リーさん

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リーさん

こんにちは、【俺の異世界生活きのこだった、】を書いています! 普段はカクヨムをメインに活動していて、カクヨムが1話先行で投稿しています。 是非読んでいってください! (*・ω・)*_ _)ペコリ

第十六話 強くなりたい俺だった

「―――貴様らか、昨晩の事件を引き起こしたのは」 「あっちゃ〜、やばいの来ちゃったっすね〜」 「強ぇなこいつ...」 「スレイブ王国騎士団長ですよ〜」 「こいつか、『冰魔冥天』は」 長身の男が不敵な笑みを浮かべた。 「先輩〜、マジでやめてくださいね〜」 「わかってる」 その瞬間――― 長身の男がハミルに向かい飛び出した。 「はぁ〜、馬鹿な先輩をもつと苦労しますわ〜」 ハミルはすぐさま剣を抜き、長身の男の足元を凍らせた。 そして、動きを封じた隙に切りかかる。 「チッ、だりぃな」 パキィン… 間一髪で足元の氷を割り、ハミルの攻撃を避けた。 しかし――― 長身の男の腹部からは血が流れていた。 「...あれで当たってたのかよ」 「帰りますよ〜、先輩〜」 「...わかったよ、グリム」 グリムが長身の男に歩み寄ると、内ポケットからダーツを1本取り出し、ハミルの頭上めがけて投げた。 「どこへ投げて....っ...!」 「また会いましょうね〜、騎士団長サマ♪」 グリムの肩に長身の男が手を置く。 ハミルはダーツの狙いに気付き、二人に詰め寄る。 「ではまた〜、〝テレポート〟」 ヒュン… ハミルが切りかかるが、そこからは二人組の姿は消えていた。 だが――― 息を整える間もなく、振り向きダーツの方角へ全速力で走り始めた。 屋根に飛び乗り、建物の上を移動する。 ハミルが走り去った場所は瓦やレンガが五、六個吹き飛んでいた。 そして、王国から離れた森の奥へ進むと、黄色いダーツが刺さった木を見つける。 「...........」 ハミルが必死に追っていたのはダミーであった。 ガルゥゥゥ… ハミルの匂いを嗅ぎつけた魔物が周囲を囲んでいた。 だがそんな事も気にせず、ハミルは俯いていた。 ガウッ… 魔物が一斉に襲いかかろうとした。 その瞬間――― ピキピキッ ハミルの足元から霜が広がり始めた。 そして向かってくる魔物の真下から、鋭い氷が出現し魔物を貫く。 その氷は一斉に枝分かれし始め、次々と魔物を串刺しにしていった。 「.........」 コツコツ… 魔物の群れは無惨な姿に変わり、氷に血が滴り落ちている。 ハミルは殺意に満ちた表情で王国へ向かい歩き始めた。 ―――― 一方その頃 グリムたち二人は、スレイブ王国内にいた。 「ふぅ〜、焦った〜」 「ありゃヤベーな」 「早速仕掛けを使っちゃいましたよ〜」 グリムはテレポートした場所の壁にダーツを刺した。 「先輩〜、血垂らさないでくださいね〜」 「わかってるよ」 長身の男は傷口に力を込め、筋肉を収縮させて血の流れを止めた。 「今頃ダミーだと気付いて、さぞご立腹でしょーね〜」 「俺らもさっさと戻んぞ」 「はいよ〜」 グリムはダーツを取り出し、遠く目掛けて投げた。 長身の男がグリムの肩に手を置く。 「〝テレポート〟」 その瞬間、空中に二人が現れた。 グリムはもう二本ダーツを取り出し前方に投げる。 「〝テレポート〟」 最後の一本を下に向けて投げた。 「〝テレポート〟」 二人は開けた草原に出て、歩き始める。 月明かりが草花を照らし、ゆっくりと揺れていた。 ――――時は少し遡る ガチャ… 「誰だいこんな時間に...」 孝典はローザを見るなり言葉が出た。 「ローザ...俺に戦い方を教えてくれ!」 ローザは呆れた顔でため息をついた。 「人に会うなりそれかい、まったく今時の若いもんは。師匠に挨拶にも来ないわ、誰かさんは再会して早々戦い方を教えてくれだぁ?」 「ロ...ローザ?」 孝典は少し気まずそうな顔をしていた。 「まぁいい、とりあえず入んな」 ガチャン… ローザの家へ入り、1階のリビングで椅子に腰を下ろした。 「で、なんだって?」 「俺に戦い方を教えて欲しいんだ」 「そうかい、バドルから話は聞いてるよ。死にかけたんだってね」 「....そうなんだ」 「何故そんな経験をしてまで強くなりたい」 「守りたいんだ。仲間を...」 「ヴァールたちのことかい?」 「あぁ、知ってるのか?」 ローザがテーブルに手を置いた。 「言っとくがねタカノリ、アイツらはあんたに守られるようなヤツらじゃないんだよ。それをわかった上で言ってんのかい?」 「....わかってる。でも....」 俯く孝典にローザはため息をついた。 「はぁ、もういいよ」 「え.....」 ローザは立ち上がり、花瓶に入った花を眺める。 「やるからには厳しく行くよ」 「あぁ!」 ローザからの指導を受けられることになり、孝典は胸を躍らせながら2階に上がり寝室で眠った。 ――――翌朝 「いつまで寝とんだぁぁぁあ!」 バサッ… ローザは勢いよく布団を剥がした。 「ひぃぃぃい...」 ベッドの上で丸くなる孝典。 「まずは朝食だよ。顔洗って下りてきな。」 「うぅーん...」 孝典は寝ぼけながら顔を洗い下に降りる。 「はぁあ、おはよう」 「来たかい寝坊助」 二人は席に着き食事を始めた。 「いただきます」 「タカノリ、悪かったね。バドルに依頼した事」 ローザは疑っていたことを孝典に謝った。 「気にしてないよ、むしろ俺がローザの立場ならそうする」 「そうかい」 ローザはフッと笑い食事を食べ進めた。 「だが...一つ疑問なのはあんたが何処から入ったかだ」 「.....別の世界から来たんだ」 孝典は今までどんな生活を送っていて、どういう経緯でこの世界に来たかを正直に説明した。 「なるほど、お前さんはこの世界の者ではなく、そのシステムとやらに飛ばされたと...?」 「あぁ」 「にわかには信じられん話だが、アタシは信じるよ」 「ありがとうローザ」 食事を終え二人は家の前に出た。 ―――「さて、アンタにはまず基礎体力をつけてもらうよ」 (つづく) ================================== 《ステータス》 ・三田 孝典 (みた たかのり) ・レベル3 ・E級冒険者 ・【固有職業:きのこマスター】 ・【良質級:霧吹き】 【良質級:ゴム手袋(厚手・ピンク)】 ・【ウィンドウ】【マップ:レベル2】 【会話:レベル2】【ガチャシステム】 ================================== 最後まで読んで頂きありがとうございました! 応援、コメント頂けると励みになります! 〝フェルドナードの二人組に逃げられたハミル。孝典はローザの指導について行けるのか!?〟 次回お楽しみに! (*・ω・)*_ _)ペコリ

