことで色々相談したくて、いいですか?」 「もちろんいいわよ」 望音は椿姫と一緒に帰り、椿姫のお宅にお邪魔した。椿姫は高級マンションの7階に住んでいてベランダから見える景色がお気に入りだと話していた。 「本当、いつ見ても好きだな、この景色」 「海とか見えていいですよね」 「夜はもっといいのよ、夜景が綺麗なの、今度皆にも見せてあげようかな」 「ねえ、椿姫さんあの花何かな?」 「え?どの花?」 望音が下を指さしあれですよ、あれと言い椿姫は背伸びをして下を覗き込んだ。望音は椿姫の両足を掴み上に持ち上げた瞬間椿姫は空中に放り出されそのままコンクリートへと落ちていく。 グシャという音と通行人の悲鳴が聞こえた 「やべー人が降ってきた!」 「これ絶対バズるだろ?SNSに載せよう」 「お前、炎上するぞ」 望音はベランダの窓を開けたままにし、自分の指紋が付かないよう手袋をはめ、コップに酒を注ぎシンクに捨ての動作を4回程繰り返しもう一度コップに酒を注ぎ台の上に置き酒瓶を倒した 白い紙に遺書のようなものを書き自分の鞄にしまった。望音はもう一度ベランダから下を覗き込んだ。人はまだ椿姫の死体に注目している。今出て行くのはまずい、人が少なくなるまでここに居よう、誰かが通報したのか救急車のサイレンの音が聞こえてきた。望音は顔が見られないように帽子を深く被りマスクとサングラスもして部屋を出て行こうと玄関を開けると大地と鉢合わせをした。この子は母親が運ばれるとこを見たのだろうか?いや、分からない…もし見てたら言い訳は通じない、だったらもうあれしかない 望音は一回中に入りテーブルに置いてあった椿姫がりんごの皮を剥く時に使っていた果物ナイフを手に取り大地に近付くと望音が持っているナイフを凝視し喉を鳴らし、玄関のドアに手が伸びた瞬間大地は後ろに引き寄せられた望音が大地の口を押さえ、首にぎりぎりナイフが触れるか触れないか辺りのとこに手を固定した。 「何も見なかったことにして、私が今日ここに来たことも誰にも話さないで、部屋の中もそのままにして、警察にも話さないで」 「…分かりました」 望音は大地を解放し、部屋を出て行った 脅しが効いて大地が話さなければ大丈夫、自殺に見えるよう小細工もしてきた。大丈夫、きっと大丈夫

