病葉
316 件の小説病葉
SF、ファンタジー、ミステリー、コメディが好きで、本、映画、ドラマ、どれをとっても鑑賞範囲が狭くて 自分好みな話を好き勝手に書いてます でも、読んでくれたらとても嬉しい 水瓶座 宜しくお願い致します
ホットケーキ毒入り
近所のおばさんからホットケーキを頂いた 「美味しいですよ」 と近所に配っているらしい 暫くして、救急車のサイレンが鳴り響き、さらに暫くして、パトカーのサイレンが鳴り響いた なんだろうと外を覗くと近所の人が次々に救急車に乗せられている ピンポーンとチャイムが鳴って、開けると二人の刑事さんが立っていた 「大丈夫ですか?」 「はい、でも何事です?」 きくと、先ほど貰ったホットケーキに毒が入っていたらしいのだ 食べた人が次々に倒れて、生死に関わるような重症の人が多いらしい 「食べなくて良かったですねえ」 「ええ」と笑い、緊張の余り、変なギャグを飛ばしてしまう 「うちのほとけが、ほっとけーき、喰うな、ほっとけー、とか言うものですから」 「信心は大事ですか」 刑事が苦笑いを浮かべた しかし、その時、もう一人の方の刑事が「変な匂いがする」と鼻をピクつかせた 「うん、そういえば……」 と家に入ろうとする 外国のミステリーでは、令状が…… とか言って追い返せるのだが、日本ではどうなのだろう そんな私の思いにお構いなく、刑事二人はさっさと入って来る 図々しい奴らである 奥に入りクローゼットの前で立ち止まる 「あっ、そこは我が家の仏壇、いや、私物が入ってますから、勝手に開けないで…… 」 ひとりが、止めようとする私の肩を押さえて動けなくし、もうひとりが扉を開けた 其処にはかっての恋人、いま我が家のほとけが、ビニール袋に入って座っていた 「ホットケーキ、食べた方が良かったかも」 耳元でほとけの囁きが聞こえた あとがきです ポーの黒猫的な雰囲気を出したかったけど、全然でしたね まあ、そんなものでせう
安眠まくら
K博士より電話があって 「安眠まくらを発明したぞ」 と言う 「また、らしくないものを作ったんですね」 「とにかく寝に来てくれ」 そういう訳で研究所を訪ねると、部屋の真ん中に布団を敷いてあって、そこにありふれた感じの枕があった 「本気で寝てみてくれ」 本気で寝るには明る過ぎるし、様々な機械の音が煩いぞと思いつつ、横になり、枕に頭を乗せると、途端に暗く静かになった えっ、と頭を起こすと元の明るく煩い室内である 驚いていると、博士が得意げに笑う 「枕に頭を乗せると、光線と音波を遮断するバリヤーが張られて暗く静かになる、名付けて、まっくらまくらじゃ」 ネーミングは兎も角、確かにこれならどんな環境でも眠れそうだ 素晴らしい 「売れそうですね」 しかし、博士は残念そうに首を振った 「材料費が百万ほども掛かったからなあ、百何十万するまくらなんて、誰が買う?」 「なるほど、お先もま…くらですか」 あとがきです サムネはポール・ランソン(Paul Ranson, Paul-Elie Ranson, 1861年3月29日[1] - 1909年2月20日、フランスの画家 ナビ派の一員)のいい加減な模写です 昔から枕には凝る方でねえ 低め、柔らかめのが好きなんだけど、頭を乗っけてるうちに、もう少し低い方が良かったかな、高い方が、もうちっと硬い方が、柔らかな方が…… なんて考えてしまって別のを買ってしまう 頭を乗っけて、一晩でクビにするのもあってね、でも枕って案外と高いんですよ 同じような安物の服ばかり着て、枕に金使ってる私です
八岐大蛇