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第十六話 強くなりたい俺だった

第十五話 まさかの戦力外通告だった

―――翌朝 孝典は日が昇るまで、部屋の隅で布団を被り固まっていた。 やがて外が騒がしくなり始める。 窓から見下ろすと騎士団が到着していた。 「.........」 恐る恐る階段を降り、外に出ると野次馬の中にバドルの姿があった。 宿から出てきた孝典に気付く。 「タカノリ?お前ここに泊まってたのか」 「.....バドルさん」 あまりの恐怖と疲労から孝典の足取りはふらついていた。 「おいっ、大丈夫かタカノリ!」 「バドルさん...俺...見たんです」 「見たって...まさかっ!」 二人の背後にはハミルが立っていた。 「その話、詳しく聞かせてもらおう」 三人はギルドに向かい、応接室で腰を下ろす。 孝典は昨晩起きたことを説明した。 「長身の男と小柄な男の二人組か...」 「私たちが追っていた者と合致する」 「俺は.......」 二人は、真っ青な顔で怯えている孝典を見て沈黙した。 「情報に感謝する。それに....弟への助力の件もな」 ガチャン… ハミルは立ち上がり、部屋を出ていった。 「...弟?」 「あぁ、聞いてなかったか?あいつはヴァールの兄貴だ」 「......え、ヴァールさんのお兄さんだったんですか!」 「ハミル・レーヴェン。スレイブ王国騎士団長様だ」 「兄弟揃って凄いんですね。でも...助力の件って、なんでお兄さんが知ってるんですか?」 「ハミルなんだよ。ミストウォーカーにトドメを刺したのは」 「...え、てっきりヴァールさんたちが倒したんだと思ってました」 孝典の顔から徐々に恐怖が薄れていく。 その様子を見て、バドルは――― 「タカノリ、お前はしばらくこの国に戻らない方がいい」 「それって....」 「お前が思ってる通りだ、この国でじきに戦いが起きるかもしれねぇ。それに、今回の様な事件も起こりかねないからな。だからその前にお前だけでも逃げろ」 孝典が少し俯いた。 「...俺にもできること.....」 「ねぇよ。昨日の場面を見たお前が一番わかってんだろタカノリ。あの痕跡を見る限り、A級やS級冒険者でないと話にならねぇ」 「でも...」 「くどいぞ。ミストウォーカーの件で痛いほど分かっただろ、自分の力不足を」 「.......」 「今回は魔物じゃなく人間だ、より狡猾で残忍に目標へ向かう」 「......一つだけ聞いてもいいですか?何者なんですか、あの人たち」 話すべきか迷ったが、孝典をスレイブ王国から遠ざける為、話し始めた。 「.....フェルドナード」 「フェル...ドナード?」 「5年前から姿を現し、各地を転々として追い詰めようにも尻尾が掴めていない」 「ヴァールさんたちもその戦いに参加するんですか?」 「場合によってはな」 「そう...ですか.....」 またヴァールたちが危険な目に遭うのではないかと、不安に満ちた表情を浮かべていた。 「とにかくお前はしばらくこの国から離れろ。事態が収束すれば、他国のギルドに書状を出す。時々ギルドを訪ねてみてくれ」 「...分かりました」 戦力にすら加えてもらえない無力感を抱えながら、孝典はドアを開けた。 ガチャン… 「.......」 だが、先程までの怯えた姿とは一変し、孝典の目には闘志が宿っていた。 ――― 時は流れ、辺りは薄暗くなっていた。 孝典はバドルに言われた通りスレイブ王国を出た。 その足で森の中へ入り、奥へと進んでいく。 そして、その先にあったのは――― コンッコンッ… ガチャ… 「誰だいこんな時間に....」 孝典が向かった先はローザの家だったのだ。 「ローザ...俺に戦い方を教えてくれ...!」 ――――その頃、スレイブ王国内 黒コートの二人組が、人通りの少ない路地を歩いていた。 「先輩~、昨日のあれやり過ぎましたかね〜」 「んなこたねぇだろ、俺は忠告してやったんだぜ?」 「とにかくボスからは面倒事は起こすなって言われてますし〜、一旦戻りますか〜」 「そうだな」 二人が歩みを進めると。 「あ.......?」 その先には、一人の人影が見えた。 「貴様らか、昨晩の事件を引き起こしたのは」 (つづく) ================================== 《ステータス》 ・三田 孝典 (みた たかのり) ・レベル3 ・E級冒険者 ・【固有職業:きのこマスター】 ・【良質級:霧吹き】 【良質級:ゴム手袋(厚手・ピンク)】 ・【ウィンドウ】【マップ:レベル2】 【会話:レベル2】【ガチャシステム】 ================================== 最後まで読んで頂きありがとうございました! 応援、コメント頂けると励みになります! 〝ローザに戦いの教えを乞う孝典、そして二人組の前に現れたのは!?〟 次回お楽しみに! (*・ω・)*_ _)ペコリ

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第十五話 まさかの戦力外通告だった

フェルドナード編 第十四話 危険な二人組だった

――――ヴァール達と別れた後、 「カッコつけてヴァールさん達と逆方向に来たはいいものの、行く当てがねぇ.....戻るか」 結局、俺は冒険者ギルドに引き返した。 すると、バドルが受付の奥から顔を出す。 「タカノリ、どうした?」 俺は行く当てもなく歩き出した事を説明した。 「アーハッハ!考えも無しに歩いてたのか」 「はい....(恥ずかしすぎる...)」 「まぁ、戻ってきてくれて丁度よかったぜ」 「....?」 そう言うとバドルは孝典に手を差し出す。 「タカノリ、冒険者証を返してくれ」 「え...まさか俺、冒険者失格...?」 孝典は不安そうな表情でバドルの顔を見つめた。 「ハハハッ、ちげぇよ、E級に昇格だ」 「昇格...?いいんですか?」 「あぁ、今回のミストウォーカーの件では世話になったし、俺なりの罪滅ぼしだ」 「てことは、また試験をしなきゃですね...」 孝典の嫌な記憶が蘇る。 「いや、試験は要らねぇ。ギルマスの特権でな。ちょっとそこで待っててくれ」 バドルは受付に行き、手続きを済ませると戻ってきた。 「ほらよ」 鉄製のプレートにはEと刻まれていた。 「ありがとうございます!」 「これからどうすんだ?」 「まずはスレイブ王国から出てみて、近場を探索しようと思います」 「そうか、冒険者証があれば都市や国の行き来は出来るが、マスティーカ帝国には近づくな」 「マスティーカ...?」 「あぁ、魔族との繋がりがあるとかないとか。とにかくいい噂は聞かねぇ、もし用がある時は十分注意しろよ」 「覚えておきます」 二人はギルドの入口に移動した。 「もう出るのか?」 「はい、二日後にはここを発とうと思います」 「そうか、なら師匠のとこに顔出してくれねぇか?俺はここに付きっきりでいけないからよ」 「わかりました」 「じゃあな、タカノリ」 「はい、ありがとうございました」 バドルは孝典を見送った。 孝典は人混みの中へ消えていき、バドルが建物の中に戻ろうとした時、そこには一人の男が立っていた。 「もうそんな時間か、奥へ来てくれ」 ガチャン… 二人はギルドの奥にある応接室へ入り、向かい合うように腰を下ろす。 「ヴァールに会ったんだって?」 バドルがティーカップに紅茶を注ぐ。 「......貴様に関係ないだろう」 「おいおい、冷たいこと言うなよなハミル。で、久々の弟との再会はどうだったよ?」 ハミルは紅茶を一口飲み、静かにカップを置いた。 「目も当てられないな......S級などと持て囃され、慢心するからネームドごときに遅れを取るんだ」 「厳しぃーね〜」 バドルが苦笑いし、立ち上がり窓の外を眺める。 「で...例の件はどうなった?」 「騎士団の派遣部隊は壊滅、二十人の被害。敵は逃走」 「派遣部隊が壊滅か...」 「あとは各地で人攫いが頻発しているとの報告があった」 「そうか、ギルドの方でも調査を進めてみる」 ガチャン… ハミルは部屋から出て行った。 バドルは机の上にある写真立てに目を向ける。 「.........」 次の瞬間――― ドンッ! バドルは机を激しく叩きつけた。 ―――翌日 王国内で買い物をしている孝典だった。 「ローザに手土産買っていきたいけど、何がいいかな...」 ローザの年代の好みが分からず、頭を悩ませていた。 すると売り場に花が並んでいるのが目に入る。 「すみません、これいくらですか?」 「80シルバーです」 「じゃあこれを5本ください」 俺は、綺麗だけど力強さを感じる青い花を選んだ。 店員が紙で包んでくれている。 「喜んでくれるといいな」 雑貨屋を出ると、空には茜色が広がっていた。 孝典は宿に荷物を置き、酒場へ向かった。 席に着くと手馴れた様子で注文を始める。 「レッドボアのソーセージとビールで」 厨房からジューっという音と共に香ばしい匂いが漂ってくる。 「おまたせしました!」 注文したソーセージとビールがテーブルに運ばれてきた。 「やっぱこれだよなぁ」 孝典がフォークを刺し口に運ぶ。 すると、店内にいる冒険者たちの話し声が聞こえてきた。 「まただってよ」 「あぁ、神隠しって噂だぜ」 孝典はソーセージを食べながら冒険者たちの方を見ていた。 「(神隠し?)」 「大人子供関係なく行方不明になってるんだとよ」 冒険者たちは、孝典の視線に気付くと口を閉ざした。 「(なんだろう、気になるな)」 気になる話題だったが、料理を食べ進めた。 ゴクっゴクっ… 「ぷはぁっ!ビールは最高だな」 孝典は食事を終え、明日に備え宿で休むことにした。 ベットに横になり、寝付き始めた頃――― ドーンッ! 外で物が崩れる音がした。 そこには黒のコート姿の二人組が立っている。 「先輩ダメですよ~傷付けたら」 「知るかそんなもん」 孝典が外の激しい物音で目覚めた。 「ふぁ~、なんだ?まだ夜じゃんか」 窓の前に目を擦りながら立つと、下には黒のコート姿の二人組と先程店内にいた冒険者たちがいた。 「あれは、さっきの」 地面に倒れていた冒険者の一人が、立ち上がり剣を抜く。 「てめぇ、いきなり蹴り飛ばしやがって舐めてんのか!」 「やめとけ、今なら見逃してやる」 「ふざけてんのかっ.....」 冒険者が1歩踏み出した。 次の瞬間―― ボトッ… 長身の男が冒険者の首を飛ばした。 「やめとけって言ったろうが」 「なっ...なんなんだお前ら...!」 冒険者二人が振り向き走り出す。 小柄な男が内ポケットからダーツを二本取り出した。 「残りは僕が♪」 軽く投げたように見えた。 そのダーツの速度は凄まじく、気付けば冒険者二人の頭部は弾け飛んでいた。 孝典はその光景を目の当たりにして動けなかった。 「ん.........?」 長身の男が窓に目を向けた。 すると、そこに孝典の姿はなかった。 「先輩?」 「いや...なんでもねぇ」 孝典は間一髪の所で身を伏せていた。 「(嘘だろ、殺人?...王国内だぞ......)」 その日は眠りにつくことが出来なかった。 (つづく) ================================== 《ステータス》 ・三田 孝典 (みた たかのり) ・レベル3 ・E級冒険者 ・【固有職業:きのこマスター】 ・【良質級:霧吹き】 【良質級:ゴム手袋(厚手・ピンク)】 ・【ウィンドウ】【マップ:レベル2】 【会話:レベル2】【ガチャシステム】 ================================== 最後まで読んで頂きありがとうございました! 応援、コメント頂けると励みになります! 〝バドルとハミルの密談、そしてあの二人組は一体....!〟 次回お楽しみに! (*・ω・)*_ _)ペコリ

