みかこ

12 件の小説
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みかこ

お絵描きも手芸も好き。

「夢のある毎日がいいな。」

「どう暮らしたいの?」とふいに訊かれて、少し考えた。 それで思わずそう答えたんだけど、 口にした途端に具体的なイメージが脳裏に浮かんだ。 ワクワクしながら眠りについて、 すっきり目覚めてちょっとお洒落して、 ドアをあけたら軽やかに風をきって季節を感じながら歩きたい。 そんで好きなもの描くの。創るの。 好きなだけ時間かけて、気に入るまで何度も何度も考えるの。 エンジンかかりにくいんだけど、きっかけがあるとね。 気付いたら自分の作品の虜になってたりする。 最初「エー」ってしぶしぶやり始めたものだって、 いつの間にか休み時間も食事も忘れて離れられなくなってしまう。 想像力をかきたてるもの。 そーゆーのに囲まれて、暮らしたい。 絶妙な色あわせ。形。バランス。言葉。なんでもいい。 いろんな意味で、「美しい」と思うものすべて。 まだあたしが触れてないものがこの世にはたくさんたくさんある。 たくさんありすぎて、一気に飛び込んだらきっと溺れてしまうな。 でもそれも、きっと幸せな眩暈だろう。 処理しきれないくらい、めちゃくちゃに溺れてみたい。 あたしの夢が止まらなくなって狂っちゃいそうなユートピアで。

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「夢のある毎日がいいな。」

いのち

あのひとの手はあたたかくて、 それは「生きている」ってことなんだろうと思う。 命がひとつ目の前に当たり前のように立っている。 あたしは夕闇に浮かんで息づいているその素肌を見つめていた。 後ろに見える外灯や木々や花壇、 あのひとはそれらに少しも馴染むことはなくて、 驚くほど鮮明に力強く、形あるものとして、形ないものとして、 堂々と存在していた。 疑う余地ないの。あなた生きてる。 あたしもきっと、 もう自分が生きているのかどうか身を削って確認する必要なんてない。 個々に宿る命のあたたかさを、 何か見えないものが絶え間なく流れ移り変わってゆく気配を、 こんなにハッキリ感じとれるんだから。 あのひとのも、あたしのも。

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いのち

イモムシ

黄緑色の葉っぱの上でおひさまを浴びてぽかぽかと、 気持ちよく歌なんかうたっていたら、 ある日ちょっと風が吹いた拍子に ぽろりと転げて落ちました そしてあたしはここ何ヶ月も、 地面を這っていたらしいのです さらに這っているつもりでいたら、 知らないうちに土に潜ってしまったようです 頭上には光が満ちあふれていると知っています みずみずしい朝露や甘い花の蜜の味も忘れていません ただ、今は手が届かないだけなのです 真っ暗で何も見えなくても大丈夫です おひさまを浴びられなくても、 歌がうたえなくても、 土をかきながらゆっくり休み休み進んでいると なつかしい草や花の根っこたちに出くわします それも、たくさんたくさん あたしは今すこうし、 低いところへ来ているだけなのです 好きだったものはずっとすぐ近くにあるのです 時々おひさまの光が差し込んできます 眩しくて、目を開けていられないほどです あたしはただ黙って目を閉じてやり過ごします 逆らわなくていいんです いつの間にか地面にもぐってしまったように、 いつの間にか地上に出るときが来るのです

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イモムシ

たとえ愛じゃなくても

これは恋だね。 愛ではない。 恋はけっこう簡単に終わってしまうんだよな。 ささいなことで、終わってしまうんだよな。 そんな思いが拭えず、 嬉しいのに嬉しくなりすぎないよう気をつけるなどという 至極ツマラナイ調節を無意識にしてしまう。 感情の露出をコントロールするのが 世間的には正しいとされるのかもしれないけど、 確かにその方が誰かの、自分の、 傷が浅くて済むのかも知れないけど、 許されるなら、出来るなら、 いまこの瞬間が嬉しいのなら、体中で嬉しいと叫びたい。 いまこの瞬間が悲しいのなら、体中で悲しいと泣きたい。 過去のことも、未来のことも、第三者のことも、 残らず頭から追い出して、 純度100パーセントの感情に溺れてみたいのだ。 例えそれが1分、1秒であっても。

