八神天

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八神天

演じてる人生でもいいじゃないすか!

久しぶりに戻ってきた。 小説でもなんでもないこれを 一体皆はなんというのだろうか 才能なんてない僕が 一端の小説家を気取り こうして小説にも成れない子を描き続ける これがどれほどのことだか、まだ僕が知らない 一年は365日あるらしい だが、それすらも疑いたくなるような日々 一体皆はこの日々をなんというのだろうか 何もしていない僕が 世界を知った気で こうして世界や人を描き続ける。 これがどれほどのことだか、まだ僕が知らない 生きよう。 死のう。 生きよう。 死のう。 考えても結論の出ない問いに 今日も1日浸り続ける この世界の末路をきっと僕は見ることはできない それでも僕はなんの使命もなく生きなくてはいけない それが使命だから、と。 そうして今日も終わるんだ。

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末

私の戯言

ひとつ  正義なんてすぐに崩れ去ってしまう。 ふたつ  メディアは嘘言ってなんぼだ。 みっつ  正しいことなんてこの世に存在しない。 よっつ  誰も私を見ていない いつつ  戦争で変えられた平和がある むっつ  自分は自分が一番知らない ななつ  知らない方がいいことはこの世にはない やっつ  利己主義だっていい ここのつ   世界は自分中心で回っている とう  病んでてもいい 現実世界じゃ他人に合わせるしかできない私も、どこかで、自分でいられるようになりたい 一人じゃ寂しいけど、一人がいいだなんて あぁ、彼女に会いたい

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私の戯言

私の戯言2

死にたい日なんてたくさんあるさ また、思い出す、あの日々 最悪な人になった日 好きを隠した日 どうでもいい人と付き合った日 全部 全部  病んでてなにが悪い 落ち込んでなにが悪い 生きづらい世を、 歯を食いしばって生きてるだけでいいって 誰か言ってよ。 もう、疲れたから。 記憶よ、そのまま静かに流れておくれ 記憶よ、そのままさらりと泳いでしまえ あぁ、この雨の中、消えるのは 私の笑い声だけ。 彼の彼女の姿は消えず、 ただただ私が消えるだけ。 私の記憶は消えないままに。 彼、彼女の私の記憶は泡となって。

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私の戯言2

私の戯言

 私には友人と呼べる友人はいない。作りたくない…。いや、そんな感情は一切ない…はず。1人でいるのは、ものすごく嫌だが、かと言って群れをなすのも嫌。 我ながら、わがままだと感じる。性格診断でも、そういう結果が出た。 そもそも、自分が自己中だと知ったのはごく最近のことである。きっかけは性格診断。しかし、それを納得させるだけの私史があった。 まず、わがままが故に人を傷つけた。やっとできた親友。彼女と過ごす日々は宝だった。しかし、彼女には心に病気を持っていた。支えよう、支えよう。知らぬ間に私は自分の信念を「彼女」と言うものにへと変えてしまった。……変えてしまった、?いや、私も彼女が言っていたように嫌われたくなかった。他人に嫌われたくない、嫌われて嫌味を言われたくない。自己防衛から、私は押さえ込ませてしまった。それが良くなかったのだろう。−いや、良くなかったのかは分かりやしないが。− 結果として、私は限界を迎えた。彼女から距離を置いた。それが彼女にとって良くないと知っておきながら。そうして、私は彼女を裏切った形になった。彼女はこう言った、らしい。 「あの子は(きっと私のことだろう)薔薇の花。だから、私にはもったいなかった。でも薔薇には棘がある。……元から私とは釣り合わなかったんだ。」 悲しそうにそう言ったらしい。 私はやっぱり彼女を裏切ってしまった。私がわがままだから、彼女を傷つけてしまったのだ。 二つ。自分が強すぎる。自分の正義があって、それを信念として今は生きている。けれど、それ故に一般的な正しいことが正しいとも思えない。思えないのに、一般的正義が正しい気もする。色々な感情が交差して、交差して。訳が分からなくたってしまった。それでも自分が強いため、自分の正義が結果的に勝ってしまう。 自分を押し付ける自分も、自分を押し出す自分も、全部全部、私だ。私だけれども、私と認めたくはなかった。 ああ、私が生まれ変わったら、もっと自由に。 いや、そんなことを言う口はない。私は私を生きるしかないらしい。私はもう、いいと思っていても。