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フェルドナード編  第十四話 危険な二人組だった

第十三話 目覚めた先は地下室だった

シューシュー… 機械が結界を維持している。 「..........」 孝典は地下室のベッドに横たわっていた。 ―――翌日 ヴァールたち五人は、孝典が眠っている地下室前にある長椅子に座っていた。 マートンがヴァールの方を向く。 「エルミドから聞いた話じゃ、目を覚ますのは今日か明日だったよな?」 「うん、タカノリさんには本当に酷な体験をさせてしまった...」 「目が覚めたら皆でタカノリに謝ろーぜ」 トロイがヴァールの肩に手を置いた。 「あぁ...」 ――― その頃、地下治療室では 「(.......どこだ...ここ....)」 孝典の視界はぼやけていた。 「目ぇ覚めたか?」 隣にはエルミドが座っていた。 「俺は...天国に来たんだな」 その言葉を聞いてエルミドが腹を抱える。 「くっくっくっ、すまん、悪ぃが引き戻しちまった」 横から聞こえる声に、孝典は不思議に思い、横に首を向けた。 そこには眼鏡姿の男がぼんやりと写っている。 「誰だ...あんた」 「お前の脚を掴んでやった回復魔法師だ」 「回復...魔法師ってことは、俺...助かったのか...?」 「あぁ、待ってろ外の奴ら呼んできてやる」 「待ってくれ、会わせる顔がない.....」 エルミドは目を閉じ、ため息を吐いた。 「わーった。目覚めてないことにしてやっから、もう少し気失っとけ」 「....ありがとう」 ガチャン… 「みんな.....」 孝典は自分の愚かな選択を悔いていた。 ―――地下室前の廊下 ガチャ… エルミドが部屋から出てきた。 すかさずヴァールが立ち上がり尋ねる。 「タカノリさんは?」 「まぁまぁ慌てなさんな。あともう少しかかりそうだ」 「そうですか...」 「だからまた明日来な」 五人は治療院を後にし食堂へ向かった。 終始無言のまま食堂に着き席に座ったが、それぞれの表情は重かった。 「やっぱり俺の...」 「やっぱわたしの...」 ミリアとマートンの言葉が被った。 「はぁ、やめだやめだ。あの場面で誰が悪いとかは無かった。それぞれが最善の動きをしてたはずだろ?」 「あぁ、...その通りだね」 「私もトロイさんの言う通りだと思います。自分を責めすぎるのはよしましょう」 「...だが僕には、F級であるタカノリさんを自分の判断で連れてきてしまったという、リーダーとしての未熟さや責任がある」 再び場が静まる。 五人は食事を終え、宿に向かい身体を休めた。 ――――翌朝 「あれ、ミリアは?」 四人は治療院へ向かう準備を終えエントランスに来たが、ミリアが見当たらないためトロイがメレナに尋ねる。 「見てくるわね」 そういうとミリアの部屋に向かっていった。 コンコンッ… ノックをしたが返事をする気配がないので、心配になりドアを開ける。 「...ミリア入るわよ」 メレナが不安な表情でドアを開けると、そこには机で寝ているミリアがいた。 「まったく、この子ったら」 「...あれ..メレナ..?」 ミリアが目を擦りながらぼんやりとメレナを見る。 「もう朝よ、顔洗ってらっしゃい」 「うん...」 ミリアは机の上にあった物をポケットに入れ、準備を始める。 それを見てメレナは不思議そうな顔をしていた。 「おっまたせー!」 「待ちくたびれたぞぉ〜」 「よし、みんな揃った事だし行こう」 ミリアが集合し、五人は再び治療院へ向かった。 建物の中に入り地下室へと降りていく。 「おはようさん、朝早くからえらいねぇ」 「おはようございます。タカノリさんの状態は?」 「入って見てきな」 エルミドがふっと笑いながら答えた。 「それじゃあ...」 五人は急ぎ足で孝典の居る部屋に入る。 ガチャ… そこには上半身を起こして座っている孝典がいた。 「タカ...ノリさん.....」 「みんなおはようございま....」 「タカノリっ、すまねぇ俺が迂闊なせいでこんな事態を招いちまった」 「ワタシも気を抜いてごめん!」 孝典は自分だけが後悔していると思っていた為、謝罪を受けるなど考えてもいなかった。 「ふ...二人とも頭を上げて、悪いのは俺なんだ。俺は...逃げろって言うヴァールさんの言葉を無視して戻ってきたんだ。俺がちゃんと逃げていれば皆の足を引っ張ることもなかった」 その言葉を聞き、ヴァールが口を開く。 「いいえ、あの場面でタカノリさんがいなければ僕たちはミストウォーカーを追い詰められなかった。タカノリさんは僕たちを救った恩人です」 「ヴァールさん...」 「まださっき目覚めたばかりなんだ、その辺にしといてやりな」 壁にエルミドがもたれている。 「すみません病み上がりにこんな話を....」 「いえ、皆の助けに少しでもなれたなら良かったです」 「よしっ、治ったんならさっさと出てっておくれ〜」 エルミドとヴァールたち五人は部屋を出て、孝典は普段着に着替えた。 ガチャ… 「お待たせしました」 孝典のいつも通りの表情に、五人は微笑んだ。 そして治療院の外へ出る。 「リピーターになんじゃねぇぞ~」 「ハハハ...」 孝典はエルミドに向かい深くお辞儀をした。 「ありがとうございました!」 「あぁ、今日からまた頑張んな」 エルミドは白衣のポケットから煙草を取り出し、孝典達の背を見ながら一服する。 「フゥー....今日も頑張りますかっ」 孝典たちは治療院を出て、まずは腹ごしらえをしに食堂へ行くことにした。 「何食べようかな~、昨日魚だったし、今日は肉にするか」 「いいね、俺も肉にしようかな」 孝典とトロイが話している中、ミリアが立ち止まった。 しばらく歩いた後、一同がミリアに気が付いた。 「ミリア...?」 「あ...あのさっ、これ」 ミリアがポケットからペンダントを取り出し、孝典に差し出した。 「...どうしたのこれ?」 孝典が尋ねるとミリアは顔を赤くした。 「...商店街で売ってたから買ったの...!」 メレナはなにか見覚えがあると思い、考えていた。 「あっ、それ今朝のやつ。もしかして徹夜して作ってたの?」 「....まっ...」 ミリアは照れて下を向いてしまった。 急いでペンダントを孝典に渡し、メレナの後ろに隠れた。 「......防御魔法と回復魔法を組み込んだから大事にしなさいよ」 「ありがとな、ミリア」 孝典たちは食堂で食事を終えるとギルドに向かった。 ギルド職員が孝典たちに気付くと、奥の部屋へと案内された。 部屋の中にはバドルが立っている。 「話は聞いた、ミリアを救ってくれて感謝するタカノリ」 バドルは頭を下げ、孝典は一日にこんなに頭を下げられ困惑した。 「や...やめてくださいよ、僕はやるべき事をやったまでです」 バドルがヴァールを一度見る。 「孝典、実はな......」 バドルはローザから監視を頼まれた事、孝典を試験と偽り試したことを話した。 「本当にすまなかった...!」 「僕も黙っていて申し訳ありませんでした!」 二人が頭を下げる。 「いやいやっ、ローザの立場からしてみれば疑うのは当たり前ですし、誰も悪くはありません」 「ありがとう、タカノリ。師匠には昨日手紙を出しておいた。もう届いてるはずだ」 「そうですか、ありがとうございます」 ヴァール達は顔を見合わせ、孝典に提案をする。 「あの、タカノリさんがもし宜しければ僕達のパーティーに正式に加入しませんか?」 唐突な誘いに孝典の頭は真っ白になった。 「えーっと、俺F級ですよ?」 「構いません、メンバーとはもう話しました」 孝典は考えた末に答える。 「申し訳ありません。お誘いはものすごい嬉しいんですけど、俺にはまだ力が足りな過ぎる。それに色んな場所を旅して見てみたいんです」 その答えを聞いてトロイとマートンは笑った。 「ハッハッハっ、まさかS級パーティーの招待を断るとはな」 「まぁ、それがタカノリらしいな」 ヴァールが孝典に手を差し出した。 「わかりました。でも気が変わった時は連絡してください。タカノリさんならいつでも歓迎します」 「ありがとうございます」 二人は握手を交わした。 一同はギルド前で別れの挨拶をしている。 「元気でやれよタカノリ!」 「あぁ」 「怪我をした時は放置したらダメですよ?」 「気をつけます」 「達者でなタカノリ」 「お前もなマートン」 「....ペンダントなくしたら殴るから」 「....ハハハ」 「タカノリさん、なにかあればいつでも駆けつけます。短い間でしたがありがとうございました」 「俺の方こそ本当にありがとうございました!」 孝典とヴァールたちは、それぞれ反対方向に進み始めた。 ――――― 翌朝 日の出前、王国を霧が包んでいた。 コツッ、コツッ… 階段を上がる黒コートにハットを被った男がいた。 階段を上がった先には、怯えながら男を見ている少年がいる。 「くっ、くるな!」 男は構わず歩みを進める。 少年の前に立つと冷たい視線で見下ろす。 「........」 次の瞬間――― 霧と共に男と少年は消えていた… (つづく) ================================== 《ステータス》 ・三田 孝典 (みた たかのり) ・レベル3 ・F級冒険者 ・【固有職業:きのこマスター】 ・【良質級:霧吹き】 【良質級:ゴム手袋(厚手・ピンク)】 ・【ウィンドウ】【マップ:レベル2】 【会話:レベル2】【ガチャシステム】 ================================== 最後まで読んで頂きありがとうございました! 応援、コメント頂けると励みになります! 〝孝典は復活し、ヴァールたちに別れを告げた。そして謎の黒コートの人物は一体誰なのか!?〟 次回お楽しみに! (*・ω・)*_ _)ペコリ