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たとえ愛じゃなくても

ダンデライオン

今生きているこの瞬間が確かにそこにあるだけで 命がいつ尽きるかなんて分からない だから今日も歩き出す そしてきっと当分終わりはやってこない だから時には振り返り 悲しみを知り 喜びを知り 怒りを知り 希望といくつかのあきらめも ただあたしは タンポポの花束を「プレゼント」と差し出してくれた 小さな女の子のまっすぐな瞳が忘れられなくて 少しだけそんな気持ちになってみたいんだ

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ダンデライオン

スタンド・バイ・ミー

失ってはじめて知る哀しみってやつがあるなら 僕はいったいどうなってしまうんだろう すぐ目の前にキミがいる今でも その微笑みがいとしくて泣きたくなる僕は

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スタンド・バイ・ミー

アイちゃん

彼女を最初に見たのは病棟内の公衆電話の前だった。 当時多分七十名くらい患者がいた女子閉鎖病棟で、 2台しかない公衆電話に順番待ちの行列をなす 女の子たちに混じって、 タオル地のパジャマでソファーに怠そうにもたれたまま、 新入りの私の顔を一瞬見上げたひとりの子がこう言った。 「名前なんていうのォ?」 「・・・マユ」 「そう。あたしアイって呼んで。マユでいい?」 彼女は眠たげに目をこすりながらとても高い声で呟いた。 ものすごく可愛い子犬みたいな顔に、 小柄で華奢な体つきのアイちゃんは、 私と同室のSちゃんのベッドに仰向けになり、 「わーいエステだぁエステだぁ」と言いながら Sちゃんに脇の毛を毛抜きで抜いて貰っていた。 終わって部屋を出る時、ドアのところでくるっと振り返り、 「お礼に胸さわってもよくってよ?」 と首をかしげて愛らしく笑った。 お風呂に一緒に入ってる時、皆で 「胸大きいよねー」と誉めると 「ホント?わーい、わーい」と素っ裸でピョンピョン飛び跳ねた。 昼間に中庭でバスケットボールをする男性患者をみんなで見て 「えーどの人?どの人?」 「あの人!ほら、あそこにいる人だよー」 と窓から一生懸命手を振っていた。 6階の男女混合病棟でその人と肉体関係を持ったのがバレて、 4階の今の女子病棟に移されたのだとアイちゃんは説明し、 「バレたからここに下ろされちゃったの。SEXなんかしなきゃよかったぁ」 と口を尖らせた。 出身大学の話題になり、アイちゃんが青○学院大学だよと言うと 「えー!アイちゃんそんな頭よく見えなーい」 と皆が口を揃えて笑った。 アイちゃんは 「ひどーい、ひどーい」 とやっぱり甲高い声で笑った。 当時彼女は二十四歳くらいだった気がするが、 幼い少女のような風貌にまったく似合わない煙草をいつも吸い、 「見えるとこにやると怒られるからここにやってるのー」 とスカートをまくったその白い太ももを見ると、 煙草を押し当てた火傷の痕がいくつもあった。 私は一回目の入院と二回目の入院は 同じ病院の同じ女子閉鎖病棟で、 間が一年くらいあいているのだが、 二度目の入院時にまたアイちゃんがいるのを見つけて少し驚いた。 「あれ、アイちゃん!・・・ずっと入院してたの?」 「ううん、一回でたよー」 「そう。今度は何したの」 「あんまり大きな声で言えないけど、コレやっちゃったあ」 アイちゃんは自分の喉のあたりを 手で切るジェスチャーをしてみせた。 彼女は病棟生活の中でも時々騒ぎを起こしていた。 もちろん騒ぎを起こしていたのは彼女だけではないが、 看護婦が気に入らないと怒って 洗濯洗剤を一気に飲んでしまったり、 「細いものがあると自分の首をしめたくて仕方ないよー」 と騒いでは安定剤の筋肉注射を打って貰ったり、 食堂で他の女の子と喧嘩で暴力沙汰になったり。 いつだったか、 「退院するの怖い。外の世界の刺激が怖いの」と真ん丸い目で、 いつものキョトンとした表情のままで話していたのも憶えている。 精神科の入院患者なんて変わった人ばかりで 思い出せばキリがないが、 特別仲が良かったわけでもないし 同室になることも最後まで無かったのに、 アイちゃんは私にとってあまりにむき出しで 印象の強い女の子の一人だった。 ひねくれた様子は全く感じられずいつも途方もなく無邪気で、 「うちの親、あたしに用なんてないもん」 と、彼氏以外からは電話が全くかかってこないことについても、さも当たり前のようにいつものトーンのまま他人事みたいに吐き捨てた(病棟内の公衆電話にかかってきた電話は近くにいる患者が取り次ぐため、誰に誰から電話がかかってきているか筒抜けだった)。 腕も、足も、心も、何もかも傷だらけのままで、 さらに傷を増やしながらもそれをどうしようともせず、 ただ細い足で真っ直ぐ立って笑っていた。 アイちゃんは私の目にはそう映っていた。 そして今でも、私の中の彼女はそのまま変わっていない。