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私の戯言

猫の甘い恋日記 最終話 やっぱり

 信じることが貴方を救う。 私は信じて信じ抜くことにした。  半年、私は彼と話をしていない。 なぜと聞かれても、答えられない。知りたくもないし、 未読された送ったメッセージ。 仕方がないって思っても、そうは思えない自分がいて。  「復縁したんだ」 友達は嬉しそうに私に言った。 彼女と別れて、あんなに落ち込んでいたのに、今日は台風一過のように彼の心は晴天だった。 「え!?よかったじゃん!」 こう彼に笑顔で返した。本心だ。 彼の落ち込み用は、私の不安を煽りまくって気に障った。 周りが不幸だと、私は嫌になる。悲しくなるし、不安になってしまう。 だから、彼の笑顔を見た時、その報告を聞いた時、嬉しかった。 これでもう彼は不幸じゃない。 そう思えば、心が綺麗になっていった。 建前は、だ。 やはり羨ましい感情がないわけではない。 彼女との思い出をペラペラ話す彼は、うらやましかった。 わかってる、こんな感情はダメだってこと。 わかってても、私はそう思ってしまった。 ひどい友達。 昨日、久しぶりに虎徹を見かけた。相変わらずバカそうな顔をしていた。 ちょっぴり安心はしたが、特別、感情は湧かなかった。 話しかけも、話しかけられも、しなかったけれど、 私はちょっぴり寂しかった。 最後に、 私は、本当に彼が好きだったのか、疑問に残ってしまった。 好きだった。 そう思いたい。 私は、今、疑問を抱えながら、 虎徹と付き合っている。

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猫の甘い恋日記 最終話 やっぱり

僕、わからないけど

おはよう、  朝っぱらから元気じゃなきゃいけないのはなぜ?  誰も教えてはくれないし、そもそも答えを知らない こんにちは、  朝挨拶したのに昼も挨拶しなきゃいけないのはなぜ?  誰も教えてはくれないし、そもそも答えを知らない お元気そうで何より、  相手が元気だったら何かが起こるの?  誰も教えてはくれないし、そもそも答えを知らない おやすみなさい、  「ご報告ありがとうございます」はわかるけど言わなきゃいけないのなぜ? みんなみんなわからない わからないのに使ってる 先生は神じゃない 先生が神ならば、お金渡して成績上げてもらうんだ。 でもできないから、 ただただ子供に対して威張ってるだけの ストレス抱えた仕事人 僕、わからないけど、先生に訊いてみる 「せんせー。なんで神様っているの〜?」

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猫の甘い恋日記 3日目

 わがままで何が悪い!最近の私はわがままを言えなくなっていた。  いい意味で言えば、大人になった。しかし、悪い意味で言えば、心を開けなくなった。  私は元から大人っぽいらしい。−−恩師にそう言われることが多いので−−だから、きっと悪い意味で捉えた方がいいのだろう。  理由を挙げるのならば、クラスに馴染めない、か……。自分でも、何が正解なのかわかっていない。だが、少なくとも、環境の変化が理由で心が開けなくなったのは間違いないらしい。  去年の話をしよう。私は虎哲以外、信用できる人物がいなかった。それは担任も含めて。先ほど語った恩師は、同じ学校に、いるにはいるが、あまり高頻度で話すことはできなくなっていた。つまり、信用でき、心を開ける相手は彼しかいなくなったというわけだ。  それで、今年。先生と書いて神と呼ぶその人たちは、何の恨みなのか、私と彼を遠ざけてしまった。それが私の運の尽きだったのかもしれない。  初日にはあんな、惚気を話していたが、もう無理。何をすればいいか、どうしたらいいか、一つもわからなくなった。それはまるで、戦陣の谷から落とされた未知なる天使。慌てふためき、いつの間にかその狂気の叫びに心を持っていかれ、戦陣の真ん中で耳を塞いで泣き叫んでいるような気分だ。周囲はそんなこともお構いなく、己の確固たる狂気を撒き散らし、ぶつかり合う。まさに修羅場であった。  まあ、実際問題こんなに狂気を撒き散らしている人なんていないが、怖いったらありゃしない。何が一番怖いって、この空間に埋め込まれてしまう自分が怖い。この最悪なクラスに馴染みたくない!それは私の中の唯一のわがままだった。    さて、彼の話に移ろうか。彼とラインを交換して、何ヶ月経ったのかは知らない。だが、最近、と言っても3ヶ月近く前から既読無視が増えた。しれだけならまだしも、最近では未読無視が多くなった。愚痴を言うつもりはないが、正直言って、怒りたくなる。だが、この怒りが時間が経つにつれ、不安になるのが厄介。本当に厄介。  何もないと、 「私って嫌われたのかな」 が始まる。随分と他人事だなと書いていて思うが、そう思ってないとやってられない。気持ちが崩壊しそう。何度も「別れ」が頭に浮かんだが、それを全否定するだけの彼への依存心があった。これがより心を抉ることを私は知っている。心の中にはもう、2枚のボロボロの感情しか無くなってしまった。彼への「嫌い」の気持ちと「大好き」という気持ち。ぶつかるだけぶつかって、結果得たものは何もない。ただ己が傷付いただけという最悪な状況が、今だ。  彼にこの気持ちを伝えようにも、ストップを自分がかけてしまってどうすることもできない。助けを呼ぶにも、どうすることもできない。  はぁ。果たして恋とはこういうものなのか?こうやって、辛い季節が来てしまうものなのか?  それは、誰も知らない。                  完