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第十三話 目覚めた先は地下室だった

第十二話 絶体絶命!?のおれだった

ヴァールは困惑した様子で男を見つめていた。 「....兄さん」 カキンッ… ヴァールの兄は鞘に剣をしまい、辺りを見渡す。 「...これがお前のしたかったことか?」 そう冷たく呟くと、兄は孝典の傷口を凍らせ、ヴァールの顔を見ずに去っていく。 「.......」 ヴァールは己の力不足を痛感していた。 「ヴァール...!タカノリが!」 「あぁ、急いで王国に戻ろう!」 ヴァールたちは、負傷した三人を担ぎ馬車に乗せ、王国へ向かった。 「タカノリさん、絶対に助けますからね...!」 移動している間も、メレナは孝典にハイヒールをかけ続けていた。 ミリアが不安な表情でその様子を見ていた。 「傷口が深いけど、氷のお陰でミストウォーカーの魔力の動きを止めてくれてるわね」 しばらくして、王国が前方に見え始めた。 ヴァールがプレートを見せ検問所を通過する。 ――― 一方その頃、王国内。とある部屋 机に両脚を乗せ、煙草を吸っている眼鏡の男がいる。 フゥーー… 「ん...?」 男は開いた窓を見つめ、目を閉じ鼻を利かせた。 「....損傷が激しいな」 立ち上がった男は煙草の火を消し、ポールスタンドから白衣を手に取った。 「はぁ〜、治せっかなぁ」 ガチャン… 白衣に腕を通し、部屋を出た。 「もうすぐ回復魔法師団の治療院に着きます...踏ん張ってくださいねタカノリさん!」 ヴァールは孝典の手を握っていた。 ―――「こっちだ、」 回復魔法師団の建物の入口には、眼鏡の男と二人の部下が立っており、ヴァールたちを案内した。 「腹を貫かれてるやつを地下へ運べ」 「〝了解しました〟」 部下たちは担架で孝典を建物の中へと連れていった。 「悪ぃが、あとの二人は他のやつに診させる。中に入って待っててくれ」 そういうと、男は建物の中に入っていった。 マートンとトロイを建物の中の長椅子に寝かせた。 「くっ...腕と肋骨が折れてやがる」 トロイが起き上がろうとする。 「無理するなトロイ...!」 「タカノリを...危険な目に合わせちまった.....」 トロイの目には涙が浮かんでいた。 「大丈夫だ、ここの人達を、タカノリさんを信じよう」 ――― 一方その頃、治療室では ウィーン… 部下が機械のボタンを押すと、部屋の中に結界が張られた。 「始めるぞ」 そう言うと、男は孝典の腹部の傷口を覗き込む。 出血は止まり、周囲は赤黒く染まっていた。 まず、その傷口を覆っている氷を取り除き始めた。 「御丁寧なこった。氷に微弱ながら回復魔法を混ぜてやがる...」 氷を取り除くと、男は傷口に手を伸ばす。 だが――傷口からミストウォーカーの薄黒い魔力が滲みだした。 「ちっ、めんどくせぇな。蓋をしてたのはこの為か」 男が右手を前に出す。 「〝ルミナス〟」 スキルを唱えると部屋中が白い光に照らされ、孝典の傷口にまとわりついていたミストウォーカーの魔力が薄れていく。 「よし、やりやすくなった」 続けざまにスキルを唱える。 「〝エターナル・ルミエール〟」 損傷していた肉体がみるみる修復を始め、貫かれた腹部の組織が繋がっていく。 「畳み掛けるぞ!」 ―――――――――――― 孝典の治療を始めてから、2時間ほどが経過していた。 ガチャ… 「お待ちどぉさん」 男が治療を終え部屋の外に出ると、ベンチにはトロイとマートン以外の三人が座っていた。 「タカノリさんは!」 「ベッドで寝かせてる。あと2、3日もすれば目を覚ますと思うぜ」 「ありがとうございます!」 ヴァールは深々とお辞儀をする。 「ところで、このパーティーの魔法使いは誰だ?」 「....?私だけど...」 ミリアは不思議そうに男を見る。 「傷口を凍らせたのはいい判断だ」 ミリアの頭をなでた。 「き...急になによ!」 「残りの二人は明日にでも出てって平気だ」 男はポケットに手を入れ、通り過ぎて行った。 「わかりました」 「むぅ〜....やったの私じゃないし...」 ミリアが膨れた顔をしている。 二人が一安心している中、ヴァールの表情は重かった。 ――――― 「...兄さん」 「...これがお前のしたかったことか?」 ――――――――――――― ―――翌日 「完全......復活ー!!」 トロイとマートンの傷は回復していた。 「ところで、タカノリは?」 マートンがヴァールに尋ねる。 「今日か明日あたりに目を覚ますらしい」 「そうか...」 部屋に男が入ってくる。 「よっ、会うのは初めてか〝雷龍の鉤爪〟さん方」 「この度はありがとうございました」 ヴァールは椅子から立ち上がり、礼をする。 「よせよ、俺は自分のやるべきことをやったまでだ」 「エルミドさん、昨日なぜ僕たちが来た時に建物の前にいらっしゃったんですか?」 「あぁ、俺鼻が利くのよ。」 「鼻....?」 ヴァールがきょとんとした顔でエルミドを見ている。 「昔から血の匂いに敏感でな、遠くからでも匂いを嗅ぐだけで、どのくらいの損傷度合いかが分かるってわけ」 「なるほど、それで僕たちが来るのを予測してたんですね」 「そういうことっ」 マートンが口を開く 「タカノリは今どこに?」 「あの子なら地下にいるぜ、で....あんたらがそこまで手こずる相手ってなんだったんだ?」 エルミドがヴァールたちに尋ねる。 「ミストウォーカーが出現しました」 「.....マジか...、それなら納得だな。怪我がなかったとはいえ、他の三人も疲労は相当溜まってるはずだ。ゆっくり休みな」 「ありがとうございます」 ―――― その頃、 タカノリは地下室のベッドに横たわっていた。 シューシュー… 機械が結界を維持している。 「............」 ―――――――――――――――― (つづく) ================================== 《ステータス》 ・三田 孝典 (みた たかのり) ・レベル3 ・F級冒険者 ・【固有職業:きのこマスター】 ・【良質級:霧吹き】 【良質級:ゴム手袋(厚手・ピンク)】 ・【ウィンドウ】【マップ:レベル2】 【会話:レベル2】【ガチャシステム】 ================================== 最後まで読んで頂きありがとうございました! 応援、コメント頂けると励みになります! 〝雷龍の鉤爪復活、そして孝典もついに目を覚ます!〟 次回お楽しみに! (*・ω・)*_ _)ペコリ

