しぐれ
15 件の小説お久しぶりです
お久しぶりです!!!! テストも終わって灰になりかけました、しぐれです。 気分転換にアイコンと名前、変えてみました! しばらくサボっt((殴り こほんっ、忙しくて更新してませんでした(*´ω`*) 更新してなくても、ちゃーんと書いてたんですよ!!!! えらいでしょ、えらいでしょ、えらいでしょ(圧) これからも(?)がんばります♪
幸せは長く続かない
「大好きだよ」 「私も!」 お祭りの日に君と笑顔で手をつないで歩く。 …幸せは長く続かない… 君は簡単に僕から離れていった。 幸せも簡単に僕から離れていった。 そんな絶望の日々。 耐えている僕を誰か褒めてくれ。 どんよりした雨の日。 僕は一人枕の中に顔を埋めていた。 お腹が空いたから出かけることにした。 重い足を無理やり持ち上げてあるき出した。 家の近くのコンビニにしよう。 家から徒歩5分のところにあるコンビニに向かって歩き出した。 君がいた頃はすぐだった。 …ていうか、コンビニに行かなかった。 少し高いお店に行ってた。 …認めるよ、イキってた。君には格好よく見えてほしかった。 あの頃はキラキラしてた。 …それに比べれば、今は…ボロボロのパーカーにジーンズだ。 あの短い距離を長く感じる。 君がいた頃を長く感じることができたら良かったのに… 君は今、どこにいるだろう? 昔みたいに無邪気で飽きっぽいのだろうか? なんでこんなふうに考えちゃうんだろう? もう、ありえないくだらない面影に励まされてる。 わかってる、君は、もう、僕のそばにいない。 同じ世界にいても過去と今の距離みたいだ。 …自分がくだらない。 願っても無駄だ。僕が一番わかってる。 じゃぁ、さようなら…
探し物
宝の地図を見つけた。 黒色の服の謎の男に渡された。 僕にとって大切なものが隠されているらしい。 僕は「大切なもの」というのが知りたかったから、宝地図をもらうことにした。 僕は商店街を出て、駅を通り越して、トンネルを潜って山奥の小さな小屋に着いた。 初めて来たはずなのに、なぜか懐かしさを感じる。 小さな小屋は古いし木造だった。鮮やかな空とは似合わない。 晴れの空は明るいはずなのに僕には雨に見えてくる。 そんな小屋の入り口らしき小さな扉は「ぎしー」と鈍い音を出して開いた。 薄いドアのはずなのに異様に重く感じる。 ドアに入って最初に小さな机があった。 机というよりちゃぶ台。 ささくれがたくさんあるその赤褐色のちゃぶ台は何故か何もかも知っているかのようだった。 そのちゃぶ台の隣には古びた本棚があった。 色落ちしててホコリまみれ。 くしゃみが出てしまいそうだ。 僕は棚を隅から隅までみた。 「ん?」 僕は写真を見つけた。 持ち上げる。 ホコリまみれのその写真を指でなぞってみる。 僕は、そこに見慣れた顔を見つけた。 「あ、これ、僕だ」 僕の探していた「もの」は昔の僕だったのだ。
お使いに出た白兎
白兎は家からちょっと離れた森のお店屋さんにお使いに行きました。 ちょっとくらい森に入った時のことでした。 後ろから一匹の未熟な狼が追いかけてきました。 怖かった白兎は必死に逃げました。 でも、狼は追いかけてきます。 急に白兎は立ち止まって後ろにいる狼に向かって言いました。 「しーちゃん、狼のこと怖くないもんっ!! さっさと出てきて!!」 狼は木陰から顔を出して、キラキラした目で言いました。 「ほんと⁉︎みんな僕のことを怖がってて悲しかったんだぁ!! 一緒にトランプしよ?」 おしまい
灰被りの姫の下剋上 1
私は、エラ。 通称、シンデレラ。 「ちょっとぉ、ちゃんと掃除してちょうだいっ‼︎ …シンデレラ、聞いてるの⁉︎ あんたみたいな役立たずは掃除してなさいっ」 そういい、義理の姉は私に怒鳴った。 「すみません」 「分かればいいのよ」 私は『すみません』としか言ってはいけない。 それが、私。 お父様がいたときはあんなに幸せだったのに… お母様は世紀の美女と呼ばれるくらい綺麗な人だった。そして優しい人だった。はちみつ色の艶々な長い髪で、笑顔が綺麗だった。キラキラしていた。 お父様も有名なイケメンだった。穏やかだけど意志が灯っている目。漆黒の髪に細身の体で高身長。沢山の女性が彼のことが好きだった。 お父様とは政略結婚だったらしい。 でも、2人とも愛し合っていた。 幸せだった。 だから私が幼い頃に母が死んでしまっても、父は私に愛情を注いで育ててくれた。 育ててくれていた… お父様はいつも屋敷にいなくて、私がそれに気づいたのはお父様が死んだ後だった。 このことはさておき、14歳のときのことだった。 お父様が派手な服装をした1人の女性と2人の女子を連れて家に帰ってきた。 そして言った。 「エラ、こちらが新しいお母さんとお姉さんだ。お母さんが死んでしまって寂しい思いをさせていた。ごめんな」 新しいお母さんっていう人はこういった。 「トレメインだわ。エラちゃん、よろしくね」 そして、2人の姉も言った。 「アナスタシアですわ」 「ドリゼラですわ」 お父様がいた頃は継母も義理の姉達も優しかった。 だが、16歳のときのとき、お父様が死んでしまった。 馬車の事故だった。 何億もあった財産はすべて継母のものになった。 そして、私は聞いてしまった。 継母が義理の姉達に言ってたことを。 継母とお父様の結婚は継母の計略だったことを知ってしまった。 ずっとお父様の裏切りかと思っていたが、お父様は一途だった。 「おほほほ。あのおっさん、やっと死んでくれたわ。ずっと邪魔だったのよ。