桔梗

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桔梗

深海へようこそ

赤い水がニオイを感じる穴をとおって、目を覚まさせる。 近くで、誰かが苦しそうに悶えてる そっか…わたしは……やっと…生まれたのか 尾びれを動かして周りを確認する 真っ暗な場所、あたりには真っ黒な目をした人魚が多い。 「16、あんた他のよりちっこいんだからこっちによりな」 母親に手を惹かれて兄弟と共に泳いだ。 母はぶっきらぼうにしながらも、私の手を掴んでた。それが冷たい体温に熱を宿した気がした。 気がつけば何百といた兄弟は数匹ほどになり、私は母元を離れて一人泳いだ。 泳いで 泳いで 泳いで 泳いで 泳いで 泳いで 泳いで 泳いで 泳いで 泳いで 泳いで 一人で、泳ぎ続けた。 果が見えない黒い海で、泳ぎ続けていた矢先、母と再開した。 母は、すでに目が白く濁り元々悪かった視力が闇におちていた。 「あんたは……16か、目がもう使い物にならない、私はもうすぐ死んで、この海に還る」 虚ろな目をしながら母がそういった。 もう彼女に生きる希望はないのだろう。もともとそういう性格だ。 なら、逝く前に 「お母さん、どうして私を産んだの」 私は聞きたくても聞けなかったことを聞いた。 ぶっきらぼうな母、私達のようなサメ。ラブカは、胎内で子どもをそだて、長い年月をかけて、胎のなかで育て、そして海で生む。 そんなことを、ぶっきらぼうな母がやってのけた、その理由がしりたかった 「さぁねぇ…私もそれが知りたいよ」 そういう母の顔は過去を思い出しているようにみえた。 その後、地底の底で母が海に還っているのを見つけた。 たくさんの海のものが母の体をすでに食べていた。 私はそっと母のそばに行き、彼女のボロボロになったヒレを噛みちぎり、その場をあとにした。 初めて食べた、身内の味は今までの食事で一番まずかった。 その後、私は旅をした。 産まれた意味を、生きる意味を見つけたくて、知りたくて。 その後は、たくさんの出会いをした 自分の宝石を見つけた強気な蛸の人魚 遠い海から今を楽しむ博識な海豚の人魚 揺るがぬ意思を持ち深い心を持つ鯨の人魚 そして、消え入りそうにも、深く美しい海月の人魚 誰もが違う波を泳いでいく姿は、真珠のような輝きをしていた 「お姉さん、大丈夫?」 真っ白なかさをもったくらげの少女が不思議そうに私の顔を覗き込んでいた。 どうやらついついうたた寝をしていたようだった。 「大丈夫、少し眠くなってね」 「どこかで休む?」 「平気よ、それよりまだまだ目的の場所につかないんだから少し急ぐわよ」 「そういって、私もお姉さんも泳ぐのは苦手な方なんだから」 むむむとした顔をする彼女を可愛がり、波に揺られていく 彼女と旅を初めて、空の真珠、陸では太陽といわれる宝石が、海を明るくしたり暗くしたりすることを何十回と繰り返すほどの時間がたった。 私たちは、浅瀬の海が凍るところを見るため、捕食者と被食者の関係の中一緒に旅をしている。 そんな状態の中で、私は 「お姉さん、次はどんなことを教えてくれるの?」 私が知ってきた話を笑顔で急かして聞きたがる少女をなだめながら、昔話をするのが今の生きる意味だと感じてながら旅をする。

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差別のない服

着物は差別はしない服だと私は思った。 着物は男女兼用なのはもちろん、どれだけの身長があろうと、着物は調整すればその人にあった姿になる。 とある海外から日本に来た人の話もあって私はこの結論にいたった。 その人は憧れの日本に来て、日本の象徴とも言える着物を着て街を観光していた。 そんな時、自分が歩いてる道の前から中高生あたりの子どもたちが近づいてくるのが見えて身構えてしまった。 その人は、過去に他の国の服を着ることで他の国の人に嫌がられた経験があったことがあり、この子達も嫌がってしまうだろうと思った しかし 彼らは彼に近寄り向日葵が咲いた顔でその人に話しかけた。 そして、その子達が口々にしたことは、その人への宝石よりも価値のある言葉だった。 その人は、その瞬間着物を着てよかったと思えただろう。 ほかと違う服だろうと、目立ってしまう思いがある中、着物を着ることは何も悪くない。 押し付けることもしない、否定することもしない 着物によって、救われる人もいるのだから

