遠い国の博識者と浅瀬と氷と

今日は少しだけ浅瀬に来た。 いつもより暖かく感じる海は知ってるようで知らない姿をしていた。 「君、少しこのあたりの海について聞いていいかな?」 赤いエラにギザギザと噛まれたら鱗のない自分の皮をひとたまりもなく赤い水を出して肉食種を集めてしまいそうな歯をもつサメの少女に僕は声をかけた。 「ごめんなさい、このあたりは初めてきたの」 彼女は少し目を細めながら僕に近寄って言ってくる 「もしかして目が悪いんですか?」 「暗いところでないと見えないのよ…ここはいつもいる場所より明るいから少し周りが分かりづらいわ」 長細いおびれを揺らせながら彼女はいう。
桔梗
桔梗