これで、この金は全てわたくしのものよぉ」 聞いてしまったのがバレてしまって、今に至る。 どんなに酷いことをされても私は絶対に挫折しない。 悲しいときにはお母様の最後に言ってたことを思い出す。 『エラの意味は、優れていることって意味よ。エラはきっと幸せになれるわよ』 この言葉は私の励みになっている。 どんなにツラいときでも… そんな過去があった私だが、今は、皇太子妃だ。 優しくてイケメンな皇太子と、夫婦… あはは... 注目がすべて私に注がれる。 視線もすべて私に注がれる。 ちょっと怖いんだよね... さぁ、この国について紹介しよう。 だって、君たち、ずっと私のとこみてる気でしょ。 私にはわかるんだからね。 この国の皇族は女神の血を継いでいる。 いわゆる聖力が使える。 聖力は人を治癒したり神々の加護を与えることができる。 だから、皇帝は聖力があったほうがいいのだ。 国に加護ができるから。 私のお父様も聖力を多少使えた。お母様も。 うちの家門は皇族からきているから。 なのに、私は使えない出来損ない。 私が使いたい聖力には欠点がある。 それは、聖力には限りがあるということだ。一日一回だけ。 これ以上使うと寿命が縮むのだ。 だが、皇族じゃなくても聖力が使える人がいる。 聖女だ。 聖女には聖力が無限に使える。 だが、聖女はもう千年も現れていない。 未来を予言することもできる。 聖女が願ったことは絶対に叶う。 聖女っていう存在はもはや伝説だ。 強い聖力を持っているため、聖女と皇族は結婚しなきゃならない。 聖力が使える血を濃くするために。 しかも、正妻は聖女になっちゃう。 今の私は正妻だが、いつ正妻から降ろされるかはわからない。 「私が聖女だったらなぁ〜」 私は呟いた。 こんなに幸せな生活を手放したくない。 「どうしたんだい、エラ?」 低くって心地よい声が頭の上で聞こえた。 私は顔を上げた。 そこにはイケメンがいた。 そのイケメンは、長めの漆黒の髪、青みがかったあるグレーの瞳だ。 知性的な雰囲気を漂わせている。 「え、アス様?」 本名:アスピラシオン・ノワ・エーデル 身分:この国の皇太子 「聖女が現れても、エラは私の大好きな人だよ」 みてほしい、この優しさを。 本当に優しいの! 「私も、アス様のこと大好きですっ!…なんでアス様、ここにいるんですか? 今日は仕事じゃなかったですか?」 そう聞くと、アス様の表情は一気に暗くなる。 そして声を低くして言った。 「…実は、聖女が現れるっていうお告げが来た」 これについても説明しなきゃ。 この世界には神からのお告げがある。 重要なこととかを伝えてくれる。 最近は平和だったからお告げが少なかったから油断した。 きっと年老いた陛下よりも若い皇太子の方に縁談が来るに違いない。 「え、じゃぁ、私は、どうなるのですか…?」 お告げには間違いはない。 お告げは絶対に正しい。 「…」 アス様は答えない。 「アス様、ちょっと私を一人にしてくれませんか?」 「あぁ」 アス様は私の部屋から出て行ってくれた。 私はソファに座り込んだ。 なんでなの? なんで私だけこんなにも悩むの? 私が聖女だったら... お父様やお母様みたいに聖力が使えたら... アス様と一緒にいられてたのに...ちょっとでも役に立てたのに... 涙が頬を濡らす。そして、水色のドレスに落ちて、水玉模様を描いた。 「お母様...お父様...」 誰か、私をこの地獄から引っ張り出してよ... 「皇太子妃様? 髪を結に来ましたぁ」 張り詰めた空気の中、のんびりした声が部屋に響いた。 「アンかぁ... びっくりしたわ。そうね、お願いするわ」 侍女のアンに髪を結ってもらう。 「最近、皇太子妃様、お疲れですかぁ?」 「え、なんでそうなるの?」 「なんか、最近蜂蜜色の髪が白銀になっている気がしましてぇ」 確かに。 唯一誇れる蜂蜜色の髪は確かに白いところが増えてきた。 私も年なのかな? でも、私、まだ、18だわよぉ〜(゚∀゚)アヒャ 若白髪かしら(*´σー`)エヘヘ 「もし、この髪が聖女の白銀の髪だったらいいのになぁ〜」 聖女は必ず白銀の髪と淡い水色の瞳をしている。 女神、ノワ様が白銀の髪に淡い水色の瞳をしていたからだ。 私の瞳は淡くはないかもだけど、水色。 水色の瞳は結構珍しい。 この王国は濃い青色の瞳か黒い瞳をしている人がほとんどだ。 アス様は黒い瞳だし... この間、アスピラシオンは、1 ...会議場の空気はいつも暗くて重い。 そこで、一つ声がした。 「皇太子様、この件はどうしましょうか?」 「そうだな...? エラは、農村に追放しよう」 エラとは、一目惚れとかじゃない。 もともと聖女が現れるっていうお告げは来ていた。 そして、舞踏会に現れるっていうお告げも同時にあった。 暗い夜の舞踏会で、エラの蜂蜜色の髪が白銀に見えた。そして、淡い水色の瞳。 ...聖女だと思った。 でも違った。 エラは聖力すら使えなかった。 出来損ないだった。 この俺を騙したんだ。 許せない。 早く追放したい。 全く俺のタイプじゃないし。 でも、チョロかったからちょうどいい。 騙しやすいから騙してやろう... 俺は、不敵に微笑んだ。 俺のこの顔面に敵うやつはいないだろうからな。 しかも、この身分だぞ。 ざまぁみろ。 世界は俺の手のひらの中だ。 俺は執事を呼んだ。 「執事、顔の整った平民の女をみんな連れてこい。俺の好みを探す」 「はっ、了解いたしました」 執事はドアから出ていった。 この国を、いやこの世界を支配して見せる。
恋愛、もううんざりだったのに?
