病葉
322 件の小説病葉
SF、ファンタジー、ミステリー、コメディが好きで、本、映画、ドラマ、どれをとっても鑑賞範囲が狭くて 自分好みな話を好き勝手に書いてます でも、読んでくれたらとても嬉しい 水瓶座 宜しくお願い致します
雨降りお月さん
「雨は阿保々々」 変な歌を歌ってる 「降る降る、じゃないんか」 「フールフールだろ、阿保阿保、だろうぜ」 それは如何でも良いが、月に流星雨が降っている ぼくと稲村君は象さん型宇宙船に乗り、月を交わして地球に向かおうとする流星があれば象さんの鼻に内蔵した波動砲で破壊せむと待ち構えていた しかし、流星雨は全て滞り無く月に向かって落ちていく ぼくらはただ見てるだけでいいみたいだった 「さあ、世紀の大パノラマが始まるぞ」 月の裏側なので地球からは見えない 見物人は我らだけである 「地球の幸運は月には迷惑だなぁ」 ぼくが言うと、稲村君は 「小さなアバタが少し増えるだけだろう、月は気にせんさ」 と答えたが、これがびっくりで、そうではなかった 星が集中的に降ってきそうなその辺りに突然真っ黒な穴が幾つか開いたのだ 「なんだ?」 と稲村君が呟く 「月のブラックホールか」 ぼくが答えるのとほぼ同時にブラックホールから光線が出て付近に落ちそうな流星を、片端から粉微塵にした それを見て稲村君が叫ぶ 「うーん、巷間に言われるが如く、月はなんと宇宙人の基地だったのか? 基地が月にあるのか? 月そのものが基地なのか? 大問題になるぞ」 ぼくも答えて、曰く 「ブラックホールからは光も脱出できないと言うが、光線が出てきた これも宇宙論的問題になるよな」 稲村君はぼくをチラッと見て、呆れたように首を振った あとがきです サムネの絵はガブリエレ・ミュンターの模写 アートしてるつもりのあーとがき ふん😤 最近、ツキ、運、等について考えてる ついているとかいないとか 運がいいとか悪いとか 普段の会話で普通に使っているけれど…… これってやはりオカルトなのかなあ 現代科学では説明できない事象であるのは確かなんだけど あるのかなあ? ないのかなあ? 私は『ある』と思っているけどね
かけていく月
みちていた月が やがてかけていく どこへいくのだろう そらがさみしくなる あとがきです サムネはガブリエレ・ミュンターの描いたワリシー・カディンスキーのポートレートの模写 絵描いたけど、絵だけはまずいよね、と詩をつけました これ、詩?、というのはさておきまして…… 地球を見捨てて駆け去っていく月 🌏 🌕 何処へ行くのだろう? 地球の空が寂しくなるなあ、という詩です この地球を見捨ててかけ去って行く月のイメージが面白いかなあって 月は一万五千年前まではなかった、という説がYouTubeにあります 月は人工物だという説もあります 地球を捨て、再び、宇宙に旅立つ月 かけていく月 恋の日は短く あとがきばかりが長い🤓
ZOO にズー
彼は死んでいた 虎の檻の前で 一日中ずーっと動物園に居て銃で撃たれたのだ 子供の頃からずっと来たいと言っていた動物園だった 「如何いうことだ?」 とA警視は尋ね、B警部が答えた 「動物園はズー(ZOO) つまり、ですな、子供の頃からずーっとズーに来たいと望んでいた男が、やっとズーに来て、それで一日中ずーっとズーにいて、結果、ジューに撃たれて死んだと、そういうことでは?」 「白昼堂々ズーでジューを撃つとは」 「ズーズーしい奴ですね」 「わかったぞ、犯人は津軽人だ!」 