山本 煌

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山本 煌

初めまして。 まずは小説を読んでくださりありがとうございます! 完全な素人なので読みにくい部分もあると思いますが、暖かい目で読んでいただけると嬉しいです。 ファンタジー系の小説を書きたいと思ったんですが、まずは私がどんな人物か知ってもらいたいと思い、自分の人生を元にしたフィクションのミステリー小説を連載していきます。 応援とフォローよろしくお願いいたします🙏 X⇒@YAMAMOTOKOa3

【45】7話 母と呼んでもいいと思えた人

タイムリープ前とは色々なところが変わっていた。 学校生活も父親との関係も。 小学校2年生になったあたりから父親が色んな女性と付き合い俺を交えて遊んだりするようになった。 何人と会ったか詳しく覚えてないが、俺が印象に残っているのは3人の女性だ。 そして今日タイムリープ後の人生で1人目の女性と初めて会う。 ゆうこ「はじめまして!こうたくん?可愛いね〜!お父さんとお付き合いしてます!ゆうこです!」 第一印象は明るく、落ち着いている 父より歳上の素敵な女性だった。 決して美人と言われるような容姿ではなかったが、気配りができ何よりも子供を大切に思える素敵な女性だったと思う。 父はこの女性とは本気で付き合ってるわけではないことをわかっていた。 当時の記憶ではとても悲惨な最後だったから。 せめて今回は… ただこの女性と父を結ばせる訳にも行かない。 結ばれてしまうとこの先出会う女性との間で産まれる父の子供、俺の弟や妹たちが産まれなくなるからだ。 俺の人生のために産まれるはずの弟達の人生を壊していいわけが無い。 そう思うと複雑な感情になったが、精一杯の笑顔で俺はゆうこさんに笑顔を向けた。 俺「は、はじめまして」 父「なんだおめぇ、緊張してんのか?おめぇの母親になる女だぞ!」 ゆうこ「ちょっと!まだそーゆうのはわかんないしいきなり言われても困るよね?ごめんね。」 ゆうこ「今日はお姉ちゃんとお父さんと思いっきり楽しもうね!遊園地と動物園ならどっちに行きたい??それとも別なとこがいい?」 母親になる女か… 適当な事ばかり言いやがって。 タイムリープしてから父が壊れた原因は俺じゃないかとか、本当は優しい父親なんじゃないかとか色々思うところもあった。 だがこいつだけはやはり殺さないといけない。 本気でそう思った。 俺「じゃぁ遊園地がいいな…」 少し元気を無くした俺に気付いたのか、ゆうこさんは俺に気を使わなくていいからね!嫌なことあったら言ってね!と何度も声をかけてくれた。 遊園地に向かう道中も色んな話をしてくれた。 ゆうこ「こうたくんはなにか好きなものはある?食べ物でも、アニメでも、なんでも!」 こうた「うーん、ドラえもん?」 当時の俺は、いや今もかもしれないがドラえもんが大好きだった。 毎年の映画は必ず見に行くほど。 ドラえもんみたいな存在が自分のところに来てくれればなんて何度も思った記憶がある。 ゆうこ「ドラえもん!私も大好きだよー!小さい頃から見てたからね!そんなドラえもん好き同盟のこうたくんにプレゼントです!」 プレゼントの袋に包まれたその中にはドラえもんぬいぐるみが入っていた。 こうた「わぁー!ありがとう!」 子供らしく精一杯喜ぶ。 事前に父親から俺が好きなアニメがドラえもんだと聞いていたのだろう。 この人は俺が出会った親父の連れてきた彼女の中で本当に唯一母親になってくれたらいいのにと思うような女性だった。 遊園地に着き、歳の差も感じさせないくらい精一杯俺と向き合って遊んでくれた。 俺も精一杯子供のふりをしながら楽しんだ。 帰り道車の中で眠ったふりをする俺に優しく微笑みながらずっと子守唄を歌ってくれていた。 車に乗る時も助手席ではなく、俺が寂しくならないようにとずっと後部座席にいてくれた。 ゆうこ「寝ちゃった!寝顔も可愛い〜!」 父「んだべ、こうたも懐いてるしこのまま結婚してもいいんでねーの」 ゆうこ「そーゆうのはゆっくり決めないとだめだよ。子供にとって親ってすごく大事な存在だから。ゆっくり時間かけて信頼とか築いてからじゃないと!特に小さいうちはなおさら!」 父「大丈夫だべ、こうたは以外に大人っぽいからな中身がたまにおっさんじゃねーかと思う時もあるわ」 一瞬そんな会話を聞いていてビクッとしたが、バレてはいないはず。 これからはより子供らしく気をつけようと思った。 ゆうこ「母親かぁ…私に務まるかわからないけど、もしそうなるなら絶対幸せにしてあげなきゃね!」 どうしてこんな素敵な女性が父の毒牙にかかってしまったんだろうか。 この人はもっと幸せになるべき人間だ。 あんな結末を迎えていいはずがない… ゆうこさんを家につき、タイミングよく目覚めたふりをし、ゆうこさんにまた会おうねと言って別れを告げる。 帰り際父は車の中で人としてありえない発言を連発する。 父「ぶすだなーあいつ。俺があんなのと結婚するわけねーべって!こうたもあんなのが母親だったら嫌だべ?」 こうた「すごくいい人だと思うけど、じゃぁなんで付き合ってるの?」 当時は父が怖くてそうだねと相槌をうつことしかできなかったが、今は聞けなかった理由を聞けると思い聞いてみた。 父「あいつ結構貯金とかあっからやこうたのことでっていうとすぐ金出すのよ。おめぇも欲しいものあったらねだってみろ!すぐ買ってくれっから」 まぁ予想通りだった。 