第一回ノベリ川賞 太陽を待っている

第一回ノベリ川賞 太陽を待っている
言葉は心の足音である 松原泰道 1 太陽は明日を待っている。明日にならないと、僕らの街を拝む事ができないからだ。宇宙に溢れているおかしな燃料によって突き動かされ、各地を転々としている。一度離れてしまえば、次に姿を見せるのは一日後。(僕の個人的な)研究によると、地球は、約六百兆(人間)世紀分の時間を、他の低俗で退屈な街探検に費やしているらしい。何ならもっと詳しい時間を示してやってもいい。太陽が停止し、定住する術を身につけるその時まで、この浪費は終わらないだろう。そして、僕らの街の危機も終わらない。 僕らの街は、常に太陽から遠い所に位置していた。『常に』というからにはそれなりの理由があり、僕らを悩ましている。
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