私の名前は、一ノ瀬恋羽。恋愛大嫌いの中学生女子でございます。 昔、好きな人がいたんだけど私をかばって死んじゃったから… ってことで自己紹介終了にして…(終わらせるな!)←心の声。 将来の夢は、漫画家。お菓子大好きなの‼︎ほんと美味しい。 てことで、学校行ってくるね。(誰だお前。) 着きました。我が学校。名前なんだっけ… 私は、1年3組だから… 「おはよう‼︎」 大きな声で挨拶するのは学生の義務でしょ。 あ、ちなみに私、生活委員なんで! みっけたぜ! 「そこっ」 「はいっ」 私が声をかけた瞬間に背筋が立つ男子ら。ホントやめてほしい。色々とね。 「着崩しするなぁ!」 あーのこーのやってたらチャイムが鳴り先生が満面の笑みで教室に入ってきた。 「今日は転校生がこのクラスに来ました。皆さん大きな拍手で出迎えてください‼」 パチパチパチとクラス中に拍手の音が広がった。 その音とともに一人の男子が教室に入ってきた。チョコレートみたいな色をしている茶髪、白く透き通るような肌、整った顔。でも、仏頂面。すぐにクラスの私以外の女子が「キャー」と悲鳴を上げた。 「じゃあ自己紹介してください。」 「はい… 今日から1年3組になる如月零だ。よろしく。」 先生は言った。 「一ノ瀬さんの隣が空いているので、如月くんは、そこ座ってね。」 こうして、新学期が始まった。 いい新学期を迎えたけど… 唯一嫌なことがある。それは、クラス中の女子が如月くんを見ていること、そして、その目線の中には私を睨んでいるのもあるってこと!! ほっんとどうにかして欲しいわ。居心地が悪い。 嫌なことも乗り越え学校が終わった。 「よっしゃ! 帰りだぁ!」 私は家へ走って帰ろうとした… その時… 「恋羽!! 待て!!」 誰?? 私を呼び捨てで呼ぶ男子は、この学校にはいないはず! 私は思いっきり後ろを向いた。 すると、私はびっくりして飛び跳ねかけたんだ!! だってその男子は、如月くんだった!! 「何かようです? 私、早く帰りたいんだけどぉ」 「一緒に帰ろう。」 「ひぇ?」 一緒に帰ろうと言って如月くんは私の手を掴んで私の家へ向かう。 え、待って… なんで私の家を知ってるの? ま、まさかストーカー? 「キモい!!」って言って私はおもいっきり引っ張ったけど、如月くんの力は私以上で、抜けなかった。 こうして、私の家についた。 彼は私に鍵を開けさせて中に自分の家かのように入っていった。 「あんた。何者?」 「如月零だ。」 「だから、名前じゃなくて💦」 「実はな…」 彼は実は私が物を大切にする心がうんだ精霊的な存在らしい。だが、彼には一つ重要なところがあった。それは、条件を満たさないと体がすけて消えてしまうらしい。 その条件は、私と彼が直径1km以内にいなきゃいけないこと。難しい条件だ。 「無理だよ…」 「俺は消えたくない」 「ねぇ〜 他に方法はないの?」 「人間になればもう条件は関係なくなる」 「その方法は?」 彼は目を伏せた。 「わからない…」 「えぇ〜 そんなぁ」 クラスの女子に殺される気しかしない… っていうか零はどこに住むのかなぁ? 「あ、伝え忘れた。俺は今日からここに住むことにした」 「はぁ? 私、女子に殺されちゃう‼︎」 彼は言った。 「神様がそこはなんとかしてくれているはずだ。そういう約束だからな」 「それなら良いけど…」 ていうか、ここはほぼ私だけしか住んでないんだよね… 母は仕事、父は死んでったし… このとき、二人の腹の虫がハモってしまった。 「「ぐぅ〜」」 「何食べたい? ご飯作るよ」 「俺は唐揚げが食べたい」 「いいよ。作るから待ってて。」 「おう」 こうして、私のよくわからない生活が始まった。 なんで、こんな生意気な野郎に唐揚げを作らなくてはならないのかと今、思った。 * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * また学校だぁ〜 最悪。 学校自体は好きなのにあいつがいるから嫌なんだよぉ。あいつの名前は零。あの生意気野郎。私の家に住ませてやってんのに感謝の意も示さないんだよね。ほんとに問題児 …ていうかこいつって見た目が子供のだけで中身は精霊みたいなものなんだっけ⁉⁉︎じゃあ問題精霊? なんだろう… ま、とりあえず生意気だから名前で呼ぼっと。 あぁ〜 学校ついたぁ〜 最悪ぅ〜 「「「きゃあぁぁ 如月くぅーん」」」 はいっ始まりました「きゃあ」の嵐。その原因を作った如月零容疑者は、涼しい顔して優雅に歩いている。 やっとついた教室。私and零が入ってきた瞬間にみんなドアの方を向いてくる。零って人気だなぁ〜 てか、先輩も来てるし。めんどすぎぃー * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * その後、授業中でも視線を浴び、休み時間でも視線を浴び、どこに行ってもついてくる(ストーカー?)、人がたっくさんいた。このことが三週間も続いた。私って目立つことにはなれてるけど、あの女子たちの目からは怒りや、羨ましさが溢れている。私の心はぎこちなかった。 これだけなら良かった。