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白鯨と深海の影

「そこの子ザメちゃん、いったいどこに行くの?」 珍しく向こうから声をかけられた、私のようなサメに声をかけてくるのは 「良かったら聞いてもいいかしら?」 いつだって強者の威厳がある者だ 「ごめんなさいね、誰かに会いに行く予定だったかしら」 「大丈夫、ただ何か目的が欲しくて泳いでただけだから」 私よりも小さな体の子ザメは私を見上げながらそう言った。 赤いエラに何列にもなっている鋭く可愛らしい歯は同じサメでも恐ろしさはある 私は自分のヒレで彼女に水圧をかけないよう注意しながら話し続けた 「あなた、もしよかったら私達についてこないかしら?今夫と空に浮かぶ巨大な真珠が沈む場所を目指して泳いでいるのよ」 空に浮かぶ巨大な真珠、それはこの海中を照らすものだ、前にあったイルカの人魚が教えてくれた、人間はあれを太陽と呼んでいると 「誘いは嬉しいけど、私は貴方達クジラのように早く泳げないわ、それに浅瀬にいるのもあまり好まないの」 「それなら、少し私達が深く潜りましょう、それに私のヒレに寄り添っていればすぐ連れて行ってあげる」 「それなら貴方の言葉に甘えるわ」 そうして私のヒレに可愛らしい小ザメが来てくれた 「目的を探すためと言っていたが、どうしてそんなことをしたいんだい?」 先程合流した夫が小ザメに話しかける 「私の種族は長命種なの…その長い命をどう生かしたらいいか…わからなかったから、生きる目的を探してたの」 私のヒレにひっついている小ザメは少し残念そうにしながら語る 「大丈夫、生きるために目的はいるかもしれないけど、そればかり考えていたら見つけられる目標を泳ぎすぎてしまうわ」 「そっか…じゃあ、いろいろなことしてみたいな」 小ザメちゃんの元気が戻ったようで、私は尾ビレを愉快に揺らした。 その後は夫と小ザメちゃんと共に空の真珠を目指して泳ぎ続けた。 「どうして空の真珠を目指しているの?」 ふと、小ザメちゃんがいった 「そうねぇ、少し気になったのよ、あの真珠は一体どこにいくのか」 「どこにいくのか…」 「あの真珠はいつも海を照らしてくれる、そんな真珠が夜は似ているようで違う姿になる、だから沈む場所を目指してこの目で見てみたいのよ」 なんて、喋りすぎてしまい思わず恥ずかしくなってしまう 「やっぱり、今のは」 「素敵、ありがとう」 今のは忘れて、その言葉を言おうとしたが、彼女の目には今の言葉はどうやら目的を見つけられる一つになったのかもしれない。 そう思うと私は嬉しかった。 空の真珠が沈み、空には欠けた真珠が浮かんだ。 「少し眠ろうか」 夫が優しく声をかけてくる 「私も…少し眠るわ」 「えぇ、二人ともおやすみ」 二人に声をかけてから私は目を閉じた。 次の日、夫が死んでいた。 起きると、夫は腹を上に浮かせて死んでいた。 そばにあの小ザメちゃんが寄り添っていた。 「小ザメちゃん…」 「どうするの?食べる?」 彼女は迷いなくそういった。 小さな小魚しか食べない私達は、他の種族のようにはしない、だから 「小ザメちゃん、夫を食べて」 海に生きるものとして、一番の最的確はこうだ。 「いいけど、貴方はいいの?もう浮いてるっていっても、貴方の夫だったでしょ」 「いいのよ、海に生きていようが、どこにいようが死影は私達とともにあるもの、いつかそのうち知らない子たちに食べられる前に、少しだけでも貴方が食べてほしいのよ」 「分かった」 そういうと、小ザメちゃんは夫のヒレを小さく齧った。 私は歌を歌った。 「どうして、歌うの?」 不思議そうにしている小ザメちゃんが聞いてくる。 「歌は永遠の象徴だからよ、どれだけ深淵にいても、歌は届くのだから、私達は大事な者たちのために歌を歌うの」 「それ、すごく素敵ね」 そう笑う小ザメちゃんをヒレで寄せて不慣れながらも一緒に歌った。 「あら、いってしまうの?」 「私なりに目的が決まったから、少しの間だったけど、ありがとう」 そういう彼女は、あったときよりも少し立派になっているように感じた。 「その目的って?」 「生きてる間にこの目で海の全てを知りたい」 そう笑う彼女は本当にもう立派な大人だ。 「えぇ、頑張りなさい、もし波に溺れたなら歌を歌いなさい、私や他の子が助けに行くわ」 そういい、私は彼女に別れを告げた。 目的を果たすまでには、きっと私は海に沈みきらないほど沢山の物語を紡ぐだろう。

