砂糖菓子

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砂糖菓子

ゆっくりと小説と詩を書いていきます。 皆様の心に1つでも留まりますように。

ミチヲユケ

『未完成な者たちへ  語るなら未来を、想うなら過去を  青い花に踊らされるように  逆さの月と狼が夜の終わりを呼ぶように  誰かの言の葉で作られた体は  明日の世界を救っているのか  はたまた誰かを希うのか  答えを知るのは観測者だけ  まだ何者にもなれる彼らを  見えない猫が笑ってる  小さな小さな箱庭の灯  どうかその灯が消えませんように  誰かの心臓を掴むよりも  その鼓動を隣で聞きたい  貴方の心を隠した二本の剣を  空に掲げる日が来るまで  暗がりに佇むいつまで経っても未完成な  あの日の貴女へ 』    揺れていた。重く、吐きそうなほどぐわんぐわんと心の中で。安定を取るべきか、いやいや、安定とはそれ即ち緩やかな死ではないか。シーソーのように揺れるのだ。どちらも重く強かなものであるために。教室の窓に打ちつける雨の重さが余計にそれを激しくしているように思えた。 「それじゃあ、二者面談始めよっか。柳瀬さんは一番最後だし、いつもみたいに少しおしゃべりしながら進めたいな。」  櫻井先生が椅子を引く音で、少し現実に引き戻される。 「最近はどう?面白い本とか見つかった?それとも、高校三年生になって本を読む機会も減っちゃったかな?」  櫻井先生とはよく趣味が合った。二人とも本が好きで、これまで読んできた小説や詩を語り合っては、二人でその良さに浸る時間を過ごした。話し方や雰囲気、高校二年生の時も担任を持ってもらっていたこともあり、柳瀬はよく先生に懐いていた。 「最近はちょっと…でも詩ならたまに書いたりしてます。」 「去年もよく詩を見せてくれたね。その詩、読ませてくれる?」  去年から始めた詩作は、やればやるほどのめり込んでいった。心象風景を描いた詩、他人に対するメッセージを隠した詩、誰かに見せるともなく書いていた詩に、興味を持ってくれたのは櫻井先生ただ一人だった。 「いいですよ。久しぶりに書いたものなので出来栄えは悪いかもしれないですけど。」 『宙吊りの愚者が笑っている  全てがわかっているような顔で  思い出せないのだ  あの頃の感触を、君をどうやって探してい たか  徐々に消えゆく口癖に寂寞が乗る  朧げですらない、好きだった笑顔  薬指と小指だけ、どこか物足りない温度  そのくせ匂いだけはやけに鼻腔にこびり付 いていて、  そっちに行く、あと一歩だけが欲しくて  あの時のような無謀さが欲しくて  表も裏もない単純な光が欲しくて  あの頃の口癖が恋しくて  屈託のない笑顔が見たくて  二本の指を包まれたくて  あの匂いで、肺を満たしたいのに  唇を噛むだけの私を  嘲笑うなら、嘲笑って』    詩は心を一点の曇りもなく投影できる唯一と言っていいほどの物だ。その時何を思い、感じて、どんな風景を描いたのか、軌跡とも言える代物。それを見せることのできる人は櫻井先生以外に存在しなかった。 「柳瀬さんの書く詩って、詩を構成する言葉一つ一つの意味に意味が込められてて、考察するのが毎回楽しいんだよね。今回は恋愛かな?」 「そうですね。少しヒントを出すと、人が忘れる順番ってものがあるらしいですよ。」  こうやって自分の作った詩を語り合う時が一番気持ちが高揚する時だった。言葉に隠した物語を先生が読み取ってくれるのか。この詩が先生にどんな風景を見せているのだろうか。先生の頭の中を直接覗けたらどんなに良いかと思ったことは数えきれない。 「冬とか秋の振られた側の心境で、元恋人を口癖や匂いで思い出してる、失恋の詩かな。先生が思ったのは。最初の二文があまりわからなかったけど。」 「最初の二文が表してるのは『自分の本心』ですね。見ないようにしていた、気づかないふりをしていた自分の内心を宙吊りの愚者で表してます。ちなみに、人は最初に聴覚、次に視覚、触覚、味覚、最後に嗅覚の順番で忘れていくみたいです。」  合点がいったように先生が頷く。  いつまでもこんな話をしていたかった。高校三年生になったからって、将来のことを考えたくはなかった。そんな柳瀬の願望を現実は簡単に打ち壊してゆく。 「じゃあ、そろそろ進路の話に入ろうか。」  櫻井先生のその言葉で、柳瀬の胸にはまた重いものが揺れ始めた。