つっつ
18 件の小説さよなら私の春時雨
「僕」っぽい見た目して実は一人称「俺」なとことか 結構LINE下手くそで誤字が多いとことか 恥ずかしいからか知らないけど“w”を“笑”にしだしたとことか 『なんか、好きだなぁ』って思わせてくれる君でした。 雪を見ると「おいしそう!」とか言い出すし ガリ勉な見た目の割に「数学消えろ…」と呻いていたり キラキラした目で話を聞いてくれる君はなんだか流れ星みたいで、 だからすぐ消えちゃったのかな。 瞬きの間にここじゃないどこかへ行ってしまった君 こんな拙い恋心なのに もう一度会いたいと 春の時雨のように刹那を生きる君の心に 触れたいと思わせるんだ。 “消化不良”は こんなにも、苦しい。
四季を告げる
“春” 君が桜の話をする。 君がマスクを常備し出す。 君がお花見に行こうと誘ってくれる。 それだけで僕の世界に春がやってくる 君が春を告げてくれる “夏” 君がその白い肌を少し焦がす。 君が向日葵の写真を見せてくれる。 君が潮風を運んでくれる。 それだけで僕の世界に夏がやってくる 君が夏を告げてくれる “秋” 君が秋刀魚を食べたいと言い出す。 君が読書をしようと意気込んで失敗する。 君が仮装してイタズラしてくる。 それだけで僕の世界に秋がやってくる 君が秋を告げてくれる “冬” 君が雪を連れてくる。 君が鼻を赤くする。 君が少しもこもこする。 それだけで僕の世界に冬がやってくる 君が冬を告げてくれる 僕の季節は全部君のものだ ほら、もうすぐ僕達だけの春がくる。 また君を好きになる春がくる。
墓場にて
「愛してるよ」 あの時の言葉の味はもう分からなくなってしまった。 あ、雪だ。 雪で思い出したんだけどさ、 あの日の君が雪を食べようとしてる写真まだ持ってるんだよね笑 どんな味してたか聞き忘れてたや どう? 美味しかった? こうやって花を供えには来てるけどさ 多分こんなところに君はいないよね 1箇所に留まるなんてこと君にはできないもん きっとどこかでフラフラ海でも見て回ってるんでしょ? 幽体で富士山でも登ってたりして そんな君だからさ、そう言ってくれた時は喜んじゃったよね 言ってくれた日から毎日言ってもらったし さすがに知ってるだろうけどさ あれだけ濃い時間ばっかり過ごしたのに あの日から二度と得られない記憶達が君と一緒に行こうとするんだ 君が引き寄せてるんでしょ やめてよね! 全部私の宝物なんだから。 大事な すごく大事な 私の心臓なのだから。
チューインガム
「今日も買ってしまった…」 左手にはさっき買ったばかりのチューイングガム。 ありがたいことに個包装。 味はもちろん、彼が好きだったブドウ味だ 袋から出し口に入れる。 口に広がる酸味は何回も味わっていてとうの昔に飽きているのに 懲りずに買ってしまう私はバカ以外の何者でもないね こびりついて離れない記憶はきっとこいつのせいだ ガムは少しづつ味を失っていく。 私たちはあまりにも互いを刻み込みすぎたんだ 好きな映画やドラマだって何十回と一緒に見て 君が好きだった曲はプレイリストの大半を占めてる こんなに私の生活は君で溢れてるのに 唯一君だけがいないなんてなんだかきもちわるい しなりだしたこのガムにはもう味は戻らない。 こんなにも君を噛みしめているうちは まだガムは捨てられないな
ユウレイだし、
例えば、視線。 君の視線と私の視線はいつも交わらない。 例えば、温度。 私がどれだけ寒がったって君と体温を分けることはできない。 例えば、言葉。 私の言葉が君に届いたことは1度だってない。 それなのに、私が交われることのない君のことを見てこんなに苦しくなるのはなぜなのだろう。 想うだけで、無いはずの胸がある気がしてくるの。 ここにあるんだって感じるの。 これの名前を知ることは一生ないんだろうな。 だってきっと教えてくれるのは君しかいないけど、 どうがんばっても教えて貰えないもんな。 だって私−
積もった塵は飛んだ先で