タイムリープ前も今もだが父親がつるんでいたあまりよくない連中やヤクザものみたいな人たちと良くないことをしてるみたいだった。 きっとその影響をうけてなのか、それとも誰かからの入れ知恵か。 俺「そうなんだね…」 俺はやはりショックだった。 自分が母親として認めてもいいと思った人は父にとってただの金づるで、タイムリープした今も父は変わらないんだと。 確かに子育てするのにお金は必要だと思うが、俺の記憶では俺を車に置いてパチンコ屋に行くか、競馬をしてるイメージしかない父親だ。 なんとかしてゆうこさんの被害を最小限にして親父と別れさせなければ。 きっとゆうこさんは前と同じようにすごく悲しむだろう。 でもそうしないと。 また次の休みにゆうこさんと会うことになった。 ゆうこ「こうたくーん!!会いたかったよ!」 俺「こ、こんにちわ。」 ゆうこ「あ!そういえばまだこうたくんと会う前に、私からプレゼントってDSとかソフトの詰め合わせを買ったんだけどちゃんとお父さんからもらった??」 俺「?! も、もらったけど、あれゆうこさんからだったの??」 ゆうこ「ん?そうだよ!あれ?お父さんちょっとー!私からって言ってないの!」 父「あ、わりぃわりぃ忘れてたわ!」 その瞬間パズルのピースが揃ったように、全てを理解した。 前の記憶と比べるとゆうこさんと会う時期なんかも少し早いような気がしていたが、20年近く前の記憶だし、気のせいだろうと思い気にしていなかった。 ただやはりどこかでゆうこさんと父が出会うタイミングが早まり、俺と会うタイミングも早まったんだろう。 どうりで誕生日に帰ってこないはずの親父が上機嫌で帰ってきてDSをプレゼントしてくれた訳だ。 俺「はは…そうだよな、そっか。」 ゆうこ「ん?どうしたの?」 俺「いや!なんでもないよ!」 俺「ゆうこさんありがとうね。」 ゆうこ「わぁーちゃんとお礼言えるの偉いねー!」 俺の親父はやはり最低のクズ野郎だと思った。 ゆうこさんをこれ以上傷付けないために今のうちに言わなきゃいけない。 そう思った俺はゆうこさんに言った。 俺「パパはお金目当てでゆうこさんと付き合ってるって言ってた。結婚もする気ないって」 ゆうこ「…え?どーゆこと?」 父「はぁ?!おめぇ何言ってんだこの!」 怒声と共に父親の拳が飛んできた。 俺は目を瞑ったその瞬間にゆうこさんが庇ってくれた。 父「あ、わりぃわりぃ、当てるつもりねがったのにこいつが訳わかんねぇこというからや、説教してくっからちょっと待っとけ」 ゆうこ「やめて。いやなんとなく気付いてはいたの。でも私ね、今まで人にちゃんと愛された事もなかったし、お金目当てだとしても一緒にいてくれて、こうたくんと会った時にこの子を守ってあげれるなら私が守って幸せにしてあげたいって思ったの」 父「いや、そんな金目当てな訳ねぇべ…」 ゆうこ「あんたがね、まともな父親じゃないことくらいわかるの。こんな可愛い小さい子ほったらかして飲み歩いたり、こうたくんに服とか買ってあげたいって言われて渡したお金パチンコとかで使ってたり。でもだからこそ、初めて会った時にずっとどこか我慢していて寂しそうな悲しい目をしてるこうたくんを私が守ってあげなきゃって思ったの。」 ゆうこ「でも結婚する気とかもなかったとは思ってなかった。」 俺「ぼくはね、ゆうこさんが母親ならきっと幸せだろうなって思ってたよ。でもきっとゆうこさんはぼくやまパパじゃなく、もっと幸せになっていいと思う。」 ゆうこ「こうたくん…優しいね。ありがとう。」 ゆうこ「こうたくん私が送ってくね。」 父「は?おめぇ何言って」 ゆうこ「じゃぁ家までこうたくん一緒に送ろう。その後ちゃんと話しよう。このまま別れてやりたいけど、そしたらあんたこうたくんに手上げるでしょ」 父「いや、そんなこと…」 ゆうこさんは最後まで俺の事だけを考えてくれた。 そして祖父と祖母がいる家に送ってもらい、親父とゆうこさんは二人で出かけていった。 タイムリープする前ではゆうこさんと親父の関係は1年以上続き、最終的にこれ以上お金を絞れないと思ったのか親父が俺を理由にして別れたのを覚えている。 俺が会いたくないと言ってる、もう死んで欲しいって言ってたぞとか こうたがああ言ってる以上別れるしかねぇよ って電話で話してたっけ。 その後ゆうこさんが首を吊って亡くなったと親父から聞かされた。 親父はその時も笑いながらもうちょっと色々買ってもらったらいがったな!なんて言ってた。 俺は本当にショックだったし、親父の仲良くしてた友達やツレからは、会う度にお前が死んで欲しいとか会いたくねぇって言ったからあの女死んじまったんだべ?さすが父親の血をひいてんなーなんて言われ続けて本当に嫌気がさした。 きっと今回はゆうこさんの命は救えたよね。 次の日親父からはすごく怒られた。 手こそあげられなかったが、お前のせいでと何度も言われた。 ゆうこさんとは最後に電話で話した。 ゆうこ「こうたくんがね、私が母親だったらいいなって言ってくれて嬉しかったよ!こうたくんの言う通りちゃんと幸せになれるよう頑張るね。ありがとう。もしお父さんに手あげられたらすぐに電話して!」 と電話番号もおしえてもらった。 よかった、俺はゆうこさんの命を救えたんだ。 俺「ゆうこさんありがとう。またね」 ゆうこ「うん、またね!」 お互い会うことはないとわかっていた、またねだったが、最終的に最悪な過去を変えることができてほんとによかったと思ってる。 その瞬間腕に激しい痛みが走った。 腕をみると数字が43から38へと変わっていた。