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第十二話 絶体絶命!?のおれだった

第十一話 ガチャシステム!?だった

頭が真っ白になった俺の前に、ウィンドウが表示された。 《経験値を獲得したため、レベル3にアップグレードしました》 《ガチャシステムを解放します》 《【良質級:ゴム手袋(厚手・ピンク)】 【良質級:霧吹き】、【会話:レベル2】 【マップ:レベル2】にアップグレードしました》 「ガチャ....システム....?」 「タカノリ!なにボサっとしてんの!!」 怒鳴るミリアの声にハッとさせられた。 「そうだ...!マートン!」 マートンに近づこうとするが、ミストウォーカーが行く手を阻む。 「タカノリさん!下がっててください!」 ヴァールが孝典の前に立つ。 「そうだ、さっきシステムが言ってたやつ...!ウィンドウ」 孝典がウィンドウを開き、ガチャを選択した。 ピコンッ 《ガチャシステムを起動します》 ウィンドウにはガチャガチャが現れ、下の方に回すボタンがあった。 孝典は迷わず押した。 ピピピッと音が鳴ると、陽気なBGMと共に回り始めた。 キューキュー、ガコンッ 《おめでとうございます。【希少級:メデューサの瞳】を獲得しました》 孝典の手に【希少級:メデューサの瞳】が落ちてきた。 《【良質級:ゴム手袋(ピンク・厚手)】の新たな能力、〝捕食〟を使いきのこを取り込んでください》 「ほ...〝捕食〟」 孝典が言葉にすると、左手のゴム手袋から口が出現し、長い舌が伸び【希少級:メデューサの瞳】を飲み込んだ。 「なんか、気持ち悪いな....」 《スキル〝石化の息吹〟を獲得しました》 「え、スキル?」 《ゴム手袋を着用している時のみ発動可能です。対象へ向かい、スキルを唱えると発動できます。〝石化の息吹〟は3時間に1度使用できます。》 「...俺に...初スキル」 孝典は、自分にも何かできるのではないかと、気持ちが昂った。 「ヴァールさん!俺に考えがあります」 孝典の発言に、四人が驚く。 「おいおい、さすがに今の状況で冗談は聞けねぇぞ」 「話してください」 トロイは孝典の言葉に半信半疑だったが、ヴァールは孝典の真剣な眼差しを見て信じた。 「俺のスキルで奴の動きを封じます。その間に皆さんでトドメを刺してください」 「あんたスキル使えたの?」 「いや...さっき使えるようになった」 「どのくらい止められますか?」 「5秒です」 「了解しました」 ヴァールは急いで作戦を練り、四人に伝えた。 「じゃあ行きます!」 「目を閉じてください!〝ホーリーブライト〟」 眩しい光が周囲に広がり、ミストウォーカーが怯んだ。 「〝イビルショット〟!」 木の上から打ったトロイの矢が、ミストウォーカーに直撃した。 その瞬間、光に目が慣れたミストウォーカーが、トロイの方向へ飛び、木からたたき落とした。 「トロイ!!」 「...大..丈夫だ、自分の事に集中しろ...」 ヴァールは魔力を剣に蓄えていた。 「〝フロスト・コフィン〟」 ミリアがスキルを唱えると、ミストウォーカーの身体を氷が覆っていく。 パキッ… ミリアのスキルが解け始めた。 「今よ、タカノリ!」 孝典はミストウォーカーに向かい手を向けた。 「〝石化の息吹〟!!」 スキルが発動し、ミストウォーカーの足元から這うように石化していく。 孝典はヴァールの方へ振り向いた。 「ヴァールさん!」 「ありがとうございます」 ヴァールは、とてつもない量の雷気を帯びていた。 「決める!〝雷龍の咆哮〟!」 ヴァールがミストウォーカーの胸を剣で貫いた。 「うぉおおお!」 スキルを喰らったミストウォーカーは倒れた。 「はぁはぁ、やっと....」 「勝った...俺らが勝ったんだ...!」 「急いでマートンとトロイを...」 一同が安堵した… その瞬間、背後から寒気がした。 ミストウォーカーが起き上がり、こちらに向かっていたのだ。 「危ない!」 ザシュッ… ミリアを庇い、ミストウォーカーの左手が孝典の腹を貫いた。 「タカ...ノリ、なんで....」 「タカノリさん!」 ミリアが目を開いて困惑していた。 孝典は倒れ、傷口からは血が吹き出していた。 「〝ハイヒール〟」 すぐさまメレナが駆け寄り焦った様子でスキルを使うが、孝典の傷が深く、ミストウォーカーの魔力が留まり回復を阻害しているため、回復が間に合わない。 その隙に深手を負ったミストウォーカーは逃走を図る。 ―――「どこへ行く、魔物よ」 謎の銀髪の男が、こちらへ向かってくる。 ただならぬ威圧感に、ミストウォーカーは身震いしていた。 男が歩いた後には、霜が広がっている。 「お前がもたらした被害は甚大だ。よってここで切り捨てる。」 腰に携えた剣を男が抜いた瞬間、周辺は白銀に包まれる。 男が左手を前に出す。 「〝玄氷の鎖〟」 男の左手から三本の氷の鎖が出現し、ミストウォーカーの身体を拘束する。 倒れたミストウォーカーを見つめ詰め寄る。 「ご苦労だった〝雷龍の鉤爪〟」 ヴァールたちを見ずに、通り過ぎていく。 男はもがくミストウォーカーの前に立つと、その胸に剣を突き刺した。 すると、刺した周辺から氷が広がっていく。 「.......」 パキィィン… ミストウォーカーの身体は、粉々に砕けた。 ヴァールが動揺した様子で男を見ていた。 「....兄さん」 (つづく) ================================== 《ステータス》 ・三田 孝典 (みた たかのり) ・レベル3 ・F級冒険者 ・【固有職業:きのこマスター】 ・【良質級:霧吹き】 【良質級:ゴム手袋(厚手・ピンク)】 ・【ウィンドウ】【マップ:レベル2】 【会話:レベル2】【ガチャシステム】 ================================== 最後まで読んで頂きありがとうございました! 応援、コメント頂けると励みになります! 〝ミストウォーカーに腹を貫かれた孝典、そして謎の男はヴァールの兄だった!?〟 次回お楽しみに! (*・ω・)*_ _)ペコリ