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10話

9話

望音の自宅のポストから差出人不明の封筒が入っていた。誰からだろうと思い家に入り封を開け、二つ折りにされた紙を開いた ”早く本当の事を話せ、私は全部知っている” その右下に椿姫と書かれている 「何…これ…」 望音は震える手でスマホを操作し、グループLINEでメールを送ると数時間して結璃と真璃子が来て、望音は2人の腕を引っ張り中に入れさせた 「何何?どうしたの望音」 「これが、ポストに入ってて…これって椿姫の呪いだよね?」 2人は少し黙り、結璃から口を開いた 「その前に、望音に言いたいことがあるの…望音の娘のすみれちゃんね、小麦アレルギーで亡くなったでしょ、私のせいなの、私がほんの少し痛い目に合えばいいのにと思って、すみれちゃんから結婚してないこと、可哀想で言われたのなんかムカついて、大人なのに情けないよね、あんな子にあんなことさせて、本当私バカだよね、何してんだろ?謝っても許してくれないよね、あたりまえか、ごめん望音、本当にごめんなさい」 「え?何言ってるの?すみれは生きてるでしょ、結璃すみれが無事だったで聞いた時安心してたじゃん」 「あれは嘘、望音の旦那さんに頼まれて話を合わせたの」 「すみれちゃんは小麦アレルギーが原因で亡くなったの、葬式やったの覚えてない?」 望音は頭を抱え、違う違うと何度も呟いた 「2人とも最低だよ!そんなこと言って、すみれは生きてる!」 「望音、辛いのは分かるけど、ちゃんと現実を見て」 真璃子が望音の肩を掴んだ 「すみれは生きてるの!この間夫と一緒にピアノ教室に行って、その後私が迎えに行って帰り道歩いてたら警察に会って、警察の人もすみれに挨拶してた、今日だって行ってきますって言って学校に行ったんだよ」 「望音!すみれちゃんはもういないの、望音が見てるすみれちゃんは幻覚なの」 「違う!すみれは生きてる!」 「望音!しっかりして!ちゃんと思い出して、今まで変だなと思ったことない?周りから不審な目で見られたり、旦那さんと会話が噛み合わなかったり」 望音は頭を抱えたまま目をキョロキョロ動かした 記憶が霧のように頭の上に浮かんできた すみれが倒れている場面、緊迫とした声で病院に電話する自分の姿、すみれが棺桶で仰向けになり目を閉じてる場面 望音の呼吸が少しずつ乱れていく 「望音、思い出した?」 今考えればいくつか違和感は感じていた。 夫と会話が噛み合わなかったのも、警察の人から話を聞かれた時、一回もすみれを見なかった、いや見えていなかったの方が正しいのかな すみれが死んだことを受け入れられなくて私はずっと違和感から目を逸らしてた。 突然視界が真っ白になり、すみれが母親に向かって手を振っている。 「すみれ…」 「ママ、こっち来て」 すみれが手招きをし、望音がすみれの方へ歩き出した。もう少し、あと少しの所で誰かに引き止められた 「望音!やめて!」 望音は気付くとベランダに立ち柵を飛び越えようとしていたとこを結璃に止められていた。結璃は望音にしがみついていて手に力が入っている。 「結璃…」 「望音、ごめんね、本当ごめん…」 「もういいよ、結璃…ところで、これなんなのかな?椿姫で書いてあるけど、真璃子が言ってた椿姫の呪いなのかな?」 「それは結璃がやったの」 「椿姫の字で特徴的だから、再現するの苦労したんだよね」 望音は目をぱちくりさせた 「え?椿姫の呪いでしょ?ほら椿姫が死んでから私達の身に不幸なこと起きてたし、真璃子が言ったんじゃん」 「私も最初は思ったよ、私達の中に椿姫を殺した犯人が居て、中々名乗り出ないから怒って私達を呪ってるんだって、でも椿姫の呪いじゃない、望音が言ってた通り偶然なんだよ、不幸なことがたまたま起きただけ」 「いや、でも…真璃子が階段から落ちて腕骨折して、結璃もうさぎのぬいぐるみに包丁が刺さった不気味な写真見せてきたじゃん」 「それは、私がおちょこちょいなだけ、よく転んだりしてたでしょ?大学の時も覚えてない?いや、覚えてなくていいんだけど」 「え?じゃあ、結璃のは?あれは呪いでしょ?それとも、ストーカー?」 「ううん、あれは私が自分でやったの、すみれちゃんを殺したこと、望音に気付かれるのが怖くて、椿姫のせいにしようとしたの、望音も私達になんか言うことあるんじゃない?」

