凡庸と地獄

 人並みに、「死のう」と思っていた。    ハッキリした理由なんて無い。あるハズも無い。  俺の「死のう」は、「死にたい」とは違う。きっと、他人にその違いは判らないのだろうけど。    ケチが付いたのは、高校受験だ。負け犬の遠吠えだろうが、あんなモノは冬にやるべきじゃ無いと思う。入試当日にはインフルエンザは完治していたけれど、療養中、頭を少しやられてしまっていた所為で、結局実力の半分も出せなかった。  奇跡なんて起きない。  だから、当然のように、落ちた。  あんなモノに、罹らなければ。  ──それか、寧ろ試験当日に罹っていれば。そう、それならリカバリする手段だってあったのに。当日完治していたばかりに、不用意な状態で試験を受ける羽目になった。
ぬけがら文学