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第十一話 ガチャシステム!?だった

第十話 皆を守りたい俺だった

五人の顔にはS級としての誇り、闘志が現れていた。 「〝雷龍の鉤爪〟覚悟を決めろ!!」 ――――孝典が走り出した数秒後、 「ミリア、僕らがもし奴に敵わずに全滅するような事があれば、僕たちを結界に閉じ込めて君だけでも逃げるんだ」 「馬鹿なこと言わなっ.....」 ヴァールが真剣な表情でミリアを見ていた。 ―――――――― 「(.....ふざけないでよ!)」 ミリアは唇を噛み締めた。 「どけっ、マートン!〝イビルショット〟!!」 トロイの放った矢が急加速した。 だが矢は躱され、後ろの大木を四本ほど弾き飛ばした。 ミストウォーカーはトロイに接近した。 「伏せろ!」 危機一髪のところでマートンが間に合い、ミストウォーカーの振り下ろした拳を盾で受け止めた。 「こんのぉ....」 マートンは片膝をつき、今にも崩れそうだった。 「〝ステータスアップ〟」 メレナがスキルを唱えると、四人の身体を光が包んだ。 「サンキューメレナ!うぉおおお!!」 マートンが力を振り絞り、ミストウォーカーの拳を押し返した。 ―――――その頃、孝典は ヴァールたちから離れ、出口までの中間地点まで戻っていた。 するとそこには、レッサーウルフが三体見えた。 「ハァハァ、嘘だろ....」 レッサーウルフは孝典に気づき接近してくる。 孝典は後ろへ走りながら、急いで霧吹きとゴム手袋を出し、麻痺ダケをセットした。 ピコンッ 《【一般級:霧吹き】に麻痺が付与されました》 「よし、とりゃーー!」 シューー… 三体のレッサーウルフは身動きが取れなくなった。 孝典は疲労からその場に座り込んだ。 「くそっ、」 ―――――― 「皆見てー、優勝した!」 ミリア… 「怪我したらいつでも言ってくださいね」 メレナさん… 「大丈夫か、タカノリ」 マートン… 「おっす!タカノリ」 トロイ… 「お手柄です、タカノリさん」 ヴァールさん…… ―――――――――― 孝典が土を握りしめた。 「俺だけ逃げていいわけねぇだろ...!!」 孝典はヴァールたちのいる方向へ振り返り、走っていった。 「(ごめん、ヴァールさん。約束守れそうにない!)」 ――― 一方その頃、ヴァールたちは、 マートンがスキルを発動する。 「〝アース・バインド〟」 ミストウォーカーの腰付近まで、岩がせり上がり固定した。 ヴァールがすかさず攻撃を仕掛ける。 「〝トール・ハンマー〟!!」 眩いほどの雷を、剣に纏わせた。 ミストウォーカーに攻撃が当たり、緑色の血を流した。 「〝攻撃が通った...!〟」 「よしっ、もう一度行くぞ〝アース...〟」 ミストウォーカーがマートンに急接近し、首を掴み投げた。 「ぐわぁ!」 「マートン!!」 トロイがマートンの元へ走った。 「大丈夫か!〝隠蔽〟」 トロイが〝隠蔽〟を使い、二人の姿を隠しその場を離れた。 「〝フロスト・コフィン〟」 ミリアのスキルがミストウォーカーの動きを封じる。 氷が脚と腕から中心にかけて広がっていった。 「長く持たない!」 ミリアが焦った表情で振り向くと、ヴァールがすかさず剣に炎を纏わせる。 「〝千龍炎夏〟!」 パキィィン… ヴァールの剣がミストウォーカーの右腕を切り落とした。 「はぁはぁ、やっとの思いで右腕だけか...」 キィィィィ…!! ミストウォーカーが、耳をつんざくような雄叫びをあげる。 「くっ...」 「なんなのよこれ....」 五人全員が耳を塞いでいる。 それぞれの顔には、消えかけていた恐怖心が再び芽を出した。 「ハァ、大丈夫だみんな...」 剣を掴みながら立ち上がるヴァール。 「今まで積み上げてきたものを信じるんだ!」 ヴァールの背中に、勇気を貰った4人が立ち上がる。 「やっぱり、お前がリーダーでよかったぜ」 マートンがヴァールの背中をポンッと叩いた。 すると、ミストウォーカーが左手を前に出した。 「なんだ...?」 次の瞬間、不完全ながらも茶色の魔法陣が生成された。 「嘘だろ...皆離れろ!」 マートンの足元が岩で固定された。 「俺のスキルを真似やがった...!」 盾で足元の岩を割った。 「時間をかけると厄介だ...」 「あぁ、メレナの補助魔法までものにされたら太刀打ち出来なくなるからね....」 五人は改めてネームドの恐ろしさを知った。 走る孝典の目に、ミリアの〝サイレント・ドーム〟が映った。 「皆ー!俺も戦わせてくれ!!」 孝典は叫んだが、結界の中は外の音が遮断されてるため、誰も孝典には気付かなかった。 「はぁはぁ、みんな!」 ドンドンッ 孝典は結界を叩き続けた。 するとマートンの視界に孝典が入った。 「...タカノリっ!?」 「えっ、なんで戻ってきた!」 逃げたはずの孝典が現れ、五人は驚きの表情を浮かべた。 すると―― 「タカノリさん!後ろ!!」 「ミリア!ドームを解除しろ!」 ミリアが〝サイレント・ドーム〟を解除すると、マートンは孝典の元へ全速力で走っていき、盾を構えた。 ガンッ…! 先程、孝典が麻痺させた三体のレッサーウルフだった。 「おらぁぁ!」 マートンはレッサーウルフを押し潰し、盾の側面で切った。 「マートン!避けて!!」 ミリアが叫んだ次の瞬間、ミストウォーカーがマートンの横腹を殴り飛ばした。 「ゴフッ……」 不意をつかれ、攻撃をまともに受けたマートンは吐血し、意識は朦朧としていた。 「マートン!俺のせいで......」 地に伏したマートンを見つめ、孝典は自らがあまりに無力で、戻ってくるべきではなかったと後悔した。 ピコンッ 《経験値を獲得したため、レベル3へアップグレードしました》 《ガチャシステムを解放します》 絶望的な状況の中、俺の前にウィンドウが表示された。 (つづく) ================================== 《ステータス》 ・三田 孝典 (みた たかのり) ・レベル3 ・F級冒険者 ・【固有職業:きのこマスター】 ・【一般級:霧吹き】 【一般級:ゴム手袋(薄手・ピンク)】 ・【ウィンドウ】【マップ:レベル1】 【会話:レベル1】【ガチャシステム】 ================================== 最後まで読んで頂きありがとうございました! 応援、コメント頂けると励みになります! 〝S級パーティー全滅寸前、駆けつけた孝典に解放された新たな力、ガチャシステムとは――!?〟 次回お楽しみに! (*・ω・)*_ _)ペコリ