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遠い国の博識者と浅瀬と氷と

今日は少しだけ浅瀬に来た。 いつもより暖かく感じる海は知ってるようで知らない姿をしていた。 「君、少しこのあたりの海について聞いていいかな?」 赤いエラにギザギザと噛まれたら鱗のない自分の皮をひとたまりもなく赤い水を出して肉食種を集めてしまいそうな歯をもつサメの少女に僕は声をかけた。 「ごめんなさい、このあたりは初めてきたの」 彼女は少し目を細めながら僕に近寄って言ってくる 「もしかして目が悪いんですか?」 「暗いところでないと見えないのよ…ここはいつもいる場所より明るいから少し周りが分かりづらいわ」 長細いおびれを揺らせながら彼女はいう。 「そっか…てっきり、ここになら馴染める相手がいると」 「馴染める相手?貴方達イルカは生まれた時にはすでに群れがいるでしょう?」 「居たよ、でもね群れがあるからといって幸せとは限らないんだ」 僕は笑って彼女に言う。 「行き場があることは幸せなんじゃないの?」 不思議そうに彼女が聞いてくる。その姿が肉食種のサメだということをつい忘れてしまいそうな仕草だ。 「幸せっていうのはね、一体一体違うんだよ、僕らイルカは一生を群れで過ごし番を作って遊び続けるんだ、でも、僕はそんなことに楽しみを感じれなかった」 「僕は世界中を知るために、そして僕を受け入れてくれる相手を探して旅をしているんだ」 「どっちも知るのも見つけるのも難しいことよ、目標を一つだけにしてしまったらいいんじゃない?叶わないこともあるでしょう?」 「そうだね、絶対なんてことはないよ、世界中を知ることも一緒にいて楽しめる相手を作ることも、でもね、どれも過程を楽しむことも必要なんだよ」 「過程?」 「そう、例えば君は冬って知ってるかい?」 「なにそれ?」 「いつもより海が冷たくなって浅瀬が凍ることなんだよ」 「浅瀬が凍るの!?どうして!?」 驚いた彼女が興味津々にしながら話を急かしてくる 「それはねぇ、この世界には春夏秋冬っていって4つの温度の違う時期が回っているんだ、そのうちの冬は浅瀬を凍らせるほど冷たくなるんだよ」 「そんな時期が…他は?他もなにか教えて!」 興味津々にまるで浅瀬を照らす空に浮かぶ巨大な真珠の光のように彼女は純粋な目で僕を見つめていた。 「これが夏の時期ってわかることだよ」 「すごい、でも、さっきいってた過程を楽しむってどういう」 「今のことだよ」 彼女が素っ頓狂な声を上げる 「世界を知る過程でこうして沢山の知識を得る、そして君に話したように楽しむことができるんだ」 「結果はずっと楽しむことができるけど、過程を楽しむことはその時しかできないこともあるんだ」 驚きと関心のような瞳をした彼女は 「確かに、そうね」 そう言って笑った。 「それじゃあ僕は陸を目指すよ」 「陸へ?危ないわよ」 「大丈夫だよ、世界を知るにも一緒に楽しめる相手を探すこともあるかもしれないからね、そのためにも旅をするんだ」 「どうして、旅をするの」 「それが楽しいからだよ」 そうして僕は彼女から一つの宝石を渡してきた。 その宝石は次にあったものに渡してくれといって、いつかは、海底の誰かに還る場所だからといって。 その誰かに合うまで、僕は旅を続けよう。