「なるほど」 あとがきです サムネはカディンスキーの下手な模写 もっと明るいんですけどね、なぜか暗い 明るい色の出し方がよく分からないのであります カディンスキー、偉そうな顔してる、ああいう顔つきのお方は嫌いなんだけど、絵は好きですね 作者と作品は別物であると考えませう お話はズーズーで津軽人と、ズーズー弁に引っ掛けてるだけで深い意味はない…… というか、お話自体に意味はない ただの駄洒落で…… 最近は小道迷子氏の漫画が気に入ってて、あの訳のわからない処がいいな、てね それで意味不明なお話を書きたいと思いまして、しかし、あまり巧くいってないなあ 別にいいのでありませうが これの前の話のあとがきで、二五年七月に大地震か隕石の落下で災厄が訪れると云うのを書きました 去年も東南海地震が起こると云う気象庁が発表した地震予知がありました 何も起こらなかったけどね こう云う科学的予知とただの予言が如何違うかと云うと、科学的予知には怪しげではあるが何らかの根拠があり、予言には何の根拠もないと云う事でせうね 予言とは未来からの風を受けて知るのか? 現在の状況から類推してるのか? 全て妄想なのか? 難しいですねえ
< 多才な >
小町娘が源内をじっと見つめて 「多才ですのねぇ」 源内、ちょっと照れて、髷で遊びながら 「いや、ほんのザーサイ(雑才)です」 あとがきです テレビのニュースでやってて初めて知ったのですが、2025年7月に日本の近くで大地震大津波、或いは隕石の落下かなんかが起こって大変なことになる、という予言があるそうです 知らなんだ 貴君ももし知らなければ、七月大地震でネットで検索していただければ出てきます うん、こういうの好きでねえ 方々を見まくっておりました あるのかねえ? ないとは言えぬ、とわらわのオカルト趣味が申しております ノストラダムスの予言、ラスプーチンの治癒能力など信じてる方だからねえ テレビでは科学的に証明されたものではないから…… と言ってましたけど しかし、科学的に証明されたものなんかあるのかねえ 進化論、これは化石などから考察するに、あるだろう、ないとは考えられぬ、と しかし、原理、原則は科学的には証明できてない ビックバン宇宙論 時間も空間もなくてただ密度無限大の点があつた 始まりの時に、それが爆発して四方八方に広がっていった ブラックホールの比ではない密度の点であるから飛び散った物質は全て引き戻される筈なのだが、その時には現在の法則はあてはまらなかったのである 点は何故あったのか? その点は何故爆発したのか? 始まりの時について語るのは無意味である、という 人知の及ぶところではないから 創造の時、つまりは神の領域であるから? つまりは、要するに、宇宙の存在も科学的には証明されておらぬ オカルト、科学的に証明されぬもの つまりは、進化も宇宙の存在もみなオカルトの範疇にはいるのだろうか サムネはアレクセイ・フォン・ヤウレンスキーの絵です
タロットカード
「今夜の予定は?」 恭子がきくので、何をしようとおれの勝手だろうとは思うけど、機嫌を損ねられても困るので一応答えておいた 「太郎とカードをするつもりだ」 「まあ、占いするなんて、意外だわ」 「えっ?」
獏が爆死
春眠という名の獏が地雷を踏んで爆死した 「赤土の場所には地雷があるから入っちゃダメと口を酸っぱくして言ってたのに」 恭子が嘆くので 「仕方ないよ」と慰めた 「だって、春眠赤土を憶えずって言うから」 あとがきです うーん、まともな話を書く気力なく、絵描いて、ついでの駄洒落的小品であります 絵🖼️は獏に乗った夢先案内人かな 獏は悪夢を食べてくれる動物 現実の獏は一風変った動物だそうです 悪夢を食べてくれる獏と現実の獏の関わりはよくわかりませんが
小塚原で小突かれて
