猫の甘い恋日記 3日目

猫の甘い恋日記 3日目
 わがままで何が悪い!最近の私はわがままを言えなくなっていた。  いい意味で言えば、大人になった。しかし、悪い意味で言えば、心を開けなくなった。  私は元から大人っぽいらしい。−−恩師にそう言われることが多いので−−だから、きっと悪い意味で捉えた方がいいのだろう。  理由を挙げるのならば、クラスに馴染めない、か……。自分でも、何が正解なのかわかっていない。だが、少なくとも、環境の変化が理由で心が開けなくなったのは間違いないらしい。  去年の話をしよう。私は虎哲以外、信用できる人物がいなかった。それは担任も含めて。先ほど語った恩師は、同じ学校に、いるにはいるが、あまり高頻度で話すことはできなくなっていた。つまり、信用でき、心を開ける相手は彼しかいなくなったというわけだ。  それで、今年。先生と書いて神と呼ぶその人たちは、何の恨みなのか、私と彼を遠ざけてしまった。それが私の運の尽きだったのかもしれない。  初日にはあんな、惚気を話していたが、もう無理。何をすればいいか、どうしたらいいか、一つもわからなくなった。それはまるで、戦陣の谷から落とされた未知なる天使。慌てふためき、いつの間にかその狂気の叫びに心を持っていかれ、戦陣の真ん中で耳を塞いで泣き叫んでいるような気分だ。周囲はそんなこともお構いなく、己の確固たる狂気を撒き散らし、ぶつかり合う。まさに修羅場であった。  まあ、実際問題こんなに狂気を撒き散らしている人なんていないが、怖いったらありゃしない。何が一番怖いって、この空間に埋め込まれてしまう自分が怖い。この最悪なクラスに馴染みたくない!それは私の中の唯一のわがままだった。  
八神天
八神天
演じてる人生でもいいじゃないすか!