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アイちゃん

私はもう死んでいる

小学校の運動会。 校庭で1歳違いの姉が体操着姿でダンスをしている。 忙しい中応援に来てくれた母が 「お姉ちゃん可愛いわねえ」「お姉ちゃんスタイルいいわねえ」 と、横で一緒に観ている私を気にもせず 何度もつぶやいては悦に入っている。 いつものように黙って聞いていたが母があんまりしつこいので堪り兼ねて、 「なんで私のことは一度も可愛いって言ってくれないの?」 と母のすぐ背後から抗議したら、 「なんでって、あなた可愛くないじゃないの」 と母が私を見もせずに言った。 寂しい。悔しい。悲しい。 だけど母はおろか、他の誰にも言えない。 教室でいつものようにノートをとる私。 母が私に笑顔を向けてくれるのは、 姉より成績のいい私が先生に褒められている時だけなのだ。 一生懸命字を書いているのだが、ふと気付いた。 いつもと感じが少し違うのだ。 ……シャーペンが、軽い? しっかり握りなおしてみる。 いや、ノートがふわふわして安定しない? 私の字がなんだか薄くて読みにくい? ゆらゆらして今にも消えていきそうな……? 目を凝らしてよく見てみる。 変だな、どうしたんだろう。 私、視力はいいんだけど。 「それ、おかしいでしょ」 驚いて顔を上げると、すぐ横で知らない女の子が笑って私を見ている。 バサバサした黒髪のショートカットに眼鏡。頭良さそうだけど地味な子。 「なんか変なんでしょ、それ」 「……?」 誰だっけ、こんな子クラスに居たっけ? 「字、見えないのあんただけじゃないよ。  っていうか、あんたのこと見えてるの今、私だけだよ。    あんたもう、死んでんの。  気づいてないんでしょ。  死んでんの。ここに居ないの。  みんな、あんたのこと見えてないの。  ノートもペンも見えてないの。  それ、本物じゃないの。  あんたが使ってるつもりなだけ。    いい?あんたもう、死んでんの。  わかる?」 わたし、死んだ? いつ?  事故で? それとも、悲しくて死んじゃったの? あれから何日経っただろう。 確かに私、みんなにはもう見えてないみたいだ。 もともと人と話す方じゃないから、すぐ気付かなかったんだ。 教室にいても、街を歩いても、 誰も私に視線を向けない。 でも時々、私に気づいて足を止める人がいる。 「ああ、あの人、見えるんだな」 ぼんやりと思う。でももう、私からは話しかけない。 最初は、駆け寄って必死に話しかけた。 だって寂しかったんだもの。 でも、1人目はすぐに目を逸らして逃げたし、 2人目は憐れむように私を見つめ黙ったままだった。 