首なし女に小塚原で小突かれた 「あたしの首を探して」 小塚原に首なし女は有りがちな存在だが構ってはいられない おれは忙しいのだ 「自分で探しなよ。首ならこれみよがし並んでる」 と答えたが、首なし女は振る首がないので、両腕でバツを作った 「首がないから目がなくて見えないんです」 「首がなくて口がないのに喋ってるじゃないか」 「これは腹話術です」 腹話術も口で話すだろうと思ったが、まあ芸も色々だ 「頭がないのに考えてる」 「女は頭で考えるわけじゃないんです」 そうなのか まあ、いいか、首がないにしては面白い女である 少し付き合ってやろうかと歩き出すと女がおれの手を取った 「なんだよ」 「連れてってくれないと一人では歩けない、首がないから」 そうなのか、今までは如何してた? 耳がないのになぜ会話できる? 色々疑問はあったが、多少は気にしつつも、まあいいやと手を取って歩き出した 千ほどもありそうな晒し首の中で女のものは二割ほどだ 最初に見つけた女の生首で 「これか?」 ときくと 「違う、あたしのは腐ってない」 と答える なぜわかる? と思うけど、いちいち面倒なので聞いたりはしない 大抵は腐れ首で腐ってないのが中々見当たらなくて、やっと見つけたのを 「これか?」 ときくと 「首に乗せてみてほしい」 と言うので、乗っけると、ピタリと合った 「これだわ、よかった、お礼をしたいわ」 媚びるように言う 不気味な首なし女が吃驚するような美女に変わった お礼を受けたいが 「おれには用がある」 「どんな用が?」 悪しき魔女が処刑されて、首が小塚原に晒されている。配下がそれを探して魔女を復活させようとしている。そうなれば災厄だから、連中が見つける前に見つけて、塩漬けにして、海に流してしまえ、と依頼されているのだ …… しかし この女 …… 本人が探しているとは聞いてないがこいつが魔女としか思えない…… 依頼と違うのだからおれの所為じゃないけれど…… とは思いつつ 「悪しき魔女なのか? おれが復活させてしまった?」 恐る恐るきくと、女は笑って 「そうだけど、あなたが悪いんじゃないわ だって、昔から言うでせう、悪が滅んだ試しはないって」 あとがきです サムネは、アレクセイ・フォン・ヤウレンスキーの絵の模写です 1865年3月13日- 1941年3月15日 ロシア系ドイツ人の画家で、ドイツ表現主義を代表する人物の一人。ヴァシリー・カンディンスキーとも交友があり、20世紀初頭のミュンヘンにおける芸術運動であるミュンヘン新芸術家協会や青騎士にも参加して、生涯旺盛に制作に取り組んだ。人間の「頭部」をモティーフにして描き続けた後年の一連のシリーズがよく知られている。1930年にドイツ国籍を申請し、1934年に同国籍を取得している。 ー ウキペディアより 小塚原(こずかっぱら)は罪人の処刑場で必ずしも罪人の生首の展示場所ではなかったけど、本作では罪人の生首を並べてるイメージにしてます 千もある訳ないけどね
お花見
お花見しようと友が来た はらが減ったと言い乍ら なにも持たずに来た友に みそ田楽を馳走した あとがきです サムネは「歌川国貞 釈迦八相記令様写絵」です 如何云う状況を描いてあるのかはよく分かりませぬ 「釈迦八相」というのはお釈迦様の生涯における八つ出来事をらしい それなのにお武家様とお化け猪に乗って蛇と多分ムカデを体に纏わり付かせた怪人とは なんなんでせうね よくわからない おまけ 旧作です もし、もし、よろしければ、お読みくだせえませ < ウラハラ > 友人の伊藤君と桜並木を歩いていた 満開の桜がハラハラと散りかけている頃だった 明るい春の月夜に、いつもと違って静か過ぎる伊藤君に私は尋ねた 「元気ないな。どうした?」 「おお、我が悩みを聞いてくれるか?」 「勿論だ」 「金取ったりしないよな」 私は精神分析医で、普段は他人の悩みを聞いて生活の糧にしている 「タダだ。しかし、普段は客の言葉に突っ込んだりはせんが、今は別だぞ」 「客なのか、患者じゃなくて」 「難しい処だな」 私は頭の上の桜花を見た。花弁が舞っている 「で、なんなのだ、君には似合わない悩みというのは?」 「うん。お前、前世の事を覚えているか?」 「いや、覚えてない。前世なんてものがあるのかないのか知らないが、覚えてないのが普通だろう。