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第十話 皆を守りたい俺だった

第九話 危険な匂いだった

月明かりの中、ヒビの入った外殻を眺めるドグラス。 「昔の感覚を取り戻させる為にやったんだが、まさかヒビを入れやがるとはなぁ....」 ドグラスは眠っているマートンを背負い隣の家に向かった。 「ったく、図体ばかりでかくなりやがって」 ―――翌日 ヴァールたちが武器屋に迎えに来た。 ドグラスとマートンが向き合っている。 「昨日の感覚、忘れんじゃねぇぞ」 「あぁ」 二人はそれ以上何も言わずとも、分かり合えていた。 「マートンをよろしくな、お前ら」 「〝はい〟」 孝典たちは武器屋を出て、ギルドへ報告に向かった。 すると、普段なら冒険者の笑い声が聞こえるギルド内で、職員が慌てた様子だった。 ヴァールが職員に尋ねた。 「どうかなさったんですか?」 「あ...それは」 奥から、ヴァールたちの気配を感じ取ったバドルが出てきた。 「お前たちちょうど良かった、奥の部屋に来てくれるか」 重い面持ちで歩くバドルに、孝典以外のメンバーはただならぬ事態だと察した。 ガチャン… 扉を閉めソファに全員が座った。 バドルが報告書をテーブルに置き、口を開いた。 「早速だがな、低級冒険者の負傷がここ数日相次いで起こってる。全員重篤な状態だ。通りかかった騎士団が悲鳴を聞いて駆けつけてくれたお陰で命は繋いだ。」 「低級冒険者が?」 「あぁ、それも同じ場所でな」 「どこなんです?」 「カルアの森だ、生息してる魔物はせいぜいF~Cランク。今は封鎖してる」 「魔物じゃなく人だと?」 「恐らくな。近いうちに調査団を派遣する予定だ」 「負傷者が目を覚ましたら、詳しい事情を聞いてみる」 「俺らも向かいます」 「だめだ」 バドルがヴァールの目を見つめる。 「悪いがお前らは席を外してくれねぇか?」 ガチャン… ヴァール以外の五人が部屋を出た。 「ヴァール、分かってんだろうな。お前は今、タカノリが敵か味方なのか見定めなきゃならねぇ。出来ねぇなら俺の方でやる」 「僕はこの3日間でタカノリさんは敵では無いと判断しました。もう監視は不要です」 「たった3日で何がわかるってんだ?」 バドルはヴァールを睨みつけ、空気が重くなる。 次の瞬間、二人のオーラがぶつかり合い、その圧でアンティークのタンスに亀裂が入った。 「はぁ、、気抜くんじゃねぇぞ」 「わかりました」 ガチャン… ヴァールは皆の元へ戻って行った。 マートンが心配そうに声をかける。 「大丈夫だったか?」 「うん、詳しいことはまだ分かっていないみたいだ」 俺たちは、マラルフロッグから取れた素材を職員に渡し、報酬を貰った後、カルアの森へ向かうことにした。 「カルアの森なんていつぶりだろうな」 トロイが馬車の荷台の上に乗り話す。 「4、5年くらい前かな」 「懐かしいな〜」 ヴァールとトロイが話している。 「そういえば、〝雷龍の鉤爪〟っていつ結成されたんですか?」 孝典が聞くと、トロイが答えた。 「俺とヴァールとマートンが元々幼馴染なんだ。 三人とも冒険者に憧れててさ、最初は各々ソロでやってたけど、21歳の時にヴァールに誘われてパーティー結成したんだ。」 「そうだったんですね」 メレナが話し始めた。 「私がその一ヶ月後に入って、ミリアが去年入ったんです」 「(ミリアってパーティーに入ってまだ浅かったのか)」 孝典はミリアを見た。 「なによ」 ミリアが孝典を睨んだ。 話していると、辺りに木々が見え始めた。 孝典たちは馬車を降り、トロイは弓を、マートンは盾を持った。 「行きましょう」 ヴァールとマートンが先頭を歩く。 サァァァ… しばらく進んだが、枝葉が揺れる音はするが魔物の足音や姿は一切見られなかった。 「おかしいな」 マートンが警戒した様子で話した。 「確かに、普通ならこれだけ歩けば魔物に出会うはず」 「俺がみてくる」 そう言うと、トロイは身軽な身のこなしで木の上まで登って行った。 「〝魔力探知〟」 「どうだ?」 「だめだ、1匹も引っかからねぇ」 「異常だね...もう少し奥へ進んでみよう」 孝典たちは森の奥へと歩みを進めた。 すると、前方に狼が一体見えた。 「レッサーウルフ...?」 「おかしいな、レッサーウルフは群れで行動する魔物だ」 こちらに気づいたレッサーウルフが走ってきた。 マートンが前に出る。 「ヴァール、任せてくれ」 するとマートンは、砂を蹴り目眩しをして盾を持ち上げ、尖っている部分をレッサーウルフの背中に突き刺した。 「あんな戦い方久々に見たな」 「ほら、すごいでしょ?マートンは」 トロイとミリアが話した。 「前方注意!」 ヴァールの叫びと同時に不吉な気配が六人を包み、木々の影から、輪郭の定まらない人影が姿を現した。 「あれは...なんでこんな所に......」 「ネームド...『ミストウォーカー』......!」 五人の表情には、絶望の色が浮かんでいた。 孝典は、呼吸をするのも精一杯だった。 「タカノリさん、僕が合図したら来た道を全力で走ってください。そして、ギルドマスターにこのことを伝えてください。」 「で、でも...!」 「足手まといです!!お願いします...」 孝典は、ヴァールの震える手を見た。 「....わかりました」 マートンがミストウォーカーに突進した。 「はぁぁあ!」 ヴァールが背負っていた剣を引き抜き、スキルを発動した。 「〝千龍炎夏〟」 ズドォォン!… ミストウォーカーからマートンが離れ、ヴァールのスキルが当たる。 「今です!!」 孝典は振り向き、全力で走った。 ミリアは孝典の後ろ姿を確認し、詠唱を始めた。 「〝サイレント・ドーム〟」 「......(この3日間本当に楽しかったです。タカノリさん)」 ハァハァ… 走り続ける孝典の目には、涙が浮かんでいた。 「すみません...ヴァールさん、マートン、トロイ、メレナさん、ミリア!」 サイレント・ドームの中で五人は戦いを始めようとしていた。 「〝雷龍の鉤爪〟覚悟を決めろ!!」 五人の顔にS級冒険者としての誇り、闘志が現れていた。 (つづく) ================================== 《ステータス》 ・三田 孝典 (みた たかのり) ・レベル2 ・F級冒険者 ・【固有職業:きのこマスター】 ・【一般級:霧吹き】 【一般級:ゴム手袋(薄手・ピンク)】 ・【ウィンドウ】【マップ:レベル1】 【会話:レベル1】 ================================== 最後まで読んで頂きありがとうございます! 応援、コメントして頂けると励みになります! 〝ネームド、ミストウォーカーの出現に覚悟を決める雷龍の鉤爪。どうなる、、!!〟 次回お楽しみに! (*・ω・)*_ _)ペコリ

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第九話 危険な匂いだった

第八話 父の背中は偉大だった

「あ!皆見てー、優勝したよー!」 誇らしげな顔をしたミリアが、店の中心に立っていた。 「〝なにやってんのあいつ!?〟」 「第24回大食い大会優勝者は!赤髪のお嬢ちゃんだぁぁぁあ!」 「わぁぁぁ!」 店内は歓声に包まれた。 ミリアが壇上を降りて賞金を片手にこちらに向かってきた。 「まったく、こんなに口の周りを汚して」 メレナが屈んで、ミリアの口元をハンカチで拭いた。 「えへへ、美味しそうだったからつい」 「食いしん坊なんだから〜」 するとミリアは賞金の入った白い紙袋を、メレナに差し出した。 「はい、これ」 「どうしたのミリア?」 「いつもお世話になってるから」 ミリアは顔を赤らめながら顔をそらした。 メレナはきょとんとしていた。 いつも天真爛漫な子が、お礼をしてくれたからだ。 「まったく、この子は〜」 「あー、わしゃわしゃしないで〜!」 二人は微笑みあっている。 そんな二人を見て俺たちも幸せだった。 「あー!なにそのもってるやつ!」 ミリアが俺たちの持ってる串焼きを指さした。 「串焼きだよ。向こうの屋台で買ってきた」 孝典は振り向き、屋台を指さした。 「メレナ、食べに行こー!」 メレナの手を引き、グイグイ進んでいくミリア。 「僕らも甘いもの食べますか」 「そうだな」 「はい!」 俺たちはデザートを探しに、屋台を探索した。 ―――その頃 道場の真ん中に、藁で作られたカカシが置いてあった。その前でマートンは、険しい表情をしている。 「スキルは使うんじゃねぇぞ」 「....あぁ」 「始めろ」 ドグラスの一声でマートンは動き出した。 「はぁぁあ!」 バシィィン… 部屋全体に衝撃音が響いた。 「....なってねぇな」 「.......」 「おめぇ、いつからそんなんになっちまった」 俯くマートンの迷いを、ドグラスは見逃さなかった。 「焦ってんのか?」 マートンの目が開かれ、動揺の色が浮かんだ。 「おめぇがまだ駆け出しの頃は、何も考えずに盾を使い、柔軟にこなしてた。だが今はどうだ、なにかに追われるように萎縮してる。違うか?」 「......」 マートンは重苦しい空気の中、口を開いた。 「...パーティーは全員才能を持ったやつばかりだ。どんどん離されていくのに危機感が募ってくばかりだった....」 「そんで、その戦闘スタイルに落ち着いたってわけか。」 ドグラスがマートンの胸に拳を当てた。 「悪ぃがなマートン、時間は待っちゃくれないぜ。 悩む暇があんなら、今すぐその面洗って出直してきな」 ガチャ… 「二人ともー、お茶入れてきたよー」 マートンの妹が入ってきた。 妹に無様な姿は見せられまいと、すれ違いざまに道場を出ていった。 「ちょっと、またお兄ちゃんをいじめたの〜?」 「ったく、グジグジしたやつに育てた覚えはねぇぞ」 ドグラスは目を閉じ、駆け出しの頃の、楽しそうに話をするマートンを思い出していた。 「(そのままでいいんだ、マートン)」 バシャ… タライに入れた水を、頭からかぶり、俯くマートンがいた。 「あら、ここにいたの」 「....母さん」 隣にマートンの母が座った。 「なにか...思い詰めてるのね」 「.....」 「あのねマートン、少しずつでいいの。今日ちょっと進んだら、明日もちょっと進む。それでいいの」 母はマートンの肩に手を置いて、戻って行った。 マートンはもう一度水をかぶり、道場に戻った。 「遅かったじゃねぇか、水が出なかっ...」 マートンの眼に、鋭さが宿っていた。 「ふっ...やっとか」 「...俺はもう自分から逃げない、自分の為にも、何よりもパーティーの為に...!」 「いいんじゃねぇか?」 ドグラスは道場の物置から、紅黒い塊を運んできた。 ガタンっ 「これがなんだか分かるか?」 「いや...」 「これは、昔の知り合いから譲り受けたS級の魔物の外殻だ」 その外殻からは禍々しいオーラが漂っていた。 ゴクッ… マートンは圧迫感から唾を飲み込んだ。 「てめぇにはこいつを叩き割ってもらう。」 「......」 マートンの額には汗が滲んでいた。 ドグラスがそこから離れ、マートンが盾を拾った。 「うぉおおお!」 カンッ… 割るどころか、傷一つつかなかった。 「はぁぁあ!」 それから何十分、何時間経ったのだろう。 月明かりだけが2人を照らしていた。 マートンの手には、未だに盾が握られていた。 ―――みんな! 俺は難しいことはわからない、だから〝雷龍の鉤爪〟の皆の事だけは、俺の命にかけても守る! ――――――― ドクンッ マートンの眼はいつになく落ち着いていた。 静かに盾を構える。 次の瞬間――― すべての力を盾に乗せた。 「うらぁぁあ!」 ガンッ… 「だめ……か……」 マートンは地面に崩れた。 ドグラスが眉を細めながら、外殻を見つめる。 ピシッ… 「やりやがった...!」 外殻にヒビが入ったのだった。 「ハハハッ、まさかほんとにやっちまうとはなぁ、大したもんだぜマートン」 ドグラスは誇らしげに月を見上げた。 (つづく) ================================== 《ステータス》 ・三田 孝典 (みた たかのり) ・レベル2 ・F級冒険者 ・【固有職業:きのこマスター】 ・【一般級:霧吹き】 【一般級:ゴム手袋(薄手・ピンク)】 ・【ウィンドウ】【マップ:レベル1】 【会話:レベル1】 ================================== 最後まで読んで頂きありがとうございます! 応援、コメントして頂けると励みになります! 〝ドグラスの試練を無事達成できたマートン。仲間の為に振るう盾は何よりも強靱だった〟 次回お楽しみに! (*・ω・)*_ _)ペコリ