渦巻いた何かが胸と腹を行き来している。それが実体を持たず吐き出せないものであることに、柳瀬は微かな苛立ちを覚えた。 「柳瀬さんは大学の学部は、どうするつもりなの?」  いつも通りの穏やかさを保った、しかしさっきまでよりも少しだけ硬い声音が柳瀬の鼓膜を揺らす。もう柳瀬の耳には、窓を叩く雨の音が届くことはなかった。 「大学は…経済学に進もうかなって思ってます。」 「そっか、詩人はもう目指さないの?二年生の頃は詩人一択って感じだったのに。」  確かに二年生の頃は詩人以外は頭に無かった。詩を書くことが生き甲斐で、柳瀬を柳瀬たらしめることが詩を書くことであった。それは今の柳瀬にとっても変わらないことだった。ただ怖いのだ。その道に一歩踏み出してしまえば、常に飢えた見すぼらしい自分が近くに存在してしまう事実が。 「本当は、詩人になれるならなりたいです。でも、もしかしたら食っていけなくなるかもしれない。寧ろ、現実にはその可能性の方が高いじゃないですか。世間体とかもあるし。それに、好きなものを仕事にしなくても死んでしまう訳ではないので。」 「確かに、死にはしないね。うん、死にはしない。だけど、そんな人生、生きてる心地もしないだろうね。」  櫻井先生の目は真っ直ぐと、ただ真っ直ぐと柳瀬の目を見つめていた。 「それに、現実には食っていけない可能性の方が高いって言ったね。それは確かにそうなのかもしれない。小説家や詩人なんかは現代においてはそれが顕著だと先生も思う。だけど、柳瀬さんが詩を書いて生活したいってことも現実でしょ?現実的な話をするなら、ちゃんとその思いも勘定に入れないと。生き甲斐を蔑ろにするほど、食えないことは怖いことなのかな。」  先生の鋭いけれど柔らかい視線は、柳瀬を答えに詰まらせるには十分だった。まるで蛇に睨まれた蛙のように、黙ったまま俯くしかなかった。  その時柳瀬の心の中には、宙吊りの愚者がいた。彼は何も変わらぬ笑みを宿して、柳瀬をじっと見つめてくるのだ。彼女にはそれが自分が嘲笑されているような気がしてならなかった。 「ねえ、シュレティンガーの猫って知ってる?」  先生から静かな圧が抜ける。 「えっと、名前なら聞いたことあります。内容は深くは知りませんけど…」 「量子力学の有名な思考実験?らしくてさ、詳しい話は先生もわからないけど。国語科だし。なんというか、ある物事を観測するまでは、可能性が重なり合う状態が存在するって話なんだよ。」 「はぁ…」 「先生はこの話、人生にも当てはまると思っててね。明日のことなんて、明日になって観測してみないと分からないじゃん。もしかしたら明日は希望の日かもしれない。絶望の日かもしれない。それなのに、多くの人が明日は絶望の日だと疑わず信じてる。同じように希望の日の可能性もあるのにね。当たり前だけど、案外皆忘れちゃってることだと思うんだ。」  どこか遠くを見て話す先生の話で、柳瀬の中を行き来する何かが少し軽くなったような気がした。 「きっとこの世界は、想像することだけが自由なんだよ。心の中では、数学的な世界も、物理的な法則も、いろんな可能性をおざなりにできる。それを一番わかっているのは、柳瀬さんなんじゃない。まだ何者でもないあなたが、その世界を閉ざすのはもったいないと思うな。もっとこう、『この世界は、この人生だけは私が主役』みたいな考えでいいと思うよ。」  先生の言葉は、とても痛かった。自分のことを否定された痛みではなく、背中を思い切り引っ叩かれた痛み。痛いことに変わりはないけれど、温かみのあるそれは、柳瀬の体に大きな熱を伝播させていった。目の前が歪んだのも、きっとその熱のせいだろう。 「少し、質問するね。将来どんなことをしていきたい?」  問いの答えは決まっていた。体を走る熱に身を任せて、ただ自由に、何も気にすることはなく。もう柳瀬の耳には、窓を叩く雨の音が届くことはなかった。 「私は…私は詩人になりたい!」  教室に残ったのは、柳瀬の荒い息遣いと櫻井先生のいつもの朗らかな笑みだった。 「この栞、柳瀬さんにあげる。次に本を読むときにでも使ってね。」  先生が渡してきたのは、青色の花を押し花にした栞だった。 「ありがとうございます。大切に使います。本当に今日はありがとうございました。これから頑張ります。」  柳瀬は嗚咽混じりの声と一緒に深々と頭を下げた。顔を上げた時、柳瀬の中にはもうあの重い何かは存在していなかった。あるのは燃え始めた青い炎と、自分を照らすスポットライトの二つだけだった。   