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瓶の中の宝石と深海

「ねぇ、そこで何してるの」 深海の暗い暗い海の底、キラキラしたものを触手で抱きしめながら怯えた目で相手を睨みつけている。 「そんなに警戒しなくても、大口で食べる趣味はないから安心して」 赤いエラに何重も重なった尖った歯は恐ろしい肉食種の人魚なのが見るにわかる。 警戒が解けず相手を睨み続けていると彼女は、仕方ないという様にしながら、瓶の横に腰掛けた。 「私の好みはエビや小魚なの、それに狩りならさっきしたから、貴方を食べる気はサラサラないのよ」 「そう言っても初対面、しかもこの海で肉食種のことを信頼しろなんて、無理にもほどがあるわ」 「あら、やっと喋ってくれた、できるならこの透明な巣の中じゃなくて外で話して見たかったわ」 「声も姿も分かるんだから、変わらないでしょう?」 強気でいかなければ、この海では騙され食われる。 一時も気を抜くことはできない。 「それが見えてもこんな状態じゃ、なにも楽しめないわ」 「それは肉食種としての快楽?それとも、捕食対処を恐怖させて味わいたいタイプ?」 「ただの私の気持ちよ、貴方と語り合いたいの」 おかしなサメだ。よくもまぁこんな考えで生きてきたものだ 「ところで貴方が持ってるそのうろこはなに?」 「うろこじゃない、これは人間が海に落としたものよ」 「そんなもの集めてどうするの、食べられないでしょ」 「食べるために集めてない、これは私のお宝なの」 触手で輝く宝石たちを抱きしめる。 「こんな海そこでそんなものを抱きしめて寝るなんて食べてくれって言ってるものじゃない」 彼女が呆れた様子で話しかける 「いいのよ、いつ死んでもいいからこうしてるの」 「え……」 「私達タコは擬態して逃げることしかできない、いつも影に怯えてくらしたあと、番を作って稚魚たちが生まれるのを見届けたら私達は死ぬ運命なの」 「それなら、この狭い中で捕食者たちに目をつけられながらも、好きなものを抱きしめてそいつらを見下してやった方が私としては気分がいいのよ」 そう、捕食者側の彼女に笑ってやった これは私のような弱者なりの、強者への皮肉。目の前にいる餌を食べられず牙を剥き出しにし苛つくやつらの顔を見て私は海に還る 「好きなものを抱きしめて寝るなんて、考えたこともなかったわ」 「捕食の、しかも長寿なあなたならそんな考え死ぬ間際くらいには思いつくんじゃない?」 「あなた本当に私達捕食者が嫌いなのね」 「嫌いよ」 即答した私の答えにむむと少しへこんだ顔をした彼女は延びをすると尾びれを動かして揺蕩い始めた 「行くの?」 「えぇ、長寿といっても有限なのに変わりはないからね」 「それならこれをあげる」 私しか入れない細い出入り口から一つの宝物を放り投げる 「宝物でしょ?いいの?」 砂に落ちた宝物を彼女が拾い上げて言う 「いいのよ、肉食種にしては居て心地のいい相手だったし、それにそれは海にある限りいつかは私の元に戻ってくるからいいの」 「そう、それじゃあもらうね」 そう言いながら、彼女は宝物をつける場所を迷った末に、その宝物についてた紐を首に通して漂っていった 私は宝物を抱きしめながら暗い暗い深海で好きに生きる。