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9話

8話

望音は誰も居ない空間に向かって一人で喋っていた。まるでそこに誰かがいるように 「望音、誰と話してるんだ?」 「誰って、すみれに決まってるでしょ」 夫は固まった、半分は恐怖心でもう半分はすみれが本当に居るのかという期待だ 「そうだよな…」 病院で夫は精神科の先生に妻の異変について説明をした。 「心理的ショックによるものですね、あの歳の子を亡くしてるんですから無理はないでしょう、なるべく、奥さんに合わせるようにしてください、本当のことを言ったら取り乱すと思うので」 「それじゃ、ずっと本当のことを言うなってことですか?」 「まあ、そうですね…個人差ありますが、自然と治る人も居ますので懸命に待つしかないですね、精神安定剤の薬出しておきますね」 「はい、あの先生、個人差あるということは、治らない可能性もあるって事ですよね?」 「はいそうですね、これは旦那さんと周りの人の協力が必要ですから」 「…わかりました、ありがとうございました」 病院を出て車に乗り家まで帰る途中妻の友達を見かけた夫はクラクションを鳴らし手を振ると相手も立ち止まり、ぺこり頭を下げてきた。車を道路の端っこに停め左右から車が来てないか確認し、車から降りた。 「宇佐見さんですよね、妻のことで相談がありまして」 説明を聞き終えた結璃はわかりましたと頷き夫はありがとうございますと言い車に戻った 家に着いた結璃の耳元から女の子の声が聞こえてきた。これはすみれの声だ ”ヒトコロシ、ヒトコロシ” 結璃は耳を押さえた。透明の袋に入ってるクッキーがすみれの顔へ変貌していき、結璃を睨みつけた結璃は怖くなり棚からめん棒を取り出しクッキーを砕いた。荒れた息を整えるように肩を上下させ、粉々になったクッキーの入った袋をゴミ箱に捨てた。結璃の手の震えはまだ治まらない、ほんの少しだけ痛い目に合えばいいのにと思いやったことがまさかこんなことになるとは思いもしなかった。結璃は自分がやったことを話すのが怖くなりどうしたらいいか考えた時、結璃は椿姫のせいにすることにした。私は何もやっていない、すみれちゃんが倒れたのは椿姫の呪いのせいだと、それなら自分も呪われてると思わせないといけない 結璃はタンスの奥の箱から少しボロくなったうさぎのぬいぐるみと薬箱から包帯を取り出した。台所の引き出しから包丁を取り出し自分の手のひらに刃先を押し当てた ふぅ…ふぅ…と息をし、上を向いてスっと包丁をスライドさせた。手のひらから血が溢れ、それを人差し指に付け白い紙に”お前だ”と書き、手のひらに絆創膏を貼り包帯で巻き、血の着いた包丁を洗い、布巾で拭いてからうさぎのぬいぐるみの心臓に包丁を突き刺しスマホで写真を撮った もしもの時にこれを見せればなんとかなるだろうと思いうさぎのぬいぐるみと紙をゴミ箱に捨てた 夫が台所に居る妻に声をかけた 「何作ってるんだ?」 「お粥、すみれがお腹空いたって言うから、お粥なら食べれるでしょ」 望音はお粥をソファの前に持っていき、ふーふーと冷まし、スプーンですくい少し下に傾けた。その度にべちゃべちゃとお粥がソファにこぼれた 望音は結璃と真璃子といつものレストランでランチをし、すみれちゃんが無事だったことを話すと結璃は背もたれに背中を付け安心したように良かったと胸を撫で下ろした。食事を済ませた3人は店を出て望音が2人に手を振り立ち去っていった 望音の姿が遠くなると、真璃子は結璃に近付き耳元で囁いた 「結璃だよね?」 結璃の心臓がばっくんと飛び上がった。結璃はなんとか冷静を保った。 「何が?」 真璃子は知らんぷりをした。 真璃子は気付いてる。いや、多分見られた 大丈夫、私にはあれがある。椿姫の呪いのせいにすればなんとかなる

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8話

7話

棺桶の中にすみれが目を閉じ仰向けになっている 周りには色とりどりのお花が並べられていた。遺影に写るすみれは歯を見せ笑っていてとっても幸せそうだ 「真璃子、結璃来てくれてありがとう」 「お礼なんていいから、すみれちゃんまた8歳なのに…」 「望音、大丈夫?」 「うん…なんとかね」 少し強がってみたが望音の目は赤くなっていて先まで泣いてたことは一目で分かった 葬儀屋の司会の言葉を最前列で聞いていた望音は再び涙を流しハンカチで口を押さえ夫が落ち着かせるように肩をぽんぽんと叩いた 最前列の右端の人から4人ずつ席を立ちすみれに別れの挨拶をしていく 「この後火葬をするので最期に言い残したことがある方はすみれちゃんに伝えてください、それと何か困ったことがあれば僕か他のスタッフに申してください」 「あのすいません、最期に娘の顔を見てもいいですか?」 「はい、もちろんいいですよ」 葬儀屋は棺桶の小さな扉を開けると目を閉じたすみれの顔が見えた 「すみれ…」 ママびっくりした?ドッキリ大成功!なんて言いながらこの中から起きてこないだろうか、いや、あるわけないか、バカだな私何考えてるんだろう 「すみれこんなとこで寝てないでお家帰ろう」 望音は娘の頬に触れた。すみれの頬にポタポタ水滴が落ちてきた 「すみれいい加減起きてよ…ママとパパと一緒に、お家に帰ろう」 「望音落ち着け…少しあっち行こう」 夫は葬儀屋に頭を下げ妻を休憩所の椅子に座らせお茶を手渡した。 「ごめん、取り乱して…」 「ううん、大丈夫…少しは落ち着いた?」 「うん…ありがとう」 火葬の準備が整い、棺桶は炎の中へ入っていく 皮膚と肉が溶け骨だけが残った。 家に帰るとすみれの私物だけが残されていた ランドセルや学校で出された宿題、すみれがよく読んでた絵本に赤ちゃんの頃から大切にしていたカエルのぬいぐるみ、すみれが使ってた食器や歯ブラシも残ったまま 「…すみれのやつどこかに隠れてたりしてな…ごめん忘れてなんでもない、俺着替えてくる」 望音が私も着替えるねと言い洗面所で着替え、着替え終えると中々下りてこない夫が心配になり階段を上ると夫の部屋から鼻をすする音が聞こえてきた。すみれが亡くなったことを知った時も葬儀の時もずっと泣かなかったのに、ずっと我慢してたのかな、泣いてるとこ見られたら恥ずかしいよねと思い望音は階段を足音を立てないよう忍び足でゆっくり下りた

