星々のモノローグ。

4 件の小説

星々のモノローグ。

おもちゃ箱の中。

虚偽のお茶会。

白いうさぎを追いかけて、落ちてしまったのは大きな穴。 不思議な世界に来たと思えば帽子屋に出会って、世界の案内をされた。 その後自然な流れでここまで連れてこられた。 お茶会、お茶会であった。 不思議の国のよろしく展開で目の前には紅茶が大量に並べられていた。 たった4人そこらの数に比べて、ティーカップはいくつあるのかわからないほどであった。 みんな多分おかしいのだと思う。 お留守のティーカップを黙認して、ガヤガヤと話し合っている。 ガヤガヤというのは比喩ではなく、本当にそう言っているのだ。 帽子屋曰く、 「あー、この世界はね、みーんなおかしいんだ。 アリス、君がいないともっとおかしくなってしまうんだ。ね、僕らを助けると思って!」 僕はアリスじゃないし、助けるってどういうこと?という言葉はお腹の辺りでぐるぐると渦巻いていたが、出てくることはなかった。 目の前の紅茶を一口含む。 爽やかなレモンの香りの後に、甘ったるい味が口を支配する。 思えば、何もない自分に何かを与えようとした神様の悪戯なのかもしれない。 ありがとう神様、でもこんなのはいいです。と内心世界を拒否していた。 「ア〜リス!大丈夫?ぼぅっとしているけど。」 帽子屋に言われて気づく。そういえばお茶会の最中であった。 みんないかれた目をした虚偽だらけのお茶会である。帽子屋意外と目が合わないのは何故だろうか。それは帽子屋以外、みないかれているからである。 自問自答の末に疲れ果てて眠りたくなってしまう。意識がぼんやりとしてくる。 瞼を閉じる寸前、帽子屋はこちらを見て微笑んだような気がした。

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ぬいぐるみ

ぼくは、ぬいぐるみです。 なまえは、なんだっけ、わすれちゃったけど。 かわいい、だったかな。なまえ。 とにかく、あのこのぬいぐるみです。 あのこがずっと、ずっーと小さいころからそばにいて、泣いてるときは、ぼくをぎゅーっとだきしめた。 つらいときはよりそった。大丈夫、しんぱいしないで、君はできる子だから。でも、ちょっとやすんで。無理はしないでって。 うれしいことがあった時ははなしをきいた。好きな子に話しかけられたって。あの子はあしをばたばたさせてた。 あの子のぬいぐるみです。 でも、もうお別れかも。 あの子が大人になったら、もう僕は必要ない。 寄り添う必要は、ない。 って思ってたんだけど。 「おかーさん!このぬいぐるみもらっていい?」 もう少し、出番があるようで。 もうちょっとだけ、寄り添ってみようかな。 なんて、おもったりしてる、ぬいぐるみです。

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まあ、こんなことに意味はないわけで。

手元に血濡れたナイフをぎゅっと握っていた。 血が流れている。 目の前の道化師がだから言っただろうというようにしたり顔で笑っていた。 血が流れている。 お腹にはナイフが刺さっているのに なんで笑ってられるんだろう。 血が流れている。 「ねぇ……きみ、は、そうする、って、おもった。 あーははは…」そう吐き捨てていた。 血が流れている。 ついに力が抜けて、僕にもたれかかってくる。 血が流れている。 「だいすきだよ、……あ゛ー…う゛っは、は……」 血が流れている。 血が流れている。 血が流れている。 血が流れている。 血が流れている。 血が、血が

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夢のなかで、

「夜が怖いのかい?」 何処かから心地良い声が聞こえてきた。 あまい、あまーいクッキーみたいな声で。 ぼくの意識はわたあめみたいにふわふわで。 「……ふわふわしてる? なら、そのままで。おいで、ボクと遊ぼう。」 声が聞こえる。僕は手を取った。 ふわふわの頭ではどんな遊びをするんだろうって、すっごくきらきらしたこの世界でとっても素敵なことをするんだって、無邪気にぼんやり考えていた。 「ねえ、こんな夜があるのなら。 夜もそんなに悪くないって、思ってくれるかい?」 「おやすみ、どうかいい夢を」

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