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【45】7話 母と呼んでもいいと思えた人

【45】6話 いじめ

母と再婚相手の別居など概ね記憶通りに人生は流れた。 ただいくつか違うところもある。 ただ幼少期の記憶というのは曖昧な部分が大きく、どうしても防ぐことができないものもあった。 俺は小学校2年生になり、変わらずいつも通り過ごしていた。 そんな時、1人の男の子が学校でいじめを受けていた。名前はたかひろ。 机の上を汚されたり、物を隠されたり、小さないじめだが泣いてるその子を見過ごすことはできなかった。 俺「嫌がってるんだからやめなよ」 同級生「なんでーー?」 同級生「いいんだよ!だっていやだっていってないもん!」 同級生「面白いからいいよねー!」 俺の小学校では紅茶うがいという習慣があったため、紅茶をやかんにいれてあったんだがその紅茶を同級生達の机の上に次々とかけた。 同級生「え!?」 同級生「あ!ママに買ってもらったふでばこ!」 紅茶は筆箱やランドセルや教科書を水浸しにした。 俺「なんだ。面白いっていうからやってみたけど全然面白くないよ」 俺「嫌なことを嫌だって言えない子もいるんだよ。だからそーやってからかったり面白がったりしないで仲良くしなよ」 同級生だが上から目線でお説教をはじめる俺。 同級生達は泣くものもいれば、怒ってつかみかかってくるものもいた。 小学二年生に対話でわからせる方が難しいか… そう思ったので俺も小学生としてやり返す事にした。 力はお互いそんなに変わらない。 だが大人の知能と経験を持った俺からすれば同級生との喧嘩に負けるはずがなかった。 取っ組み合いの末倒されて大泣きする同級生。 騒ぎを聞きつけて先生がやってくる。 先生「え!どうしたの?!なにがあったの!!大丈夫??」 同級生「せんせぇーーー!こうたくんがいじめたー!」 同級生「せんせぇ、こうたくんがこうたくんがぼくのふでばこぬらしたー!」 先生にすぐ泣きつく同級生。 当時の俺はこいつらにいじめのターゲットにされてから6年間踏み荒らされてきた。 俺(そうか、今回の人生では俺が大人の記憶を持ったままタイムリープしてるから、弱々しいオーラがなく、俺じゃないやつがいじめの標的になったのか?) 結局いじめるやつは標的が変わるだけでいじめる。 それがその人間の本質なんだろうか。 ただやはり昔から俺の本質ってやつは変わってないらしい。困ってる人間は放っておけない。 俺「先生、こいつらがたかひろくんをいじめてたから俺がいじめ返したんだ。」 俺「人をいじめて楽しいとは思わないけどそんないじめたいなら俺をいじめていいよ」 そう言うと同級生達はいじめてないとか、ゆうと君が最初にやりだしたとか色んな言い訳をしはじめた。 先生「はい!わかった!そしたらこうたくんも皆に酷いことしたし、皆もやりすぎたとこもあったんだろうからお互いごめんねして仲直りしようね!」 この時代の先生というのは皆こうだった。 いじめという問題が面倒くさくて目を背けるのか、それともこーゆう教育方針なのか? 俺は素直に皆に謝る事にしたが、いじめの主犯格のゆうとという男だけは頑なに謝らず、こうたくんが悪いと言い続けていた。 そんなゆうとの恨めしい視線を無視していると次の日から俺の机だけ外にだされていたり、上靴がなかったり小さないたずらが増えていった。 俺「確かにいじめていいとは言ったがほんとにやってくるとは…」 当時を思い出しながらこいつらはなんも変わらないんだろうなと思った。 当時はたかひろくんではなく、俺だけがターゲットになり虐められていた。 はじめは上靴をかくされたり、鉛筆を捨てられたり、消しゴムをちぎったものを頭に投げられたり紅茶で教科書を水浸しにされたり… 気付きながら何もしない先生に嫌気がさしていたっけな。 ただこんなのはまだ序の口で1番キツかったのは中学年に上がってから金魚の水槽の水を飲まされたことと、誰かの大便がある和式トイレに落とされたこと。 後は用水路とは言わないほどのドブみたいなとこに落とされたり、小学校6年生の時には震災の影響もあってか連絡がすぐとれるようにとケータイを持たせる親が増えており、野球グランンドのバッターボックスとかにある金網のかげのところで服を脱がされて写真をとられてそれを同級生の女の子達に送られて変態や気持ち悪い人間だと揶揄されたこともあった。 思い出すと少し複雑な気持ちになったが、今の俺は昔の俺じゃない。 見た目は子供でも中身は大人だ。 よくいういじめられるやつにも原因があるなんて言葉はあるが、理由なんて単純だ。 弱々しく反抗しないから。 それだけだと思う。例えば外見が太っているとか、身長が低いとか、特徴的な外見を持っていてもいじめられないやつもいるし、むしろクラスの中心人物になってたりするやつもいる。 げんに当時の俺と外見は変わっていないのにターゲットはたかひろくんになっていた。 そしてまた俺に矛先が向いてる訳だが… こらしめるのは簡単だが、暴力で解決するのは結局いじめてるやつらと変わらない気がする。 そう思った俺は道徳の授業中に大きく手を挙げて先生や同級生達の前で堂々と宣言した。 俺「先生。たかひろくんをこないだいじめていたゆうとくん達から今度は俺がいじめにあっています。」 先生「え?こうたくん急にどうしたの?」 俺「個人的に相談したところで解決しないと思ったのでここで言うことにしました。」 子供とは思えない淡々とした口調で先生といじめを行っていたゆうとたちにつめよる。 俺「気に食わないなら陰でコソコソやるんじゃなく直接こいよ。先生の前だといい子ぶってなにもできないんだろ?」 ゆうと「おまえが言うこと聞かないのが悪いんだろ!」 俺「なんで全部が自分の思い通りになると思ってる?なんで全部自分の味方になると思ってる?」 ゆうと「何言って…」 ゆうとの口を遮るように畳み掛ける。 俺「お前はワガママだ!自分の思い通りにならなきゃ簡単に相手を傷付けようとする!それはいつかお前にもかえってくる!だから絶対そんなことはしちゃいけない!」 ゆうと「で、でも…俺は」 俺「でもじゃない!悪い事をしたら謝れ!その上でちゃんとどうするか自分で考えろ!じゃないと大人になった時に後悔するのは自分だ!」 ゆうとが泣き出す… 先生「こ、こうたくん?とりあえず落ち着いて先生とお話しよう?」 俺「先生も先生で、めんどくさいのか簡単にみてるのか知らないけどいじめは立派な犯罪だ!それを見て見ぬふりするのも、はい仲直りって簡単に済ませるのも絶対に違う!今すぐゆうとの親と校長先生を呼んでください!」 先生「え、いやそれはね、いったん話し合って」 俺「話し合っても解決はなにもしないでしょう。ゆうとにはまず親を交えて話して自分がなんで責められるのか、なんでこれが悪いことなのかを理解させた上で謝らせないと何も変わらないし、ここにいるみんなもなんでいじめが悪いことなのかを再認識しないと何も変わらないよ」 俺が譲らなかったのと、大きな声で騒ぎ立てる事で先生達もあつまってきて、ひとまず俺とゆうとは帰らされることになった。 そして後日ゆうとの親を交えて話し合いをしてゆうとの親からも、ゆうと本人からも丁寧に謝ってもらった。その上でゆうとには一番最初にいじめたたかひろにきちんと謝れと親の目の前で伝えた。 帰り道父親から言われた 父「お前、なんか大人みたいな怒り方するんだな…」 俺「そうかな?でも悪い事は悪いって怒った上でちゃんと気付かせないとだめなんだ」 父「でもあそこまで大事にしなくてもよかったんでねーのか」 俺「いや。あそこまで大事にしないとダメなんだ。ゆうとはまだ、変われるはずだから」 俺の記憶の中のゆうとは人をいじめて楽しんでそんな生活をターゲットを変えては続け、色んな人を地獄に落とすようなやつだった。 そしてそんなゆうとがまともになれるはずもなく、確か20歳くらいの時に闇バイトかなにかで捕まったと聞いた。 きっと親にも先生にも上手く世渡りできるタイプだったから怒られずにワガママに育ってしまったんだろう。 同情する余地もないやつだが、そのまま見過ごすよりも、いじめてたやつらが変わっていいクラスになって皆にいい人生を送ってほしいと思っていた。 次の週から皆少しギクシャクしつつも、俺から普通に話しかけ挨拶をすると何事もなかったかのように仲良くなれた。 ゆうとにも俺から話しかけ仲良く皆で遊ぼうと言ったら、笑顔でついてくるようになった。 子供は時に間違う生き物だ。 そしてそれを正しい方向に誰も導いてくれなければそれが正しいものとして成長する。 大人になれば変わるのは難しい。 でも子供のうちならきっと変われる。 俺はそう思うんだ。