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7話

6話

今日は望音の誕生日なので萌音の家に皆で集まってお祝いすることになった。壁には風船で膨らませた𝐇𝐚𝐩𝐩𝐲 𝐁𝐢𝐫𝐭𝐡𝐝𝐚𝐲が付けられていてテーブルには豪華な食事に丸い苺のケーキ 皆もいつもより少しだけお洒落な格好をしている 「そろそろ望音とすみれちゃん帰ってくるんじゃない?」 「そうだね…」 結璃は何か思いついたような顔をしクラッカーを真璃子に渡し、隠れて驚かそうと提案すると真璃子もいいねとノリ気だった。 車の扉が閉まる音が聞こえ、玄関を開ける音と足音が聞こえてきた。 「真璃子?結璃?居ないの?帰ったよー」 2人は玄関の隣のドアを開けクラッカーを鳴らし誕生日おめでとうと言い飛び出すと、望音は胸を押さえびっくりしたと目を丸くさせていた すみれはテーブルに並べられている食べ物を見ておいしそうと目を輝かせていた 「これ全部2人が作ったの?」 「そうだよ、冷蔵庫にプリンもあるからね」 「やったー!ママ早く食べよう!なんだかお腹空いちゃった」 お皿に食べたい物を乗せていき、まるでバイキングでもしているようだった。 「ねえ結璃ちゃんはどうして結婚してないの?ママも真璃子ちゃんもしてるのに、どうして?」 「私は結婚しなくてもいいかなって思ってるからかな…もうこの歳だしね、なんというか…諦めてる感じかな?」 「結璃ちゃんモテないの?モテないから結婚してないの?なんか可哀想」 「えーそうかな?」 「そうだよ!だってお家でひとりぼっちなんでしょ?私こうなりたくないから早めに結婚してくれる人探さないと」 結璃は苦笑いを浮かべた 「すみれそういうこと言わないの、失礼でしょ」 すみれは不貞腐れたようにはーいと返事をし望音が結璃にごめんねと謝った 「ううん、大丈夫大丈夫、子どもが言うことだもんそんな気にしてないから」 望音の誕生日パーティを終わらせ自宅に帰った結璃は台所で米粉クッキーを作っていて、その生地の中にほんの一摘みだけ小麦粉を混ぜた。 ただの小麦粉なのにまるで毒を入れているようだった。生地を混ぜ、まとまってきたらめん棒で伸ばし型を取りオーブンで焼き完成だ 完成したクッキーを透明の袋に入れリボンで縛ったのを鞄に入れた。 次の日の学校帰りのランドセルを背負ったすみれに結璃が声をかけ透明の袋からクッキーを一つ取り出した。すみれは小麦アレルギーだからと貰うのを断ると結璃は米粉だから大丈夫と言うとすみれはクッキーを受け取った。 「クッキー貰ったこと誰にも話しちゃダメだからね」 「うん、誰にも言わない」 2人は人差し指を鼻に当てた。 すみれは家に帰りランドセルから給食袋を取り出しお箸をシンクに置き給食袋を洗濯機に入れ、手洗いとうがいをしてから結璃から貰ったクッキーをポイッと口の中に入れた。 クッキーを食べてから数分後腕に蕁麻疹が広がり顔も熱くなり息が苦しくなってきた。すみれはその場で横になり吐いてしまった。嫌な匂いが鼻にきてすみれはまた吐き気を感じた。 「すみれ!すみれどうしたの?気持ち悪いの?」 「ママ、苦しいよ…」 「あの、帰ってきたら娘が倒れてて、苦しそうなんです!早く来てください!」 すみれは病院に緊急搬送された。望音は手術室の前の長椅子に座りすみれの無事を懸命に祈った お願いします、すみれを助けてください 手術室のドアが開かれ一人の先生がマスクを下にずらし出てきた 「すみれは、大丈夫なんですか?」 先生は何も答えないところが望音を見ようとしなかったというよりも見れなかった。 「先生?すみれはどうなんですか?助かったんですよね?」 先生は無表情のまま淡々とすみれが亡くなったことを母親に伝えた。望音は先生の腕を掴み激しく揺さぶった娘を亡くした母親の悲痛な叫びが痛いほど心に伝わってきた。 「我々も最善を尽くしましたが、これが限界です。娘さんを助けられなくて、本当に申し訳ありませんでした」 「…これだけ教えてください、すみれの死因はなんですか?」 「…小麦アレルギーによるアナフィラキシーショックです」