ただ、一つ絶対に零を許せないことがおきた。 私の大切な大切な友達(女子)に嫌われてしまった。彼女は、クラスでも一番と言っていいほど可愛くておしゃれな女の子。名前は、綾瀬桜織(あやせさおり) 私が認めてる、一人だけの女子の友だち。幼稚園の頃からの友達だった。 さおちゃんと、私は、恋のライバルでもあったし、大切な幼馴染。 もうひとり、幼馴染がいたんだけど、去年私をかばって死んじゃった。 私も、さおちゃんも彼が好きだったんだ。 これも全部零のせいじゃん‼︎ 私は零の前で大声で叫んだ。 「零なんか、零なんか、消えてしまえぇぇぇぇぇ‼︎」 私は走って家に帰ってしまった。 私は、自分の部屋に閉じこもった。自分から逃げ出したけど零が可愛そうだから(反省してます)鍵をポストの中に入れといた。零はポストを開けられるからね。 「ガチャ」 零が家に帰ってきた。絶対許さない。 「コンコンコン」 絶対に零じゃん。もう嫌だ。あいつなんか嫌い。 「こはねぇ。ドア開けてちょうだい」 何だ母か...ん、久しぶりに帰って来たんだ… 「いいよぉ入って…」 母は遠慮なく部屋に入ってきた。そして私の顔を覗いてきた。 「あ〜 見ないでぇ〜 今、泣いたばっかなのぉ」 母は優しく目を細めて話しかけてきた。 「どうしたの? こはねぇが悲しむだなんて珍しいねぇ」 あ、母には零のこと伝えてなかったんだっけ… 「そういえば、さっきソファーにいた男子ってなんか亡くなったこはの幼馴染じゃない?」 「だれ?」 「玲とかいったかなぁ」 このとき、私の頭の中がピカピカってきた。 「玲‼︎」 あいつ…去年死んだんだっけ? 交通事故だっけ… ん? そういえば零って玲と似てる⁉︎ 私は自分の部屋から飛び出した。そして、ソファーに向かって走った。あいつ、何しに私のもとにきたの? なんで、死んじゃったの? 私、あいつのこと好きだったのになんにも伝えられてなかった。 「零⁉︎」 彼はのんきに言った。 「なんだぁ?」 「あなた、玲でしょ?」 「変なものでも食ったか? 俺は零だぞ」 「違う‼︎ 零の前世‼︎」 ん、待って… 零はれいって読むし、玲もれいって読むじゃん⁉︎ 私はノートをビリっとちぎってマーカーで書いた。「零」と「玲」って。 その紙を見た零は目を大きくあけ、びっくりしているようだった。 彼は後退りながら聞いた。 「な、なんで…気づいたんだぁ?」 「あんなにわかりやすいのわからないやついないよぉ」 彼は、生前と同じように王子様のように優雅に歩き、近づいてきた。 「なんでここにきたの?」 彼は、鼻と鼻がくっつきそうなぐらい近くまで来て言った。 「君に伝えたいことがあるからだ」 「え、何?」 自分の心臓の音がわかる。私は、感情の制御ができなくなった。そう、思いっきり零(玲)を蹴ってしまったのだ。 「うぎぇ」 あいつの生前でも聞いたことないような声が出てきている。この声を聞いてやっと我にかえった。 「ごめん💦 ごめん💦」 「また、殺されるところだったぁ〜」 「てか、もう死んでるでしょw」 彼は、急に真剣になった。 「まぁ、もう死んでるが、神様に頼んだらもう一回チャンスをくれた」 「おー良かったじゃん⁉︎ 「だが、条件があるんだ。前も言っただろ? 1km以内にいなきゃいけなんだ」 玲は少し強めに言った。 「あーそうか」 「ていうか、さっき俺、消えかけたぞ」 「えっ‼︎ごめんね」 「ごめんで済むとでも?」 「うん」 「どこがだ‼︎ お前は今も昔もかわんねぇな」 「そういえば零、これから、『零』と『玲』どっちで呼べばいいの?」 「学校では『零』、家や二人の時間は『玲』……でいいか?」 こうして、零いや、玲との生活がもっとつづいてほしいと初めて願った。 今日も、玲と学校。一緒に学校に行く。玲って生き返ってもやっぱかっこいい…… 私はそんな彼に見とれていた。 その時、 「どうしたんだ?」 「いいや、なんでもない」 「お前は照れ屋だなw」 顔が赤くなってる…絶対‼︎ 悲し………… でも、こんな気持ち、久しぶり。 こうして、私は自分の初恋の人と一緒にまた、学校に行った。もう、一年も玲と学校行かなかったなぁ…なんて考えてた。彼、去年死んだから………… 学校は、早かった。好きな人と一緒にいるのは最高だった。てか、ずっと顔真っ赤だった。モヤモヤするような、心が踊るような……不思議な感覚。これが恋愛なんだろう… 「おいボケ」 ぼーっとしてたら急に零が話しかけてきた。(只今学校) 「あーごめんごめん」 なんだか、ぼーっとすることが増えた気がする。 学校について、当番活動をしようとしたときに、クラスのうるさい男子が話しかけてきた。 「一ノ瀬さん。最近ぼーっとしてますねw」 ついにアイツらにも気づかれてしまったか。 「なんか恋でもしてるんですか? 恋羽さんって漢字にも恋ってはいってますからねw」 「黙っといて‼︎」 男子らが「やべぇ‼︎ 鬼だ‼︎ 逃げろ‼︎」って言う前に零が私の前にでてきてかばってくれた。 「俺の恋羽に手をだすなぁ‼︎」 この鬼、ちがう。モンスターみたいな顔をした零にみんなびっくりして逃げた。私も。零って前世も正義感強かったなぁ〜。