君は覚えているのか?」 普通、客にはこういう言い方はしないのだが、彼は客ではないから気楽だ 「覚えてないよ。でも、この前、覚えてるって奴が現れて、俺に言うんだ、『前世であんたに殺されたんだ。その怨みを晴らしたい。しかし、目には目を、歯には歯をたって、今世でお前を殺したら刑務所行きだ。それは嫌だ。だったら、どうすればいいと思う?』てさ」 「どう答えたんだ?」 「知らんよ、そんなん、と。しかし、それから付き纏われてるんだ。怨みだの前世の因縁だのと。鬱陶しくて、ノイローゼになりそうだ。どうすりゃいいと思う?」 「そうだな」私は一瞬考えて「つまり、うらみハラスメントか」 「なに? 怨み、晴らす?」 「いや、怨み、てん、ハラスメント。パワーハラスメントとかあるだろう。パワハラとかセクハラとか。この場合は、怨みハラスメント、つまりウラハラ」 「ウラハラ? 聞いた事ないな」 「だろう、言い始めだ」 「それでどうすりゃいい?」 「ウラハラでは、警察に訴えにくいな」 「笑われそうだからな」 「なら、そうか、…… 相手は、金がありそうな感じか? 貧乏そう?」 「うん、貧乏人って感じではないかな」 「だったら、」と名刺をわたして「ウチに来るように言ってくれ。なんとかしよう」 「おう、桜ハラハラ、俺はウラハラ、俺の苦労とはウラハラに、そっちは金を儲けてウハウハか」 「三方一両得だな」 「うん?」 おまけの弍 大昔に書きました 最初と終わりだけの物語 暇なら読んでね < 魔大戦 プロローグ > 美しい娘がいた 名をマナといった 山深い寒村に暮らしていた 多くの若者がいて、皆、村を出て行き、そして多くが帰って来た マナもまた、一度村を出てみたいと言った 外の世界を見てみたいと しかし、ダメと言われた 「なぜ?」 「お前が村を出ると世界が滅んでしまう」 「そんな馬鹿な」 「お前には印があるんだ」 ええ、とマナが言った 胸についた不思議な模様 クッキリあるのに、ハッキリ見えない 「この村は結界に包まれている。世界中の力が此処に集まってくるんだ。その全てをお前が吸い込んで溜め込んでいる この村は力のダムだ お前の溜め込んだ力が外に出ないように堰き止めている もし、お前が村を出ればその力が川の水のように流れ出すだろう 世界は再び魔大戦の昔に戻るだろう そして、滅び去るだろう」 そう? とマナは言った でも、あたしは村を出たい そして、世界を滅ぼしてやる < 魔大戦 序章 > 夜陰に紛れて、マナは村をでた。 誰にも知られず 誰にも気づかれず 僅かなお金と僅かな食料を持って。 行く当てはなかったが、南に大きな町があると聞いていたから、南をめざした。 深い森、深い闇を、目の前に黄色く光るものが二つ現れるまで。 大きな剣歯虎がいた。 あたしを食べようというの? 無理だわ。 あたしにとって死は贈り物だけど でも世界が許さないと思う。 あたしは世界を滅ぼさなくてはならないから。 世界が灰の中から蘇られるように。 世界は不死鳥で、あたしは炎 燃やさなくては 燃え尽きるまで 世界が燃え尽きたら、あたしは死ぬ それ以上は意味がないから。 剣歯虎🐅はひと声唸って、マナの前に跪いた。 まあ、あたしの家来になるというの? じゃあ、ついておいで。 剣歯虎の肩に手をおいてマナは歩き続けた。 やがて朝の光が森の小道を照らす頃、マナと剣歯虎は道を外れて、小さな泉の傍で眠った。 目覚めると鴉がいた。 木々の枝という枝に折り重なるように、何千羽もの鴉がとまっている。 その中に、一羽、ティアラをした鴉がいて、マナをじっと見ていた。 「なんなの?」 「わたしは鴉の女王だ。 一千年余りの後に、昨日、強い力の流れを感じて不思議に思い、追ってきたら、あなたがいた」 「ええ、あたしが流れ出る力の源。力を湛えた海なの」 と、マナが答えた。 