3人目のおじさんに話しかけた時、 「うるせえな。いい加減あきらめてあっち行け!」 とものすごい形相で怒鳴られたのだ。 私、帰るところがない。 死んでるはずなのにお風呂には入りたいから、 ちょくちょく銭湯に行く。 風が吹けば寒いし、雨だって冷たいのだ。 最近は知らない学校の中に入って 人が来ない場所を見つけてはやっと眠りにつく。 今日はまた新しい学校に来た。 まず、トイレを探してみよう。 誰にも気付かれずに一休みできそうな場所があるか、確認するために。 女子トイレを見つけ、中に入ってみる。 綺麗だし、個室がなかなかいいかもしれないな。 隣の男子トイレの様子も見てみよう。 そう思った時、 「あ!ここ、夜くるといいよ。  ここ。このドア閉めれば静かに休めるよ」 いきなり学生が至近距離で声を掛けてきた。 若い男の子。満面の笑顔にハキハキした声。 あまりに突然でビックリしてしまった。 こんなふうに話しかけられるなんて、ずっと無かったから。 「……本当?ありがとう」 やっとの思いでお礼を言った。 男の子は笑顔のまま頷いてすぐ去ってしまったけど、 私は呆然とその場に立ち尽くしていた。 嬉しかった。  ___ このままあの子と離れてしまうのは寂しい ___  かなり時間が経ってから思いついた。 いけない、探さなきゃ。 確かこっちに行ったはず。 トイレを出て、彼の後を追う。 学校は授業中のようだった。 廊下から教室を覗いて回る。 あ、いた!あの男の子だ。 私はまた嬉しくなった。 良かった、見つかって。 もっと、あの子と話がしたい。 私は背伸びをし、彼の様子を窺った。 彼は前から3番目の廊下側の席に、 女の子と並んで座っていた。 前の席の男の子が後ろを向いてふざけている。 隣の女の子も身をよじって笑っているし、 後ろの男の子もさも楽しそうにはしゃいでいた。 前の席の男の子がふざけて腕をのばし、 ……、 私の目があの男の子の顔に釘付けになった。 彼だけ、笑っていないのだ。 前の席の男の子の腕は、彼を通り抜けて、 その後ろの男の子のノートをひったくった。 また笑いが起こる。 目線を落としたままの無表情な彼を囲んで。 私は、背を向けて歩き出した。 足が重たかった。重くなんてないはずなのに。 あの子、生きてないんだ。 だから私に驚かないし、親切だったんだ。 私は自分勝手にも打ちひしがれて、とぼとぼと歩き続けた。 もうこの学校には、来ない。 そう決めた。

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私はもう死んでいる

”アレ”