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【45】6話 いじめ

【45】 5話 腕の数字と変わる未来

鏡に映る自分の姿、それはまさしく26歳のタイムリープ前の自分。 俺「いったいどうなってんだよ…」 このまま家に帰る事もできないし、この姿でどーやって過去を変えろってんだよ… 悩みながら公園をグルグルしてると急に目線が低くなった。 俺「まさか!」 急いで公園のトイレの鏡で確認するとそこには小学一年生の自分がいた。 原理は全く不明。 どうやって戻ったのかも、どうやって大人になったのかも… チクッと腕に痛みがはしる。 腕にある数字が44から43に変わっていた。 俺「これは…」 一旦整理することにする。 3歳にタイムスリップした時に、腕には45の数字が刻まれており、周りには見えない。 そして母親に未来の話をしようとしたら痛みがはしり数字は44に変わっていた。 そして今度は女の子を助けるために海に飛び込み…気付いたら大人になっていて 1時間くらいたったら子供に戻って、前と同じように腕に痛みがはしり、数字が今度は44から43になった。 誰かに未来を話そうとすると減る数字 大人の姿に戻ると減る数字 そしてこの数字がもし0になったら何が起こるんだ… わからないまま家路につく。 俺「今日は海に飛び込んで大人になった。トリガーはなんだ?水か?」 お風呂に沈みながら大人になれと念じてみる。 すぐに鏡で確認するが姿は変わっていない。 俺「考えても仕方ない…か」 風呂を上がり学校の準備をし眠りについた。 セミの声がうるさくなってきた頃、母親と母親の再婚相手と弟の3人で出掛けることになった。 弟はまだ1歳になったばかりで単語を話し出したり、よちよち歩いたりしてた。 あの頃は母を独り占めされてるようで憎いと思っていたが、弟はとても可愛く思えた。 母の所にいる時は母よりも弟との時間の方が大切なんじゃないかと思うくらい弟のそばに居た。 記憶通りに進むなら弟とは震災後、母の再婚相手の男に引き取られるため会えなくなる。 俺はその未来をどうにか変えれないか悩んでいた。 母の運転で再婚相手の男は助手席。 そして記憶通り弟が泣き出した。 弟「ままー!ままー!!泣」 俺も一生懸命あやそうとするがチャイルドシートが嫌になったのか、ままと連呼しながら泣き止まない。 すると運転席の母親が言う。 母「ごめん、運転変わってくれない?」 再婚相手の男「いや俺今日免許持ってきてねーし、捕まったりしたらどうすんのや」 母「でもたくみ(弟)が泣いてるから」 再婚相手の男「泣かせとけばいいべ!ほんとにうるせーガキだな!」 怒号と共に平手が飛んでくる。 母の再婚相手の男は1歳だろうがなんだろうが子供に手をあげる最低の父親だった。 記憶通りだと弟は口から血がでるまで平手打ちされるが、俺は必死に弟を庇った。 俺の口から血が垂れる。 というか殴られてはじめてわかったが、こいつ1歳児相手に加減せずぶん殴ってたのか?? 俺は親の気持ちとなり思い切り再婚相手の男を睨み付ける。 あの時は怖くて弟も守れなかったが今回は守れた。 俺が叩かれた音にびっくりしたのか弟が更に泣き始める。 母「ちょっと!!なんで叩くの!!」 再婚相手の男「いや、叩くつもりねがったけど、こいつがでてきたから当たっただけだべ」 母「は!?ちょっと血がでてるじゃない!」 再婚相手の男「いやそんな強く叩いてねーから」 母「ふざけないで!!車から降りて!!」 母がすごい勢いで車を近くのコンビニに止め、再婚相手の男に迫る。 再婚相手の男「おめぇ、誰に口聞いてんのや!こらぁ!」 再婚相手の怒号と拳が母に飛んでくる。 これも昔に見た光景だ。 必死に弟を抱き寄せ目を隠す。 あの時は怖くて俺もなにもできなかったから。 そして今母が殴られてるのを黙って見てることしかできない自分に、ものすごく腹が立った。 唇を噛み締め、弟を抱き寄せる。 ゴツン、ドガ、骨に拳が当たる音、車の運転席側に体や頭が当たる音。 いた、やめてと母のか細い声が聞こえる。 再婚相手の男が落ち着くために車を出てタバコを吸いに行く。 母は殴られた場所をタオルで抑えながら体を震わせている。 自分だって痛いはずなのに子供の俺らに優しく微笑みかけながら大丈夫?と聞いてくる母の顔はタイムリープした今も、する前の昔も何一つ変わらなかった。 俺は弟を抱きしめながら、本当は母とこの男の再婚をさせるべきではなかったんじゃないかと考えた。 でも、生まれてきた弟に何も罪はない。 弟が幸せになれるように俺が支えなければいけない。 タイムリープする前のような人生を弟にさせてはいけないと強く思った。 殴られた頬を撫でながらごめんねと繰り返す母。 そして俺は微笑みながら母を抱きしめた。 どんな時もどんな世界でも母親というのもは偉大だ。 子供の不安や寂しさも抱きしめるだけで吹き飛ばましてしまう。 俺は母を強く抱き締めてもう大丈夫だよと声をかけ続けた。 当時は怖くて泣いてばかりいた俺だがもう涙はでなかった。 涙は過去に全て流しきった。 怒りや悲しみよりも、母の今の姿を見て溢れ出たのは同情だった。 再婚相手の男は戻ってくると自分がしたことに改めて気づいたのか悪かったと一言いい運転を代わり帰路に着いた。 その間車のなかは異様な静けさに包まれていて、母の瞳には静かな決意を感じた。 家に帰ってから再婚相手の男と母が二人で話し合いをすることになり、俺は弟の面倒を見ていた。 タイムリープする前の弟は5歳で母と生き別れ、暴力を振るう再婚相手の男に引き取られる事になる。 そこからは住んでる場所もわからずずっと会えないままだった。 俺「今度は後悔するような選択はしない。」 弟の無邪気な笑顔を守れるような未来を作りたい。 そう決意した。 そして記憶通り母と再婚相手の男は別居することになり、母と弟は母の実家へ、そして俺はいつも通り父親の元へ帰った。 母「ごめんね、こうた。みんなで幸せに暮らせるようにしたかったのに…」 俺「大丈夫だよ。ママ。」 震災で亡くなるはずの母を救いたい。 そう思うと同時に大きく未来を変えた場合俺の腕の数字はどうなるのか… 数字が0になったらいったいなにがあるのか 未来を変えて、皆が幸せになることはできるのか そんな事を考えながら過ごしていた日 過去の記憶通りの事件が起きる。