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6話

5話

「見て2人とも」 結璃はスマホで撮った写真を見せた。うさぎのぬいぐるみの心臓に包丁が刺さっていてお腹の上にお前だと書かれた紙が置いてあった 「何これ…気持ち悪い」 「でしょ、買い物から帰ってきたら置いてあて、やっぱり真璃子の言う通り…椿姫の呪いなんじゃないかな?」 「誰かの嫌がらせだよ、呪いなわけないって」 「結璃、左手どうしたの?」 結璃の左手に包帯が巻いてあった 「これ、散歩中の犬を触ろうとしたら噛まれたんだよね」 望音が心配すると結璃は大丈夫と答えた 「ねぇ、お前だってどういう意味かな?しかもこれ、人の血だよね?」 「呪いなのか嫌がらせなのかどっちかは分からないけど、どっちにしろ気味悪いよね」 「結璃何か心当たりない?誰かの視線感じたりとか」 「え、ストーカーってこと?気持ち悪い」 結璃が両腕をぎゅっと握り不味い食べ物を噛んだような顔をした 「望音の方は大丈夫なの?」 「私は平気、真璃子の方は?」 「私も…今回は結璃だけか…椿姫の呪いにかかってるのは」 「真璃子やめてよ、呪いなわけないじゃん」 望音が前のめりになり否定すると真璃子がごめんと手を合わせ、真剣な顔をして椿姫が亡くなる前2人は何をしてたかを聞いた 「なんでそんなこと私達に聞くの?真璃子私達のこと疑ってるの?」 「違う、そうじゃないけど」 「いやそうでしょ?」 望音が手をパンと叩いた 「やめてよ2人とも、私達の中に犯人なんていないよ、椿姫は自殺だって」 「でも警察は他殺だって判断したんでしょ?自殺だってなんで思うの?」 望音は鞄から半分に折りたたまれた紙を2人に見せた。 ”もう耐えられない、さようなら私はどこか遠くへ行きます。” 「これって、遺書?」 「なんで望音が持ってるの?」 「椿姫から預かってほしいって頼まれたの、なんで私なのかは分からないけど」 望音は紙を折り鞄にしまうと真璃子が手作りのクッキーが3個入った透明の袋を2人に渡した 「ありがとう真璃子、おいしい!結璃食べないの?」 「え?…あ、うん後で食べようかな…」 「私さ、見ちゃったんだよね誰かがすみれちゃんにクッキー渡してるとこ」 「え…誰なの?それ」 「遠くからだったから分からないけど、誰なんだろう?」 結璃が俯き手を組み替えたりして落ち着かない様子だ 「結璃どうしたの?顔色悪いけど」 「ごめん、なんか気持ち悪くなってきたから私先に帰るね」 結璃は喫茶店を出て路地裏に入り壁に手を当て地面をじっと見つめた。 見られてた真璃子に、真璃子があの時言ってたのはあの事だったんだ… 結璃は学校帰りのすみれに声をかけた 「あ!結璃ちゃんだ、こんにちは」 「こんにちは、すみれちゃんこれ」 透明の袋の中から一つクッキーを取り出した。 「ごめんなさい、ママからダメって言われてて、私小麦アレルギーなの」 「大丈夫、これ米粉で作ってあるから、でもクッキー貰ったこと誰にも話しちゃダメだからね」 結璃は人差し指を鼻に当てた 「うん、誰にも言わない」 すみれも結璃と同じように人差し指を鼻に当てた どこからか結璃を呼ぶ声が聞こえてきた 声が聞こえた方を見ると真璃子が何度も名前を呼んでいたそうで結璃はごめんと謝った 「…真璃子、見てたの?私がすみれちゃんにクッキー渡すとこ」 真璃子は頷いた。 あぁ…やっぱり見てたんだ 「どうしてあんなことしたの?すみれちゃんが小麦アレルギーなの知ってたよね?」 「…ほんの少し、痛い目に合えばいいのにって思ったの、なのに、まさかあんなことになるなんて…」 「どうして、そう思ったの?」 結璃は理由を説明した 「…望音にも言った方がいいよね」 「うん、それと結璃に頼みがあるんだけど」

