猫の銅像-6話 清、ありがとう

猫の銅像-6話 清、ありがとう
 血だらけの手に満天の星空。どんなに勘違いをしても、一緒の分類にすることはないだろう。  「小町、すまない」 清は、涙ながらに謝った。 「なに?なんで泣いているの?」 小町は不思議がりながら笑う。その笑顔に清の心はすごく胸が締め付けられた。 「す、」 清の頬には、水が流れた。それに気がついた清も、小町も、言葉を失った。 「なん………」 どちらの言葉も夜の暗闇に消えていった。真っ黒ではなく、紺色でもなく。でも、黒色というしかないこの夜の色に、飲み込まれるように消えていく。川の濁流が、溺れる人の命を軽々しく飲み込むように。強いなにかしらの力によって、2人の言葉は飲み込まれていった。 「清?」
八神天
八神天
演じてる人生でもいいじゃないすか!