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【45】 5話 腕の数字と変わる未来

【45】 4話 腕に刻まれた数字

桜がまう遊歩道、新しくキラキラ輝く赤や青のランドセル。 俺は小学生になった。 まさか自分がもう一度ランドセルを背負うとは… 恥ずかしいようなむず痒いような気持ちになった。 中身は26歳だぞ… 緊張している子、親と離れて寂しいのか不安なのかソワソワしている子、人の目等気にせず騒いでいる子。 全員同級生だが、今の俺の目線からみえるのは可愛い子供達だ。 俺「娘が生きていたら小学生姿もこんな感じだったんだろうか」 胸が苦しくなり、涙が零れそうになるのを必死に抑え子供とは思えない立派な返事をして席を立つ。 教室に入るともう何年も会っていなかった同級生達の顔をみて複雑な気持ちになる。 俺は小学校2年生から中学校1年生までずっといじめられ続けていた。 だが恨みや憎しみはほとんどない。 逆に家でも学校でも居場所がなかったおかけで出会えたたくさんの大事な人達がいるからだ。 俺「懐かしいな…」 古い校舎。小さな机と小さな椅子。 全てのものが懐かしく感じる。 そして俺は悩んでいた。家族の前では言うこと聞く大人しい子供として演じるのは楽なもんだが、学校ではどうしたらいい? 子供らしくってなんだ… どう過ごすか考えるうちに、一人の子が話しかけてくれた。 けんた「一緒にあそぼ!けんちゃんはね、恐竜が好き!がおーーー!」 俺「あー、おれ…じゃなくて僕も恐竜が好き!ガオーー!」 なるほど子供らしさってこんな感じだな。 けんたという少年は自分のことをけんちゃんと呼ぶので俺もけんちゃんと呼んでいた記憶がある。 一番仲が良かった子だ。 そしてけんちゃんは俺がいじめられていてもずっと守ってくれて仲良くしてくれて、最後は震災で命を落とす。 まだ小学5年生だというのに… 今でも泣きながら葬儀会場で喋っていたけんちゃんの両親の顔が鮮明に思い浮かぶ。 だからこそ決めていた。 俺がなぜタイムリープしたのかはわからない。 けどそれはきっと娘と妻の命を救うため親父を殺すこと。 そして救える命は救う。 死ぬとわかっている目の前のけんちゃんを放っておくなんて俺にはできない。 学校が終わると祖母が迎えに来てくれる。 家から学校まで距離があるため歩かせるのが心配なんだそうだ。 祖母「学校はどう?楽しい?お友達はできた?」 俺「うん、楽しいし、お友達もできたよ」 祖母「よかったねぇ、今日はご飯何食べたい?今日はこうたの誕生日だし、パパも帰って来ると思うから」 俺「じゃぁチーズハンバーグとカレーライスが食べたい」 祖母「わかったよ」 俺は祖母の作るハンバーグとカレーが大好きだった。 そうか今日で俺も7歳。タイムリープしてから4年もたつのか… 俺の記憶通りなら父は帰ってこない。 帰ってくるのは夜中に友人と酒を持って騒ぎながら帰ってくる。 当時の俺は誕生日ケーキを買って帰ってきてくれる父を楽しみに待っていて、父の足音が聞こえ、帰ってきてくれたと走って父の元に向かったが 父「まだ起きてたのかよ、早く寝ろ!おめぇは!」 と怒鳴られ蹴飛ばされた。 幼いこうた「今日…誕生日だったよ...」 怖がり泣きながら伝えても父には届かず布団にくるまって一晩中泣いていたのを覚えている。 そう。だから期待するだけ無駄なのだ。 親という存在は子供にどんなキツく当たっても、子供にとっては太陽で世界の全てだと思う。親ガチャ なんて言葉は使いたくないが、親が子供に向ける愛情で子供の未来や性格は決まると思っている。 どんな状況でも、親がどんな状態でも子供は親が大好きで、愛されたいと思うからこそ泣いて笑って傍にいようとする。 家に帰り祖母が作るチーズハンバーグを食べ、当時大好きだったドラえもんを見る。 玄関が開く音が聞こえ、誰かが入ってくる。 父「今帰ったど!わりぃな遅くなったわ。こうた誕生日おめでとうー!」 当時に楽しみにしてたケーキとDSを手に持った俺の記憶の中に存在しない父親がいた。 俺「あ、ありがとう。おかえり…」 幼かった自分の記憶の父親と今目の前にいる父親の姿が違うことに困惑を覚え、そして妻と娘の仇のはずのこの男を目の前に涙がこぼれる。 どこで何が変わったのかわからないが今の父親は俺が知ってる父親とは違うんだろうか… そんなふうに思ってしまった。 今後どうしていくのか、本当に父親を殺すことが正解なのか、むしろこれは震災で亡くなるはずの母や友人を助け、父とも仲良く過ごし幸せな家庭を持つための神様が与えたチャンスだったりするのだろうか… 悩みながら家近くの海沿いを歩く。 潮風と春の暖かな陽気が心を軽くする。 その時近くで悲鳴が聞こえた、急いで駆けつけると小さな子が海で溺れかけている。 俺は無我夢中で海に飛び込み助けようとした、しかし潮の流れは思ったよりも急で体が言うことを聞かない。 俺「こんな所で死ねない。絶対助ける!」 火事場の馬鹿力というものなのかわからないが急に体が軽くなり思うように動かせた。 少女を何とか助け、岸にあがり声をかける 俺「おい、大丈夫か?」 少女「あ、ありがとう。おじさん!怖かった」 俺「無事ならよかった、家は近くか?」 少女「うん、すぐそこ!」 そこに少女の母親らしき女性が駆け寄ってくる。 少女の母親「ゆり!大丈夫なの?!」 少女「うん!海で遊んでたら落っこちたけどおじさんが助けてくれた」 少女の母親「本当にありがとうございます!なんてお礼をしたらいいか」 俺「いえいえ、気にしないでください。」 俺は逃げるようにその場を去った。 そう、あの少女と母親は間違いない。 俺の妻と妻の母親だ。 俺「そうか、この時代では生きてるんだもんな」 俺「え、そういえばさっきおじさんって」 コンビニのガラスに移った自分の姿に声が出なくなる。 そこにはタイムリープする前の26歳の自分が立っていた。