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猫の甘い恋日記 3日目

猫の甘い恋日記 2日目

 今日は、デートの予定……だった。 昨日、彼が暇だって言っていたからデートに誘ってみた。が、別の予定が急遽入ってしまったらしく 「ごめん、行けねーや」 と、返ってきた。  『デートかぁ』 私は、初めてのデートを思い出していた。  日付?そんなものはっきりと覚えている。紅葉も終わりになり始め、葉もチリチリになって落ちている時期。前日に 「お前、明日ひま?」 と、いつも通り乱雑に訊かれた。 『まじかー。空いてるけど、友達と出かけるのもなぁ。』 そうマイナスに思っていたが、断る理由も思いつかず、私は結局彼との予定を入れて、今に至る。 『14:00。はぁ。予定時刻なのに全然来ない。』 2階から私は庭を見ていた。来るはずなのになぁ。 『はぁ。やっぱり、時間守れない最低な……。!』 真っ赤な服が窓に映った。−−いる!  本来、私は下に降りて彼に会うのが道理。だが、なんの恐怖なのか、彼がインターフォンを押すまで、家から出ることはなかった。  少し経って、 “ピーンポーン” 彼がインターフォンを押した。彼に気づいていながら出ていけなかった申し訳なさを胸に、急いで外に出た。 「ごめん、何時からいた?」 真っ赤なフードの服とジーンズ。私の服は、ジーンズと青いTシャツ、黄色のジャンバー。今思うと一番ダサい格好だ。 「あーえーっと、50分くらいかなぁ」 「!?うそ!ごめん。もうちょっと早くピンポン押してくれればよかったのに。」 彼を待たせてしまったことと、最悪な奴だと思ってしまったことへの申し訳なさが大きくなってしまった。  私が謝ると彼は少し目線をずらし、ボソッと言った。 「だって、ピンポン嫌いって言ってたから。」 「え?」 驚いたことに、私がボソリと日常会話で言ったインターフォン嫌いを彼は覚えていた。 「…」 口をアングリと開けてしまった。私も忘れていたことを彼が覚えていた。その事実にポケ〜っとしていった。 「ね。行くよ?」 「あ、うん。」 ちょっぴり、ドキってしてしまった。  さて、私たちは電車で隣町に行った。切符を買う時、私は割り勘というか、個々で買えばいいかなと思っていたが、彼が 「いやいい。俺が払う。」 と言って電車代を買ってくれた。もちろん、私は払うって言ったが、 「俺が誘ったんだから」 と言って私の財布を没収した。 『私に払わせないつもりだな』  まあ、そんなこんなで隣町に着いた。 「どこ行くの?」 彼はニヤリと笑った。 「服」 「?」 「お前の服買いに。ほら、前に長袖の服欲しいって言ってたから」 本日2回目のドキッ。このことも、前にボソッと言ったことだった。 『すごく私のこと覚えてくれてる』 駅からちょっと歩いたところにお店があった。 「ん。好きなの見な」 彼が言うように私はお店をグールグル回って、服を見つけた。 「ねーさー。これとこれ、どっちがいい?」 手に取ったのは、キャラクターが描かれたピンクと水色の服。一瞬にしてかわいいと思ったからこれにした。 「うーん。俺は、こっちの方がいいかなー。まあ、両方買っちゃってもいいけど」 彼が指さしたのは、水色の方。私が好きな色なので、私は水色の服にした。 「試着しなくていいの?」 彼の助言も受け、私は水色の服を試着してみた。 『うん。いい。』 彼からも、 いい返事が聞けた。 「んじゃ、これにする。」 そうしてお会計をしようとしたが、私は財布を彼に取られている身。私が財布を返してと言うと 「俺が買う」 と言って聞かなかった。なんか申し訳ないなと思ったが、ここで揉めたら、面倒臭い奴だと思われると思い、彼に従うことにした。  その後、コンビニに寄った。そこでも彼が全額払ってくれた。『どうにか返さないとな』そう考えている。  私の服選びがあまりにも早かったらしく、近くの公園でゆっくりすることにした。私が座ろうとすると、彼は 「あ!」 と言った。びっくりして立ち上がると、彼はどかっと座った。なんだこいつ。そう思ったが、彼は自分が座るとその上に私を座らせてきた。 「え?重くないの?」 「ふふ」 私は本当に心配になって−−この時は本当に痩せようと思っていた時期なので−−訊くと彼は笑った。 「優しいんだね」 二言目に放ったのはこれだった。この時の私の心情を書こう。 『はあ、そうですか。そりゃどうも』 ずいぶん淡白な彼女だなって思ったそこのあなた!この時はまだ付き合ってません。  今思うと、付き合ってもないのに自分の膝の上に乗せてくる彼も、それに対して引かない私も、相当やばかったのかもしれない。  コンビニで買ったチョコレート。なぜか久しぶりに“甘い”って感じたっけ。  はあ。久しぶりにデートしたいなぁ。                  完