変わってないじゃんwww 階段でクスクス笑ってたら、零がきた。 「なにわらってんだぁ?」 「なにってw 零が面白いからじゃんw。あと、ありがと。嬉しかった」 こう言うと、零はてれたように言った。 「お前の家に住んでるんだからこれぐらいはしないとだろ?」 家にかえったら、玲に勉強を教えてもらった。私は勉強苦手だから…でも、玲は勉強もできて、かっこよくて完璧な人間(今は人間じゃない) その日、夢で玲が死んだ日のことを思い出した。 あの日は、地区の運動会がもうすぐだった。私と玲は同じ地区だから、同じチームだった。 その日、玲は私をかばってトラックにひかれた。私は、玲の母にそのことを言おうとしたら玲に止められた。彼は、救急車に運ばれた。私は、彼が病院で呼吸器をつけていたのを思い出す。玲は、顔も良くて、勉強もできて、身長も高いし、運動もできるスーパーマンだった。だけど、唯一、それは体が弱いことだった。しょっちゅう入院したり、救急車に運ばれていた。だから、体の弱い玲を玲の父も母も玲をそんなに大事に思っていなかった。だから、あの日も玲の病室にこなかった。私は、一緒に救急車の中に乗ってずっと玲が元気になるのを祈っていた。病院につき、緊急手術をうけた玲は、病院のベットで寝ていた。苦しそうで痛々しい傷だらけの姿を見て私は泣きそうになった。私のせいで…私のせいで… 目から塩水が滝のように流れてきた。玲のところに走っていった。私の涙が彼の頬を濡らす。 「玲‼︎ 玲‼︎ しっかりして‼︎」 私は叫んだ。すると玲は、 「…なんだ」 と短く言ってゆっくりと目を開けた。 今度は私の目から嬉しさの涙が流れた。 「なんだ。生きてたの?」 「失礼だな。死ぬわけねぇだろ。てか、もう泣くな。心配させた代償として来週の地区の運動会で一緒に優勝する」 「本当 ?」 「俺が嘘ついたことあるか?」 「ある」 「はぁ?」 いつものように会話をしていた。だが、お別れは早かった。急に玲が苦しそうに「うぅ」っと唸りだしたのだ。心拍数も減っていく。私の目の前は真っ暗になった。「ピー」という音しか聞こえなかった。気を失う前に玲は言った。 「待ってろ… またお前のそばにいくから…しばしのお別れだ…………」と この言葉信じてよかったかも… だって、またこうやって会えたんだもん。大好きな彼に。 「お……き………ろ…おき…ろ」 聞き慣れた声で起きた。 その声の持ち主は、もちろん玲。彼の顔を見た瞬間に私は泣いてしまった。 彼にもう消えてほしくなくて、目の前から消えてほしくなくて、こんな私で申し訳なくて。 泣き出した私をみた玲はびっくりしてから、おどおどしていた。そして優しい声で優しく私の背中をさすった。 「どうしたんだぁ? 気持ちよく寝てたのにおこしてしまってごめんなぁ なくな。許せって」 「違う。」 「どうしたんだ?」 「玲の死んだ日の夢を見ちゃった。悲しくて泣いた。」 彼はなぜか顔が真っ赤。 「どうしたの? 熱でもあるの?」 「いいや。お前に心配されてたのが嬉しくて…」 「何よぉ。いつも心配してあげてるでしょ」 「そうだな。ありがとう、恋羽」 キューピットが私の心を射った。 「あのね、玲。私、伝えたいことがあるの」 「なんだ」 「玲がまた、私のところに来てくれて嬉しかった。ありがと」 「約束は守る男だからな」 「玲、もう消えないで」 ついに言ってしまった。彼は私を抱いた。そして言った。 「もう、消えたりしないから安心しろ」 「良かった」 その後、玲は何も言わないで黙っていた。 「玲?」 そして、「ドンッ」という大きな音を出してベットに倒れた。 「玲⁉︎」 玲の目は閉じていて、動かなかった。おでこを触ると、すごい熱い。熱があるようだ。私の体から冷え汗が出る。ヤバい。私は、台所に行って水を取りに行こうとした。その時、玲が私の腕を掴んだ。 「恋羽、行くな… そこにいてほしい…」 「わかった。でも、とりあえず救急車よぶ?」 「や、やめろ… 大げさにすん‥な…」 「いいけど… 熱、下げなきゃ。」 ん? なんか、パーカー着てるな?脱がせちゃえ‼︎ 「玲、そのパーカー脱げる?」 「あぁ…」 「玲、私のべットで寝ていいから体調直して💦」 「はぁ、はぁ…」 玲の荒い息が聞こえる。苦しそう。玲ってよくこうなってたな… 「ちょっと待って、水と冷えピタと解熱剤持ってくるから」 「はぁ、はぁ」 ……‥‥‥…… 「玲、持ってきたよ」 「感謝…す…る…」 「座って。もしかして座れない?」 「ちょっと…苦し‥い‥」 「よいしょ。はい、のんで。」 「あ…りがと」 「寝て、回復して。今日の学校は、欠席にしておくから」 「あぁ…」 「あと、なにかあったら、救急車よんでね」 こうして、私は熱を出した玲に家でお留守番させて学校に向かった。でも、ずっと不安だったから下校したら全力ダッシュで家に帰った。 「ゲホ、ゲホ」 玲が咳してるのかな? 風邪、悪化しちゃったのか… 「玲、大丈夫?」 「あぁ」 「あ、良かった… ていうかなんでそんなに私に離れてほしくなかったの?」 玲は恥ずかしそうに言った。 「お前は、俺の彼女だ。