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【45】 4話 腕に刻まれた数字

【45】3話 記憶と違う姿

父と共に母の元を離れてから数ヶ月が経つが俺の記憶の中の父とは全く違っていた。 記憶の中では泣きじゃくる俺を怒鳴り散らし、暗い部屋に閉じ込め、物を投げ、激しく蹴り飛ばされるはずだったが 目の前の父は少し空元気で、普通に子供を愛してくれるいい父親にみえた。 母からこうたに会いたいと連絡がきて母とは月に1回会うようになった。 母も酷くやつれていて、俺と離れ離れになったのが耐えられないと隣で泣いていた。 父方の方はある程度裕福な家系だったが、母方の方はお金がなかった。 母方の祖母からは金銭的な問題や精神的な病気もあるため、こうたを引き取らないようにと強く言われたらしく、泣く泣く親権を父親側に譲ったと聞いたことがある。 俺は昔大切にできなかった母との時間を噛み締めるように過ごした。 父と母との間を行ったり来たりする生活をしていくうちに気付けば6歳になっていた。周りの家族からはとても褒められた。 祖母「ほんとにこうたは泣かないし、わがままも言わないいい子ね」 俺「うん、泣いてもパパとママが困るだけでしょ」 祖母「子供なんだからもっとわがままになってもいいんだよ」 そう言いながら俺を抱きしめる祖母の腕は暖かく安心できるものがあった。 その時にふとある事に気付いた。 俺の幼少期は父も母も俺に怒鳴ったりすることが多かったし、酷い言葉もかけられた記憶があるが、今はまったくない。 2人ともどこか俺に申し訳がないように、気を使ったような態度をとる。 俺「そうか…俺が原因だったんだ…」 思わず涙が溢れる。 今は中身が26歳の成人男性だが、当時は心も体も子供だ。 急に母がいなくなり、泣きじゃくる俺に対しどう接すればいいか分からなくなった父親は怒鳴ったり、殴ったりする以外に方法が思いつかなかったんだろう。 父を壊したのは幼少期の俺の態度や言葉だったんじゃないかと考えると少し父に申し訳なく思えた。 同じ親の立場で考えた時にろくに子供の世話もしてこなかった男が母に会いたいと泣きじゃくる子供にイライラしない訳がないし、辛く当たってしまうのは仕方がないことだったのかもしれない。 幼少期に父から受けた虐待はなくなったものの、6歳以降に起こる内容は対して変わらなかった。 何もワガママも言わず、責めもせず、泣きもしない我が子が気味悪いと思ったのか、それとも子供がいること自体がしんどくなってしまったのか、父は度々遊びに出かけるようになった。 朝まで帰ってこない日や、3日、4日帰ってこない日もざらにあった。 パチンコか、女か、飲み歩きか。 なにをしているかは想像がつくがやはり人間の本質は変わらない。無責任な父親だと心の底から感じた。 主に俺の面倒をみてくれるのは祖母と祖父だったが、父親は夜中にたまに帰ってきて俺を起こした後一緒に寝ようと言ってくる。 俺が寝たフリをした後に抱きしめながらごめんなと泣く。そんな父親の姿をみて心が痛むと同時に中途半端な優しさや愛情が1番嫌いだと思った。 どうしたらいいのかわからなくなる。 決心が揺らぐ。 母は俺の記憶のままだった。 とにかく俺と一緒にもう一度暮らすために色んな仕事を掛け持ちして、色んな男と付き合った。 母からすれば離れた子供を取り戻すにはお金もある父親が必要だったのだろう。 でもその行動は、まだ母のことを思っていた父の心を壊していき、自分自身の心も壊していく行為だと気付いていなかったようだ。 母からは色んな男を紹介された。 歌が上手くメジャーデビューを目指している青年。 20以上歳が離れた高校の体育教師。 自称元暴走族のフリーター。 飲み歩くのが好きな夢と現実を区別できない中年男性。 タイムスリップして母から紹介された男たちにもう一度会ってみて思うが… 俺「選ぶセンスが終わってるだろ…」 思わず口に出てしまった。 本当にこの女はこんな父親を義理の父親にすることで俺と3人で幸せに暮らして行けると思っているんだろうか? 頭がお花畑だと感じたが、逆に若さゆえに焦っている事も感じていた。 結論から言うと俺の意見など聞かずに、母は元暴走族のフリーターと付き合い、子供ができて再婚をする。 フリーターはダンプの免許をとり運送会社に就職し、一見幸せそうな家庭を気付けると思うがそこが大間違いで、このフリーターは借金まみれの酒が入ると容赦なく殴ったり物を投げる最悪の父親だった。 俺がこの男との結婚を阻止しなかったのは理由がある、この男との間にできる子には罪がないからだ。 その子は俺によく懐いてくれていた。 にぃにと呼びながら後ろをくっついて歩いてた。 とても可愛がってたが、同時に当時の俺は酷くその子を憎んでいた。 俺は母親には月に1回しか会えず、この子はずっと一緒にいれる。 たまに会える日でも母はその子につきっきりだ。 当時の俺は言葉と力で支配してくる父と、愛を向けてくれない母が大嫌いだった。 そして母にかけてはいけない言葉をたくさんかけた記憶がある。母も父も当時の自分が追い込んだ。そう思うとやるせない気持ちになった。 だが今の俺は3歳の娘がいた父親だ、母がどれだけ大変なのか理解ができる。 理解ができる分、子供は時に残酷だと気付き、親になりきれないまま親になるしかなかった若い母に同情をした。 母の再婚が決まってから父は外に遊びに行く頻度が増えた。 父は母にまだ未練があるのを隠すので精一杯で、その思いを遊びや、女で紛らわしていた。 夜から朝まで隣の部屋では牌のぶつかる音と有害な煙でそまった部屋の隣で咳き込む俺を他所に楽しく笑う父親。 女を連れ込んでは俺いようが気にせず行為に及ぶ姿に心から幻滅した。 結局俺がいい子でいようが、泣いて困らせようが、本質は変わらない。 子供が優先ではなく、自分のしたいこと好きなことが優先の父親になりきれてない若い男がそこにいた。 俺「結局父さんは父さんなんだね。」 誰もいない部屋でひとり呟く。 自分が父親を壊してしまって追い込んだんじゃないかと心の中で思っていたが、それは杞憂みたいだ。ただ少なくともワガママも言わずいい子でいれば怒鳴り声も怖い思いも痛い思いもしなくて済んだ。 昔の俺も今の俺も気を使い愛想笑いをする事が一番の得意技だった。