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浅瀬と深海の海少女

「あなた、きれいね」 たくさんの歯に赤いエラに黒い尾ビレをした人魚の少女が私に語りかけてくる。 「あなたは誰?」 「私はラブカ、深海のサメよ」 「サメなら私を食べる気で話しかけたの?」 私は自慢のドレスのような傘をたゆたわせながら暗い深海で漂う。 「あいにく、大口をあけて食事する趣味はないの、ただの暇つぶしよ」 彼女は私の横に漂いながら話を続ける。 「ねぇ、あなたたちクラゲはどこにいくの?」 ただよう彼女が聞いてくる 「波が導くところよ、私達クラゲはただ死ぬその瞬間まで海に漂わられながら生きていくの」 「随分と海に全てを任せているのね、自分の意思で生きていきたいと思わないの?」 「クラゲとして生まれた私達の意思は海そのものよ」 「随分と壮大な意思ね?今までみた人魚たちの中でクラゲの人魚は一番意思がないように感じるわ」 「他にもあったことがあるの?」 「えぇ、同じ同種や、引きこもりのタコだったり、遠いところから来たイルカ、白銀に輝く巨大なクジラだったりね」 「すごい、そんなに沢山の人魚に会えたってことは貴方は長生きなのね」 「そうか、貴方達クラゲは冬にはもう寿命なのね」 「冬ってなぁに?」 「海がいつもより冷たくなって浅瀬が凍ることよ」 「どうして冬になると凍るの?教えて」 彼女の手を握って懇願する 「いいよ、無知なクラゲのお嬢さんにたくさん教えてあげるよ、幸い私はまだ冬を数十回越した程度、寿命なら貴方の何倍もある、貴方の意思のままに泳ぎながら行きましょうか」 そう言いながら彼女は私の手を握って私の意思のまま海を揺蕩ってくれた。 彼女の話を聞きながら私の意思のまま、私達は海を生くことにした。