「星降る街か、ロマンチックじゃないなあ」 稲村君が空を見上げて言った 僕も空を見上げ、落ちてきた星をひとつかわしながら 「まったく」 と答えた 今夜、数百の小隕石がこの街に降る その中にひとつ大きめのがあって、中から八岐大蛇が出るというのである 八岐大蛇はかっていちど現れ、その時は素戔嗚尊に退治された ぼくと稲村君は、今回、二千年ぶりに地に降り立とうという八岐大蛇の退治を依頼されてこの地にやって来たのだ どうやっつけるのかというと、前回と同じに、酒を飲ませて前後不覚になった処で首を切り落とすんだそうである その為に何でも切れるという鉈を二振りと、酒の素という赤い丸薬を預かっている 鉈を小次郎ばりに背中に背負い、降る星を避けながら、八岐大蛇を待ち構えた 「ボチボチかな、数キロ先辺りに落ちるらしいが」 「待機位置として、此処は遠過ぎやしないかい?」 聞くとにゃっと笑われた 見ていると、ひときわ大きいのが燃えながら落下してきて地面に激突すると地響きと共に凄まじい火柱が上がった なるほど、近いと危険だなあ、と納得した 「行くぞっ」 「うむ」 近づいて見ると、三本足に胴体、その上に八つの龍頭を生やしたのがいた 香炉の蓋に八匹の龍を生やしたような感じだ 案外小さい キングギドラばりに百メートルくらいはあるかと思っていたのに十メートルくらいしかない ただ鼻から熱風を出すのが迷惑な 辺り一面火の海になっている 「どうすんだ? 近付けない」 「こっちだ」 と稲村君が走り出す 十分ほど走ると、周囲百メートル程の小さな池の端にでた その池に、下げて来た西瓜大の赤玉を投げ込んだ すると、池の色が黒からワインレッドにかわる 赤ワインのいい香りが、辺りに漂った その香りに誘われて、八岐大蛇が三本脚を器用に進めてばたばたと池の端に走り寄り、八本の龍頭を池に突っ込み、ガバガバと飲み始めた みるみる池の水位が低くなり、底が見えるほどになった 「ヒック、ヒック……」 と息を八回ついて、頭を地面に付け、八岐大蛇は眠り込んでしまった 「寝てくれたようだ。一首づつ落とそう」 「ひとつ目を鉈で切り付けたら、他が目覚めたりしないかね?」 「他の首と感覚を共有していないんだってさ。時々、首同士で喧嘩したりもするらしい」 なるほど、しかし……、と疑問を感じる 「なら、足はどう動かしてる? 船頭多くして……」 「知らん、とにかく首を落とそう」 「酔っ払いの寝首を掻くなんぞ、主義に反するがなあ」 「じゃあ、目覚めを待つか? 日本中が火の海になるが」 「いや、大急ぎで寝首を掻くとしよう」 バキバキと、汗だくになりながら、鉈で首を落としていった 数時間掛かったが、酔っ払い八岐大蛇は目覚めず、最後の首が落ちて、八岐大蛇は死んだ 「なんか気の毒な」 ぼくが言うと稲村君も頷いた 「しかし、しょうがないよな」 「しょうがないのは分かるけど、何だってこんなのが星の中に詰まってて地球に落ちてくるんだろう?」 「不思議だよね。地球を滅ぼそうという連中と守ろうという連中が居て、やり合ってるのかなあ。我らは護る側の戦士か」 うーん、と思う 「確かに護ってる側だろうけど、戦士というのには、ちっとも戦ってない。作業員て感じばかりだ」 「確かにね」 そう言いあって、ぼくらはため息を吐いた あとがきです サムネはポール・ランソン(Paul Ranson, Paul-Elie Ranson, 1861年3月29日[1] - 1909年2月20日、フランスの画家 ナビ派の一員)のいい加減な模写です もう六月、運命の七月が近い 何もないかもだけんど、なんか、中東も、欧州も、極東もきな臭い アメリカはあれだし 中国も、YouTubeを見てる限りでは天災他でごった返してるし 日本も難だし 七月、天変地異? 戦争? 何にも起こらない? どうなんでせうね どうなるんでせうね どうもなんもないんでせうか 未来を深く悩みつつ、土日は競馬に没頭している私です
着陸船レジリエンス、月に着陸せむとす
待った、待ちくたびれた、やっと…… アイスペースの月着陸船レジリエンスが明後日(25.06.06)早朝に月への着陸を決行することになりました 一月に打ち上げてより五ヶ月かかった 同じロケットで打ち上げられたブルーゴーストは二月半ばには月に着いていたと云うのにね これはなるべく燃料を燃やさずに月に至ろうとしたからなんです その為にスイングバイという月と地球の引力を利用して月の軌道に乗る方法を使いました 燃料噴射せずに、月に至ろうとするのは省エネ、低コストの為です 多く噴射するには多くの燃料を積まねばならない 燃料庫が大きいと積む荷物が少なくなる 同じ量を積もうとすれば着陸船が大きくなる