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【45】3話 記憶と違う姿

【45】2話 懐かしい香りと決意

初めは訳が分からなかった。 死ぬ前にみるという走馬灯なのかと思った。 しかし目の前の母の優しい笑顔、甘い香水の香り。 現実だと思うしかなかった。 気付いたら母の胸に飛びついていた。 大人になってから涙を流すことなんてほとんどなかった。 大人は泣いてはいけないという世間の常識というダムが崩れたように泣いた。 不思議なことに子供と大人では涙腺の脆さが違うのか、止めようと思っても溢れてくる。 母「あらら、どうしたの?怖い夢見みた?大丈夫だよ」 そう言いながら俺の頭を撫でるその手はまるで春の日差しのように温かいものだった。 15年ぶりに聞く母の優しい声。 俺は思わず口走った 俺「母さん!俺は20年以上先の未来からきて、俺の奥さんと子供が殺されて…親父が…」 詳しく説明しようとした時右手に痛みが走る。 右手を見ると先程まで刻まれていた45の数字は44に変わっていた。 母「怖い夢でもみたの?」 俺は右手を擦りながら痛みがあること、数字が変わってしまったことを打ち明けたが、母には数字は見えていなかった。 俺にだけ見える数字… 45から44へ減った数字… 大人の記憶を持ったまま過去にタイムスリップした俺… こういう時はまず情報を整理することが大事だ。 そして冷静に。おそらく痛みが走り数字が減った事にはなにかしら意味があるはず。 そして数字が減ったのは俺が未来の事を話そうとした時。 一体この数字がなにを意味しているのかわからないが、仮にペナルティみたいなものだとしたらこれ以上未来のことは話さない方がいいだろう。 そう思っていた時玄関の開く音が聞こえる。 ドスの効いた低い声。 父「ただいま」 俺の父親だ。気付いたら何倍も体格差がある父を子供とは思えない目つきで睨んでいた。 父「おぉ!なんだそのメンチ!イカついメンチきれんじゃねぇか!」 父「さすが俺の子だ〜!けんか強くなるなこりゃ!いいかこうた。人ぶん殴る時はこうやんだぞ」 一人でシャドーボクシングをはじめる父。 こんな優しい目をした父をみて開いた口が塞がらなかった。 父はヤンチャな人ですぐ誰にでも喧嘩をうるような性格だった。 だがこの頃の父は子供に手を上げるような人ではなかったみたいだ。 自分が知っている父親とは違う姿をみて、違う世界に来てしまったんじゃないかと思えた。 タイムスリップしてから数日がたち、だいぶこの体での生活にも慣れた。 おねしょをしなくなったり、1人でうんちをしてる姿をみて父と母は喜んでいた。 そういえば子供の頃は一人でうんちするのが怖くて、扉を開けっ放しでしたり誰かについてきてもらって、そこにいてよ!なんて言いながらしてた記憶がある。 だが見た目は3歳でも中身は今の父と母よりも年上のおじさんだ。 おねしょもするわけないし、トイレも当たり前のように一人で行く。 そういえば娘がオムツ外れてトイレでできるようになった時は、妻と一緒にたくさん褒めて喜んだっけな… もう戻らない過去を思い出しながら、唇を噛み締めてやるべき事を決める。 俺「父を殺す」 もちろん今のままでは殺せないし、仮に殺したところで自分が犯人だとわかれば自分自身で人生を壊すようなものだ。 そんなヘマはしたくない。 一応記憶を持ってタイムスリップしてるわけだから、もしかしたら殺した瞬間に妻と娘がいる未来に戻れるなんて可能性もあるが… 下手な博打はうちたくない。 俺は確実に父を殺すために決行日は決めてあった。2011年3月11日。 この日であれば災害に見せかけて殺すことは簡単なはずだ。そう考えていた。 ただ今の母と俺と父で笑ってるこの姿を見ると本当に父親を殺すことが正解なのか揺れてしまう自分がいた。 梅雨に入り、雨の匂いが辺りを埋め尽くす季節に母が嬉しそうに報告をした。 母「なんと!2人目が妊娠しました!!」 父「おぉ!!よくやったぁ!男か?!女か?!」 父「こうた!お前お兄ちゃんになるぞー!」 幼少期の記憶というのは曖昧なもので、父と母が離婚する前は喧嘩はするもののこんな仲が良くて、こんなに幸せそうな普通の家庭だったことを初めて知った。 どうしてこの幸せが続かなかったんだろう どうしてこんなに今自分に愛を向けてくれる親が自分にあんなことを… 考えても仕方がない。 とりあえずよくわかってないふりをしながら一緒に喜ぶ。 だが俺の記憶では弟や妹が産まれる記憶はない。 妊娠が分かり2ヶ月がたったころ 父と母の喧嘩が増えるようになった。 妊娠してから母の体調の悪さや、父の気遣いのなさ、タバコやギャンブル等理由は色々ある。 お互いの若さからすれ違いは増え、思いやりのない言葉も飛び交っている。 俺がお腹にいる時は周りのサポートもたくさんあったが、2人目の時はあまりないようでそこも母を追い詰めていったんだろう。 母親といっても21歳。まだ遊びたい気持ちや欲しいものさえも全て我慢して母親という重荷を背負い、父親は仕事を頑張ってはいるが付き合いでの飲みやストレス発散のパチンコ、家にいても俺に少し構うだけで家事は手伝わず、飯はまだか、風呂は湧いてるかと喚き散らかす。 令和の時代では考えられない光景を目の前にしていた。 自分は子供だから、何も出来ないのがもどかしかった。 梅雨が明ける頃に母が倒れた。 俺はすぐに救急車を呼んだ。 お腹の中にいた俺の妹か弟は助からなかった。 母は酷く悲しんでいた。 父が駆け付けた時の第一声は 父「まぁ仕方ねぇべ。大丈夫大丈夫!またすぐできっから!」 父なりの優しさや、気遣いをしたつもりなのかもしれないが母との関係を終わらすにはじゅうぶんな一言だった。 その後の病院での喧嘩はとても言葉では説明できない。 お互いの怒号、泣き叫ぶ母、目の前にいる俺のことはみえていないようだった。 病院の先生や、看護師達が止めに入る。 父は看護師からあんな言い方はないとか、思いやれとか言われているが、案の定看護師にも怒号を浴びせ病院を出ていった。 自分中心に世界が回らないと嫌で、自分が責められれば守るために強く見せる。 プライドは高く他人の意見は聞かない。 不器用で人に優しくしようとしても空回り、逆に怒らせてしまうような性格。 そんな父の背中は少し寂しそうに見えた。 父は家に帰らなかった。 母と俺は家に帰り、母はろくに寝れず、食べ物も喉を通らないようだった。 俺も菓子パンやカップラーメンやコンビニのご飯ばかりになった。 そんな時に父と祖母が家にやってきて母から俺を引き離した。 3歳の俺にはどうすることもできなかった。 もみじやイチョウが色付く頃 父と母の離婚が決まった。 母は精神的に病んでしまったようで俺は父に引き取られた。 ここまでは自分の人生と同じ。 ただ離婚の理由や離婚の背景を知らなかった俺は二人の関係を間近でみることで、知れて良かったと思う自分もいれば 知らなければ良かったと思った自分がいた。 母と離婚してからの父は1人の男として同情せざるおえない程落ち込んでいたからだ。 繊細な人間程言葉で相手に伝えることが難しいのだろう。 だが同情はしても決心は揺るがない。 俺は俺の幸せのために父を殺すと決めた。