「あなたに渡したいものがある」 と数羽の鴉がバタバタと運んできて、マナの前に落としたのは美しい宝杖だった。 「前の破壊神が持っていたもので最強の武器だ」 「あら、あたしは破壊神?」 笑いながら拾うと、ルビーにサファイヤにダイヤモンドが散りばめられた短い杖だった。 「破壊神、殺戮者、色々言われるだろうけど、それがあなたの使命だから、挫けず、或いは挫けてもいいから、頑張ってね。 わたし達はいつもあなたの味方だから。 最後の日、埋葬の時には、あなたを濡羽色の羽の中に埋もれさせてあげる」 「ありがとう。なんの慰めにもなってないけど、なんとか頑張ってみるわ」 「それじゃ」 と、何千羽の鴉がバタバタとうるさく飛び立っていった。 「ばか鴉。なんだって言うのよね」 マナが剣歯虎に話しかけた。 「とにかく行きましょう。他に道はないもの」 < 魔大戦 エピローグ > 魔風が吹き荒れている 人々は救いを求めて、巨大な神像や仏像を作ったけれど、それらの神像や仏像が動き出して、祈る人々を踏み潰した 大地を様々な魔物達が闊歩している。人々は魔法や武力で守られた砦や城の中で辛うじて生き残っているばかり、そんな時代だった そんな大地を二人の男が馬に跨がり進んでいた 少し向こうに見える森を目指している 「あの森に最強の魔女がいるのですね」 と従者がきくと 「そうだ」 と主人が短く答えた 森に入ると、馬を降り、細い道に沿って歩く 「襲われたりしませんか」 従者が不安そうに言う 「そういうことはないと思うが・・・」 「保証はしかねる、と」 「そうだな」 しばらく行くと立て札があった 【武器はここに置いて下さい】 【魔法は使わない方が安全です】 「どうします?」 「武器を置いていこう。剣ばかりでなく、尖ったものは全てだ」 「柵も城壁もない。なのに魔物がいませんかね」 「魔女の森だからな、魔物は入れないのだろう」 やがて空き地に出た。中央に噴水があり、周りに花壇がある。小鳥が囀っている。ここには魔法的な生き物がいない 噴水の横に娘が座っていた。二十歳前くらいに見える美しい娘だ 「久しぶりね、アル」 とその娘が言った 「三十年ぶりかな、マナ」 「歳を取ったわね」 「君は変わらない」 アルが近づいて、マナの頬に口づけした 二人は思い出を語り合った アルは平和で美しかった村のことを話し、マナは腐り果てて澱んでいた村のことを話した 同じ村の思い出・・・ 「一緒に帰らないか」とアルが言い 「火刑にされそう」とマナが笑った 「君は世界を滅ぼすと言って村を出た。もう十分じゃないか」 「世界を救おうと思って、あたしは村を出たけれど、救いきれなかった。あたしの所為じゃない。皆んなが馬鹿だから、あたしだけではどうにもならない」 「うん?」 「一人の少女の中に千年分の力を溜めておこうなんて無理なのよ。いつか溢れだす。あたしが壊れたら、この千二百年間に溜まった全ての力が一気に解放される。ダムが破れて、世界は力の洪水の中で溺れてしまったでしょう。だからあたしは村を出て、少しづつ力を流れさせた。三十年、一万日、それでも世界には多すぎたみたい」 「そうなのか」 「そうなのよ」 「言ってくれればよかったのに」 「無駄だわ。千数百年ごとに魔大戦が起こる。人々は懲りて力を封じ込めようとする。印を持つ少女達に力を封じ込める。でも、やがて、自分が壊れると知って、少女は逃げ出す。また魔大戦が起こる。その繰り返し。どうにもならない」 「変えられると思うが」 アルが言うと、マナは首をふった 「無理だと思う。もう何年かすれば私の力が尽きて、あたしは消える。すると、次の少女が現れるわ」 「そもそも力を溜めなければいいのか?」 「それも難しいみたいね。力には多すぎる時期と少なすぎる時期があるから、多すぎる時期に小規模な魔戦が起こってしまう。だから、このシステムができたのね。