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初恋と思春期とJK事情

「薫!今日もまた頼めないか?」 彼氏の祐介が困り眉にしながら拝むような手をしている。 「いいけど…最近多くない?」 そう言いながら3000円札を渡す 「ほんとごめん!来月のバイトの給料で返すから!」 頭を下げる祐介をみて、思わず許してしまう。 周りからすれば早く別れろと言われる状況だろう、だが、今の私にそんな考えは持っていないし、持ちたくない。 授業を聞きながら祐介のことを考える。 彼氏ができたのは初めてなのもあって浮かれているんだろう。 正直、祐介のことは片思いをしていた。 いつも暗く、隙あらば好きな音楽を聞いているような私なんかに告白をしてくれた。 今の状況に私はひどく満足している。 「ねぇ、祐介と別れたら?」 金髪、バチバチのメイク、乱した制服、うちの全校生徒の中で一番のギャル、小澤だ。 「どうして、そんなこと言われないといけないの」 ひたむきながらも反論してみる。 「だってあいつあんたの悪口いってたよ、しかも金もあんたから巻き上げてるでしょ?」 短くしたスカートなのに彼女は足を開いて私の真正面にいる。 幸い、椅子の背もたれで下が見えることはなかった。 「悪口なんか本当か分かんないし、それに彼が困ってたから貸してあげてるだけ、返してくれるから」 「それ先月の時もたまたまみたけど、今月返してもらえたの?」 返してもらってない 「黙る感じ、まだなんでしょ?一人が無理なら私が言っておこうか?」 「小澤さんには、か、関係ないでしょほっといて」 声を震わせながら精一杯の反論をする。 「はぁ…?あんた本当にそれでいいわけ?」 「………………」 「あんたがそれでいいなら私は構わないけど、ちゃんと相手のこと見てみな」 そういいながら彼女は取り巻きの方に歩いていった。 何にも知らないくせに、私は彼の全てが好きだから 「薫!昨日貸してくれた礼にさ今日どっか行こうぜ」 祐介からの言葉に私は胸の中がふわふわとした。浮足が立つなんて言葉はこういうときに使うんだろうと実感した。 「う、うん!行く!」 「よっしゃ決まり!じゃあ、放課後教室に迎えに行くから終礼終わったら待ってて」 そういいながら、祐介は友達の方に走っていった。 その後のことはあまり覚えてない。あまりにも頭も心もふわふわとしすぎて時計を眺め続けたのだけはなんとなく覚えている。 やっと放課後が来た! 「薫!おまたせ!」 ほとんどの生徒が出てから祐介がきた。 嬉しくて心臓の鼓動が早くなる 「じゃあ、行こうか」 靴箱で靴を履き替え、学校の外に出る。 「どこにいくの?」 「近くのファミレス、今イチゴのパフェ出てるから薫に食べさせとくてさ、好きだって言ってただろ?」 「ぁ、うん」 曖昧な声で返事をして、ファミレスの中に入っていった。 届けられたパフェは可愛く、乙女心をくすぐるものだった。 「可愛い…!✨」 「気に入ってくれて良かった」 にこやかに微笑む祐介のもとには、ドリンクバーからとってきたコーラが一つしかなかった 「祐介くん、本当に何も食べなくていいの?」 「いいんだよ、そんなに腹減ってないし」 「ふぅん、そっか」 いちごのパフェをぱくりと一口食べるとあまずっぱい味と甘いクリームで口がいっぱいになった。 「ところでさ、薫に相談があるんだよね」 「え?相談?」 「実は母さんが持病で倒れて……またお金を貸してほしいんだ」 心にヒビが入るような気がした 「お母さんが!?で、でもお金…」 正直これ以上のお金は負担がありすぎる。私はバイトをしていないからお小遣いでなんとかできていたが…付きに一万円、それでどうにかやりくりしながらだったのに、さらにお金が 「もちろん俺もバイトして稼ぐけど、薫にも手伝ってほしい!頼む!」 勢い余って机からガンと祐介が頭を下げてぶつけた。 正直、断ってしまいたい。 でも、大事な祐介の頼み、そしてその母親の為ともなれば 「わ、わかっ」 わかった、そう答える前に祐介の頭から氷入りの水がぶっかかる 「うわ!?冷た!?なんだよ!!」 「なにって、その腐った脳みそ冷やしてやろうって思っただけだよクソ野郎」 そこにはカラになったコップを持ったギャルこと小澤がいた。 「さっきから嘘ついてこの子から金巻き上げるために全力になってさぁ、ホントクズ」 「はぁ!?嘘じゃねぇよ!何いってんだよ小澤!」 立ち上がり息をあげながら怒鳴る祐介に私は少し恐怖を感じた。 「だってあんたの母さん、ここにいるし」 そういう小澤の後ろから女性が近寄ってくる 「か、母さんっ!?」 「聞いたで祐介、お前こんなかわえぇ彼女ちゃんから金巻き上げようしとったんやって?ええ根性しとるやないかこのあほんだらっっ!!!」 そういうと、祐介の母親は祐介の耳を引っ張り立たせた。 「いってててて!?!?!?」 「ほら!彼女ちゃんにあやまり!!」 「わ、悪かった!本当に悪かった!」 「何が悪いかちゃんと説明せぇ!!」 「か、金巻き上げようとして、嘘ついたりしてすみませんでした!!」 怒涛の祐介からの謝罪と、母親の迫力に怖気づいて、私は頷くことしかできなかった。 「ほんまにごめんねぇ?明日このクソガキにまた誤らせに行くな?あ、あとここのお会計おばちゃんが払っとくからゆりちゃんと楽しんでね」 先程の迫力とは打って変わって優しい声音の女性に変わる。 耳を引っ張られながら連れて行かれた祐介と引っ張っていった祐介の母親がいったあとは小澤と私だけが残った。 「祐介のお母さん、私とバイト先一緒でさLINE交換してたんだよねぇ」 カフェラテをかき混ぜながら小澤がいう 「お節介だって思われるかもだけどさ、私あんたのこと心配だったんだよね、今日はたまたま同じファミレスにいたけどさ助けられて良かったよ」 「小澤さん…ありがとう、私ほんとバカだった」 「自分のことそんな貶すのはやめときなぁ?あと小澤さんじゃなくて下のゆりって名前で読んでよ薫」 笑う彼女の笑顔は眩しくて私の心が救われた。 「薫!本当にごめん!!」 後日傷まみれになった祐介が貸したお金の分と菓子折りを持ってきたので、その菓子折りを頬張りながら、フードコートでゆりとその友達と駄弁り明かしたのは放課後のお話。