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第八話 父の背中は偉大だった

第七話 その少女、実は大食いだった

―――翌朝 ダンダンッ ドアを激しく叩く音が響く。 「おいおい、」 「こら、やめなさい」 「タカノリー!おーきーなーさーいー!」 孝典が飛び起きてドアを開ける。 「おっそいわね!」 「悪いな、タカノリ」 マートンが申し訳なさそうに、苦笑いしている。 「ごめんなさいねタカノリさん、買い物に行くって聞かなくて」 「フンっ...別に行きたくないならいいもん」 三人が視線を下ろす。 孝典は、パンツ1枚だった。 「へっ、変態!」 ガチャン! ミリアが勢いよくドアを閉めた。 着替えが終わり、中央噴水でヴァールさんとトロイと合流した。 「おっすタカノリ、どうしたその傷?」 トロイが俺の額を見た ミリアが俺を睨んでいる。 「フンっ....」 「あ...あはは」 「今日はタカノリさんの案内も兼ねて王国を回りましょう」 「賛成ー!」 ヴァールが話すとミリアが元気よく返事をした。 「まずは武器屋に行きますか」 三分ほど歩き、石畳の坂を登る途中で左側に、渋い外観の店があった。 「着きました。ここが王国一の鍛冶屋です」 「俺、ここのおやじさんよりスゲー鍛冶師見たことねぇな」 ヴァールさんとトロイの話を聞く限り相当な腕を持っているのだろう。 「お邪魔します」 店の奥では、黙々と作業をしている男がいた。 こちらに気付くと、手を止めゴーグルを外す。 「その声は、ヴァールか」 「おはようございます。ドグラスさん」 「おっす、おやじさん」 「また腕を上げたなお前ら。.....で、お前もな、マートン」 マートンが、少し気まずさを含んだ表情で答える。 「あぁ....親父」 「え、おやじ!?」 「あー、言ってなかったですね。ドグラスさんはマートンのお父上なんです」 「おめぇ、盾見せろ」 マートンが暗い表情で、背負っていた盾をドグラスに渡した。 ドグラスは盾を見て一言呟いた。 「.......まだまだだな」 「え、でもマートンはS級ですよ?」 俺はマートンの凄さを知っているから、口を挟んでしまった。 「お前、新入りか?」 「いえ、一ヶ月間うちで同行してもらうタカノリさんです」 ヴァールがタカノリを紹介した。 「そうか、いいかタカノリ。S級なんてのはただの指標だ。」 ドグラスは盾を眺めながら続けた。 「その中でも戦い方が洗練されているやつもいれば、雑なやつもいる。」 「なるほど、」 「俺の息子にゃ、まだまだ足りないもんが山ほどある。それが武器を見りゃ一目瞭然なんだよ」 ドグラスは盾を孝典に向けた。 「見てみろ、傷が少なすぎる」 「え、大事に使ってるってことじゃ、」 「俺の盾はな、正面はもちろん、枠の部分まで丈夫に作ってある。.....マートン、お前スキルを毎回発動させてやがるな?」 「あぁ...」 「....俺の言った、強い奴らは武器に傷を作らねぇってのはそういうことじゃねぇ」 マートンが苦虫をすり潰したような顔をしている。 いつも優しい顔ばかりで、初めて見る顔だった。 「S級って肩書きに胡座かいてんじゃねぇぞ。受ける、押し出す、切る、刺すを毎日鍛錬しろって言っただろうが。そんなんでスキルを封じてくる相手が出てきた時に、どう立ち回るつもりだ?」 ドグラスはヴァールの方を向いた。 「ヴァール、一日こいつ借りてくぜ」 「分かりました」 俺たちは武器屋を出た。 「いいんですか?」 「あの人に任せるのが1番いい」 「なんでアンタが暗い顔してんのよ」 ミリアが俺の背中を強く叩いてきた。 「いっ...!」 「マートンはすごいんだから」 「そうだね、僕らは買い物に行こうか」 「やったー!」 ヴァールの言葉にトロイとミリアが喜ぶ するとトロイがバランスを崩しローブを纏った者にぶつかった 「おっとと!悪いな」 「.......」 その者は、何事も無かったように去っていった。 「なんだぁ?」 ヴァールが、去っていく背中をじっと見つめた。 「ヴァールさん?」 「いや、なんでもないです」 俺たちは屋台に立ち寄った 香ばしい香りや、甘い香りが漂っていて、色々な店が並んでいた。 「わぁ!美味しそう!」 ミリアはひとりで遠くまで行ってしまった。 「はぁ、ミリアったら」 メレアがミリアを追いかけた。 「俺達も行こうぜ!」 「串焼きはどうでしょう?」 「いいですね」 「すみません三本ください」 「はいよー」 俺たち三人は串焼きを買うことにした。 牛の赤身だろうか、ジューっと音をたてながら、脂が滴り落ちている。 そして店主が、自家製のタレにくぐらせた。 ゴクッ… 俺たちはあまりに美味しそうで、同時に唾を飲み込んだ。 「へいお待ち!」 湯気が立ち上り、タレの芳醇な香りに3人は我慢できずかぶりついた。 「〝うまい!〟」 普段は品行方正なヴァールさんが、口の周りにタレをつけて夢中で食べている。その姿はまるで、少年のようだった。 「あはは、口に付いてますよ」 ヴァールさんは恥ずかしそうにハンカチで拭った。 「ふぅ〜、美味かった美味かった」 「ミリア達はどこでしょう」 俺たちは辺りを見渡した、するとお菓子屋の前に人だかりが出来ている。 「なんだ?」 気になり人混みをかき分けて行くと、大食い大会が開かれていた。 そして、その中心にいたのは―― 「あ!皆見てー、優勝した!」 ミリアはこちらに気付き手を振った。 俺達三人は、開いた口が塞がらなかった。 「〝なにやってんのアイツ...!〟」 ミリアは大食いだった (つづく) ================================== 《ステータス》 ・三田 孝典 (みた たかのり) ・レベル2 ・F級冒険者 ・【固有職業:きのこマスター】 ・【一般級:霧吹き】 【一般級:ゴム手袋(薄手・ピンク)】 ・【ウィンドウ】【マップ:レベル1】 【会話:レベル1】 ================================== 最後まで読んで頂きありがとうございます! 応援、コメントして頂けると励みになります! 〝ドグラスの稽古、マートンは鋭い眼光に耐えれるのか!〟 次回お楽しみに! (*・ω・)*_ _)ペコリ

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第七話 その少女、実は大食いだった