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猫の甘い恋日記 2日目

猫の甘い恋日記 1日目

 今日、クラス替えがあった。私は晴れて新中3年生になった。去年のクラスが恋しくて、先生の新教室への移動があっても、最後の方まで粘っていた。 「早く行こうか、」 それも、先生に飽きられるほど。私が新しい教室に行きたくないのには理由があった。それは−−彼とクラスが分かれてしまうから。さらに、私も彼も端っこの教室で、お互いに教室の行き来はなかなかできないから余計だ。 『んもう!なんでこうなっちゃうの!』 先生には申し訳ないが、真面目に恨みたくなる。 そんなこんなで、私は嫌々−−そんな動作は一つも見せなかったが−−新しいクラスへと入っていった。 「お!なんだよー、お前ここか?」 「えー、私あの子と離れちゃったんだけどー」 教室に入った瞬間の嫌悪感は忘れることはないだろう。男子のまとまりのなさと、女子の闇が一瞬にして見えてしまった。 『マジかよこのクラス』 最悪だとしか思わなかった。彼−−名前は、虎哲(きてつ)ということにしとこう−−とはもう会えない、    −−い、いる。 第三学年、最上級生となり、私たちは入学式の準備をするため、一学年が体育館に集められた。そこで、会ってしまった。初日からぶっ飛んで書くと、『まじ可愛い』だ。先生に呼ばれて、ぴょんと跳ねたかと思うと、敬礼をして立つ。−−可愛い以外になにが浮かぶというのか。まあしかし、クラスも違えば仕事分担も違う。彼と話すことはできないだろう。 そう思っていた。 「なんていう顔してんだよ」 「!?」 私の仕事が一旦片付いて、先生からの指示待ちの時、彼が後ろから声をかけてくれた。私よりちょっと背の大きい彼。 二言目にはお決まりの 「ちっさ」 という私の身長いじり。 「は?」 怒り気味に言うが、本心はとても嬉しい。いつもの流れに私は嫌な気持ちが吹っ飛んだ。 「お前、サボりかよ」 「違いますー。先生の指示待ちでスウ」 顔を合わせれば、言い合いだがそれがすごく幸せだ。は〜。もっと、もっと。−−そう、クラスが一緒であればこんなことなんて日常茶飯事で。は〜。 「おい」 「!?」 考えすぎて、彼に怒られた、 ? 「?」 なにを持っているんだ?彼の手には、いや、彼はそれを私に握らせ、、、。 「やる。お前に」 私がゆっくり握っているものを見るとそれは、彼が好きな漫画のキーホルダーだった。 「え?これ、、、」 「もちろん俺のはある」 やる。そう言われても、私の手の中のキーホルダーは彼が一番好きなキャラクターだった。彼は自分の分はあると言った けど、、、 「?いいから、ポケットにでも入れとけって。見つかるぞ」 「あっああ」 私は慌ててポケットにしまう。 「あ、ありがと」 少し照れながら言ってしまった。 「ふふ」 彼は笑いながら、仕事に戻っていった。 その後、私は仕事の合間のほんの30秒間でも考えて彼を見つめていた。 そのとき彼が新しいクラスメイトに笑顔で話している姿を見て、私がなんと思ったかは、ご想像にお任せしよう。                  完