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永遠の誓い

「これにて、神と教会の前で、お二人が夫婦になったことを宣言いたします」 祝福の拍手が教会中に響く。 俺はとても幸せだ。 隣にいる新婦、小百合は顔を下に向けている。 彼女は泣くとき、よく下を向いて泣き顔を見せたがらない。 親族の席には号泣している、俺の両親と小百合の両親がいる。 中の悪かった二人がこうして泣いているのを見るのはこれで最後かもしれないな これからの生活が楽しみだ。 怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い ずっと後ろを付きまとわれてる気がする、いや、気の所為じゃない、まるで一方的な影鬼をされているようだ、街灯に私の影が映るたび、その影を必死に追いかけてくるように鬼が来る。 安いアパートの鍵を開けて後ろを見る前に滑り込むようにして入って急いで鍵をかける。 ほんの少し安堵のため息をつく。 「あ、おかえり!どうしたの?」 奥から涼介くんが顔を出して、息苦しさが消える。 「大丈夫、いつものことみたいだし」 「また、誰かが来てるって感じの?やっぱり心配だし俺も帰り道ついてくよ?」 「涼介くんは大学の課題あるんだから、だめ、それに私これでもお姉さんだよ?負けないんだから!」 婚約者である彼にこれ以上の心配はさせたくない。 「小百合さんがそういうならいいけど、ご飯作ってあるから冷めないうちに食べよ?」 微笑む彼の顔に私はしあわせになる。 思わず涙が溢れそうになるのを見られないよう下を向く。 「また泣きそうになってる〜」 「いじんないでよ〜」 声が裏返って恥ずかしさが込み上げた。 「明日はまだ早く帰ってこれるからその時は私がご飯作っておいてあげる」 髪を乾かし終えて、寝る支度を始めながら先に横になっている涼介くんに声をかける。 「やった!小百合さんのご飯美味しいから楽しみだなぁ」 嬉しそうに笑う彼は本当に幼く愛しい恋人だ、1週間後に控えた結婚式を楽しみにし、私達は眠りについた。 今日の食材を買い終えて、家路を歩く。今日は涼介くんの好きな鍋料理をつくってあげよう。 プラスチックの袋の中でガサガサと食材が音を立たせながらアパートの扉に鍵を差し込む。 違和感がする 鍵を回すと部屋の鍵が空いている。 直後に緊張する。誰かいるのか、泥棒?締め忘れ?いや、今日出るとき、私が鍵をかけて家を出た、締め忘れは絶対にない。 鍵を差し込んだまま、身動きが取れなくなる。 冷や汗が首筋をつたっていく。 ピコンとスマホの通知がなり、体がビクリとする。 慎重に鍵から手を離し、スマホを取り出して確認する。 涼介くんからだ。 小百合さん、今日一度家に帰ったからもしかしたら玄関の鍵占め忘れてしまってるかもしれないんだ!もし空いていたらごめんなさい! 涼介くんからの謝罪文だった。 じゃあ、誰もいない? ただの涼介くんの締め忘れ? 勇気を出して震えながら扉をあける。 暗いながらもまだ明るい外からの日差しで部屋は照らされている。 見覚えのないものはない。怪しいものは何一つない。 どうやら、締め忘れだったようだ。 ほっと安堵のため息。 その後、私は後ろから何か硬いものを叩きつけられ気を失った。 目を開けると辺りは暗くなっていた。時計を見ると5時間ほどは経っていて、もう6時を過ぎていた。 すると、暗い部屋の中で何か聞こえてくる。 暗闇に目がなれると同時にその音の正体が分かってきた。 血塗れになった涼介くんだった。 「涼介くん!!!!」 涙混じりに絶叫に似た声が響く。 それでも、彼が動くことはなかった。 「あれ起きた?ごめんねあまりに強く殴ったみたいでさ」 後ろから声が聞こえてびくりとする。 「彼ね、君を縛ってるときに帰ってきて思わず取っ組み合いで打ちどころが悪かったみたいなんだよね」 誰?怖い怖い…!!身動きを取ろうにも手足は痛みを感じるほどきつく縛られている。 「そんなに暴れても逃げられないから、やっと手に入れたんだ」 黒いゴム手袋で覆われた手がこちらの頬を撫でてくる。 「やっと、これで僕の花嫁になってくれるね」 血走る目に荒い息遣い、この目が昨日も、その前もその前も私をその目で追いかけ続けて、今ここにあると考えて身の毛がよだつ。 逃げられぬ恐怖と血走った目が私の人生を終わらせた。 「これにて、神と教会の前でお二人が夫婦になったことを宣言いたします」 暗い部屋の中で機械音を発しながら俺達の結婚を語る神父の声。 目を閉じれば真っ白な教会、祝う人々の拍手喝采。 でも、変わらぬのは隣に愛しい妻がいること。 彼女は下を向いたままだが、その姿すらも愛おしく感じる。 ここでは二人で永遠の誓いを結ぼう そう彼女に問いかけながら、白骨の手に通した指輪を撫でながら手を握った。