コストがかかる どうせ相手は月、急ぐこともあるまい、のんびりでも安価な方がいいだろうの考えです アイスペースは月への貨物輸送をやろうという会社でありますから で、やっと明後日に月に降り立とうとしてる訳です 成功すれば民間企業としてはアジア初 世界でも何番めか 日本での最初はJAXAの月着陸船なんですが、あれは横向いたからねえ まともに四本足で着地すれば日本初になると思うんだけど 無事着陸すると小型月面探査車(ローバー)を出して、月の砂をとりNASA(アメリカ航空宇宙局)に売ります 世界初の月面上での商取引になるそうです 所有権を移すだけで持って帰って渡すわけではないんですが あとローバーに月面をちょこちょこと走らせながらとった映像をテレビ局に売ったりするらしいのでテレビで月の砂漠を見られたりします 前に一度失敗してるけど、今回は是非とも成功して貰いたいものであります かぐや姫やウサギさんが怒らないかと心配ではあるけれど
出雲の恋
出雲で出会った魔女 いつもの恋 魔女の作ってくれたサンドウイッチを食べなかった 怪し過ぎたから 「もう作ってあげない」 言いながらまた作ってくれた 二度目のサンドウイッチ 食べなかったけど 「もう!」 怒りながら作ってくれた三度目のサンドウィッチ 仏の顔もサンドウィッチ 「もうあなたとは付き合えない」 と、恋を放棄して 箒に跨がり飛んでってしまった 見送る思いは心に重い 夜が明ける 日が沈む 月は行ってしまった あとがきです サムネは国貞二代の浮世絵「釈迦八相記今様写絵二十三」の一部の模写 それから本文は一応、詩(?)のつもりかなあ(詠嘆詞) 駄洒落がやめられないけど 何も当たらないけれど ダービーは当てよう ispaceの月着陸が近づいて来ました 月に空気はないけれど、期待、期待
雨降りお月さん
「雨は阿保々々」 変な歌を歌ってる 「降る降る、じゃないんか」 「フールフールだろ、阿保阿保、だろうぜ」 それは如何でも良いが、月に流星雨が降っている ぼくと稲村君は象さん型宇宙船に乗り、月を交わして地球に向かおうとする流星があれば象さんの鼻に内蔵した波動砲で破壊せむと待ち構えていた しかし、流星雨は全て滞り無く月に向かって落ちていく ぼくらはただ見てるだけでいいみたいだった 「さあ、世紀の大パノラマが始まるぞ」 月の裏側なので地球からは見えない 見物人は我らだけである 「地球の幸運は月には迷惑だなぁ」 ぼくが言うと、稲村君は 「小さなアバタが少し増えるだけだろう、月は気にせんさ」 と答えたが、これがびっくりで、そうではなかった 星が集中的に降ってきそうなその辺りに突然真っ黒な穴が幾つか開いたのだ 「なんだ?」 と稲村君が呟く 「月のブラックホールか」 ぼくが答えるのとほぼ同時にブラックホールから光線が出て付近に落ちそうな流星を、片端から粉微塵にした それを見て稲村君が叫ぶ 「うーん、巷間に言われるが如く、月はなんと宇宙人の基地だったのか? 基地が月にあるのか? 月そのものが基地なのか? 大問題になるぞ」 ぼくも答えて、曰く 「ブラックホールからは光も脱出できないと言うが、光線が出てきた これも宇宙論的問題になるよな」 稲村君はぼくをチラッと見て、呆れたように首を振った あとがきです サムネの絵はガブリエレ・ミュンターの模写 アートしてるつもりのあーとがき ふん😤 最近、ツキ、運、等について考えてる ついているとかいないとか 運がいいとか悪いとか 普段の会話で普通に使っているけれど…… これってやはりオカルトなのかなあ 現代科学では説明できない事象であるのは確かなんだけど あるのかなあ? ないのかなあ? 私は『ある』と思っているけどね
かけていく月
みちていた月が やがてかけていく どこへいくのだろう そらがさみしくなる あとがきです サムネはガブリエレ・ミュンターの描いたワリシー・カディンスキーのポートレートの模写 絵描いたけど、絵だけはまずいよね、と詩をつけました これ、詩?、というのはさておきまして…… 地球を見捨てて駆け去っていく月 🌏 🌕 何処へ行くのだろう? 地球の空が寂しくなるなあ、という詩です この地球を見捨ててかけ去って行く月のイメージが面白いかなあって 月は一万五千年前まではなかった、という説がYouTubeにあります 月は人工物だという説もあります 地球を捨て、再び、宇宙に旅立つ月 かけていく月 恋の日は短く あとがきばかりが長い🤓