そして、結局の処、魔大戦が起こってしまう。どうしようもないのよ、多分。千年の平和か、何十年毎の戦争か、その選択になるのね」 「この荒廃した魔物だらけの世界がもうじきに平和になる。戦いのない時代が千年続く、誰が千年先のことなんか考えるものかって? そうだな。そうなりそうだな」 アルは上を向いて空を見た 美しく青い空が広がっている 他の地の濃く暗い雲が広がる空とは違っている 「ここの空は綺麗だ」 「暫くここに留まりませんか? あなたが懐かしい。村に家族がいるの?」 「いない。ずっと君を思っていた。昔のままの君に会えるなんて夢みたいだ。それに比べておれは歳を取った」 「あの頃のあなたは頼りなかったし、子供過ぎたから、今の方がいいわよ」 「そう言ってくれると、嬉しいな」 「なら、決まりね」 「しかし、カロが退屈するかな」 と従者を指した 「ふふふ」と笑い「リナ」と呼ぶと大人の美しい女が現れた 「娘なの。ここには誰もいなくて、寂しがっていたから、丁度いいかも」 リナがマナの横に立った 「母親の方が若いなんて巫山戯てるけど、宜しくお願いします」 「こちらこそ」 とカロが満面の笑みを浮かべて言った 了 最後の意味不明なおまけ、なんだかんだ春だからのカンダハル なにをイタチの最後っ屁 痛ち痛ちの最後っ屁 四行の本文に長大なオマケをつけました ここまで読んでいただいた方がいらっしゃれば 感謝です
世界の終わりを防ぐために
「黒いものが飛んで来る」 空を見上げながら、稲村君が言った 「ん? ラドンか?」 「いや、タドンだな、あれは」 「はあ?」 「真っ黒い塊だ。形から言ってもタドンにしか見えない」 「火鉢の中で燃やす奴か」 「そうだ」 「そんな物がなぜ空を飛ぶ?」 「知らんよ。とにかく飛び去った。俺たちには関係ないだろう」 とか言っている処へ突然に目の前の空間が裂けて遮光器土偶が現れ、真っ赤なデカイ目でこちらを睨んだ 「なんだよ、なんの用だよ」 ぼくは歓迎してない感をいっぱいに出して言った 遮光器土偶は硬い表情のまま感情のない言葉で答えた 「世界の終りがちかい 大地は死に覆われるだろう」 唐突に現れ、何を言うのか? しかし、遮光器土偶は嘘をつかない、遮光器土偶が言うのなら、世界の命運は危ういのだ 「十万年前、宇宙人がこの星の開拓のために生物を死滅させるべく何千兆もの毒虫の卵を仕掛けた その毒虫が今、一斉に孵ろうとしている。彼らは地を覆い海に溢れるだろう。彼らに刺され地球の陸と海に棲むすべての生物が死滅するだろう」 「で、どうしろと? 座して滅びを待つわけにはいかないよね」 僕がきくと、遮光器土偶が答えた 「地上の事には我らは手を出せない。しかし、毒虫は宇宙由来のものである。故に折衷案を考えた。我らが殺虫剤を送るから、君らが使ってくれ」 「殺虫剤?」 「黒の丸薬が今届いただろう。それを燃やしてくれれば良い。燃やせば、毒虫は消え去る」 具体的にどうするのかと聞きたかったが遮光器土偶はそれだけ言うと空間を閉じて、消えてしまった いつもながら良い加減な奴なのだ 「なんなんだよ、いつもの事だけど、何が何処に有って、どう燃やせばいいのか、それくらいは言ってけよ」 と、ぼくは虚しく抗議したが、空間は何も答えなかった 「どうする?」 稲村君にきくと 「黒の丸薬とはさっきのタドンのことだろう 行って、調べてくる」 とオートバイで走り去った 地球人類存亡の危機とはいえ、ぼくにはすることもない 仕方ないので、ネットで映画を見ていた 数日して、稲村君が帰ってきた 「インドネシアの無人島でタドンを見つけたぞ。大きさはほぼ百メートル。燃やしに行こうぜ」 と簡単に言う 「問題はどうやって火をつけるかだよね」 「うん、大量の新聞紙が要るな」 「し…… 新聞紙を使うのか」 「新聞なんてその程度の役にしかたたないだろう」 「まあなあ。