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条件

友達ってなにをして友達やと思います? 話したら? 遊んだら? 約束したら? LINE交換したら? 隣の席になったら? 貸しものをしたら? 手を繋いだら? どちらかの家にいったら? 喧嘩をしたら? それぞれ言い分があると思います。俺は小学生のときLINE交換したら友達や思ってたわ、やってLINE交換して追加したら友達って表示されるやろ?やから、LINE交換した子が友達、そして交換してない子は、仲のいいクラスの子!仲のいい隣のクラスの子そう認識してましたわ、 今考えたら、そんなの友達できないし、ただのイキリやんけって思いましたわ まぁ、最終今の友達って決める条件って共感と自己開示をして気が合うと思ったら友達なんじゃないかと俺は思ったって話です!

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桜と神と機嫌次第

「いい加減桜が咲いた途端大雨を降らすのやめてくれないかしら?」 神々の中でも絶世の美女と称えられる木花咲耶姫が可愛らしい顔をムスッとさせながら声をかけてきた。 「あなたが、毎年桜を散らせるせいで花の精たちや人間たちが悲しんでいるのよ、雨を司る泣沢女神?」 「それは悪かったわね?可愛いお花たちにお水を上げたかったのよ」 そういいながら手元で雨雲を出して遊ぶ。聞く気などサラサラない。 「貴方のその親切心にはとっても嬉しいけど、だからって降らせすぎよ、人間たちの中でも警戒が出るほどの風と雨なんて、やり過ぎはだめなの」 そんなかっこいいセリフ、この子には似合わないな 「全く……ねぇ、泣きちゃん」 雨雲を操ってた手が止まる。 そんなふうに読んでもらったの何千年ぶりだろう。 「懐かしいでしょう?昔はこう呼んで遊び回って三途の川の花畑で花冠を作りあったわよね」 木花咲耶姫の手の中で小さな花吹雪が舞舞ってそのうち形が花冠に姿を変える。 「それと、昔私が他の子と話してる時構ってほしいとき大雨をよく降らせたよね」 そういいながら彼女が私の頭に白い花冠を乗せる。 「このお花はアングレカムっていうの。花言葉はいつまでもあなたと一緒よ」 あぁ、だめだ彼女の顔が見れない。 今彼女の方を見てしまったら。 涙が止まらなくなる 「桜ちゃん……」 「やっぱり寂しかったんだね」 微笑みながら桜ちゃんが抱きしめてくれた、桜の匂いがする春の香りだ 「さ!今からお花畑に行こ?」 手を惹かれて歩いてく。 「また寂しくなったら雨を降らせてね、迎えに行くからね」 全く、桜ちゃんはかっこよくて美しすぎる花だと私は思った。

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