まだ付き合ってないが、彼女にしたい…」 「え、からかわないでよぉ」 「俺は本気だ」 私は急に立ち上がった玲に壁まで追い込まれた。そして、隣の壁に「ドンッ」という音を立てて手をついた。これが、よく言う壁ドンなのか⁉︎ 「俺は、恋羽。お前が好きだ。優しいお前が好きだ」 玲の頭、どうかしたのかな? こんなやつが好きだなんて。絶対おかしい。あんなに完璧男子の玲がこんなやつ…好きだなんて… 「冗談いわなでよ‼︎」 「冗談じゃない。一回言ったが、俺は、本気だ」 「えっと… 今日に、返事はできないよぉ… またいつか‼︎ ねっ‼︎ いいでしょ‼︎」 彼は、手をどけた。 「わかった。絶対返事くれよ」 彼の、悲しそうな表情を見て気づいた。私は、彼を傷つけてしまったと。 急に申し訳なくなった。 「玲… じゃあ、お試しで1週間付き合ってみよ」 「1週間な。わかった」 こうして、私は、玲と付き合うことになった。 あの、イケメンの完璧野郎と。 * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * 今日は、学校。また、学校。あいつと行く学校。付き合ってから、初めて行く学校。 昨日は、なんであんなことを言ったんだろう? 思い出すだけで恥ずかしい。 学校の様子? 相変わらず女子からの視線はすごいけど、玲がいるから大丈夫。 何故か、彼は、私の心を支えている。 「なぁ恋羽、今度一緒に遊びに行こうぜ。久しぶりにな」 なんで急に? 「いいよ」 でも、玲が誘ってくれてるんだ。 断るわけない。 「決まりな」
不幸「実は私…」
海 オレンジ色に染まった夕日を背景に黒猫が目の前を突っ切る。 殺風景な河川敷の上で僕は隣りにいる君に話しかける。 「不吉なことが起こりそうだな」 君は言う。 「そうかなぁ? イギリスだと黒猫は幸運の象徴だよ。それに...」 「それに?」 大股で一歩前に進んで後ろを向いて僕を見て君は無邪気で明るい笑顔で言った。 「海がいれば、私は安心なの」 愛おしすぎる君の笑顔をみて僕はつぶやく。 「祷莉…」 君は知らないかもしれない。 本当は君を世界の果てからでも守ってあげたい。 でも、僕は、生きるために君を殺さなきゃいけない。 どうしても呪いをときたいんだ… もう……あの夢を見たくない。 ごめん 祷莉 私は海が好きだ。 無表情を徹底したいらしいのにちょっとずつ変わる表情が好き。 でも最近は様子がおかしい。 私の顔をみると急に悲しそうになる。 目を合わせるとすぐにそらす。 まるで何かを隠しているようだ。 「海、急に私の名前を呼んでどうしたの? ……ねぇ、海!!」 「はっ、あ、ごめん。考え事をしてた。」 そう言う海に私はおかしくなる。 「海にも悩みってあるんだね」 海にはいつもしっかりしてるイメージがあった。 付き合ってるのに知らないって、私…もっと海について知りたい。 「ねぇ、海。今週の土曜日デートしよ?」 「いいよ」 あなたを私の虜にしてあげる。 海 祷莉とのきっと最後のデートになる、と思いながら人の混む駅前通を僕は歩く。 ズボンのポケット中に入れたナイフの重みが僕の気持ちも落ち込ませる。 「ピロリン」と音がして通知音がなる。 祷莉からだ。 『もうついた』と書いてあるスタンプを僕は見つめた。 『もうすぐ着く』と返信をし、僕は歩き続けた。 しばらく歩くと手を振っている君を見つける。 僕は小走りになる。 「ごめん、待たせた」 「私が早く着すぎただけだから大丈夫!!」 君の動き一つ一つを目に焼き付ける。 ひらひらのついた白い大きめのブラウスに膝上のスカートにレースを身につけた彼女は綺麗だ。 「どうしたの? もしかして、私が可愛すぎて見惚れちゃった?」 「そうかもな」 普通のカレカノみたいな会話を交わす今だけ僕は普通の高校生になれた気がした。 祷莉 海が私に見惚れるのは当たり前。 海の好みに合わせたんだから。 顔に無邪気で明るい笑顔を貼り付けておけばいい。 あなたはすぐに私の虜になる。 「見て、グレープある!! グレープ食べよ? 私、おごるね」 「いいよ。あと、『グレープ』じゃなくて『クレープ』な」 知ってるよ。わざとだもん。 あなたは天然系女子が好きだからね。 罠にはまったね。 海 今日、君を殺す。 僕は2人きりになれるタイミングを計る。 「で、海はどのクレープにする? 私は、チョコバナナにする」 「そうだな… 僕もチョコバナナで」 「おーけー」 祷莉に注文を任せて僕は近くのベンチに腰掛けた。 祷莉 クレープに毒を盛ろうかな。 私がなにも考えずに奢るわけないじゃない。 海、どういう表情するかな? 私は海のクレープに毒を少量(血は吐くが意識がある程度)盛った。 「はい、あげる」 「感謝する」 食べてね。 海 祷莉に奢ってもらったクレープを僕は頬張った。 祷莉、ちゃんと貯金したんだな、偉い。 祷莉の成長を心から喜んでいる時だった。 「ヴ… ゲホッゲホッゲホッゲホッ…」 僕は急に咳き込んだ。 え、血? 毒、盛られた? でも、誰に? もしかして祷莉? 「海‼︎‼︎」 こんなに心配してるんだ。 しかもこんな純粋な子がそんなことしない。 「海、とりあえずお手洗い行ったほうがいいね」 僕は無理してこたえた。 「ん…ゲホッ」 祷莉が肩を貸してくれて俺は立ちあがった。 とあるビルの中に入った。 廊下には誰もいなくて、静まり返っていた。 僕はここで祷莉を殺そうと思った。 苦しいが、多分、今しかチャンスはない。 俺はポケットからナイフを取り出して祷莉の首にまで近づけた。 すると祷莉はナイフを取り上げた。そして言った。 「私を殺したかったの? 上等ね。私があなたに止めをあしてあげる。楽にしてあげる」 瞬く間にナイフは僕のみぞおちに刺さった。 「毒を盛ったのも私よ。人が苦しむのっていいわね。実は私…サイコパスよ。」 え、なんで… なんで… なんで… なんで… な、んで… な…
