馬鹿者たち

馬鹿者たち
 小野豆腐君が明日遥か天竺への一万里の旅に旅立つというので前夜に様子を見に行くと、四斗樽を前に右手に柄杓左手に大杯を持って呑んだくれていた  その様子を見て思わず口づさむ  君の行く道は果てしなく遠い  だのに何故なにを考えて  君は呑むのか、アテもないのに  豆腐はどんよりとした目を彷徨わせる 「アテはない、明日、万里の旅に出るから、置いてけないので全部食っちまった。その後で馬鹿な安麻呂が旅立ちの景気付けに呑めと、この四斗樽を送ってきたんだ。持っていけないし、置いてくわけにもいかない、呑むしかねえなと呑み始めたが、なかなか底が見えてこない。困り果ててる処へ君が来てくれた。天は吾を見捨てず、とにかく飲んでくれ」  私に大盃を差し出した
病葉
病葉
SF、ファンタジー、ミステリー、コメディが好きで、本、映画、ドラマ、どれをとっても鑑賞範囲が狭くて 自分好みな話を好き勝手に書いてます でも、読んでくれたらとても嬉しい 水瓶座 宜しくお願い致します