心の中の愚者はもう宙吊りではなくなっていて、相変わらずの笑みを浮かべている。その笑みは私を嘲笑っているのではなく、ただ楽観的な、見えない未来を楽しまんとする笑みなのだと柳瀬は気づいた。愚者の指差す方向には、表裏のない、微かな光がこちらを見ていた。  家に帰ってから、柳瀬は押し花になった花の名前を調べてみた。私が詩を作るのと同じように、先生もこの栞に何か意味を隠しているんじゃないかと願って。 『花の名前  ムスカリ  花言葉   希望 絶望』    この時を本で例えるなら、きっとまだ第二章が始まったばかりだろう。『人生とは、一冊の本のようなものである』とはよく言ったもので、柳瀬自身もこの言葉が気に入っていた。しかし、詩人のプライドとでもいうのだろうか、自分で言葉を紡ぎたいと思うのもまた、事実である。  柳瀬は今、詩人になるきっかけを作った母校に来ていた。なんでも、学校に掲示するプリントに載せるためにインタビューをしたいらしい。この依頼をしてきた相手は、勿論櫻井先生だった。 「久しぶり、柳瀬さん。元気そうで良かったよ。」  何も変わっていない先生がそこにはいた。 「お久しぶりです。櫻井先生。十年ぶりなのに、何も変わらないですね。先生も、この学校の景色も。」 「そうね。」  先生はどこか遠くを見て、懐かしむような目をしていた。その様子が、あの頃からの時間の経過を初めて感じさせた。 「それじゃあ、インタビューさせていただきましょうか。まず、この仕事を始めようと思ったきっかけを教えてください。」 「元々は趣味で始めた詩を書くことがだんだん生き甲斐になって、将来の進路に悩んでいる時にある先生に背中を押してもらったことがきっかけですね。」  まだ始まって一問目だというのに、先生の目にはうっすら涙が浮かんでいるような気がした。私の視界もうっすら滲んでしまっていたことは先生にはバレているだろうか。 「では次に、詩を書くにあたって考えていることはなんですか。」 「そうですね、誰の心にも、生きていくためや目標に向かうための炎があって、それを絶やしてしまう人がいないように、薪を焚べられるような詩になるように心がけています。かといって在り来たりな作品になってしまわないように、私が私であるための詩というのは心に留めています。」 「そうなんですね、これは生徒からの質問なんですけど、夢を叶えるために必要なことはなんだと思いますか。」 「やっぱり努力は必要です。でも、私は人生の中で、零を一にするのが経験、一を百にするのが努力、百を千や一万にするのが想像だと思ってます。自分が上手くやっていけるという想像、これがなくては夢は叶えられないです。」  そうやってインタビューをしている時間はあの頃先生と小説や詩について語り合っていた頃と同じように、永遠に続いて欲しい時間だった。  インタビューを終え、帰路についている時に出版社の方からメールがあった。 『詩集の方の出来上がりはどうですか。』 『掲載する詩の方は全部できているので、あともう少しです。』  そう返事を返しておいた。  残りはあとがきを仕上げるだけ。    あとがき  この本を読んだ読者の皆様へ  手を、止めないでください。  そのページを捲る手を、止めないでください。  そのページは字が読めないほど、汚れているかもしれない。  そのページはヨレヨレで、シワができているかもしれない。  それでも、ページを捲り続けてください。  読みたくないことが書いてあるかもしれない。それが原因で、貴方はページを捲りたくないかもしれない。  それでも、ページを捲るんです。  でなければ、希望も絶望も何も無い。  世界から委ねられた二文字を、私達は与えられた形のまま、観測しなければいけない。  それが嫌なら、書いてください。  ペンを持ってください。パソコンを開いてください。希望が無いなら、作ればいい。絶望が嫌なら、避ければいい。  あなたが望む希望を見たいなら、書かなければなりません。ちぐはぐだっていい。オチなんて無くてもいい。必ずしも面白い話を書かなくていいんです。あなたが捲りたいと思うページを、書いてください。  どれだけ周りが暗かろうとも、光は必ずあるんです。  観測するまで分からないこの世界で、必死に生きようとしてください。  あなたが次に捲るページが、どうか幸せなものでありますように。  どうか貴方がその本を閉じるときに、笑顔でいられますように。