『生きてね』
「ねぇ、唯朱。 返事、してよ。 もうすぐ、僕らの記念すべき日だよ?」 僕は葬式中に冷たくなった君に言った。 まるでょっとした昼寝の最中かのような感じの君に向かって言った。 あの明るい笑顔はどこいったの? ねぇ、おいてかないでよ。 「一緒にいようねっ!!」って約束したじゃん。 なのに… この手紙は何? 『死なないでよねっ!! 私がいなくても、生きてね!』 「嘘つき…」 僕は呟いた。 自殺、しないでよ。 君のあとを追うね… 待っててね。 その日の夜。 僕は、君のいない夜は嫌で、自分で自分を薬漬けにした。 血をたくさん吐いた。 泡も吹いた。 めまいもした。 苦しいはずなのに唯朱が死んだことがショックすぎて何も感じなかった。 当たり前だが、予想通り、僕はあの世に行った。 何故か嬉しい気分だった。 自宅で発見されたときにはもう…。 僕は、三途の川を通り越して君を探した。 少しぐらい待ってくれたっていいじゃん… 「あ、頼斗」 聞き覚えのある声がして、僕は後ろをふりかえった。 「唯朱!!」 明るい笑顔で泣きながら抱きついてくれるかと思ったら、君はこういった。 「来ないでよ。私、頼斗のこと嫌いになったの。」 かえってきたのは、明るいお花畑のような笑顔ではなく、冷たい視線だった。 「え、え、なんで…」 僕は頭の中が真っ白になったのがわかった。 「死ねたのよ? やっと、頼斗と分かれることができたって思って嬉しかったのに… だから、生きてねって言ったのに、ばっかじゃないの? そういうところが嫌いなの!!」 え、え、 「さっさと消えてよっ!! ここに頼斗のことを想っている人はいないわ」 悲しいよ、唯朱… 僕はそこで泣き崩れ、気絶した。 「かはっ!!」 白い天井。 ピ、ピ、と鳴り響く機械音。 消毒液の匂い。 あぁ、ここは病院だ。 助かってよかった。 唯朱になんか二度と会いたくない。 お願いだ。 誰か、僕を死なない程度に、そして世界を薬漬けにして。 『本当は大好きだよ、頼斗… でも、死なないでほしかったの。ごめんね』
恋の奇跡
おしゃれが大好きな紋には好きな人がいた。 もう、半年もその人に恋をしていた。 だが、明日その人が遠くに引っ越してしまう。 「もっと話したかった… 告白したかった…」 紋は呟いた。 すると、紋は濃い霧に包まれた。 「え、え、何?」 しばらく困っていたら、一匹のもふもふの白兎がやってきた。 「か、かわいい…」 うさぎが大好きな紋は兎についていった。 そして兎は白いドアの中に入って消えてしまった。 「なんだ…飼い兎か…」 そのドアには白いゆりが描かれている。 開けちゃいけないのに、何故か開けたくてたまらない。 欲望に耐えられなくてついに紋はドアを開けた。 チリンとここち良いすずの音がなりドアが開いた。 「いらっしゃいませ」 穏やかでゆっくりな透き通る声がした。 その声の持ち主は一人の青年だった。 年は20歳前後だろうか、爽やかな雰囲気をまとっていた。 瑠璃紺のスーツを身にまとい、オーキッドのネクタイをし、伽羅色の緩やかに巻いた髪をしている。 そして、金縁の丸メガネで優しく穏やかな表情をしていた。 「こんにちは… あの、ここって何屋ですか?」 紋は、ちょっと怖かった。 店主らしき青年は優しそうだけど、お金も持っていない自分がここに入っていいのか… 青年は微笑んで急に言った。 「ここは、あなたの会いたい人に会える店です。」 紋は戸惑ったが嬉しいと思った。 じゃぁ、彼にも合える!! 告白できる!!と思い興奮した。 「私に買わせてください!!」 青年は嬉しそうだ。 「その言葉を待っていました。」 紋は飛びたくなるくらい嬉しかったが、なにかが心に引っかかる。 そして、はっと気がついた。 「…でも私、お金持ってないんです」 出直すしかないか…と紋は残念に思った。 ところが、 「大丈夫ですよ。代金はお金ではないので。代金はあなたの会いたい人との思い出の品です。」 紋は即座に言った。 「なんでも上げますっ。なので、なのでっ、お願いしますっ!!」 店主は微笑み、棚からきれいなビーズを取り出した。 「はい、こちらですね。あと、自己紹介をしましょうか。私、魔法使いのラクリマ・トリスティティアともうします。」 ラクリマは、紋にビーズを渡した。 「使い方を教えますね。こちらのビーズは、ばったり会うことができるものです。