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5話

4話

「すみれ、今日はなんのお歌弾いたの?」 「チューリップ!」 すみれはチューリップの歌を母親と歌いながら腕を振って歩いていると警察を名乗る女性に声をかけられた。その隣にメモ帳とペンを持った男性刑事が話を聞きながらメモ帳の上にペンを滑らせていく 「山本椿姫さんが亡くなる前あなたは何をしてましたか?」 「えっと…家に居ました」 「何をしてたんですか?」 「夕飯の支度したり、洗濯物を畳んだりしてました」 「そうですか、では何か心当たりはありますか?」 「いえ、ありません」 すみれが母親の腕をぐいぐい引っ張り早く帰りたそうにしたので警察の人が一言謝り去って行った 結璃が家を出るとお隣さんに声をかけられた 「大丈夫だった?昨日の夕方頃すごい大きな音聞こえたけど、ドンドンっていう」 「あー…すいませんうるさくて、きゅうりのたたき作ってたんです。本当すいません」 「あらそうなの、なんだ良かった、おばちゃんびっくりしちゃったから、それじゃまたね」 結璃は軽く頭を下げた。 真璃子は椿姫が亡くなった時のことを旦那に話した 「椿姫殺した犯人さ、結璃だと思うんだよね」 「どうして?」 「私本人には言ってないけど、見ちゃったんだよね結璃が望音の娘さんにクッキー渡してるとこ」 「天音(あまね)さんの娘さん、小麦アレルギーだよね?どうしてクッキーなんか」 「決まってるじゃない!殺意があったからだよ、子どもを殺そうとする人だよ、絶対結璃だよ椿姫殺したの」 「…まあ、真璃子の友達のことはよく分からないけど、あまりそういうこと言わない方がいいんじゃないか?クッキーだって、米粉を使ったものかもしれないし、見たまんま決めつけるのは良くないと思うぞ」 「そう、だよね…」 「腕の方大丈夫?」 真璃子はうんと頷くと旦那から真璃子はよく怪我するよなと言われ気をつけないとねと返した 真璃子は注意力が足りないのかよく転んだりしている。 テーブルの上にうさぎのぬいぐるみが置いてある 心臓に包丁が刺さっていてお腹の上に小さい紙が置いてあり”お前だ”と書かれていて、人の血で書いたかのようで気味が悪かった 次の日の学校帰り大地が母親の友人に声をかけ犯人を見たと伝えた 「本当なの?」 「はい、間違いありません」 「警察には言ったの?」 「いえ、僕実は、犯人に口止めされてて、そのなんとか自白させるよう仕向けてくれませんか?」 「…うん、分かった」 「あと、警察には絶対言わないでください、お願いします!」 「分かった、絶対言わないから」 「ありがとうございます」