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亡霊に囚われて

私を嘲笑った烏 腐ったシオン ナイフを持つ少年 灰色の亡霊 桜陰を渡る風 卒業証書と一片の詩 窓際の寂寞 桃色の亡霊 見上げる入道雲 誰もいない駅 意識を戻す風鈴 青色の亡霊 首元のマフラー 落ち葉を踏むローファー 色付いた鼻先 赤色の亡霊 海に架かる薄明 髪に添う六花 32°Fの吐息 白色の亡霊 絶望と希望の入り交じった 甘い淡い夢 今日も私は 亡霊に夢を見る

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「スタンダップ」

ズキズキと痛む脳内を 青い天蓋は吸い込んでくれない 掴みかけた空想は 砂のように舞ってゆくだけ 綺麗事が僕らを救わないなんて 最初から分かっていたことだったのに どうやらあの時の転んだ傷は 深く傷をつけてたらしい 翼の生えたあいつらは 背中を押してくれるだろうか 分からないんだよ 口ではああ言っていても 本当の気持ちかどうかなんて、誰も知りえないだろう? その心を抉ったものが 俺達には見えないから 浅いか深いかも分からない傷を 撫であって生きるしかないんだよ その心から滴るものを 少しづつ拭わせてくれ しゃがみこんだまま 大事そうに抱えたそれを どうか見せてくれないか すたんだっぷ 「スタンダップ」 Stand Up! 前を見ろとは言わん 進めとも言わん 雨が降ろうが槍が降ろうが その場から動かなくとも構わん ただお前の強さと弱さを知っているから 知った気でいるから お前の背中に手を添えるだけでいいから 1歩踏み出そうとお前が思い立った時に その背中を押せてやれたらなと、 そう思うよ

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藍色の言の葉

僕らに翼がなかったのは、 きっと空の碧さが怖いから。 僕らが翼を創ったのは、 それでも空を掴みたかったから。 僕らに鰭がなかったのは、 きっと海の深さに呑み込まれるから。 僕らが鰭を創ったのは、 それでも海に抱かれたかったから。 僕らに心があったのは、 一人ぼっちじゃなかったから。 僕らに気持ちがあったのは、 他人を大切にしたいから。 僕らが僕らであれるのは、 他人が他人であるからだ。 僕らにあるものはいつだって、 何かと何かを結んでいる。 誰かと誰かを繋いでいる。

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ほんとうに?