で、どうする? 古新聞買付業でも始めるか」 「いや、古新聞屋さんから買おう。ついでに薪も買おう。運ぶのに、また、フライングぞーさんを借りよう」 そう云う訳で、大量の古新聞と薪を積んで、UFOまがいのフライングぞーさんに乗ってぼくらは出立した タドンは無人島の森の中に落ちていた 象さんの鼻でそこらの木を薙ぎ倒して着陸する 「島ん中だね、海の落とされると厄介だったけど」 稲村君も頷いて 「俺らの迷惑顧みずの遮光器土偶でも、流石に海中に落とすのはまずいと考えたに違いないな。しかし、人のいる場所に落とすと燃やすのが厄介になるし、折角燃やしてから、消防車なんかが来るのも面倒だから。それなりに考えたんだろうさ」 「ぼくの話も、タドンも、落とし処が肝心ですってか」 「…… 、はじめようぜ」 稲村君が僕の軽口を無視して言った それからタドンを燃やす準備を始めた 古新聞を敷き、薪を乗せ、それをまた新聞紙で包むようにして、タドンの周囲三百メートルほどに敷き詰めた それから超小型火炎放射器、つまりライターでもって火を着けて回った 大変だった 疲れて、ぼくは思わずぼやいた 「火炎放射機を二、三十台並べて一気に火を着けるというやり方で、なんか問題があったのか?」 「えっ」と驚く稲村君 「思いつかなかった。昔はこんな風にやったんだよ。だから同じ風にやらねばと思い込んでしまった。そんな方法があるなら、早く言えよ」 「いや、あまりに自信満々に事を進めるから、これが形式なのかって。まあ、もういいや」 「そうだなあ、火もなんとかついたし……」 タドンは赤い染みのような点々を浮かべて燃え始めていた 大まかに全体に火が回っているのを確認してから、ぼくらはフライングぞーさんに乗って上空からの観察に変えた このタドンが地球の救世主であるなら、燃え尽きるまで、監視し護らねばならない そんな風にして数日が過ぎ、タドン全体が真っ赤に燃え始めた 「よく燃えてる。それはいいけども、こんなのが燃えてるだけで、全地表に死をもたらすとかいう毒虫を殲滅できるのかねえ」 ぼくは信じがたい気がしていたので軽くぼやくと稲村君も頷いた 「おれもそう思うけど、遮光器土偶が言うんだからなあ……」 二人でぼやいていると、空間が割れて、遮光器土偶が現れた 「疑う勿れ、これを見よ」 と、目の前の空間にホノグラムを浮かべた 宇宙から撮った地球の映像である 地球が薄青い仄かな光に包まれている 「この春霞の如き青い粒子が害虫を一網打尽にするのだ。この霞は一年の間地球を覆う。毒虫には生殖機能がないので、僅かに生き延びたものがいても大した問題にならないだろう」 「なるほど、地球は救われたのか?」 「そうだ」 「終末は音もなく現れ、音もなく消えたって……って、ぼくらの働きが地味すぎて、なんか馬鹿馬鹿しい感じがするね」 遮光器土器は、何も答えず消えた 後には、ホノグラムの地球が残っていた 「世界を救ったというのに、実感ねえなあ」 ぼくが嘆くと 「タドンに火つけただけだもんな」 と、稲村君が笑った あとがきです サムネはお話とは全然無関係な歌川国芳の浮世絵です 保里蘭丸とは信長の小姓であった森蘭丸のことで、本能寺の変で明智軍相手に奮闘する森蘭丸を描いてます。蘭丸の他にやっつけられる明智兵とか本能寺の景色とかがあるのですが、そこはすっ飛ばして、蘭丸だけを描きました 兵庫県が、また色々あって、混沌としてきました 第三者委員会の報告があって、これで一件落着かと思ったら、この報告書がとんでもなく怪しげで、まだまだ一悶着も二悶着もありそうです うーんといった感じ 元県民局長の文章は七項目からなっていて、うち6つは根拠が(ほぼ)ないとされています 七つ目のパワハラが、ある種の前提と幾つかの仮定をもってすれば、あったと考えられるという 故にこれは公益通報であるから、告発者探しをした斉藤知事は違法であると このパワハラの定義がかなり私見的なのが問題なんですけどね 且つ、この論理で言うと、99の嘘八百を並べても真実性の可能性を感じられるものが一つでもあればそれは公益通報であり、通報者は保護されなければならないとなる 法律ってそんなものなん? と問いたくなる とにかくパワハラはあった 斉藤知事はけしからん 第三者委員会の結論が出た以上、知事は即辞めるべきである、なんて読売新聞に書いてある しかし、再選した民意は如何なるのか? 