ZOO にズー
彼は死んでいた 虎の檻の前で 一日中ずーっと動物園に居て銃で撃たれたのだ 子供の頃からずっと来たいと言っていた動物園だった 「如何いうことだ?」 とA警視は尋ね、B警部が答えた 「動物園はズー(ZOO) つまり、ですな、子供の頃からずーっとズーに来たいと望んでいた男が、やっとズーに来て、それで一日中ずーっとズーにいて、結果、ジューに撃たれて死んだと、そういうことでは?」 「白昼堂々ズーでジューを撃つとは」 「ズーズーしい奴ですね」 「わかったぞ、犯人は津軽人だ!」 「なるほど」 あとがきです サムネはカディンスキーの下手な模写 もっと明るいんですけどね、なぜか暗い 明るい色の出し方がよく分からないのであります カディンスキー、偉そうな顔してる、ああいう顔つきのお方は嫌いなんだけど、絵は好きですね 作者と作品は別物であると考えませう お話はズーズーで津軽人と、ズーズー弁に引っ掛けてるだけで深い意味はない…… というか、お話自体に意味はない ただの駄洒落で…… 最近は小道迷子氏の漫画が気に入ってて、あの訳のわからない処がいいな、てね それで意味不明なお話を書きたいと思いまして、しかし、あまり巧くいってないなあ 別にいいのでありませうが これの前の話のあとがきで、二五年七月に大地震か隕石の落下で災厄が訪れると云うのを書きました 去年も東南海地震が起こると云う気象庁が発表した地震予知がありました 何も起こらなかったけどね こう云う科学的予知とただの予言が如何違うかと云うと、科学的予知には怪しげではあるが何らかの根拠があり、予言には何の根拠もないと云う事でせうね 予言とは未来からの風を受けて知るのか? 現在の状況から類推してるのか? 全て妄想なのか? 難しいですねえ
< 多才な >
小町娘が源内をじっと見つめて 「多才ですのねぇ」 源内、ちょっと照れて、髷で遊びながら 「いや、ほんのザーサイ(雑才)です」 あとがきです テレビのニュースでやってて初めて知ったのですが、2025年7月に日本の近くで大地震大津波、或いは隕石の落下かなんかが起こって大変なことになる、という予言があるそうです 知らなんだ 貴君ももし知らなければ、七月大地震でネットで検索していただければ出てきます うん、こういうの好きでねえ 方々を見まくっておりました あるのかねえ? ないとは言えぬ、とわらわのオカルト趣味が申しております ノストラダムスの予言、ラスプーチンの治癒能力など信じてる方だからねえ テレビでは科学的に証明されたものではないから…… と言ってましたけど しかし、科学的に証明されたものなんかあるのかねえ 進化論、これは化石などから考察するに、あるだろう、ないとは考えられぬ、と しかし、原理、原則は科学的には証明できてない ビックバン宇宙論 時間も空間もなくてただ密度無限大の点があつた 始まりの時に、それが爆発して四方八方に広がっていった ブラックホールの比ではない密度の点であるから飛び散った物質は全て引き戻される筈なのだが、その時には現在の法則はあてはまらなかったのである 点は何故あったのか? その点は何故爆発したのか? 始まりの時について語るのは無意味である、という 人知の及ぶところではないから 創造の時、つまりは神の領域であるから? つまりは、要するに、宇宙の存在も科学的には証明されておらぬ オカルト、科学的に証明されぬもの つまりは、進化も宇宙の存在もみなオカルトの範疇にはいるのだろうか サムネはアレクセイ・フォン・ヤウレンスキーの絵です
タロットカード
「今夜の予定は?」 恭子がきくので、何をしようとおれの勝手だろうとは思うけど、機嫌を損ねられても困るので一応答えておいた 「太郎とカードをするつもりだ」 「まあ、占いするなんて、意外だわ」 「えっ?」