氷
カラコロ、カラ。
夏の音を聞いている。
彼がグラスを傾ける。喉仏が上下して、中の麦茶が減っていく。その様を見ている。
氷とグラスが鳴り合う音。夏だなぁ、と思った。
私は言葉を待っている。
さっき「ところでお姉ちゃんの左手、返してもらえますか?」と質問したから、その答えが聞けるまで。
彼は黙っている。グラスを握りしめる指が震えていた。それにはもう氷しか残っていない。
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カテゴリー: ホラー
投稿日時: 2025/7/1 11:28
最終編集日時: 2025/7/1 15:48
ペトリコール
切ないお話が好きです。ハッピーなお話も好きです。
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