立花氏らのデマに騙されたバカな兵庫県民のした事だから、そんなの関係ないとおっしゃている 兵庫県民、つまり私をバカ扱いするとはなんたる無礼な新聞め 今の購読契約が終わったら、即打ち切ってやるからな、覚悟しとけ と、ごまめの歯軋りしております しかし、デマを流してたのは、死んだ竹内氏とか、テレビのワイドショウやらニュースやらもそうなんだけど、その辺は口にチャックして語らずなんですよね まあ、マスコミは自信満々に世論操作していたのに、完璧に失敗終わったので怒り心頭に発してるのかもです 私としても、新聞やテレビのいう事は、競馬予想の◎◯▲△✖️くらいしか信じてなかったけれど、今じゃそれ以下になってますね ニュースで信じられるのは天気予報くらいか😆 県民局長の女性関係とか、竹内氏らが流していた虚偽事項などについては一切言わないものね かくなる上は、知事の不信任、議会解散、再度の不信任で知事失職、再度の知事選挙で斎藤元彦再々選、までいきたいものです やたら金がかかって、兵庫貧乏、なんて言葉が生まれそう しかし、議会もマスコミも反省はせず、全てはバカな兵庫県民の所為にするんだろうな もう諦めろよ、とマスコミと議会と他の兵庫県の深き闇に言いたいけれど、戦いは終わんないんだろうなあ
くちびる
ひとつの唇 貴女との口づけ ここのつの唇 思い出 あとがきです お題でねえ、書いたんですけど、顰蹙もんだなとエッセーにしました ここのつの唇、クリップってさ 詩と云うにもあんまんだしねえ まあ、あとがきで頑張るべえと絵を描きました 世界の中心に聳え立つ須弥山の天辺にある喜見城の主、「帝釈天」を描いてみました もっと男前のはずなんですけどね、画力の問題でこうなってる 喜見城の奥には兜率天があって、そこでは、五十七億年後の末世に救いをもたらすべく弥勒菩薩が修行をしてる この須弥山、高天原もそうなのだけど、この世界の外にあると思ってました でも、考えてみるとその必要はないんですね この宇宙には千兆の銀河があって、人類の地球は、その内のひとつの銀河の片隅にちょこっとあるに過ぎない 宇宙は無駄に広いのか? いや、須弥山も高天原もこの宇宙のどこかの銀河にあると考えた方が納得できるのではあるまいか 浄土宗で云う西方浄土もこの宇宙にあっていい この宇宙全体で輪廻世界を作っているのだろう だから、私が死んで生まれ変わるのは何処か別の銀河にある地球かもしない 輪廻の恋人たちが出会ってみたら、エイリアンとリプリーだったなんて事もあり得るかもしれない 銀河と銀河の間は広大過ぎて、行き来出来そうに思えないけれど、空間は点の集まりであって、ひとつの点は全ての点と隣り合っているんだ、と考えれば三次元的は距離は問題にならないはずである 次元をひとつふたつ越えればいいだけなのだ なんて事を競馬🏇しながら考えていた日曜日 暇だね、と自戒もしつつ 「あんたねえ、年中そんな事ばっか考えているのかよ」 と友人に呆れられたりしておりましたが 「いや、年中は考えてないよ」 と答えてましたが…… ノストラダムス、シッチン、デニケン、 オカルトとか、幻の古代文明とか、好きですねえ 信じ易い性質なのね、と言われそうだけど、二酸化炭素による地球温暖化は信じてない EVが崖っぷちの昨今、氷期は近いのかと恐れてる 寒いのは嫌いなのである