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4話

3話

真璃子の右腕にギプスが巻かれていて望音がどうしたのと理由を聞くと階段から落ちたと答えた。 「大丈夫?」 「うん、なんとかね」 「そっか…私もこの間望音が体調崩して緊急搬送されたの、原因は小麦アレルギーによるものでね、小麦を使った食べ物は食べさせてないし、学校にも言ってあるし、皆にだって…」 「誰かのイタズラとか?でも命に関わることなんだからイタズラとかでは済まされないよね」 結璃が少し前屈みになり聞いた 「それで、すみれちゃん大丈夫なの?」 「うん、薬飲んだら良くなったから」 結璃は背もたれに背中をくっつけ安心したように良かったと呟いた。 「これさ…椿姫の呪いじゃない?」 言い出したのは真璃子だ。2人はありえないというような反応をした 「呪い?やめてよ真璃子、怖いこと言わないでよ」 「だって、椿姫が死んでからだよ、私達に不幸な事が起きたのって、私たちの中に椿姫を殺した人が居るんだよ」 「私達を恨んで呪ってるってこと?」 「結璃までやめてよ、偶然が重なっただけ、思い込みすぎだよ2人とも」 椿姫の呪いが本当だとして、どうして無関係の子どもにまで被害が及ぶのだろうか、すみれは無関係なのにどうしてすみれまで不幸な目にあったのだろう、呪いだなんていうのは2人の思い込みで本当は偶然が重なっただけではないのだろうか 「望音?どうしたボッーとして」 「あ、ううんなんでもない」 「実は昨日ね、警察が家に来たの」 望音と結璃は「警察!?」と打ち合わせでもしたかのように口を揃えた 「椿姫の死因、自殺じゃなくて他殺かもしれないって言われてね、私は何も知りませんって答えたけど、2人は何か知ってる?椿姫のこと」 「私達も知らないよ、でもどうして他殺に切り替えたの?最初は自殺って言ってたのに」 「それね、聞いてみたらさ教えてくれなかったの、捜査のなんとかって言われて」 「あー刑事ドラマとかで聞くやつ」 結璃がアイスコーヒーを啜った 「2人ともごめん、私先抜けるね今日すみれのピアノ教室の日なんだよね」 望音は席を立ち2人に手を振り店を出て行った 「私達も出ようか」 2人は店を出て、真璃子が結璃の耳元で囁いた。 「結璃だよね?」 「…何か?」 「ん?別に、またね!結璃」 「あ、うん…またね」 結璃は家に着くと透明の袋に入ってるクッキーをめん棒で砕きゴミ箱に捨てた

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3話

2話

すみれの腕に赤いぶつぶつが浮かんでいる。すみれはお腹を押さえ、顔から汗が吹き出し息も苦しそうで床には嘔吐物が散らばっている。望音はすぐに病院に連絡をしすみれは緊急搬送され、色々検査をした結果小児科の先生から小麦アレルギーだと言われた 「小麦アレルギーですか?」 「はい、すみれちゃん何か小麦を使った食べ物とか食べてませんか?」 「いえ、ありません、前にも同じようなことがあって、それからは小麦を使った料理は与えてません」 「クッキーなどを食べたとかは?市販のものは小麦を使ってるのが多いので」 「それはありません、家にクッキーは置いてません。小麦を使ったお菓子は一個も置いてません」 「そうですか…分かりました。お薬出しておきますので、また何かありましたら来てください」 「はい、ありがとうございます」 家に帰りすみれはお水と一緒に薬を胃の中に流し込んだ 「すみれ、これで少しは良くなるからね」 「ママ、明日学校行ける?」 「うーん…元気そうなら行ってもいいけど、無理しなくていいからね」 すみれは頷いた 「すみれ、何か小麦を使った食べ物とか食べたりしてない?ちゃんと、本当のこと話してくれる?」 すみれは何かを思い出すように目を泳がせた 「ママが作った物しか食べてないよ」 「すみれ、怒らないから本当のこと話して、これは命に関わることでもあるの」 「知らない、私何も知らない」 「本当に?本当にママが作った物しか食べてない?」 「うん、本当だよ」 望音は肩を落とし、食べれそうな物はあるかと聞くとすみれはお腹痛いから何も食べたくないと答えた 「お腹空いたら言ってね」 「はーい」 仕事から帰ってきた旦那にすみれのことを説明した。 「…そうか、大丈夫なのか?」 「うん、薬飲んで少し良くなったみたい」 「すみれが小麦アレルギーなの知らない人から何か貰ったとか?クッキーとか」 「それはないよ、学校にも言ってあるし、私の友達にも言ってあるんだから」 「誰かの嫌がらせ?」 「ないよ、だって命に関わることだよ、そんなことする人いるはずないよ」 「でもなんで、アレルギー反応が出たんだ?家には小麦を使ったお菓子もないし、小麦を使った料理も出してないのに」 「それが不思議なのよ」 ソファで横になっていたすみれがゆっくり起き上がりお腹空いたと言うと望音は何食べたいと聞くとなんでもいいと言われ望音は台所に向かいお粥を作った。水とご飯が入った鍋を温め、少し沸騰してきたら溶いた卵を円を描くように入れかき混ぜる。 「すみれ、熱いから気をつけて食べてね」 すみれはスプーンで少しだけお粥をすくいふーふーと冷ましながら食べた 「大丈夫?熱くない?」 すみれは頷いた 「すみれ、お粥食べ終わったら熱測ろうか」 すみれはもう一度頷いた すみれはお粥を少しだけ残したのを母親に渡し、体温計を脇に挟みじっとした。 ピピピと体温計が鳴り脇から離した。 「熱はなさそうだね、すみれ明日学校行けそう?」 すみれは少し首を傾げてから行けると思い頷いた