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猫の甘い恋日記 1日目

猫の銅像-6話 清、ありがとう

 血だらけの手に満天の星空。どんなに勘違いをしても、一緒の分類にすることはないだろう。  「小町、すまない」 清は、涙ながらに謝った。 「なに?なんで泣いているの?」 小町は不思議がりながら笑う。その笑顔に清の心はすごく胸が締め付けられた。 「す、」 清の頬には、水が流れた。それに気がついた清も、小町も、言葉を失った。 「なん………」 どちらの言葉も夜の暗闇に消えていった。真っ黒ではなく、紺色でもなく。でも、黒色というしかないこの夜の色に、飲み込まれるように消えていく。川の濁流が、溺れる人の命を軽々しく飲み込むように。強いなにかしらの力によって、2人の言葉は飲み込まれていった。 「清?」 小町の声は、そんな闇を切り裂く光のようだった。清は小町を見る。いつか見た仏のような、女神のような顔に、清の目からさらに涙が溢れる。 「どうしたの?」 優しい。彼女の声に、私はどれほど救われただろう。私の生まれた頃から取り巻く闇を、全てを、包み込んでくれるこの声に。 「なんで、謝るの?」 優しさに触れて、清は大粒の涙を流し嗚咽はきながら全てを話し始めた。自分のせいで小町が呪われ、4ヶ月、丁度4ヶ月で小町は死んでしまうことを。小町は、自分が死ぬことに対してすごく驚いていた。でも、彼女は終始ずっと笑顔で話を聞いていた。 「そっかー」 「ご、ごめん」 謝るの清を優しく抱きしめる小町。その暖かさにまた清は、涙を流した。 「ごめん、ごめん」 「うん、うん」 満天の星空。お互いにお互いが悪いわけではない、そう思っていた。清は自分が地獄の守護霊だから小町が死ぬと。小町は、自分が深草と出会ってしまったから清が守護神を殺してしまったと。その様子を、星は上から見ている。  満天の星空の日である。  それからしばらく経って、小町は、好きだった深草に自分が死ぬことを伝えた。それが、3話になる。  その100日後。彼女の卒業式。彼女は自分の死をわかっていて、最後の最後まで泣かずに彼女らしくいた。おちゃらけて、先生をいじった。  そして、死んだ。  それから10年後。今に至る。 ちなみに清はどうなったか。あの後、彼女が死んだ後、清は地獄に戻ることはなかった。あの日、彼女に死を伝えたところで、清は泣き叫んだ。それはもう、人間にその声が聞こえるほど。そして、清は身体中の水分が抜け石となった。これは清がそこまで泣いたわけではない。最後の最後で、清は殺した守護神の呪いにかかってしまったのだ。石となった清は、街の中央にある猫の銅像になった。なぜ、石の像なのに銅像と言われるのか。それは、岡本先生にある。彼が、石じゃなく、それ以上の価値があるからといって、銅像と呼ぶようになったのが理由だ。岡本先生は、彼女の死後、彼女の家族から全て聞きこの猫の銅像が清だと知った。  そうそう。なぜ深草の息子もと言い記者の息子は、小町に会ったのか。これは………。まあ、女性の嫉妬心は怖いものだな………。  さて、以上がこの物語の概要になる。なあ、お前は守護霊に戻りたいか? 「…」 うーん。なにも言わないか。  私は空を見上げる。清に似合う、満天の青空だ。 「ニャー」 ふっ。そうか。  どの猫が言ったのか。私には分かった。  まったく、美しい声だ。  清、また私の守護をしてはくれないか? 「…」 そうか。  猫の銅像はなにも言わない。でも、私には分かった。この猫がなにを私に伝えたいのか。  日光が輝く青空で、満天の星空の下。私は少し、笑った。          最終話後編完          猫の銅像 完

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猫の銅像-6話 清、ありがとう