たとえどれだけ遠くに住んでいても大丈夫です。ここで彼と会いたいと考えてこのビーズを割るのです。」 ビーズはお花畑を吸い取ったかのような綺麗さだった。 紋はビーズに魅了された。 「では、代金をいただきましょうか」 とラクリマは言った。 絶対あれがいいと考えていた紋はびっくりした。 なぜならば、紋の手にその彼と買ったキーホルダーが乗っていたからだ。 「これですっ。」 それを見たラクリマは微笑んだ。 「これは、いいですねぇ… 思い出が詰まってます… 買っていただいたお礼として、ココアを頂いっていって下さい」 ラクリマは紋の前でココアを作った。 あまり甘いものは好きじゃない紋だったが、ラクリマの作るココアは美味しかった。 飲み終わった紋は家に帰ることにした。 帰り側にラクリマは言った。 「あなたが思っている以上にこの恋はうまくいっていますよ」 早速紋はそのビーズを割った。 彼に公園で会いたい、と。 だが、何も起こらなかった。 紋は後悔した。 その悲しみは大きかった。 詐欺にあった。よく考えるとビーズを割っただけで合えるだなんて絶対にありえない。 こんなもののために彼との大切な思い出の品を失ってしまった。 その時だった。 公園から帰っている途中で後ろの方から紋を呼ぶ声がした。 その声はとても聞き覚えのある声だった。 「え、瑠?」 その声の持ち主は紋の好きな人だった。 「うん、僕だよ。まさか魔法使いから買ったビーズにこんなに大きい効果があったなんて思いもしなかったよ」 「瑠もビーズ買ったの?」 「うん。君に会いたかったんだ。紋、聞いて。僕はずっと君のことが好きだったんだ。おしゃれな君が好き。優しいけど厳しい君が好き。たまに気が抜けちゃう君が好き。僕は引っ越しちゃって遠距離になっちゃうけど、良かったら僕と付き合ってくれない?」 紋は自分の目頭が熱くなるのがわかった。 だが無理矢理引っ込ませた。 「もちろんだよっ!! …あのね、私も魔法使いからビーズを買ったの。もちろん瑠に会うためだよっ」 紋はやっと理解した。 ラクリマは彼がビーズを買ったことを知っていた、だから、『あなたが思っている以上にこの恋はうまくいっていますよ』って言えたんだ。 不思議で不思議でたまらない。
未熟な僕は君を殺した
「ね、なんで刺すの? グハッ」 「シゴト…だからだ」 カランと金属が落ちる音がして俺はやっと正気に戻った。 あぁ、またやってしまった。 倉庫の中で人を殺すなと、あれだけ会長に言われたのに。 血の匂いのするホコリっぽい倉庫の中で、俺は血の付いた包丁と刺され血を吐いた君ををみた。 お前が誰のことを虐めたって俺は我慢したかった。 したかったんだ!! だが、今回は無理だった。 お前が10回アイツを虐めてたからな。 いくら地味で目立たなくてゴミ箱がお似合いだとしても、人をいじめるのはおかしいだろう。 この感情を「悲しみ」と言うのだな。 もう、何回も人を殺して来たのに… 俺は未熟だ。 初めて感じるこの感情に俺は吐き気がした。 別の人を虐めるのだけはやめといた方がいいって言ったのに… 自分の無力さが切ない。 そういえば、シゴトをするために転校してきた俺に最初に笑顔で話しかけてくれたのも君だったよな。 初めて誰かから話しかけられた。 俺も人間扱いされていいんだって思って、あのとき、俺は救われた。 次のターゲットは絶対君じゃないって確信したのに… なのに、なんでアイツごときをいじめたんだ? お前とは、品も性格も違うではないか。 俺としたことが… こんなことを考えてても無駄だ。 … 俺は人を虐めたやつを殺す仕事をしている。 殺し屋、なのかどうかは自分でもわからない? 生きるため、だ。 だから、血も涙もいらない。 「感情」なんて邪魔者だ。 いるのは人を刺す刃物と腕力と演技力ぐらいだ。 誰かが虐められてるのを見たら、本能的にそいつを殺してしまう。 殺したくなくてもだ。 そういうふうに教育されてきたのだ。 びっくりしたよ。 まさか、お前がターゲットだったとはな。 奇遇だったな。 君も可愛そうだ。 こんなのに殺されるだなんてな。 さぁて、どうやってこいつを隠すか… 骨にしたほうが腐らないし、いいだろう。 小さくなるしな。 悩んでいたその時、俺の視野に大量の黒いカプセルが見えた。 そうだな、あそこのカプセルで隠すか。 これでくまモンの形にしてを作って、そのまま一つのカプセルに骨を一つって感じでお前を中に隠すとするか。 ご、誤解するな。 確かに君はくまモンが好きだったが、ここは熊本だし、くまモンは、あくまで、怪しまれないようにするためだ… 赤はお前の血で塗ればいい。 他は… お前のスカートだな… おしゃれとシンプルが大好きな君らしく、スカートは白だ。 ちょうどいい。 また、お前に救われたな。 … 地獄で待っていろ。 一緒に地獄を歩こうじゃないか。 いくら恨んだって構わない。 いくら怒ったって構わない。 もう、時間だ。 俺は前髪をかき上げ、眼鏡とマスクを外した。 さぁて、次のシゴトはどこかな? 次は君の好きだった性格を演じようじゃないか。 くまモンごめんね… かわいいキャラクター=くまモンってなっちゃったの by蓬