早朝。 普段はかわいくて優しい中学生の娘が、 家の洗面所で笑いながら突然私の腕を掴み、 肘のすぐ下あたりに噛み付いた。 鋭いものが肉に食い込み激痛が走るとともに みるみる鮮血が溢れ落ちるが、 娘は笑顔で私の目を見たままガッチリ腕に喰らいついて放そうとしない。 それどころかいっそう顎に力を込め、私の血をむさぼるように吸っている。 ・・・娘も”アレ”になってしまったんだ。 私はそう悟ると死に物狂いで娘の歯と手を振りほどき、 洗面所を出て夫と息子の寝ている部屋へと走る。 2人とも寝ているようだったが夫がふいにムクッと上体を起こした。 助けを求めようと顔を見ると、白目をむいて口をカッと開き、 声こそあげないがその表情はまるで笑っているかのようだ。 ・・・だめだ、夫もすでに”アレ”なのだ。この分だとおそらく、息子も。 私は夫と息子のいる部屋を走って通り抜け、 急いで窓をあけベランダへ飛び出す。 手すりを掴み下を見たら、ここは何階なのだろう、100mは高さがある。 後ろを見ると足が無くなり下半身が長い一本の てらてらとうねるウロコ状のもの、 それも先へ行くほど細くなっているものに変わった娘が、 そうそれはまるで腰から下が「ヘビ」そのものに成り果てた娘が、 体をくねらせながら物凄い速さで滑るように床を這いずって 私めがけて迫ってくる。 逃げなくては。私は手すりを乗り越えようとする。 すると3階ほど真下のベランダから、別のヘビになった誰かが 今にもこちらへ壁をつたって這い上がろうとしているところではないか。 万事休す。 私はきびすを返し、のたうつ娘の体を走ってまたぎ、 裸足のまま玄関から外へ出た。 エレベーターと階段、どっちが逃げられる?どっちが? 上へいったら追い詰められてしまう。とにかく下に降りなければ。 エレベーターを見たら一番下の階で止まっていて、 とてもここまで上がってくるのを待つ時間の余裕などない。 瞬時に階段を選んだ私は、転がり落ちるように走って降り始める。 ヘビになった娘も恐ろしい速さで体を波打たせながら 階段を滑り降りて私を追ってくる。 少しでも休んだらたちまち追いつかれてしまう。 一刻も早く下へ、マンションの外へ! 足をもつれさせながらも私は必死に走り続ける。 そうして私は気付いたらバスの中にいた。 座席に腰かけ、荒くなった呼吸を整えている。 少しぼんやりしていたらどうも降りたい停留所を過ぎてしまったらしい。 運転手さんに「○○駅前は通り過ぎましたか?」と訊くと 「ああ過ぎちゃったよ、1つ前だったな」 恰幅のいい中年の運転手が私を見あげて応える。 「そうですか、じゃあ次で降りますね」と言うと、 「急ぎなの?○○停留所まで待ってくれれば俺の仕事は終わりだから、  俺の車で行きたいとこまで送ってやるよ。乗っていきなよ」 私は少し狼狽した。 「そこまでは申し訳ないですし、急いでもいるので・・・」 変な人だな、なんだろう。 今は誰かと2人きりになったら危険だ。 この男性ももしかしたらもう”アレ”になっているのかも知れない。 無関心なポーズで下を向いている乗客たちも。 私は知らない停留所で降りた。駅はどっちだろう。 スケートボードで遊ぶ男の子たち、道で酔っ払っている男性、 八百屋で買い物をする女性・・・。 街ゆく人々がみんな”アレ”かも知れない。 安易に道を尋ねることすら出来ず、 私はひたすら目立たないよう平静をを装いながら駅を探して歩く。 私がまだ”アレ”ではない人間だと知られたら、 たちまち血を吸い尽くされ、私も”アレ”にされてしまうのだ。

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”アレ”

ナツコ、二十歳。

誰もがあたしの知らない人生をいく あたしも誰もが知らない人生をいく あなたはどんなうねりの中を一生懸命およいでいるのか あたしがぶつかってバランス崩しながら かろうじて体を浮かせている この限りなく押し寄せる灰色の波と少しは似ていますか? あたしの唇にキスしていなくなった二十歳だったナツコは 本当はどこへ行ってしまったのだろう 雲の上なのか、土の中なのか それともやっぱりあたしの知らないうねりの中を 今もまだひとり漂っているのか 「笑顔しか思い浮かばない」なんて根拠ないし綺麗すぎて 残った人に都合のいい絵空事だと思ってた 無責任に笑顔でいてくれてると想像したほうが楽だもの でも大抵は実際その通りになっているし 笑顔だからといって苦しんでいないとも言えないのに そういうものなのかも知れない そしてそれが自分勝手な記憶の編集によるものであろうが そんなことはもういい あたしももし誰かの想い出に残るなら そのほうがいいなと思うから

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ナツコ、二十歳。