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【45】2話 懐かしい香りと決意

【45】1話 タイムスリップ

娘の靴が、まだ玄関に揃えられている。 小さなピンク色のスニーカー。 右と左をきちんと並べるのが、あの子の癖だった。 もう履く人はいない。 血の匂いは、三日経っても消えなかった。 窓を開けても、洗剤を撒いても 床を何度拭いても、消えない。 俺はアクリル板越しに父の顔を見た。 父は、何も言わなかった。 怒鳴りもしなければ、言い訳もしない。 ただ、俯き座っていた。 昔と同じ顔で。 奪われた、という言葉では足りない。 殺されたのだ。 俺の妻と娘は。 そして、殺したのは―― 実の父親だった。 父親に娘と妻を殺されてから1週間 食べ物も、水も何も喉を通らない ただ時計の針だけが今までと変わらずカチコチと音をたてながら進む 時を戻せたらいいのに、何度そう思っても戻ることのない幸せの残骸を抱きしめながら声と涙が枯れるまで叫び続けた。 世間的にも大きな事件として取り上げられたこの件でマスコミや記者達が毎日のように家に訪れる マスコミ「山本さーん!いるんでしょー!お話聞かせてください!」 記者「実の父親が奥様と娘さんを殺した事件についてどういったお気持ちなんでしょうか!?」 マスコミ「お父様との関係性はどうだったんですか?」 外からは毎日毎日人の心を土足で踏み鳴らす音が鳴り止まない。 俺「頼む...そっとしておいてくれ…」 喉がかれて掠れた声で必死に訴えるも、誰にも届くことのない声は外の雑音とテレビの音に掻き消される。 テレビ「今話題の親子殺害事件の進捗ですが、未だ加害者の男性は黙秘を続けているそうです。」 テレビ「殺害自体は認めているものの、犯行動機や目的はまったく不明というこの事件。世間ではやはり被害者の夫と加害者である夫の父親との関係性の問題があったんじゃないかとか、色々言われてますけどね」 俺「関係性が悪い…か…」 俺と父親の関係性なんてとうの昔に崩れている 関わりたくない。親子の縁を切りたい。そう思っていたから父親がいない九州まできて妻と娘と3人で幸せに暮らしてきたのに。 父親には幼い時嫌という程言葉の暴力、圧力、アザができないような暴力、いわゆる虐待をずっと受けてきた。 幼少期の私の幸せは全て父親に奪われた。 ようやく自分で選択できるようになった幸せも奪われるのか… そう思うともうどうでもよくなってきた。 俺「辛かったよな…苦しかったよな…ごめんなぁ…パパもすぐそっちに行くからな。」 天井に用意したフックからロープが垂れ下がる。 この中に首を通して落ちるだけ。 そうすれば今度こそ幸せになれる。 家族3人できっと… 首が締められ息ができなくなる。 血液がジューーッと音をたてて止まっていくのを感じる。 外の雑音もテレビの音も聞こえなくなってきた もうすぐ2人のところに… 女性の声「こうた、こうた、起きて」 俺「え、ここは…」 俺は確かに部屋で首を吊って… ここは小さい頃住んでた俺の部屋? 隣にいるのは... 2011年3月11日東日本大震災の犠牲者になったはずの母親が目の前にいた。 それもかなり若い姿で。 そして俺自身も… 右腕の手の甲に電気が走るような痛み 手を見ると手の甲には数字で 45 と刻まれていた。

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【45】1話 タイムスリップ