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2話

1話

女性が花に囲まれ眠っている。眠れる森の美女のように美しい顔のまま 大学の頃結璃(ゆり)はサークル仲間とこんな会話をしたのを今でも覚えている。 「皆さ、結婚とか考えてる?」 最初に話を始めたのは椿姫(つばき)だ 「老後とか考えるとした方がいいのかな?孤独死って嫌じゃん」 「運命の人(いいひと)がいればね…」 そして年は重ね、結璃だけを残し大学時代の友人は既婚者になり中には母親になったものもいる 「いいなー皆結婚出来て」 「そんないいものじゃないよ、子どもが出来たら子ども優先の生活になるし、お金もかかるし、自分の時間なんてほぼないよ」 「でもいいな、だって帰ったらおかえりって言ってくれる人が居るんですよ、私には居ないから」 結璃はコーヒーを一口啜った 「大地くん、今いくつだっけ?」 「今ね、中学一年生」 「え!もうそんな大きくなったの?最初会った頃確か…2、3歳ぐらいだったよね、早いなー子どもの成長は」 「あっという間だよ…結璃も早く結婚相手見つけなよ、時間は止まってくれないんだからね」 「そうだよね」 「ねえ、真璃子は子ども居ないんだよね?作ろうとか思わないの?」 「うん、私さ子ども苦手なんだよね、旦那と居るだけでも幸せだし、いいかなって」 席を立ち店を出た。 「ねえ結璃、椿姫のことどう思う?」 「どうって?」 「なんかさ、自分の価値観押し付けてるというか、そういうの感じるんだよね」 「え?そうかな…」 「そうだよ、子どもいらないって話したらありえないって顔してたじゃん」 「考えすぎじゃない?気のせいだよ」 「…そうだよね、こういう愚痴言えるの結璃ぐらいだからさじゃあ、またね」 「またね」 結璃は友人に手を振り誰も居ない家に帰り、ただいまと言って家に入る。 大学時代に撮った写真を懐かしそうに眺めた 「若いな…」 3ヶ月後 椿姫が自宅のベランダから転落し死亡した 頭から血が流れ通行人が叫び声を上げ、その声と人が落ちた音に振り向く人も居た。 椿姫は棺桶の中で花に囲まれ眠っているようだった。妻を亡くした夫は涙を堪えているのか拳をぎゅっと握っている。隣の学ランを着た男の子は無表情のままお坊さんのお経を聞いていた。 「妻が、色々お世話になりました。大学の頃からのご友人なんですよね?仲良くしてくださりありがとうございます」 「いえ、そんな」 「…妻の死因は自殺だと聞いてます。何か心当たりとかありますか?あ、旦那の僕が知ってないとダメですよね?すいません、なんか」 「そんな、大丈夫ですから」 「父さん、もう帰ろう」 「そうだな、それではまた」 結璃たちグループのリーダー格みたいな人で、何もかも完璧で素敵な旦那さんに偏差値の高い中学に通ってる優秀な息子が居るのに、どうして椿姫は自殺なんかしたのだろうか?私たちには見えない、知らない悩みでもあったのだろうか?椿姫は弱音を吐いたり弱い自分を見せるような人じゃなかった。 「椿姫にもさ、私たちの知らない悩みとかあったのかな?」 「結璃さ、椿姫の死因が自殺だと思う?私は違うと思う、だって変でしょ?あの椿姫が自殺なんて考えられないよ、誰かに突き落とされたんだよ」 「誰に?」 「決まってるじゃん!旦那か子どもにだよ」 「えーあの2人?でもありえるとしたら、息子さんの方じゃない?旦那さんは悲しそうにしてたけど、息子さんはなんか、ふつうそうだったじゃん」 「結璃、真璃子この話はやめよう…死因とか誰か犯人とかどうだっていいじゃん、真実が分かったとこで椿姫が戻ってくるわけじゃないんだし」 「うん、望音(もね)の言う通りだね、やめよう!この話は終わり!」 結璃は手をパンと叩いた

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1話