塵も積もれば山となるとは、よく言ったものだと思うけれど。 塵で作られた山は耐久性に欠けているとも思う。 実際、今この瞬間 俺と目の前であほ面している女との間に積もっていた塵は一瞬で吹き飛んでしまった。 「…は?ちょ、ちょっとその冗談は面白くないと思う…」 冗談であって欲しいって顔してる。 そんなことは俺が1番分かってるよ。 でも、それでも 「冗談なんかじゃない。俺はずっとお前のこと好きだったよ。」 そこにいたいと思ってしまった。 もっとそばで、一緒に居続けられる権利が欲しいと思ってしまった。 「ただの腐れ縁で終わらせたくないから。 俺と付き合ってください」 たしかに今、積もった塵は吹き飛んだけれど 飛んだ先でどうなるかはきっと俺次第だ。
君が好きだとか、
ゲームを教えてくれる時、無意識に触れるその手が好き。 私よりもずっと大きくて骨張った手。 触れたところから君の体温を流しているかのように 私の身体を熱くするの。 電話越しに聞こえてくるその声が好き。 低音だけど、ちゃんと芯のある声。 基本ボソボソとしか話さないけれど ちゃんと私の耳まで届くの。 あと、君は嫌だって言ってたけど 私はその一重で細い目も好きだよ。 宇宙中の優しさを集めたような 慈愛に満ちている目。 目が合うとにこにこしてくれるのが嬉しくて ついつい見てしまうの。 でも1番好きなのは やっぱりその笑顔かな。 いつも私を幸せにしてくれる笑顔。 あの子の隣で笑う君には クレオパトラですら勝てそうもないな。 その笑顔はお互いの“好き”が作用しあって 出来てるんだよね。 それが1番綺麗だから 他には何もいらないから この想いも 君にはいらない。 だから、はやく こんな想いは捨ててしまおう。 君を呪う剣へと変わってしまう前に。 「君が好き」だとか、 こんなものは消えてしまえ。
一等星
貴族の令嬢なんて、 聞こえはいいけど実際は最悪だ。 昔から秒単位で生活が決められていて みんな私を“お嬢様”って呼ぶの。 お父様とお母様ですら ここ数年名前を呼んでくれた記憶はない。 誰も私自身のことなんて見てくれない。 でも、君は 君だけは違ったんだ。 「行こう紗央莉!一緒に自由になろう!」 多分私はずっと、この人を待っていた。 君こそが私の“祈り”だったんだね。 迷わずその手を掴む。 「私をここから連れ出して!」 こんなところで育った私が言うと みんなに笑われてしまうような 儚い夢だとしても 「君だけは叶えてよね」 他の誰でもない“君”だけは
神に願うとするならば
みんなは“様”なんてつけて崇めてくれるけどさ 別に神なんて全然凄くないんだよ。 木の隙間を通って降りかかる雨から 泣いてる君を守ることすらもできないんだから。 「どうしたの?」って声を掛けて、 今すぐその手を握りたいのに。 何かある度にここに来て雑草を除去したりしてくれる君。 そんな君を桜の木の上から眺めることしか出来ない僕。 視線に気づかれることがないのをいい事に ずっと君を見つめてたんだ。 今だってそう。 辛そうな君を見つめることしかできなくて。 自分で祈るのもおかしな話だけど 願いを叶えてくれる神が本当にいると言うのなら どうか。 どうか。 彼女の涙を拭ってあげて下さい。 そして願わくば 朗らかに笑う君を ずっと近くで見ていたいと思うのは 我儘すぎですか?
チーズケーキクライシス
「もう!またなの?!」 私的通算100回目の浮気。 初めはちゃんとお説教してたのに 結局言いくるめられて朝が来ちゃった。 明後日にはまた別の子と101回目でしょ? なんかもう面倒だから数えるのやーめた。 こっちは堂々巡りでイライラしてるんだよ? のんきに「ケーキでも食べに行こうか」って言うけどさ。 全くどの口が言ってるんだか。 「行かないの?」って問いかける君。 行きますけどね! 常に君を指名手配中なの 決して目は離さないから。 色んな意味でカロリー高めのこれは チーズケーキの乱とでも言おうか。 好きと嫌いで揺れてても 結局私の負けですよね。 でも今回こそは勝ってみせる。 君は嘘つきだからもう気が気じゃないし。 誰にも解けない難問だけど、 言い訳は後でいいからさ まずは“妬きたて”を召し上がれ?