翼が白けりゃ天使なのか、 翼が黒けりゃ悪魔なのか。 輪っかがあるから天使なのか、 誑かすから悪魔なのか。 盗みを犯せば悪人か。 人を助けたら善人か。 悪を叩くが正義なのか、 普通じゃないのは悪なのか。 そんなの誰にもわかりはしない。 上っ面で判断するのは勝手だが その軽薄で愚鈍な行為には敬意を表しよう。 火のないところに煙は立たぬが 火のついた原因も知らないで 犯人がわかるなんて なんて天才なんだろう。 そんな天才がこの世に沢山いるなんて、 馬鹿馬鹿しい事この上ない。

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不片

「月が綺麗ですね。」 君はそう照れくさそうに言ってたよね。 私もそう思うよ、今日の月は半月だけど。 いつも私たち愛情を分け合ってた。 いつからだろう、分け合うはずが与え続けてたのは。零れ落ちていたのは。 ねえ、君は今、どこの誰と愛を分け合っているの。 私の月はまだ半分のまま、キラキラと光ってる。 狼に食べられたもう片方を黒くして。

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0.3秒1等星

「またね。」なんて軽く口にできれば良かったのに。 星の大河を挟んで君と二人、いつもこの日を願っていたね。 鵲が橋をつくるこの日。1年に一度だけ会うのを許された日。 僕ら会ったら君と抱き合って、いろんな話をしよう。 一年分貯めに貯めた思い出話を語り合って、また1年後の今日をねがうんだ。 天が泣けば鳥は来ず、星の川は濁流を生む。 だから僕ら誓い合おう。 「天が泣きませんように」って。 「一年後に鳥が飛び立ちますように。」って。 そうすれば、きっと会えるよ。

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肯定されない僕たちは

肯定されない僕たちは きっと静かな海の中 肯定されない僕たちは きっと見えない闇の中 肯定されない僕たちは きっと届かぬ夢の中 肯定されない僕たちは、 自分の居場所を感じない 肯定されない僕たちは 存在意義が見いだせない 肯定されない僕たちは 助けてさえも言い出せない 肯定されない僕たちは 自分の価値が分からない 肯定されない僕たちは 肯定されない僕たちは、 肯定されない僕たちは。 肯定されない 僕らが嫌いだ。

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あと一歩だけ

未完成のお前へ。 このままずっと、未完成の俺たちへ。 お前は自分を見限りすぎてやしないか? 「まだ」死ねないだろう? 「まだ」俺たちの何も終わっちゃいないし、 「まだ」俺たちの全てが決まった訳でもないさ。 諦めるには「まだ」早い。 「まだ」 この言葉を唱え続けてくれ。 一抹の不安と絶望で未来を切り捨てるには 「まだ」早いんじゃないか? 諦めるのも否定するのも「まだ」「まだ」早すぎる。 未来へ希望を。今へ情熱を。過去へ称賛を。 未完成な俺たちができる唯一の抵抗。 ささやかで、でも確かな、ほんの少しの抵抗。 絶望だとか、そんな暗い未来はどうせ誰かが謳ってんだ。 だったら俺たちぐらいは、希望とやらの明るい未来について謳ってもいいんじゃないか? 「まだ」心の底では、諦めきれちゃいないんだろう? 「まだ」やれるさ、お前なら。きっとな。

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漂う

僕らはきっと 生きづらくて、死にづらい。 生きたい理由も、逝けない理由も。 死にたい理由も、死ねない理由も。 きっと色々、あるんだろう? 生きる理由を探しては、死にたい理由に辿り着く。 死にたい理由を見つけては、生きる理由が欲しくなる。 ぐるぐるぐるぐる、同じことの繰り返し。 矛盾を抱えて生きてゆくぐらいの 力が僕らに突然宿りはしないから。 稀有なものなんていらないから。 "あとひとつの才能"なんていらないから。 ただ僕らに、""明日を生きる術""をくれよ。

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